JP2004171913A - 質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオン源ケーシングの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムの先端位置を位置決めすることのできる質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法を提供する。
【解決手段】質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、イオンリペラをイオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、カラム端の位置の調節を行なうようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、イオンリペラをイオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、カラム端の位置の調節を行なうようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法に関し、より詳しくは、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、質量分析装置内部の真空を破ることなく、フィラメントやイオン化室を大気側に取り出せるように構成された質量分析装置用イオン源が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭52−84793号公報
【特許文献2】
特開昭54−109895号公報
【特許文献3】
特開昭57−202054号公報
【特許文献4】
特開昭61−82647号公報
【特許文献5】
実開平1−86058号公報
【特許文献6】
特開平6−68842号公報
このようなタイプのイオン源を備えたガスクロマトグラフ質量分析装置では、ガスクロマトグラフ装置のカラムを汚れや消耗のために交換しなければならなくなった場合や、分析対象物の種類に応じて複数のカラムを交換する必要がある場合などに、カラムのイオン源への挿入深さの位置決めが重要となることがある。
カラムのイオン源への挿入深さに再現性がないと、カラムから供給される試料ガスのイオン源内でのイオン化効率に再現性がなくなり、引いては、質量分析結果の定量性にも再現性が出なくなるからである。そこで、従来は、このカラムの位置決めを再現性良く行なうために、次のような方法が取られていた。
【0004】
図1は、質量分析装置用イオン源の従来技術を示す図である。
【0005】
ガスクロマトグラフ装置CのキャピラリーカラムBの端部をイオン化室Mの近傍に配置し、該キャピラリーカラム端から供給される試料ガスを該イオン化室M内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラOによって分析系Vに押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、ガスクロマトグラフ装置Cからイオン源内に挿入されるキャピラリーカラムBの先端位置は、イオン化効率を向上、安定化させる上で、サンプル入口Lとイオン化室Mの境界線上に目視で設定するのが望ましいが、そのためには、イオン化室Mの前面を塞いでいるイオンリペラOが視界の障害となっている。
【0006】
また、キャピラリーカラムBの先端部は、イオン源ケーシングD、ガイドパイプI、ベースチャンバー(イオン源ブロック)Jの内部にあり、更に、前面にはフランジEが設けられ、後面には分析系Vや検出系がつながり、これらが不透明な材料で構成されていることにもより、外部からキャピラリーカラムBの先端位置を目視で確認することは不可能である。
【0007】
このため、従来のキャピラリーカラムBの先端位置の位置決めは、まず、真空状態にあるイオン源ケーシングDの内部を大気圧状態に戻した後、フランジEを取り外し、次に、スクリュGを回しゆるめて、イオンリペラOをリペラ取り付けフランジFごと、ベースチャンバーJから抜き取る必要があった。
【0008】
こうして、イオン化室Mの前面を開放することで、ベースチャンバーJに設けられた内孔部を目視可能にし、ガスクロマトグラフ装置側からキャピラリーカラムBを挿入しながら、その先端位置が、ベースチャンバーJの内孔部に飛び出さない位置にあることを確認して、カラムナットQを締め、キャピラリーカラムBを固定する。
【0009】
最後に、再び、フランジEをイオン源ケーシングDに取り付け、真空引きを行なって、カラムの取り付け及び交換の作業を終了していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の技術では、キャピラリーカラムを汚れや消耗のために交換しなければならなくなった場合や、分析対象物の種類に応じて複数のキャピラリーカラムを交換する必要がある場合などに、ベースチャンバーJに挿入されたキャピラリーカラムBの先端位置を確認するためには、イオン源ケーシングDの前面のフランジEを取り外して、イオン源を大気に曝さなければならなかった。
【0011】
そして、そのような前面フランジEの取り外しと再取り付けには手間がかかり、かつ、イオン源ケーシングDを真空引きして立ち上げるためには、待ち時間が必要となるために、効率的な測定ができなかった。
【0012】
しかも、イオン源を大気に曝したとき、イオン源を構成する部品が気体分子や水蒸気を吸着するために、イオン源の汚れが促進されるなど、キャピラリーカラムBの位置決めは、質量分析装置の感度を不安定にしたり、低下させたりする要因になっていた。
