JP2004170938A - 円偏光分離素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反射効率に優れた薄膜構成の円偏光分離素子を容易にかつ効果的に製造することができる、円偏光分離素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 配向能を有するガラス基板11上に、コレステリック液晶溶液をスピンナー等を用いて塗布し、塗布膜13を形成する。次に、塗布膜13を加熱し、未硬化状態のコレステリック液晶膜14を形成する。その後、液晶膜14を室温で所定の時間だけ静置し、液晶膜14がプラーナー配向したコレステリック相の状態となるよう、液晶膜14中の液晶分子を配向させる。そして、未硬化状態の液晶膜14を、室温で過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態の液晶膜14に窒素雰囲気で紫外線を照射し、硬化状態のコレステリック液晶膜15を形成する。以上により、ガラス基板11上にコレステリック液晶膜15が積層されてなる単層構成の円偏光分離素子10が製造される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示装置等で用いられる円偏光分離素子に係り、とりわけ、反射効率に優れた薄膜構成の円偏光分離素子を製造する方法に関する。
従来から、このような円偏光分離素子として、コレステリック規則性を有する液晶膜(コレステリック液晶膜)を備え、その螺旋構造のピッチに対応する波長の右旋または左旋の円偏光の一方を所定の反射波長帯域で反射し、残りを透過するものが知られている。なお、本明細書中において「液晶膜」という用語は、光学的に液晶の性質を有する膜という意味で用い、膜の状態としては、流動性のある液晶相の状態の他、液晶相の持つ分子配列を保って固化された固相の状態も含む。
このような円偏光分離素子の製造方法としては一般に、放射線重合型コレステリック液晶材料を含有するコレステリック液晶溶液を塗布して未硬化状態のコレステリック液晶膜を形成した後、このような未硬化状態のコレステリック液晶膜に放射線を照射して硬化させる方法がとられている。ここで、このようにして硬化される未硬化状態のコレステリック液晶膜はコレステリック相の状態にする必要があり、一般には、コレステリック相を呈する温度範囲の下限(例えば70℃)以上の温度に加熱した状態で放射線の照射が行われる。
しかしながら、上述した円偏光分離素子の製造方法では、得られるコレステリック液晶膜の反射効率が十分でなく、このため、所望の円偏光反射率を得るために、コレステリック液晶膜の膜厚を必要以上に大きくしなければならない、という問題がある。なお、このようなコレステリック液晶膜を備えた円偏光分離素子は、最終的に液晶表示装置等に組み込まれて用いられるものであるので、その膜厚は可能な限り小さいことが好ましい。
本発明はこのような背景の下でなされたものであり、反射効率に優れた薄膜構成の円偏光分離素子を容易にかつ効果的に製造することができる、円偏光分離素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、配向能を有する基材上に、放射線重合型コレステリック液晶材料を溶剤に溶解したコレステリック液晶溶液を塗布して、塗布膜を形成する第1の工程と、前記第1の工程で形成された前記塗布膜から溶剤を除去して、未硬化状態のコレステリック液晶膜を形成する第2の工程と、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜に放射線を照射して硬化させ、硬化状態のコレステリック液晶膜を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする、円偏光分離素子の製造方法を提供する。
なお、本発明においては、前記第3の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、プラーナー配向した過冷却のコレステリック相の状態に保つことが好ましい。
また、前記第3の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、過冷却でない状態でのコレステリック相を呈する温度範囲の下限から30℃〜90℃、より好ましくは40℃〜70℃だけ低い温度に保つことが好ましい。
さらに、前記第2の工程と前記第3の工程との間で行われ、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜が、プラーナー配向した過冷却のコレステリック相の状態となるよう、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜を所定の時間だけ静置する第4の工程をさらに含むことが好ましい。
さらに、前記第4の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を加熱することが好ましい。
