JP2004172164A - 遷移金属酸化物光伝導デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】遷移金属酸化物の電気伝導性を光を用いて制御した光デバイスを提供する。
【解決手段】光照射を行うことによってn型のチタンを含む酸化物基板内に生成したホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むことによって遷移金属酸化物のホール濃度が変化し、その電気伝導性が大きく変わる。照射する光の強度をコントロールすることによりホール濃度を自由に変化させることが可能になる。この方法を光キャリア注入法(Photocarrier injection method:PCI法)と呼ぶ。
【選択図】 図8
【解決手段】光照射を行うことによってn型のチタンを含む酸化物基板内に生成したホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むことによって遷移金属酸化物のホール濃度が変化し、その電気伝導性が大きく変わる。照射する光の強度をコントロールすることによりホール濃度を自由に変化させることが可能になる。この方法を光キャリア注入法(Photocarrier injection method:PCI法)と呼ぶ。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遷移金属酸化物を用いた半導体光伝導デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、遷移金属酸化物における興味ある現象、例えば、銅酸化物における高温超伝導やペロブスカイト型マンガン酸化物における巨大磁気抵抗が発見されており、遷移金属酸化物の電子デバイスへの応用の可能性が注目されている。これらの物性は絶縁体である母物質に伝導キャリアとしてホールキャリアを導入することにより現れる。ホールドープのためには構成金属元素の一部を別の元素で置換する化学置換が必要であるが、デバイス化のためには磁場や光などの外場によってホールキャリア数を制御することが重要である。これまでにペロブスカイト型マンガン酸化物や銅酸化物超伝導体などの遷移金属酸化物に対し、光照射下でキャリア数を制御し電子特性をコントロールする多くの試みがなされてきた。しかしながら、そこで得られた変化は小さく、デバイス応用には程遠いのが現状である。
具体的には、▲1▼Katsu, H. Tanaka, H. & Kawai, Appl. Phys. Lett. 76,3245−3247 (2000)、▲2▼Nieva, G. et al. Phys. Lett. 60, 2159−2161 (1992)、▲3▼Miyano, K., Tanaka, T., Tomioka, Y. & Tokura, Y. Phys. Rev. Lett. 78, 4257−4260 (1997)などの報告がなされている。
【0003】
一方、酸化物を利用して従来の半導体エレクトロニクスデバイスを置き換えようという研究が最近行われている。特にバンドギャップの大きな酸化物を用い、これにドーピングを行ってpn接合を形成することで透明なダイオードやトランジスタを作成する試みが行われている。しかし、得られた特性は従来の半導体デバイスには程遠く、実際のデバイス応用には及んでいない。
具体的には、▲1▼H. Tanaka, J. Zhang and T. Kawai: Phys. Rev. Lett. 88 (2002) 027204、▲2▼Y. Watanabe and M. Okano: Appl. Phys. Lett. 78 (2001) 1906、▲3▼H. Ohta, M. Orita, M. Hirano and H. Hosono: J. Appl. Phys. 89 (2001) 5720、などの報告がなされている。
【0004】
遷移金属酸化物のうち二酸化バナジウム(VO2)は、65℃(338K)付近に金属−絶縁体転移温度を有し、この転移温度より高い温度領域ではよい導電性を示し低い温度領域では絶縁性を示すことが知られている。また、高温では光の吸収が大きいが転移温度より低温では吸収が減る。
【0005】
上述した転移温度を室温付近まで低下せしめるか、転移温度をコントロールすることができればエレクトロニクスデバイスとしての用途が広がるため、従来からバナジウム酸化物(VO2)の転移温度についての研究がなされている。
具体的には、▲1▼L.A.Ladd et al., Solid State Commun.,vol7 425−428(1969)、▲2▼Japanese Journal of Applied Physics vol.8,No.8, August 1969の1008−1013、▲3▼physica status solidi(a)34,K83(1976)、▲4▼J.Vac.Sci.Technol.A6(3),May/Jun1988、▲5▼Thin Solid Films,24(1974)307−310、などに報告がなされている。
【0006】
本発明者らは転移温度が低く且つ転移温度における導電性(または可視光透過率)の変化量の大きいエレクトロニクスデバイスとして優れたバナジウム酸化物(VO2)を得るため、特願2001−182190号を提案した。この出願の内容は、転移温度に影響を与えるバナジウム酸化物のc軸長の変化は、格子間隔が近似した基板の上にバナジウム酸化物薄膜を成膜することで達成できるとの考えに基づいたものであり、ルチル型酸化チタン基板の(001)面上にc軸が垂直になるようにルチル型バナジウム酸化物(VO2)を成膜している。
【0007】
遷移金属酸化物のうちでペロブスカイト型マンガン酸化物は磁場中で大きな電気伝導性の変化を示し、いわゆる巨大磁気抵抗効果(CMR)を持つため、磁気センサーや磁気ヘッド材料として研究されている。その電気伝導性は化学置換の結果導入されたホール量に大きく依存し、ホール量を自由に制御することは応用上重要であるが、外場による十分な制御に成功した例はない。
具体的には、▲1▼Jin, S., et al. Science 264, 413−415 (1994)、▲2▼Katsu, H.Tanaka, H. & Kawai, Appl. Phys. Lett. 76, 3245−3247 (2000)等の報告がある。
【0008】
