JP2004170864A - 感光感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】感度を損なわずに耐光性、特に地肌部白色度の保存安定性を向上させた感光感熱記録材料を提供する。
【解決手段】支持体上に記録層が設けられた記録材料であって、該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする感光感熱記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に記録層が設けられた記録材料であって、該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする感光感熱記録材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像保存性に優れ広汎な用途を有する、紫外〜可視〜赤外波長域の光に対して高感度に記録可能な感光感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、現像液を使用しない、廃棄物の発生のない乾式の画像記録方法が種々検討され、中でも光硬化性組成物を用いる方法が注目されている。この方法は、記録材料中に含まれる、光硬化性組成物を露光により硬化させて潜像を形成し、かつ未露光部に含まれる、加熱により発色若しくは消色反応に作用する成分を移動させることで色画像を形成することを特徴とする。具体的には、光を画像原稿を通して記録材料上に露光し、該露光部を硬化させて潜像を形成した後、この記録材料を加熱して、未硬化部分(未露光部分)に含まれる発色若しくは消色反応に作用する成分を記録材料内で移動させることにより可視画像を形成できる。この方法によれば、廃棄物の発生のない完全乾式システムを実現することができる。該方法は、白黒画像の記録としても特徴的な方法ではあるが、特にカラー画像の記録に有用な方法である。
【0003】
前記方法に使用可能な記録材料として多種類提案されており、2成分型の感光感熱発色記録材料(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。これは例えば、電子受容性化合物および電子供与性の無色染料を2成分として含み、光硬化性組成物をマイクロカプセルの内部若しくは外部、又は双方に含有してなるが、カプセル内に含有する光硬化性組成物を十分に硬化させても、その硬化部における発色を十分に抑制できないために非画像部が着色してコントラストが低下する欠点がある。
【0004】
非画像部に着色のない記録材料としては、酸性基を有するビニルモノマーと光重合開始剤からなる光重合性組成物を含有する層、隔離層および電子供与性の無色染料からなる層を積層した記録材料が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、非画像部、即ち光重合反応により硬化した部分の着色はないが、発色濃度自体がやや低くなるという欠点がある。
【0005】
本出願人は、上記欠点に鑑みて、非画像部の着色を抑制し、かつ高い画像濃度の得られる記録材料(例えば、特許文献3及び4参照。)を提案した。前者は、2成分型感光感熱発色記録材料中の2成分のうち、一方をマイクロカプセルに内包し、他方を光硬化性組成物の硬化性化合物として、或いは、他方を光硬化性組成物と共にマイクロカプセル外部に含有する記録材料であり、後者は、電子供与性の無色色素を内包するマイクロカプセルと、更に該マイクロカプセル外部に、電子受容性化合物、重合性ビニルモノマーおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物とを含有する層を塗設した感光感熱記録材料である。
しかしながら、上述した感光感熱記録材料は、光重合性組成物中の光重合開始剤から発生するラジカルによって画像の光安定性が劣化し、形成された画像が退色したり、非画像部(地肌部)が黄変したりするという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−89915号公報
【特許文献2】
特開昭61−123838号公報
【特許文献3】
特開平3−87827号公報
【特許文献4】
特開平4−211252号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐光性が高く、特に非画像部の白色度の安定性を向上させることができる感光感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に記録層が設けられた記録材料であって、
該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする感光感熱記録材料。
<2> 前記ラジカルトラップ剤が、ハイドロキノン系化合物及び/又はヒンダードフェノール系化合物である上記<1>に記載の感光感熱記録材料。
<3> 前記ラジカルトラップ剤の添加量が、発色成分Aの100質量部に対して10〜500質量部である上記<1>又は<2>に記載の感光感熱記録材料。
<4> 前記ラジカルトラップ剤が、熱応答性マイクロカプセルに内包されている上記<1>〜<3>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<5> 前記光重合性組成物が、重合可能な化合物と光重合開始剤を含有する上記<1>〜<4>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<6> 前記化合物Bが、分子内に更に重合性基を有する化合物である上記<1>〜<5>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<7> 前記記録層の少なくとも一層が、更に、同一分子内に前記発色成分Aと前記化合物Bとの反応を抑制する部位と重合性基とを有する実質的に無色の化合物Cを含有する上記<1>〜<6>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<8> 前記光重合性組成物が、少なくとも1種の下記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物を含有する上記<1>〜<7>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
【化3】
〔上式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又は、下記一般式(II)で表される基を表す。M+は陽イオンを形成し得る基を表す。〕
【化4】
〔上式(II)中、R5〜R7は、それぞれ独立に脂肪族基又は芳香族基を表す。〕
<9> 前記発色成分Aが電子供与性無色染料である上記<1>〜<8>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の感光感熱記録材料は、支持体上に1層若しくは2層以上の記録層が設けられた記録材料であって、該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の感光感熱記録材料は、単色或いは多色のいずれの記録材料であってもよく、多色の記録材料とする場合、特定波長以下の光に光感応性を持つ記録層を少なくとも一層設け、該特定波長を超える波長領域に光感応性を持つ記録層を少なくとも一層設けて構成される。更に、中間層や保護層等の他の層を有していてもよく、また中間層は複数層設けられてもよく、保護層は単層および二層以上の積層構造のいずれであってもよい。
【0011】
本発明の感光感熱記録材料の基本的な構成態様としては、特に制限されるものではなく適宜目的に応じて構成することができる。例えば、本発明の感光感熱記録材料を、ポジ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例に示す。尚、以下の説明は簡略化のために、本発明の感光感熱記録材料に含有されるラジカルトラップ剤の存在と作用を省略したものである。
本態様のポジ型の感光感熱記録材料では、画像様に光を照射すると、光照射部の光重合性組成物に含まれるラジカル発生剤からラジカルが発生すると共に重合可能な化合物の重合反応が開始され硬化して、光重合性組成物はその場に固定され、潜像が形成される。この時、記録材料中のマイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、マイクロカプセルに内包される発色成分Aと該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する化合物Bとは接触の機会がなく、記録材料層は非発色状態にある。
【0012】
その後、感光感熱記録材料の全面に熱が供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に変移して非光照射部の化合物Bはマイクロカプセル内に浸透し(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出され)、発色成分Aと化合物Bとが反応して、非光照射部においてのみ発色する。一方、光照射部においては、光重合性組成物が重合反応して硬化し固定された状態にあるため、発色成分A及び化合物Bは共に不動化されて接触する機会を得ず、光照射部では発色しない。その後、更に該感光感熱記録材料を全面露光することにより未重合であった領域も重合し(これを「定着」と言う)、かつ光重合性組成物に含有されている色素成分を消色することができる。
【0013】
また、本発明の感光感熱記録材料は、下記態様(第一および第二の態様)の記録材料であってもよく、その画像形成方法も各態様に応じて適宜選択できる。
即ち、本発明の第一の態様の感光感熱記録材料は、光重合性組成物に含まれる重合可能な化合物が前記化合物B自体である態様である。すなわち、化合物Bは、同一分子内に前記発色成分Aと反応して発色させる部位と重合性基とを有し、記録層は、発色成分Aと化合物Bと光重合性組成物とを少なくとも含有してなる。ここで、上述した基本的態様のポジ型の感光感熱記録材料を例に当てはめると、化合物Bは、既述の通り、発色成分Aを発色させる部位を有すると共に重合性基をも有し、画像様に光照射されると、該化合物Bが重合反応を開始して硬化し、該化合物Bはその場に固定され潜像を形成する。従って、光照射部では、化合物Bは不動化されて発色成分Aと接触する機会がなく、記録層内の光照射部では発色しない。
【0014】
本発明の第二の態様の感光感熱記録材料は、その記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物Bと、同一分子内に重合性基と発色成分Aと化合物Bとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Cと、光重合性組成物と、を含有する態様である。
【0015】
本態様の感光感熱記録材料を、発色成分Aが熱応答性のマイクロカプセルに内包された、ネガ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例として以下に説明する。
本態様のネガ型の感光感熱記録材料においては、前記第一の態様と同様、マイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、発色成分Aと化合物Bとは接触せず、非発色状態にある。この感光感熱記録材料に対して画像様に光を照射すると、光照射部の重合可能な化合物の重合反応が開始し硬化して、重合可能な化合物はその場に固定され潜像が形成される。その後、該感光感熱記録材料の全面に熱が供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に転移して化合物Bはマイクロカプセル内に浸透する(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出される)が、それと同時に、非光照射部では、化合物Cが発色抑制化合物としてマイクロカプセル内に浸透し、発色成分Aと化合物Bとの発色反応は抑制される。従って、非光照射部は非発色状態に維持される。一方、光照射部の化合物C(発色抑制化合物)は、重合反応によりその場に固定されているので、発色成分Aおよび化合物Bの反応には関与せず発色反応が進行し、光照射部においてのみ発色する。その後、前記感光感熱記録材料を全面露光することにより、光重合性組成物に含有される残留色素を消色することができる。
【0016】
本発明の感光感熱記録材料による画像形成に用いる光源としては、青〜赤色の光源や赤外レーザー等を好適に選択することができる。
【0017】
本発明の感光感熱記録材料は、いずれの態様においても、記録層にラジカルトラップ剤を含有し、このラジカルトラップ剤によって、上述の画像形成後における画像部及び地肌部(非画像部)に画像保存性、特に高い耐光性を付与することができる。これは、ラジカルトラップ剤が、光重合開始剤より発生するラジカルの活性を抑止し、ラジカルによる記録層への悪影響を阻止するためであると考えられる。そのため、記録した画像及び非画像部の耐光性を向上させることができ、特に非画像部の白色度の保存安定性を向上させることができる。
【0018】
ラジカルトラップ剤は、熱応答性マイクロカプセルの内部及び外部のいずれに存在させてもよいが、内部に存在させることがより好ましい。熱応答性マイクロカプセルの外部には重合可能な化合物が存在し、ラジカルトラップ剤をカプセル外部に存在させると、該化合物の重合を阻害することがあるからである。
【0019】
以下、本発明の感光感熱記録材料を構成する各成分について詳細に説明する。
(記録層)
本発明の感光感熱記録材料においては、記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B(以下、「発色成分B」ということがある。)、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有してなる。
【0020】
本発明の記録層は、上記各成分を含んで調製された塗布液を塗布し乾燥する等で各層を形成でき、これに、既述のように、各層の感応波長に相当する光を照射して潜像を形成する工程(露光工程)と、加熱により発色成分が潜像に応じて発色し色画像を形成する工程(発色工程)と、該記録層全面を更に光照射して色画像を定着し残留発色成分を消色する工程(定着工程)と、を含む画像記録方法により画像記録することができる。
【0021】
(光重合性組成物)
前記記録層を構成する光重合性組成物は、少なくとも重合可能な化合物と光重合開始剤を含み、必要に応じて有機ホウ素化合物その他を含有する。
<重合可能な化合物>
上記重合可能な化合物は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であり、該重合可能な化合物としては、特に制限はなく、目的や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸誘導体、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸誘導体、メタクリル酸およびその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、等が挙げられる。
【0022】
前記重合可能な化合物は、分子内に1個又は2個以上のオレフィン性二重結合を有する化合物であり、低分子量(モノマー性)でも高分子量(オリゴマー性)でもいずれであっても構わない。
上記二重結合を有するモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレートまたはエチルメタクリレート等のアルキル若しくはヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート等が挙げられる。また、シリコンアクリレート類も好適である。
他の例としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルの様なビニルエステル、イソブチルビニルエーテルの様なビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0023】