さらにまた、前記第3の工程で形成された前記硬化状態のコレステリック液晶膜上に、放射線重合型コレステリック液晶材料を溶剤に溶解した追加のコレステリック液晶溶液を塗布して、追加の塗布膜を形成する第5の工程と、前記第5の工程で形成された前記追加の塗布膜から溶剤を除去して、未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を形成する第6の工程と、前記第6の工程で形成された前記未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を、過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜に放射線を照射して硬化させ、硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を形成する第7の工程とをさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、基材上に形成された未硬化状態のコレステリック液晶膜を、過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜に紫外線を照射して硬化させ、硬化状態のコレステリック液晶膜を形成するようにしているので、コレステリック液晶膜中の液晶分子間の3次元的な架橋が増加したり、液晶分子の熱的ゆらぎが大きくなったりすることを効果的に抑えた状態で、すなわちコレステリック構造の乱れを効果的に抑えた状態で、コレステリック液晶膜を硬化させることが可能となり、反射効率に優れたコレステリック液晶膜を容易に製造することができる。このため、所望の円偏光反射率を得るために必要とされるコレステリック液晶膜の膜厚を小さくすることができ、反射効率に優れた薄膜構成の円偏光分離素子を容易にかつ効果的に製造することができる。
また、本発明によれば、未硬化状態のコレステリック液晶膜に紫外線を照射する際の温度(硬化温度)を比較的低温に保つことができるので、コレステリック液晶膜が熱膨張することがなく、紫外線の照射によりパターニング露光を行う場合でも、正確なパターニング露光(アライメント露光)を行うことができる。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る円偏光分離素子の製造方法を説明するための工程図である。
図1(a)に示すように、まず、配向能を有するガラス基板(基材)11を準備し、このガラス基板11上に、コレステリック液晶溶液をスピンナー等を用いて塗布し、塗布膜13を形成する。ここで、コレステリック液晶溶液は、紫外線重合型コレステリック液晶材料(ネマチック液晶およびカイラル剤を含有するカイラルネマチック液晶材料)と光重合開始剤と界面活性剤(レベリング剤)とを含有する溶液である。なお、コレステリック液晶溶液に含有される液晶材料としては、重合性モノマー液晶分子や重合性オリゴマー液晶分子を用いることができる。ここで、重合性モノマー液晶分子を用いる場合は、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報に記載されているような液晶性モノマーおよびキラル化合物の混合物を用いることができる。また、重合性オリゴマー液晶分子を用いる場合は、特開昭57−165480に記載されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物を用いることができる。一方、コレステリック液晶溶液に含有される光重合開始剤としては、一般的に用いられる任意のものを用いることができ、例えば、Irg184やIrg361、Irg651、Irg907(いずれもCiba Specialty Chemicals社製)等を用いることができる。また、界面活性剤としては、一般的に用いられる任意のものを用いることができ、例えば、Byk390やByk352、Byk356、Byk359、Byk361(いずれもビックケミー社製)等を用いることができる。
次に、図1(b)に示すように、ホットプレート等により50℃〜90℃の温度でコレステリック液晶溶液の塗布膜13を加熱することにより、コレステリック液晶溶液の塗布膜13中の溶媒を蒸発させて除去し、未硬化状態のコレステリック液晶膜14を形成する。
その後、図1(c)に示すように、ガラス基板11上に形成された未硬化状態のコレステリック液晶膜14を室温(例えば25℃)で所定の時間だけ静置し、コレステリック液晶膜14がプラーナー配向したコレステリック相の状態となるよう、コレステリック液晶膜14中の液晶分子を配向させる。なお、図1(c)に示す工程では、コレステリック液晶膜14中の液晶分子をより十分に配向させるため、加熱したり振動を加えたりしてもよい。また、図1(c)に示す工程は必ずしも必須のものではなく、図1(b)に示す工程でコレステリック液晶膜14中の液晶分子が十分に配向される場合には省略することができる。
