JP2004172191A - 基板およびそれを用いた直流電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性のよい基板および放熱特性を向上させた薄型の直流電源装置を提供すること。
【解決手段】電源用半導体4、チップインダクタ5およびチップコンデンサ6を含む電力変換用部品が配設される高熱伝導率の基板1であって、基材となる金属板の少なくとも1つの面に高熱伝導の絶縁層が形成され、厚みが200μm以下である基板1を備えた薄型の直流電源装置10とする。また、前記高熱伝導の絶縁層は無機セラミックスを含有する樹脂層、もしくは液晶ポリマー層からなる。また、前記高熱伝導の絶縁層は、熱伝導率が0.5W/m・K以上である高熱伝導材料からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】電源用半導体4、チップインダクタ5およびチップコンデンサ6を含む電力変換用部品が配設される高熱伝導率の基板1であって、基材となる金属板の少なくとも1つの面に高熱伝導の絶縁層が形成され、厚みが200μm以下である基板1を備えた薄型の直流電源装置10とする。また、前記高熱伝導の絶縁層は無機セラミックスを含有する樹脂層、もしくは液晶ポリマー層からなる。また、前記高熱伝導の絶縁層は、熱伝導率が0.5W/m・K以上である高熱伝導材料からなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機器等に使用される小型・軽量化を図った直流電源装置に係り、特に、薄型で熱放散性のよい回路基板を使用した直流電源装置に好適な基板およびそれを用いた直流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型・薄型・高性能化が急速に進んでいる。特に、半導体メモリーの高速化、大容量処理化の急速な進展に対応してLSIの発熱を押さえるため、これの駆動電圧をいかに低くするかが各メーカのターゲットになっている。
【0003】
低電圧LSIを使用するデバイスでは、電池電圧を2V以下の電圧に降圧する方法としてドロッパー抵抗を入れて電圧を降下する方法やDC−DCコンバータを使用して降圧する方法などが用いられている。
【0004】
特に、低電圧化、高密度化するLSIの電圧の高精度化要求により、DC−DCコンバータを用いた電源は必要不可欠となっている。
【0005】
最近では、小容量品の電力変換素子の多くがIC化されており、わずかな点数の外付け部品でDC−DCコンバータや直流電源が構成できるようになっている。
【0006】
これらを構成する部品が非常に小型化されたとは言え、多くの電源はパターニングした配線を有するエポキシ樹脂やセラミックスの類の硬質の回路基板上に、各々個別の部品として制御用のパワーICやコンデンサ部品、インダクタ部品といった表面実装部品単体を平面的にもしくは2次元的に実装してモールドしたハイブリッド型の直流電源がよく用いられている。
【0007】
このとき、配線基板上に電源用半導体やインダクタといった発熱部品を配置するので、これら部品からの発熱が問題となり、ヒートシンク板として優れた性能を有するが、一定以上の厚みを要する金属基板やセラミックス基板を利用する方法や、放熱性が良好である金属製のパッケージを用いる方法で、部品の放熱に関する問題の解決を図ることができる。しかし、それは、電源装置の薄型化を阻む要因となっている。
【0008】
例えば、放熱性に優れた金属ケーシング構造を有することで小型化、薄型化を図ったDC−DCコンバータとしては、次の特許文献1に開示された例がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−358360号公報
【0010】
この方法によれば、少なくとも基板の回路に対面する部分に、放熱性の良好な絶縁層である硬質アルマイトの層を設けたアルミニウムからなる金属ケースを用いた構造になっている。確かに、このケーシング方法は、樹脂よりも放熱性のよい金属が使用された点で効果があるし、特長がある。
【0011】
但し、この例では、基板の材質や厚みおよび部品の形状についての開示が無く、また記載例から分るようにケースの固定のために基板と実装面との間に大きな間隔が必要となるため薄型化の課題が残る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
半導体メモリーの高速化が進められるなか、これに呼応した電源の要求に応えるべく、小型かつ薄型の電源の開発が求められている。こうした状況下で、最近では外付けの部品点数が少なくて済む電源コンバータ用ICやレギュレータの開発が進んでいる。
【0013】
また、発熱量が大きい電源用半導体やインダクタを用いた小容量電力変換装置の大電流容量化のためには、放熱性能が高く薄型の直流電源装置が要求されている。
【0014】
そこで、本発明は、放熱性のよい基板を提供すること、および放熱特性を向上させた薄型の直流電源装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の構成の基板は、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、厚みが200μm以下の高熱伝導材料からなることを特徴とする。
【0016】
また、前記高熱伝導材料は、無機セラミックスを含有する樹脂、または液晶ポリマーとすることができる。
【0017】
そして、前記高熱伝導材料の熱伝導率は、0.5W/m・K以上とすることができる。
【0018】
本発明の第2の構成の基板は、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、基材となる平板の少なくとも1つの面に高熱伝導の絶縁層が形成され、厚みが200μm以下であることを特徴とする。
【0019】
また、前記高熱伝導の絶縁層は、無機セラミックスを含有する樹脂層、または液晶ポリマー層とすることができる。
【0020】
また、前記高熱伝導の絶縁層は、熱伝導率が0.5W/m・K以上である高熱伝導材料からなることができる。
【0021】
そして、前記基材となる平板は、金属板とすることができる。
【0022】
本発明の直流電源装置は、前記第1または第2の構成の基板に回路パターンを形成してなる回路基板と、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む電力変換用部品とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、前記基板の面実装端子電極は、前記基板上に設けられた回路パターンにリードピンまたはリードフレームを付設して形成され、前記面実装端子電極の先端は基板の下面より上部に位置することができる。
【0024】
また、前記基板の面実装端子電極は、前記基板上の回路パターンを構成する金属箔からなることができる。
【0025】
そして、前記電力変換用部品の高さは0.95mm以下であり、全体の高さが1.2mm以下とすることができる。
【0026】
以上を簡略にまとめると、
(1)熱伝導率の高い無機セラミックスまたは液晶ポリマーを用いて熱伝導率を向上させたフィルム状の基板を用いること、
(2)基材となる金属板の少なくとも1つの面に、無機セラミックスを含有する樹脂などを用いた絶縁層が形成された基板を用いること、
(3)低背化した電力変換用部品を採用すること、
(4)電源装置の端子電極を簡略化すること、
これらにより、放熱性に優れた基板およびそれを用いた薄型の直流電源装置を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
本発明の実施の形態においては、熱伝導率の高い無機セラミックスを含有させた樹脂、または液晶ポリマーを用いて、基板の熱伝導率を0.5W/m・K以上とし、厚みが200μm以下の基板に、圧延法や電解法により、銅等の金属で直接、回路パターンを形成して使用する。
