JP2004172431A - 磁気インピーダンス素子 - Google Patents

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康利 鈴木
Kenichi Ao
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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、熱処理を行っても磁性層の磁気特性の変化(感度の低下等)が生じにくい磁気インピーダンス素子を提供する。
【解決手段】本発明の磁気インピーダンス素子は、交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子である。この磁気インピーダンス素子は、磁性層26と、磁性層26を覆う電気的な絶縁性材料からなる保護層32を備えている。保護層32の内部応力が圧縮応力の場合は、その大きさが500MPa以下であることが好ましく、保護層32の内部応力が引張応力の場合は、その大きさが100MPa以下であることが好ましい。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気インピーダンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電流(典型的には1MHz以上の高周波電流)を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した磁気インピーダンス素子が知られている。
従来の磁気インピーダンス素子としては、磁性層がアモルファス合金によって形成されたものが一般に用いられている。アモルファス合金は、軟磁気特性を有し、比透磁率の高い磁性材料であり、外部磁界に応じた磁性層の透磁率変化を大きくすることができるためである。このような磁気インピーダンス素子は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−75835号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、磁性層をアモルファス合金で形成した磁気インピーダンス素子は、耐熱性が低く、約400℃以上の熱処理によって感度が大幅に低下してしまうという問題があった。アモルファス合金で形成した磁性層は、結晶化温度が約400℃以下と低いために、約400℃以上の熱処理によって結晶化が進み、高感度な磁気インピーダンス特性を得るために必要な軟磁気特性が大きく消失してしまうからである。
このため、磁性層をアモルファス合金で形成した磁気インピーダンス素子は、汎用の半導体プロセスを経て製造することが困難であった。汎用の半導体プロセスは、約400℃以上の熱処理工程を一般に含むからである。従って、磁性層をアモルファス合金で形成した磁気インピーダンス素子は、汎用の半導体プロセスによって、他の回路等(例えばセンサ出力信号を処理する回路等)とともに集積化して製造することが困難という問題があった。
【0005】
また、磁性層を酸化されやすい材料で形成した場合にも、熱処理によって磁性層が酸化され、磁気特性が劣化し、感度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、耐熱性に優れ、熱処理を行っても磁性層の磁気特性の変化(感度の低下等)が生じにくい磁気インピーダンス素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明を具現化した磁気インピーダンス素子は、交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子である。この磁気インピーダンス素子は、磁性層と、磁性層を覆う電気的な絶縁性材料からなる保護層を備えている。
【0008】
本発明の磁気インピーダンス素子では、磁性層を上記した保護層で覆う構造としているので、高温(約400℃以上)の熱処理によっても磁性層の磁気特性の変化(例えば感度の低下)が生じにくい。このため、耐熱性に優れた磁気インピーダンス素子を実現できる。
従って、本発明によると、約400℃以上の熱処理工程を含む汎用の半導体プロセスを経ても磁性層の磁気特性の変化(例えば感度の低下)を生じにくくすることができるので、汎用の半導体プロセスによって、他の回路等(例えばセンサ出力信号を処理する回路等)とともに集積化して小型化され、しかも高感度な磁気インピーダンス素子を実現できる。
【0009】
磁気インピーダンス素子では一般に、零磁歪の磁性層ないしは低磁歪の磁性層を用いることが多い。これは、磁性層に加わった歪みの影響による磁性層の磁気特性の変化(感度の低下や、検出精度の低下)を防止するためである。このような零磁歪の磁性層を用いた場合、磁性層に加わる歪みの影響を基本的には考慮しなくてもよいと考えられる。