そして、図1(d)に示すように、未硬化状態のコレステリック液晶膜14を、室温で過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜14に窒素雰囲気で紫外線(放射線)を照射し、予め添加しておいた光重合開始剤と外部から照射した紫外線とによって重合を開始させることにより、未硬化状態のコレステリック液晶膜14中の液晶分子を3次元架橋(ポリマー化)して硬化させ、硬化状態のコレステリック液晶膜15を形成する。なお、「3次元架橋」とは、重合性モノマー分子や重合性オリゴマー分子を互いに3次元的に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。このような状態にすることによって、液晶分子を、液晶相の持つ分子配列を保ったまま光学的に固定することができ、光学膜としての取り扱いが容易な、常温で安定したフィルム状の膜とすることができる。
ここで、図1(c)および図1(d)に示す工程においては、未硬化状態のコレステリック液晶膜14を過冷却のコレステリック相の状態に保つよう、未硬化状態のコレステリック液晶膜14の温度(硬化温度)を、コレステリック液晶膜14中の液晶分子がコレステリック相の状態(過冷却でない通常のコレステリック相の状態)を呈する温度範囲の下限から30℃〜90℃、より好ましくは40℃〜70℃だけ低い温度に保つことが好ましい。ここで、好ましい過冷却温度の上限は得られる円偏光反射率との関係で決まり、下限は製造プロセス上の要求(結露の回避等)の関係で決まるものである。なお、「過冷却」とは、相転移温度以下に冷却しても、相転移が起こらず元の相を保っている状態をいい、ここでは、コレステリック液晶膜14が、コレステリック相の本来の相転移温度(下限)を越えて冷却されている状態を意味する。
以上により、ガラス基板11上にコレステリック液晶膜15が積層されてなる単層構成の円偏光分離素子10が製造される(図1(e))。
このように本実施の形態によれば、ガラス基板11上に形成された未硬化状態のコレステリック液晶膜14を、プラーナー配向した過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜14に紫外線を照射して硬化させ、硬化状態のコレステリック液晶膜15を形成するようにしているので、コレステリック液晶膜14中の液晶分子間の3次元的な架橋が増加したり、液晶分子の熱的ゆらぎが大きくなったりすることを効果的に抑えた状態で、すなわちコレステリック構造の乱れを効果的に抑えた状態で、コレステリック液晶膜14を硬化させることが可能となり、反射効率に優れたコレステリック液晶膜を容易に製造することができる。このため、所望の円偏光反射率を得るために必要とされるコレステリック液晶膜の膜厚を小さくすることができ、反射効率に優れた薄膜構成の円偏光分離素子を容易にかつ効果的に製造することができる。
また、本実施の形態によれば、未硬化状態のコレステリック液晶膜14に紫外線を照射する際の温度(硬化温度)を比較的低温に保つことができるので、コレステリック液晶膜14が熱膨張することがなく、紫外線の照射によりパターニング露光を行う場合でも、正確なパターニング露光(アライメント露光)を行うことができる。
なお、上述した実施の形態においては、図1(d)に示す工程において紫外線の照射により硬化状態のコレステリック液晶膜15を形成する際の雰囲気を窒素雰囲気としているが、この雰囲気は窒素雰囲気に限定されるものではなく、空気雰囲気等の任意のガス雰囲気とすることできる。
また、上述した実施の形態においては、コレステリック液晶材料として紫外線硬化型の液晶材料を用いているが、これに限らず、熱硬化型の液晶材料等の各種の液晶材料を用いることができる。
さらにまた、上述した実施の形態においては、単層構成の円偏光分離素子を製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2(a)〜(i)に示すように、図1(a)〜(d)に示す工程と同様の処理を行ってガラス基板11上に硬化状態のコレステリック液晶膜15を形成した後(図2(a)〜(d))、このようにして形成されたコレステリック液晶膜15に対して、図1(a)〜(d)に示す工程と同様の処理を行うことにより(図2(e)〜(h))、ガラス基板11上に2つのコレステリック液晶膜15,25が積層されてなる2層構成の円偏光分離素子10′を製造することが可能である(図2(i))。また、同様にして、最上層のコレステリック液晶膜に対して図2(e)〜(h)に示す工程と同様の処理を行うことにより、3層構成以上の円偏光分離素子を製造することも可能である。
次に、上述した実施の形態の具体的実施例を、比較例とともに説明する。
(実施例1)
紫外線硬化型のネマチック液晶とカイラル剤とを混合することにより、コレステリック液晶モノマーの35%トルエン溶液(コレステリック液晶溶液)を準備した。なお、ネマチック液晶に対するカイラル剤の量は、コレステリック液晶溶液の選択反射波長が、中心反射波長:450nmとなるように調整した。
なお、各コレステリック液晶溶液には、光重合開始剤としてIrg184(Ciba Specialty Chemicals社製)をコレステリック液晶に対して5%添加した。また、界面活性剤として、Byk390(ビックケミー社製)をコレステリック液晶に対して0.06%添加した。