遷移金属酸化物のうちで銅酸化物は母物質である絶縁体(例えばLa2CuO4)に化学置換を施す(例えば(La、Sr)2CuO4)ことでホールがドープされ金属となり、高い転移温度Tcで超伝導性を示すことが知られている。Tcはドープされたホール濃度に依存し、15%程度の最適値で最高値を示す。しかしながら、ホール濃度を外場によって制御することは困難であり、デバイス応用への問題となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように各種の遷移金属酸化物は応用上重要な物性を示し、これがホール濃度に大きく依存する。よってホール濃度を何らかの外場によって自由に制御することが可能になれば有用である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遷移金属酸化物のホール濃度を制御するための外場として光に着目した。光による物性制御は光電変換や光電子デバイスへの応用を可能とする。光によるホール濃度制御のために、n型のチタンを含む酸化物を基板として用い、その表面に遷移金属酸化物の薄膜を形成した構造体を作製した。
チタン酸化物は古くからその光活性が知られており、特に紫外線に対して光化学反応や光触媒効果を示す。この構造体に光照射を行うことによってn型のチタンを含む酸化物基板内に生成したホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むことによって遷移金属酸化物のホール濃度が変化し、その物性が変わる。
【0011】
ホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むには、n型のチタンを含む酸化物と遷移金属酸化物との接合部が良好な界面を形成することが重要である。このような良好な界面とは、例えば、ルチル型酸化チタン基板の(001)面上にc軸が垂直になるようにルチル型バナジウム酸化物(VO2)をエピタキシャル成長せしめた場合に得られる。ただし、ホールが移動しうる界面としてはこれに限るものではなく、互いに同一または近似する結晶構造をとるもの同士であればホールの移動は可能である。
【0012】
本発明によれば、照射する光(外場)の強度をコントロールすることによりホール濃度を自由に変化させることが可能になる。この方法を光キャリア注入法(Photocarrier injection method:PCI法)と呼ぶ。
【0013】
基板として必要なn型特性を有するチタン酸化物を探索した結果、Nb,Ta,As,Sb,W、または、Laを少量添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)がPCI法に有効であるとの知見を得た。
【0014】
遷移金属酸化物としては二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)においてPCI法が有効であるとの知見を得た。
【0015】
即ち、本発明に係る光デバイスにおいては、Nb,Ta,As,Sb、W、または、Laを添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板上に、二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)の薄膜が形成され、そこに光が照射されると基板から膜へ光キャリア注入が起こり、光が照射されない状態よりもより金属的となり低い電気抵抗値を示す構成とされている。
【0016】
照射光として紫外線(波長300−400nm)を用いた場合には、可視光(400−800nm)を用いた場合よりも大きな光キャリア注入効果を示す。
【0017】
具体的なデバイスの例としては、光伝導セルが挙げられる。光伝導セルはとしては、n型半導体特性を有する各種のチタンを含む酸化物上に、光を照射することによって電気伝導性が制御される遷移金属酸化物薄膜が形成され、この遷移金属酸化物薄膜表面に一対の電極が形成された構成が考えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る光デバイスの基本となる構造を示し、図2は遷移金属酸化物薄膜を形成するためのレーザアブレーション装置の概略図である。
光デバイスの基本となる部分は、Nb,Ta,As,Sb、W、または、Laを添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板上に、二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)の薄膜がエピタキシャル成長している。
基板(酸化物)は単結晶または多結晶であり、その厚さは1mmから1μmである。薄膜の厚さは数nmから数百nmである。基板中のNbの濃度は0.1wt%以下が好ましい。
【0019】
遷移金属酸化物薄膜を形成するレーザアブレーション装置は、処理チャンバー1の周囲に、加熱装置2、KrFエキシマレーザ照射装置3、パルスモータ4及びO2/O3供給管5を設けている。前記加熱装置2は処理チャンバー1内に臨む先端で基板Wを保持し、その近傍には厚みモニタ6を配置し、前記パルスモータ4は処理チャンバー1内に臨むロッド7を進退動せしめ、このロッド7先端にはターゲットTのホルダ8を備えている。
【0020】
上記のレーザアブレーション装置を用い、以下の条件でNbをドープしたTiO2基板の(001)面上にルチル型VO2薄膜を形成した。成膜条件は、温度を370℃(643K)、酸素分圧を1Pa、成膜速度を1.5Å/min、膜厚を100Å(10nm)とした。
【0021】
図3は、上記の(001)面上に形成されたVO2薄膜の温度と電気抵抗との関係を、光照射なし(dark)、紫外線照射(UV)および可視光照射(VIS)のそれぞれについて示したものである。
dark(光照射なし)については、本発明者らの先の出願(特願2001−182190号)にも開示したように、基板との格子整合の結果、VO2薄膜のc軸長が圧縮されたことに起因して、転移温度は昇温行程では297K、冷却行程では287Kまでバルクの値に比べて約40K低下し、しかも転移温度における変化量が極めて急峻である。因みに、c軸長が伸張されたVO2薄膜にあっては、転移温度が上昇し電気抵抗の変化は65℃(338K)以上で見られた。
【0022】