【0029】
また、基材となる金属板の少なくとも片面に、熱伝導率の高い無機セラミックスを含有する樹脂層、もしくは液晶ポリマーの層が形成され、厚みが200μm以下の基板上に回路パターンを形成して使用すると、この基板を介した効果的な熱放散がなされる。
【0030】
さらに、熱伝導率が約0.2W/m・Kのポリイミド基板やエポキシ樹脂基板、もしくは熱伝導率が約0.35W/m・Kのガラスエポキシ基板を使用した場合は、少なくとも回路パターン形成面に熱伝導率が0.5W/m・K以上の前述の高熱伝導率の樹脂層を10μmないし100μmの厚みで形成した200μm以下の厚みの基板を使用することで、電源用半導体等の電力変換用部品からの発熱を積極的に基板の熱伝導性を利用して放熱するこができる。
【0031】
ここで、熱伝導性の高い無機セラミックスとしては、セラミックス粉末粒径が10μm以下のアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等を、また、熱伝導性の高い無機フィラーとしては、窒化アルミニウムフィラー(AlN)が選択でき、これら高熱伝導物質をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等と混合し、0.5W/m・K以上の高い樹脂層として利用すると、高さ1.2mm以下の薄型の直流電源装置の動作時において、基板上面での温度上昇を効果的に抑制することができる。また、熱伝導率が0.5W/m・K以上の液晶ポリマーとしては構造制御型エポキシ樹脂等が利用できる。
【0032】
また、基板の厚みを200μm以下と限定した理由の1つとしては、実装時のはんだペースト厚みに注目した。印刷法により、はんだペーストをメインボードに塗工した後、電源装置を搭載し、リフローにて固着して実装するが、このときの一般的なはんだペースト塗工厚みが約200μmなので、はんだ這い上がりが確保できる限界の高さを基板の厚みの上限として設定してよいことが分った。
【0033】
さらに、他の理由として、基板の厚みが200μm以下であれば、高さが0.95mm以下の電力変換用部品の使用と併せて、直流電源装置の高さを1.2mm以下にすることができる。また、直流電源装置の高さが1.2mm以下であれば、携帯機器などの分散電源として好適に使用できる。他方、基板の厚みの下限値については、抗折強度や寸法安定性といった物理的性質から20μm以上の厚みで使用することを推奨する。
【0034】
ところで、直流電源装置を1つ1つ作るのでは生産効率が悪いために、効率の良い多数個取りの大きな基板が一般的に使用される。このような大きな基板を使用する場合には、前もって、個片電源装置の面実装端子電極部分に切り込みを入れておくと、生産効率が向上する。理由は、はんだ付けや導電樹脂による電力変換用部品の固着と、リードフレームの固着とを一括で処理し、その後で、個片電源装置に切断することが可能になるからである。詳細な製法については、実施例の項で説明する。
【0035】
上述した基板上への回路パターンの形成に関しては、特に限定されるものではないが、5μmから50μmの厚みの銅箔を圧延法、電解法あるいは転写法等で形成することができる。その後、電力変換用部品を固着するランドや端子電極形成部を除いた部分をカバーコートやカバーフィルムで覆うことで回路基板が完成する。
【0036】
このような構造においては、電力変換用部品が発熱しても、基板そのものが熱伝導率に優れ、かつ薄いために、熱を蓄積せず放熱するので、電源装置自体が高温になる前に一定温度の平衡状態になるという優れた熱特性を示すことが分った。
【0037】
本発明の直流電源装置の構造を採用すると、直流電源装置自体には、ヒートシンクとして個別に金属板やケース等を設置する必要が無く、薄型かつ安価に製造できるという効果がある。
【0038】
また、本発明の直流電源装置の面実装端子電極の形成に関しては、2つの方法がある。第1番目の方法は、基板上に設けた回路パターンから銅系等のリードフレームにより端子を引き出して形成するものである。但し、この方法は、面実装端子電極の先端を基板下面より上部に位置させるように、面実装端子電極としてピン端子を配設する方法である。
【0039】
多数個取りの基板を使用して端子電極を形成する場合は、前もって電源装置の面実装端子電極部分の付近に切り込みを入れておくと、はんだ付けや導電樹脂を用いた電力変換用部品の回路基板への固着と、リードフレームの回路基板への固着を、一括で処理することが可能になり非常に効率的になることが分った。
【0040】
他には、電源装置の面実装端子電極部分の付近に切り込みを入れずに電力変換用部品の固着とリードフレームの固着を行い、基板の裏面から基板やリードの切断を行うことで、個片の直流電源装置に仕上げる方法がある。但し、この方法は、切断精度が非常に要求されることになり、切断精度の管理等で煩雑になる。
【0041】
いずれにしても、これらの方法は、個々の電源装置間の基板において不要部分やフレームの廃棄部分が多くなり、投入する材料に対して使用歩留まりが低下する。そこで、歩留まりを重視した場合には、回路基板の分割後にリードフレームを固定し切断することで端子電極の形成を行ってもかまわない。
【0042】
また、最終的に、ガルウィング形状の面実装端子を形成するためには、回路基板へのはんだ付け後にリードフレームを切断する必要がある。この切断時には、応力が発生し、はんだ面にクラックを生じさせる危険性があるので、リードフレーム個所を押さえながら切断する等の注意が必要となる。
【0043】
いずれにしろ、第1番目の方法を採用するリードフレームの曲げ加工に関しては、リード端子が基板面より上向きにならない程度にしておけば、はんだ付け性が確保されることが分っており、必ずしもL字型の曲げ加工を必要とはしない。
【0044】
面実装端子電極を形成する第2番目の方法は、前述の方法とは異なり、新たなリードフレーム等による引き出し工事を行わずに、回路パターンをそのまま端子電極として利用する方法である。この方法は、前もって所定の位置に角形の切欠き部や円形等各種形状のスルーホールを設けたフィルム状の基板上に圧延法や電解法で銅等の金属による回路パターンを形成する。
【0045】
ここで、圧延法による場合、切欠き部やスルーホール部といった空間に配設した銅箔上に電力変換用部品の固着と同時に予備はんだを行うことで、金属箔の一部が下方に撓むために、このまま面実装端子電極として利用することが可能となる。
【0046】
また、電解法で、銅箔を形成する場合は、切欠き部等に銅箔が回り込み、この銅箔を濡らす形ではんだや導電樹脂が回り込むために、このまま面実装端子電極として利用できる。この端子電極は、実装時のはんだ付け性が良好で、かつ、リード端子の配設が無いために熱抵抗の小さな端子電極を備える直流電源装置を得ることができる。
【0047】
また、基板が薄いという特性を利用して、前述のスルーホールを基板内に形成し、基板下面に、はんだボールを供給し、バンプ電極を形成した構造の薄型の直流電源装置としても利用できる。この構造は、出力電圧固定用のDC−DCコンバータ用ICを利用することで電力変換用部品の点数が減少した場合に有効である。
【0048】
次に、低背化した電力変換用部品についてであるが、最近では、低背化したDC−DCコンバータ用ICとコンデンサとインダクタの組み合わせで、最小限の電圧固定型の直流電源が製造可能となっている。そこで、本発明の直流電源装置では、DC−DCコンバータICのベアチップとして低背化されたものを使用する。同様に、インダクタも積層チップインダクタ、ヘリカルタイプのインダクタ、ミアンダタイプのインダクタ、スパイラルタイプのインダクタ、フレキシブル配線基板上の導体上を磁性体で覆うタイプのインダクタ等においても低背化されたものを使うことができる。
【0049】
