JP2004172430A - 磁気インピーダンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の磁気インピーダンス素子は、交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子である。この磁気インピーダンス素子は、磁性層26がNiFe合金膜によって形成されている。そのNiFe合金膜の組成がNi:65〜90重量%及びFe:10〜35重量%である。そして、磁性層26の交流電流の通電方向の長さ(L1)と幅(L2)の比をα(=L1/L2)、幅(L2)と厚さ(L3)の比をβ(=L2/L3)としたときに、α≧10かつ1≦β≦50であり、磁性層26の幅が5μm以上である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気インピーダンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電流(典型的には1MHz以上の高周波電流)を通電すると、外部応力に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した磁気インピーダンス素子が知られている。
従来の磁気インピーダンス素子としては、磁性層がアモルファス合金によって形成されたものが一般に用いられている。アモルファス合金は、軟磁気特性を有し、比透磁率の高い磁性材料であり、外部磁界に応じた磁性層の透磁率変化を大きくすることができるためである。このような磁気インピーダンス素子は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−75835号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、磁性層をアモルファス合金で形成した磁気インピーダンス素子は、耐熱性が低く、約400℃以上の熱処理によって感度が大幅に低下してしまうという問題があった。アモルファス合金で形成した磁性層は、結晶化温度が約400℃以下と低いために、約400℃以上の熱処理によって結晶化が進み、高感度な磁気インピーダンス特性を得るために必要な軟磁気特性が大きく消失してしまうからである。
このため、磁性層をアモルファス合金で形成した磁気インピーダンス素子は、汎用の半導体プロセスを経て製造することが困難であった。汎用の半導体プロセスは、約400℃以上の熱処理工程を一般に含むからである。従って、従来の磁気インピーダンス素子は、汎用の半導体プロセスによって、他の回路等(例えばセンサ出力信号を処理する回路等)とともに集積化して小型化されたものを製造することが困難という問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、耐熱性が高く、約400℃以上の熱処理によっても磁気特性の変化(感度の低下等)が生じにくい磁気インピーダンス素子を実現するための磁性層材料として、NiFe系合金膜に着目した。
しかしながら、本発明者らが磁性層をNiFe系合金膜で形成した磁気インピーダンス素子を製作してみると、なかなか思うような高い感度が得られなかった。しかし、本発明者らはさらなる研究を行い、磁性層の形状について種々の検討を行った。この結果、本発明者らは、磁性層をNiFe系合金膜で形成した磁気インピーダンス素子であっても、高感度なものを実現できることを見出したのである。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れ、さらには高感度な磁気インピーダンス素子を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明を具現化した磁気インピーダンス素子は、交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子である。この磁気インピーダンス素子は、磁性層がNiFe系合金膜によって形成され、磁性層の交流電流の通電方向の長さ(L1)と幅(L2)の比をα(=L1/L2)、幅(L2)と厚さ(L3)の比をβ(=L2/L3)としたときに、α≧10かつ1≦β≦50であり、磁性層の幅が5μm以上である。
【0008】
本発明の磁気インピーダンス素子は、磁性層がNiFe系合金膜によって形成されている。NiFe系合金膜は、キュリー温度が高く、多結晶材料である。よって、高温(約400℃以上)の熱処理によっても磁性層の磁気特性の変化(例えば感度の低下)が生じにくい。このため、耐熱性に優れた磁気インピーダンス素子を実現できる。
さらに、磁性層の長さ、幅、厚さが上記の条件を満たす場合、磁性層がNiFe系合金膜によって形成された磁気インピーダンス素子であっても、高感度化を実現できる。
