JP2004172319A - ワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置、液滴吐出装置、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量かつ高剛性であるとともに、製造が容易なワーク搬送テーブル、前記ワーク搬送テーブルを備えるワーク搬送装置、前記ワーク搬送装置を備える液滴吐出装置、前記液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、前記液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、前記電気光学装置を備える電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の基板搬送テーブル3は、基台36と、基台36上に設置された複数のブロック33および複数のボールリフト装置34とを備える。基台36は、第1の板31と、第1の板31の下面側に重ねて接合された第2の板32とで構成されている。第1の板31は、炭素鋼等の鉄系合金で構成されており、第2の板32は、金属−セラミックス複合材料で構成されている。第2の板32は、第1の板31より厚さが厚く、基板搬送テーブル3の剛性を確保する機能を有する。
【選択図】図11
【解決手段】本発明の基板搬送テーブル3は、基台36と、基台36上に設置された複数のブロック33および複数のボールリフト装置34とを備える。基台36は、第1の板31と、第1の板31の下面側に重ねて接合された第2の板32とで構成されている。第1の板31は、炭素鋼等の鉄系合金で構成されており、第2の板32は、金属−セラミックス複合材料で構成されている。第2の板32は、第1の板31より厚さが厚く、基板搬送テーブル3の剛性を確保する機能を有する。
【選択図】図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置、液滴吐出装置、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置等に用いられる基板や、半導体ウェーハ等の各種の基板は、用いられる装置の大型化や、基板の生産効率の向上を目的として、従来より大型化している。これに伴って、基板のようなワークの製造(処理)装置で用いられるワーク搬送テーブル(基板搬送テーブル)も従来より大型化が必要になっている。
【0003】
ワーク搬送テーブルを大型化すると、重量が増大する結果、ワーク搬送テーブルが自重によって撓む(変形する)ので、ワークを載置する載置面に高い平面度を確保するのが困難になる、という問題がある。また、ワーク搬送テーブルの重量増大により、ワーク搬送テーブルを移動させる移動機構の負担が重くなり、高速にワーク搬送テーブルを移動させるのが困難になる、という問題もある。載置面の平面度を確保するためにワーク搬送テーブルの厚さを厚くして剛性を高くしようとすると、ワーク搬送テーブルの重量がさらに増大するので、テーブル移動機構の負担はさらに重くなる。
【0004】
このような問題を解決する方法として、特許文献1には、ワーク搬送テーブル(特許文献1では、半導体ウエハ用保持具)を軽量かつ高剛性なセラミックスで構成することが提案されている。
【0005】
しかしながら、セラミックスは、加工性が悪いため、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブル(例えば、ワークを吸着する吸引孔を有するものや、他の部品を固定するための孔を有するものなど)を製造するのが非常に困難であるので、製造コストが増大したり、製造に長期間を要したり、形状によっては実際上製造不可能であったりするという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−172084号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量かつ高剛性であるとともに、製造が容易なワーク搬送テーブル、前記ワーク搬送テーブルを備えるワーク搬送装置、前記ワーク搬送装置を備える液滴吐出装置、前記液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、前記液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、前記電気光学装置を備える電子機器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のワーク搬送テーブルは、ワークを支持するワーク搬送テーブルであって、
第1の板と、該第1の板の下側に重ねて設置された第2の板とを有する基台を備え、
前記第1の板と前記第2の板とは、物理的特性が互いに異なる材料で構成されていることを特徴とする。
これにより、異種の2つの構成材料の利点を併有することにより、軽量かつ高剛性であるとともに、製造が容易なワーク搬送テーブルを提供することができる。
【0009】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の構成材料は、前記第2の板の構成材料より、機械加工が容易なものであることが好ましい。
これにより、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブルであっても、より容易に製造することができる。
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の構成材料は、前記第1の板の構成材料より、密度が小さいものであることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルのさらなる軽量化が図れる。
【0010】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の平均厚さは、前記第1の板の平均厚さより大きいことが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の平均厚さをT1、前記第2の板の平均厚さをT2としたとき、1≦T2/T1≦10なる関係を満足することが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
【0011】
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の構成材料のヤング率をE1、前記第2の板の構成材料のヤング率をE2としたとき、E2/E1≧0.4なる関係を満足することが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の構成材料は、鉄系合金であることが好ましい。
これにより、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブルであっても、より容易に製造することができる。
【0012】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の構成材料は、金属−セラミックス複合材料であることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの軽量化および高剛性化をより高いレベルで実現することができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の少なくとも上面に、レイデント処理が施されていることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの耐食性を向上することができるとともに、ワークのアライメントマークのカメラによる認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
【0013】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の上面の色は、黒色であることが好ましい。
これにより、ワークのアライメントマークのカメラによる認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記ワークを負圧により吸着するための複数の吸引口をさらに備え、
前記第1の板および/または前記第2の板の接合面側に溝を形成することにより、前記各吸引口への吸引流路が前記基台の内部に形成されていることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルにワークを吸着して固定することができるとともに、吸引口への吸引配管を省略または削減することができ、構造の簡素化が図れる。
【0014】
本発明のワーク搬送テーブルは、前記基台上に互いに間隔を空けて配設され、それらの上面が、ワークが載置される載置面を構成する複数のブロックをさらに備えることが好ましい。
これにより、ワークと基台との間に形成される隙間を利用して、ワークの給材・除材を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。
【0015】
本発明のワーク搬送装置は、本発明のワーク搬送テーブルと、
装置本体と、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し少なくとも水平な一方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
これにより、ワーク搬送テーブルが軽量かつ高剛性であるとともに、ワーク搬送テーブルの製造が容易であり、また、ワーク搬送テーブルを移動させる移動機構の負担を軽減することができるワーク搬送装置を提供することができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置は、本発明のワーク搬送装置と、
前記ワーク搬送テーブルに載置されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとを備えることを特徴とする。
これにより、ワーク搬送テーブルによってワークを高い平面度を保って支持した状態で処理を行うことにより、精度の高いパターンの形成(描画)ができ、また、搬送テーブルを移動させる移動機構の負担を軽減することができる液滴吐出装置を提供することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置は、前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することにより、前記ワークに所定のパターンを形成することが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
本発明の電気光学装置は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、パターンの形成(描画)が高い精度で行われたワークを備える高性能の電気光学装置を提供することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。
これにより、ワークに対するパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができ、高性能の電気光学装置を製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、パターンの形成(描画)が高い精度で行われたワークを備える高性能の電子機器を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明のワーク搬送テーブルおよびワーク搬送装置を適用した基板搬送テーブルおよび基板搬送装置を備えた液滴吐出装置の実施形態を示す平面図および側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1および図2中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言う。また、Y軸方向については、図1および図2中の右方向を「前方」、図1および図2中の左方向を「後方」と言い、X軸方向については、図1中の下方向を「前方」、図1中の上方向を「後方」と言う。また、Y軸方向であって図1および図2中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1および図2中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言う。
【0020】
これらの図に示す液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1は、ワークとしての基板Wに対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板Wの素材は、特に限定されず、板状の部材(ワーク)であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0021】
また、本発明で対象とするワークは、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型のワーク(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0022】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワーク搬送テーブル(ワーク搬送ステージ)としての基板搬送テーブル(基板搬送ステージ)3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板Wにガスを吹き付けるブロー装置14と、基板搬送テーブル3の移動距離を測定するレーザー測長器15と、制御装置16と、ドット抜け検出ユニット19とを備えている。
【0023】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料。
【0024】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21と、架台21上に設置された石定盤22とを有している。石定盤22の上には、基板搬送テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板搬送テーブル3は、リニアモータ101の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板Wは、基板搬送テーブル3上に載置される。
【0025】
液滴吐出装置1では、基板搬送テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板Wから、基板搬送テーブル3より小さい比較的小型の基板Wまで、様々な大きさおよび形状の基板Wを対象にすることができる。基板Wは、原則としては基板搬送テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板Wの場合には、基板搬送テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0026】
図1に示すように、基板搬送テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板Wに対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0027】
基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離は、移動距離検出手段としてのレーザー測長器15により測定される。レーザー測長器15は、装置本体2に設置されたレーザー測長器センサヘッド151、プリズム152およびレーザー測長器本体153と、基板搬送テーブル3に設置されたコーナーキューブ154とを有している。レーザー測長器センサヘッド151からX軸方向に沿って出射したレーザー光は、プリズム152で屈曲してY軸方向に進み、コーナーキューブ154に照射される。コーナーキューブ154での反射光は、プリズム152を経て、レーザー測長器センサヘッド151に戻る。液滴吐出装置1では、このようなレーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの吐出タイミングが生成される。
【0028】
また、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ102が、基板搬送テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、リニアモータとガイドとを備えたリニアモータアクチュエータ103の駆動により、メインキャリッジ102とともにX軸方向に前進・後退する。
【0029】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動しつつ、レーザー測長器15を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0030】
また、装置本体2には、基板W上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置14が設置されている。ブロー装置14は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板Wを基板搬送テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板Wへ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置14が設けられている。
【0031】
メンテナンス装置12は、架台21および石定盤22の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするクリーニングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123と、重量測定ユニット125とを有している。
【0032】
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、クリーニング(ワイピング)および定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0033】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止したり、ノズル詰まりを回復(解消)したりすることができる。
【0034】
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
【0035】
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
【0036】
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。
【0037】
定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0038】
重量測定ユニット125は、基板Wに対する液滴吐出動作の準備段階として、液滴吐出ヘッド111からの1回の液滴吐出量(重量)を測定するのに利用するものである。すなわち、基板Wに対する液滴吐出動作前、ヘッドユニット11は、重量測定ユニット125の上方に移動し、各液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルから1回または複数回液滴を重量測定ユニット125に対し吐出する。重量測定ユニット125は、吐出された液滴を受ける液受けと、電子天秤等の重量計とを備えており、吐出された液滴の重量を計測する。または、液受けを取り外して装置外部の重量計で計測してもよい。後述する制御装置16は、その重量計測結果に基づいて、吐出ノズルにおける1回の吐出液滴の量(重量)を算出し、その算出値が予め定められた設計値に等しくなるように、液滴吐出ヘッド111を駆動するヘッドドライバの印加電圧を補正する。