コンデンサについても同様に、積層セラミックコンデンサ、タンタルコンデンサ、ニオブコンデンサ、機能性高分子アルミ固体電解コンデンサ等の低背化されたものを使うことができる。
【0050】
抵抗、電源管理用半導体や温度管理用半導体等といった前述以外の電力変換用部品についても同様な低背品を搭載すればよく、電源回路や部品の形状・点数に制限されるものではない。
【0051】
さらに、部品の信頼性の中でも、特に耐湿性向上を図る場合には、シリコン系等の放熱性が良好で、かつ耐湿性がある樹脂を所定の厚みで電源装置をオーバーコートして使用してもよい。また、ノイズ対策等を目的として、薄い窒化アルミニウムシート、フェライト等のシートで覆ってもよい。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0053】
(実施例1)図1は、本発明の実施例1の直流電源装置の製造工程の概略を示す概念図である。フィルム状の基板には、窒化アルミニウムフィラーを20wt%混合した35μm厚みのポリイミド樹脂をアルミニウム板の両面に形成して基板1として使用した。この基板の窒化アルミニウムフィラーを20wt%混合した35μm厚みのポリイミド樹脂の熱伝導率は0.9W/m・Kを示した。
【0054】
また、大きさが電源装置として12個取りの基板を用いた。このとき、図1(a)に示すように、基板1を完成後に切り離すための切断線11と端子電極部分を回避した切り込み12を入れた。
【0055】
これに、図1(b)に示すように、圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成して、ポリイミド系のカバーコート材料を用いて、電源用半導体、チップインダクタ、チップコンデンサ等の部品を搭載する部分のランド3およびリードフレームを固着する端子電極形成部23を除いた部分を、15μmの厚みになるように均一にカバーコートして、回路基板2が得られる。
【0056】
この回路基板2に200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。次に、図1(c)に示すように、電源用半導体4としては出力電圧可変用のDC−DCコンバータ用IC(4V入力、1.5V出力)を用い、他に、入力側に9.4μFの積層チップコンデンサとなるチップコンデンサ6、また出力側に、9.4μFおよび120pFの積層チップコンデンサとなるチップコンデンサ6、10μHの積層チップインダクタであるチップインダクタ5、30kΩの角形チップ固定抵抗器であるチップ抵抗7を3個、それぞれマウントした。また同時に、銅系リードフレームを所定の位置に固定した。
【0057】
次に、はんだリフロー炉に通して接合した。接合後、シリコーン樹脂を用いて基板の所定部分を100μmの厚みで均一にコートした。さらに、直流電源装置の外形を切り離すとともにリードフレームを切り離して個片の直流電源装置10とした。
【0058】
ここで、端子電極8の形状を説明する。回路基板の切り離し後の最終的なリード形状を概念的な断面図で、図1(d)および図1(e)に示す。図1(d)のX1 は、曲げ加工せずに切断したリード端子電極を示し、図1(e)のX2 は、L字形曲げ加工を施したリード端子電極を示す。
【0059】
次に、使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICの大きさは、3.0L×2.9W×0.9H(mm)のものを用いた。インダクタは、大きさが1.6L×0.8W×0.8H(mm)の積層チップインダクタで10μHの特性を有するチップを使った。また、コンデンサは大きさが2.0L×1.25W×0.85H(mm)の積層チップコンデンサで4.7μFの特性を有するチップを4個と、大きさが1.0L×0.5W×0.5H(mm)で120pFの特性を有するコンデンサを用いた。さらに、抵抗は1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定抵抗器を3個用いた。
【0060】
得られた直流電源装置10の大きさは、長さ8mm、幅5mm、高さ1.1mmであり、低背化が実現でき、高効率の直流電源装置となった。なお、この直流電源装置の放熱特性の評価結果については、他の実施例および比較例とともに、後述する。
【0061】
(実施例2)図2は、実施例2の直流電源装置の製造工程の概略を示す概念図である。フィルム状の基板には、平均粒径が0.3μmのアルミナ粒子を15wt%混合した100μm厚みのポリイミド樹脂を基板1として使用した。この基板の熱伝導率は0.6W/m・Kを示した。
【0062】
また、大きさが、電源装置として12個取りの基板を用いた。図2(a)に示すように、基板1を完成後に切り離すための切断線11と端子電極形成用角形の切欠き部13を設ける処理を前もって行った。なお、切欠き部の形状は、図2(b)に示した切欠き部14のような半円形であってもよい。
【0063】
この基板に圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成した。さらに、ポリイミド系のカバーコート材料を用いて、図2(c)に示すように、部品を搭載する部分のランド3および端子電極用銅箔33を除く部分を、15μmの厚みになるように均一にカバーした。
【0064】
この基板に、200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。また、リフロー時に部品の移動が生じないように、前もって仮固定用の接着材を塗布し、仮キュアしておいた。
【0065】
次に、図2(d)に示すように、電源用半導体4としては出力電圧可変用のDC−DCコンバータ用IC(4V入力、1.5V出力)を用いた。他に、入力側に機能性高分子アルミ固体電解コンデンサのチップコンデンサ6を、出力側に、機能性高分子アルミ固体電解コンデンサのチップコンデンサ6と、120pFの積層チップコンデンサであるチップコンデンサ6を、0.2mm厚みの薄膜磁性体に絶縁被覆された130μmφの銅細線を巻きつけたヘリカル構造のインダクタであるチップインダクタ5を1個、30kΩの角型チップ固定抵抗器であるチップ抵抗7を3個、それぞれマウントした。
【0066】
次に、はんだリフロー炉に通して接合した。この後、シリコーン樹脂を用いて基板の所定部分を200μmの厚みで均一にコートした。最後に、所定の位置で直流電源の外形を切り離して個片の直流電源装置とした。
【0067】
本実施例2においては、圧延法により回路パターンとともに端子電極を形成したが、この圧延法により形成された端子電極を図2(e)に示す。また、電解法によって形成された端子電極についても図2(f)に示す。
【0068】
図2(e)および図2(f)は、圧延法と電解法での、銅箔の形成法の違いによる端子電極の違いを強調するために概念的に描かれた断面図である。図2(e)のY1は、圧延法により形成した銅箔を用いた端子電極を示し、図2(f)のY2は、電解法により形成した銅箔を用いた端子電極を示す。15は、はんだ、33は端子電極用銅箔、1は基板である。
【0069】
次に、使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICには、大きさはが3.0L×2.9W×0.3H(mm)のベアチップを用いた。インダクタには、大きさが5.0L×2.0W×0.3H(mm)で5μHの特性ヘリカルインダクタを使った。また、コンデンサには大きさが3.2L×1.6W×0.3H(mm)の機能性高分子アルミ固体電解コンデンサで10μFの特性を有するチップと、大きさが1.0L×0.5W×0.5Hの積層チップコンデンサで120pFのチップを用いた。そして抵抗には、大きさが1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定低抗器を用いた。
【0070】