従って、本発明によると、約400℃以上の熱処理工程を含む汎用の半導体プロセスを経ても磁性層の磁気特性の変化(例えば感度の低下)を生じにくくすることができるので、汎用の半導体プロセスによって、他の回路等(例えばセンサ出力信号を処理する回路等)とともに集積化して小型化され、しかも高感度な磁気インピーダンス素子を実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の平面図を示す。図2に図1のII−II線断面図を、図3に図1のIII−III線断面図を示す。
図1と図2に示すように、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子は、基板22(図2参照)と、絶縁層24と、磁性層26と、2つの電極パッド部28a,28bを備えている。2つの電極パッド部28a,28bにはそれぞれ、周波数を自在に設定できる交流電流源30の一端と他端が接続されている。図1には、交流電流の通電方向に平行に外部磁界Hextが加わっている状態が示されている。
【0010】
図2に示す基板22の材料は、その上に絶縁層24や磁性層26等を形成可能な材料であれば何を使用してもよいが、例えば、シリコンウエハ、ガラス、金属等が挙げられる。基板22を導電性材料や半導体材料で形成したときは、本実施形態のように基板22と磁性層26の間に絶縁層24を形成し、基板22と磁性層26の間を電気的に絶縁することが好ましい。一方、例えば基板22をガラス等の絶縁性材料で形成したときは、絶縁層24を介さずに、基板22と磁性層26が直接に接するようにしてもよい。なお、基板22と磁性層26の間には、構造によっては絶縁層24以外の材料(導電性層等)が介在していてもよい。基板22の表面粗さは、1μm以下であることが好ましい。この態様によると、基板22の表面の凹凸が小さいので、その基板22と直接に接し又は他の層(絶縁層24等)を介して隣合う磁性層26の軟磁気特性が得やすくなる。
絶縁層24は、基板22上に形成されている。絶縁層24は、絶縁性材料であれば何を使用してもよいが、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン等が挙げられる。
【0011】
磁性層26は、絶縁層24上に形成されている。磁性層26は、NiFe系合金膜(薄膜)によって形成されている。NiFe系合金膜は、実質的にNiとFeのみからなるNiFe合金であっても勿論よいし、例えばNiFeCo合金等であってもよい。
磁性層26を形成するNiFe系合金膜の組成は、Ni:65〜90重量%又はFe:15〜35重量%であることが好ましい。NiFe系合金膜が実質的にNiFeのみからなる場合は、Ni:65〜90重量%及びFe:15〜35重量%であることが好ましい。これらの態様によると、高感度化を実現し得る。
NiFe系合金膜の組成は、より好ましくは、Ni:77〜85重量%又はFe:15〜23重量%であることがよい。NiFe系合金膜が実質的にNiFeのみからなる場合は、Ni:77〜85重量%及びFe:15〜23重量%であることがよい。これらの態様によると、透磁率の温度依存性を小さくすることができる。このため、高感度で、しかも温度特性に優れた磁気インピーダンス素子を実現できる。
【0012】
図1のIII−III断面図である図3に示すように、磁性層26の交流電流の通電方向に垂直な断面が四角形状であり、その断面の頂辺26aと側辺26bのなす角度θは60度以上120度以下であることが好ましい。この態様によると、くさび状の磁区構造の発生を抑制でき、磁気インピーダンス特性にヒステリシスが生じることを抑制できる。特に、角度θは85度以上95度以下であることがより好ましい。磁性層26を形成するNiFe系合金膜の結晶粒径は、1nm〜1μmであることが好ましい。結晶粒径が1nmよりも小さいと、熱処理時に結晶粒径が増大して軟磁気特性が変化し易いからである。結晶粒径が1μmよりも大きいと、軟磁気特性を得にくくなるからである。磁性層26には、交流電源30による交流電流の通電方向とほぼ平行な方向又はほぼ垂直な方向に磁化容易軸が形成されていることが好ましい。この態様によると、外部磁界の検出感度を向上させることができる。磁性層26の磁気特性値としては、保持力が10〔Oe〕以下で、比透磁率が500以上であることが好ましい。
【0013】
本実施形態では、磁性層26の交流電流の通電方向の長さL1(図2参照)と幅L2(図1参照)の比L1/L2をα、幅L2と厚さL3(図2参照)の比L2/L3をβとしたときに、α≧10かつ1≦β≦50であり、磁性層26の幅L3が5μm以上となるように磁性層26の形状が構成されている。磁性層26の形状が上記の条件を満たす場合、高感度な磁気インピーダンス素子を実現できる。これは、磁性層26の形状が上記の条件を満たす場合、磁性層26の磁区構造を精度良く制御でき、外部磁界に応じた磁性層26の透磁率変化を大きくすることができるためと考えられる。
