JP2004171797A - 傾斜スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化、軽量化、単品生産のためコストダウンが困難。
【解決手段】射出成形工程で、集合ベース基板2Aに格子状に配列した複数個のスルーホール4と、略正方形状のボール収納凹部6部を形成する。電極パターン形成工程で、スルーホール電極7a、外部接続用端子7b、内部導通端子7c、上面電極パターン7dを形成する。導通ボール供給工程で、集合ベース基板2Aのボール収納凹部6に導通ボール5を供給する。接合準備工程で、集合ベース基板2Aの接合面に接合部材8を付加する。蓋体形成工程で、集合蓋体3Aの所定位置にスルーホール3aを形成する。圧着工程で、集合ベース基板2Aと集合蓋体3Aを位置合わせして圧着・接合し一体化する。切断工程で、ダイシング等で集合ベース基板2Aのスルーホール4の中心を通り直交するカットラインX、Yに沿って切断して単品に分割する。小型化、軽量化、多集合体生産が可能。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器等の方向を容易に検知するための傾斜スイッチ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラの撮影時の姿勢検知用、防犯機器の動き検知用、機器の転倒検知用、小型携帯機器のバックライト自動点灯用、玩具の動き検出用、リモートコントコントロルの自動照光用等の民生用電子機器の傾きの検出に構造がシンプルな機械式の傾斜スイッチが使用されている。(例えば、非特許文献1参照)
【0003】
【非特許文献1】
アルプス電気株式会社「4方向傾斜センサ」
1998年、製品カタログ、外形図
【0004】
図10〜図12は、従来の傾斜スイッチの構造を示すもので、図10は、傾斜スイッチの平面図、図11は、図10のH−H線方向から見た正面図、図12は、図10の傾斜方向による検知端子を示す回路図である。
【0005】
図10及び図11において、10は、ガラスエポキシ樹脂等よりなり、平面が略正方形状をしたベース基板11と、ベース基板11と同形状をした蓋体12を接着又は溶着などで接合した筐体である。前記ベース基板11には、端子番号13▲1▼、13▲2▼、13▲3▼、13▲4▼の4本のリードフレーム13がインサート成形されていて、リードフレーム13は、ベース基板11の外壁に外部接続用端子13aと、導通ボール14を介在させる略正方形状に形成されたボール収納凹部15の内壁に内部導通端子13bが露出した状態で配設されている。前記導通ボール14はボール収納部15内を重力移動によって自由に動き回ることができる。
【0006】
以上述べた構成の傾斜スイッチにおいて、その作用について説明する。図12に示すように、傾斜スイッチでA方向が重力方向になって下の時、導通ボール14がリードフレーム13の内部導通端子13bに接触し、端子番号13▲1▼と13▲2▼が電気的に接続されることによって、重力方向の傾斜が検知される。同様に、傾斜スイッチでB方向が下の時、導通ボール14がリードフレーム13の内部導通端子13bに接触し、端子番号13▲2▼と13▲4▼に、傾斜スイッチでC方向が下のとき、導通ボール14がリードフレーム13の内部導通端子13bに接触し、端子番号13▲3▼と13▲4▼に、傾斜スイッチでD方向が下のとき、導通ボール14がリードフレーム13の内部導通端子13bに接触し、端子番号13▲1▼と13▲3▼が電気的に接続されることによって、それぞれの重力方向の傾斜が検知される。前記ボール収納凹部15内の導通ボール14の2次元的な動きにより、4方向の傾斜検出が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した傾斜スイッチには次のような問題点がある。即ち、基本的には、導通ボールは2次元的な動きによって4方向を検知できるが、リードフレームはSUS、Cuなどの金属板をプレス加工し、そのプレス部品をプラスチックにインサート成形するもので、小型化、軽量化ができない。また、集合体として生産が困難である。