二個以上の二重結合を有するモノマーの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAなどのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0024】
比較的高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物の例としては、(メタ)アクリル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリル基を有するポリエステル、ビニルエーテルまたはエポキシ基を含むポリエステル、ポリウレタンおよびポリエーテルが挙げられる。更に、不飽和オリゴマーの例として、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常マレイン酸、フタル酸および1種またはそれ以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有するものが挙げられる。加えて、ビニルエーテルモノマーおよびオリゴマー、およびポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテルおよびエポキシ主鎖を有するマレート終末されたオリゴマーを用いることも可能である。特に適したものは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーと国際公開WO90/01512に記載のポリマーの組み合わせである。また、ビニルエーテルおよびマレイン酸官能化されたモノマーのコポリマーもまた適している。この種の不飽和オリゴマーはプレポリマーとして属することもできる。
【0025】
特に適した例としては、エチレン性不飽和カルボン酸およびポリオールまたはポリエポキシドのエステル、並びに主鎖または側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタン並びにそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエンおよびブタジエンコポリマー、ポリイソプレンおよびイソプレンコポリマー、側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマーおよびコポリマー、並びに、1種またはそれ以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0026】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、およびリノール酸またはオレイン酸のような不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0027】
適したポリオールとしては、芳香族並びに、特に脂肪族および環式脂肪族ポリオールである。芳香族ポリオールの例としては、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラックおよびレゾルシンが挙げられる。ポリエポキシドの例としては、上記ポリオール、特に芳香族ポリオール、およびエピクロロヒドリンをベースとするものである。他の適したポリオールとしては、ポリマー鎖または側鎖においてヒドロキシル基を含むポリマーおよびコポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコールおよびそれらのコポリマーまたはポリヒドロキシアルキルメタアクリレートまたはそれらのコポリマーである。適した更なるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0028】
脂肪族および環式脂肪族ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールである。
【0029】
ポリオールは、1種のカルボン酸でまたは異なる不飽和カルボン酸で部分的にまたは完全にエステル化されることができ、そして部分エステルにおいて遊離ヒドロキシル基は変性されることができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化またはエステル化され得る。
【0030】
エステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
【0031】
トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールジアクリレートおよびトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
また、前記重合可能な化合物として適したものは、同一のまたは異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、環式脂肪族および脂肪族ポリアミンとのアミドである。
そのようなポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−または1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−または1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−またはジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他、好ましくは側鎖においてさらなるアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、およびアミノ末端基を有するオリゴアミドが好適である。そのような不飽和アミドの例はメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドなどである。
【0033】
適した不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えば、マレイン酸から、およびジオール若しくはジアミンから誘導される。マレイン酸のいくつかは他のジカルボン酸に置き換えることができる。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用されることができる。ポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸から、エチレン性不飽和ジオールまたはジアミンから、特に相対的に長鎖、例えば、6〜20個の炭素原子を有するものから誘導され得る。ポリウレタンの例としては、飽和または不飽和ジイソシアネートおよび不飽和、またはそれぞれ飽和のジオールから構成されるものが挙げられる。
【0034】
ポリブタジエンおよびポリイソプレン並びにそれらのコポリマーは既知である。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテンおよびヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレンまたは塩化ビニルである。側鎖において(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に既知である。例えば、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物として得ることができ、またはビニルアルコール若しくは(メタ)アクリル酸とエステル化されたそのヒドロキシアルキル誘導体とのホモ−若しくはコポリマーであることができ、またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−若しくはコポリマーであり得る。
【0035】
前記重合可能な化合物は、光重合性組成物の用途に応じて、その構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば、光重合性組成物を記録材料に利用する場合は、画像部を構成する発色成分の発色反応を促進する部位や、逆に発色反応を抑制する部位を有していてもよい。これらの例については後述する。
【0036】
前記重合可能な化合物は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記重合可能な化合物の総含有量としては、光重合性組成物の全固形分の30〜99.9質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。該含有量が30質量%未満であると、露光工程で明確な潜像を形成することができないことがあり、一方99.9質量%を超えると、記録感度の著しい低下を招くことがある。
【0037】
<光重合開始剤>
本発明の光重合開始剤は、波長300〜1000nmに最大吸収を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物とを含有する。単一の化合物で、分光増感化合物と該分光増感化合物と相互作用する化合物とを兼ねたものでもよい。波長300〜1000nmに最大吸収を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。
感光感熱記録材料の感度を上げるには、用いる光源から照射される光の波長が、その最大吸収波長と一致するか近傍になるように分光増感色素が選択される。
【0038】
本発明の上記分光増感色素としては、「Research Disclosure,<200>,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(頁160〜163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)、特開平3−87827号公報、同4−211252号公報等に記載された公知の化合物を使用することができる。
【0039】
具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
【0040】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、頁393〜416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
【0041】
また、クマリン(ケトクマリンまたはスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も、本発明の分光増感色素として使用できる。
【0042】
上記の分光増感色素を適宜選択することにより、本発明の感光感熱記録材料に用いる光重合開始剤の分光感度を、紫外から赤外領域に得ることができる。
上記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。分光増感色素は、感光感熱記録層の総質量(固形分)に対し、0.1〜5質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5〜2質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0043】
前記分光増感化合物と相互作用する化合物とは、前記化合物B中の重合性基又は前記化合物C中の重合性基の重合を開始し得る化合物であり、このような化合物を上記の分光増感化合物と共存させることにより、本発明の感光感熱記録材料はその分光吸収波長領域の露光光源に効率よく感応するため、高感度化が図られ、かつ紫外から赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
【0044】
このような分光増感化合物と相互作用する化合物としては、有機ホウ素化合物、特開平3−87827号公報、同4−211252号公報、特願2000−199952号公報の段落[0145]〜[0151]に記載の化合物等が挙げられる。
【0045】
<有機ホウ素化合物>
前記有機ホウ素化合物としては、下記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物を使用することが好ましい。該一般式(I)で表される化合物を使用することにより、該化合物の吸収波長領域の光に敏感に感応し、露光領域に局所的かつ高効率にラジカルを発生させることができる。
【0046】
【化5】
〔上式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又は一般式(II)で表される基を表す。M+は陽イオンを形成し得る基を表す。〕
【0047】
一般式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基を表す。
前記R1〜R4が脂肪族基を表す場合、該脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、または置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、または置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
【0048】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。また、該アルキル基は、置換基を有する置換アルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよく、置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキル基の場合と同様である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0049】
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基;
【0050】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のM+等が挙げられる。
【0051】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。
前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0052】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有するアルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。
置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0053】
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有するアラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。
置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0054】
前記R1〜R4が芳香族基を表す場合、該芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0055】
前記R1〜R4が複素環基を表す場合、該複素環基としては、置換基を有する複素環基、無置換の複素環基が挙げられる。置換基を有する複素環基の置換基としては、前記R1〜R4が置換アリール基を表す場合に例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
中でも、R1〜R4が表す複素環基としては、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環等の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含む複素環基が好ましい。
【0056】