得られた直流電源装置20の大きさは、長さ8.5mm、幅5.5mm、高さ0.5mmであり、低背化が実現でき、高効率の直流電源装置となった。なお、この直流電源装置の放熱特性の評価結果については、他の実施例および比較例とともに、後述する。
【0071】
次に、比較例について説明する。
【0072】
(比較例)図3に、比較例の直流電源装置の断面図を示す。この直流電源装置は、アルミニウムパッケージを用いた従来型の電源装置である。
【0073】
回路基板31としては、0.8mm厚みのガラスエポキシ基板に、30μm厚みの銅箔による回路パターンを形成して使用した。この基板の熱伝導率は0.4W/m・Kを示した。
【0074】
また、大きさが、電源装置として12個取りの基板を用いた。この基板に、リード端子用のスルーホールをあけ、圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成した。さらに、エポキシ系のカバーコート材料を用いて、部品を搭載する部分のランドおよびリードフレームを固着する部分のランドを除いて15μmの厚みになるように均一にカバーした。
【0075】
この回路基板に、200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。また、リフロー時に部品の移動が生じないように、前もって部品の仮固定用の接着材を塗布しておいた。次に、電源用半導体である、4V入力−1.5V出力−DC−DCコンバータ用IC、入力側に9.4μFの積層チップコンデンサ、出力側に、9.4μFおよび120pFの積層チップコンデンサ、10μHの積層チップインダクタ、30kΩのチップ低抗等の部品をそれぞれマウントし、はんだリフロー炉で接合した。
【0076】
引き続き、この回路基板は厚いので部品の剥離等が生じないように、注意深く所定の形状に切断した。さらに、発熱部品のトップに熱伝導用の高絶縁シリコーン樹脂16を200μm程度の厚みで塗布し、さらに放熱用の角形アルミニウムのケース9をかぶせた。最後に、耐湿性向上を目的とし200μmの厚みの高絶縁シリコーン接着剤を用いて基板の縁部と接合・封止した。
【0077】
このとき使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICの大きさは、3.0L×2.9W×0.9H(mm)のものを用いた。インダクタは、大きさが1.6L×0.8W×0.8H(mm)の積層チップインダクタで10μHの特性を有するチップを使った。またコンデンサは大きさが2.0L×1.25W×0.85H(mm)の積層チップコンデンサで4.7μFの特性を有するチップと、大きさが1.0L×0.5W×0.5H(mm)で120pFの特性を有するコンデンサを用いた。抵抗は1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定抵抗器を用いた。そして、得られた直流電源装置の大きさは、長さ9mm、幅6mm、高さ2.9mmであった。
【0078】
放熱特性の評価として、実施例1(図1)、実施例2(図2)および比較例(図3)に示す直流電源装置について、電力変換用部品搭載側の基板温度測定位置21aとマザーボード積載側の基板温度測定位置21bに熱電対を接触させ、基板の表面温度を測定した。
【0079】
その測定条件として、回路パターンが形成された、厚み1.2mmのガラスエポキシ製のマザーボードに上記直流電源装置を実装し、駆動前と2時間駆動後の表面温度を実測した。そして、その間の上昇温度ΔTを、上記の直流電源装置間で比較した。
【0080】
その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
構造に一部違いが有り単純に比較することはできないが、本発明の実施例では、いずれも電力変換用部品の搭載側(基板上面)の温度上昇が小さく、電力変換用部品の搭載側(基板上面)の温度上昇とマザーボード側(基板下面)の温度上昇の差が小さいという結果になった。この結果からインダクタ等で発生した熱が、フィルム状の基板を通して良好に放熱していることが推定できる。
【0083】
また、比較例では、基板上下面の温度差が大きく、ヒートシンクであるケースから放熱しているにもかかわらず、基板面からは熱が放散されずに蓄積されていることが推定できる。これは、発熱部品からの熱伝導は、熱伝導率が高いはんだや銅箔に優先的に伝導し基板の温度を上昇させ、蓄熱したと考えられる。
【0084】
以上から、高熱伝導で、かつ薄い基板が放熱に効果的に影響していることが確認された。
【0085】
ところで、薄型化に関するデータは、出来上がった直流電源装置の製品形状として、実施例および比較例の末尾に示したが、最後に、それらを比較してまとめると、実施例1、実施例2および比較例(従来型)の製品の高さは、それぞれ、1.1mm、0.5mm、2.9mmであり、本発明により、この容量の直流電源装置において50%以上の低背化が達成できたことが分る。
【0086】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の直流電源装置においては、基板の材質に熱伝導率の高いものを採用し、基板への自由な放熱を生じさせ、ヒートシンク板の設置を必要とせずに低背化できるという効果がある。
【0087】
さらに、電源の面実装端子電極もできるだけ簡略化した方法を採用しているために、全体的に熱抵抗が小さいものとなり、蓄熱せず放熱することが可能となっている。
【0088】
また、ヒートシンク板の省略等で工程の簡略化と部品の削減・軽量化が図られるために、安価に製造できる効果もある。
【0089】
さらに、柔軟性を持つ樹脂層からなるフィルム状の基板を用いた薄型の直流電源装置は、携帯機器などの分散電源として好適である。それは、基板がフィルム状であり、柔軟性を持つゆえに電力変換用部品が搭載されている部分以外は変形に対して自由度を有しているため、多少の段差のある個所にも対応でき、マザーボード上の多様な場所に搭載することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における直流電源装置の製造工程の概念図。図1(a)は基板の斜視図、図1(b)はカバーコートを施した回路基板の斜視図、図1(c)は直流電源装置の斜視図、図1(d)は曲げ加工せずに切断したリード端子電極の断面図、図1(e))はL字形の曲げ加工を施したリード端子電極の断面図。
【図2】実施例2における直流電源装置の製造工程の概念図。図2(a)は基板の斜視図、図2(b)は半円形の切欠き部の斜視図、図2(c)はカバーコートを施した回路基板の斜視図、図2(d)は直流電源装置の斜視図、図2(e)は圧延法による端子電極の断面図、図2(f)は電解法による端子電極の断面図。
【図3】比較例の直流電源装置の断面図。
【符号の説明】
1 基板
2,31 回路基板
3 ランド
4 電源用半導体
5 チップインダクタ
6 チップコンデンサ
7 チップ抵抗
8 端子電極
9 ケース
10,20 直流電源装置
11 切断線
12 切り込み
13,14 切欠き部
15 はんだ
16 高絶縁シリコーン樹脂
21a,21b 基板温度測定位置
23 端子電極形成部
33 端子電極用銅箔
X1 曲げ加工せずに切断したリード端子電極
X2 L字形曲げ加工を施したリード端子電極
Y1 圧延法による端子電極
Y2 電解法による端子電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機器等に使用される小型・軽量化を図った直流電源装置に係り、特に、薄型で熱放散性のよい回路基板を使用した直流電源装置に好適な基板およびそれを用いた直流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型・薄型・高性能化が急速に進んでいる。特に、半導体メモリーの高速化、大容量処理化の急速な進展に対応してLSIの発熱を押さえるため、これの駆動電圧をいかに低くするかが各メーカのターゲットになっている。