更に、プレス金型や樹脂成形型が必要になり、製品コストが高くなるなどの問題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、従来のリードフレームを使用しないで、樹脂成形品に回路・電極等を形成することができるMID(Molded Interconnect Device)の製法により、集合体で生産を可能にした安価な傾斜スイッチの製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明における傾斜スイッチは、複数個の外部接続用端子と、該外部接続用端子に対応して連通する内部導通端子を有し、樹脂成形された筐体の内部に導通ボールを介在させて、この導通ボールが前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知する傾斜スイッチにおいて、前記筐体は、平面形状が略正方形状をなし、その表面に略正方形をしたボール収納凹部を有するベース基板と、該ベース基板の前記ボール収納凹部を塞ぐように接合する前記ベース基板と同形状をした蓋体で構成され、前記ベース基板は、外形の四隅にスルーホール電極と裏面電極よりなる外部接続用端子と、前記ボール収納凹部の内壁に前記スルーホール電極に対応して、上面電極パターンにより接続する内部導通端子とを形成し、前記筐体のボール収納凹部に介在させた導通ボールが、前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明における傾斜スイッチの製造方法は、複数個の外部接続用端子と、該外部接続用端子に対応して連通する内部導通端子を有し、樹脂成形された筐体の内部に導通ボールを介在させて、この導通ボールが前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知する傾斜スイッチの製造方法において、多数個取りする集合ベース基板の平面上にあって、所定の位置に格子状に配列した複数個のスルーホールと、該4個のスルーホールで囲まれる略中央部に平面が略正方形状に形成された導通ボール収納部を形成する射出成形工程と、前記スルーホールの内面にスルーホール電極と、該スルーホール電極と連通する裏面に外部接続用端子と、前記導通ボール収納部の内壁に独立し前記スルーホール電極と連通する内部導通端子と、前記スルーホール電極と内部導通端子とを接続する上面電極パターンを形成する電極パターン形成工程と、前記集合ベース基板のそれぞれ1つの導通ボール収納部に1個の導通ボールを供給する導通ボール供給工程と、前記集合ベース基板の接合面に接着剤又は接着シート等の接合部材をを付加する接合準備工程と、前記集合ベース基板と同一位置にスルーホールを形成した集合蓋体を形成する蓋体形成工程と、前記集合ベース基板と前記集合蓋体に形成されたスルーホールの位置が一致するように位置合わせして一体化する圧着工程と、ダイシング又はスライシングマシンで前記集合ベース基板又は集合蓋体のスルーホールの中心を通り直交するカットラインに沿って切断して単個の傾斜スイッチに分割する切断工程とからなることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明における傾斜スイッチについて説明する。図1〜図4は本発明の実施の形態に係わり、図1は、傾斜スイッチのベース基板に電極をパターニングした状態の斜視図である。図2は、図1の裏面側の斜視図である。図3は、図1の平面図である。図4は、ベース基板に蓋体を接合した図3のI−I線断面図である。
【0012】
図1〜図4において、1は、平面が略正方形状をした筐体で、エポキシ系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の耐熱性に優れた樹脂を射出成形したベース基板2と、該ベース基板2と同形状をした蓋体3とを、前記ベース基板2の後述するボール収納凹部を蓋体3で塞ぐように、接着剤又は接着シート等の接合部材により圧着・接合したものである。
【0013】
前記ベース基板2は、平面が略正方形状をした外形の四隅にスルーホール4と、導通ボール5を収納するボール収納凹部6が形成されている。前記ベース基板2には、端子番号7▲1▼、7▲2▼、7▲3▼、7▲4▼の4本の端子電極を形成する。該端子電極のパターニングは、前記筐体1の外形の四隅にスルーホール電極7aと裏面電極よりなる外部接続用端子7bと、前記ボール収納凹部6の4面の内壁に前記スルーホール電極7aに連通し独立した内部導通端子7cを形成する。
【0014】
前記蓋体3は、前記ベース基板2に形成されたスルーホール4と同一位置にスルーホール3aが形成されている。
【0015】
本発明の傾斜スイッチは、前述したように前記ベース基板2に導通ボール5を挿入後、前記ベース基板2に形成されたスルーホール4と、前記蓋体3に形成されたスルーホール3aとを位置合わせし、圧着して接合したものである。
【0016】