一方、VO2薄膜に紫外線を照射した場合は、電気抵抗値(Ω・cm)は「光照射なし」における転移点(TMI)とほぼ等しい温度で小さなジャンプを示す。この小さなジャンプは驚くべきことに、105から103まで2桁も電気抵抗値が下がっている。更に電気抵抗値は温度の低下につれて徐々に下がり、「光照射なし」では絶縁体の温度変化を示したのに対して紫外線照射の条件では金属の性質を示すようになった。
【0023】
また、VO2薄膜に可視光を照射した場合も転移点以下の温度領域で、「光照射なし」の場合より電気抵抗値の減少を観察した。この減少幅は紫外線照射の場合より小さくしかも転移点以下では温度の低下に拘わらずほぼ一定値を示した。また転移点は「光照射なし」の場合よりも若干下がっているが、これは光照射によるわずかな温度上昇効果によると思われる。
【0024】
我々は同一の条件で作製した純粋なTiO2基板上のVO2膜、NbドープTiO2基板(VO2膜なし)について実験したところ、図4に示すように、いずれも光導電効果は検出できなかった。したがって、NbドープTiO2基板とVO2膜とのヘテロ構造組合せが大きな光導電性を発揮すると結論できる。
【0025】
図5は本発明に係る遷移金属酸化物光デバイスの具体例としての光伝導セルを示す。光伝導セルはNbドープTiO2基板上にVO2膜が形成され、このVO2膜表面に一対の電極が形成されている。
【0026】
図6は図5の光伝導セルの電極間に0.2mVを印加した場合の測定電流値を示したグラフである。紫外線照射前はVO2膜には極めて微量の電流しか流れていないが、紫外光をオンにすると突然電流値が増加し、オフにすると瞬時に電流値はダークレベルに戻る。
このオン・オフは数千回繰り返しても衰えることなく再現性が極めて高かった。T<TMIの場合の減衰時間を測定したところ1ミリ秒程度であった。この値は典型的な光伝導デバイスとして用いられているCdSの減衰時間が30〜100ミリ秒であるのと比較して極めて小さいことが分る。また、通常の光伝導特性は数〜数十Vの電圧下で観測されるのに対して、本発明に係る光デバイスを光スイッチ等として用いた場合、駆動電圧が低く且つ繰り返し再現性が高いので極めて有効と言える。更に、本発明に係る光伝導セルは極めて広いレンジで良好な感度を示した。
【0027】
また、従来の光伝導セルの材料としては前記したCdSの他にPbSやPbSeが用いられるが、いずれもCd(カドミウム)、Pb(鉛)といった環境衛生上問題となる材料を用いており好ましくない。これに対し本発明にあっては毒性の強い材料を使用せず、環境衛生上も好ましい。
【0028】
更に、図7は光強度と光電気伝導度との関係を示したグラフである。紫外線を照射した場合は可視光よりも2桁以上も光電気伝導度が大きくなっている。このことは、殆んどのNbドープTiO2基板内で生じるキャリアは、波長300−400nmの紫外線が吸収されることで生じ、残りのキャリアはNbドープTiO2基板のバンドギャップ内に存在する未知の不純物準位に起因することを示唆している。
このような光強度と光電気伝導度における紫外線と可視光の違いは光励起過程の違いからくるのではないかと推察される。
しかしながら、上記の現象は一見してNbドープTiO2基板それ自体では光電気伝導性を示さないことと矛盾する。光電気伝導性が検出できないのは再結合プロセスが早すぎるからと考えられる。このことから我々は、VO2膜がNbドープTiO2基板に生じた正孔か電子の一方のみを引き出し、再結合するのを妨げる役目を担っていると推定した。
我々が行った実験では光照射下において界面方向に最大0.5Vの光起電力が測定された。このとき、VO2膜がプラスであった。このことは図8に示すように、VO2膜に正孔が選択的に移動し、NbドープTiO2結晶中に電子が残ることを意味する。我々は光照射下で平面内のプラスのホール電圧を測定することで上記の事実を確認した。
【0029】
VO2/TiO2:Nbヘテロ構造が、金属―絶縁体転移温度TMIよりも高温領域と低温領域(紫外線照射下)の2つの領域において金属状態(導電性)を示すことを、図9を用いて定性的に説明する。
TiO2の価電子帯は主に酸素の2p軌道からなり、伝導帯はTiの3d軌道からなる。その間のエネルギーギャップは3.0eVである。Nb5+ドナーの不純物レベルは伝導帯のすぐ下にある。我々は、TiO2:Nb結晶のホール係数を測定することで電子キャリア濃度と活性化エネルギーを決定した。前者は280Kにおいて2×1018cm−3で後者は0.09eVであった。
恐らく、NbのドーピングによりTiO2バンドエッジ付近での光吸収が高まるとともにNbレベルは電子キャリアのトラップとして働くと考えられる。
一方、ShinらによるVO2の光電子分光の研究によれば、金属領域では約半分が(電子で)満たされていたd//バンドが絶縁体領域ではd//とd// *の2つのバンドに分かれる。
これらをフェルミレベルマッチングを想定して、接合部に適用しエネルギー図として示したのが図9である。図9は2種類の金属状態を示しており、1つはTMI(転移点)より高いダーク(非照射)で、他の1つはTMI(転移点)より低い紫外線照射状態である。
光吸収は主として厚み0.5mmのTiO2:Nb結晶内で起こり、これにより正孔と電子が価電子帯と伝導帯内に生じる。
TMI(転移点)より低い場合には、エネルギー図から、正孔のみがVO2の酸素の2pバンドに侵入できることが推測される。この理由は、VO2の酸素の2pバンドの頂点はTiO2:Nbの価電子帯より約0.5eV高い状態にあり、またVO2膜の空のd// *バンドの底部はTiO2:Nbの伝導帯よりかなり高い位置にあることによる。
界面付近におけるTiO2バンドの上方へのカーブ(曲がり)は界面における電子と正孔の分離を助長させる。更に、TiO2内における電子の移動性が小さいことと正孔の移動性が大きいことも上記の現象を助長していると考えられる。VO2内での正孔の濃度の増加につれてVO2バンドは開回路電圧VOC分だけ下方にシフトする。この開回路電圧VOCは界面の光起電力測定において測定された。
VO2の酸素の2pバンド内に注入された正孔はフェルミレベル近傍にあるd//電子と結合し消滅する。この結果TMIよりも低温領域でd//バンド内にホールキャリアが生成する。よって、VO2膜は金属としての特性を示し、紫外線照射下で大きな光電気伝導性または絶縁体−金属転移を示す。
ここで、注目すべきは、光強度によってキャリア濃度を調整できる点である。似たような光キャリアの注入はTMIよりも高温領域でも生じているはずであるが、既に金属バンド構造になっているので流れる電流の変化の割合は小さい。
