JP2004173588A - 脱穀機 - Google Patents

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Abstract

【課題】扱室を開放する際に、扱室の上部カバーとオーガの接触を防止する。
【解決手段】茎稈から穀粒を脱穀する扱室12と、脱穀した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、該穀粒タンク4内の穀粒を搬出するオーガ5とを備えると共に、該オーガ5を、扱室12の上方に格納するコンバイン1であって、扱室12の上部を、上下動自在な上部カバー13によって開閉すると共に、該上部カバー13を、ガススプリングSによって上昇動作させるにあたり、ガススプリングSによる上部カバー13の上昇動作を、所定の半開位置で一旦規制すると共に、この上昇規制位置を、オーガ5よりも下方に設定する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバイン等に搭載される脱穀機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
扱室の清掃や点検を容易にするために、扱室の上部カバーを開閉自在に構成した脱穀機が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。一般に、この種の脱穀機では、扱室フレームと上部カバーとの間に、上部カバー上昇動作手段(ガススプリング、電動シリンダなど)を介設し、その付勢力又は駆動力で上部カバーを上昇動作させるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−238555号公報(第4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平9−298937号公報(第3−4頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、脱穀機のなかには、穀粒タンク内の穀粒を搬出するオーガを備えると共に、このオーガを扱室の上方に配置したものがある。このように構成された脱穀機では、上部カバーを上昇させたとき、上部カバーがオーガに接触する可能性がある。
【0005】
因みに、特許文献2に示される脱穀機は、上部カバーを半開位置及び全開位置で下降規制する下降防止ストッパを備えるが、この下降防止ストッパは、上部カバーの上昇動作を規制するものではなく、しかも、下降規制位置がオーガ位置とは無関係に設定されているため、特許文献1のものと同様、上昇動作時に上部カバーがオーガに接触する可能性がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、茎稈から穀粒を脱穀する扱室と、脱穀した穀粒を貯溜する穀粒タンクと、該穀粒タンク内の穀粒を搬出するオーガとを備えると共に、該オーガを、前記扱室の上方に配置した脱穀機において、前記扱室の上部を、上下動自在な上部カバーによって開閉すると共に、該上部カバーを、上部カバー上昇動作手段によって上昇動作させるにあたり、前記上部カバー上昇動作手段による上部カバーの上昇動作を、所定の半開位置で一旦規制する上部カバー上昇規制手段を設けると共に、該上部カバー上昇規制手段による上部カバーの上昇規制位置を、前記オーガよりも下方に設定したことを特徴とする。つまり、上部カバーを上昇動作させると、オーガの下方で上部カバーが一旦停止するため、上部カバーとオーガとの接触を防止することができる。
また、前記上部カバー上昇動作手段は、上部カバーを全開位置又はその近傍まで上昇動作させるガススプリングであり、前記上部カバー上昇規制手段は、上部カバーが所定の半開位置まで上昇したとき、その上昇動作を規制することを特徴とする。この場合においては、ガススプリングの付勢力で上昇する上部カバーがオーガに接触することを防止できる。
また、前記上部カバー上昇規制手段は、全開位置又はその近傍で上部カバーの下降を規制する上部カバー下降規制ストッパに設けられることを特徴とする。この場合においては、上部カバー上昇規制手段と上部カバー下降規制ストッパとを別々に構成する場合に比べ、構造の簡略化や部品点数の削減を図ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀し、かつ、穀粒を選別する脱穀部(脱穀機)3と、選別した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、該穀粒タンク4に貯溜された穀粒を機外に搬出するオーガ5と、脱穀済みの排稈を排出する後処理部6と、各種の操作具が配置される操作部7と、クローラ式の走行部8とを備えて構成される。