しかし、上記した磁性層を絶縁性材料からなる保護層で覆う構造とした場合、零磁歪の磁性層ないしは低磁歪の磁性層を用いた場合でも、保護層の内部応力が磁性層の磁気特性に影響を与え、素子の感度を低下させることが本発明者らの研究で見出された。また、保護層の内部応力が圧縮応力の場合と引張応力の場合で磁性層の磁気特性に与える影響が異なることも見出された。
【0010】
本発明者らはこれらの知見に基づいて、保護層の内部応力が圧縮応力の場合は、その大きさが500MPa以下であることが好ましく、保護層の内部応力が引張応力の場合は、その大きさが100MPa以下であることが好ましいことを見出した。
これらの態様によると、保護層の内部応力によって磁性層の軟磁気特性が劣化することによる素子の感度の低下を十分に抑制できる。また、保護層の内部応力による保護層と磁性層の剥離等の発生を十分に抑制できる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の平面図を示す。図2に図1のII−II線断面図を示す。
図1と図2に示すように、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子は、基板22(図2参照)と、絶縁層24と、磁性層26と、2つの電極パッド部28a,28bと、保護層32を備えている。また、2つの電極パッド部28a,28bにはそれぞれ、周波数を自在に設定できる交流電流源30の一端と他端が接続されている。図1には、交流電流の通電方向に平行に外部磁界Hextが加わっている状態が示されている。
【0012】
図2に示す基板22の材料は、その上に絶縁層24や磁性層26等を形成可能な材料であれば何を使用してもよいが、例えば、シリコンウエハ、ガラス、金属等が挙げられる。基板22を導電性材料や半導体材料で形成したときは、本実施形態のように基板22と磁性層26の間に絶縁層24を形成し、基板22と磁性層26の間を電気的に絶縁することが好ましい。一方、例えば基板22をガラス等の絶縁性材料で形成したときは、絶縁層24を介さずに、基板22と磁性層26が直接に接するようにしてもよい。なお、基板22と磁性層26の間には、構造によっては絶縁層24以外の材料(導電性層等)が介在していてもよい。
絶縁層24は、基板22上に形成されている。絶縁層24は、絶縁性材料であれば何を使用してもよいが、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン等が挙げられる。
【0013】
磁性層26は、絶縁層24上に形成されている。磁性層26は、軟磁気特性を有する強磁性体で形成されている。磁性層26は、NiFe系合金膜(薄膜)によって形成することが好ましい。NiFe系合金膜は、実質的にNiとFeのみからなるNiFe合金であっても勿論よいし、例えばNiFeCo合金等であってもよい。磁性層26をNiFe系合金膜(薄膜)によって形成すると、良好な軟磁気特性が得られる。また、磁性層26は、線状又は薄膜状のアモルファス合金(CoNbZr合金、CoSiB合金等)等によって形成してもよい。なお、磁性層26の形状に特に限定はない。磁性層26の磁気特性値としては、保持力が10〔Oe〕以下で、比透磁率が500以上であることが好ましい。
【0014】
電極パッド部28a,28bは、絶縁層24上に形成されているとともに、それぞれ磁性層26の長手方向の一方の端部と他方の端部を覆うように形成されている。電極パッド部28a,28bの材料は、電極として機能し得る材料であれば何を使用してもよいが、例えばアルミニウム、銅や、これらの合金等が挙げられる。電極パッド部28a,28bの電気的特性値としては、比抵抗が10μΩ・cm以下であることが好ましい。
【0015】
保護層32は、磁性層22の表面を覆っている。また、保護層32は、絶縁層32の表面も覆っている。電極パッド部28a,28bは保護層32によって覆われておらず、露出した状態となっている。保護層32は、電気的絶縁性の非磁性体材料によって形成されている。保護層32は、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化シリコン、リン添加酸化シリコン、ボロン添加酸化シリコンの少なくともいずかによって形成されていることが好ましい。これらの材料は、酸化防止(磁性層26がNiやFe等の酸化され易い材料で形成されている場合)あるいは熱による結晶化防止(磁性層26がアモルファス合金で形成されている場合)という観点から、本発明の保護層として好適なものである。また、半導体プロセスにおいて一般的に形成されているものであるため、半導体プロセスにおける形成に適している。また、保護層32は、複数種の絶縁性材料の複合材料又は積層構造によって形成されていることがより好ましい。この態様によると、複数種の絶縁性材料を様々に組合せることで、保護層32の内部応力が小さい構造を実現し易い。