TMIよりも高温領域と低温領域(紫外線照射)における金属状態は区別して捉えるべきである。なぜなら、TMIにおける抵抗値のジャンプが残っているし、また2つの金属領域における抵抗値の温度変化の傾きが全く異なっているからである。
【0030】
上記と同様な手法によって、NbをドープしたSrTiO3基板上にペロブスカイト型マンガン酸化物La0.9Sr0.1MnO3薄膜を作製した。
図10はその電気抵抗率の温度依存性を光照射量を変えて測定したものである。光照射量ゼロ(dark)では室温から電気抵抗率が上昇し、200Kでピークを示した後減少するが、低温では再び増加する。ピークの温度は強磁性状態への転移温度を示している。光照射量を増やしていくと電気抵抗率は急激に減少し、200Kあたりでは2桁以上減少する。よって、紫外光によりSrTiO3基板に生じたホールがLa0.9Sr0.1MnO3薄膜に移動してキャリア濃度を増加させたことがわかる。
【0031】
さらに注目すべきことは強磁性転移温度以上では光照射により半導体からよい金属状態へと変化していることである。バルクの試料では一般にホール濃度によらず、このようによい金属状態は得られていない。この相違は通常の化学置換によるホールドーピングが構造の乱れを伴うためキャリアの自由な動きを疎外するのに対して、光キャリア注入がそのような乱れを導入しないクリーンなホールドーピングであることによると考えられる。これはデバイスにおいて高い移動度を達成できる可能性を示しており、光キャリア注入法の有効性を示している。
【0032】
上記と同様な手法によって、NbをドープしたSrTiO3基板上に銅酸化物CaCuO2薄膜を作製した。
図11はその電気抵抗率の温度依存性を光照射量を変えて測定したものである。光照射量ゼロでは室温から電気抵抗率が上昇し、半導体的である。光照射を行うと電気抵抗は室温で2桁、100Kでは4桁以上減少する。よって、紫外光によりSrTiO3基板に生じたホールがCaCuO2薄膜に移動してキャリア濃度を増加させたことがわかる。
【0033】
本発明に係る光デバイスは高感度な光センサーとして有効である。特に紫外光に対して高い感度を有する。さらにX線などの放射線に対しても感度を有することが確かめられている。また、適当な吸収剤を導入することで中性子線などの高エネルギー粒子に対しても使用可能である。一方、可視光にも十分な感度を有している。CdSを用いた従来の可視光センサーに比べて、本光デバイスはその駆動電圧が極めて低いことから、より簡便で低コストな可視光センサー用材料として優れている。
【0034】
なお、本発明に係る遷移金属酸化物光デバイスは上記の光伝導セルに限るものではなく、例えばフォトトランジスタ(ユニポーラトランジスタ)、フォトダイオードなども考えられる。例えばn型チタン酸化物基板表面にVO2などの遷移金属酸化物薄膜を形成し、その表面にソース電極とドレイン電極を形成する。この場合には、VO2膜に紫外線が照射されない状態ではソース−ドレイン間にはほとんど電流は流れないが、VO2膜に光が照射されると、VO2膜に正孔が集まり、電気抵抗が減少するため、ソース−ドレイン間に電流が流れる。その電流値は光照射量に応じて大きく変化するため、光信号を増幅することができる。この素子は数mV以下の低い電圧でも駆動することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明に係る光デバイスは、紫外線などの光を照射することで、電気抵抗が大きく変化するので、光センサー、光スイッチ、光トランジスタなどの光デバイスとして応用することができる。
特に遷移金属酸化物の化学組成を変化させることでキャリヤを生じさせるのではなく、外部から紫外線等を照射することでキャリヤ注入を行うのでよりクリーンなデバイスを作製可能である。
【0036】
また、本発明は上記のデバイスを高出力レーザ光や高電場雰囲気などの特殊な条件を設定することなく得ることができ、しかも駆動電圧が不要となるか或いは極めて低電圧で駆動することができるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光デバイスの基本となる部分を示す図
【図2】遷移金属薄膜を形成するレーザアブレーション装置の概略図
【図3】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbの温度と電気抵抗との関係を、光を照射しない場合、紫外線(UV)を照射した場合、可視光(VIS)を照射した場合について示した図
【図4】ルチル型酸化チタン基板上にルチル型バナジウム酸化物を成膜した構造体に、紫外線を照射した場合と照射しない場合の電気抵抗の変化を示すグラフ
【図5】本発明に係る光デバイスの一例としての光伝導セルの斜視図
【図6】図5の光伝導セルに0.2mVを印加した場合の測定電流値を示したグラフ
【図7】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、光強度と光電気伝導度との関係を示したグラフ
【図8】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、VO2膜に正孔が選択的に移動している状態を示す図
【図9】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、2つの金属状態を定性的に説明した図
【図10】本発明に係る光デバイスLa0.9Sr0.1MnO3/SrTiO3:Nbにおいて、光照射量を変えたときの電気抵抗率の変化を示した図。
【図11】本発明に係る光デバイスCaCuO2/SrTiO3:Nbにおいて、光照射量を変えたときの電気抵抗率の変化を示した図。
【符号の説明】
