JP2004173828A - 積層構造マットレス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡ウレタンフォームにより形成された積層構造マットレスであって、下層部分(2)が高密度ウレタンフォーム、中層部分(3)が低反発ウレタンフォーム、上層部分(4)がオープンセル構造をもつフィルターフォームにより構成されていることを特徴とする積層構造マットレス。
【効果】高密度ウレタンフォーム(2)により適度のクッション性を維持し、かつ低反発ウレタンフォーム(3)により体圧分散機能を実現しつつ、フィルターフォーム(4)により高い換気機能を発揮し得る。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベッド、椅子、ソファ等に使用して好適な積層構造マットレスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベッドの上面に敷設して使用するマットレスとして、パーム繊維からマットを形成して通気性を重視したものや(特許文献1参照)、発泡ポリウレタンフォームにより形成されたマットであって、上面にプロファイル加工による凹凸を形成して体圧分散効果を高めたもの(特許文献2、3参照)等が用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−280488号公報
【特許文献2】
特開2000−152854号公報
【特許文献3】
特開平10−272036号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1のようなパーム繊維を用いたものは通気性に比較的優れるが、寝たきりの患者等のようにベッド上に長時間横になる場合、体圧が局部的に集中して血行障害が発生したり、ひどい時には毛細血管が破壊され、さらには体組織の破壊により褥瘡が生じるおそれがある。
【0005】
また、特許文献2、3のような発泡ポリウレタンによるマット表面の凹凸構造(特許文献3)、或いは同じく発泡ポリウレタンによるマット表面の凹凸構造及び二層構造(特許文献2)のものでは、マット上に患者等が寝た状態において、患者の体重によりマット表面の凹凸が潰れて患者の体表面に密着するため、マット内に患者の体温が蓄熱され蒸れ等が発生し、これによる細菌の発生等が懸念される。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、体圧分散効果を得られると共に通気性もよく、寝心地、座り心地等の優れた積層構造マットレスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、
発泡ウレタンフォームにより形成された積層構造マットレスであって、下層部分が高密度ウレタンフォーム、中層部分が低反発ウレタンフォーム、上層部分がオープンセル構造をもつフィルターフォームにより構成されていることを特徴とする積層構造マットレスにより構成されるものである。
【0008】
このような構成の積層構造マットレスによると、下層の高密度ウレタンフォーム(2)が荷重をしっかりサポートし、中層の低反発ウレタンフォーム(3)が体圧分散機能を発揮し、さらに上層のフィルターフォーム(4)が換気機能を発揮して体圧分散機能及び放熱機能を有するマットレスを実現し得る。上記オープンセル構造とは、発泡ウレタンフォームの気孔が連通していることをいい、フィルターフォームとは例えば気孔の直径が比較的大きく疎な網目構造を有する発泡ウレタンフォームをいう。
【0009】
また、上記フィルターフォームのオープンセル構造の気孔が上記中層部分及び下層部分のウレタンフォームの気孔よりも大であることが好ましい。
【0010】
また、上記フィルターフォームは気孔が1mm〜10mm(好ましくは2mm〜5mm)の網目構造を有するものであることが好ましい。
【0011】
このようにフィルターフォーム(4)を上層部分に用いることにより、当該積層構造マットレス(1)上に着座或いは横になった場合に体表面と低反発ウレタンフォーム(3)との間に間隙(t)(フィルター層(t’))が形成され、該フィルターフォーム(4)の気孔(4’)により換気機能を十分に発揮し得る。上記気孔の大きさは例えば気孔の直径である。
【0012】
また、上記フィルターフォームはその硬さが上記低反発ウレタンフォームの硬さより高いものであることが好ましい。
【0013】
また、上記フィルターフォームの硬さは8[kgf]〜15[kgf]であることが好ましい。
【0014】
このように比較的硬さの高いフィルターフォーム(4)を用いることにより、該フィルターフォーム(4)が荷重により押し潰されることを防止することができ、換気機能を有効に発揮し得る。