【0016】
保護層32の厚さL(図2参照)は0.2〜5μmであることが好ましい。この態様によると、保護層32によって磁性層26をより十分に保護できる。また、保護層32の内部応力による保護層32と磁性層26の剥離等の発生を十分に抑制できる。保護層32の厚さLは、0.5〜2μmであることがより好ましい。
保護層32の内部応力が圧縮応力の場合は、その大きさが500MPa以下であることが好ましい。保護層32の内部応力が引張応力の場合は、その大きさが100MPa以下であることが好ましい。これらの態様によると、保護層32の内部応力によって磁性層26の軟磁気特性が劣化することによる素子の感度の低下を十分に抑制できる。また、保護層32の内部応力による保護層32と磁性層26の剥離等の発生を十分に抑制できる。保護層32の内部応力である圧縮応力は、200MPa以下であることがより好ましい。保護層32の内部応力である引張応力は、50MPa以下であることがより好ましい。保護層32の電気特性値としては、絶縁抵抗値が10MΩ以上であることが好ましい。
【0017】
磁性層26が例えばアモルファス合金で形成されている場合は、高温(約400℃以上)による結晶化によって磁気特性が変化(感度が低下)してしまう。よって、磁性層26が例えばアモルファス合金のような温度そのものに影響を受ける材料で形成されている場合は、保護層32は、熱伝導率の低い材料(SiO、PSG、BSG、BPSG等)で形成されていることが好ましい。
【0018】
磁性層26が鉄やニッケルやコバルト等の酸化され易い材料を含んで形成されている場合、半導体プロセスにおける約400℃以上の熱処理を、真空中で行えば磁性層26の酸化は回避できるともいえる。しかし、真空中での熱処理を行うためには特別な設備が必要なため、コスト高になる等の問題が生じる。これに対し、上記のような保護層32を設けると、熱処理を酸素が存在する雰囲気中(例えば大気中)で行っても、その磁性層26の酸化を回避でき、真空中での熱処理を行うための特別な設備が不要になるという効果が得られる。真空中熱処理を行うための設備の設置等に要する負担に比べれば、保護層32を形成する工程を追加する負担は少ない。また、製造後においても磁性層26が酸化される可能性を非常に低くできる。
【0019】
次に、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法を説明する。
まず、図3に示すような基板22を用意する。次に、図4に示すように、基板22上に絶縁層24を形成する。基板22がシリコンの場合は、そのシリコン基板22の表面部を熱酸化法で酸化させることで、酸化シリコンからなる絶縁層24を形成できる。また、絶縁層(酸化シリコン、窒化シリコン等)24は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法等によって形成してもよく、形成方法に特に限定はない。
【0020】
次に、絶縁層24上に、軟磁気特性を有する強磁性体膜を形成する。強磁性体膜は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等によって形成すればよく、形成方法に特に限定はない。この強磁性体膜を、フォトエッチング法等によって所定の形状にパターニングして、図5や図1に示すような磁性層26を形成する。この場合、磁性層26の交流電流の通電方向(長手方向)又はこれに垂直な方向に、磁場中成膜法や磁場中熱処理法等によって一軸性の磁気異方性を付与して、磁化容易軸を形成することが好ましい。
【0021】
次に、絶縁層24と磁性層26上に、電極材料層を形成する。電極材料層は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等によって形成すればよく、形成方法に特に限定はない。この電極材料層をフォトエッチング法等によって所定の形状にパターニングして、図6や図1に示すように磁性層26の両端部を覆うような電極パッド部28a,28bを形成する。
次に、絶縁層24と磁性層26と電極パッド部28上に、絶縁性材料層を形成する。絶縁性材料層は、例えば、CVD法(プラズマCVD法等も含む)、スパッタリング法等によって形成すればよく、形成方法に特に限定はない。この絶縁性材料層をRIE(Reactive Ion Etching)法等によって所定の形状のパターニングして(電極パッド部28上の絶縁性材料層を除去する等して)、図2や図1に示すような保護層32を形成する。次に、電極パッド部28a,28bへのワイヤボンディングを行う。
以上の工程を経ることで、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子が製造される。
【0022】