【0039】
ドット抜け検出ユニット19は、石定盤22上における基板テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0040】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシングおよび定期フラッシングで回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、クリーニングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍(好ましくは後述するチャンバ91の外)に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
【0041】
このような液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度の管理がなされた環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納するチャンバ(隔離された空間)91と、チャンバ91の外部に設置された温度調整装置92とを有している。温度調整装置92は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクト93を通ってチャンバ91の天井裏911に送り込まれる。この温調空気は、天井裏911からフィルタ912を透過して、チャンバ91の主室913に導入される。
【0042】
チャンバ91内には、隔壁914、915により別室916が設けられており、タンクユニット13は、この別室916内に設置されている。隔壁914には、主室913と別室916とを連通する連通部(開口)917が形成されている。別室916には、排気ダクト94が接続されている。主室913に導入された温調空気は、連通部917を通過して別室916に流入した後、排気ダクト94を通過してチャンバ装置9の外部に排出される。
【0043】
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板Wや装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板W上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ91内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板Wを清浄に維持することができる。
なお、チャンバ91内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0044】
チャンバ91の外部には、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する制御装置(制御手段)16が設置されている。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部とを有しており、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する。
【0045】
図3は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図、図4は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図である。
【0046】
図4に示すように、架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。石定盤22は、無垢の石材で構成され、その上面は、高い平面度を有している。この石定盤22により、周囲の環境条件や振動等の影響を防ぎ、基板搬送テーブル3およびヘッドユニット11が高精度に移動することができる。
【0047】
石定盤22の上には、Y軸方向移動機構としてのリニアモータ101およびエアスライダ108が設置されている。基板搬送テーブル3は、エアスライダ108によりY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ101の駆動によりY軸方向に移動する。また、基板搬送テーブル3の下部には、θ軸回転機構105が設けられており、これにより、基板搬送テーブル3は、基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。また、図3に示すように、基板搬送テーブル3には、載置された基板Wを吸着して固定するための複数の吸引口(吸引部)332が形成されている。
【0048】
図5は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図、図6は、図5中の矢印A方向から見た側面図、図7は、図5中の矢印B方向から見た正面図である。
これらの図に示すように、装置本体2は、石定盤22の上に設置された4本の支柱23と、これらの支柱23により支持されたX軸方向に沿って延びる互いに平行な2本の桁(梁)24および25とをさらに有している。基板搬送テーブル3は、桁24および25の下を通過可能になっている。
【0049】
図5に示すように、桁24および25には、メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とがそれぞれ桁24および25の間に架け渡されるようにして設置されている。桁24には、メインキャリッジ102およびカメラキャリッジ106の共通のX軸方向移動機構として、リニアモータアクチュエータ103が設置されている。メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とは、それぞれ、リニアモータアクチュエータ103と、桁25に設けられたリニアガイドとの案内により、X軸方向に円滑に移動可能に設置されている。メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とは、リニアモータアクチュエータ103の駆動により、それぞれ独立してX軸方向に移動する。
【0050】
メインキャリッジ102には、ヘッドユニット11が支持されている。ヘッドユニット11がメインキャリッジ102とともにX軸方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド111の副走査が行われる。ヘッドユニット11には、吐出液を供給するための配管(図示せず)や、配線ケーブル(図示せず)等がそれぞれ接続されている。また、ヘッドユニット11は、メインキャリッジ102に対し着脱可能になっている。
【0051】
カメラキャリッジ106には、基板Wの所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラキャリッジ106から下方に吊り下げられた状態で支持されている。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0052】
図8は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0053】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
【0054】
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
【0055】
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ102に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0056】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。後述する基板位置決め装置の作動により基板搬送テーブル3上に基板Wが所定の位置に位置決め(プリアライメント)して載置されると、基板搬送テーブル3の各吸引口332からのエアー吸引により、基板Wは、基板搬送テーブル3に吸着・固定される。次いで、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106がそれぞれ移動することにより、認識カメラ107が基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークの上方に移動し、このアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、θ軸回転機構105が作動して基板Wのθ軸回りの角度が補正されるとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正がデータ上で行われる(本アライメント)。
【0057】
以上のような基板Wのアライメント作業が完了すると、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板搬送テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板搬送テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板W上の、所定の幅(ヘッドユニット111により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0058】
その後、メインキャリッジ102を移動させることにより、ヘッドユニット111を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板Wを主走査方向に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了したら、ヘッドユニット111をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板Wを主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板Wの全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0059】
図9および図10は、それぞれ、図5中の矢印C方向から見た側面図である。以下、図5、図7、図9および図10に基づいて、液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置の構成について説明する。
これらの図に示すように、装置本体2の桁24には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正するY軸方向ガイド41と、このY軸方向ガイド41を昇降させるY軸方向ガイド昇降機構42とが設置されている。Y軸方向ガイド昇降機構42は、例えば空気圧シリンダなどを利用した構成になっている。Y軸方向ガイド昇降機構42は、Y軸方向ガイド41を、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの端面に当接し得る下降位置(図10に示す位置)と、基板搬送テーブル3に載置された基板Wに干渉しない上昇位置(図9に示す位置)とに昇降させる。
【0060】
Y軸方向ガイド41は、鉛直方向の回転軸を中心として回転可能に支持された4個のローラー411で構成されている。図5に示すように、4個のローラー411は、X軸方向に沿って並ぶように配置されている。Y軸方向ガイド41は、下降位置にあるとき、4個のローラー411の外周面を当接点として基板Wの1つの辺の端面に当接することができる。これにより、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正する際、当接した基板Wの辺がX軸方向に平行になるように基板Wの姿勢を修正することもできる。図示の構成では、4個のローラー411は、2個ずつに2つに分かれて支持され、それぞれに対応して設けられたY軸方向ガイド昇降機構42により昇降するようになっている。なお、ローラー411(当接点)は、少なくとも2個設けられていればよい。
【0061】
装置本体2の桁25には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正する第2のY軸方向ガイド43と、この第2のY軸方向ガイド43を昇降させる第2のY軸方向ガイド昇降機構44とが設置されている。すなわち、第2のY軸方向ガイド43は、Y軸方向ガイド41からY軸方向に離れた位置に設置されている。第2のY軸方向ガイド43は、4個のローラー431で構成されている。第2のY軸方向ガイド43および第2のY軸方向ガイド昇降機構44の構成は、それぞれ、Y軸方向ガイド41およびY軸方向ガイド昇降機構42と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、カメラキャリッジ106には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するX軸方向の位置を修正するX軸方向ガイド45と、このX軸方向ガイド45を昇降させるX軸方向ガイド昇降機構46とが設置されている。X軸方向ガイド昇降機構46は、例えば空気圧シリンダなどを利用した構成になっている。X軸方向ガイド昇降機構46は、X軸方向ガイド45を、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの端面に当接し得る下降位置(図10に示す位置)と、基板搬送テーブル3に載置された基板Wに干渉しない上昇位置(図9に示す位置)とに昇降させる。
【0063】
X軸方向ガイド45は、鉛直方向の回転軸を中心として回転可能に支持された2個のローラー451で構成されている。2個のローラー451は、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている。X軸方向ガイド45は、下降位置にあるとき、2個のローラー451の外周面を当接点として基板Wの1つの辺の端面に当接することができる。これにより、基板Wの基板搬送テーブル3に対するX軸方向の位置を修正する際、当接した基板Wの辺がY軸方向に平行になるように基板の姿勢を修正することもできる。図示の構成では、2個のローラー451は、それぞれ別個に支持され、それぞれに対応して設けられたY軸方向ガイド昇降機構46により昇降するようになっている。
【0064】
このようなX軸方向ガイド45は、X軸方向移動機構としてのリニアモータアクチュエータ103の駆動により、カメラキャリッジ106とともに基板搬送テーブル3に対しX軸方向に相対的に移動する。
なお、ローラー411、431、451は、少なくともその外周面が樹脂材料またはゴム等の弾性材料で構成されているのが好ましい。これにより、基板Wを傷つけることが防止される。
【0065】
図11は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルを示す斜視図、図12および図13は、それぞれ、図11中の矢印Dで示す部分を拡大して示す一部切欠き側面図である。以下、これらの図に基づいて、基板搬送テーブル3の構成について詳細に説明する。
図11に示すように、基板搬送テーブル3は、基台36と、基台36上に設置された複数のブロック33と、基台36上に設置された複数のボールリフト装置34とを有している。
【0066】
基台36は、第1の板31と、第1の板31の下面側に重ねて接合された第2の板32とで構成されている。この第1の板31と第2の板32とは、物理的特性(機械的特性)が互いに異なる(異種の)材料で構成されている。ここで、物理的特性としては、例えば、密度、硬度、加工性(加工のし易さ)、ヤング率、横弾性係数、ポアソン比等の弾性定数、引張り強さ、せん断強さ等を言い、第1の板31と第2の板32とは、これらのうちの少なくとも1つの特性が互いに異なるものである。これにより、基台36は、それぞれの構成材料の利点を併有することができ、以下に説明するように、各種の好ましい特性を発揮することができる。
【0067】
第1の板31の構成材料は、第2の板32の構成材料より、例えば切削、研削、せん断(打ち抜き)、孔あけ等の機械加工が容易なもの(加工性に優れるもの)であるのが好ましい。これにより、第1の板31は、加工性に優れるので、後述する溝311を形成する加工や、後述するブロック33およびボールリフト装置34を固定するためのネジ孔などの各種の孔を形成する加工などを容易に行うことができる。その結果、基板搬送テーブル3は、複雑な形状・構造のものでも容易に製造することができ、製造コストの低減、製造に要する期間の短縮が図れる。
【0068】
第1の板31の構成材料は、前述したような加工性を考慮して、例えば炭素鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅または銅系合金、アルミニウムまたはアルミニウム系合金等の各種金属材料であるのが好ましく、鉄系合金であるのがより好ましく、ステンレス鋼または炭素鋼であるのがさらに好ましい。
【0069】
第1の板31の上面の色は、黒色であるのが好ましい。これにより、基板Wが透明または半透明のものである場合、認識カメラ107が基板Wのアライメントマークを認識する際に、アライメントマークの背景がブラックアウトしてアライメントマークが際立つので、アライメントマークの認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
【0070】
第1の板31の上面には、レイデント処理(特にフッ素レイデント処理)が施されているのが好ましい。ここで、レイデント処理とは、表面に主としてクロム系化合物で構成される被膜を形成する処理である。このレイデント処理により、基台36の上面の耐食性を向上することができるので、液滴吐出ヘッド111からの液滴吐出時に、吐出液が飛散して基台36の上面に付着したような場合であっても、基台36の腐食を防止(抑制)することができる。さらに、レイデント処理を行った部分は、黒色を呈するので、上述したようにアライメントマークの認識の際にも有利である。なお、レイデント処理は、ブロック33の外表面や、第1の板31の下面側にも施されていてもよい。
【0071】
第2の板32は、基台36(基板搬送テーブル3)の剛性を確保して、基台36の上面の平面度や、各載置面331の集合により構成される平面の平面度(以下、これらを総称して単に「平面度」と言う)などの精度を確保するのを主な目的として設置されているものである。この第2の板32が設けられていることにより、基板搬送テーブル3は、比較的大型のものであっても高い平面度を確保することができ、よって、支持した基板Wの平面度を高く維持することができる。その結果、液滴吐出装置1では、基板Wに吐出液により形成(描画)するパターンの精度を高くすることができる。
【0072】
第2の板32は、十分な剛性を得るために、その平均厚さが第1の板31の平均厚さより大きい(厚い)ものであるのが好ましい。第2の板32の平均厚さは、特に限定されないが、基台36(基板搬送テーブル3)に十分な剛性を確保する観点から、通常は、第1の板31の平均厚さをT1、第2の板の平均厚さをT2としたとき(図18参照)、1≦T2/T1≦10なる関係を満足するのが好ましく、2≦T2/T1≦8なる関係を満足するのがより好ましい。
【0073】
また、基台36(基板搬送テーブル3)に十分な剛性を確保する観点から、第2の板32は、第1の板31の構成材料のヤング率をE1、第2の板32の構成材料のヤング率をE2としたとき、E2/E1≧0.4なる関係を満足するものであるのが好ましく、E2/E1≧0.5なる関係を満足するものであるのがより好ましい。
また、第2の板32は、第1の板31に対し、このヤング率の関係と、上記の厚さの関係とを両方満足するものであるのがさらに好ましい。
【0074】
また、第2の板32の構成材料は、第1の板31の構成材料より、密度が小さいものであるのが好ましい。これにより、基台36(基板搬送テーブル3)は、十分な剛性を確保しつつ、軽量なものになる。その結果、基台36(基板搬送テーブル3)は、自重による撓み(変形)がさらに小さくなって、平面度をより高いレベルで確保することができるとともに、基板搬送テーブル3を駆動するY軸方向移動機構の負担が軽減され、基板搬送テーブル3の移動の高速化にも有利である。