【0015】
また、上記高密度ウレタンフォーム(2)は反発弾性率が25%〜40%(好ましくは30%以上のもの)、上記低反発ウレタンフォームは反発弾性率が5%〜20%(好ましくは15%以下のもの)、上記フィルターフォームは反発弾性率が25%〜40%(好ましくは30%以上のもの)であることを特徴とする積層構造マットレスにより構成されるものである。
【0016】
上記フィルターフォーム(4)の反発弾性率を中層の低反発ウレタンフォーム(3)の反発弾性率より高く設定することにより、人体の過度の沈み込みを防止し得て換気機能を有効に発揮し得る。
【0017】
また、上記高密度ウレタンフォームは密度が25[kg/m3]〜60[kg/m3]、かつ硬さが8[kgf]〜26[kgf]であり、上記低反発ウレタンフォームは密度が55[kg/m3]〜70[kg/m3]、かつ硬さが1[kgf]〜12[kgf]であることが好ましい。
【0018】
このような比較的硬さの高い高密度ウレタンフォーム(2)によると、底付き感のない腰のあるマットレスを実現できる。また、このように高密度で硬さの低い低反発ウレタンフォーム(3)を中層に使用することで、フィルターフォーム(4)による換気機能を実現しながら体圧分散機能に優れたマットレスを実現できる。
【0019】
上記下層部分の高密度ウレタンフォームが最も厚く、中層部分の低反発ウレタンフォームが下層部分の約1/2の厚さであり、上層部分のフィルターフォームが中層部分の約1/3の厚さであることが好ましい。
【0020】
また、上記各層のウレタンフォームは、下層、中層、上層の各層の厚さの比率が、6:3:1であることが好ましい。
【0021】
このような比率に構成することで、クッション性、体圧分散機能、及び換気機能に優れたマットレスを実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る積層構造マットレス1の斜視図を示すものであり、下層マット2(下層部分)、中層マット3(中層部分)、上層部分のフィルターフォーム4により構成されており、各層は何れも発泡軟質ポリウレタンフォームにより構成された三層の積層構造をなしている。
【0024】
この積層構造マットレス1の素材として使用される発泡ポリウレタンは、ポリオールとイソシアネートの反応を主軸とし、発泡剤に水・メチレンクロライド等を用いたいわゆる軟質ポリウレタンフォームといわれるものであり、上記各原料、発泡剤、整泡剤等の組み合わせ、比率により各種の性質のものが存在する。例えば、軟質ウレタンフォームの密度と硬さを表すと図2に示すような各種のものが存在する。同図において、主に領域Aに示されるウレタンフォームは、密度[kg/m3]及び硬さ[kgf]が共に比較的低く柔らかいものであり、寝袋、家具(ソファー)等において汎用クッション材として広く用いられているものである。尚、比較のために、主にかかる領域Aに位置する軟質ウレタンフォームを以下、一般のウレタンフォームという。また、密度及び硬さの測定方法は後述する。
【0025】
この一般のウレタンフォームに対して、主に図2の領域Bに示すものは、一般のウレタンフォームより密度が高く、かつ硬さの高いものであり、いわゆる高密度ウレタンフォームといわれているものである。この領域に位置する高密度ウレタンフォームは、一般のウレタンフォームより硬さをアップしたものであり、クッション性が高くいわゆる腰のあるウレタンフォームを構成するものである。本発明の積層構造マットレス1ではかかる高密度ウレタンフォームを下層マット2として使用する。
【0026】
また、上記一般のウレタンフォームに対して、主に図2の領域Cに示すものは、密度が極めて高く、かつ硬さの低いものであり、いわゆる低反発ウレタンフォームといわれているものである。この低反発ウレタンフォームは、反発性が低く、いわゆるスローリカバリー性(遅い変形戻り性)を有するものである。このような低反発ウレタンフォームをクッション材として使用した場合、体圧が均等に分散されるため医療用のマットレスや、その他衝撃吸収材としても使用されているものである。本発明の積層構造マットレス1ではかかる低反発ウレタンフォームを中層マット3として使用する。尚、図2中の各領域A〜Cを示す領域線はかかる領域線外のものを一切含まないという趣旨ではなく、上記各特徴を有するウレタンフォームの特性範囲を便宜上示すものである。従って上記各領域外に位置するものであっても、上記各特性を有するものであれば採用しても差し支えない。
【0027】