そして、このようなコレステリック液晶溶液を、配向処理を施したポリイミド膜付きのガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、次いで、90℃の温度で乾燥させることによってコレステリック液晶溶液中の溶媒(トルエン)を除去し、未硬化状態のコレステリック液晶膜を得た。
次に、このような未硬化状態のコレステリック液晶膜をガラス基板とともに室温(25℃)まで冷却し、過冷却のコレステリック相の状態とした。
その後、このような状態にあるコレステリック液晶膜を窒素雰囲気中に置き、25℃の温度で3.6mW/cm(310nm)の照射強度の紫外線を30秒照射した。
以上により、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約1.25μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、450nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(実施例2)
実施例2では、上述した実施例1と同様に、紫外線硬化型のネマチック液晶とカイラル剤とを混合することにより、コレステリック液晶モノマーの35%トルエン溶液(コレステリック液晶溶液)を準備した。なお、ネマチック液晶に対するカイラル剤の量は、コレステリック液晶溶液の選択反射波長が、中心反射波長:550nmとなるように調整した。
また、このようなコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤としてIrg651(Ciba Specialty Chemicals社製)をコレステリック液晶に対して5%添加した。また、界面活性剤として、Byk352(ビックケミー社製)をコレステリック液晶に対して0.06%添加した。
そして、このようなコレステリック液晶溶液を、配向処理を施したポリイミド膜付きのガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、上述した実施例1と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約2μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、実施例1と同様に、550nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(実施例3)
実施例3では、上述した実施例1と同様に、紫外線硬化型のネマチック液晶とカイラル剤とを混合することにより、コレステリック液晶モノマーの35%トルエン溶液(コレステリック液晶溶液)を準備した。なお、ネマチック液晶に対するカイラル剤の量は、コレステリック液晶溶液の選択反射波長が、中心反射波長:600nmとなるように調整した。
また、このようなコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤としてIrg907(Ciba Specialty Chemicals社製)をコレステリック液晶に対して5%添加した。また、界面活性剤として、Byk352(ビックケミー社製)をコレステリック液晶に対して0.06%添加した。
そして、このようなコレステリック液晶溶液を、配向処理を施したポリイミド膜付きのガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、上述した実施例1と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約2.15μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、実施例1と同様に、600nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(実施例4)
上述した実施例1〜3では、紫外線の照射時の温度(硬化温度)を室温(25℃)としたが、実施例4では、硬化温度が異なる複数のコレステリック液晶膜を形成し、コレステリック液晶膜における硬化温度と円偏光反射率との関係を調べた。
実施例4では、上述した実施例1と同様に、紫外線硬化型のネマチック液晶とカイラル剤とを混合することにより、コレステリック液晶モノマーの35%トルエン溶液(コレステリック液晶溶液)を準備した。なお、ネマチック液晶に対するカイラル剤の量は、コレステリック液晶溶液の選択反射波長が、中心反射波長:550nmとなるように調整した。また、このようなコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤としてIrg907(Ciba Specialty Chemicals社製)をコレステリック液晶に対して5%添加した。また、界面活性剤として、Byk361(ビックケミー社製)をコレステリック液晶に対して0.06%添加した。