【0003】
低電圧LSIを使用するデバイスでは、電池電圧を2V以下の電圧に降圧する方法としてドロッパー抵抗を入れて電圧を降下する方法やDC−DCコンバータを使用して降圧する方法などが用いられている。
【0004】
特に、低電圧化、高密度化するLSIの電圧の高精度化要求により、DC−DCコンバータを用いた電源は必要不可欠となっている。
【0005】
最近では、小容量品の電力変換素子の多くがIC化されており、わずかな点数の外付け部品でDC−DCコンバータや直流電源が構成できるようになっている。
【0006】
これらを構成する部品が非常に小型化されたとは言え、多くの電源はパターニングした配線を有するエポキシ樹脂やセラミックスの類の硬質の回路基板上に、各々個別の部品として制御用のパワーICやコンデンサ部品、インダクタ部品といった表面実装部品単体を平面的にもしくは2次元的に実装してモールドしたハイブリッド型の直流電源がよく用いられている。
【0007】
このとき、配線基板上に電源用半導体やインダクタといった発熱部品を配置するので、これら部品からの発熱が問題となり、ヒートシンク板として優れた性能を有するが、一定以上の厚みを要する金属基板やセラミックス基板を利用する方法や、放熱性が良好である金属製のパッケージを用いる方法で、部品の放熱に関する問題の解決を図ることができる。しかし、それは、電源装置の薄型化を阻む要因となっている。
【0008】
例えば、放熱性に優れた金属ケーシング構造を有することで小型化、薄型化を図ったDC−DCコンバータとしては、次の特許文献1に開示された例がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−358360号公報
【0010】
この方法によれば、少なくとも基板の回路に対面する部分に、放熱性の良好な絶縁層である硬質アルマイトの層を設けたアルミニウムからなる金属ケースを用いた構造になっている。確かに、このケーシング方法は、樹脂よりも放熱性のよい金属が使用された点で効果があるし、特長がある。
【0011】
但し、この例では、基板の材質や厚みおよび部品の形状についての開示が無く、また記載例から分るようにケースの固定のために基板と実装面との間に大きな間隔が必要となるため薄型化の課題が残る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
半導体メモリーの高速化が進められるなか、これに呼応した電源の要求に応えるべく、小型かつ薄型の電源の開発が求められている。こうした状況下で、最近では外付けの部品点数が少なくて済む電源コンバータ用ICやレギュレータの開発が進んでいる。
【0013】
また、発熱量が大きい電源用半導体やインダクタを用いた小容量電力変換装置の大電流容量化のためには、放熱性能が高く薄型の直流電源装置が要求されている。
【0014】
そこで、本発明は、放熱性のよい基板を提供すること、および放熱特性を向上させた薄型の直流電源装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の構成の基板は、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、厚みが200μm以下の高熱伝導材料からなることを特徴とする。
【0016】
また、前記高熱伝導材料は、無機セラミックスを含有する樹脂、または液晶ポリマーとすることができる。
【0017】
そして、前記高熱伝導材料の熱伝導率は、0.5W/m・K以上とすることができる。
【0018】
本発明の第2の構成の基板は、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、基材となる平板の少なくとも1つの面に高熱伝導の絶縁層が形成され、厚みが200μm以下であることを特徴とする。
【0019】
また、前記高熱伝導の絶縁層は、無機セラミックスを含有する樹脂層、または液晶ポリマー層とすることができる。
【0020】
また、前記高熱伝導の絶縁層は、熱伝導率が0.5W/m・K以上である高熱伝導材料からなることができる。
【0021】
そして、前記基材となる平板は、金属板とすることができる。
【0022】
本発明の直流電源装置は、前記第1または第2の構成の基板に回路パターンを形成してなる回路基板と、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む電力変換用部品とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、前記基板の面実装端子電極は、前記基板上に設けられた回路パターンにリードピンまたはリードフレームを付設して形成され、前記面実装端子電極の先端は基板の下面より上部に位置することができる。
【0024】
また、前記基板の面実装端子電極は、前記基板上の回路パターンを構成する金属箔からなることができる。
【0025】
そして、前記電力変換用部品の高さは0.95mm以下であり、全体の高さが1.2mm以下とすることができる。
【0026】
以上を簡略にまとめると、
(1)熱伝導率の高い無機セラミックスまたは液晶ポリマーを用いて熱伝導率を向上させたフィルム状の基板を用いること、
(2)基材となる金属板の少なくとも1つの面に、無機セラミックスを含有する樹脂などを用いた絶縁層が形成された基板を用いること、
(3)低背化した電力変換用部品を採用すること、
(4)電源装置の端子電極を簡略化すること、
これらにより、放熱性に優れた基板およびそれを用いた薄型の直流電源装置を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
本発明の実施の形態においては、熱伝導率の高い無機セラミックスを含有させた樹脂、または液晶ポリマーを用いて、基板の熱伝導率を0.5W/m・K以上とし、厚みが200μm以下の基板に、圧延法や電解法により、銅等の金属で直接、回路パターンを形成して使用する。
【0029】
また、基材となる金属板の少なくとも片面に、熱伝導率の高い無機セラミックスを含有する樹脂層、もしくは液晶ポリマーの層が形成され、厚みが200μm以下の基板上に回路パターンを形成して使用すると、この基板を介した効果的な熱放散がなされる。
【0030】
さらに、熱伝導率が約0.2W/m・Kのポリイミド基板やエポキシ樹脂基板、もしくは熱伝導率が約0.35W/m・Kのガラスエポキシ基板を使用した場合は、少なくとも回路パターン形成面に熱伝導率が0.5W/m・K以上の前述の高熱伝導率の樹脂層を10μmないし100μmの厚みで形成した200μm以下の厚みの基板を使用することで、電源用半導体等の電力変換用部品からの発熱を積極的に基板の熱伝導性を利用して放熱するこができる。
【0031】
ここで、熱伝導性の高い無機セラミックスとしては、セラミックス粉末粒径が10μm以下のアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)等を、また、熱伝導性の高い無機フィラーとしては、窒化アルミニウムフィラー(AlN)が選択でき、これら高熱伝導物質をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等と混合し、0.5W/m・K以上の高い樹脂層として利用すると、高さ1.2mm以下の薄型の直流電源装置の動作時において、基板上面での温度上昇を効果的に抑制することができる。また、熱伝導率が0.5W/m・K以上の液晶ポリマーとしては構造制御型エポキシ樹脂等が利用できる。
【0032】
また、基板の厚みを200μm以下と限定した理由の1つとしては、実装時のはんだペースト厚みに注目した。印刷法により、はんだペーストをメインボードに塗工した後、電源装置を搭載し、リフローにて固着して実装するが、このときの一般的なはんだペースト塗工厚みが約200μmなので、はんだ這い上がりが確保できる限界の高さを基板の厚みの上限として設定してよいことが分った。