また、上記各種の発泡ウレタンフォームは、その内部構造は複数の微細な気孔による密な網目構造をなすものであり、その気孔の直径は0.2mm〜0.5mm程度、或いは0.2mm以下の微細なものであり、通気性は密度にもよるが一般に低く、主にクッション材として使用されている。尚、かかるウレタンフォームの通気性は20〜120[l/min]のものがある。これに対して、気孔の直径が0.5mm乃至1mm〜10mm前後で全体として疎な網目構造を有する発泡ウレタンフォームも存在し、このようなウレタンフォームは通気性、通水性が高く、水や空気を難なく通過させることからエアコンフィルター、水処理用フィルター等の主にフィルター材として使用されている。このような気孔が大きく通気性の良好なウレタンフォームは(通気性は例えば80[l/min]以上)、フィルターフォームと呼ばれており、図3に示すような完全なオープンセル構造(連通気孔構造)の複数の気孔4’からなる疎な網目構造を有するものである。本発明の積層構造マットレス1では、上層のマットとしてかかるフィルターフォーム4を使用する。
【0028】
本発明に係る積層構造マットレス1の各層のウレタンフォームの特性をさらに詳述すると、上記下層マット2として使用する高密度ウレタンフォーム(2)は、反発弾性率が25%〜40%(好ましくは30%以上のもの)、密度が25[kg/m3]〜60[kg/m3]、硬さが8[kgf]〜26[kgf]のものを使用することが好ましく、一例として、密度30±2[kg/m3]、硬さ15±2[kgf]、伸び60%乃至60%以下、圧縮残留歪5%乃至5%以上、反発弾性率が30%の高密度フォーム2を使用する(図2中符号2で示す。例えば、イノアックコーポレーション製の軟質ウレタンフォームEMH)。この高密度ウレタンフォームは、通常のウレタンフォームより硬さ及び密度を高めたものであり、このような高密度ウレタンフォームを下層マット2として使用すると、底付き感をなくすことができ、硬さが高いので適度のクッション性が得られ、体重をしっかりサポートすることができる。尚、かかる高密度ウレタンフォームは気孔の直径が0.2〜1mm程度の密なセル構造を有するものである。
【0029】
上記中層マット3の低反発ウレタンフォームは、反発弾性率が5%〜20%(好ましくは15%以下のもの)、密度が55[kg/m3]〜70[kg/m3]、硬さが1[kgf]〜12[kgf]のものを使用することが好ましく、一例として密度60±5[kg/m3]、硬さ5±2[kg]、伸び100%乃至100%以下、圧縮残留歪10%乃至10%以上、反発弾性率8%の低反発ウレタンフォームを使用する(図2中符号3で示す。例えば、イノアックコーポレーション製の軟質ウレタンフォームEGR−4)。これは、一般のウレタンフォームより反発性の低いものであり、よく撓んで伸びが大きく高密度で通気性が低い特性を有するものである。このような低反発ウレタンフォームを中層マット3として使用すると、定荷重時のフォームの応力が荷重部分に分散され、極部的な圧力がかからず、体圧を効果的に分散することができる。尚、かかる高密度ウレタンフォームは気孔の直径が0.2〜1mm程度の密なセル構造を有するものである。
【0030】
上記上層のフィルターフォーム4は、気孔の直径が1mm〜10mm、反発圧弾性率が25%〜40%(好ましくは30%以上)、硬さが8[kgf]〜15[kgf]のものを使用することが好ましく、一例として密度が30±5[kg/m3]、伸びが100%乃至は100%以下、圧縮残留歪が8±2%、反発弾性率が30%、硬さが8.5[kgf]のものを使用する。このフィルターフォーム4の構造は図3に示すように、ポリウレタンフォームのセル膜を完全に除去した疎な三次元網目構造(オープンセル構造)するものであり、1つの気孔(セル)4’の大きさ(直径)は、2mm〜5mm程度で高い空孔率と通気性を有するものである(例えば、イノアックコーポレーション製のフィルターフォームMF−8)。このようなフィルターフォーム4を上層部分に使用すると、その上面に患者が横になった場合に、患者と中層マット3との間に所定間隔(例えば数mmの間隙t)の通気用のフィルター層t’を形成することができる(図5(b)参照)。尚、上記一例として示した各層のウレタンフォームの特性を、比較例としての一般のウレタンフォームの特性と共に表1に示す。尚、上記気孔の大きさは、略円形状の気孔であれば直径部分の長さであり、円形以外の気孔の場合は、最大径部分の長さである。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の試験方法は、密度[kg/m3]については、50×390×390mmの試験片を使用し、ノギス及び上皿天秤を用いて「密度[kg/m3]=(試料の重量/試料の体積)」の計算式より求めた。硬さ[kgf]は、50×390×390mmの試料を用い、硬さ試験機により4.9[N]荷重時を元厚とし、200[φ]の円板にて75%前圧縮をし、25%圧縮時20秒後の硬さを測定することにより求めた。