【0008】
オーガ5は、穀粒タンク4の後部に立設される旋回自在な縦パイプ9と、該縦パイプ9の上端部に昇降自在に連結される横パイプ10とを備えて構成される。縦パイプ9及び横パイプ10には、螺旋搬送体(図示せず)が組み込まれており、その回転駆動によって穀粒タンク4内の穀粒が横パイプ10の先端まで搬送される。
【0009】
横パイプ10は、旋回モータ(図示せず)の駆動に伴って縦パイプ9と共に旋回動作し、また、縦パイプ9との間に介設される昇降シリンダ(図示せず)の伸縮に伴って昇降動作する。これにより、横パイプ10を任意の位置に動かし、穀粒の排出作業を行うことが可能になる。一方、非排出作業時には、横パイプ10が所定の格納位置に格納される。この格納位置は、脱穀部3の上方位置に確保されており、ここに格納された横パイプ10は、所定の間隔を存して、脱穀部3の上面と略平行になる。
【0010】
脱穀部3は、扱胴11が回転自在に内装される扱室12を備えている。扱室12の上部には、扱室12の清掃や点検を行うための開口部が形成され、この開口部が上部カバー13によって開閉される構成となっている。上部カバー13は、扱室12の上方を覆うカバー本体13aと、該カバー本体13aの前端部及び後端部に設けられる側板13bとを備えて構成されており、カバー本体13aの右端部が、支軸14を介して、脱穀部フレーム15に上下回動自在に支持されている。また、本実施形態では、扱胴11が上部カバー13の側板13bによって支持されている。そのため、上部カバー13を開放操作すると、扱胴11も一緒に上昇し、扱室12を大きく開放させることが可能になる。
【0011】
上部カバー13と扱室フレーム16との間には、上部カバー13を上昇動作させる上部カバー上昇動作手段が設けられる。本実施形態の上部カバー上昇動作手段は、上部カバー13の下降(閉鎖)に伴って縮小されると共に、縮小時に蓄勢された蓄勢力(伸長方向の付勢力)で上部カバー13を上昇(開放)させるガススプリングSによって構成されている。本実施形態のガススプリングSは、上部カバー13(扱胴11を含む)の荷重と略バランスするように蓄勢力が設定され、上部カバー13の開閉操作荷重を軽減させるが、ガススプリングSの蓄勢力を、上部カバー13の荷重に勝るように設定し、上部カバー13を自動的に上昇させるようにしてもよい。また、上部カバー上昇動作手段には、油圧シリンダ、電動シリンダなどのアクチュエータを用いてもよく、この場合には、上部カバー13の開閉操作を自動的に行うことが可能になる。
【0012】
脱穀部3は、全閉位置で上部カバー13の上昇をロックする上部カバーロック機構(図示せず)と、全開位置又はその近傍で上部カバー13の下降を規制する上部カバー下降規制ストッパ機構(上部カバー下降規制ストッパ)17とを備える。上部カバーロック機構は、上部カバー13が全閉操作されたとき、上部カバー13を自動的に係止すると共に、この係止を、ロック解除レバー(図示せず)の操作に応じて解除するように構成されている。
【0013】
上部カバー下降規制ストッパ機構17は、ストッパピン18、ストッパアーム19、ストッパ解除レバー20などを備えて構成される。ストッパピン18は、上部カバー13の開閉と共に上下動するように、上部カバー13の回動支点近傍位置に突設される。ストッパアーム19は、脱穀部フレーム15における支軸14の近傍位置に、アーム支軸21を介して左右回動自在に設けられると共に、一側面が常にストッパピン18に接当するように、下端部がスプリング22で付勢されている。ストッパアーム19の一側面上端部には、下降規制用係止溝19aが形成されており、上部カバー13を全開位置まで上昇させると、ストッパピン18が下降規制用係止溝19aで係止され、上部カバー13の下降が規制される。
【0014】
ストッパ解除レバー20は、上部カバー13の先端部(左端部)に上下回動自在に設けられている。ストッパ解除レバー20の基端部には、第一連結ロッド23が連結され、更に、第一連結ロッド23には、ベルクランク24を介して第二連結ロッド25が連結されている。第二連結ロッド25の先端部には、係合ピン26が設けられ、この係合ピン26が、ストッパアーム19の係合孔19bに係合している。つまり、ストッパ解除レバー20を上方に操作すると、第二連結ロッド25の係合ピン26がストッパアーム19の上端部を右方向に押し、ストッパアーム19が右方向へ回動される。これにより、ストッパピン18がストッパアーム19の下降規制用係止溝19aから外れ、上部カバー13の下降が許容される。
【0015】