そして、このようなコレステリック液晶溶液を、配向処理を施したポリイミド膜付きのガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、紫外線の照射時の温度を順次変えながら、上述した実施例1と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約2μm)を備えた円偏光分離素子を複数形成した。
図3は、このようにして得られたコレステリック液晶膜における硬化温度と円偏光反射率(中心反射波長である550nmでの右円偏光反射率)との関係を示す図である。
図3に示すように、約40℃以下の温度(すなわち、実施例4に係るコレステリック液晶が過冷却でない状態でのコレステリック相を呈する温度範囲(70℃〜95℃)の下限から30℃だけ低い温度以下の温度)で円偏光反射率が飽和状態となり、約30℃以下の温度(すなわち、実施例4に係るコレステリック液晶が過冷却でない状態でのコレステリック相を呈する温度範囲(70℃〜95℃)の下限から40℃だけ低い温度以下の温度)では円偏光反射率がほぼ一定となることが分かる。
(実施例5)
紫外線硬化型のネマチック液晶とカイラル剤とを混合することにより、コレステリック液晶モノマーの35%トルエン溶液(コレステリック液晶溶液)を6種類準備した。すなわち、ネマチック液晶に対するカイラル剤の量を調整し、選択反射波長が異なる6種類のコレステリック液晶溶液を準備した。なお、各コレステリック液晶溶液の中心反射波長を表1に示す。
Figure 2004170938
なお、各コレステリック液晶溶液には、光重合開始剤としてIrg907(Ciba Specialty Chemicals社製)をコレステリック液晶に対して5%添加した。また、界面活性剤として、Byk361(ビックケミー社製)をコレステリック液晶に対して0.06%添加した。
次に、上記の6種類のコレステリック液晶溶液を、配向処理が施されたガラス基板上に、上記表1の1番から6番の順番で塗布し、6層のコレステリック液晶膜を順に成膜した。
具体的には、まず、1番目のコレステリック液晶溶液を、配向処理を施したポリイミド膜付きのガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、次いで、90℃の温度で乾燥させることによってコレステリック液晶溶液中の溶媒(トルエン)を除去し、未硬化状態のコレステリック液晶膜を得た。
次に、このような未硬化状態のコレステリック液晶膜をガラス基板とともに室温(25℃)まで冷却し、過冷却のコレステリック相の状態とした。
その後、このような状態にあるコレステリック液晶膜を窒素雰囲気中に置き、25℃の温度で3.6mW/cm(310nm)の照射強度の紫外線を30秒照射した。
以上と同様の成膜方法により、2番目以降のコレステリック液晶溶液を、下層のコレステリック液晶膜上に直接積層していき、1番目から6番目までの6種類のコレステリック液晶溶液に対応する6層のコレステリック液晶膜が積層された円偏光分離素子を得た。
このようにして得られた円偏光分離素子は、420〜750nmの波長域で約80%の右円偏光を反射する半透過膜であった。各層のコレステリック液晶膜の膜厚は、各層に対応する反射波長帯域で80%の円偏光反射率を持つように設定した。その結果得られた円偏光分離素子の総膜厚は10.7μmであった。
(比較例1)
比較例1として、上述した実施例1と同様のコレステリック液晶溶液を用い、紫外線の照射時の温度(硬化温度)を室温(25℃)から80℃に変え、それ以外は上述した実施例1と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約1.85μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、450nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(比較例2)
比較例2として、上述した実施例と同様のコレステリック液晶溶液を用い、紫外線の照射時の温度(硬化温度)を室温(25℃)から80℃に変え、それ以外は上述した実施例2と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約3μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、550nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(比較例3)
比較例3として、上述した実施例3と同様のコレステリック液晶溶液を用い、紫外線の照射時の温度(硬化温度)を室温(25℃)から80℃に変え、それ以外は上述した実施例3と同様の手順で、単層のコレステリック液晶膜(膜厚:約3.2μm)を備えた円偏光分離素子を得た。なお、このようにして得られた円偏光分離素子の円偏光反射率は、600nmを中心とした反射波長帯域で80%であった。
(比較例4)
比較例4として、上述した実施例5と同様の6種類のコレステリック液晶溶液を用い、紫外線の照射時の温度(硬化温度)を室温(25℃)から80℃に変え、それ以外は上述した実施例5と同様の手順で、6層のコレステリック液晶膜が積層された円偏光分離素子を得た。