前記導通ボール5は、内部導通端子7cとの接点圧力を考慮すると、ある程度重量があるFe系材やSus材等の金属ボールが好ましく、内部導通端子7cは接触抵抗を考慮すると、Auメッキなどの表面処理を施すことが好ましい。
【0017】
以上述べた構成の傾斜スイッチにおいて、その作用について説明する。図3及び図4に示すように、傾斜スイッチでA方向が重力方向になった時に、導通ボール5が端子番号7▲1▼と7▲2▼の内部導通端子7cに接触し、電気的に接続されることによって、重力方向の傾斜が検知される。同様に、傾斜スイッチでB方向が下の時に、導通ボール5が端子番号7▲2▼と7▲4▼の内部導通端子7cに、傾斜スイッチでC方向が下の時に、導通ボール5が端子番号7▲3▼と7▲4▼の内部導通端子7cに、傾斜スイッチでD方向が下の時に、導通ボール5が端子番号7▲1▼と7▲3▼の内部導通端子7cに、それぞれ接続される。導通ボール5の2次元的な動きにより、4方向の傾斜検出ができる。
【0018】
上記した傾斜スイッチの製造方法について説明する。図5〜図9は本発明の実施の形態に係わり、図5は、射出成形工程を示す集合ベース基板の平面図、図6は図5のI−I線断面図、図7は、電極パターン形成工程を示す集合ベース基板の平面図、図8は、図7のJ−J線断面図、図9は、集合ベース基板と前記集合蓋体との圧着工程・切断工程を示す断面図である。
【0019】
図5及び図6において、2Aは、多数個取りするエポキシ系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の耐熱性及び成形加工性に優れた樹脂で射出成形した集合ベース基板で、該集合ベース基板2Aの平面上にあって、所定の位置に格子状に複数個のスルーホール4と、該4個のスルーホール4で囲まれる略中央部に平面が略正方形状に形成されたボール収納凹部6を射出成形工程で形成する。前記スルーホール4とボール収納凹部6の位置関係は、スルーホール4の対角線とボール収納凹部6の正方形の辺が垂直になるように位置するものである。
【0020】
次に、電極パターン形成工程は、前記集合ベース基板2Aのスルーホール4の内面を含む基板表面を洗浄した後、全表面に無電解メッキ及び電解メッキにより銅メッキ層を形成する。銅メッキ層は、前記スルーホール4内まで施される。
【0021】
更に、メッキレジストをラミネートし、露光現像したパターンマスクを形成した後、エッチング液を用いてパターンエッチングを行うことにより、上面側に接続パターン、ボール収納凹部6の内壁に内部導通パターン、裏面側に外部接続用パターンが形成される。次に、ソルダーレジスト処理を行い、所定の部分にそれぞれのターンを保護するレジスト膜が形成される。これらの露呈したパターンの表面にNiメッキ層を施し、更に、前記Niメッキ層の上にAuメッキ層を形成する。電極パターン形成工程により、前記スルーホール4の内面にスルーホール電極7aと、該スルーホール電極7aと連通する裏面に外部接続用端子7bと、前記ボール収納凹部6の内壁に独立し前記スルーホール電極7aと連通する内部導通端子7cと、前記スルーホール電極7aと内部導通端子7cとを接続する上面電極パターン7dが形成される。
【0022】
次に、導通ボール供給工程で、前記集合ベース基板2Aのそれぞれ1つのボール収納凹部6に、1個の導通ボール5を供給する。前記導通ボール5の材質は、比較的重量のあるFe系材やSus材等よりなる金属ボールで、その表面にAuメッキなどが施されている。
【0023】
次に、図9において、接合準備工程で、前記集合ベース基板2Aの接合面に接着剤又は接着シート等の接合部材8を付加する。
【0024】
一方、蓋体形成工程で、前記集合ベース基板2Aと同一位置にスルーホール3aを配設した多数個取りする集合蓋体3Aを、エポキシ系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の耐熱性及び成形加工性に優れた樹脂で射出成形して形成する。
【0025】
次に、圧着工程は、前記集合ベース基板2Aと前記集合蓋体3Aに形成されたスルーホール4、3aの位置が一致するように位置合わせした後、圧着・接合して一体化する。
【0026】
次に、切断工程は、ダイシング又はスライシングマシンで前記集合ベース基板2A又は集合蓋体3Aのスルーホール4、3aの中心を通り直交するカットラインX、Yに沿って切断して単個の傾斜スイッチに分割する。分割された単個の傾斜スイッチは、所定の仕様に適合するか否かを検査して製品になる。
【0027】