更に、脱穀部3は、上部カバー13の上昇動作を、所定の半開位置で一旦規制する上部カバー上昇規制手段を備えている。具体的には、ストッパアーム19における下降規制用係止溝19aの下方近傍位置に、上昇規制用係止溝19cを形成することにより、本実施形態の上部カバー上昇規制手段が構成される。この上昇規制用係止溝19cは、ストッパピン18の上昇方向への動きを規制し、下降方向への動きを許容するように形状が設定される。従って、ストッパアーム19は、特開平9−298937号公報に示されるストッパアームと形状が類似するものの、その作用は明らかに相違したものとなる。
【0016】
上昇規制用係止溝19cによる上部カバー13の上昇規制位置は、オーガ5(横パイプ10)よりも下方に設定されている。つまり、上部カバー13を上昇動作させると、ストッパピン18がストッパアーム19の上昇規制用係止溝19cに係止されることにより、上部カバー13がオーガ5の下方近傍位置で一旦停止することになる。これにより、オーガ5を格納した状態で上部カバー13を上昇操作しても、上部カバー13とオーガ5との接触を回避することが可能になる。また、オーガ5が非格納位置にあるときは、上部カバー13を上記半開位置まで一旦上昇させた後、ストッパ解除レバー20を操作することにより、上部カバー13の全開が許容される。
【0017】
叙述の如く構成されたものにおいて、茎稈から穀粒を脱穀する扱室12と、脱穀した穀粒を貯溜する穀粒タンク4と、該穀粒タンク4内の穀粒を搬出するオーガ5とを備えると共に、該オーガ5を、扱室12の上方に格納するコンバイン1であって、扱室12の上部を、上下動自在な上部カバー13によって開閉すると共に、該上部カバー13を、ガススプリングSによって上昇動作させるにあたり、ガススプリングSによる上部カバー13の上昇動作を、所定の半開位置で一旦規制すると共に、この上昇規制位置を、オーガ5よりも下方に設定したため、上部カバー13とオーガ5との接触を防止することができる。
【0018】
また、全開位置又はその近傍で上部カバー13の下降を規制する既存の上部カバー下降規制ストッパ機構17を備え、該上部カバー下降規制ストッパ機構17のストッパアーム19に上昇規制用係止溝19cを追加することにより、上部カバー13の上昇規制を行うため、構造の簡略化や部品点数の削減を図ることができる。
【0019】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、上部カバー上昇手段を油圧シリンダ、電動シリンダなどのアクチュエータで構成した脱穀機においても、本発明の実施が可能である。この場合には、アクチュエータ又は上部カバーの動作位置を検出する手段と、該手段の検出位置に基づいて、アクチュエータの上昇動作を停止させる手段とによって、上部カバー上昇規制手段が構成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの要部後面図である。
【図3】脱穀部の後面図である。
【図4】上部カバー下降規制ストッパ機構(上部カバー上昇規制手段を含む)の要部後面図である。
【符号の説明】
1 コンバイン
3 脱穀部
4 穀粒タンク
5 オーガ
9 縦パイプ
10 横パイプ
11 扱胴
12 扱室
13 上部カバー
14 支軸
17 上部カバー下降規制ストッパ機構
18 ストッパピン
19 ストッパアーム
19a 下降規制用係止溝
19c 上昇規制用係止溝
20 ストッパ解除レバー
S ガススプリング

Claims (3)

  1. 茎稈から穀粒を脱穀する扱室と、脱穀した穀粒を貯溜する穀粒タンクと、該穀粒タンク内の穀粒を搬出するオーガとを備えると共に、該オーガを、前記扱室の上方に配置した脱穀機において、前記扱室の上部を、上下動自在な上部カバーによって開閉すると共に、該上部カバーを、上部カバー上昇動作手段によって上昇動作させるにあたり、前記上部カバー上昇動作手段による上部カバーの上昇動作を、所定の半開位置で一旦規制する上部カバー上昇規制手段を設けると共に、該上部カバー上昇規制手段による上部カバーの上昇規制位置を、前記オーガよりも下方に設定したことを特徴とする脱穀機。
  2. 前記上部カバー上昇動作手段は、上部カバーを全開位置又はその近傍まで上昇動作させるガススプリングであり、前記上部カバー上昇規制手段は、上部カバーが所定の半開位置まで上昇したとき、その上昇動作を規制することを特徴とする請求項1記載の脱穀機。
  3. 前記上部カバー上昇規制手段は、全開位置又はその近傍で上部カバーの下降を規制する上部カバー下降規制ストッパに設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の脱穀機。
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