【0075】
第2の板32の構成材料は、特に限定されないが、比較的高い剛性(ヤング率)と、比較的小さい密度との両立を図る観点から、金属−セラミックス複合材料、各種セラミックス、各種石材料(例えばグラナイト(花崗岩)等)であるのが好ましく、金属−セラミックス複合材料であるのがより好ましい。
【0076】
ここで、金属−セラミックス複合材料について説明する。金属−セラミックス複合材料とは、セラミックス粉末またはセラミックス繊維を強化材とし、金属をマトリックスとして、例えば非加圧浸透法、加圧浸透法、真空鋳造法、高圧鋳造法、粉末冶金法等を用いて製造した複合材料を言う。セラミックスの種類は特に限定されず、アルミナ、炭化けい素、窒化けい素、窒化アルミニウム、ムライト、スピネル等の一般的なセラミックス粉末またはセラミックス繊維を使用することができるが、特に比重が小さく、剛性が高く、熱膨張係数が小さく、熱伝導性が良好で、しかもセラミックスの含有率をより高くすることができることから、炭化けい素(SiC)粉末がより好適である。また、そのセラミックス粉末またはセラミックス繊維の複合材料中の含有率としては、30〜80体積%が好ましい。また、マトリックスとして使用する金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であるのが好ましく、Al−Si−Mg系のアルミニウム合金がより好適である。Al−Si−Mg系のアルミニウム合金は、AlとSiCとの反応で生じる有害なAl4C3の生成を防止することができ、Mgを含むと溶融したアルミニウム合金をセラミックス粉末またはセラミックス繊維の間隙中に非加圧で浸透させることができるからである。また、これらセラミックスと金属を用いて複合材料を製造する方法には、非加圧浸透法、加圧浸透法、真空鋳造法、高圧鋳造法、粉末冶金法等いくつかあるが、その中でもセラミックスの含有率を広く、かつ高い範囲まで変えることができること、セラミックスが均一に分散しているので均質な製品を製造することができること、加圧装置が不要なので容易に安価に製造することができること、また大型品を製造することができること、かなり複雑な形状をニアネットで作ることができることなどの利点を有する非加圧浸透法がより好適である。具体的には、まずセラミックス粉末またはセラミックス繊維で第2の板32の形状に合わせたプリフォームを形成し、そのプリフォーム中に溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させて製造する方法である。
【0077】
上述したような金属−セラミックス複合材料は、鉄系合金と概ね同等の剛性(ヤング率)を有するとともに、密度は鉄系合金の3分の1程度であるため、第2の板32を金属−セラミックス複合材料で構成することにより、第2の板32は、その厚さT2を大きくしても軽量であるので、軽量化と高剛性化を両立することができる。また、第2の板32により十分な剛性を確保できるので、第1の板31を薄いものにすることができる。その結果、基板搬送テーブル3(基台36)をより高いレベルで軽量かつ高剛性のものとすることができる。
【0078】
第1の板31と第2の板32とを接合して固定する方法は、特に限定されず、例えば、ボルト等の固定部材による固定、接着剤による接着、溶接、ろう接など、いかなる方法でもよい。また、第1の板31と第2の板32との間に例えばガスケットなどが介挿されていてもよい。また、基台36には、種々の目的で、第1の板31の上側、第2の板32の下側、または第1の板31と第2の板32との間に、第3の板が重ねて設置されていてもよい。
【0079】
また、第2の板32は、前述した材料に限らず、各種金属材料で構成されていてもよい。例えば、基台36は、第1の板31をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成し、第2の板32を鉄系合金で構成したようなものであってもよい。
【0080】
複数のブロック33は、基台36上で、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている。これらのブロック33の上面は、基板Wが載置される(基板Wが当接する)載置面(当接面)331を構成する。各ブロック33の大きさ(各載置面331の面積)や、ブロック33とブロック33との間隔は、載置面331に基板Wが載置されたとき、基板Wに、吐出液滴によるパターンの形成(描画)において問題となるような撓み(変形)が生じないような大きさとなるように設定されている。
【0081】
各ブロック33には、載置された基板Wを負圧により吸着するための吸引部として、載置面331に開口する吸引口332が形成されている。
図示の構成では、9×11で99個のブロック33が設置されている。ブロック33の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、4〜400個程度であるのが好ましく、4〜100個程度であるのがより好ましい。
【0082】
このようなブロック33が設けられていることにより、載置面331に基板Wが載置されたとき、基板Wと基台36との間には、後述するバー501のような棒状体をY軸方向後方からY軸方向前方に向かって挿入可能な隙間(空間)35が形成される。これにより、基板搬送テーブル3への基板Wの給材(搬入)および除材(搬出)を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。図示の構成では、この隙間35は、8箇所に形成されるが、最低2本の棒状体(バー501)があれば基板Wを支持することができるので、この2本の棒状体が挿入可能なように、隙間35は、少なくとも2個所に形成されればよい。
【0083】
また、本実施形態では、ブロック33が行列状に配置されていることにより、基板Wと基台36との間に、棒状体をX軸方向からも挿入可能な隙間(空間)37が形成される。これにより、基板搬送テーブル3に対しX軸方向からも基板Wを給材および除材することができる。隙間37は、少なくとも2箇所に形成されるのが好ましく、図示の構成では、10箇所に形成される。
【0084】
なお、少なくとも2箇所の隙間35と、少なくとも2箇所の隙間37とは、その両方が形成されるのが好ましいが、いずれか一方でもよい。すなわち、載置面331に載置された基板Wと基台36との間には、水平な一方向から棒状体を挿入可能な隙間が少なくとも2個所に形成されればよい。よって、基板搬送テーブル3は、図示の構成に限らず、例えば隙間35のみが形成されればよい場合には、Y軸方向に並ぶ複数のブロック33が各列毎に互いに連結されたような形状の、Y軸方向に細長いブロックが間隔を空けて複数並設されているようなものでもよい。
【0085】
複数のボールリフト装置34は、基台36上に、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている。これら複数のボールリフト装置34は、互いに同様の構成であるので、1つのボールリフト装置34について代表して説明する。図12に示すように、ボールリフト装置34は、ブロック33より高さが低くされたハウジング341と、ハウジング341内に設けられた空気圧シリンダ(ボール昇降機構)342と、空気圧シリンダ342のピストンとしても機能するボール支持体343と、ボール支持体343に複数の小球(ベアリング)345を介して滑らかに回転可能に支持されたボール(球体)344とを有している。ボール344は、その上部がボール支持体343から露出した状態で支持されている。
【0086】
空気圧シリンダ342には、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置された図示しないエアー供給源(圧力供給源)からの空気圧を供給する配管346が接続されている。Y軸方向に並ぶ一列の各ボールリフト装置34の各空気圧シリンダ342は、Y軸方向に並ぶハウジング341同士を連結する連結部348の内部に形成された通路347により互いに連通しており、1つの配管346によりY軸方向の一列のボールリフト装置34のすべてに空気圧が供給される。
空気圧シリンダ342の作動により、ボール344は、ボール支持体343とともに、ボール344の少なくとも一部が載置面331より上側に突出する上昇位置(図13に示す位置)と、ボール344の全体が載置面331より下側に退避する下降位置(図12に示す位置)とに昇降する。
【0087】
図13に示すように、ボールリフト装置34は、ボール344を上昇させることにより、各ボール344(基板Wの大きさが基板搬送テーブル3の大きさより小さいものである場合には、基板Wの領域内にあるボール344)で基板Wを持ち上げ、載置面331から離間した位置で基板Wを支持する。この状態では、基板Wが載置面331を擦ることがないとともにボール344が自由に回転するので、基板Wは、傷つくことなく基板搬送テーブル3上でY軸方向およびX軸方向に自由に移動(回転も含む)可能になる。なお、ボール344は、樹脂材料(例えばメラミン樹脂等)で構成されているのが好ましい。これにより、基板Wを傷つけることがより確実に防止される。
【0088】
ボールリフト装置34とボールリフト装置34との間隔は、上昇させたボール344によって基板Wを支持したときに、基板Wがブロック33に接触したり、基板Wが損傷したりしないように、基板Wの撓み(変形)が許容範囲内になるような間隔に設定されている。図示の構成では、8×11で88個のボールリフト装置34が設置されている。ボールリフト装置34の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、ブロック33の個数と同程度であるのが好ましい。また、ボールリフト装置34の最低個数としては、一直線上に並ばない少なくとも3つのボール344で基板Wを支持し得るように、一直線上に並ばないように配置された少なくとも3個のボールリフト装置34が設置されていればよい。
【0089】
本実施形態では、各ボールリフト装置34は、それぞれ、各ブロック33の近傍に設置されている。これにより、基板Wがボール344に支持された状態のときに基板Wが撓んで傾斜した場合であっても、基板Wがブロック33に接触するのをより確実に防止することができる。
【0090】
図14および図15は、それぞれ、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルに、基板を搬入・載置する作業の様子を示す平面図および側面図である。以下、これらの図に基づいて、基板Wを基板搬送テーブル3上に給材する作業について説明するが、後述するように、基板搬送テーブル3に給材された基板Wは、その後、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45を用いて位置決め(プリアライメント)されるので、以下の作業では、大まかに位置を合わせて基板Wを載置すればよい。
【0091】
液滴吐出装置1の基板搬送テーブル3上に基板Wを搬入・載置する際には、チャンバ91に設けられた基板搬入用扉(図示せず)を開き、台車50を利用して、基板Wを基板搬送テーブル3の近くまで運ぶ。このとき、基板搬送テーブル3のボールリフト装置34は、ボール344が下降した状態になっていても上昇した状態になっていてもよい。台車50には、互いに平行に配置された複数(図示の構成では4本)のバー(棒状体)501を有するフォーク502が設けられており、このフォーク502上に基板Wが載せられている。このとき、バー501は、Y軸方向に平行となるような向きとされる。
【0092】
図14および図15に示す状態から、作業者60がフォーク送りハンドル503を回すと、フォーク502が図中の右方向に前進する。フォーク502および基板Wが基板搬送テーブル3の上方まで移動したら、作業者60は、フォーク昇降ハンドル504を回して、フォーク502および基板Wを下降させ、基板Wを(基板Wの領域内にある)各載置面331または各ボール344に接地(当接)させる。このとき、フォーク502を構成する各バー501は、それぞれ、前述した8箇所の隙間35のうちの4箇所にそれぞれ入り込む(挿入する)ので、フォーク502は、載置面331と基板Wとの間に挟まれることはない。したがって、作業者60は、フォーク送りハンドル503を前記と反対方向に回してフォーク502を図中の左方向に後退させることにより、フォーク502を基板Wと基板搬送テーブル3との間の隙間35から引き抜くことができる。以上により、基板搬送テーブル3に、基板Wを給材する作業が終了する。
【0093】
液滴吐出装置1での基板Wに対する液滴吐出動作(パターンの描画)が終了した後には、前記と逆の手順によって、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの除材(搬出)を行うことができる。
このように、基板搬送テーブル3では、隙間35が形成されることにより、基板Wの給材および除材を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。
【0094】
図16および図17は、それぞれ、図1および図2に示す液滴吐出装置が備える基板位置決め装置により実施される基板位置決め方法を模式的に示す側面図および正面図である。以下、これらの図に基づいて、液滴吐出装置1の基板搬送テーブル3上に給材(搬入)された基板Wを基板搬送テーブル3に対し位置決め(プリアライメント)する基板位置決め方法について説明する。なお、以下の説明では、基板Wの中心W1を基板搬送テーブル3の中心に一致させるように位置決めする場合を例に説明するが、基板Wを位置決めする位置は、これに限定されない。
【0095】
液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置は、制御装置16の制御により、以下に説明するように作動する。基板Wの位置決め前、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45は、基板Wに干渉しないよう上方に退避している。そして、前述したような作業により基板搬送テーブル3上に基板Wが給材されたら、基板搬送テーブル3がY軸方向に前進し、基板WのY軸方向後端W2がY軸方向ガイド41より前方に位置する状態とする。また、基板搬送テーブル3は、各ボール344を上昇させることにより、基板搬送テーブル3上で基板Wが自由に移動可能な状態とする。
【0096】
次いで、図16に示すようなY軸方向位置修正工程を行う。Y軸方向位置修正工程では、まず、図16の▲1▼に示すように、Y軸方向ガイド41を下降させた状態で、基板搬送テーブル3をY軸方向に後退させつつ、Y軸方向ガイド41を基板WのY軸方向後端W2の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データ(例えば、基板Wの形状、長さ、幅、厚さ等の寸法、基板Wの属性(基板ナンバー等)、材質、アライメントマーク位置等の情報を含むデータ)に基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のY軸方向中央位置に一致するような位置まで基板搬送テーブル3をY軸方向に後退させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しY軸方向後方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にY軸方向に前進して、Y軸方向の位置が修正される。
【0097】
なお、液滴吐出装置1では、基板Wの種類に応じた複数組の寸法データを制御装置16の記憶部に予め記憶しておくことにより、複数種類の基板Wに対応して、基板の位置決め(プリアライメント)や、その後の液滴吐出動作を行うことができる。また、基板Wの寸法データには、基板搬送テーブル3上での基板Wの位置決めすべき位置を含ませることもでき、これにより、基板搬送テーブル3上での基板Wの位置決めする位置を設定(変更)することができる。
【0098】
次いで、図16の▲2▼に示すように、Y軸方向ガイド41を上昇させるとともに、第2のY軸方向ガイド43を下降させた状態で、基板搬送テーブル3をY軸方向に前進させつつ、Y軸方向ガイド41を基板WのY軸方向前端W3の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のY軸方向中央位置に一致するような位置まで基板搬送テーブル3をY軸方向に前進させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しY軸方向前方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にY軸方向に後退して、Y軸方向の位置が修正される。なお、以上のようなY軸方向修正工程の図16の▲1▼、▲2▼の順序は上記と逆でもよい。
【0099】
次いで、図17に示すようなX軸方向位置修正工程を行う。X軸方向位置修正工程では、図17の▲1▼に示すように、X軸方向ガイド45を下降させた状態でX軸方向に後退させつつ、X軸方向ガイド45を基板WのX軸方向前端W4の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のX軸方向中央位置に一致するような位置まで、X軸方向ガイド45をX軸方向に後退させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しX軸方向前方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にX軸方向に後退して、X軸方向の位置が修正される。
【0100】
次いで、X軸方向ガイド45を一旦上昇させ、X軸方向ガイド45が基板WのX軸方向後端W5より後方に位置するようにX軸方向に後退させる。この状態から、図17の▲2▼に示すように、X軸方向ガイド45を下降させた状態でX軸方向に前進させつつ、X軸方向ガイド45を基板WのX軸方向後端W5の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のX軸方向中央位置に一致するような位置まで、X軸方向ガイド45をX軸方向に前進させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しX軸方向後方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にX軸方向に前進して、X軸方向の位置が修正される。
【0101】
以上のようなX軸方向修正工程の間、Y軸方向ガイド41および第2のY軸方向ガイド43は、上昇した状態になっていてもよいが、第2のY軸方向ガイド43(またはY軸方向ガイド41)が下降して基板WのY軸方向前端W3(またはY軸方向後端W2)に当接(接触)した状態を維持してもよい。これにより、Y軸方向位置修正工程により修正した基板WのY軸方向の位置がずれるのをより確実に防止しつつ、X軸方向の位置修正を行うことができる。また、この場合、ローラー431(またはローラー411)が回転するので、基板WがX軸方向に移動するのを第2のY軸方向ガイド43(またはY軸方向ガイド41)が妨げることはない。
また、以上のようなX軸方向修正工程の図17の▲1▼、▲2▼の順序は上記と逆でもよい。さらに、Y軸方向修正工程とX軸方向修正工程との順序も、上記と逆でもよい。
【0102】
このようなY軸方向修正工程およびX軸方向修正工程の際、基板Wの大きさが基板搬送テーブル3より小さいものである場合には、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43、X軸方向ガイド45は、下降した状態で基板搬送テーブル3の領域の上空に進入する必要があるが、このとき、ローラー411および431は、隙間35を通過可能であり、ローラー451は、隙間37を通過可能であるので、ローラー411、431、451がブロック33やボールリフト装置34に接触するのをより確実に防止することができる。
【0103】