【実施例】以下に示すような方法で、本発明の実施例の磁気インピーダンス素子(サンプル5:後述する表1参照)を製造した。
まず、図3に示すようなシリコン基板2を用意した。次に、図4に示すように、シリコン基板22上に、酸化シリコンからなる厚さ1μmの絶縁層24を熱酸化法によって形成した。
【0023】
次に、絶縁層24上に、厚さ2μmのNi81Fe19合金膜を磁場中スパッタリング法によって形成した。このNi81Fe19合金膜を、フォトエッチング法によってパターニングして、図5や図1に示すような磁性層26を形成した。具体的には、磁性層の長さが2mmで、幅が10μmとなるようにパターニングした。本実施例では、上記のように磁場中スパッタリング法によって磁性層(Ni81Fe19合金膜)26を形成し、磁性層26の交流電流の通電方向(長手方向)に一軸性の磁気異方性を付与して、磁化容易軸を形成した。
【0024】
次に、絶縁層24と磁性層26上に、厚さ1μmのアルミニウム層をスパッタリング法によって形成した。このアルミニウム層を、フォトエッチング法によってパターニングして、図6や図1に示すよう磁性層26の両端部を覆うような電極パッド部28a,28bを形成した。具体的には、各電極パッド部28a,28bの上面の面積が200μm×200μmとなるようにパターニングした。
次に、絶縁層24と磁性層26と電極パッド部28上に、厚さ1μmの窒化シリコン層をプラズマCVD法によって形成した。この窒化シリコン層をRIE法等によってパターニングして、電極パッド部28上の絶縁性材料層を除去する等して、図2や図1に示すような保護層32を形成した。次に、半導体プロセスを想定した450℃、30minの熱処理をAr雰囲気中において実施した。次に、電極パッド部28a,28bへのワイヤボンディングを行い、製造工程を終了した。
【0025】
(磁気インピーダンス素子の評価) 以上のようにして製造した磁気インピーダンス素子(サンプル5)の評価を、その素子に外部磁界を印加するためのコイルと、その素子の磁性層26の両端の高周波インピーダンスを検出するためのインピーダンスアナライザを使用して行った。外部磁界Hextは交流電源30による高周波電流の通電方向と平行な方向に加え、基板22上に設置されたガウスメータで校正した。インピーダンスZは高周波電流の周波数が100MHzにおける値を測定した。素子の磁気インピーダンス特性は、インピーダンス変化率ΔZ/Z0で評価した。Z0は外部磁界Hextが0〔Oe〕のときのインピーダンスである。ΔZは外部磁界Hextが100〔Oe〕のときのインピーダンスZと、外部磁界Hextが0〔Oe〕のときのインピーダンスZ0の差である。
上記の評価は、保護層32の効果を確認するために、450℃の熱処理の前後で行った。
【0026】
図7に、サンプル5の熱処理前の外部磁界に対するインピーダンス変化を示す磁気インピーダンス特性図を示す。サンプル5の場合、図7に示すように磁界の絶対値の増加に伴ってインピーダンスが減少する特性となっている。また、図7に示すように、感度に相当するインピーダンス変化率ΔZ/Z0は30%である。上記サンプル5を450℃で熱処理しても、図7と全く同じ磁気インピーダンス特性が測定された。このことは、NiFe合金膜からなる磁性層26が窒化シリコンからなる保護層32で覆われているため、熱処理を行っても磁性層26を形成するNiFe合金膜の酸化が生じず、磁気特性の変化が実質的に生じなかったことを示している。また、サンプル3では、保護層32に内部応力として−120MPaの圧縮応力が生じていたが(後述する表1参照)、その内部応力が磁性層26の磁気特性に実質的に影響を与えなかったことを示している。
【0027】
上記の評価は、以下のものについても行った。評価結果を表1に示す。
上記サンプル5と保護層32の材料が同じ(窒化シリコン)で、保護層32の厚さ及び/又は内部応力が異なっているもの(サンプル1〜4,6〜9)。
上記サンプル5と保護層32の材料が異なり(酸化シリコン)、保護層32の厚さ及び/又は内部応力が異なっているもの(サンプル10〜18)。
保護層32を設けていないもの(サンプル19)。
【0028】
【表1】
Figure 2004172431
【0029】
表1から、サンプル2〜9,11〜18は、熱処理前後で実質的に感度が低下(変化)していないのに対して、サンプル1,10,19は感度が大幅に低下する。これは、サンプル19は保護層32が設けられていないので、NiFe合金膜からなる磁性層26が450℃の熱処理により酸化され軟磁気特性が消失したことを示している。サンプル1,10は保護層32が設けられているが、その厚さが0.1μmと薄いため、NiFe合金膜からなる磁性層26の酸化を防ぎきれなかったものと考えられる。
【0030】