【0033】
さらに、他の理由として、基板の厚みが200μm以下であれば、高さが0.95mm以下の電力変換用部品の使用と併せて、直流電源装置の高さを1.2mm以下にすることができる。また、直流電源装置の高さが1.2mm以下であれば、携帯機器などの分散電源として好適に使用できる。他方、基板の厚みの下限値については、抗折強度や寸法安定性といった物理的性質から20μm以上の厚みで使用することを推奨する。
【0034】
ところで、直流電源装置を1つ1つ作るのでは生産効率が悪いために、効率の良い多数個取りの大きな基板が一般的に使用される。このような大きな基板を使用する場合には、前もって、個片電源装置の面実装端子電極部分に切り込みを入れておくと、生産効率が向上する。理由は、はんだ付けや導電樹脂による電力変換用部品の固着と、リードフレームの固着とを一括で処理し、その後で、個片電源装置に切断することが可能になるからである。詳細な製法については、実施例の項で説明する。
【0035】
上述した基板上への回路パターンの形成に関しては、特に限定されるものではないが、5μmから50μmの厚みの銅箔を圧延法、電解法あるいは転写法等で形成することができる。その後、電力変換用部品を固着するランドや端子電極形成部を除いた部分をカバーコートやカバーフィルムで覆うことで回路基板が完成する。
【0036】
このような構造においては、電力変換用部品が発熱しても、基板そのものが熱伝導率に優れ、かつ薄いために、熱を蓄積せず放熱するので、電源装置自体が高温になる前に一定温度の平衡状態になるという優れた熱特性を示すことが分った。
【0037】
本発明の直流電源装置の構造を採用すると、直流電源装置自体には、ヒートシンクとして個別に金属板やケース等を設置する必要が無く、薄型かつ安価に製造できるという効果がある。
【0038】
また、本発明の直流電源装置の面実装端子電極の形成に関しては、2つの方法がある。第1番目の方法は、基板上に設けた回路パターンから銅系等のリードフレームにより端子を引き出して形成するものである。但し、この方法は、面実装端子電極の先端を基板下面より上部に位置させるように、面実装端子電極としてピン端子を配設する方法である。
【0039】
多数個取りの基板を使用して端子電極を形成する場合は、前もって電源装置の面実装端子電極部分の付近に切り込みを入れておくと、はんだ付けや導電樹脂を用いた電力変換用部品の回路基板への固着と、リードフレームの回路基板への固着を、一括で処理することが可能になり非常に効率的になることが分った。
【0040】
他には、電源装置の面実装端子電極部分の付近に切り込みを入れずに電力変換用部品の固着とリードフレームの固着を行い、基板の裏面から基板やリードの切断を行うことで、個片の直流電源装置に仕上げる方法がある。但し、この方法は、切断精度が非常に要求されることになり、切断精度の管理等で煩雑になる。
【0041】
いずれにしても、これらの方法は、個々の電源装置間の基板において不要部分やフレームの廃棄部分が多くなり、投入する材料に対して使用歩留まりが低下する。そこで、歩留まりを重視した場合には、回路基板の分割後にリードフレームを固定し切断することで端子電極の形成を行ってもかまわない。
【0042】
また、最終的に、ガルウィング形状の面実装端子を形成するためには、回路基板へのはんだ付け後にリードフレームを切断する必要がある。この切断時には、応力が発生し、はんだ面にクラックを生じさせる危険性があるので、リードフレーム個所を押さえながら切断する等の注意が必要となる。
【0043】
いずれにしろ、第1番目の方法を採用するリードフレームの曲げ加工に関しては、リード端子が基板面より上向きにならない程度にしておけば、はんだ付け性が確保されることが分っており、必ずしもL字型の曲げ加工を必要とはしない。
【0044】
面実装端子電極を形成する第2番目の方法は、前述の方法とは異なり、新たなリードフレーム等による引き出し工事を行わずに、回路パターンをそのまま端子電極として利用する方法である。この方法は、前もって所定の位置に角形の切欠き部や円形等各種形状のスルーホールを設けたフィルム状の基板上に圧延法や電解法で銅等の金属による回路パターンを形成する。
【0045】
ここで、圧延法による場合、切欠き部やスルーホール部といった空間に配設した銅箔上に電力変換用部品の固着と同時に予備はんだを行うことで、金属箔の一部が下方に撓むために、このまま面実装端子電極として利用することが可能となる。
【0046】
また、電解法で、銅箔を形成する場合は、切欠き部等に銅箔が回り込み、この銅箔を濡らす形ではんだや導電樹脂が回り込むために、このまま面実装端子電極として利用できる。この端子電極は、実装時のはんだ付け性が良好で、かつ、リード端子の配設が無いために熱抵抗の小さな端子電極を備える直流電源装置を得ることができる。
【0047】
また、基板が薄いという特性を利用して、前述のスルーホールを基板内に形成し、基板下面に、はんだボールを供給し、バンプ電極を形成した構造の薄型の直流電源装置としても利用できる。この構造は、出力電圧固定用のDC−DCコンバータ用ICを利用することで電力変換用部品の点数が減少した場合に有効である。
【0048】
次に、低背化した電力変換用部品についてであるが、最近では、低背化したDC−DCコンバータ用ICとコンデンサとインダクタの組み合わせで、最小限の電圧固定型の直流電源が製造可能となっている。そこで、本発明の直流電源装置では、DC−DCコンバータICのベアチップとして低背化されたものを使用する。同様に、インダクタも積層チップインダクタ、ヘリカルタイプのインダクタ、ミアンダタイプのインダクタ、スパイラルタイプのインダクタ、フレキシブル配線基板上の導体上を磁性体で覆うタイプのインダクタ等においても低背化されたものを使うことができる。
【0049】
コンデンサについても同様に、積層セラミックコンデンサ、タンタルコンデンサ、ニオブコンデンサ、機能性高分子アルミ固体電解コンデンサ等の低背化されたものを使うことができる。
【0050】
抵抗、電源管理用半導体や温度管理用半導体等といった前述以外の電力変換用部品についても同様な低背品を搭載すればよく、電源回路や部品の形状・点数に制限されるものではない。
【0051】
さらに、部品の信頼性の中でも、特に耐湿性向上を図る場合には、シリコン系等の放熱性が良好で、かつ耐湿性がある樹脂を所定の厚みで電源装置をオーバーコートして使用してもよい。また、ノイズ対策等を目的として、薄い窒化アルミニウムシート、フェライト等のシートで覆ってもよい。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0053】
(実施例1)図1は、本発明の実施例1の直流電源装置の製造工程の概略を示す概念図である。フィルム状の基板には、窒化アルミニウムフィラーを20wt%混合した35μm厚みのポリイミド樹脂をアルミニウム板の両面に形成して基板1として使用した。この基板の窒化アルミニウムフィラーを20wt%混合した35μm厚みのポリイミド樹脂の熱伝導率は0.9W/m・Kを示した。
【0054】
また、大きさが電源装置として12個取りの基板を用いた。このとき、図1(a)に示すように、基板1を完成後に切り離すための切断線11と端子電極部分を回避した切り込み12を入れた。
【0055】
これに、図1(b)に示すように、圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成して、ポリイミド系のカバーコート材料を用いて、電源用半導体、チップインダクタ、チップコンデンサ等の部品を搭載する部分のランド3およびリードフレームを固着する端子電極形成部23を除いた部分を、15μmの厚みになるように均一にカバーコートして、回路基板2が得られる。
【0056】