以上のようなY軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を終えたら、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106をそれぞれ移動させることにより、基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマーク(図示せず)を認識カメラ107に認識しに行かせる。このとき、認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入っていれば、基板Wのプリアライメントを終了する。認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入っていない場合には、Y軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を再度行った後、認識カメラ107に再度アライメントマークを認識しに行かせる。このようにして、認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入るまで、Y軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を複数回繰り返し行ってもよい。また、認識カメラ107と基板Wとをそれぞれ微小に移動させることによってアライメントマークが認識カメラ107の視野内に入るように制御し、その後、本アライメント作業に移行することとしてもよい。
【0104】
基板Wのプリアライメントを終了したら、各ボール344を下降させて基板Wを載置面331に接地(当接)させるとともに、吸引口332からのエアー吸引により、基板Wを基板搬送テーブル3に吸着・固定する。その後、制御装置16は、認識カメラ107による基板Wのアライメントマークの認識結果に基づいて、θ軸回転機構105を作動させて基板Wのθ軸回りの角度を補正するとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正をデータ上で行う。これが、基板Wの本アライメントとなる。その後、液滴吐出装置1は、前述したような液滴吐出動作を基板Wに対して行う。
【0105】
本実施形態では、以上説明したような基板位置決め装置により、簡単な構成で、基板Wを基板搬送テーブル3上で正確に(高精度で)位置決めすることができる。よって、基板搬送テーブル3上に基板Wを搬入・載置する際、大まかに位置を合わせて載置すれば済み、正確な位置に基板Wを給材する必要がない。よって、ロボット(産業用ロボット)を利用して基板Wを正確に位置決めして給材せずに、前述したような作業で人手によって基板Wを給材してもよいので、ロボットを用いない場合には、その分の設備投資額を少なくすることができ、コスト低減が図れる。また、給材にロボットを利用するのが困難な比較的大型の基板Wを扱う際にも有利である。また、基板Wの給材にロボットを利用する場合であっても、基板Wが大型のものになると、基板Wのアライメントマークが認識カメラ107の視野内に入るように正確に位置決めして給材するのが難しくなるが、このような場合でも、給材時の正確な位置決めが不要であるので、不都合を生じない。よって、大型の基板Wをロボットを利用して給材し、量産を図るような場合にも有利であり、コスト低減に寄与する。また、基板Wの寸法を予め制御装置16に入力しておけば、基板Wの大きさにかかわらず位置決めを行うことができる。また、基板Wが矩形の場合に限らず、基板Wが円形の場合でも位置決めを行うことができる。また、基板Wの厚さにかかわらず位置決めを行うこともできる。
【0106】
図18は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルのブロックの設置部分における断面側面図、図19は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルの平面図である。なお、図19中には、便宜上、吸引口への吸引配管系統図も併せて記載している。以下、これらの図に基づいて、基板搬送テーブル3の複数の吸引口332への吸引経路について説明する。
【0107】
図18に示すように、基板搬送テーブル3では、基台36の第1の板31の接合面側(第2の板32との接合面側)に溝311が形成されている。これにより、基台36の内部には、この溝311と第2の板32の上面(第1の板31との接合面)とで囲まれる細長い空間(内腔)が形成されており、この細長い空間が各吸引口332への吸引流路38を構成している。
【0108】
吸引流路38は、各ブロック33の下を通るように形成されている。各ブロック33の下に位置する第1の板31には、溝311の位置において第1の板31の上面に貫通する孔312が形成されている。ブロック33の内部には、吸引口332に連通する流路がブロック33の下面まで貫通して形成され、この流路が孔312を介して吸引流路38(溝311)と連通している。
【0109】
このようにして、基板搬送テーブル3では、基台36の内部に吸引口332への吸引流路38を形成したことにより、各吸引口332への吸引配管(チューブ)やそれらを接続する継ぎ手を省略(または点数削減)することができるため、部品点数が少なく、構造が簡単で、製造コストの低減が図れる。また、配管や継ぎ手の接続部分が少ないので、この接続部分から空気漏れを生じるようなおそれが少なく、基板Wを確実に吸着することもできる。また、基板搬送テーブル3の上面側に配置される配管を無くす(または減らす)ことができるので、これらの配管が台車50のバー501や、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45等と干渉するのを防止することができる。
【0110】
なお、吸引流路38は、第2の板32の接合面側(第1の板31との接合面側)に形成した溝によって構成されていてもよく、第1の板31および第2の板32の接合面側にそれぞれ形成した溝によって構成されていてもよい。
【0111】
図19に示すように、本実施形態では、複数(図示の構成では、99個)の吸引口332は、平面視で、行列状に並んで配置されている。これにより、いかなる大きさおよび形状の基板Wに対しても、適当な個数の吸引口332が位置するので、基板Wをより確実に吸着することができる。なお、吸引口332と吸引口332との間隔やその内径は、基板Wを必要かつ十分な力で吸着できるように設定されている。また、複数の吸引口332の配設パターンは、図示の構成に限らず、例えば、平面視で放射状に並ぶように配設されていてもよい。
【0112】
基台36の内部に形成された吸引流路38は、第1の系統381、第2の系統382および第3の系統383の複数(3つ)の系統に分かれており、各系統を選択して使用可能になっている。
【0113】
吸引流路38の第1の系統381は、基板搬送テーブル3の中心部付近に位置する第1の吸引口群に対応している。第1の吸引口群は、図19中の一点鎖線αの内側の領域に位置する9個の吸引口332で構成されている。第1の系統381は、この第1の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0114】
基台36の上面側には、第1の吸引口群の各吸引口332への吸引経路の一部を構成する吸引配管(チューブ)51が設置されている。すなわち、吸引配管51は、第1の吸引口群のうちの1つの吸引口332が形成されたブロック33の側壁部に接続されることにより、第1の系統381に接続(連通)されている。吸引配管51は、基台36の縁部まで基台36上に沿って配設され、さらに基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ(吸引力発生源)181に接続されている。真空ポンプ181は、通常、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置されるが、この真空ポンプ181に限らず、例えば工場内に配設された真空系統(工場真空)を吸引力発生源として使用してもよい。
【0115】
吸引流路38の第2の系統382は、第1の吸引口群の外側(外周側)に位置する第2の吸引口群に対応している。第2の吸引口群は、図19中の一点鎖線αの外側であって二点鎖線βの内側の領域に位置する26個の吸引口332で構成されている。第2の系統382は、この第2の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0116】
基台36の上面側には、第2の吸引口群の各吸引口332への吸引経路の一部を構成する吸引配管(チューブ)52が設置されている。すなわち、吸引配管52は、第2の吸引口群のうちの1つの吸引口332が形成されたブロック33の側壁部に接続されることにより、第2の系統382に接続(連通)されている。吸引配管52は、基台36の縁部まで基台36上に沿って配設され、さらに基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ181に接続されている。吸引配管52の途中には、流路を流通させる状態と遮断する状態とを切り替え可能な切り替え弁54が設置されている。
【0117】
基台36の上面には、基台36上に位置する部分の吸引配管51、52の全部または一部をそれぞれ収納(格納)する配管収納溝361、362が形成されている。これにより、吸引配管51、52は、基台36の上面から突出することなく配置され、邪魔にならないようになっている。なお、吸引配管51、52は、ボールリフト装置34とボールリフト装置34とを連結する連結部348の下側に挿通されている。
【0118】
また、平面視で、吸引配管51は、第2の経路382および第3の経路383と連通することなく交差して基板搬送テーブル3の外部に伸びており、吸引配管52は、第3の経路383と連通することなく交差して基板搬送テーブル3の外部に伸びている。このように、基板搬送テーブル3では、吸引流路38と、基台36の上面側に設置する吸引配管とを連通することなく交差可能であるので、吸引経路を立体的に形成することができ、多彩なパターンの吸引経路を容易に構成することができる。
【0119】
吸引流路38の第3の系統383は、第2の吸引口群の外側(外周側)に位置する第3の吸引口群に対応している。第3の吸引口群は、図19中の二点鎖線βの外側の領域に位置する64個の吸引口332で構成されている。第3の系統383は、この第3の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0120】
基台36の側部には、第3の系統383に連通する吸引配管(チューブ)53が接続されている。吸引配管53は、基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ181に接続されている。吸引配管53の途中には、流路を流通させる状態と遮断する状態とを切り替え可能な切り替え弁55が設置されている。
【0121】
切り替え弁54および55は、自動で作動可能になっており、制御手段16は、前述した基板Wの寸法データに基づき、切り替え弁54および55のそれぞれの作動を制御する。すなわち、基板Wが基板搬送テーブル3と同程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54および55をともに流通状態とすることにより、第1の系統381、第2の系統382および第3の系統383をすべて使用して、全吸引口332からの吸引により、基板Wの吸着を行う。
【0122】
また、基板Wが二点鎖線βで示す程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54を流通状態、切り替え弁55を遮断状態とすることにより、第1の系統381および第2の系統382を使用して、第1の吸引口群および第2の吸引口群の各吸引口332から吸引により、基板Wの吸着を行う。さらに、基板Wが一点鎖線αで示す程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54および55をともに遮断状態とすることにより、第1の系統381のみを使用して、第1の吸引口群の各吸引口332から吸引により、基板Wの吸着を行う。
【0123】
このように、本実施形態の基板搬送テーブル3では、吸引流路38の複数の系統を選択して使用することにより、基板Wの大きさおよび形状に応じて、基板Wを吸着する領域を選択することができる。これにより、真空ポンプ181の吸引力を無駄にすることがないので、効率が良い。また、基板Wに対する吸着力をより強くすることができ、基板Wを基板搬送テーブル3により確実に固定することができる。なお、吸引流路38は、3つの系統に分かれているものに限らず、2つまたは4つ以上の系統に分かれていてもよい。
【0124】
なお、本実施形態では、吸引流路38の各系統が共通の真空ポンプ181に接続されているが、各系統に別個に真空ポンプを設けてもよい。また、吸引流路38の各系統に対応する各吸引口群の配置パターンは、図示の構成に限らず、いかなる配置パターンでもよい。また、吸引流路38は、複数系統に分かれず、その全体が連通しているものでもよい。
【0125】
また、本実施形態では、基台36の内部に形成された吸引流路38により全吸引口332がカバーされているが、基台36の内部には、少なくとも一部の吸引口332のための吸引流路38が形成されていればよく、吸引流路38によらずに別個のチューブなどによって接続される吸引口332が他にあってもよい。また、切り替え弁54および55の切り替えは、手動で行ってもよい。
【0126】
以上説明したように、本発明によれば、ワーク搬送テーブルを軽量かつ高剛性とするとともに、ワーク搬送テーブルの製造も容易に行うことができ、製造コストの低減、製造に要する期間の短縮が図れる。また、ワーク搬送テーブルが高剛性であることにより、平面度を高くすることできるので、ワークを高い平面度で支持することができる。よって、ワークに対する処理を高い精度で行うことができ、高性能のワークを製造することができる。
【0127】
以上、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0128】
また、ワーク搬送テーブルは、複数のブロックおよびボールリフト装置を備えないものでもよく、例えば、複数の吸引口が基台の上面に開口するように形成され、基台の上面に直接にワークを載置するようなものでもよい。また、ワーク搬送テーブルは、基台の内部に各吸引口への吸引流路が形成されていないものでもよい。
【0129】
また、ワーク搬送テーブルは、ワークの給材・除材時にワークを持ち上げるワークリフト機構(テーブルの載置面より上側に突出する位置と載置面より下側に退避する位置とに昇降する支持部を有し、該支持部が載置面から突出することによりワークを載置面から離間した位置で支持するような機構)を備えるものでもよい。
【0130】
また、本発明のワーク搬送装置では、ワーク搬送テーブルを装置本体に対しX軸方向に移動させる機構を有していてもよい。この場合、本発明の液滴吐出装置は、ヘッドユニットを装置本体に対し固定とし、ワークをY軸方向およびX軸方向にそれぞれ移動させることにより、主走査および副走査を行うよう構成してもよい。
【0131】
また、本実施形態においては、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置を液滴吐出装置に適用した場合について説明したが、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置は、これに限らず、例えば露光装置などの他の各種の装置にも適用することができる。
【0132】
また、本発明の電気光学装置は、以上説明したような本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。本発明の電気光学装置の具体例としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
【0133】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、液晶表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色のフィルタ材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、基板上に多数のフィルタエレメントを配列してなるカラーフィルタを製造し、このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造することができる。この他、本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、有機EL表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色の発光材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、EL発光層を含む多数の絵素ピクセルを基板上に配列してなる有機EL表示装置を製造することができる。
【0134】
また、本発明の電子機器は、前述したようにして製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。本発明の電子機器の具体例としては、特に限定されないが、前述したようにして製造された液晶表示装置や有機EL表示装置を搭載したパーソナルコンピュータや携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す側面図。
【図3】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図。
【図4】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図。
【図5】ヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図。
【図6】図5中の矢印A方向から見た側面図。
【図7】図5中の矢印B方向から見た正面図。
【図8】ヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を示す模式的平面図。
【図9】図5中の矢印C方向から見た側面図。
【図10】図5中の矢印C方向から見た側面図。
【図11】基板搬送テーブルを示す斜視図。
【図12】図11中の矢印Dの部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図13】図11中の矢印Dの部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図14】基板搬送テーブルに基板を給材する作業の様子を示す平面図。
【図15】基板搬送テーブルに基板を給材する作業の様子を示す側面図。
【図16】基板位置決め装置の作動を模式的に示す側面図。
【図17】基板位置決め装置の作動を模式的に示す正面図。
【図18】基板搬送テーブルのブロックの設置部分における断面側面図。
【図19】基板搬送テーブルの平面図。
【符号の説明】
3……基板搬送テーブル、31……第1の板、32……第2の板、33……ブロック、331……載置面、332……吸引口、34……ボールリフト装置、35……隙間、36……基台、37……隙間
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置、液滴吐出装置、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置等に用いられる基板や、半導体ウェーハ等の各種の基板は、用いられる装置の大型化や、基板の生産効率の向上を目的として、従来より大型化している。これに伴って、基板のようなワークの製造(処理)装置で用いられるワーク搬送テーブル(基板搬送テーブル)も従来より大型化が必要になっている。
【0003】