また、表1に示すサンプルのうち、保護層32の材料を窒化シリコンとし、その厚さを1μmとした場合(サンプル4〜6)のインピーダンス変化率を、450℃の熱処理前と熱処理後のものについてグラフ化したものを図8に示す。また、保護層32の材料を酸化シリコンとし、その厚さを1μmとした場合(サンプル13〜16)のインピーダンス変化率を、450℃の熱処理前と熱処理後のものについてグラフ化したものを図9に示す。
【0031】
図8と図9から、保護層32の内部応力(引張応力:応力値が正、圧縮応力:応力値が負)が大きくなるにつれて、インピーダンス変化率(感度)が低下していることがわかる。これは、保護層32の内部応力が大きくなると、その内部応力の影響によって磁性層26に応力が誘起され、この結果磁気特性が変化(保磁力が増大)し、磁性層26の比透磁率が低下し、感度が低下するためと考えられる。また、図8と図9から、保護層32に内部応力が引張応力の場合と、圧縮応力の場合で、応力の大きさが同じでもインピーダンス変化率が異なっていることがわかる。より具体的には、応力の大きさが同じ場合は、引張応力の方が圧縮応力に比べてインピーダンス変化率の低下が小さいことがわかる。
【0032】
図8と図9の場合、引張応力の大きさが100MPa以下であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、好ましい。引張応力の大きさが50MPa以下であると、インピーダンス変化率が約25%以上となり、より好ましい。
また、圧縮応力の大きさ(絶対値)が500MPa以下であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、好ましい。圧縮応力の大きさが200MPa以下であると、インピーダンス変化率が約25%以上となり、より好ましい。
【0033】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の平面図を示す。
【図2】図1のII−II線断面図を示す。
【図3】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(1)。
【図4】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(2)。
【図5】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(3)。
【図6】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(4)。
【図7】外部磁界に対するインピーダンス変化を示す磁気インピーダンス特性図を示す。
【図8】保護層を窒化シリコンで形成した場合の内部応力とインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【図9】保護層を酸化シリコンで形成した場合の内部応力とインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【符号の説明】
22:基板
24:絶縁層
26:磁性層
28:電極パッド部
30:交流電源
32:保護層

Claims (7)

  1. 交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子であって、
    磁性層と、磁性層を覆う電気的な絶縁性材料からなる保護層を備えたことを特徴とする磁気インピーダンス素子。
  2. 磁性層が、NiFe系合金膜によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気インピーダンス素子。
  3. 保護層の内部応力である圧縮応力が500MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気インピーダンス素子。
  4. 保護層の内部応力である引張応力が100MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気インピーダンス素子。
  5. 保護層の厚さが0.2〜5μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
  6. 保護層が、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化シリコン、リン添加酸化シリコン、ボロン添加酸化シリコンの少なくともいずかによって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
  7. 保護層が、複数種の絶縁性材料の複合材料又は積層構造によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
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