この回路基板2に200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。次に、図1(c)に示すように、電源用半導体4としては出力電圧可変用のDC−DCコンバータ用IC(4V入力、1.5V出力)を用い、他に、入力側に9.4μFの積層チップコンデンサとなるチップコンデンサ6、また出力側に、9.4μFおよび120pFの積層チップコンデンサとなるチップコンデンサ6、10μHの積層チップインダクタであるチップインダクタ5、30kΩの角形チップ固定抵抗器であるチップ抵抗7を3個、それぞれマウントした。また同時に、銅系リードフレームを所定の位置に固定した。
【0057】
次に、はんだリフロー炉に通して接合した。接合後、シリコーン樹脂を用いて基板の所定部分を100μmの厚みで均一にコートした。さらに、直流電源装置の外形を切り離すとともにリードフレームを切り離して個片の直流電源装置10とした。
【0058】
ここで、端子電極8の形状を説明する。回路基板の切り離し後の最終的なリード形状を概念的な断面図で、図1(d)および図1(e)に示す。図1(d)のX1 は、曲げ加工せずに切断したリード端子電極を示し、図1(e)のX2 は、L字形曲げ加工を施したリード端子電極を示す。
【0059】
次に、使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICの大きさは、3.0L×2.9W×0.9H(mm)のものを用いた。インダクタは、大きさが1.6L×0.8W×0.8H(mm)の積層チップインダクタで10μHの特性を有するチップを使った。また、コンデンサは大きさが2.0L×1.25W×0.85H(mm)の積層チップコンデンサで4.7μFの特性を有するチップを4個と、大きさが1.0L×0.5W×0.5H(mm)で120pFの特性を有するコンデンサを用いた。さらに、抵抗は1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定抵抗器を3個用いた。
【0060】
得られた直流電源装置10の大きさは、長さ8mm、幅5mm、高さ1.1mmであり、低背化が実現でき、高効率の直流電源装置となった。なお、この直流電源装置の放熱特性の評価結果については、他の実施例および比較例とともに、後述する。
【0061】
(実施例2)図2は、実施例2の直流電源装置の製造工程の概略を示す概念図である。フィルム状の基板には、平均粒径が0.3μmのアルミナ粒子を15wt%混合した100μm厚みのポリイミド樹脂を基板1として使用した。この基板の熱伝導率は0.6W/m・Kを示した。
【0062】
また、大きさが、電源装置として12個取りの基板を用いた。図2(a)に示すように、基板1を完成後に切り離すための切断線11と端子電極形成用角形の切欠き部13を設ける処理を前もって行った。なお、切欠き部の形状は、図2(b)に示した切欠き部14のような半円形であってもよい。
【0063】
この基板に圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成した。さらに、ポリイミド系のカバーコート材料を用いて、図2(c)に示すように、部品を搭載する部分のランド3および端子電極用銅箔33を除く部分を、15μmの厚みになるように均一にカバーした。
【0064】
この基板に、200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。また、リフロー時に部品の移動が生じないように、前もって仮固定用の接着材を塗布し、仮キュアしておいた。
【0065】
次に、図2(d)に示すように、電源用半導体4としては出力電圧可変用のDC−DCコンバータ用IC(4V入力、1.5V出力)を用いた。他に、入力側に機能性高分子アルミ固体電解コンデンサのチップコンデンサ6を、出力側に、機能性高分子アルミ固体電解コンデンサのチップコンデンサ6と、120pFの積層チップコンデンサであるチップコンデンサ6を、0.2mm厚みの薄膜磁性体に絶縁被覆された130μmφの銅細線を巻きつけたヘリカル構造のインダクタであるチップインダクタ5を1個、30kΩの角型チップ固定抵抗器であるチップ抵抗7を3個、それぞれマウントした。
【0066】
次に、はんだリフロー炉に通して接合した。この後、シリコーン樹脂を用いて基板の所定部分を200μmの厚みで均一にコートした。最後に、所定の位置で直流電源の外形を切り離して個片の直流電源装置とした。
【0067】
本実施例2においては、圧延法により回路パターンとともに端子電極を形成したが、この圧延法により形成された端子電極を図2(e)に示す。また、電解法によって形成された端子電極についても図2(f)に示す。
【0068】
図2(e)および図2(f)は、圧延法と電解法での、銅箔の形成法の違いによる端子電極の違いを強調するために概念的に描かれた断面図である。図2(e)のY1は、圧延法により形成した銅箔を用いた端子電極を示し、図2(f)のY2は、電解法により形成した銅箔を用いた端子電極を示す。15は、はんだ、33は端子電極用銅箔、1は基板である。
【0069】
次に、使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICには、大きさはが3.0L×2.9W×0.3H(mm)のベアチップを用いた。インダクタには、大きさが5.0L×2.0W×0.3H(mm)で5μHの特性ヘリカルインダクタを使った。また、コンデンサには大きさが3.2L×1.6W×0.3H(mm)の機能性高分子アルミ固体電解コンデンサで10μFの特性を有するチップと、大きさが1.0L×0.5W×0.5Hの積層チップコンデンサで120pFのチップを用いた。そして抵抗には、大きさが1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定低抗器を用いた。
【0070】
得られた直流電源装置20の大きさは、長さ8.5mm、幅5.5mm、高さ0.5mmであり、低背化が実現でき、高効率の直流電源装置となった。なお、この直流電源装置の放熱特性の評価結果については、他の実施例および比較例とともに、後述する。
【0071】
次に、比較例について説明する。
【0072】
(比較例)図3に、比較例の直流電源装置の断面図を示す。この直流電源装置は、アルミニウムパッケージを用いた従来型の電源装置である。
【0073】
回路基板31としては、0.8mm厚みのガラスエポキシ基板に、30μm厚みの銅箔による回路パターンを形成して使用した。この基板の熱伝導率は0.4W/m・Kを示した。
【0074】
また、大きさが、電源装置として12個取りの基板を用いた。この基板に、リード端子用のスルーホールをあけ、圧延法により30μm厚みの銅箔による所定の回路パターンを形成した。さらに、エポキシ系のカバーコート材料を用いて、部品を搭載する部分のランドおよびリードフレームを固着する部分のランドを除いて15μmの厚みになるように均一にカバーした。
【0075】
この回路基板に、200μmの厚みで鉛フリーはんだペーストを印刷塗工した。また、リフロー時に部品の移動が生じないように、前もって部品の仮固定用の接着材を塗布しておいた。次に、電源用半導体である、4V入力−1.5V出力−DC−DCコンバータ用IC、入力側に9.4μFの積層チップコンデンサ、出力側に、9.4μFおよび120pFの積層チップコンデンサ、10μHの積層チップインダクタ、30kΩのチップ低抗等の部品をそれぞれマウントし、はんだリフロー炉で接合した。
【0076】
引き続き、この回路基板は厚いので部品の剥離等が生じないように、注意深く所定の形状に切断した。さらに、発熱部品のトップに熱伝導用の高絶縁シリコーン樹脂16を200μm程度の厚みで塗布し、さらに放熱用の角形アルミニウムのケース9をかぶせた。最後に、耐湿性向上を目的とし200μmの厚みの高絶縁シリコーン接着剤を用いて基板の縁部と接合・封止した。
【0077】