1…処理チャンバー、2…加熱装置、3…KrFエキシマレーザ照射装置、4…パルスモータ、5…O2/O3供給管、6…厚みモニタ、7…ロッド、8…ターゲットホルダ、T…ターゲット、W…基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、遷移金属酸化物を用いた半導体光伝導デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、遷移金属酸化物における興味ある現象、例えば、銅酸化物における高温超伝導やペロブスカイト型マンガン酸化物における巨大磁気抵抗が発見されており、遷移金属酸化物の電子デバイスへの応用の可能性が注目されている。これらの物性は絶縁体である母物質に伝導キャリアとしてホールキャリアを導入することにより現れる。ホールドープのためには構成金属元素の一部を別の元素で置換する化学置換が必要であるが、デバイス化のためには磁場や光などの外場によってホールキャリア数を制御することが重要である。これまでにペロブスカイト型マンガン酸化物や銅酸化物超伝導体などの遷移金属酸化物に対し、光照射下でキャリア数を制御し電子特性をコントロールする多くの試みがなされてきた。しかしながら、そこで得られた変化は小さく、デバイス応用には程遠いのが現状である。
具体的には、▲1▼Katsu, H. Tanaka, H. & Kawai, Appl. Phys. Lett. 76,3245−3247 (2000)、▲2▼Nieva, G. et al. Phys. Lett. 60, 2159−2161 (1992)、▲3▼Miyano, K., Tanaka, T., Tomioka, Y. & Tokura, Y. Phys. Rev. Lett. 78, 4257−4260 (1997)などの報告がなされている。
【0003】
一方、酸化物を利用して従来の半導体エレクトロニクスデバイスを置き換えようという研究が最近行われている。特にバンドギャップの大きな酸化物を用い、これにドーピングを行ってpn接合を形成することで透明なダイオードやトランジスタを作成する試みが行われている。しかし、得られた特性は従来の半導体デバイスには程遠く、実際のデバイス応用には及んでいない。
具体的には、▲1▼H. Tanaka, J. Zhang and T. Kawai: Phys. Rev. Lett. 88 (2002) 027204、▲2▼Y. Watanabe and M. Okano: Appl. Phys. Lett. 78 (2001) 1906、▲3▼H. Ohta, M. Orita, M. Hirano and H. Hosono: J. Appl. Phys. 89 (2001) 5720、などの報告がなされている。
【0004】
遷移金属酸化物のうち二酸化バナジウム(VO2)は、65℃(338K)付近に金属−絶縁体転移温度を有し、この転移温度より高い温度領域ではよい導電性を示し低い温度領域では絶縁性を示すことが知られている。また、高温では光の吸収が大きいが転移温度より低温では吸収が減る。
【0005】
上述した転移温度を室温付近まで低下せしめるか、転移温度をコントロールすることができればエレクトロニクスデバイスとしての用途が広がるため、従来からバナジウム酸化物(VO2)の転移温度についての研究がなされている。
具体的には、▲1▼L.A.Ladd et al., Solid State Commun.,vol7 425−428(1969)、▲2▼Japanese Journal of Applied Physics vol.8,No.8, August 1969の1008−1013、▲3▼physica status solidi(a)34,K83(1976)、▲4▼J.Vac.Sci.Technol.A6(3),May/Jun1988、▲5▼Thin Solid Films,24(1974)307−310、などに報告がなされている。
【0006】
本発明者らは転移温度が低く且つ転移温度における導電性(または可視光透過率)の変化量の大きいエレクトロニクスデバイスとして優れたバナジウム酸化物(VO2)を得るため、特願2001−182190号を提案した。この出願の内容は、転移温度に影響を与えるバナジウム酸化物のc軸長の変化は、格子間隔が近似した基板の上にバナジウム酸化物薄膜を成膜することで達成できるとの考えに基づいたものであり、ルチル型酸化チタン基板の(001)面上にc軸が垂直になるようにルチル型バナジウム酸化物(VO2)を成膜している。
【0007】
遷移金属酸化物のうちでペロブスカイト型マンガン酸化物は磁場中で大きな電気伝導性の変化を示し、いわゆる巨大磁気抵抗効果(CMR)を持つため、磁気センサーや磁気ヘッド材料として研究されている。その電気伝導性は化学置換の結果導入されたホール量に大きく依存し、ホール量を自由に制御することは応用上重要であるが、外場による十分な制御に成功した例はない。
具体的には、▲1▼Jin, S., et al. Science 264, 413−415 (1994)、▲2▼Katsu, H.Tanaka, H. & Kawai, Appl. Phys. Lett. 76, 3245−3247 (2000)等の報告がある。
【0008】
遷移金属酸化物のうちで銅酸化物は母物質である絶縁体(例えばLa2CuO4)に化学置換を施す(例えば(La、Sr)2CuO4)ことでホールがドープされ金属となり、高い転移温度Tcで超伝導性を示すことが知られている。Tcはドープされたホール濃度に依存し、15%程度の最適値で最高値を示す。しかしながら、ホール濃度を外場によって制御することは困難であり、デバイス応用への問題となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように各種の遷移金属酸化物は応用上重要な物性を示し、これがホール濃度に大きく依存する。よってホール濃度を何らかの外場によって自由に制御することが可能になれば有用である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遷移金属酸化物のホール濃度を制御するための外場として光に着目した。光による物性制御は光電変換や光電子デバイスへの応用を可能とする。光によるホール濃度制御のために、n型のチタンを含む酸化物を基板として用い、その表面に遷移金属酸化物の薄膜を形成した構造体を作製した。
チタン酸化物は古くからその光活性が知られており、特に紫外線に対して光化学反応や光触媒効果を示す。この構造体に光照射を行うことによってn型のチタンを含む酸化物基板内に生成したホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むことによって遷移金属酸化物のホール濃度が変化し、その物性が変わる。
【0011】