また、前記R1〜R4は、下記一般式(II)で表される基であってもよい。一般式(II)中、R5〜R7は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基を表す。該脂肪族基、芳香族基は、前記R1〜R4が表す前記脂肪族基、芳香族基と各々同義であり、好ましい例も同様である。
【0057】
【化6】
【0058】
前記一般式(I)中、R1〜R4の内の2以上が直接または置換基を介して連結し、環を形成していてもよい。環を形成している場合、該環としては、下記の(C1)〜(C3)の環より選ばれるいずれかの環が好ましく、中でも、(C2)の環が好ましい。
【0059】
【化7】
【0060】
前記(C1)における環において、Rbは、以下に示す2価の基を表す。
【化8】
【0061】
前記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物の中でも、そのR1〜R4の少なくとも1つがアルキル基であるものが好ましく、高感度化と保存性の向上の観点から、1つがアルキル基であり、他の3つがアリール基であるトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が更に好ましい。
特に、アリール基に電子吸引性基が置換したトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が好ましく、中でも、3つのアリール基上の置換基(電子吸引性基)のHammet(σ)値の合計が+0.36〜+2.58のものが最も好ましい。
前記電子吸引性基としては、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基が好ましく、特にフッ素原子、塩素原子がより好ましい。
【0062】
電子吸引性基が置換したアリール基としては、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、5−フルオロ−2−メチルフェニル基、5−フルオロ−4−メチルフェニル基、5−クロロ−2−メチルフェニル基、5−クロロ−4−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0063】
前記一般式(I)のアニオン部としては、例えば、テトラメチルボレート、テトラエチルボレート、テトラブチルボレート、トリイソブチルメチルボレート、ジ−n−ブチル−ジ−t−ブチルボレート、トリ−m−クロロフェニル−n−ヘキシルボレート、トリフェニルメチルボレート、トリフェニルエチルボレート、トリフェニルプロピルボレート、トリフェニル−n−ブチルボレート、トリメシチルブチルボレート、トリトリルイソプロピルボレート、トリフェニルベンジルボレート、テトラ−m−フルオロベンジルボレート、トリフェニルフェネチルボレート、トリフェニル−p−クロロベンジルボレート、トリフェニルエテニルブチルボレート、ジ(α−ナフチル)−ジプロピルボレート、トリフェニルシリルトリフェニルボレート、トリトルイルシリルトリフェニルボレート、トリ−n−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ボレート、ジフェニルジヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルヘキシルボレート、トリ(5−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルシクロヘキシルボレート、トリ−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)ヘキシルボレート等が挙げられる。
【0064】
前記一般式(I)中、M+は陽イオンを形成し得る基を表す。中でも、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)または金属カチオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+、1/2Ca2+等)が好ましい。
前記有機カチオン性化合物としては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、色素カチオン等が挙げられる。
【0065】
前記4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)等が挙げられる。前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アルキルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベンゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホスホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン)等が挙げられる。
【0066】
更に、前記M+の具体的な例として、特開平9−188686号公報の段落[0020]〜[0038]に記載の化合物等も挙げることができる。
【0067】
上記に例示した各カチオン性化合物(例示化合物)において、そのアルキル基としては、炭素数が1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の無置換アルキル基や、R1〜R4が表す前記置換アルキル基が好ましい。中でも特に、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
また、上記に例示した各カチオン性化合物において、そのアリール基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子)置換フェニル基、アルキル(例えば、メチル基)置換フェニル基、アルコキシ(例えば、メトキシ基)置換フェニル基が好ましい。
【0068】
前記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物の具体例としては、米国特許第3,567,453号明細書、同4,343,891号明細書、特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開平9−188684号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報、特公平8−9643号公報、特開平11−269210号公報に記載されている化合物、および以下に例示する化合物が挙げられる。有機ホウ素化合物は、後述のラジカル発生剤と併用してもよい。但し、本発明に用いられる前記有機ホウ素化合物は、これに限定されるものではない。
【0069】
【化9】
【0070】
【化10】
【0071】
【化11】
【0072】
【化12】
【0073】
【化13】
【0074】
光重合性組成物において、有機ホウ素化合物の含有量としては、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。但し、好ましい範囲は、併用する「重合可能な化合物」の種類に応じて変動するので、これに限定されるものではない。
【0075】
記録層の一層における、光重合性組成物の塗布量としては、1〜30g/m2が好ましく、2〜10g/m2がより好ましい。該塗布量が1g/m2未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、30g/m2を超えると、塗布適性が悪化することがある。
【0076】
(発色成分)
続いて、本発明の感光感熱記録材料の記録層に含有される発色成分について、詳細に説明する。
本発明の感光感熱記録材料においては、記録層は発色源として前記発色成分Aと前記化合物B(発色成分B)とを含有する。
画像部を構成する発色源としての発色成分Aと発色成分Bとの組み合わせとしては、下記(a)〜(s)の組み合わせが挙げられる。尚、下記組み合わせは、発色成分A、発色成分Bの順に示した。
【0077】
(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ。
(b)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組み合わせ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組み合わせ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組み合わせ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組み合わせ、または前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組み合わせ。
【0078】
(f)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組み合わせ。
(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組み合わせ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組み合わせ。
【0079】
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組み合わせ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組み合わせのようなオキサジン染料を形成するもの。
(m)ホルマザン化合物と還元剤および/または金属塩との組み合わせ。
(n)保護された色素(またはロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組み合わせ。
(o)酸化型発色剤と酸化剤との組み合わせ。
(p)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組み合わせ。(フタロシアニンが生成する組み合わせ。)
(q)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組み合わせ(着色顔料が生成する組み合わせ)。
(r)顔料プレカーサーと酸または塩基との組み合わせ(顔料が形成する組み合わせ)。
(s)パラフェニレンジアミン誘導体またはパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組み合わせ。
【0080】
前記発色源としての二成分の組み合わせとしては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ、(b)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組み合わせ、(n)保護された色素(またはロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組み合わせ、及び(s)パラフェニレンジアミン誘導体又はパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組み合わせが好ましい。
【0081】
発色成分Aとして電子供与性無色染料前駆体を用いる場合、該電子供与性無色染料前駆体としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0082】
前記フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書および同第3,509,174号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジプロピルアミノ−2−アセチルアミノフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−3−(2−メチル−1−ペンチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が挙げられる。
【0083】
前記フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3959,571号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソプチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0084】
前記チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0085】
前記スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0086】
前記ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書に記載の化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号明細書等に記載の化合物が挙げられる。
【0087】
シアン、マゼンタ、イエローを発色する色素前駆体としては、米国特許第4,800,149号明細書等に記載の各色素前駆体を使用することができる。
更に、イエロー発色色素用電子供与性染料前駆体としては、米国特許第4,800,148号明細書、同5126233号明細書、特公平7−88105号公報等に記載の染料前駆体も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性染料前駆体としては、特開平63−53542号公報等に記載の染料前駆体も使用することができる。
【0088】
前記電子供与性染料前駆体を用いる場合、該電子供与性染料前駆体を発色させる発色成分Bとして電子受容性化合物を用いる。
前記電子受容性化合物としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等の電子受容性化合物が挙げられる。具体的には、特公昭40−9309号公報、特公昭45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、特開昭48−51510号公報、特開昭57−210886号公報、特開昭58−87089号公報、特開昭59−11286号公報、特開昭60−176795号公報、特開昭61−95988号公報等に記載されている。
【0089】
上記の内、例えばフェノール誘導体としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロピルオキシフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
【0090】
上記の内、例えばサリチル酸誘導体としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、およびこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅塩等を挙げることができる。
【0091】
前記第一の態様の感光感熱記録材料では、発色成分Bが重合性基を有する化合物としても機能するものである。従って、第一の態様の感光感熱記録材料の重合可能な化合物の少なくとも一つは電子受容性化合物であって、その分子内には電子受容性基とエチレン性不飽和結合(以下、「重合性基」という。)とを含む。
この場合の発色成分Bとしては、例えば、特開平4−226455号公報に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号公報、同60−141587号公報、同62−99190号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号明細書に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号公報、同62−16708号公報に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号公報に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
【0092】