ワーク搬送テーブルを大型化すると、重量が増大する結果、ワーク搬送テーブルが自重によって撓む(変形する)ので、ワークを載置する載置面に高い平面度を確保するのが困難になる、という問題がある。また、ワーク搬送テーブルの重量増大により、ワーク搬送テーブルを移動させる移動機構の負担が重くなり、高速にワーク搬送テーブルを移動させるのが困難になる、という問題もある。載置面の平面度を確保するためにワーク搬送テーブルの厚さを厚くして剛性を高くしようとすると、ワーク搬送テーブルの重量がさらに増大するので、テーブル移動機構の負担はさらに重くなる。
【0004】
このような問題を解決する方法として、特許文献1には、ワーク搬送テーブル(特許文献1では、半導体ウエハ用保持具)を軽量かつ高剛性なセラミックスで構成することが提案されている。
【0005】
しかしながら、セラミックスは、加工性が悪いため、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブル(例えば、ワークを吸着する吸引孔を有するものや、他の部品を固定するための孔を有するものなど)を製造するのが非常に困難であるので、製造コストが増大したり、製造に長期間を要したり、形状によっては実際上製造不可能であったりするという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−172084号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量かつ高剛性であるとともに、製造が容易なワーク搬送テーブル、前記ワーク搬送テーブルを備えるワーク搬送装置、前記ワーク搬送装置を備える液滴吐出装置、前記液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、前記液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、前記電気光学装置を備える電子機器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のワーク搬送テーブルは、ワークを支持するワーク搬送テーブルであって、
第1の板と、該第1の板の下側に重ねて設置された第2の板とを有する基台を備え、
前記第1の板と前記第2の板とは、物理的特性が互いに異なる材料で構成されていることを特徴とする。
これにより、異種の2つの構成材料の利点を併有することにより、軽量かつ高剛性であるとともに、製造が容易なワーク搬送テーブルを提供することができる。
【0009】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の構成材料は、前記第2の板の構成材料より、機械加工が容易なものであることが好ましい。
これにより、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブルであっても、より容易に製造することができる。
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の構成材料は、前記第1の板の構成材料より、密度が小さいものであることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルのさらなる軽量化が図れる。
【0010】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の平均厚さは、前記第1の板の平均厚さより大きいことが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の平均厚さをT1、前記第2の板の平均厚さをT2としたとき、1≦T2/T1≦10なる関係を満足することが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
【0011】
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の構成材料のヤング率をE1、前記第2の板の構成材料のヤング率をE2としたとき、E2/E1≧0.4なる関係を満足することが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの剛性をより高くすることができ、平面度等の精度をより高くすることができる。
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の構成材料は、鉄系合金であることが好ましい。
これにより、複雑な形状・構造のワーク搬送テーブルであっても、より容易に製造することができる。
【0012】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第2の板の構成材料は、金属−セラミックス複合材料であることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの軽量化および高剛性化をより高いレベルで実現することができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記第1の板の少なくとも上面に、レイデント処理が施されていることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルの耐食性を向上することができるとともに、ワークのアライメントマークのカメラによる認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
【0013】
本発明のワーク搬送テーブルでは、前記第1の板の上面の色は、黒色であることが好ましい。
これにより、ワークのアライメントマークのカメラによる認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
本発明のワーク搬送テーブルは、前記ワークを負圧により吸着するための複数の吸引口をさらに備え、
前記第1の板および/または前記第2の板の接合面側に溝を形成することにより、前記各吸引口への吸引流路が前記基台の内部に形成されていることが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルにワークを吸着して固定することができるとともに、吸引口への吸引配管を省略または削減することができ、構造の簡素化が図れる。
【0014】
本発明のワーク搬送テーブルは、前記基台上に互いに間隔を空けて配設され、それらの上面が、ワークが載置される載置面を構成する複数のブロックをさらに備えることが好ましい。
これにより、ワークと基台との間に形成される隙間を利用して、ワークの給材・除材を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。
【0015】
本発明のワーク搬送装置は、本発明のワーク搬送テーブルと、
装置本体と、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し少なくとも水平な一方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする。
これにより、ワーク搬送テーブルが軽量かつ高剛性であるとともに、ワーク搬送テーブルの製造が容易であり、また、ワーク搬送テーブルを移動させる移動機構の負担を軽減することができるワーク搬送装置を提供することができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置は、本発明のワーク搬送装置と、
前記ワーク搬送テーブルに載置されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとを備えることを特徴とする。
これにより、ワーク搬送テーブルによってワークを高い平面度を保って支持した状態で処理を行うことにより、精度の高いパターンの形成(描画)ができ、また、搬送テーブルを移動させる移動機構の負担を軽減することができる液滴吐出装置を提供することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置は、前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することにより、前記ワークに所定のパターンを形成することが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
本発明の電気光学装置は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、パターンの形成(描画)が高い精度で行われたワークを備える高性能の電気光学装置を提供することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。
これにより、ワークに対するパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができ、高性能の電気光学装置を製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、パターンの形成(描画)が高い精度で行われたワークを備える高性能の電子機器を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明のワーク搬送テーブルおよびワーク搬送装置を適用した基板搬送テーブルおよび基板搬送装置を備えた液滴吐出装置の実施形態を示す平面図および側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1および図2中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言う。また、Y軸方向については、図1および図2中の右方向を「前方」、図1および図2中の左方向を「後方」と言い、X軸方向については、図1中の下方向を「前方」、図1中の上方向を「後方」と言う。また、Y軸方向であって図1および図2中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1および図2中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言う。
【0020】
これらの図に示す液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1は、ワークとしての基板Wに対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板Wの素材は、特に限定されず、板状の部材(ワーク)であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0021】
また、本発明で対象とするワークは、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型のワーク(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0022】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワーク搬送テーブル(ワーク搬送ステージ)としての基板搬送テーブル(基板搬送ステージ)3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板Wにガスを吹き付けるブロー装置14と、基板搬送テーブル3の移動距離を測定するレーザー測長器15と、制御装置16と、ドット抜け検出ユニット19とを備えている。
【0023】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料。
【0024】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21と、架台21上に設置された石定盤22とを有している。石定盤22の上には、基板搬送テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板搬送テーブル3は、リニアモータ101の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板Wは、基板搬送テーブル3上に載置される。
【0025】
液滴吐出装置1では、基板搬送テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板Wから、基板搬送テーブル3より小さい比較的小型の基板Wまで、様々な大きさおよび形状の基板Wを対象にすることができる。基板Wは、原則としては基板搬送テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板Wの場合には、基板搬送テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0026】
図1に示すように、基板搬送テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板Wに対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0027】
基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離は、移動距離検出手段としてのレーザー測長器15により測定される。レーザー測長器15は、装置本体2に設置されたレーザー測長器センサヘッド151、プリズム152およびレーザー測長器本体153と、基板搬送テーブル3に設置されたコーナーキューブ154とを有している。レーザー測長器センサヘッド151からX軸方向に沿って出射したレーザー光は、プリズム152で屈曲してY軸方向に進み、コーナーキューブ154に照射される。コーナーキューブ154での反射光は、プリズム152を経て、レーザー測長器センサヘッド151に戻る。液滴吐出装置1では、このようなレーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの吐出タイミングが生成される。
【0028】
また、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ102が、基板搬送テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、リニアモータとガイドとを備えたリニアモータアクチュエータ103の駆動により、メインキャリッジ102とともにX軸方向に前進・後退する。
【0029】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動しつつ、レーザー測長器15を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0030】
また、装置本体2には、基板W上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置14が設置されている。ブロー装置14は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板Wを基板搬送テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板Wへ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置14が設けられている。
【0031】
メンテナンス装置12は、架台21および石定盤22の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするクリーニングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123と、重量測定ユニット125とを有している。
【0032】
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、クリーニング(ワイピング)および定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0033】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止したり、ノズル詰まりを回復(解消)したりすることができる。
【0034】
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
【0035】
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
【0036】
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。
【0037】
定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0038】
重量測定ユニット125は、基板Wに対する液滴吐出動作の準備段階として、液滴吐出ヘッド111からの1回の液滴吐出量(重量)を測定するのに利用するものである。すなわち、基板Wに対する液滴吐出動作前、ヘッドユニット11は、重量測定ユニット125の上方に移動し、各液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルから1回または複数回液滴を重量測定ユニット125に対し吐出する。重量測定ユニット125は、吐出された液滴を受ける液受けと、電子天秤等の重量計とを備えており、吐出された液滴の重量を計測する。または、液受けを取り外して装置外部の重量計で計測してもよい。後述する制御装置16は、その重量計測結果に基づいて、吐出ノズルにおける1回の吐出液滴の量(重量)を算出し、その算出値が予め定められた設計値に等しくなるように、液滴吐出ヘッド111を駆動するヘッドドライバの印加電圧を補正する。
【0039】
ドット抜け検出ユニット19は、石定盤22上における基板テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0040】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシングおよび定期フラッシングで回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、クリーニングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍(好ましくは後述するチャンバ91の外)に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
【0041】
このような液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度の管理がなされた環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納するチャンバ(隔離された空間)91と、チャンバ91の外部に設置された温度調整装置92とを有している。温度調整装置92は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクト93を通ってチャンバ91の天井裏911に送り込まれる。この温調空気は、天井裏911からフィルタ912を透過して、チャンバ91の主室913に導入される。
【0042】
チャンバ91内には、隔壁914、915により別室916が設けられており、タンクユニット13は、この別室916内に設置されている。隔壁914には、主室913と別室916とを連通する連通部(開口)917が形成されている。別室916には、排気ダクト94が接続されている。主室913に導入された温調空気は、連通部917を通過して別室916に流入した後、排気ダクト94を通過してチャンバ装置9の外部に排出される。
【0043】
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板Wや装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板W上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ91内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板Wを清浄に維持することができる。