ホールが遷移金属酸化物薄膜に流れ込むには、n型のチタンを含む酸化物と遷移金属酸化物との接合部が良好な界面を形成することが重要である。このような良好な界面とは、例えば、ルチル型酸化チタン基板の(001)面上にc軸が垂直になるようにルチル型バナジウム酸化物(VO2)をエピタキシャル成長せしめた場合に得られる。ただし、ホールが移動しうる界面としてはこれに限るものではなく、互いに同一または近似する結晶構造をとるもの同士であればホールの移動は可能である。
【0012】
本発明によれば、照射する光(外場)の強度をコントロールすることによりホール濃度を自由に変化させることが可能になる。この方法を光キャリア注入法(Photocarrier injection method:PCI法)と呼ぶ。
【0013】
基板として必要なn型特性を有するチタン酸化物を探索した結果、Nb,Ta,As,Sb,W、または、Laを少量添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)がPCI法に有効であるとの知見を得た。
【0014】
遷移金属酸化物としては二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)においてPCI法が有効であるとの知見を得た。
【0015】
即ち、本発明に係る光デバイスにおいては、Nb,Ta,As,Sb、W、または、Laを添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板上に、二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)の薄膜が形成され、そこに光が照射されると基板から膜へ光キャリア注入が起こり、光が照射されない状態よりもより金属的となり低い電気抵抗値を示す構成とされている。
【0016】
照射光として紫外線(波長300−400nm)を用いた場合には、可視光(400−800nm)を用いた場合よりも大きな光キャリア注入効果を示す。
【0017】
具体的なデバイスの例としては、光伝導セルが挙げられる。光伝導セルはとしては、n型半導体特性を有する各種のチタンを含む酸化物上に、光を照射することによって電気伝導性が制御される遷移金属酸化物薄膜が形成され、この遷移金属酸化物薄膜表面に一対の電極が形成された構成が考えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る光デバイスの基本となる構造を示し、図2は遷移金属酸化物薄膜を形成するためのレーザアブレーション装置の概略図である。
光デバイスの基本となる部分は、Nb,Ta,As,Sb、W、または、Laを添加したルチル型二酸化チタン(TiO2)または、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)基板上に、二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)の薄膜がエピタキシャル成長している。
基板(酸化物)は単結晶または多結晶であり、その厚さは1mmから1μmである。薄膜の厚さは数nmから数百nmである。基板中のNbの濃度は0.1wt%以下が好ましい。
【0019】
遷移金属酸化物薄膜を形成するレーザアブレーション装置は、処理チャンバー1の周囲に、加熱装置2、KrFエキシマレーザ照射装置3、パルスモータ4及びO2/O3供給管5を設けている。前記加熱装置2は処理チャンバー1内に臨む先端で基板Wを保持し、その近傍には厚みモニタ6を配置し、前記パルスモータ4は処理チャンバー1内に臨むロッド7を進退動せしめ、このロッド7先端にはターゲットTのホルダ8を備えている。
【0020】
上記のレーザアブレーション装置を用い、以下の条件でNbをドープしたTiO2基板の(001)面上にルチル型VO2薄膜を形成した。成膜条件は、温度を370℃(643K)、酸素分圧を1Pa、成膜速度を1.5Å/min、膜厚を100Å(10nm)とした。
【0021】
図3は、上記の(001)面上に形成されたVO2薄膜の温度と電気抵抗との関係を、光照射なし(dark)、紫外線照射(UV)および可視光照射(VIS)のそれぞれについて示したものである。
dark(光照射なし)については、本発明者らの先の出願(特願2001−182190号)にも開示したように、基板との格子整合の結果、VO2薄膜のc軸長が圧縮されたことに起因して、転移温度は昇温行程では297K、冷却行程では287Kまでバルクの値に比べて約40K低下し、しかも転移温度における変化量が極めて急峻である。因みに、c軸長が伸張されたVO2薄膜にあっては、転移温度が上昇し電気抵抗の変化は65℃(338K)以上で見られた。
【0022】
一方、VO2薄膜に紫外線を照射した場合は、電気抵抗値(Ω・cm)は「光照射なし」における転移点(TMI)とほぼ等しい温度で小さなジャンプを示す。この小さなジャンプは驚くべきことに、105から103まで2桁も電気抵抗値が下がっている。更に電気抵抗値は温度の低下につれて徐々に下がり、「光照射なし」では絶縁体の温度変化を示したのに対して紫外線照射の条件では金属の性質を示すようになった。
【0023】
また、VO2薄膜に可視光を照射した場合も転移点以下の温度領域で、「光照射なし」の場合より電気抵抗値の減少を観察した。この減少幅は紫外線照射の場合より小さくしかも転移点以下では温度の低下に拘わらずほぼ一定値を示した。また転移点は「光照射なし」の場合よりも若干下がっているが、これは光照射によるわずかな温度上昇効果によると思われる。
【0024】
我々は同一の条件で作製した純粋なTiO2基板上のVO2膜、NbドープTiO2基板(VO2膜なし)について実験したところ、図4に示すように、いずれも光導電効果は検出できなかった。したがって、NbドープTiO2基板とVO2膜とのヘテロ構造組合せが大きな光導電性を発揮すると結論できる。
【0025】
図5は本発明に係る遷移金属酸化物光デバイスの具体例としての光伝導セルを示す。光伝導セルはNbドープTiO2基板上にVO2膜が形成され、このVO2膜表面に一対の電極が形成されている。
【0026】
図6は図5の光伝導セルの電極間に0.2mVを印加した場合の測定電流値を示したグラフである。紫外線照射前はVO2膜には極めて微量の電流しか流れていないが、紫外光をオンにすると突然電流値が増加し、オフにすると瞬時に電流値はダークレベルに戻る。