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸誘導体が好ましい。
【0093】
【化14】
【0094】
前記式中、Xはハロゲン原子を表し、中でも塩素原子が好ましい。Yは重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でもビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基が更に好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
【0095】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル;
【0096】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0097】
更には、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール;
【0098】
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸;
【0099】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸;
【0100】
3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、およびこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0101】
発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、発色成分Bとして電子受容性化合物を使用する場合、記録層中における、前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜3g/m2がより好ましい。
また、前記電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、感度の低下や塗布適性の劣化を生じることがある。
【0102】
一方、発色成分Aとして、ジアゾ化合物を用いる場合には、下記式で表される化合物を用いることが好ましい。
Ar−N2 +・Y−
〔上式中、Arは芳香族環基を表し、Y−は酸アニオンを表す。〕
【0103】
上式において、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0104】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基;
【0105】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0106】
また、これらの基は、更に、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0107】
発色成分Aとして、好適に使用し得るジアゾ化合物としては、例えば、特開平7−276808号公報の第44段落欄〜第49段落欄に例示されるジアゾ化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに化合物に限定されるものではない。
【0108】
ジアゾ化合物の最大吸収波長λmaxとしては、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、ジアゾ化合物は、炭素原子数が12以上であって、水に対する溶解度が1%以下であり、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。
尚、発色成分Aとしてのジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし色相調整等の諸目的に応じて2種以上を併用してもよい。
【0109】
前記ジアゾ化合物を使用する場合、発色成分Bとしては、カプラー化合物(重合性基を有しない)若しくは重合性基を有するカプラー化合物を用いる。
前記両カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することも可能である。
前記重合性基を有するカプラー化合物の具体例としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体などが挙げられる。これらは、本発明の目的に合致する範囲で適宜に選択して使用できる。
【0110】
前記重合性基を有するカプラー化合物におけるカプラー骨格化合物(カプラー)としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体等のカプラーを用いるのが好ましい。具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール;
【0111】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸;
【0112】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0113】
カプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特開平5−278608号公報、特開平5−297024号公報、特開平6−18669号公報、特開平6−18670号公報、特開平7−316280号公報、特開平9−216468号公報、特開平9−216469号公報、特開平9−319025号公報、特開平10−035113号公報、特開平10−193801号公報、特開平10−264532号公報等に記載されたものも参照できる。
【0114】
カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
【0115】
以下に、重合性基を有するカプラーの具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0116】
【化15】
【0117】
【化16】
【0118】
【化17】
【0119】
【化18】
【0120】
【化19】
【0121】
【化20】
【0122】
【化21】
【0123】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記重合性基を有するカプラー化合物において、カプラー骨格化合物として列挙した化合物が挙げられる。
【0124】
発色成分Aとしてジアゾ化合物を、発色成分Bとしてカプラーを使用する場合、記録層中における前記ジアゾ化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、0.05〜3.0g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.02g/m2未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、5.0g/m2を超えると、塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0125】
また、前記カプラー化合物の使用量としては、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、塗布適性が劣化することがある。
【0126】
発色成分Bとして用いるカプラー化合物は、その他の成分と共に水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。ここで、固体分散または乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。これらの方法の詳細については、特開昭59−190886号公報、特開平2−141279号公報、特開平7−17145号公報に記載されている。
【0127】
ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン;
【0128】
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
【0129】
これらの有機塩基は、単独で用いてよいし2種以上併用して用いてもよい。
これらは、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−94381号公報、特開平9−71048号公報、特開平9−77729号公報、特開平9−77737号公報等に記載されている。
【0130】
前記有機塩基を用いる場合、有機塩基として、重合性基を有する有機塩基を使用してもよい。
前記第一の態様の感光感熱記録材料に、重合性基を有する有機塩基を使用する場合は、発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーとを共にマイクロカプセル内に含有させ、重合性基を有する有機塩基を前記発色成分Bとして機能させることもできる。発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーをマイクロカプセルに内包させる場合は、ジアゾ化合物とカプラーとを、塩基が存在しないと発色反応が起こらない組み合わせで使用する。
また、前記第一の態様の感光感熱記録材料において、前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を使用し、前記発色成分Bとして、重合性基を有するカプラーと重合性基を有する有機塩基とを併用することも可能である。
【0131】
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾ化合物1モルに対して、1〜30モルの範囲で使用することが好ましい。
更に、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
【0132】
次に、第二の態様の感光感熱記録材料で用いる重合可能な化合物について説明する。
前記第二の態様の感光感熱記録材料では、その記録層に、重合可能な化合物として、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bとの反応を抑制する部位と、重合性基とを同一分子内に有する化合物C(以下、「重合可能な発色抑制化合物」ということがある。)を含有する。
前記発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、前記発色成分Bとして重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合、化合物Cとしては、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応を抑制する部位と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD1」という場合がある。)を用いるのが好ましい。
【0133】
前記光重合性モノマーD1としては、具体的には、アクリル酸およびその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0134】
中でも、分子内に複数のビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレートまたはメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレートまたはメタクリレート末端ポリエステル等が好ましい。
上記のうち、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレートまたはジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0135】
前記光重合性モノマーD1としては、その分子量が約100〜約5000のものが好ましく、約300〜約2000のものがより好ましい。
【0136】
化合物Cとして、上記光重合性モノマーD1を用いる場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組み合わせて使用される電子供与性化合物1質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像を形成することができないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0137】
前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を、前記発色成分Bとして重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合、化合物Cとしては、ジアゾ化合物とカプラー化合物とのカップリング反応を抑制する酸性基と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD2」ということがある。)を用いるのが好ましい。
【0138】
前記光重合性モノマーD2としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸;
【0139】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート;
【0140】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸等が好適に挙げられる。
【0141】
化合物Cとして、前記光重合性モノマーD2を使用する場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組み合わせて用いられるカプラー化合物1質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像が形成できないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0142】
(ラジカルトラップ剤)
本発明の感光感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又、定着後の地肌部分の光による黄変を抑止する目的で、以下に述べるラジカルトラップ剤を用いる。
本発明に用いられるラジカルトラップ剤は、生成したラジカル(遊離基)を捕捉(トラップ)或いは該ラジカルと反応して、該ラジカルの反応活性を抑制或いは喪失させる化合物であり、例えば、1)それ自身安定な遊離基(ラジカル)であるもの、2)ラジカルと容易に反応して安定な遊離基を生じるもの、等が挙げられる。これらのラジカルトラップ剤の中でも、記録画像の耐光性改善の効果が顕著なことより、少なくとも1種のハイドロキノン系化合物及び/又はヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
【0143】
本発明で用いられる前記ハイドロキノン系化合物としては、1,4−ジオキシベンゼン骨格に、脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するハイドロキノン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、記録画像の耐光性改善の効果が顕著なことより、ハイドロキノンの水酸基の隣位にtert−炭素で置換された脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するハイドロキノンの置換誘導体が好ましい。
【0144】
本発明で用いられる前記ヒンダードフェノール系化合物としては、フェノール骨格の2−位又は/6−位に、脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するフェノール誘導体等が挙げられる。これらの中でも、記録画像の耐光性改善の効果の観点より、フェノールの水酸基の隣位にtert−炭素で置換された脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するフェノールの置換誘導体が好ましい。