なお、チャンバ91内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0044】
チャンバ91の外部には、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する制御装置(制御手段)16が設置されている。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部とを有しており、液滴吐出装置1の各部の作動を制御する。
【0045】
図3は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図、図4は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図である。
【0046】
図4に示すように、架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。石定盤22は、無垢の石材で構成され、その上面は、高い平面度を有している。この石定盤22により、周囲の環境条件や振動等の影響を防ぎ、基板搬送テーブル3およびヘッドユニット11が高精度に移動することができる。
【0047】
石定盤22の上には、Y軸方向移動機構としてのリニアモータ101およびエアスライダ108が設置されている。基板搬送テーブル3は、エアスライダ108によりY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ101の駆動によりY軸方向に移動する。また、基板搬送テーブル3の下部には、θ軸回転機構105が設けられており、これにより、基板搬送テーブル3は、基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。また、図3に示すように、基板搬送テーブル3には、載置された基板Wを吸着して固定するための複数の吸引口(吸引部)332が形成されている。
【0048】
図5は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図、図6は、図5中の矢印A方向から見た側面図、図7は、図5中の矢印B方向から見た正面図である。
これらの図に示すように、装置本体2は、石定盤22の上に設置された4本の支柱23と、これらの支柱23により支持されたX軸方向に沿って延びる互いに平行な2本の桁(梁)24および25とをさらに有している。基板搬送テーブル3は、桁24および25の下を通過可能になっている。
【0049】
図5に示すように、桁24および25には、メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とがそれぞれ桁24および25の間に架け渡されるようにして設置されている。桁24には、メインキャリッジ102およびカメラキャリッジ106の共通のX軸方向移動機構として、リニアモータアクチュエータ103が設置されている。メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とは、それぞれ、リニアモータアクチュエータ103と、桁25に設けられたリニアガイドとの案内により、X軸方向に円滑に移動可能に設置されている。メインキャリッジ102と、カメラキャリッジ106とは、リニアモータアクチュエータ103の駆動により、それぞれ独立してX軸方向に移動する。
【0050】
メインキャリッジ102には、ヘッドユニット11が支持されている。ヘッドユニット11がメインキャリッジ102とともにX軸方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド111の副走査が行われる。ヘッドユニット11には、吐出液を供給するための配管(図示せず)や、配線ケーブル(図示せず)等がそれぞれ接続されている。また、ヘッドユニット11は、メインキャリッジ102に対し着脱可能になっている。
【0051】
カメラキャリッジ106には、基板Wの所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラキャリッジ106から下方に吊り下げられた状態で支持されている。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0052】
図8は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0053】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
【0054】
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
【0055】
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ102に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0056】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。後述する基板位置決め装置の作動により基板搬送テーブル3上に基板Wが所定の位置に位置決め(プリアライメント)して載置されると、基板搬送テーブル3の各吸引口332からのエアー吸引により、基板Wは、基板搬送テーブル3に吸着・固定される。次いで、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106がそれぞれ移動することにより、認識カメラ107が基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークの上方に移動し、このアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、θ軸回転機構105が作動して基板Wのθ軸回りの角度が補正されるとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正がデータ上で行われる(本アライメント)。
【0057】
以上のような基板Wのアライメント作業が完了すると、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板搬送テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板搬送テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板W上の、所定の幅(ヘッドユニット111により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0058】
その後、メインキャリッジ102を移動させることにより、ヘッドユニット111を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板Wを主走査方向に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了したら、ヘッドユニット111をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板Wを主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板Wの全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0059】
図9および図10は、それぞれ、図5中の矢印C方向から見た側面図である。以下、図5、図7、図9および図10に基づいて、液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置の構成について説明する。
これらの図に示すように、装置本体2の桁24には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正するY軸方向ガイド41と、このY軸方向ガイド41を昇降させるY軸方向ガイド昇降機構42とが設置されている。Y軸方向ガイド昇降機構42は、例えば空気圧シリンダなどを利用した構成になっている。Y軸方向ガイド昇降機構42は、Y軸方向ガイド41を、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの端面に当接し得る下降位置(図10に示す位置)と、基板搬送テーブル3に載置された基板Wに干渉しない上昇位置(図9に示す位置)とに昇降させる。
【0060】
Y軸方向ガイド41は、鉛直方向の回転軸を中心として回転可能に支持された4個のローラー411で構成されている。図5に示すように、4個のローラー411は、X軸方向に沿って並ぶように配置されている。Y軸方向ガイド41は、下降位置にあるとき、4個のローラー411の外周面を当接点として基板Wの1つの辺の端面に当接することができる。これにより、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正する際、当接した基板Wの辺がX軸方向に平行になるように基板Wの姿勢を修正することもできる。図示の構成では、4個のローラー411は、2個ずつに2つに分かれて支持され、それぞれに対応して設けられたY軸方向ガイド昇降機構42により昇降するようになっている。なお、ローラー411(当接点)は、少なくとも2個設けられていればよい。
【0061】
装置本体2の桁25には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するY軸方向の位置を修正する第2のY軸方向ガイド43と、この第2のY軸方向ガイド43を昇降させる第2のY軸方向ガイド昇降機構44とが設置されている。すなわち、第2のY軸方向ガイド43は、Y軸方向ガイド41からY軸方向に離れた位置に設置されている。第2のY軸方向ガイド43は、4個のローラー431で構成されている。第2のY軸方向ガイド43および第2のY軸方向ガイド昇降機構44の構成は、それぞれ、Y軸方向ガイド41およびY軸方向ガイド昇降機構42と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図9に示すように、カメラキャリッジ106には、基板Wの基板搬送テーブル3に対するX軸方向の位置を修正するX軸方向ガイド45と、このX軸方向ガイド45を昇降させるX軸方向ガイド昇降機構46とが設置されている。X軸方向ガイド昇降機構46は、例えば空気圧シリンダなどを利用した構成になっている。X軸方向ガイド昇降機構46は、X軸方向ガイド45を、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの端面に当接し得る下降位置(図10に示す位置)と、基板搬送テーブル3に載置された基板Wに干渉しない上昇位置(図9に示す位置)とに昇降させる。
【0063】
X軸方向ガイド45は、鉛直方向の回転軸を中心として回転可能に支持された2個のローラー451で構成されている。2個のローラー451は、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている。X軸方向ガイド45は、下降位置にあるとき、2個のローラー451の外周面を当接点として基板Wの1つの辺の端面に当接することができる。これにより、基板Wの基板搬送テーブル3に対するX軸方向の位置を修正する際、当接した基板Wの辺がY軸方向に平行になるように基板の姿勢を修正することもできる。図示の構成では、2個のローラー451は、それぞれ別個に支持され、それぞれに対応して設けられたY軸方向ガイド昇降機構46により昇降するようになっている。
【0064】
このようなX軸方向ガイド45は、X軸方向移動機構としてのリニアモータアクチュエータ103の駆動により、カメラキャリッジ106とともに基板搬送テーブル3に対しX軸方向に相対的に移動する。
なお、ローラー411、431、451は、少なくともその外周面が樹脂材料またはゴム等の弾性材料で構成されているのが好ましい。これにより、基板Wを傷つけることが防止される。
【0065】
図11は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルを示す斜視図、図12および図13は、それぞれ、図11中の矢印Dで示す部分を拡大して示す一部切欠き側面図である。以下、これらの図に基づいて、基板搬送テーブル3の構成について詳細に説明する。
図11に示すように、基板搬送テーブル3は、基台36と、基台36上に設置された複数のブロック33と、基台36上に設置された複数のボールリフト装置34とを有している。
【0066】
基台36は、第1の板31と、第1の板31の下面側に重ねて接合された第2の板32とで構成されている。この第1の板31と第2の板32とは、物理的特性(機械的特性)が互いに異なる(異種の)材料で構成されている。ここで、物理的特性としては、例えば、密度、硬度、加工性(加工のし易さ)、ヤング率、横弾性係数、ポアソン比等の弾性定数、引張り強さ、せん断強さ等を言い、第1の板31と第2の板32とは、これらのうちの少なくとも1つの特性が互いに異なるものである。これにより、基台36は、それぞれの構成材料の利点を併有することができ、以下に説明するように、各種の好ましい特性を発揮することができる。
【0067】
第1の板31の構成材料は、第2の板32の構成材料より、例えば切削、研削、せん断(打ち抜き)、孔あけ等の機械加工が容易なもの(加工性に優れるもの)であるのが好ましい。これにより、第1の板31は、加工性に優れるので、後述する溝311を形成する加工や、後述するブロック33およびボールリフト装置34を固定するためのネジ孔などの各種の孔を形成する加工などを容易に行うことができる。その結果、基板搬送テーブル3は、複雑な形状・構造のものでも容易に製造することができ、製造コストの低減、製造に要する期間の短縮が図れる。
【0068】
第1の板31の構成材料は、前述したような加工性を考慮して、例えば炭素鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅または銅系合金、アルミニウムまたはアルミニウム系合金等の各種金属材料であるのが好ましく、鉄系合金であるのがより好ましく、ステンレス鋼または炭素鋼であるのがさらに好ましい。
【0069】
第1の板31の上面の色は、黒色であるのが好ましい。これにより、基板Wが透明または半透明のものである場合、認識カメラ107が基板Wのアライメントマークを認識する際に、アライメントマークの背景がブラックアウトしてアライメントマークが際立つので、アライメントマークの認識を円滑、迅速かつ確実に行うことができる。
【0070】
第1の板31の上面には、レイデント処理(特にフッ素レイデント処理)が施されているのが好ましい。ここで、レイデント処理とは、表面に主としてクロム系化合物で構成される被膜を形成する処理である。このレイデント処理により、基台36の上面の耐食性を向上することができるので、液滴吐出ヘッド111からの液滴吐出時に、吐出液が飛散して基台36の上面に付着したような場合であっても、基台36の腐食を防止(抑制)することができる。さらに、レイデント処理を行った部分は、黒色を呈するので、上述したようにアライメントマークの認識の際にも有利である。なお、レイデント処理は、ブロック33の外表面や、第1の板31の下面側にも施されていてもよい。
【0071】
第2の板32は、基台36(基板搬送テーブル3)の剛性を確保して、基台36の上面の平面度や、各載置面331の集合により構成される平面の平面度(以下、これらを総称して単に「平面度」と言う)などの精度を確保するのを主な目的として設置されているものである。この第2の板32が設けられていることにより、基板搬送テーブル3は、比較的大型のものであっても高い平面度を確保することができ、よって、支持した基板Wの平面度を高く維持することができる。その結果、液滴吐出装置1では、基板Wに吐出液により形成(描画)するパターンの精度を高くすることができる。
【0072】
第2の板32は、十分な剛性を得るために、その平均厚さが第1の板31の平均厚さより大きい(厚い)ものであるのが好ましい。第2の板32の平均厚さは、特に限定されないが、基台36(基板搬送テーブル3)に十分な剛性を確保する観点から、通常は、第1の板31の平均厚さをT1、第2の板の平均厚さをT2としたとき(図18参照)、1≦T2/T1≦10なる関係を満足するのが好ましく、2≦T2/T1≦8なる関係を満足するのがより好ましい。
【0073】
また、基台36(基板搬送テーブル3)に十分な剛性を確保する観点から、第2の板32は、第1の板31の構成材料のヤング率をE1、第2の板32の構成材料のヤング率をE2としたとき、E2/E1≧0.4なる関係を満足するものであるのが好ましく、E2/E1≧0.5なる関係を満足するものであるのがより好ましい。
また、第2の板32は、第1の板31に対し、このヤング率の関係と、上記の厚さの関係とを両方満足するものであるのがさらに好ましい。
【0074】
また、第2の板32の構成材料は、第1の板31の構成材料より、密度が小さいものであるのが好ましい。これにより、基台36(基板搬送テーブル3)は、十分な剛性を確保しつつ、軽量なものになる。その結果、基台36(基板搬送テーブル3)は、自重による撓み(変形)がさらに小さくなって、平面度をより高いレベルで確保することができるとともに、基板搬送テーブル3を駆動するY軸方向移動機構の負担が軽減され、基板搬送テーブル3の移動の高速化にも有利である。
【0075】
第2の板32の構成材料は、特に限定されないが、比較的高い剛性(ヤング率)と、比較的小さい密度との両立を図る観点から、金属−セラミックス複合材料、各種セラミックス、各種石材料(例えばグラナイト(花崗岩)等)であるのが好ましく、金属−セラミックス複合材料であるのがより好ましい。
【0076】
ここで、金属−セラミックス複合材料について説明する。金属−セラミックス複合材料とは、セラミックス粉末またはセラミックス繊維を強化材とし、金属をマトリックスとして、例えば非加圧浸透法、加圧浸透法、真空鋳造法、高圧鋳造法、粉末冶金法等を用いて製造した複合材料を言う。セラミックスの種類は特に限定されず、アルミナ、炭化けい素、窒化けい素、窒化アルミニウム、ムライト、スピネル等の一般的なセラミックス粉末またはセラミックス繊維を使用することができるが、特に比重が小さく、剛性が高く、熱膨張係数が小さく、熱伝導性が良好で、しかもセラミックスの含有率をより高くすることができることから、炭化けい素(SiC)粉末がより好適である。また、そのセラミックス粉末またはセラミックス繊維の複合材料中の含有率としては、30〜80体積%が好ましい。また、マトリックスとして使用する金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であるのが好ましく、Al−Si−Mg系のアルミニウム合金がより好適である。Al−Si−Mg系のアルミニウム合金は、AlとSiCとの反応で生じる有害なAl4C3の生成を防止することができ、Mgを含むと溶融したアルミニウム合金をセラミックス粉末またはセラミックス繊維の間隙中に非加圧で浸透させることができるからである。また、これらセラミックスと金属を用いて複合材料を製造する方法には、非加圧浸透法、加圧浸透法、真空鋳造法、高圧鋳造法、粉末冶金法等いくつかあるが、その中でもセラミックスの含有率を広く、かつ高い範囲まで変えることができること、セラミックスが均一に分散しているので均質な製品を製造することができること、加圧装置が不要なので容易に安価に製造することができること、また大型品を製造することができること、かなり複雑な形状をニアネットで作ることができることなどの利点を有する非加圧浸透法がより好適である。具体的には、まずセラミックス粉末またはセラミックス繊維で第2の板32の形状に合わせたプリフォームを形成し、そのプリフォーム中に溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金を窒素雰囲気中で非加圧で浸透させて製造する方法である。
【0077】