反発弾性率[%]は、50×100×100mmの試験片を使用し、反発弾性試験機及び鋼球を用いて、「反発弾性率[%]=(反発距離[mm]/460[mm])×100」の計算式により求めた。圧縮残留歪[%]は、25×50×50mmの試験片を用い、試験条件=70±1[℃]、22[hrs]、50[%]圧縮した場合の「圧縮残留歪[%]={(L0−L1)/L0}×100」(L0:元の厚さ、L1:試験後の厚さ)の計算式により求めた。また、伸び[%]は厚さ10mm、長さ120mm、幅25mmの1号形試料を用い、ショッパー型引張試験機(引張速度500[mm/min])にて「伸び[%]={(Lb−L0)/L0}×100」(L0:標点間距離=40mm、Lb:切断時の標点間の長さ[mm])の計算式により求めた。これらの試験方法はJIS K6400に準拠するものである([kgf]×9.80665=[N])。尚、気孔の直径はスケールにて測定することにより求めた。
【0033】
上述のように、本発明の積層構造マットレス1は、上層部分(フィルターフォーム4)は反発弾性率が比較的高く、厚みを三層構造の内最も薄く形成し、中層マット3は反発弾性率を低く中程度の厚さとし、下層マット4は反発弾性率が高く、三層構造の内最も厚く構成する。このように、三層構造のマットレスの一層毎に各々特性の異なる発泡ウレタンフォームを使用するものである。
【0034】
図1に示すものは、本発明の積層構造マットレス1をベッド用のマットとして使用する場合を示すものであり、直方形状のマット形状をなし、その大きさは、例えば横910mm、縦1900mm、厚さ100mmの大きさを有する。各層の厚みは、例えば下層マット2が60mm、中層マット3が30mm、フィルターフォームが10mmとする。
【0035】
下層マット2の高密度ウレタンフォームは、底付き感をなくし十分なクッション性とサポート性を維持するため最も厚く形成し、中層マット3の低反発ウレタンフォームは、あまり薄くすると体圧分散機能を発揮し得ず、逆に厚くし過ぎると体の沈み込みが生じるので、これを防止するために下層マット2の約1/2の厚さとすることが好ましい。また、上層のフィルターフォーム4は、あまり薄くすると体圧により潰れて換気機能を発揮し得ず、逆に厚くすると中層マット3の体圧分散機能を損なうので中層マット3の約1/3の厚さとすることが好ましい。即ち、下層マット2、中層マット3、上層のフィルターフォーム4の厚さの比率は略6:3:1とすることが好ましい。
【0036】
本発明の積層マットレス1は、上記下層マット2の上面に上記中層マット3を接着し、該中層マット3の上面に上記フィルターフォーム4を接着することにより形成される。
【0037】
このように構成された積層構造マットレス1をベッドに使用する場合は、該マットレス1を例えばキナリ生地のシーツ5により包んでベッド上に載置する。当該マット1の上面に患者等が横になると、下層マット2の高密度ウレタンフォームは一般のウレタンフォームより密度及び硬さが高く、伸びが低いので、底着き感をなくし、患者の体を確実にサポートする機能を発揮する。また、中層マット3は一般のウレタンフォームより、密度が高く、低反発性に優れているので、局部的に高い体圧を分散し血行障害等を防止する機能を発揮する。さらに、上層のフィルターフォーム4は、完全なオープンセル構造を有するので、患者が寝た状態において中層マット3との間に常時通気用の間隙tが形成され、高い通気性を維持することができる。
【0038】
特に、上記フィルターフォーム4は網目構造を有しており各網目繊維自体が連結することにより比較的高い硬さ(例えば8.5[kgf])及び反発弾性率(例えば30%)を有しているので、上記中層マット3の低反発ウレタンフォーム上面に適度な表面硬度を付加することができる。このため図5(b)に示すように、上記積層構造マットレス1上に患者hを寝かせて、上層のフィルターフォーム4に対して患者hの体表面による面的な圧力Pが加わった場合(図5(b)のハッチング部参照)、上記フィルターフォーム4の上記表面硬度及びスプリング効果により、中層部分の低反発ウレタンフォーム(3)による人体の過度の沈み込みを防止することができる。
【0039】
また、上記フィルターフォーム4は上述のように、比較的高い硬さと反発弾性率を有するので、患者hの上記面的な圧力Pにより完全に潰れることはなく、患者hの体表面と中層マット3との間には常時所定間隔(例えば数mm)の間隙t(フィルター層t’)が形成される。このフィルターフォーム4は上述のように気孔4’の直径が大きく(例えば2mm〜5mm)、完全なオープンセル構造を有するから、患者の体表面下方の上記フィルターフォーム4内部から該フォーム4の側面4a方向、或いは上面4b方向への通気経路が常時形成され(図5(b)矢印a参照)、該マット1上に患者hが寝た状態においても上記フィルター層t’を介して通気性が確保される。