上記αは、α≧50であるとより高感度化を実現でき、α≧100であるとよりさらに高感度化を実現できる。上記βは、1≦β≦30であるとより高感度化を実現でき、1≦β≦5であるとよりさらに高感度化を実現できる。
【0014】
電極パッド部28a,28bは、絶縁層24上に形成されているとともに、それぞれ磁性層26の長手方向の一方の端部と他方の端部を覆うように形成されている。電極パッド部28a,28bの材料は、電極として機能し得る材料であれば何を使用してもよいが、例えばアルミニウム、銅や、これらの合金等が挙げられる。電極パッド部28a,28bの電気的特性値としては、比抵抗が10μΩ・cm以下であることが好ましい。
【0015】
次に、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法を説明する。
まず、図4に示すような基板22を用意する。次に、図5に示すように、基板22上に絶縁層24を形成する。基板22がシリコンの場合は、そのシリコン基板22の表面部を熱酸化法で酸化させることで、酸化シリコンからなる絶縁層24を形成できる。また、絶縁層(酸化シリコン、窒化シリコン等)24は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法等によって形成してもよく、形成方法に特に限定はない。
【0016】
次に、絶縁層24上に、NiFe系合金膜を形成する。NiFe系合金膜は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等によって形成すればよく、形成方法に特に限定はない。このNiFe系合金膜を、フォトエッチング法等によって所定の形状にパターニングして、図6や図1に示すような磁性層26を形成する。この場合、磁性層26の交流電流の通電方向(長手方向)又はこれに垂直な方向に、例えば磁場中成膜法や磁場中熱処理法等によって一軸性の磁気異方性を付与して、磁化容易軸を形成することが好ましい。
【0017】
次に、絶縁層24上と磁性層26上に、電極材料層を形成する。電極材料層は、例えば、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等によって形成すればよく、形成方法に特に限定はない。この電極材料層をフォトエッチング法等によって所定の形状にパターニングして、図2や図1に示すように磁性層26の両端部を覆うような電極パッド部28a,28bを形成する。次に、電極パッド部28a,28bへのワイヤボンディングを行う。
以上の工程を経ることで、本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子が製造される。
【0018】
【実施例】以下に示すような方法で、本発明の実施例の磁気インピーダンス素子(サンプル1−1:後述する表1参照)を製造した。
まず、図4に示すようなシリコン基板2を用意した。次に、図5に示すように、シリコン基板22上に、酸化シリコンからなる厚さ1μmの絶縁層24を熱酸化法によって形成した。
【0019】
次に、絶縁層24上に、厚さ2μmのNi81Fe19合金膜を磁場中スパッタリング法によって形成した。このNi81Fe19合金膜を、フォトエッチング法によってパターニングして、図6や図1に示すような磁性層26を形成した。具体的には、磁性層の長さが2mmで、幅が10μmとなるようにパターニングした。本実施例では、上記のように磁場中スパッタリング法によって磁性層(Ni81Fe19合金膜)26を形成し、磁性層26の交流電流の通電方向(長手方向)に一軸性の磁気異方性を付与して、磁化容易軸を形成した。
【0020】
次に、絶縁層24と磁性層26上に、厚さ1μmのアルミニウム層をスパッタリング法によって形成した。このアルミニウム層を、フォトエッチング法によってパターニングして、図1や図2に示すように磁性層26の両端部を覆うような電極パッド部28a,28bを形成した。具体的には、各電極パッド部28a,28bの上面の面積が200μm×200μmとなるようにパターニングした。次に、半導体プロセスを想定した400℃、30minの真空熱処理を実施した。次に、電極パッド部28a,28bへのワイヤボンディングを行い、製造工程を終了した。
【0021】