このオン・オフは数千回繰り返しても衰えることなく再現性が極めて高かった。T<TMIの場合の減衰時間を測定したところ1ミリ秒程度であった。この値は典型的な光伝導デバイスとして用いられているCdSの減衰時間が30〜100ミリ秒であるのと比較して極めて小さいことが分る。また、通常の光伝導特性は数〜数十Vの電圧下で観測されるのに対して、本発明に係る光デバイスを光スイッチ等として用いた場合、駆動電圧が低く且つ繰り返し再現性が高いので極めて有効と言える。更に、本発明に係る光伝導セルは極めて広いレンジで良好な感度を示した。
【0027】
また、従来の光伝導セルの材料としては前記したCdSの他にPbSやPbSeが用いられるが、いずれもCd(カドミウム)、Pb(鉛)といった環境衛生上問題となる材料を用いており好ましくない。これに対し本発明にあっては毒性の強い材料を使用せず、環境衛生上も好ましい。
【0028】
更に、図7は光強度と光電気伝導度との関係を示したグラフである。紫外線を照射した場合は可視光よりも2桁以上も光電気伝導度が大きくなっている。このことは、殆んどのNbドープTiO2基板内で生じるキャリアは、波長300−400nmの紫外線が吸収されることで生じ、残りのキャリアはNbドープTiO2基板のバンドギャップ内に存在する未知の不純物準位に起因することを示唆している。
このような光強度と光電気伝導度における紫外線と可視光の違いは光励起過程の違いからくるのではないかと推察される。
しかしながら、上記の現象は一見してNbドープTiO2基板それ自体では光電気伝導性を示さないことと矛盾する。光電気伝導性が検出できないのは再結合プロセスが早すぎるからと考えられる。このことから我々は、VO2膜がNbドープTiO2基板に生じた正孔か電子の一方のみを引き出し、再結合するのを妨げる役目を担っていると推定した。
我々が行った実験では光照射下において界面方向に最大0.5Vの光起電力が測定された。このとき、VO2膜がプラスであった。このことは図8に示すように、VO2膜に正孔が選択的に移動し、NbドープTiO2結晶中に電子が残ることを意味する。我々は光照射下で平面内のプラスのホール電圧を測定することで上記の事実を確認した。
【0029】
VO2/TiO2:Nbヘテロ構造が、金属―絶縁体転移温度TMIよりも高温領域と低温領域(紫外線照射下)の2つの領域において金属状態(導電性)を示すことを、図9を用いて定性的に説明する。
TiO2の価電子帯は主に酸素の2p軌道からなり、伝導帯はTiの3d軌道からなる。その間のエネルギーギャップは3.0eVである。Nb5+ドナーの不純物レベルは伝導帯のすぐ下にある。我々は、TiO2:Nb結晶のホール係数を測定することで電子キャリア濃度と活性化エネルギーを決定した。前者は280Kにおいて2×1018cm−3で後者は0.09eVであった。
恐らく、NbのドーピングによりTiO2バンドエッジ付近での光吸収が高まるとともにNbレベルは電子キャリアのトラップとして働くと考えられる。
一方、ShinらによるVO2の光電子分光の研究によれば、金属領域では約半分が(電子で)満たされていたd//バンドが絶縁体領域ではd//とd// *の2つのバンドに分かれる。
これらをフェルミレベルマッチングを想定して、接合部に適用しエネルギー図として示したのが図9である。図9は2種類の金属状態を示しており、1つはTMI(転移点)より高いダーク(非照射)で、他の1つはTMI(転移点)より低い紫外線照射状態である。
光吸収は主として厚み0.5mmのTiO2:Nb結晶内で起こり、これにより正孔と電子が価電子帯と伝導帯内に生じる。
TMI(転移点)より低い場合には、エネルギー図から、正孔のみがVO2の酸素の2pバンドに侵入できることが推測される。この理由は、VO2の酸素の2pバンドの頂点はTiO2:Nbの価電子帯より約0.5eV高い状態にあり、またVO2膜の空のd// *バンドの底部はTiO2:Nbの伝導帯よりかなり高い位置にあることによる。
界面付近におけるTiO2バンドの上方へのカーブ(曲がり)は界面における電子と正孔の分離を助長させる。更に、TiO2内における電子の移動性が小さいことと正孔の移動性が大きいことも上記の現象を助長していると考えられる。VO2内での正孔の濃度の増加につれてVO2バンドは開回路電圧VOC分だけ下方にシフトする。この開回路電圧VOCは界面の光起電力測定において測定された。
VO2の酸素の2pバンド内に注入された正孔はフェルミレベル近傍にあるd//電子と結合し消滅する。この結果TMIよりも低温領域でd//バンド内にホールキャリアが生成する。よって、VO2膜は金属としての特性を示し、紫外線照射下で大きな光電気伝導性または絶縁体−金属転移を示す。
ここで、注目すべきは、光強度によってキャリア濃度を調整できる点である。似たような光キャリアの注入はTMIよりも高温領域でも生じているはずであるが、既に金属バンド構造になっているので流れる電流の変化の割合は小さい。
TMIよりも高温領域と低温領域(紫外線照射)における金属状態は区別して捉えるべきである。なぜなら、TMIにおける抵抗値のジャンプが残っているし、また2つの金属領域における抵抗値の温度変化の傾きが全く異なっているからである。
【0030】
上記と同様な手法によって、NbをドープしたSrTiO3基板上にペロブスカイト型マンガン酸化物La0.9Sr0.1MnO3薄膜を作製した。
図10はその電気抵抗率の温度依存性を光照射量を変えて測定したものである。光照射量ゼロ(dark)では室温から電気抵抗率が上昇し、200Kでピークを示した後減少するが、低温では再び増加する。ピークの温度は強磁性状態への転移温度を示している。光照射量を増やしていくと電気抵抗率は急激に減少し、200Kあたりでは2桁以上減少する。よって、紫外光によりSrTiO3基板に生じたホールがLa0.9Sr0.1MnO3薄膜に移動してキャリア濃度を増加させたことがわかる。
【0031】
さらに注目すべきことは強磁性転移温度以上では光照射により半導体からよい金属状態へと変化していることである。バルクの試料では一般にホール濃度によらず、このようによい金属状態は得られていない。この相違は通常の化学置換によるホールドーピングが構造の乱れを伴うためキャリアの自由な動きを疎外するのに対して、光キャリア注入がそのような乱れを導入しないクリーンなホールドーピングであることによると考えられる。これはデバイスにおいて高い移動度を達成できる可能性を示しており、光キャリア注入法の有効性を示している。
【0032】