【0040】
これにより患者hの体温の蓄積を防止して熱を発散する効果(放熱効果)、同時に湿気を発散する効果(放湿効果)を発揮することができ、さらには体臭等をも同時に発散する放臭効果を得ることができる。また患者hがマットレス1上で寝返り、移動等を行うと、それに応じたマットレス1の変形により上記フィルターフォーム4内部から外部へ或いは外部から内部へのより多くの空気の流れ(矢印a参照)が生じ、これにより上記放熱効果、放湿効果、放臭効果がより効果的に発揮され、総合的な換気機能を実現することができる。
【0041】
また、上記中層マット3に低反発ウレタンフォームを用いているので、体表面の形状に合わせて該低反発ウレタンフォームの主に上層側が変形し(図6参照)、上記フィルターフォーム4はその反発弾性率が比較的高いので(例えば30%)、上記低反発ウレタンフォームの変形に合わせて上層のフィルターフォーム4も柔軟に変形し、これにより体表面の形状に沿った間隙t(フィルター層t’)が形成されるため、上記低反発ウレタンフォームの体圧分散機能を維持しつつ、通気性を確保することができるものである。
【0042】
以上のように、本発明の積層構造マットレス1によると、下層マット2(高密度ウレタンフォーム)により底付き感をなくすと共に体重をしっかりサポートし、最適のクッション性と耐久性を維持すると共に、中層マット3(低反発ウレタンフォーム)により優れた体圧分散機能を維持し、かつ該体圧分散機能を維持しながら上層のフィルターフォーム4により優れた通気性を実現し得るものであるから、上記積層構造マットレス1を、例えば寝たきりの患者等に使用することにより、血行障害等を起こさず褥瘡の発生を抑制することのできる理想的なマットレスを実現することができる。
【0043】
また、ベッドに限らず、オフィス用の椅子のクッション、ソファー用のクッション用等として使用することにより、体圧分散機能により疲労感がなく、座面近傍に生じる汗や熱を発散することができるため、長時間快適に座ることのできるマットレスを実現し得るものである。
【0044】
【実施例】
本発明の積層構造マットレス1上に人間を寝かせた場合の体圧分布の測定結果を図7に示す。図中(a)は一般のウレタンフォームの場合の体圧分布測定結果であり、図中(b)は本発明に係る積層構造マットレス1の体圧分布測定結果を示すものである。同図に示すように、本発明のマットレス1によると、局部的な体圧のかかるエリアが少なく、体圧が効果的に分散されていることがわかる。これは主に中層マット2として使用する低反発ウレタンフォームによるものであるが、このように体圧が分散された結果、上層のフィルターフォーム4が潰れることなく、その換気機能を効果的に発揮し得るものである。
【0045】
尚、本発明の積層構造マット1は、上記実施形態に示す大きさ、形状のものに限定されない。また、上記実施形態に示したようなベッド用のものにも限定されず、例えば椅子用、或いはソファー用として予め椅子或いはソファー等の座面内にクッションとして組み込むこともできるし、椅子やソファーの座面上に載置して使用するマット(クッション)としても使用することができ、その用途は限定されない。
【0046】
また、各層2,3,4の厚さも上記実施形態のものに限定されないが、実施形態に示すようなベッドに使用するものとしては、上層のフィルターフォーム4は、換気機能を発揮しつつ、中層3の低反発ウレタンフォームの機能を損なわない厚みとして5mm〜20mm、好ましくは8mm〜15mm、さらに好ましくは10mm程度のものが良い。また、中層2の低反発ウレタンフォームは、その機能を発揮する厚さとして15mm〜45mm、好ましくは20mm〜40mm、さらに好ましくは30mm程度のものが良い。また、下層マット2の高密度フォームは、適度なクッション性と耐久性の観点から40mm〜80mm、好ましくは50mm〜70mm、さらに好ましくは60mm程度のものが良い。
【0047】
これらの各寸法は、上述のようにベッドに使用する場合の寸法であり、ベッド以外の用途(例えば椅子用のマット等のようにより小さいもの)に使用する場合は、各層の機能を発揮し得る寸法であれは、上記各寸法以外の寸法を使用しても差し支えないし、マットレス自体の形状も限定されない。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、高密度ウレタンフォームによる適度のクッション性及び低反発ウレタンフォームによる体圧分散機能を維持しながら、フィルターフォームによる通気性の高い積層構造マットレスを実現することができ、例えば長時間の治療が必要な患者の使用するベッド用等として極めて優れたマットレスを提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層構造マットレスの斜視図である。