【0145】
前記ハイドロキノン系化合物の具体例としては、後述する実施例で使用する化合物の他に、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2、3−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン等が挙げられる。
【0146】
前記ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、後述する実施例で使用する化合物の他に、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフエノ−ル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノ−ル、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
【0147】
また、耐光性改良剤、画像安定剤若しくは酸化防止剤として市販されているヒンダードフェノール系化合物も、本発明の感光感熱記録材料に使用できる。このような市販のヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、旭電化工業(株)製の商品名「アデカスタブA020、A030、A050、A080」、日本チバガイギー(株)製の商品名「イルガノックスE201、イルガノックス1035FF、チヌビン144」等が挙げられる。
【0148】
上述したラジカルトラップ剤は1種単独でも2種以上を併用することもできる。これらのラジカルトラップ剤の添加量は、記録画像の耐光性を過不足なく向上させるために、記録層内の発色成分Aの100質量部に対して10〜500質量部の割合であることが好ましい。ラジカルトラップ剤の添加量がこの範囲内にあれば、感光感熱記録の際に重合感度を殆ど損なわないで、記録された画像及び地肌の保存安定性、特に耐光性を一層向上できる。該添加量は、10〜400質量部の割合であれば更に好ましく、特に30〜300質量部の割合であれば一層好ましい。
【0149】
尚、本発明の感光感熱記録材料においては、前記ラジカルトラップ剤は熱応答性マイクロカプセルの外部に配合して使用することもできるが、感光感熱記録の際に重合感度を出来るだけ阻害することがないように、発色成分Aと同じく熱応答性マイクロカプセルに内包して使用する方が好ましい。露光後に加熱することで、カプセルに内包されていたラジカルトラップ剤が記録層内に万篇なく均一に拡散するので、得られた記録画像の全面に亙り耐光性を向上できる。
【0150】
(マイクロカプセル)
本発明の感光感熱記録材料では、発色成分(例えば電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物)と、必要に応じてラジカルトラップ剤とをマイクロカプセルに内包して使用する。マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、米国特許第2800457号明細書、同28000458号明細書に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、英国特許第990443号明細書、特公昭38−19574号明細書、同42−446号明細書、同42−771号明細書等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号明細書、同3660304号明細書に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、同4087376号明細書、同4089802号明細書に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号明細書に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号公報に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号明細書、同965074号明細書に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号明細書、英国特許第930422号明細書に記載のスプレードライング法等が挙げられる。
【0151】
マイクロカプセル化する方法はこれらに限定されるものではないが、本発明の感光感熱記録材料においては、特に、発色成分、ヒンダードアミン系光安定化剤をカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
即ち、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた感光感熱記録材料とすることができる。
【0152】
高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部および/または油滴外部に添加される。高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。上記の高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0153】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0154】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート、およびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)またはカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0155】
前記多価イソシアネート、およびそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号明細書、同3773695号明細書、同3793268号明細書、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報に記載されているものを使用することができる。
【0156】
本発明において、発色成分、ヒンダードアミン系光安定化剤を含有するマイクロカプセルを調製する際、内包する発色成分(例えば、電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物)は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分をカプセル中に溶液状態で内包させる場合、例えば、電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよく、この場合、有機溶媒の使用量としては、発色成分100質量部に対して、1〜500質量部が好ましい。
【0157】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点有機溶剤の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が挙げられる。具体的には、特開昭59−178451号公報〜同59−178455号公報、同59−178457号公報、同60−242094号公報、同63−85633号公報、特開平6−194825号公報、同7−13310号公報〜同7−13311号公報、同9−106039号公報および特開昭63−45084号公報に記載の有機溶剤が挙げられる。
また、カプセル化の際には、前記有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
【0158】
また、カプセル化しようとする電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。この低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0159】
一方、用いる水相には、保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに上記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散をおこなうが、該水溶性高分子は分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は周知の乳化用界面活性剤が使用可能である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相(質量)に対して0.1〜5質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。
【0160】
また、水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0161】
上述したように、油相を混合する水相に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
【0162】
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2−基等を有するものが挙げられる。
具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体および共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体および共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0163】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。これらのうち、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記水溶性高分子は0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
【0164】
カプセル化に用いられる、発色成分をはじめとする全ての成分は、例えば、水溶性高分子およびその他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め発色成分等の油相成分を水に難溶性または不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後(油相)、これを界面活性剤および/または保護コロイドとして水溶性高分子を含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、上記の発色成分をはじめとする全ての成分は、それぞれ別々に乳化分散することも、予め混合してから高沸点溶媒に溶解し乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0165】
乳化分散は、例えば高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段や、例えばホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易におこなうことができる。
乳化分散後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌をおこなう等の必要がある。
【0166】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的の色素を内包したマイクロカプセルを得ることができる。
【0167】
本発明の感光感熱記録材料に用いるマイクロカプセルの平均粒子径は、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から5μm以下であることがより好ましい。形成したマイクロカプセルの径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となるため、上記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0168】
<他の記録層>
他の記録層は、所定の波長領域に光感応性を有するように調製された塗布液を塗布等して形成できる。
【0169】
<その他>
これらの記録層は、前記成分の他、更に塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止等の種々の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等のポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0170】
また、必要に応じて他の添加剤として、例えば、染料、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光増白剤、マット剤、塗布助剤、硬化剤、帯電防止剤、滑り性改良剤等を添加することもできる。
前記各添加剤の代表例は、「Research Disclosure,Vol.176」(1978年12月、Item 17643)および「同Vol.187」(1979年11月、Item 18716)に記載がある。
【0171】
前記記録層、および後述の中間層、保護層等の各層には、必要に応じて硬化剤を併用してもよい。特に、保護層に硬化剤を併用し、保護層の粘着性を低減することが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号明細書等に記載の、反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号明細書等に記載の、反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号明細書等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号明細書等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号明細書や米国特許第3687707号明細書に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号明細書に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号明細書に記載のケトビニル類等が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も挙げられる。
【0172】
中でも、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物が好ましい。
前記硬化剤は、後記バインダーの使用量に対して、0.5〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0173】
(中間層)
各単色の記録層間には、中間層を設けることができる。中間層は、主にバインダーから構成され、必要に応じて、硬化剤やポリマーラテックス、フィルタ色素、雲母、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することができる。
【0174】
前記バインダーとしては、約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000の分子量を有するポリマーが望ましい。例えば、アクリレートおよびメタクリレートのホモ若しくはコポリマー(例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)等)、セルロースエステルまたはセルロールエーテル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ポリビニルブチラル、ポリビニルホルマル、環化ゴム、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)等)、ポリアミド、ポリウレアなどが挙げられる。
【0175】