【0013】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、イオン源ケーシングDの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムBの先端位置を位置決めすることのできる質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる質量分析装置は、
ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成されたイオン源を備えた質量分析装置において、
前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段と、
前記イオンリペラを取り外した後の空間を介して、前記ガスクロマトグラフ装置のカラム端を覗くために、イオン源を収容する真空容器の壁に設けられた覗き窓と
を備えたことを特徴としている。
【0015】
また、前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴としている。
【0016】
また、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、
質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、該真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、前記カラム端の位置の調節を行なうようにしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示したものである。本実施例では、ガスクロマトグラフC、カラムインターフェイスP、ガイドパイプI、イオン源ケーシング(真空容器)D、ベースチャンバー(イオン源ブロック)Jなど、ガスクロマトグラフ質量分析装置を構成する主要な構成要素は、従来の技術と同じである。
【0019】
本発明において、従来の技術と異なる要素は、イオンリペラOの台座であるリペラ取り付けフランジF’が、ベースチャンバーJにスクリュ等で固定されないで、インシュレータSを介して、シャフトTに固定されていること、また、フランジE’の壁部には、ベースチャンバーJ内のイオン化室Mを覗ける位置に、透視可能な透明材料による覗き窓Uを備えていること、また、イオンリペラOをベースチャンバーJから移動させるための移動手段であるシャフトTが、ガイドスリーブWと共に、覗き窓Uを貫通して、大気側のノブXに連結されていること、などである。
【0020】
本発明での質量分析装置用イオン源へのカラム取り付けは、次のようにして行なわれる。
【0021】
まず、イオン源ケーシングD内を真空状態にしたまま、ノブXを操作して、ガイドピンVをガイド溝Zの位置に設定すると、シャフトTとインシュレータSに連結されたリペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、ベースチャンバーJから離脱し、イオン化室Mの内部およびキャピラリーカラムBの先端が位置すべきサンプル入口Lを覗き窓U越しに目視することが可能となる(図3)。
【0022】
尚、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、イオン化室M内を目視するための視界を妨げない位置まで、ベースチャンバーJから引き離すことができ、また、リペラ用通電板Hも、覗き窓Uからの視界を妨げない位置に向きを代えられるような構造となっている。
【0023】
カラムインターフェイスPとガイドパイプIを介してベースチャンバーJに挿入されたキャピラリーカラムBの先端位置が、サンプル入口Lの適正位置にあることを、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOが取り外された空間を介しての目視により確認し、更に、イオン化室Mや出射スリットKの汚れ具合の目視による確認などを終えた後、ノブXを操作して、ガイドピンVをガイド溝Yの位置に設定すると、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、再び、ベースチャンバーJに装着される。
【0024】
キャピラリーカラムBの先端位置の確認後は、イオン源ケーシングDの真空状態を維持したまま、カラムインターフェイスPの入口部のカラムナットQとシール用のフェラルRを締め、キャピラリーカラムBの位置を固定すれば、作業を終了することができる。
【0025】
以上の手順により、イオン源ケーシングD内は、常時、真空に保持されたまま、ベースチャンバーJに対して、再現性良くキャピラリーカラムBの先端位置を位置決めすることができるようになった。
【0026】
尚、イオンリペラOとリペラ取り付けフランジF’をベースチャンバーJから移動させるための移動手段は、必ずしもシャフト(操作棒)である必要はない。モーター等を利用した駆動機構のようなものであっても良い。また、イオン化室Mの汚れ等を除去する場合に、イオン源ケーシングD内を大気圧状態に戻した上で、フランジE’を取り外し、所望の部品を大気中に取り出して洗浄作業を行なうことは、従来と同じである。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の質量分析装置によれば、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成されたイオン源を備えた質量分析装置において、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段と、前記イオンリペラを取り外した後の空間を介して、前記ガスクロマトグラフ装置のカラム端を覗くために、イオン源を収容する真空容器の壁に設けられた覗き窓とを備えたので、イオン源ケーシングの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムの先端位置を位置決めすることが可能になった。