上述したような金属−セラミックス複合材料は、鉄系合金と概ね同等の剛性(ヤング率)を有するとともに、密度は鉄系合金の3分の1程度であるため、第2の板32を金属−セラミックス複合材料で構成することにより、第2の板32は、その厚さT2を大きくしても軽量であるので、軽量化と高剛性化を両立することができる。また、第2の板32により十分な剛性を確保できるので、第1の板31を薄いものにすることができる。その結果、基板搬送テーブル3(基台36)をより高いレベルで軽量かつ高剛性のものとすることができる。
【0078】
第1の板31と第2の板32とを接合して固定する方法は、特に限定されず、例えば、ボルト等の固定部材による固定、接着剤による接着、溶接、ろう接など、いかなる方法でもよい。また、第1の板31と第2の板32との間に例えばガスケットなどが介挿されていてもよい。また、基台36には、種々の目的で、第1の板31の上側、第2の板32の下側、または第1の板31と第2の板32との間に、第3の板が重ねて設置されていてもよい。
【0079】
また、第2の板32は、前述した材料に限らず、各種金属材料で構成されていてもよい。例えば、基台36は、第1の板31をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成し、第2の板32を鉄系合金で構成したようなものであってもよい。
【0080】
複数のブロック33は、基台36上で、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている。これらのブロック33の上面は、基板Wが載置される(基板Wが当接する)載置面(当接面)331を構成する。各ブロック33の大きさ(各載置面331の面積)や、ブロック33とブロック33との間隔は、載置面331に基板Wが載置されたとき、基板Wに、吐出液滴によるパターンの形成(描画)において問題となるような撓み(変形)が生じないような大きさとなるように設定されている。
【0081】
各ブロック33には、載置された基板Wを負圧により吸着するための吸引部として、載置面331に開口する吸引口332が形成されている。
図示の構成では、9×11で99個のブロック33が設置されている。ブロック33の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、4〜400個程度であるのが好ましく、4〜100個程度であるのがより好ましい。
【0082】
このようなブロック33が設けられていることにより、載置面331に基板Wが載置されたとき、基板Wと基台36との間には、後述するバー501のような棒状体をY軸方向後方からY軸方向前方に向かって挿入可能な隙間(空間)35が形成される。これにより、基板搬送テーブル3への基板Wの給材(搬入)および除材(搬出)を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。図示の構成では、この隙間35は、8箇所に形成されるが、最低2本の棒状体(バー501)があれば基板Wを支持することができるので、この2本の棒状体が挿入可能なように、隙間35は、少なくとも2個所に形成されればよい。
【0083】
また、本実施形態では、ブロック33が行列状に配置されていることにより、基板Wと基台36との間に、棒状体をX軸方向からも挿入可能な隙間(空間)37が形成される。これにより、基板搬送テーブル3に対しX軸方向からも基板Wを給材および除材することができる。隙間37は、少なくとも2箇所に形成されるのが好ましく、図示の構成では、10箇所に形成される。
【0084】
なお、少なくとも2箇所の隙間35と、少なくとも2箇所の隙間37とは、その両方が形成されるのが好ましいが、いずれか一方でもよい。すなわち、載置面331に載置された基板Wと基台36との間には、水平な一方向から棒状体を挿入可能な隙間が少なくとも2個所に形成されればよい。よって、基板搬送テーブル3は、図示の構成に限らず、例えば隙間35のみが形成されればよい場合には、Y軸方向に並ぶ複数のブロック33が各列毎に互いに連結されたような形状の、Y軸方向に細長いブロックが間隔を空けて複数並設されているようなものでもよい。
【0085】
複数のボールリフト装置34は、基台36上に、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている。これら複数のボールリフト装置34は、互いに同様の構成であるので、1つのボールリフト装置34について代表して説明する。図12に示すように、ボールリフト装置34は、ブロック33より高さが低くされたハウジング341と、ハウジング341内に設けられた空気圧シリンダ(ボール昇降機構)342と、空気圧シリンダ342のピストンとしても機能するボール支持体343と、ボール支持体343に複数の小球(ベアリング)345を介して滑らかに回転可能に支持されたボール(球体)344とを有している。ボール344は、その上部がボール支持体343から露出した状態で支持されている。
【0086】
空気圧シリンダ342には、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置された図示しないエアー供給源(圧力供給源)からの空気圧を供給する配管346が接続されている。Y軸方向に並ぶ一列の各ボールリフト装置34の各空気圧シリンダ342は、Y軸方向に並ぶハウジング341同士を連結する連結部348の内部に形成された通路347により互いに連通しており、1つの配管346によりY軸方向の一列のボールリフト装置34のすべてに空気圧が供給される。
空気圧シリンダ342の作動により、ボール344は、ボール支持体343とともに、ボール344の少なくとも一部が載置面331より上側に突出する上昇位置(図13に示す位置)と、ボール344の全体が載置面331より下側に退避する下降位置(図12に示す位置)とに昇降する。
【0087】
図13に示すように、ボールリフト装置34は、ボール344を上昇させることにより、各ボール344(基板Wの大きさが基板搬送テーブル3の大きさより小さいものである場合には、基板Wの領域内にあるボール344)で基板Wを持ち上げ、載置面331から離間した位置で基板Wを支持する。この状態では、基板Wが載置面331を擦ることがないとともにボール344が自由に回転するので、基板Wは、傷つくことなく基板搬送テーブル3上でY軸方向およびX軸方向に自由に移動(回転も含む)可能になる。なお、ボール344は、樹脂材料(例えばメラミン樹脂等)で構成されているのが好ましい。これにより、基板Wを傷つけることがより確実に防止される。
【0088】
ボールリフト装置34とボールリフト装置34との間隔は、上昇させたボール344によって基板Wを支持したときに、基板Wがブロック33に接触したり、基板Wが損傷したりしないように、基板Wの撓み(変形)が許容範囲内になるような間隔に設定されている。図示の構成では、8×11で88個のボールリフト装置34が設置されている。ボールリフト装置34の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、ブロック33の個数と同程度であるのが好ましい。また、ボールリフト装置34の最低個数としては、一直線上に並ばない少なくとも3つのボール344で基板Wを支持し得るように、一直線上に並ばないように配置された少なくとも3個のボールリフト装置34が設置されていればよい。
【0089】
本実施形態では、各ボールリフト装置34は、それぞれ、各ブロック33の近傍に設置されている。これにより、基板Wがボール344に支持された状態のときに基板Wが撓んで傾斜した場合であっても、基板Wがブロック33に接触するのをより確実に防止することができる。
【0090】
図14および図15は、それぞれ、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルに、基板を搬入・載置する作業の様子を示す平面図および側面図である。以下、これらの図に基づいて、基板Wを基板搬送テーブル3上に給材する作業について説明するが、後述するように、基板搬送テーブル3に給材された基板Wは、その後、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45を用いて位置決め(プリアライメント)されるので、以下の作業では、大まかに位置を合わせて基板Wを載置すればよい。
【0091】
液滴吐出装置1の基板搬送テーブル3上に基板Wを搬入・載置する際には、チャンバ91に設けられた基板搬入用扉(図示せず)を開き、台車50を利用して、基板Wを基板搬送テーブル3の近くまで運ぶ。このとき、基板搬送テーブル3のボールリフト装置34は、ボール344が下降した状態になっていても上昇した状態になっていてもよい。台車50には、互いに平行に配置された複数(図示の構成では4本)のバー(棒状体)501を有するフォーク502が設けられており、このフォーク502上に基板Wが載せられている。このとき、バー501は、Y軸方向に平行となるような向きとされる。
【0092】
図14および図15に示す状態から、作業者60がフォーク送りハンドル503を回すと、フォーク502が図中の右方向に前進する。フォーク502および基板Wが基板搬送テーブル3の上方まで移動したら、作業者60は、フォーク昇降ハンドル504を回して、フォーク502および基板Wを下降させ、基板Wを(基板Wの領域内にある)各載置面331または各ボール344に接地(当接)させる。このとき、フォーク502を構成する各バー501は、それぞれ、前述した8箇所の隙間35のうちの4箇所にそれぞれ入り込む(挿入する)ので、フォーク502は、載置面331と基板Wとの間に挟まれることはない。したがって、作業者60は、フォーク送りハンドル503を前記と反対方向に回してフォーク502を図中の左方向に後退させることにより、フォーク502を基板Wと基板搬送テーブル3との間の隙間35から引き抜くことができる。以上により、基板搬送テーブル3に、基板Wを給材する作業が終了する。
【0093】
液滴吐出装置1での基板Wに対する液滴吐出動作(パターンの描画)が終了した後には、前記と逆の手順によって、基板搬送テーブル3に載置された基板Wの除材(搬出)を行うことができる。
このように、基板搬送テーブル3では、隙間35が形成されることにより、基板Wの給材および除材を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。
【0094】
図16および図17は、それぞれ、図1および図2に示す液滴吐出装置が備える基板位置決め装置により実施される基板位置決め方法を模式的に示す側面図および正面図である。以下、これらの図に基づいて、液滴吐出装置1の基板搬送テーブル3上に給材(搬入)された基板Wを基板搬送テーブル3に対し位置決め(プリアライメント)する基板位置決め方法について説明する。なお、以下の説明では、基板Wの中心W1を基板搬送テーブル3の中心に一致させるように位置決めする場合を例に説明するが、基板Wを位置決めする位置は、これに限定されない。
【0095】
液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置は、制御装置16の制御により、以下に説明するように作動する。基板Wの位置決め前、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45は、基板Wに干渉しないよう上方に退避している。そして、前述したような作業により基板搬送テーブル3上に基板Wが給材されたら、基板搬送テーブル3がY軸方向に前進し、基板WのY軸方向後端W2がY軸方向ガイド41より前方に位置する状態とする。また、基板搬送テーブル3は、各ボール344を上昇させることにより、基板搬送テーブル3上で基板Wが自由に移動可能な状態とする。
【0096】
次いで、図16に示すようなY軸方向位置修正工程を行う。Y軸方向位置修正工程では、まず、図16の▲1▼に示すように、Y軸方向ガイド41を下降させた状態で、基板搬送テーブル3をY軸方向に後退させつつ、Y軸方向ガイド41を基板WのY軸方向後端W2の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データ(例えば、基板Wの形状、長さ、幅、厚さ等の寸法、基板Wの属性(基板ナンバー等)、材質、アライメントマーク位置等の情報を含むデータ)に基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のY軸方向中央位置に一致するような位置まで基板搬送テーブル3をY軸方向に後退させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しY軸方向後方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にY軸方向に前進して、Y軸方向の位置が修正される。
【0097】
なお、液滴吐出装置1では、基板Wの種類に応じた複数組の寸法データを制御装置16の記憶部に予め記憶しておくことにより、複数種類の基板Wに対応して、基板の位置決め(プリアライメント)や、その後の液滴吐出動作を行うことができる。また、基板Wの寸法データには、基板搬送テーブル3上での基板Wの位置決めすべき位置を含ませることもでき、これにより、基板搬送テーブル3上での基板Wの位置決めする位置を設定(変更)することができる。
【0098】
次いで、図16の▲2▼に示すように、Y軸方向ガイド41を上昇させるとともに、第2のY軸方向ガイド43を下降させた状態で、基板搬送テーブル3をY軸方向に前進させつつ、Y軸方向ガイド41を基板WのY軸方向前端W3の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のY軸方向中央位置に一致するような位置まで基板搬送テーブル3をY軸方向に前進させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しY軸方向前方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にY軸方向に後退して、Y軸方向の位置が修正される。なお、以上のようなY軸方向修正工程の図16の▲1▼、▲2▼の順序は上記と逆でもよい。
【0099】
次いで、図17に示すようなX軸方向位置修正工程を行う。X軸方向位置修正工程では、図17の▲1▼に示すように、X軸方向ガイド45を下降させた状態でX軸方向に後退させつつ、X軸方向ガイド45を基板WのX軸方向前端W4の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のX軸方向中央位置に一致するような位置まで、X軸方向ガイド45をX軸方向に後退させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しX軸方向前方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にX軸方向に後退して、X軸方向の位置が修正される。
【0100】
次いで、X軸方向ガイド45を一旦上昇させ、X軸方向ガイド45が基板WのX軸方向後端W5より後方に位置するようにX軸方向に後退させる。この状態から、図17の▲2▼に示すように、X軸方向ガイド45を下降させた状態でX軸方向に前進させつつ、X軸方向ガイド45を基板WのX軸方向後端W5の端面に当接(接触)させる。そして、制御装置16の記憶部に予め記憶された基板Wの寸法データに基づき、中心W1が基板搬送テーブル3のX軸方向中央位置に一致するような位置まで、X軸方向ガイド45をX軸方向に前進させる。これにより、基板Wが基板搬送テーブル3に対しX軸方向後方に片寄った位置にあった場合、基板Wは、基板搬送テーブル3に対し相対的にX軸方向に前進して、X軸方向の位置が修正される。
【0101】
以上のようなX軸方向修正工程の間、Y軸方向ガイド41および第2のY軸方向ガイド43は、上昇した状態になっていてもよいが、第2のY軸方向ガイド43(またはY軸方向ガイド41)が下降して基板WのY軸方向前端W3(またはY軸方向後端W2)に当接(接触)した状態を維持してもよい。これにより、Y軸方向位置修正工程により修正した基板WのY軸方向の位置がずれるのをより確実に防止しつつ、X軸方向の位置修正を行うことができる。また、この場合、ローラー431(またはローラー411)が回転するので、基板WがX軸方向に移動するのを第2のY軸方向ガイド43(またはY軸方向ガイド41)が妨げることはない。
また、以上のようなX軸方向修正工程の図17の▲1▼、▲2▼の順序は上記と逆でもよい。さらに、Y軸方向修正工程とX軸方向修正工程との順序も、上記と逆でもよい。
【0102】
このようなY軸方向修正工程およびX軸方向修正工程の際、基板Wの大きさが基板搬送テーブル3より小さいものである場合には、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43、X軸方向ガイド45は、下降した状態で基板搬送テーブル3の領域の上空に進入する必要があるが、このとき、ローラー411および431は、隙間35を通過可能であり、ローラー451は、隙間37を通過可能であるので、ローラー411、431、451がブロック33やボールリフト装置34に接触するのをより確実に防止することができる。
【0103】
以上のようなY軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を終えたら、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106をそれぞれ移動させることにより、基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマーク(図示せず)を認識カメラ107に認識しに行かせる。このとき、認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入っていれば、基板Wのプリアライメントを終了する。認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入っていない場合には、Y軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を再度行った後、認識カメラ107に再度アライメントマークを認識しに行かせる。このようにして、認識カメラ107の視野内にアライメントマークが入るまで、Y軸方向修正工程およびX軸方向修正工程を複数回繰り返し行ってもよい。また、認識カメラ107と基板Wとをそれぞれ微小に移動させることによってアライメントマークが認識カメラ107の視野内に入るように制御し、その後、本アライメント作業に移行することとしてもよい。
【0104】
基板Wのプリアライメントを終了したら、各ボール344を下降させて基板Wを載置面331に接地(当接)させるとともに、吸引口332からのエアー吸引により、基板Wを基板搬送テーブル3に吸着・固定する。その後、制御装置16は、認識カメラ107による基板Wのアライメントマークの認識結果に基づいて、θ軸回転機構105を作動させて基板Wのθ軸回りの角度を補正するとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正をデータ上で行う。これが、基板Wの本アライメントとなる。その後、液滴吐出装置1は、前述したような液滴吐出動作を基板Wに対して行う。
【0105】
本実施形態では、以上説明したような基板位置決め装置により、簡単な構成で、基板Wを基板搬送テーブル3上で正確に(高精度で)位置決めすることができる。よって、基板搬送テーブル3上に基板Wを搬入・載置する際、大まかに位置を合わせて載置すれば済み、正確な位置に基板Wを給材する必要がない。よって、ロボット(産業用ロボット)を利用して基板Wを正確に位置決めして給材せずに、前述したような作業で人手によって基板Wを給材してもよいので、ロボットを用いない場合には、その分の設備投資額を少なくすることができ、コスト低減が図れる。また、給材にロボットを利用するのが困難な比較的大型の基板Wを扱う際にも有利である。また、基板Wの給材にロボットを利用する場合であっても、基板Wが大型のものになると、基板Wのアライメントマークが認識カメラ107の視野内に入るように正確に位置決めして給材するのが難しくなるが、このような場合でも、給材時の正確な位置決めが不要であるので、不都合を生じない。よって、大型の基板Wをロボットを利用して給材し、量産を図るような場合にも有利であり、コスト低減に寄与する。また、基板Wの寸法を予め制御装置16に入力しておけば、基板Wの大きさにかかわらず位置決めを行うことができる。また、基板Wが矩形の場合に限らず、基板Wが円形の場合でも位置決めを行うことができる。また、基板Wの厚さにかかわらず位置決めを行うこともできる。