また、ゼラチン類、(変性)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子も挙げられる。更に、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス等のラテックス類を用いてもよい。
【0176】
不飽和化合物も、非光重合性フィルム形成成分との混合物として使用でき、例えば、物理的に乾燥したポリマー、または有機溶媒中のポリマー溶液であって、例えば、ニトロセルロース、またはセルロースアセトブチレートが挙げられる。しかし、それらは化学的に、および/または、熱的に硬化性(熱硬化性)樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、メラミン樹脂、並びに、ポリイミド前駆体であってもよい。同時に熱硬化性樹脂を使用することは、第一段階において光重合されそして第二段階において熱後処理によって架橋されるハイブリッド系として既知である系における使用のために重要である。
【0177】
また、バインダーとして、発色成分をカプセル化する際の水相に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましい。
これらのバインダーは、下記保護層、前記記録層等に使用できる。
【0178】
また、該記録層中の有効成分が層間拡散することを防止する目的で、雲母、合成雲母(例えば、スズライト40H,エムアールアイ(MRI)社製等)などを含有させることが好ましい。前記フィルタ色素の添加は、高鮮鋭な画像を形成しうる点で好ましく、既述の有機色素から選択できるが、各中間層上層の光吸収波長を持つ化合物を適宜選択することが好ましい。
【0179】
前記中間層の層厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。
【0180】
(保護層)
本発明の感光感熱記録材料には、必要に応じて保護層を設けることもできる。
該保護層は、照射光の入射側である最外層に設けられるのが好ましい。
【0181】
前記保護層に用いる材料としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等のラテックス類などが挙げられる。
【0182】
前記保護層に用いる前記材料を架橋することにより、保存安定性をより一層向上させることもできる。この場合、前記架橋に用いる架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0183】
前記保護層には、更に公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を加えてもよく、公知のUV吸収剤やUV吸収剤プレカーサーを加えることもできる。前記保護層の塗布量としては、0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜3g/m2がより好ましい。
【0184】
(支持体)
前記支持体としては、例えば、紙、コーティツドペーパー、ラミネート紙等の合成紙;ポリエチレンテレフタレートフイルム、3酢酸セルロースフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリカーボネートフイルム等のフイルム;アルミニウム、亜鉛、銅等の金属板;または、これらの支持体表面に表面処理、下塗、金属蒸着処理等の各種処理を施したもの等が挙げられる。
更に、「Research Disclosure,Vol.200」(1980年12月、Item 20036 XVII項)の支持体も挙げることができる。これらの支持体には蛍光増白剤、青み付け染料、顔料等を含有させることもできる。また、支持体自体が弾性を有するポリウレタンフォームやゴム等のシートを用いることもできる。
更に、必要に応じて、用いる支持体の表面にはアンチハレーション層を、裏面にはスベリ層、アンチスタチック層、カール防止層、粘着剤層等を設けることができる。また、支持体と記録層との間に接着層を設けて、用いた支持体を剥離紙として使用するシール状の態様に構成することもできる。
【0185】
支持体と記録層との間、或いは、透明支持体の場合は、支持体の記録層を設けられていない側の表面に、上記アンチハレーション層を設ける場合には、光照射または熱によって漂白可能なアンチハレーション層を設けることができる。
光照射して漂白可能な層とする場合には、例えば、有機色素と有機ホウ素化合物とを組み合わせたものを利用することができ、熱によって漂白可能な層とする場合には、例えば、熱によって塩基または求核剤が発生し、共存する有機色素を漂白しうるような構成が利用できる。
【0186】
前記支持体と記録層の間には、酸素透過性の低い、ゼラチン、ボリビニルアルコール(PVA)等のポリマーを含有してなる層を設けることもでき、該層を設けることによって、形成画像の光酸化に起因する退色を効果的に防止することができる。
【0187】
(感光感熱記録材料の作製)
本発明の感光感熱記録材料は、記録層、保護層、中間層形成用の塗布液に前記各成分を必要に応じて溶媒中に溶解する等の手段により調製した後、支持体上に公知の塗布方法により塗布、乾燥することで作製できる。前記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、メチルセロソルプ、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル;トルエン;キシレン等の単独物、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。中でも、水が特に好ましい。
【0188】
前記公知の塗布方法としては、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いた方法が挙げられる。
また、塗布は、「Research Disclosurc,Vol.200」(1980年12月,Item 20036 XV項)を参考に行える。
【0189】
多色型の感光感熱記録材料は、例えば、以下のようにして構成できる。
イエロー発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、光源の中心波長λ1に感光する光重合性組成物とを含有した第1の記録層を支持体上に設け、該層上に、マゼンタ発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、中心波長λ2に感光する光重合性組成物とを含有した第2の記録層を設け、更にその層上に、シアン発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、波長λ3に感光する光重合性組成物とを含有した第3の記録層を設けることにより構成できる。本発明においては、前記第1〜第3の記録層の少なくとも一層を既述の第一の態様または第二の態様で構成する。また、必要に応じて、最外層上に保護層を設けたり、各記録層間に中間層を設けたりすることもできる。尚、それぞれの光源の中心波長λ1、λ2、λ3は互いに異なる。
【0190】
前記多色型の感光感熱記録材料を用いて多色画像を形成する場合、後述の露光工程で、各記録層の吸収波長に適合した、波長の異なる複数の光源を用いて画像露光することにより、光源の吸収波長を有する記録層が選択的にそれぞれ潜像を形成するので、高感度に、かつ高鮮鋭に多色画像を得ることができる。更にその後、記録層表面を光照射することにより、層内に残存する有機色素等の着色成分(波長光に対応する吸収成分)を消色することができるため、カブリ濃度が低く、コントラストの高い高画質な画像を形成できる。
以上より、本発明の感光感熱記録材料は、例えば、カラープリンター、ラベル、カラープルーフ、コピア、ファックス、第2原図等の用途に使用できる。
【0191】
次に、本発明の感光感熱記録材料を用いた画像記録方法の各工程について説明する。前記画像形成方法は、既述の通り、露光工程、発色工程、定着工程を少なくとも含んで構成される。
【0192】
前記露光工程では、記録層中の光重合性組成物および該発色成分と反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物が所望の画像形状のパターンに露光されると、該パターン状に硬化し潜像を形成する。
前記露光工程において、画像形成用に用いる光源としては、高感度化、高鮮鋭化の点から、各吸収波長に適合する波長を持つ光源を適宜選択することが好ましく、具体的には、紫外〜赤外領域に波長を持つ公知の光源を、最大吸収波長が300〜1000nmの範囲にある光源の中から適宜選択して使用できる。例えば、装置の簡易小型化、低コスト化を達成しうる点で、青色、緑色、紫色、赤色等のレーザー光源、またはLEDが好適である。
【0193】
前記露光工程を経た後、発色工程を設ける。該発色工程において、記録層面を加熱することにより、記録層中に含まれる発色成分と、発色成分に作用して発色させる前記該発色成分と反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物とが反応して予め形成された潜像の形状に発色し、可視画像を形成する。
【0194】
加熱は、ヒートローラー等の従来公知の方法により行え、一般に、加熱温度は、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。該加熱温度が、80℃未満であると、発色濃度が不十分となることがあり、200℃を超えると、非画像部(地肌部)が着色したり、支持体に損傷を受けたりすることがある。また、加熱時間としては1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。
加熱を施す場合、発色温度未満の所定の温度で、記録材料全面を均一に予熱する過程を設けると、更に高感度化することができる。
【0195】
前記発色工程を経た後、更に定着工程を設ける。該定着工程では、記録層表面の全面を更に特定の光源により光照射することにより、前記発色工程で形成された画像を定着するとともに、記録層中に残存する着色成分(有機色素)による着色を消色する。
前記定着工程を経ることにより、非画像部の白色性を高めることができ、化学的に安定した最終画像を得ることができる。また、発色成分にジアゾニウム塩化合物を用いた場合には、画像形成後の記録層中に残存するジアゾニウム塩化合物をも光照射により失活させることができるため、濃度変動、変色等のない形成画像の保存安定化にも有用である。
【0196】
前記定着工程で使用可能な光源としては、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電型水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、蛍光灯等の幅広い光源を好適に挙げることができる。
【0197】
前記定着工程における光照射の方法としては、特に限定されるものではなく、記録層表面全面を一度に照射する方法でも、スキャニング等により記録面を徐々に光照射し最終的に全面を照射する方法でもよいが、ほぼ均一の照射光を用いて、最終的に画像形成後の記録材料の記録面全体に照射することができる方法であればよい。このように、記録面全体を光照射することが本発明の効果をより効果的に奏する観点から好ましい。
【0198】
前記定着工程における光照射時間としては、形成画像を定着し、非画像部(地肌部)を十分に消色しうる時間照射すればよいが、十分な画像定着性と消色性を得ながら記録速度を低下させない観点から、数秒〜数十分が好ましく、数秒〜数分がより好ましい。
【0199】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に、以下の実施例は記録層が単層形態を示すが、記録層の数や構成をこれに限定するものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0200】
(感光感熱記録材料の作製)
<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>
酢酸エチル18.4部に、マゼンタ発色の下記電子供与性無色染料(a)を8.4部溶解し、カプセル壁材として三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」14部と日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「ミリオネートMR400」0.35部を添加した。
上記で得られた溶液を、5.9%フタル化ゼラチン水溶液70部と10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.34部との混合液中に添加した後、温度30℃で乳化分散し乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に水64部とジエチレントリアミン0.62部を加え、攪拌しながら65℃に加温し3時間経過後、固形分が30%となるように加水して調整を行い、平均粒径0.5μmの電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)を得た。
【0201】
【化22】
【0202】
<光重合性組成物乳化液(B)の調製>
下記有機ホウ素化合物(c)6.0部、下記分光増感色素化合物(d)0.5部、下記化合物(ALI)0.1部、及び下記重合性基を有する電子受容性化合物(e)と(f)夫々50部を酢酸イソプロピル125部に溶解した。得られた溶液を8%ゼラチン水溶液300部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液17部との混合溶液中に添加した後、温度30℃で乳化分散した。次いで、得られた乳化液を40℃にて3時間撹拌し脱溶媒した後、固形分が30%となるように加水して調整を行い、平均粒径0.3μmの光重合性組成物乳化液(B)を得た。
【0203】
【化23】
【0204】
【化24】
【0205】
【化25】
【0206】
【化26】
【0207】
<感光感熱記録層用塗布液(C)の調製>
前記光重合性組成物乳化液(B)18.2部と、前記電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)6.1部と、15%ゼラチン水溶液0.9部とを混合して、感光感熱記録層用塗布液(C)を調製した。
【0208】
<保護層用塗布液(D)の調製>
18%ゼラチン水溶液8.8部と、蒸留水7.0部と、下記2%界面活性剤(1)水溶液0.4部と、下記2%界面活性剤(2)水溶液1.2部と、2%ビニルスルホン系化合物(硬膜剤)水溶液8.8部と、20%ジュリマーAC10LA(日本純薬(株)製のポリアクリル酸)1.8部とを混合し、保護層用塗布液(D)を調製した。
【0209】
【化27】
【0210】
[比較例1]
支持体(レジンコート紙)上に、前記感光感熱記録層用塗布液(C)を乾燥質量が7.4g/m2となるように塗布し乾燥して設け、この上に保護層用塗布液(D)を乾燥質量が1.5g/m2となるよう塗布乾燥して設け、比較例1に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0211】
[実施例1]
比較例1の<光重合性組成物乳化液(B)の調製>において、重合性基を有する電子受容性化合物(e)と(f)の混合物100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を8部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例1に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0212】
[実施例2]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を10部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例2に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0213】