【0028】
また、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、該真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、前記カラム端の位置の調節を行なうようにしたので、イオン源ケーシングの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムの先端位置を位置決めすることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の質量分析装置用イオン源を示す図である。
【図2】本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
A・・・サンプル注入口、B・・・キャピラリーカラム、C・・・ガスクロマトグラフ装置、D・・・イオン源ケーシング(真空容器)、E・・・フランジ、E’・・・フランジ、F・・・リペラ取り付けフランジ、F’・・・リペラ取り付けフランジ、G・・・スクリュ、H・・・リペラ用通電板、I・・・ガイドパイプ、J・・・ベースチャンバー(イオン源ブロック)、K・・・出射スリット、L・・・サンプル入口、M・・・イオン化室、N・・・ヒーター、O・・・イオンリペラ、P・・・カラムインターフェイス、Q・・・カラムナット、R・・・フェラル、S・・・インシュレータ、T・・・シャフト、U・・・覗き窓、V・・・ガイドピン、W・・・ガイドスリーブ、X・・・ノブ、Y・・・ガイド溝、Z・・・ガイド溝。
【発明の属する技術分野】
本発明は、質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法に関し、より詳しくは、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、質量分析装置内部の真空を破ることなく、フィラメントやイオン化室を大気側に取り出せるように構成された質量分析装置用イオン源が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭52−84793号公報
【特許文献2】
特開昭54−109895号公報
【特許文献3】
特開昭57−202054号公報
【特許文献4】
特開昭61−82647号公報
【特許文献5】
実開平1−86058号公報
【特許文献6】
特開平6−68842号公報
このようなタイプのイオン源を備えたガスクロマトグラフ質量分析装置では、ガスクロマトグラフ装置のカラムを汚れや消耗のために交換しなければならなくなった場合や、分析対象物の種類に応じて複数のカラムを交換する必要がある場合などに、カラムのイオン源への挿入深さの位置決めが重要となることがある。
カラムのイオン源への挿入深さに再現性がないと、カラムから供給される試料ガスのイオン源内でのイオン化効率に再現性がなくなり、引いては、質量分析結果の定量性にも再現性が出なくなるからである。そこで、従来は、このカラムの位置決めを再現性良く行なうために、次のような方法が取られていた。
【0004】
図1は、質量分析装置用イオン源の従来技術を示す図である。
【0005】
ガスクロマトグラフ装置CのキャピラリーカラムBの端部をイオン化室Mの近傍に配置し、該キャピラリーカラム端から供給される試料ガスを該イオン化室M内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラOによって分析系Vに押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、ガスクロマトグラフ装置Cからイオン源内に挿入されるキャピラリーカラムBの先端位置は、イオン化効率を向上、安定化させる上で、サンプル入口Lとイオン化室Mの境界線上に目視で設定するのが望ましいが、そのためには、イオン化室Mの前面を塞いでいるイオンリペラOが視界の障害となっている。
【0006】
また、キャピラリーカラムBの先端部は、イオン源ケーシングD、ガイドパイプI、ベースチャンバー(イオン源ブロック)Jの内部にあり、更に、前面にはフランジEが設けられ、後面には分析系Vや検出系がつながり、これらが不透明な材料で構成されていることにもより、外部からキャピラリーカラムBの先端位置を目視で確認することは不可能である。
【0007】
このため、従来のキャピラリーカラムBの先端位置の位置決めは、まず、真空状態にあるイオン源ケーシングDの内部を大気圧状態に戻した後、フランジEを取り外し、次に、スクリュGを回しゆるめて、イオンリペラOをリペラ取り付けフランジFごと、ベースチャンバーJから抜き取る必要があった。
【0008】
こうして、イオン化室Mの前面を開放することで、ベースチャンバーJに設けられた内孔部を目視可能にし、ガスクロマトグラフ装置側からキャピラリーカラムBを挿入しながら、その先端位置が、ベースチャンバーJの内孔部に飛び出さない位置にあることを確認して、カラムナットQを締め、キャピラリーカラムBを固定する。
【0009】
最後に、再び、フランジEをイオン源ケーシングDに取り付け、真空引きを行なって、カラムの取り付け及び交換の作業を終了していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の技術では、キャピラリーカラムを汚れや消耗のために交換しなければならなくなった場合や、分析対象物の種類に応じて複数のキャピラリーカラムを交換する必要がある場合などに、ベースチャンバーJに挿入されたキャピラリーカラムBの先端位置を確認するためには、イオン源ケーシングDの前面のフランジEを取り外して、イオン源を大気に曝さなければならなかった。