【0106】
図18は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルのブロックの設置部分における断面側面図、図19は、図1および図2に示す液滴吐出装置における基板搬送テーブルの平面図である。なお、図19中には、便宜上、吸引口への吸引配管系統図も併せて記載している。以下、これらの図に基づいて、基板搬送テーブル3の複数の吸引口332への吸引経路について説明する。
【0107】
図18に示すように、基板搬送テーブル3では、基台36の第1の板31の接合面側(第2の板32との接合面側)に溝311が形成されている。これにより、基台36の内部には、この溝311と第2の板32の上面(第1の板31との接合面)とで囲まれる細長い空間(内腔)が形成されており、この細長い空間が各吸引口332への吸引流路38を構成している。
【0108】
吸引流路38は、各ブロック33の下を通るように形成されている。各ブロック33の下に位置する第1の板31には、溝311の位置において第1の板31の上面に貫通する孔312が形成されている。ブロック33の内部には、吸引口332に連通する流路がブロック33の下面まで貫通して形成され、この流路が孔312を介して吸引流路38(溝311)と連通している。
【0109】
このようにして、基板搬送テーブル3では、基台36の内部に吸引口332への吸引流路38を形成したことにより、各吸引口332への吸引配管(チューブ)やそれらを接続する継ぎ手を省略(または点数削減)することができるため、部品点数が少なく、構造が簡単で、製造コストの低減が図れる。また、配管や継ぎ手の接続部分が少ないので、この接続部分から空気漏れを生じるようなおそれが少なく、基板Wを確実に吸着することもできる。また、基板搬送テーブル3の上面側に配置される配管を無くす(または減らす)ことができるので、これらの配管が台車50のバー501や、Y軸方向ガイド41、第2のY軸方向ガイド43およびX軸方向ガイド45等と干渉するのを防止することができる。
【0110】
なお、吸引流路38は、第2の板32の接合面側(第1の板31との接合面側)に形成した溝によって構成されていてもよく、第1の板31および第2の板32の接合面側にそれぞれ形成した溝によって構成されていてもよい。
【0111】
図19に示すように、本実施形態では、複数(図示の構成では、99個)の吸引口332は、平面視で、行列状に並んで配置されている。これにより、いかなる大きさおよび形状の基板Wに対しても、適当な個数の吸引口332が位置するので、基板Wをより確実に吸着することができる。なお、吸引口332と吸引口332との間隔やその内径は、基板Wを必要かつ十分な力で吸着できるように設定されている。また、複数の吸引口332の配設パターンは、図示の構成に限らず、例えば、平面視で放射状に並ぶように配設されていてもよい。
【0112】
基台36の内部に形成された吸引流路38は、第1の系統381、第2の系統382および第3の系統383の複数(3つ)の系統に分かれており、各系統を選択して使用可能になっている。
【0113】
吸引流路38の第1の系統381は、基板搬送テーブル3の中心部付近に位置する第1の吸引口群に対応している。第1の吸引口群は、図19中の一点鎖線αの内側の領域に位置する9個の吸引口332で構成されている。第1の系統381は、この第1の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0114】
基台36の上面側には、第1の吸引口群の各吸引口332への吸引経路の一部を構成する吸引配管(チューブ)51が設置されている。すなわち、吸引配管51は、第1の吸引口群のうちの1つの吸引口332が形成されたブロック33の側壁部に接続されることにより、第1の系統381に接続(連通)されている。吸引配管51は、基台36の縁部まで基台36上に沿って配設され、さらに基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ(吸引力発生源)181に接続されている。真空ポンプ181は、通常、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置されるが、この真空ポンプ181に限らず、例えば工場内に配設された真空系統(工場真空)を吸引力発生源として使用してもよい。
【0115】
吸引流路38の第2の系統382は、第1の吸引口群の外側(外周側)に位置する第2の吸引口群に対応している。第2の吸引口群は、図19中の一点鎖線αの外側であって二点鎖線βの内側の領域に位置する26個の吸引口332で構成されている。第2の系統382は、この第2の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0116】
基台36の上面側には、第2の吸引口群の各吸引口332への吸引経路の一部を構成する吸引配管(チューブ)52が設置されている。すなわち、吸引配管52は、第2の吸引口群のうちの1つの吸引口332が形成されたブロック33の側壁部に接続されることにより、第2の系統382に接続(連通)されている。吸引配管52は、基台36の縁部まで基台36上に沿って配設され、さらに基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ181に接続されている。吸引配管52の途中には、流路を流通させる状態と遮断する状態とを切り替え可能な切り替え弁54が設置されている。
【0117】
基台36の上面には、基台36上に位置する部分の吸引配管51、52の全部または一部をそれぞれ収納(格納)する配管収納溝361、362が形成されている。これにより、吸引配管51、52は、基台36の上面から突出することなく配置され、邪魔にならないようになっている。なお、吸引配管51、52は、ボールリフト装置34とボールリフト装置34とを連結する連結部348の下側に挿通されている。
【0118】
また、平面視で、吸引配管51は、第2の経路382および第3の経路383と連通することなく交差して基板搬送テーブル3の外部に伸びており、吸引配管52は、第3の経路383と連通することなく交差して基板搬送テーブル3の外部に伸びている。このように、基板搬送テーブル3では、吸引流路38と、基台36の上面側に設置する吸引配管とを連通することなく交差可能であるので、吸引経路を立体的に形成することができ、多彩なパターンの吸引経路を容易に構成することができる。
【0119】
吸引流路38の第3の系統383は、第2の吸引口群の外側(外周側)に位置する第3の吸引口群に対応している。第3の吸引口群は、図19中の二点鎖線βの外側の領域に位置する64個の吸引口332で構成されている。第3の系統383は、この第3の吸引口群の各吸引口332の下を通る位置に形成され、これらの吸引口332に連通している。
【0120】
基台36の側部には、第3の系統383に連通する吸引配管(チューブ)53が接続されている。吸引配管53は、基板搬送テーブル3の外部に伸びて、真空ポンプ181に接続されている。吸引配管53の途中には、流路を流通させる状態と遮断する状態とを切り替え可能な切り替え弁55が設置されている。
【0121】
切り替え弁54および55は、自動で作動可能になっており、制御手段16は、前述した基板Wの寸法データに基づき、切り替え弁54および55のそれぞれの作動を制御する。すなわち、基板Wが基板搬送テーブル3と同程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54および55をともに流通状態とすることにより、第1の系統381、第2の系統382および第3の系統383をすべて使用して、全吸引口332からの吸引により、基板Wの吸着を行う。
【0122】
また、基板Wが二点鎖線βで示す程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54を流通状態、切り替え弁55を遮断状態とすることにより、第1の系統381および第2の系統382を使用して、第1の吸引口群および第2の吸引口群の各吸引口332から吸引により、基板Wの吸着を行う。さらに、基板Wが一点鎖線αで示す程度の大きさのものである場合には、切り替え弁54および55をともに遮断状態とすることにより、第1の系統381のみを使用して、第1の吸引口群の各吸引口332から吸引により、基板Wの吸着を行う。
【0123】
このように、本実施形態の基板搬送テーブル3では、吸引流路38の複数の系統を選択して使用することにより、基板Wの大きさおよび形状に応じて、基板Wを吸着する領域を選択することができる。これにより、真空ポンプ181の吸引力を無駄にすることがないので、効率が良い。また、基板Wに対する吸着力をより強くすることができ、基板Wを基板搬送テーブル3により確実に固定することができる。なお、吸引流路38は、3つの系統に分かれているものに限らず、2つまたは4つ以上の系統に分かれていてもよい。
【0124】
なお、本実施形態では、吸引流路38の各系統が共通の真空ポンプ181に接続されているが、各系統に別個に真空ポンプを設けてもよい。また、吸引流路38の各系統に対応する各吸引口群の配置パターンは、図示の構成に限らず、いかなる配置パターンでもよい。また、吸引流路38は、複数系統に分かれず、その全体が連通しているものでもよい。
【0125】
また、本実施形態では、基台36の内部に形成された吸引流路38により全吸引口332がカバーされているが、基台36の内部には、少なくとも一部の吸引口332のための吸引流路38が形成されていればよく、吸引流路38によらずに別個のチューブなどによって接続される吸引口332が他にあってもよい。また、切り替え弁54および55の切り替えは、手動で行ってもよい。
【0126】
以上説明したように、本発明によれば、ワーク搬送テーブルを軽量かつ高剛性とするとともに、ワーク搬送テーブルの製造も容易に行うことができ、製造コストの低減、製造に要する期間の短縮が図れる。また、ワーク搬送テーブルが高剛性であることにより、平面度を高くすることできるので、ワークを高い平面度で支持することができる。よって、ワークに対する処理を高い精度で行うことができ、高性能のワークを製造することができる。
【0127】
以上、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置および液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0128】
また、ワーク搬送テーブルは、複数のブロックおよびボールリフト装置を備えないものでもよく、例えば、複数の吸引口が基台の上面に開口するように形成され、基台の上面に直接にワークを載置するようなものでもよい。また、ワーク搬送テーブルは、基台の内部に各吸引口への吸引流路が形成されていないものでもよい。
【0129】
また、ワーク搬送テーブルは、ワークの給材・除材時にワークを持ち上げるワークリフト機構(テーブルの載置面より上側に突出する位置と載置面より下側に退避する位置とに昇降する支持部を有し、該支持部が載置面から突出することによりワークを載置面から離間した位置で支持するような機構)を備えるものでもよい。
【0130】
また、本発明のワーク搬送装置では、ワーク搬送テーブルを装置本体に対しX軸方向に移動させる機構を有していてもよい。この場合、本発明の液滴吐出装置は、ヘッドユニットを装置本体に対し固定とし、ワークをY軸方向およびX軸方向にそれぞれ移動させることにより、主走査および副走査を行うよう構成してもよい。
【0131】
また、本実施形態においては、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置を液滴吐出装置に適用した場合について説明したが、本発明のワーク搬送テーブル、ワーク搬送装置は、これに限らず、例えば露光装置などの他の各種の装置にも適用することができる。
【0132】
また、本発明の電気光学装置は、以上説明したような本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。本発明の電気光学装置の具体例としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
【0133】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、液晶表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色のフィルタ材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、基板上に多数のフィルタエレメントを配列してなるカラーフィルタを製造し、このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造することができる。この他、本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、有機EL表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色の発光材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、EL発光層を含む多数の絵素ピクセルを基板上に配列してなる有機EL表示装置を製造することができる。
【0134】
また、本発明の電子機器は、前述したようにして製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。本発明の電子機器の具体例としては、特に限定されないが、前述したようにして製造された液晶表示装置や有機EL表示装置を搭載したパーソナルコンピュータや携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す側面図。
【図3】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図。
【図4】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図。
【図5】ヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図。
【図6】図5中の矢印A方向から見た側面図。
【図7】図5中の矢印B方向から見た正面図。
【図8】ヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を示す模式的平面図。
【図9】図5中の矢印C方向から見た側面図。
【図10】図5中の矢印C方向から見た側面図。
【図11】基板搬送テーブルを示す斜視図。
【図12】図11中の矢印Dの部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図13】図11中の矢印Dの部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図14】基板搬送テーブルに基板を給材する作業の様子を示す平面図。
【図15】基板搬送テーブルに基板を給材する作業の様子を示す側面図。
【図16】基板位置決め装置の作動を模式的に示す側面図。
【図17】基板位置決め装置の作動を模式的に示す正面図。
【図18】基板搬送テーブルのブロックの設置部分における断面側面図。
【図19】基板搬送テーブルの平面図。
【符号の説明】
3……基板搬送テーブル、31……第1の板、32……第2の板、33……ブロック、331……載置面、332……吸引口、34……ボールリフト装置、35……隙間、36……基台、37……隙間
Claims (18)
- ワークを支持するワーク搬送テーブルであって、
第1の板と、該第1の板の下側に重ねて設置された第2の板とを有する基台を備え、
前記第1の板と前記第2の板とは、物理的特性が互いに異なる材料で構成されていることを特徴とするワーク搬送テーブル。 - 前記第1の板の構成材料は、前記第2の板の構成材料より、機械加工が容易なものである請求項1に記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第2の板の構成材料は、前記第1の板の構成材料より、密度が小さいものである請求項1または2に記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第2の板の平均厚さは、前記第1の板の平均厚さより大きい請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第1の板の平均厚さをT1、前記第2の板の平均厚さをT2としたとき、1≦T2/T1≦10なる関係を満足する請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第1の板の構成材料のヤング率をE1、前記第2の板の構成材料のヤング率をE2としたとき、E2/E1≧0.4なる関係を満足する請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第1の板の構成材料は、鉄系合金である請求項1ないし6のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第2の板の構成材料は、金属−セラミックス複合材料である請求項1ないし7のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第1の板の少なくとも上面に、レイデント処理が施されている請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記第1の板の上面の色は、黒色である請求項1ないし9のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 前記ワークを負圧により吸着するための複数の吸引口を備え、
前記第1の板および/または前記第2の板の接合面側に溝を形成することにより、前記各吸引口への吸引流路が前記基台の内部に形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。 - 前記基台上に互いに間隔を空けて配設され、それらの上面が、ワークが載置される載置面を構成する複数のブロックを備える請求項1ないし11のいずれかに記載のワーク搬送テーブル。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載のワーク搬送テーブルと、
装置本体と、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し少なくとも水平な一方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とするワーク搬送装置。 - 請求項13に記載のワーク搬送装置と、
前記ワーク搬送テーブルに載置されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとを備えることを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することにより、前記ワークに所定のパターンを形成する請求項14に記載の液滴吐出装置。
- 請求項14または15に記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項14または15に記載の液滴吐出装置を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項16に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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