以上述べたように、傾斜スイッチの製造方法は、MID技術を利用し、多集合体での生産が可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のようなリードフレームを使用しないで、MIDの製法で小型化、軽量化が図られ、多集合体での生産が可能になり、安価な傾斜スイッチ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる傾斜スイッチのベース基板に電極をパターニングした状態の斜視図である。
【図2】図1の裏面側の斜視図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】ベース基板に蓋体を接合した図3のI−I線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる傾斜スイッチの製造方法で、射出成形工程を示す集合ベース基板の平面図である。
【図6】図5のI−I線断面図である。
【図7】電極パターン形成工程を示す集合ベース基板の平面図である。
【図8】図7のJ−J線断面図である。
【図9】集合ベース基板と集合蓋体との圧着工程・切断工程を示す断面図である。
【図10】従来の傾斜スイッチの平面図である。
【図11】図10のH−H線方向から見た正面図である。
【図12】図10の傾斜方向による検知端子を示す回路図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 ベース基板
2A 集合ベース基板
3 蓋体
3A 集合蓋体
3a、4 スルーホール
5 導通ボール(金属ボール)
6 ボール収納凹部
7▲1▼、7▲2▼、7▲3▼、7▲4▼ 端子番号
7a スルーホール電極
7b 外部接続用端子
7c 内部導通端子
7d 上面電極パターン
8 接合部材
A、B、C、D、 重力方向
X、Y カットライン

Claims (2)

  1. 複数個の外部接続用端子と、該外部接続用端子に対応して連通する内部導通端子を有し、樹脂成形された筐体の内部に導通ボールを介在させて、この導通ボールが前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知する傾斜スイッチにおいて、前記筐体は、平面形状が略正方形状をなし、その表面に略正方形をしたボール収納凹部を有するベース基板と、該ベース基板の前記ボール収納凹部を塞ぐように接合する前記ベース基板と同形状をした蓋体で構成され、前記ベース基板は、外形の四隅にスルーホール電極と裏面電極よりなる外部接続用端子と、前記ボール収納凹部の内壁に前記スルーホール電極に対応して、上面電極パターンにより接続する内部導通端子と形成し、前記筐体のボール収納凹部に介在させた導通ボールが、前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知することを特徴とする傾斜スイッチ。
  2. 複数個の外部接続用端子と、該外部接続用端子に対応して連通する内部導通端子を有し、樹脂成形された筐体の内部に導通ボールを介在させて、この導通ボールが前記内部導通端子と接触する位置によって複数出力からの信号により、方向を検知する傾斜スイッチの製造方法において、多数個取りする集合ベース基板の平面上にあって、所定の位置に格子状に配列した複数個のスルーホールと、該4個のスルーホールで囲まれる略中央部に平面が略正方形状に形成された導通ボール収納部を形成する射出成形工程と、前記スルーホールの内面にスルーホール電極と、該スルーホール電極と連通する裏面に外部接続用端子と、前記導通ボール収納部の内壁に独立し前記スルーホール電極と連通する内部導通端子と、前記スルーホール電極と内部導通端子とを接続する上面電極パターンを形成する電極パターン形成工程と、前記集合ベース基板のそれぞれ1つの導通ボール収納部に1個の導通ボールを供給する導通ボール供給工程と、前記集合ベース基板の接合面に接着剤又は接着シート等の接合部材を付加する接合準備工程と、前記集合ベース基板と同一位置にスルーホールを形成した集合蓋体を形成する蓋体形成工程と、前記集合ベース基板と前記集合蓋体に形成されたスルーホールの位置が一致するように位置合わせして一体化する圧着工程と、ダイシング又はスライシングマシンで前記集合ベース基板又は集合蓋体のスルーホールの中心を通り直交するカットラインに沿って切断して単個の傾斜スイッチに分割する切断工程とからなることを特徴とする傾斜スイッチの製造方法。
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