【0011】
そして、そのような前面フランジEの取り外しと再取り付けには手間がかかり、かつ、イオン源ケーシングDを真空引きして立ち上げるためには、待ち時間が必要となるために、効率的な測定ができなかった。
【0012】
しかも、イオン源を大気に曝したとき、イオン源を構成する部品が気体分子や水蒸気を吸着するために、イオン源の汚れが促進されるなど、キャピラリーカラムBの位置決めは、質量分析装置の感度を不安定にしたり、低下させたりする要因になっていた。
【0013】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、イオン源ケーシングDの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムBの先端位置を位置決めすることのできる質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかる質量分析装置は、
ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成されたイオン源を備えた質量分析装置において、
前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段と、
前記イオンリペラを取り外した後の空間を介して、前記ガスクロマトグラフ装置のカラム端を覗くために、イオン源を収容する真空容器の壁に設けられた覗き窓と
を備えたことを特徴としている。
【0015】
また、前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴としている。
【0016】
また、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、
質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、該真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、前記カラム端の位置の調節を行なうようにしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示したものである。本実施例では、ガスクロマトグラフC、カラムインターフェイスP、ガイドパイプI、イオン源ケーシング(真空容器)D、ベースチャンバー(イオン源ブロック)Jなど、ガスクロマトグラフ質量分析装置を構成する主要な構成要素は、従来の技術と同じである。
【0019】
本発明において、従来の技術と異なる要素は、イオンリペラOの台座であるリペラ取り付けフランジF’が、ベースチャンバーJにスクリュ等で固定されないで、インシュレータSを介して、シャフトTに固定されていること、また、フランジE’の壁部には、ベースチャンバーJ内のイオン化室Mを覗ける位置に、透視可能な透明材料による覗き窓Uを備えていること、また、イオンリペラOをベースチャンバーJから移動させるための移動手段であるシャフトTが、ガイドスリーブWと共に、覗き窓Uを貫通して、大気側のノブXに連結されていること、などである。
【0020】
本発明での質量分析装置用イオン源へのカラム取り付けは、次のようにして行なわれる。
【0021】
まず、イオン源ケーシングD内を真空状態にしたまま、ノブXを操作して、ガイドピンVをガイド溝Zの位置に設定すると、シャフトTとインシュレータSに連結されたリペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、ベースチャンバーJから離脱し、イオン化室Mの内部およびキャピラリーカラムBの先端が位置すべきサンプル入口Lを覗き窓U越しに目視することが可能となる(図3)。
【0022】
尚、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、イオン化室M内を目視するための視界を妨げない位置まで、ベースチャンバーJから引き離すことができ、また、リペラ用通電板Hも、覗き窓Uからの視界を妨げない位置に向きを代えられるような構造となっている。
【0023】
カラムインターフェイスPとガイドパイプIを介してベースチャンバーJに挿入されたキャピラリーカラムBの先端位置が、サンプル入口Lの適正位置にあることを、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOが取り外された空間を介しての目視により確認し、更に、イオン化室Mや出射スリットKの汚れ具合の目視による確認などを終えた後、ノブXを操作して、ガイドピンVをガイド溝Yの位置に設定すると、リペラ取り付けフランジF’とイオンリペラOは、再び、ベースチャンバーJに装着される。
【0024】
キャピラリーカラムBの先端位置の確認後は、イオン源ケーシングDの真空状態を維持したまま、カラムインターフェイスPの入口部のカラムナットQとシール用のフェラルRを締め、キャピラリーカラムBの位置を固定すれば、作業を終了することができる。
【0025】
以上の手順により、イオン源ケーシングD内は、常時、真空に保持されたまま、ベースチャンバーJに対して、再現性良くキャピラリーカラムBの先端位置を位置決めすることができるようになった。
【0026】