このようにして得られた円偏光分離素子は、上述した実施例5と同様に、420〜750nmの波長域で約80%の右円偏光を反射する半透過膜であった。また、上述した実施例5と同様に、各層のコレステリック液晶膜の膜厚は、各層に対応する反射波長帯域で80%の円偏光反射率を持つように設定した。その結果得られた円偏光分離素子の総膜厚は15.7μmであった。
(評価結果)
実施例1〜3に係る円偏光分離素子の分光特性と比較例1〜3に係る円偏光分離素子の分光特性とを比較すると、いずれも550nmを中心とした反射波長帯域で約80%の右円偏光を反射するもので、ほぼ同一の光学特性を示した。これに対し、両者の膜厚を比較すると、実施例1〜3に係る円偏光分離素子の方が、膜厚が30%程度減少した。
また、実施例5に係る円偏光分離素子の分光特性と比較例4に係る円偏光分離素子の分光特性とを比較すると、ともに420〜750nmの波長域で約80%の右円偏光を反射するもので、ほぼ同一の光学特性を示した。これに対し、両者の膜厚を比較すると、実施例5に係る円偏光分離素子が10.7μm、比較例4に係る円偏光分離素子が15.7μmであり、実施例5に係る円偏光分離素子の方が、膜厚が30%程度減少した。
本発明の一実施の形態に係る円偏光分離素子の製造方法を説明するための工程図。 本発明の他の実施の形態に係る円偏光分離素子の製造方法を説明するための工程図。 図1および図2に示す実施の形態におけるコレステリック液晶膜の硬化温度と円偏光反射率との関係を示す図。
符号の説明
10,10′ 円偏光分離素子
11 ガラス基板
13 コレステリック液晶溶液の塗布膜
14 未硬化状態のコレステリック液晶膜
15 硬化状態のコレステリック液晶膜
23 追加のコレステリック液晶溶液の塗布膜
24 未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜
25 硬化状態の追加のコレステリック液晶膜

Claims (6)

  1. 配向能を有する基材上に、放射線重合型コレステリック液晶材料を溶剤に溶解したコレステリック液晶溶液を塗布して、塗布膜を形成する第1の工程と、
    前記第1の工程で形成された前記塗布膜から溶剤を除去して、未硬化状態のコレステリック液晶膜を形成する第2の工程と、
    前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜に放射線を照射して硬化させ、硬化状態のコレステリック液晶膜を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする、円偏光分離素子の製造方法。
  2. 前記第3の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、プラーナー配向した過冷却のコレステリック相の状態に保つことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第3の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を、過冷却でない状態でのコレステリック相を呈する温度範囲の下限から30℃〜90℃だけ低い温度に保つことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2の工程と前記第3の工程との間で行われ、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜が、プラーナー配向した過冷却のコレステリック相の状態となるよう、当該未硬化状態のコレステリック液晶膜を所定の時間だけ静置する第4の工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第4の工程において、前記第2の工程で形成された前記未硬化状態のコレステリック液晶膜を加熱することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第3の工程で形成された前記硬化状態のコレステリック液晶膜上に、放射線重合型コレステリック液晶材料を溶剤に溶解した追加のコレステリック液晶溶液を塗布して、追加の塗布膜を形成する第5の工程と、
    前記第5の工程で形成された前記追加の塗布膜から溶剤を除去して、未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を形成する第6の工程と、
    前記第6の工程で形成された前記未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を、過冷却のコレステリック相の状態に保ちつつ、当該未硬化状態の追加のコレステリック液晶膜に放射線を照射して硬化させ、硬化状態の追加のコレステリック液晶膜を形成する第7の工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
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