このとき使用した電力変換用部品の大きさ、および、出来上がった直流電源装置の大きさについて説明する。DC−DCコンバータICの大きさは、3.0L×2.9W×0.9H(mm)のものを用いた。インダクタは、大きさが1.6L×0.8W×0.8H(mm)の積層チップインダクタで10μHの特性を有するチップを使った。またコンデンサは大きさが2.0L×1.25W×0.85H(mm)の積層チップコンデンサで4.7μFの特性を有するチップと、大きさが1.0L×0.5W×0.5H(mm)で120pFの特性を有するコンデンサを用いた。抵抗は1.0L×0.5W×0.35H(mm)の角型チップ固定抵抗器を用いた。そして、得られた直流電源装置の大きさは、長さ9mm、幅6mm、高さ2.9mmであった。
【0078】
放熱特性の評価として、実施例1(図1)、実施例2(図2)および比較例(図3)に示す直流電源装置について、電力変換用部品搭載側の基板温度測定位置21aとマザーボード積載側の基板温度測定位置21bに熱電対を接触させ、基板の表面温度を測定した。
【0079】
その測定条件として、回路パターンが形成された、厚み1.2mmのガラスエポキシ製のマザーボードに上記直流電源装置を実装し、駆動前と2時間駆動後の表面温度を実測した。そして、その間の上昇温度ΔTを、上記の直流電源装置間で比較した。
【0080】
その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
構造に一部違いが有り単純に比較することはできないが、本発明の実施例では、いずれも電力変換用部品の搭載側(基板上面)の温度上昇が小さく、電力変換用部品の搭載側(基板上面)の温度上昇とマザーボード側(基板下面)の温度上昇の差が小さいという結果になった。この結果からインダクタ等で発生した熱が、フィルム状の基板を通して良好に放熱していることが推定できる。
【0083】
また、比較例では、基板上下面の温度差が大きく、ヒートシンクであるケースから放熱しているにもかかわらず、基板面からは熱が放散されずに蓄積されていることが推定できる。これは、発熱部品からの熱伝導は、熱伝導率が高いはんだや銅箔に優先的に伝導し基板の温度を上昇させ、蓄熱したと考えられる。
【0084】
以上から、高熱伝導で、かつ薄い基板が放熱に効果的に影響していることが確認された。
【0085】
ところで、薄型化に関するデータは、出来上がった直流電源装置の製品形状として、実施例および比較例の末尾に示したが、最後に、それらを比較してまとめると、実施例1、実施例2および比較例(従来型)の製品の高さは、それぞれ、1.1mm、0.5mm、2.9mmであり、本発明により、この容量の直流電源装置において50%以上の低背化が達成できたことが分る。
【0086】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の直流電源装置においては、基板の材質に熱伝導率の高いものを採用し、基板への自由な放熱を生じさせ、ヒートシンク板の設置を必要とせずに低背化できるという効果がある。
【0087】
さらに、電源の面実装端子電極もできるだけ簡略化した方法を採用しているために、全体的に熱抵抗が小さいものとなり、蓄熱せず放熱することが可能となっている。
【0088】
また、ヒートシンク板の省略等で工程の簡略化と部品の削減・軽量化が図られるために、安価に製造できる効果もある。
【0089】
さらに、柔軟性を持つ樹脂層からなるフィルム状の基板を用いた薄型の直流電源装置は、携帯機器などの分散電源として好適である。それは、基板がフィルム状であり、柔軟性を持つゆえに電力変換用部品が搭載されている部分以外は変形に対して自由度を有しているため、多少の段差のある個所にも対応でき、マザーボード上の多様な場所に搭載することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における直流電源装置の製造工程の概念図。図1(a)は基板の斜視図、図1(b)はカバーコートを施した回路基板の斜視図、図1(c)は直流電源装置の斜視図、図1(d)は曲げ加工せずに切断したリード端子電極の断面図、図1(e))はL字形の曲げ加工を施したリード端子電極の断面図。
【図2】実施例2における直流電源装置の製造工程の概念図。図2(a)は基板の斜視図、図2(b)は半円形の切欠き部の斜視図、図2(c)はカバーコートを施した回路基板の斜視図、図2(d)は直流電源装置の斜視図、図2(e)は圧延法による端子電極の断面図、図2(f)は電解法による端子電極の断面図。
【図3】比較例の直流電源装置の断面図。
【符号の説明】
1 基板
2,31 回路基板
3 ランド
4 電源用半導体
5 チップインダクタ
6 チップコンデンサ
7 チップ抵抗
8 端子電極
9 ケース
10,20 直流電源装置
11 切断線
12 切り込み
13,14 切欠き部
15 はんだ
16 高絶縁シリコーン樹脂
21a,21b 基板温度測定位置
23 端子電極形成部
33 端子電極用銅箔
X1 曲げ加工せずに切断したリード端子電極
X2 L字形曲げ加工を施したリード端子電極
Y1 圧延法による端子電極
Y2 電解法による端子電極
Claims (11)
- 電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、厚みが200μm以下の高熱伝導材料からなることを特徴とする基板。
- 前記高熱伝導材料は無機セラミックスを含有する樹脂、または液晶ポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載の基板。
- 前記高熱伝導材料の熱伝導率は0.5W/m・K以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
- 電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む、直流電源装置のための電力変換用部品が配設される基板であって、基材となる平板の少なくとも1つの面に高熱伝導の絶縁層が形成され、厚みが200μm以下であることを特徴とする基板。
- 前記高熱伝導の絶縁層は無機セラミックスを含有する樹脂層、または液晶ポリマー層からなることを特徴とする請求項4に記載の基板。
- 前記高熱伝導の絶縁層は、熱伝導率が0.5W/m・K以上である高熱伝導材料からなることを特徴とする請求項4または5に記載の基板。
- 前記基材となる平板は金属板であることを特徴とする請求項4、5または6に記載の基板。
- 請求項1から7のいずれかに記載の基板に回路パターンを形成してなる回路基板と、電源用半導体、インダクタおよびコンデンサを含む電力変換用部品とを備えることを特徴とする直流電源装置。
- 前記基板上に設けられた回路パターンに、リードピンまたはリードフレームが面実装端子として付設され、前記面実装端子電極の先端が基板の下面より上部に位置することを特徴とする請求項8に記載の直流電源装置。
- 前記基板の面実装端子電極は、前記基板上の回路パターンを構成する金属箔からなることを特徴とする請求項8に記載の直流電源装置。
- 前記電力変換用部品の高さは0.95mm以下であり、全体の高さが1.2mm以下であることを特徴する請求項8、9または10のいずれかに記載の直流電源装置。
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JP2010123777A (ja) * | 2008-11-20 | 2010-06-03 | Nec Tokin Corp | 電気複合部品 |
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2002
- 2002-11-18 JP JP2002333418A patent/JP2004172191A/ja not_active Withdrawn
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