尚、イオンリペラOとリペラ取り付けフランジF’をベースチャンバーJから移動させるための移動手段は、必ずしもシャフト(操作棒)である必要はない。モーター等を利用した駆動機構のようなものであっても良い。また、イオン化室Mの汚れ等を除去する場合に、イオン源ケーシングD内を大気圧状態に戻した上で、フランジE’を取り外し、所望の部品を大気中に取り出して洗浄作業を行なうことは、従来と同じである。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の質量分析装置によれば、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成されたイオン源を備えた質量分析装置において、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段と、前記イオンリペラを取り外した後の空間を介して、前記ガスクロマトグラフ装置のカラム端を覗くために、イオン源を収容する真空容器の壁に設けられた覗き窓とを備えたので、イオン源ケーシングの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムの先端位置を位置決めすることが可能になった。
【0028】
また、ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、該真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、前記カラム端の位置の調節を行なうようにしたので、イオン源ケーシングの真空を破ることなく、再現性良くキャピラリーカラムの先端位置を位置決めすることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の質量分析装置用イオン源を示す図である。
【図2】本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかる質量分析装置用イオン源の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
A・・・サンプル注入口、B・・・キャピラリーカラム、C・・・ガスクロマトグラフ装置、D・・・イオン源ケーシング(真空容器)、E・・・フランジ、E’・・・フランジ、F・・・リペラ取り付けフランジ、F’・・・リペラ取り付けフランジ、G・・・スクリュ、H・・・リペラ用通電板、I・・・ガイドパイプ、J・・・ベースチャンバー(イオン源ブロック)、K・・・出射スリット、L・・・サンプル入口、M・・・イオン化室、N・・・ヒーター、O・・・イオンリペラ、P・・・カラムインターフェイス、Q・・・カラムナット、R・・・フェラル、S・・・インシュレータ、T・・・シャフト、U・・・覗き窓、V・・・ガイドピン、W・・・ガイドスリーブ、X・・・ノブ、Y・・・ガイド溝、Z・・・ガイド溝。
Claims (4)
- ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成されたイオン源を備えた質量分析装置において、
前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段と、
前記イオンリペラを取り外した後の空間を介して、前記ガスクロマトグラフ装置のカラム端を覗くために、イオン源を収容する真空容器の壁に設けられた覗き窓と
を備えたことを特徴とする質量分析装置。 - 前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
- ガスクロマトグラフ装置のカラム端をイオン化室の近傍に配置し、該カラム端から供給される試料ガスを該イオン化室内でイオン化し、生成したイオンをイオンリペラによって分析系に押し出すことによって、質量分析を行なうように構成された質量分析装置用イオン源において、
質量分析装置用イオン源を覗き窓を有する真空容器内に設置し、前記イオンリペラを前記イオン化室から取り外すイオンリペラ移動手段を用いて、該真空容器の真空を破ることなく、質量分析装置用イオン源のイオン化室からイオンリペラを取り外し、イオンリペラが取り外された後の空間を介しての目視により、前記カラム端の位置の調節を行なうようにしたことを特徴とする質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法。 - 前記イオンリペラ移動手段は、覗き窓を貫通し、先端がイオンリペラに係合するように設けられた操作棒であることを特徴とする請求項3記載の質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002336133A JP2004171913A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002336133A JP2004171913A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 質量分析装置および質量分析装置用イオン源へのカラム取り付け方法 |
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JP (1) | JP2004171913A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112385012A (zh) * | 2018-06-01 | 2021-02-19 | 英国质谱公司 | 内部源组件和相关联的部件 |
-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002336133A patent/JP2004171913A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112385012A (zh) * | 2018-06-01 | 2021-02-19 | 英国质谱公司 | 内部源组件和相关联的部件 |
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