【図2】発泡軟質ウレタンフォームの密度及び硬さを示す特性図である。
【図3】フィルターフォームの気孔を示す図である。
【図4】同上マットレスの部分拡大斜視図である。
【図5】(a)(b)共に同上マットレスの一部側面図である。
【図6】同上マットレスの一部側面図である。
【図7】(a)は一般のウレタンフォーム(一層)の体圧分布測定結果、(b)は同上本発明に係る積層構造マットレスの体圧分布測定結果である。
【符号の説明】
1 積層構造マットレス
2 下層マット
3 中層マット
4 フィルターフォーム
h 患者
Claims (9)
- 発泡ウレタンフォームにより形成された積層構造マットレスであって、下層部分が高密度ウレタンフォーム、中層部分が低反発ウレタンフォーム、上層部分がオープンセル構造をもつフィルターフォームにより構成されていることを特徴とする積層構造マットレス。
- 上記フィルターフォームのオープンセル構造の気孔が上記中層部分及び下層部分のウレタンフォームの気孔よりも大であることを特徴とする請求項1記載の積層構造マットレス。
- 上記フィルターフォームは気孔が1mm〜10mmの網目構造を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層構造マットレス。
- 上記フィルターフォームはその硬さが上記低反発ウレタンフォームの硬さより高いものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の積層構造マットレス。
- 上記フィルターフォームの硬さが8[kgf]〜15[kgf]であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の積層構造マットレス。
- 上記高密度ウレタンフォームは反発弾性率が25%〜40%、上記低反発ウレタンフォームは反発弾性率が5%〜20%、上記フィルターフォームは反発弾性率が25%〜40%であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の積層構造マットレス。
- 上記高密度ウレタンフォームは密度が25[kg/m3]〜60[kg/m3]、かつ硬さが8[kgf]〜26[kgf]であり、上記低反発ウレタンフォームは密度が55[kg/m3]〜70[kg/m3]、かつ硬さが1[kgf]〜12[kgf]であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の積層構造マットレス。
- 上記下層部分の高密度ウレタンフォームが最も厚く、中層部分の低反発ウレタンフォームが下層部分の約1/2の厚さであり、上層部分のフィルターフォームが中層部分の約1/3の厚さであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層構造マットレス。
- 上記各層のウレタンフォームは、下層、中層、上層の各層の厚さの比率が、6:3:1であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の積層構造マットレス。
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JP2008189798A (ja) * | 2007-02-05 | 2008-08-21 | Iwaki Kasei Kk | 多孔樹脂成形体並びにその製造方法 |
KR101264620B1 (ko) * | 2012-10-22 | 2013-05-27 | 주식회사 유엠에스 | 폴리우레탄 필터 폼을 이용한 매트리스 및 그 제조 방법 |
KR101400937B1 (ko) | 2012-10-30 | 2014-05-28 | 주식회사 유엠에스 | 폴리우레탄 발포체 롱 블록을 이용한 폴리우레탄 필터폼의 제조 방법 |
US9615670B2 (en) | 2014-02-23 | 2017-04-11 | C-Eng Co., Ltd. | Core material for cushion, and cushion |
-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342144A patent/JP2004173828A/ja active Pending
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