上記と同様な手法によって、NbをドープしたSrTiO3基板上に銅酸化物CaCuO2薄膜を作製した。
図11はその電気抵抗率の温度依存性を光照射量を変えて測定したものである。光照射量ゼロでは室温から電気抵抗率が上昇し、半導体的である。光照射を行うと電気抵抗は室温で2桁、100Kでは4桁以上減少する。よって、紫外光によりSrTiO3基板に生じたホールがCaCuO2薄膜に移動してキャリア濃度を増加させたことがわかる。
【0033】
本発明に係る光デバイスは高感度な光センサーとして有効である。特に紫外光に対して高い感度を有する。さらにX線などの放射線に対しても感度を有することが確かめられている。また、適当な吸収剤を導入することで中性子線などの高エネルギー粒子に対しても使用可能である。一方、可視光にも十分な感度を有している。CdSを用いた従来の可視光センサーに比べて、本光デバイスはその駆動電圧が極めて低いことから、より簡便で低コストな可視光センサー用材料として優れている。
【0034】
なお、本発明に係る遷移金属酸化物光デバイスは上記の光伝導セルに限るものではなく、例えばフォトトランジスタ(ユニポーラトランジスタ)、フォトダイオードなども考えられる。例えばn型チタン酸化物基板表面にVO2などの遷移金属酸化物薄膜を形成し、その表面にソース電極とドレイン電極を形成する。この場合には、VO2膜に紫外線が照射されない状態ではソース−ドレイン間にはほとんど電流は流れないが、VO2膜に光が照射されると、VO2膜に正孔が集まり、電気抵抗が減少するため、ソース−ドレイン間に電流が流れる。その電流値は光照射量に応じて大きく変化するため、光信号を増幅することができる。この素子は数mV以下の低い電圧でも駆動することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明に係る光デバイスは、紫外線などの光を照射することで、電気抵抗が大きく変化するので、光センサー、光スイッチ、光トランジスタなどの光デバイスとして応用することができる。
特に遷移金属酸化物の化学組成を変化させることでキャリヤを生じさせるのではなく、外部から紫外線等を照射することでキャリヤ注入を行うのでよりクリーンなデバイスを作製可能である。
【0036】
また、本発明は上記のデバイスを高出力レーザ光や高電場雰囲気などの特殊な条件を設定することなく得ることができ、しかも駆動電圧が不要となるか或いは極めて低電圧で駆動することができるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光デバイスの基本となる部分を示す図
【図2】遷移金属薄膜を形成するレーザアブレーション装置の概略図
【図3】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbの温度と電気抵抗との関係を、光を照射しない場合、紫外線(UV)を照射した場合、可視光(VIS)を照射した場合について示した図
【図4】ルチル型酸化チタン基板上にルチル型バナジウム酸化物を成膜した構造体に、紫外線を照射した場合と照射しない場合の電気抵抗の変化を示すグラフ
【図5】本発明に係る光デバイスの一例としての光伝導セルの斜視図
【図6】図5の光伝導セルに0.2mVを印加した場合の測定電流値を示したグラフ
【図7】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、光強度と光電気伝導度との関係を示したグラフ
【図8】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、VO2膜に正孔が選択的に移動している状態を示す図
【図9】本発明に係る光デバイスVO2/TiO2:Nbにおいて、2つの金属状態を定性的に説明した図
【図10】本発明に係る光デバイスLa0.9Sr0.1MnO3/SrTiO3:Nbにおいて、光照射量を変えたときの電気抵抗率の変化を示した図。
【図11】本発明に係る光デバイスCaCuO2/SrTiO3:Nbにおいて、光照射量を変えたときの電気抵抗率の変化を示した図。
【符号の説明】
1…処理チャンバー、2…加熱装置、3…KrFエキシマレーザ照射装置、4…パルスモータ、5…O2/O3供給管、6…厚みモニタ、7…ロッド、8…ターゲットホルダ、T…ターゲット、W…基板。
Claims (5)
- n型半導体特性を有する各種のチタンを含む酸化物上に、光を照射することによって電気伝導性が制御される遷移金属酸化物薄膜が形成されていることを特徴とする遷移金属酸化物光伝導デバイス。
- 光伝導セルとして機能する光伝導デバイスであって、この光伝導セルはn型半導体特性を有する各種のチタンを含む酸化物上に、光を照射することによって電気伝導性が制御される遷移金属酸化物薄膜が形成され、この遷移金属酸化物薄膜表面に電極が形成されていることを特徴とする遷移金属酸化物光伝導デバイス。
- 請求項1または請求項2に記載の遷移金属酸化物光伝導デバイスにおいて、前記チタンを含む酸化物は二酸化チタン(TiO2)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)であり、これらにNb,Ta,As,Sb,W、または、Laを少量ドープしてn型半導体特性を持たせたことを特徴とする遷移金属酸化物光伝導デバイス。
- 請求項1乃至請求項3に記載のデバイスにおいて、前記遷移金属酸化物は二酸化バナジウム(VO2)、三酸化二バナジウム(V2O3)、二酸化クロム(CrO2)、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルを含むペロブスカイト型酸化物(ABO3:AはY、希土類元素、Tl、Pb、Bi、Ba,Sr,Caの単体または固溶体、BはMn、Fe、Co、または、Ni)、銅酸化物(AxCuOy:AはLa,Y,Bi,Tl,Pb,Pr,Nd,Ba,Sr,Caの単体または固溶体)、または、二酸化ルテニウム(RuO2)であることを特徴とする遷移金属酸化物光伝導デバイス。
- 請求項1乃至請求項4に記載のデバイスにおいて、前記チタンを含む酸化物と遷移金属酸化物薄膜との接合部の結晶構造は、光吸収によってチタンを含む酸化物基板内で生じたホールキャリアが接合部を通して遷移金属酸化物薄膜内に移動し得る程度に同一または近似していることを特徴とする遷移金属酸化物光伝導デバイス。
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