(磁気インピーダンス素子の評価) 以上のようにして製造した磁気インピーダンス素子(サンプル1−1)の評価を、その素子に外部磁界を印加するためのコイルと、その素子の磁性層26の両端の高周波インピーダンスを検出するためのインピーダンスアナライザを使用して行った。外部磁界Hextは交流電源30による高周波電流の通電方向と平行な方向に加え、基板22上に設置されたガウスメータで校正した。インピーダンスZは高周波電流の周波数が100MHzにおける値を測定した。素子の磁気インピーダンス特性は、インピーダンス変化率ΔZ/Z0で評価した。Z0は外部磁界Hextが0〔Oe〕のときのインピーダンスである。ΔZは外部磁界Hextが100〔Oe〕のときのインピーダンスZと、外部磁界Hextが0〔Oe〕のときのインピーダンスZ0の差である。
また、素子の温度特性の測定は、−40℃〜85℃の恒温槽での磁気インピーダンス特性の測定することで行い、外部磁界Hextが0〔Oe〕のときのインピーダンス値の温度依存性である零点温度係数と、インピーダンス変化率の温度依存性である感度温度係数を算出した。
【0022】
図7に、サンプル1−1の外部磁界に対するインピーダンス変化を示す磁気インピーダンス特性図を示す。サンプル1−1の場合、図7に示すように磁界の絶対値の増加に伴ってインピーダンスが減少する特性となっている。また、図7に示すように、感度に相当するインピーダンス変化率ΔZ/Z0は30%である。
図8に、サンプル1−1の温度Tに対する零点インピーダンスのドリフト量ΔZ/Zを表す零点温度特性図を示す。図8の傾きから、零点温度係数は723ppm/℃である。図9に、サンプル1−1の温度Tに対する感度変化Δ(ΔZ/Z)/(ΔZ/Z)を表す感度温度特性図を示す。図9の傾きから、感度温度係数は−443ppm/℃である。
【0023】
これらの温度係数の値として、一般的には、絶対値で約1000ppm/℃以下であることが要求される。よって、これらの温度係数の値は約1000ppm/℃以下であることが好ましい。NiFe合金膜では、その組成がNi:77〜85重量%及びFe:15〜23重量%の場合、この要求をほぼ満たすことができるので、好ましい。
【0024】
これらの評価を、表1に示すように、サンプル1−1と磁性層26の厚さを異ならせたサンプル1−2と、サンプル1−1と同一構造を有し、NiとFeの組成を変えたサンプル1−3〜1−6、及びサンプル1−1と同一構造を有し、磁性層の材料を変えて、アモルファス合金としたサンプル1−7,1−8についても、サンプル1−1と同様の評価手法で行った。
【0025】
【表1】
【0026】
表1から、サンプル1−1〜1−4は、インピーダンス変化率が20%以上の高い感度と、温度係数(零点温度係数及び感度温度係数)±1000ppm/℃以下の低い温度係数を示すことがわかる。一方、サンプル1−5,1−6は、インピーダンス変化率(感度)はサンプル1−1〜1−4とあまり変わらないものの、温度係数がサンプル1−1〜1−4よりも高い。これは、サンプル1−1〜1−4が磁性層26の比透磁率の温度依存性が小さい組成領域のNiFe合金膜を使用しているのに対し、サンプル1−5,1−6では、比透磁率の温度依存性が大きい組成領域のNiFe合金膜を使用したからである。
また、サンプル1−7,1−8は、サンプル1−1〜1−6よりも感度が大幅に低い。これは、磁性層26をアモルファス合金で形成したサンプル1−7,1−8では、先に述べた半導体プロセスを想定した400℃の熱処理により磁性層26が結晶化してしまい、外部磁界に対する透磁率変化が発現する軟磁気特性がほとんど消失したためである。
【0027】
(磁性層の長さを変化させた場合) 表2に、磁性層26の材料(NiFe系合金膜)、組成(Ni81Fe19)、厚さ(2μm)、幅(10μm)を一定として、長さを変化させた場合のインピーダンス変化率を示す。これをグラフ化したものを図10に示す。また、表2には、α(=長さL1/幅L2)と、β(=幅L2/厚さL3)の値も示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2と図10に示すように、磁性層26の長さL1が長いほど、インピーダンス変化率が大きくなっていることがわかる。この構成では、β=5である。この構成では、L1≧100μm(α≧10)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。L1≧500μm(α≧50)であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。L1≧2000μm(α≧200)であると、インピーダンス変化率が約30%以上となり、よりさらに好ましい。
【0030】
(磁性層の幅を変化させた場合) 表3に、磁性層26の材料(NiFe系合金膜)、組成(Ni81Fe19)、厚さ(2μm)、長さ(2000μm)を一定として、幅を変化させた場合のインピーダンス変化率に示す。これをグラフ化したものを図11に示す。また、表3には、α(=長さL1/幅L2)と、β(=幅L2/厚さL3)の値も示す。