[実施例3]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例3に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0214】
[実施例4]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を50部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例4に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0215】
[実施例5]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を100部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例5に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0216】
[実施例6]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(2)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例6に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0217】
[実施例7]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(4)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例7に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0218】
[実施例8]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(3)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例8に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0219】
[実施例9]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(5)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例9に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0220】
【化28】
【0221】
(画像記録方法)
以上の比較例1及び実施例1〜9で得られた感光感熱記録材料について、以下の様にして画像を形成した。各感光感熱記録材料を保護層側から波長563nmのレーザー光を用いて照射エネルギー5.0mJ/cm2で露光し、地肌部を形成するための各サンプルを作成した。また、レーザー光を照射せずに最大発色濃度部を形成する各サンプルを作成した。
上記露光及び未露光記録材料サンプルを、110℃の熱板で10秒間加熱した後、この記録材料を38000ルックスの蛍光灯照射器上で該記録材料の記録層表面全体を30秒間光照射した。その結果、鮮明にマゼンタ発色した画像部サンプルと白色度の高い地肌部サンプルが得られた。
【0222】
(耐光性の評価試験)
上記で得られた画像記録後のサンプルの最大発色濃度部(O.D.(マゼンタ))及び地肌部濃度(O.D.(イエロー))をマクベス濃度計(ブルーフィルター付き)を用いて測定した。その後、キセノンウェザーメーター(アトラス社の「Ci5000」)を用いて、これら各サンプルに85000ルックスで133時間照射した後、再度、最大発色濃度部(O.D.(M))及び地肌部濃度(O.D.(Y))を測定し、次式により色素残存率と光ステイン(ΔO.D.)を算出した。
色素残存率=(O.D.(M)(照射後))/(O.D.(M)(照射前))
光ステイン=(O.D.(Y)(照射後))−(O.D.(Y)(照射前))
その測定結果を下記の表1に示す。キセノン光照射の前後において、画像部(発色部)ではマゼンタ発色濃度の減少が少なく、地肌部(非発色部)ではイエロー濃度の増加が少ないほど耐光性に優れている。
【0223】
(記録感度の測定)
比較例1及び実施例1〜9の感光感熱記録材料について、キセノン露光機で563nmバンドパスフィルター、ステップウェッジを介して露光し、ベタ2段が得られる露光量(mJ/cm2)を記録感度とした。測定結果を下記表1に示す。この数字が小さい方が高感度であることを示す。
【0224】
【表1】
【0225】
上記表1の評価結果から、ラジカルトラップ剤を含有した本実施例の感光感熱記録材料1〜9では、ラジカルトラップ剤を含有していない比較例の感光感熱材料に較べて、発色部においては発色濃度の減退度が小さく、地肌部においては光ステインの増加が小さく、発色部及び地肌部共に耐光性に優れた感光感熱記録材料を得ることができた。
【0226】
【発明の効果】
本発明によれば、感度を殆ど損なわないで、画像部の耐光性に優れ、特に地肌部白色度の保存安定性を向上させた感光感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像保存性に優れ広汎な用途を有する、紫外〜可視〜赤外波長域の光に対して高感度に記録可能な感光感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、現像液を使用しない、廃棄物の発生のない乾式の画像記録方法が種々検討され、中でも光硬化性組成物を用いる方法が注目されている。この方法は、記録材料中に含まれる、光硬化性組成物を露光により硬化させて潜像を形成し、かつ未露光部に含まれる、加熱により発色若しくは消色反応に作用する成分を移動させることで色画像を形成することを特徴とする。具体的には、光を画像原稿を通して記録材料上に露光し、該露光部を硬化させて潜像を形成した後、この記録材料を加熱して、未硬化部分(未露光部分)に含まれる発色若しくは消色反応に作用する成分を記録材料内で移動させることにより可視画像を形成できる。この方法によれば、廃棄物の発生のない完全乾式システムを実現することができる。該方法は、白黒画像の記録としても特徴的な方法ではあるが、特にカラー画像の記録に有用な方法である。
【0003】
前記方法に使用可能な記録材料として多種類提案されており、2成分型の感光感熱発色記録材料(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。これは例えば、電子受容性化合物および電子供与性の無色染料を2成分として含み、光硬化性組成物をマイクロカプセルの内部若しくは外部、又は双方に含有してなるが、カプセル内に含有する光硬化性組成物を十分に硬化させても、その硬化部における発色を十分に抑制できないために非画像部が着色してコントラストが低下する欠点がある。
【0004】
非画像部に着色のない記録材料としては、酸性基を有するビニルモノマーと光重合開始剤からなる光重合性組成物を含有する層、隔離層および電子供与性の無色染料からなる層を積層した記録材料が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、非画像部、即ち光重合反応により硬化した部分の着色はないが、発色濃度自体がやや低くなるという欠点がある。
【0005】
本出願人は、上記欠点に鑑みて、非画像部の着色を抑制し、かつ高い画像濃度の得られる記録材料(例えば、特許文献3及び4参照。)を提案した。前者は、2成分型感光感熱発色記録材料中の2成分のうち、一方をマイクロカプセルに内包し、他方を光硬化性組成物の硬化性化合物として、或いは、他方を光硬化性組成物と共にマイクロカプセル外部に含有する記録材料であり、後者は、電子供与性の無色色素を内包するマイクロカプセルと、更に該マイクロカプセル外部に、電子受容性化合物、重合性ビニルモノマーおよび光重合開始剤を含む光硬化性組成物とを含有する層を塗設した感光感熱記録材料である。
しかしながら、上述した感光感熱記録材料は、光重合性組成物中の光重合開始剤から発生するラジカルによって画像の光安定性が劣化し、形成された画像が退色したり、非画像部(地肌部)が黄変したりするという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−89915号公報
【特許文献2】
特開昭61−123838号公報
【特許文献3】
特開平3−87827号公報
【特許文献4】
特開平4−211252号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐光性が高く、特に非画像部の白色度の安定性を向上させることができる感光感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に記録層が設けられた記録材料であって、
該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする感光感熱記録材料。
<2> 前記ラジカルトラップ剤が、ハイドロキノン系化合物及び/又はヒンダードフェノール系化合物である上記<1>に記載の感光感熱記録材料。
<3> 前記ラジカルトラップ剤の添加量が、発色成分Aの100質量部に対して10〜500質量部である上記<1>又は<2>に記載の感光感熱記録材料。
<4> 前記ラジカルトラップ剤が、熱応答性マイクロカプセルに内包されている上記<1>〜<3>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<5> 前記光重合性組成物が、重合可能な化合物と光重合開始剤を含有する上記<1>〜<4>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<6> 前記化合物Bが、分子内に更に重合性基を有する化合物である上記<1>〜<5>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<7> 前記記録層の少なくとも一層が、更に、同一分子内に前記発色成分Aと前記化合物Bとの反応を抑制する部位と重合性基とを有する実質的に無色の化合物Cを含有する上記<1>〜<6>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
<8> 前記光重合性組成物が、少なくとも1種の下記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物を含有する上記<1>〜<7>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
【化3】
〔上式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又は、下記一般式(II)で表される基を表す。M+は陽イオンを形成し得る基を表す。〕
【化4】
〔上式(II)中、R5〜R7は、それぞれ独立に脂肪族基又は芳香族基を表す。〕
<9> 前記発色成分Aが電子供与性無色染料である上記<1>〜<8>のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の感光感熱記録材料は、支持体上に1層若しくは2層以上の記録層が設けられた記録材料であって、該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の感光感熱記録材料は、単色或いは多色のいずれの記録材料であってもよく、多色の記録材料とする場合、特定波長以下の光に光感応性を持つ記録層を少なくとも一層設け、該特定波長を超える波長領域に光感応性を持つ記録層を少なくとも一層設けて構成される。更に、中間層や保護層等の他の層を有していてもよく、また中間層は複数層設けられてもよく、保護層は単層および二層以上の積層構造のいずれであってもよい。
【0011】
本発明の感光感熱記録材料の基本的な構成態様としては、特に制限されるものではなく適宜目的に応じて構成することができる。例えば、本発明の感光感熱記録材料を、ポジ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例に示す。尚、以下の説明は簡略化のために、本発明の感光感熱記録材料に含有されるラジカルトラップ剤の存在と作用を省略したものである。
本態様のポジ型の感光感熱記録材料では、画像様に光を照射すると、光照射部の光重合性組成物に含まれるラジカル発生剤からラジカルが発生すると共に重合可能な化合物の重合反応が開始され硬化して、光重合性組成物はその場に固定され、潜像が形成される。この時、記録材料中のマイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、マイクロカプセルに内包される発色成分Aと該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する化合物Bとは接触の機会がなく、記録材料層は非発色状態にある。
【0012】
その後、感光感熱記録材料の全面に熱が供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に変移して非光照射部の化合物Bはマイクロカプセル内に浸透し(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出され)、発色成分Aと化合物Bとが反応して、非光照射部においてのみ発色する。一方、光照射部においては、光重合性組成物が重合反応して硬化し固定された状態にあるため、発色成分A及び化合物Bは共に不動化されて接触する機会を得ず、光照射部では発色しない。その後、更に該感光感熱記録材料を全面露光することにより未重合であった領域も重合し(これを「定着」と言う)、かつ光重合性組成物に含有されている色素成分を消色することができる。
【0013】
また、本発明の感光感熱記録材料は、下記態様(第一および第二の態様)の記録材料であってもよく、その画像形成方法も各態様に応じて適宜選択できる。
即ち、本発明の第一の態様の感光感熱記録材料は、光重合性組成物に含まれる重合可能な化合物が前記化合物B自体である態様である。すなわち、化合物Bは、同一分子内に前記発色成分Aと反応して発色させる部位と重合性基とを有し、記録層は、発色成分Aと化合物Bと光重合性組成物とを少なくとも含有してなる。ここで、上述した基本的態様のポジ型の感光感熱記録材料を例に当てはめると、化合物Bは、既述の通り、発色成分Aを発色させる部位を有すると共に重合性基をも有し、画像様に光照射されると、該化合物Bが重合反応を開始して硬化し、該化合物Bはその場に固定され潜像を形成する。従って、光照射部では、化合物Bは不動化されて発色成分Aと接触する機会がなく、記録層内の光照射部では発色しない。
【0014】
本発明の第二の態様の感光感熱記録材料は、その記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物Bと、同一分子内に重合性基と発色成分Aと化合物Bとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Cと、光重合性組成物と、を含有する態様である。
【0015】
本態様の感光感熱記録材料を、発色成分Aが熱応答性のマイクロカプセルに内包された、ネガ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例として以下に説明する。
本態様のネガ型の感光感熱記録材料においては、前記第一の態様と同様、マイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、発色成分Aと化合物Bとは接触せず、非発色状態にある。この感光感熱記録材料に対して画像様に光を照射すると、光照射部の重合可能な化合物の重合反応が開始し硬化して、重合可能な化合物はその場に固定され潜像が形成される。その後、該感光感熱記録材料の全面に熱が供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に転移して化合物Bはマイクロカプセル内に浸透する(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出される)が、それと同時に、非光照射部では、化合物Cが発色抑制化合物としてマイクロカプセル内に浸透し、発色成分Aと化合物Bとの発色反応は抑制される。従って、非光照射部は非発色状態に維持される。一方、光照射部の化合物C(発色抑制化合物)は、重合反応によりその場に固定されているので、発色成分Aおよび化合物Bの反応には関与せず発色反応が進行し、光照射部においてのみ発色する。その後、前記感光感熱記録材料を全面露光することにより、光重合性組成物に含有される残留色素を消色することができる。