【0031】
【表3】
【0032】
表3と図11に示すように、磁性層26の幅L2が約10μm以上では、磁性層26の幅が広いほど、インピーダンス変化率が小さくなっていることがわかる。磁性層26の幅L2が約10μmより小さい範囲では、幅が狭くなるにつれて急激にインピーダンス変化率が小さくなっていることがわかる。
この構成では、5μm≦L2≦100μm(20≦α≦400で、1≦β≦50)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。6μm≦L2≦60μm(33.3≦α≦333.3で、1.2≦β≦30)であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。8μm≦L2≦12μm(166.7≦α≦250で、1.6≦β≦2.4)であると、インピーダンス変化率が約30%以上であり、よりさらに好ましい。
【0033】
(磁性層の厚さを変化させた場合) 表4に、磁性層26の材料(NiFe合金膜)、組成(Ni81Fe19)、幅(10μm)、長さ(2000μm)を一定として、厚さを変化させた場合のインピーダンス変化率を示す。これをグラフ化したものを図12に示す。また、表4には、α(=長さL1/幅L2)と、β(=幅L2/厚さL3)の値も示す。
【0034】
【表4】
【0035】
表4と図12に示すように、磁性層26の厚さL3が厚いほど、インピーダンス変化率が大きくなっていることがわかる。この構成では、α=200である。この構成では、L3≧0.3μm(β≦33)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。L3≧0.7μm(β≦14)であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。L3≧2μm(β≦5)であると、インピーダンス変化率が約30%以上となり、よりさらに好ましい。但し、磁性層26の厚さL3は、製造技術上の限界から実際上は上限が存在する。
【0036】
表2〜4と図10〜12を参照して、磁性層26の長さL1、幅L2、厚さL3の好ましい態様を例示すると、以下の通りである。なお、以下の態様に限らず、α(=L1/L2)≧10かつ1≦β(=L2/L3)≦50であれば、磁性層26の長さ、幅、厚さは種々の値に設定できることは勿論である。
特にサンプル2−2,2−3を参照すると、L1≧200μmで、7μm≦L2≦20μmで、L3≧2μm(10≦α≦28.6で、3.5≦β≦10)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。特にサンプル3−1,3−5を参照すると、L1≧2000μmで、5μm≦L2≦50μmで、L3≧2μm(40≦α≦400で、2.5≦β≦25)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。特にサンプル4−1,4−2を参照すると、L1≧2000μmで、7μm≦L2≦15μmで、L3≧0.3μm(133.3≦α≦285.7で、23.3≦β≦50)であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。
【0037】
特にサンプル2−3,2−4,3−4を参照すると、L1≧1000μmで、7μm≦L2≦50μm(より好ましくは7μm≦L2≦20μm)で、L3≧2μm(20≦α≦142.9で、3.5≦β≦10)であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。特にサンプル4−3を参照すると、L1≧2000μmで、7μm≦L2≦20μmで、L3≧0.5μm(100≦α≦285.7で、14≦β≦40)であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。
【0038】
特にサンプル2−5,3−2,4−5を参照すると、L1≧2000μmで、7μm≦L2≦20μmで、L3≧2μm(100≦α≦285.7で、23.3.5≦β≦10)であると、インピーダンス変化率が約30%以上となり、よりさらに好ましい。
【0039】
(磁性層の結晶粒径を変化させた場合) 表5に、磁性層26の材料(NiFe合金膜)、組成(Ni81Fe19)、長さ(2000μm)、幅(10μm)、厚さ(2μm)、基板22の表面粗さ(2nm)を一定として、磁性層26の結晶粒径を変化させた場合のインピーダンス変化率を示す。これをグラフ化したものを図13に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
表5と図13に示すように、磁性層26の結晶粒径が小さいほど、インピーダンス変化率が大きくなっていることがわかる。この構成では、磁性層26の結晶粒径が1100nm以下であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。磁性層26の結晶粒径が350nm以下であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。磁性層26の結晶粒径が10nm以下であると、インピーダンス変化率が約30%以上となり、よりさらに好ましい。
【0042】
(基板の表面粗さを変化させた場合) 表6に、磁性層26の材料(NiFe系合金膜)、組成(Ni81Fe19)、長さ(2000μm)、幅(10μm)、厚さ(2μm)、磁性層26の結晶粒径(10nm)を一定として、基板22の表面粗さを変化させた場合のインピーダンス変化率を示す。これをグラフ化したものを図14に示す。
【0043】
【表6】
【0044】
表6と図14に示すように、基板22の表面粗さが小さいほど、インピーダンス変化率が大きくなっていることがわかる。この構成では、基板22の表面粗さが1300nm以下であると、インピーダンス変化率が約10%以上となり、好ましい。基板22の表面粗さが400nm以下であると、インピーダンス変化率が約20%以上となり、より好ましい。基板22の表面粗さが50nm以下であると、インピーダンス変化率が約30%以上となり、よりさらに好ましい。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の平面図を示す。
【図2】図1ののII−II線断面図を示す。
【図3】図2のIII−III線断面図を示す。
【図4】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(1)。
【図5】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(2)。
【図6】本発明の実施形態の磁気インピーダンス素子の製造方法の説明図を示す(3)。
【図7】外部磁界に対するインピーダンス変化を示す磁気インピーダンス特性図を示す。
【図8】温度に対する零点インピーダンスのドリフト量を表す零点温度特性図を示す。
【図9】温度に対する感度変化を表す感度温度特性図を示す。
【図10】磁性層の長さとインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【図11】磁性層の幅とインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【図12】磁性層の厚さとインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【図13】磁性層の結晶粒径とインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【図14】基板の表面粗さとインピーダンス変化率の関係のグラフを示す。
【符号の説明】
22:基板
24:絶縁層
26:磁性層
28:電極パッド部
30:交流電源
Claims (6)
- 交流電流を通電すると、外部磁界に応じてインピーダンスが変化する磁気インピーダンス効果を利用した素子であって、
磁性層がNiFe系合金膜によって形成され、
磁性層の交流電流の通電方向の長さ(L1)と幅(L2)の比をα(=L1/L2)、幅(L2)と厚さ(L3)の比をβ(=L2/L3)としたときに、α≧10かつ1≦β≦50であり、磁性層の幅が5μm以上であることを特徴とする磁気インピーダンス素子。 - 磁性層を形成するNiFe系合金膜の組成がNi:65〜90重量%及び/又はFe:10〜35重量%であることを特徴とする請求項1に記載の磁気インピーダンス素子。
- 磁性層の交流電流の通電方向に垂直な断面が四角形状であり、その断面の頂辺と側辺のなす角度が60度以上120度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気インピーダンス素子。
- 磁性層を形成するNiFe系合金膜の結晶粒径が1nm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
- 磁性層と直接に接し又は他の層を介して隣合う基板を備え、
基板の表面粗さが1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。 - 磁性層には、交流電流の通電方向とほぼ平行な方向又はほぼ垂直な方向に磁化容易軸が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
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