【0016】
本発明の感光感熱記録材料による画像形成に用いる光源としては、青〜赤色の光源や赤外レーザー等を好適に選択することができる。
【0017】
本発明の感光感熱記録材料は、いずれの態様においても、記録層にラジカルトラップ剤を含有し、このラジカルトラップ剤によって、上述の画像形成後における画像部及び地肌部(非画像部)に画像保存性、特に高い耐光性を付与することができる。これは、ラジカルトラップ剤が、光重合開始剤より発生するラジカルの活性を抑止し、ラジカルによる記録層への悪影響を阻止するためであると考えられる。そのため、記録した画像及び非画像部の耐光性を向上させることができ、特に非画像部の白色度の保存安定性を向上させることができる。
【0018】
ラジカルトラップ剤は、熱応答性マイクロカプセルの内部及び外部のいずれに存在させてもよいが、内部に存在させることがより好ましい。熱応答性マイクロカプセルの外部には重合可能な化合物が存在し、ラジカルトラップ剤をカプセル外部に存在させると、該化合物の重合を阻害することがあるからである。
【0019】
以下、本発明の感光感熱記録材料を構成する各成分について詳細に説明する。
(記録層)
本発明の感光感熱記録材料においては、記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B(以下、「発色成分B」ということがある。)、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有してなる。
【0020】
本発明の記録層は、上記各成分を含んで調製された塗布液を塗布し乾燥する等で各層を形成でき、これに、既述のように、各層の感応波長に相当する光を照射して潜像を形成する工程(露光工程)と、加熱により発色成分が潜像に応じて発色し色画像を形成する工程(発色工程)と、該記録層全面を更に光照射して色画像を定着し残留発色成分を消色する工程(定着工程)と、を含む画像記録方法により画像記録することができる。
【0021】
(光重合性組成物)
前記記録層を構成する光重合性組成物は、少なくとも重合可能な化合物と光重合開始剤を含み、必要に応じて有機ホウ素化合物その他を含有する。
<重合可能な化合物>
上記重合可能な化合物は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であり、該重合可能な化合物としては、特に制限はなく、目的や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸誘導体、アクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸誘導体、メタクリル酸およびその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、等が挙げられる。
【0022】
前記重合可能な化合物は、分子内に1個又は2個以上のオレフィン性二重結合を有する化合物であり、低分子量(モノマー性)でも高分子量(オリゴマー性)でもいずれであっても構わない。
上記二重結合を有するモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレートまたはエチルメタクリレート等のアルキル若しくはヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート等が挙げられる。また、シリコンアクリレート類も好適である。
他の例としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルの様なビニルエステル、イソブチルビニルエーテルの様なビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0023】
二個以上の二重結合を有するモノマーの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAなどのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0024】
比較的高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物の例としては、(メタ)アクリル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリル基を有するポリエステル、ビニルエーテルまたはエポキシ基を含むポリエステル、ポリウレタンおよびポリエーテルが挙げられる。更に、不飽和オリゴマーの例として、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常マレイン酸、フタル酸および1種またはそれ以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有するものが挙げられる。加えて、ビニルエーテルモノマーおよびオリゴマー、およびポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテルおよびエポキシ主鎖を有するマレート終末されたオリゴマーを用いることも可能である。特に適したものは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーと国際公開WO90/01512に記載のポリマーの組み合わせである。また、ビニルエーテルおよびマレイン酸官能化されたモノマーのコポリマーもまた適している。この種の不飽和オリゴマーはプレポリマーとして属することもできる。
【0025】
特に適した例としては、エチレン性不飽和カルボン酸およびポリオールまたはポリエポキシドのエステル、並びに主鎖または側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタン並びにそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエンおよびブタジエンコポリマー、ポリイソプレンおよびイソプレンコポリマー、側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマーおよびコポリマー、並びに、1種またはそれ以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0026】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、およびリノール酸またはオレイン酸のような不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0027】
適したポリオールとしては、芳香族並びに、特に脂肪族および環式脂肪族ポリオールである。芳香族ポリオールの例としては、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラックおよびレゾルシンが挙げられる。ポリエポキシドの例としては、上記ポリオール、特に芳香族ポリオール、およびエピクロロヒドリンをベースとするものである。他の適したポリオールとしては、ポリマー鎖または側鎖においてヒドロキシル基を含むポリマーおよびコポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコールおよびそれらのコポリマーまたはポリヒドロキシアルキルメタアクリレートまたはそれらのコポリマーである。適した更なるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0028】
脂肪族および環式脂肪族ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールである。
【0029】
ポリオールは、1種のカルボン酸でまたは異なる不飽和カルボン酸で部分的にまたは完全にエステル化されることができ、そして部分エステルにおいて遊離ヒドロキシル基は変性されることができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化またはエステル化され得る。
【0030】
エステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
【0031】
トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールジアクリレートおよびトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
また、前記重合可能な化合物として適したものは、同一のまたは異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、環式脂肪族および脂肪族ポリアミンとのアミドである。
そのようなポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−または1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−または1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−またはジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他、好ましくは側鎖においてさらなるアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、およびアミノ末端基を有するオリゴアミドが好適である。そのような不飽和アミドの例はメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドなどである。
【0033】
適した不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えば、マレイン酸から、およびジオール若しくはジアミンから誘導される。マレイン酸のいくつかは他のジカルボン酸に置き換えることができる。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用されることができる。ポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸から、エチレン性不飽和ジオールまたはジアミンから、特に相対的に長鎖、例えば、6〜20個の炭素原子を有するものから誘導され得る。ポリウレタンの例としては、飽和または不飽和ジイソシアネートおよび不飽和、またはそれぞれ飽和のジオールから構成されるものが挙げられる。
【0034】
ポリブタジエンおよびポリイソプレン並びにそれらのコポリマーは既知である。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテンおよびヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレンまたは塩化ビニルである。側鎖において(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に既知である。例えば、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物として得ることができ、またはビニルアルコール若しくは(メタ)アクリル酸とエステル化されたそのヒドロキシアルキル誘導体とのホモ−若しくはコポリマーであることができ、またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−若しくはコポリマーであり得る。
【0035】
前記重合可能な化合物は、光重合性組成物の用途に応じて、その構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば、光重合性組成物を記録材料に利用する場合は、画像部を構成する発色成分の発色反応を促進する部位や、逆に発色反応を抑制する部位を有していてもよい。これらの例については後述する。
【0036】
前記重合可能な化合物は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記重合可能な化合物の総含有量としては、光重合性組成物の全固形分の30〜99.9質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。該含有量が30質量%未満であると、露光工程で明確な潜像を形成することができないことがあり、一方99.9質量%を超えると、記録感度の著しい低下を招くことがある。
【0037】
<光重合開始剤>
本発明の光重合開始剤は、波長300〜1000nmに最大吸収を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物とを含有する。単一の化合物で、分光増感化合物と該分光増感化合物と相互作用する化合物とを兼ねたものでもよい。波長300〜1000nmに最大吸収を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。
感光感熱記録材料の感度を上げるには、用いる光源から照射される光の波長が、その最大吸収波長と一致するか近傍になるように分光増感色素が選択される。
【0038】
本発明の上記分光増感色素としては、「Research Disclosure,<200>,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(頁160〜163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)、特開平3−87827号公報、同4−211252号公報等に記載された公知の化合物を使用することができる。
【0039】
具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
【0040】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、頁393〜416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
【0041】
また、クマリン(ケトクマリンまたはスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も、本発明の分光増感色素として使用できる。
【0042】
上記の分光増感色素を適宜選択することにより、本発明の感光感熱記録材料に用いる光重合開始剤の分光感度を、紫外から赤外領域に得ることができる。
上記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。分光増感色素は、感光感熱記録層の総質量(固形分)に対し、0.1〜5質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5〜2質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0043】
前記分光増感化合物と相互作用する化合物とは、前記化合物B中の重合性基又は前記化合物C中の重合性基の重合を開始し得る化合物であり、このような化合物を上記の分光増感化合物と共存させることにより、本発明の感光感熱記録材料はその分光吸収波長領域の露光光源に効率よく感応するため、高感度化が図られ、かつ紫外から赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
【0044】
このような分光増感化合物と相互作用する化合物としては、有機ホウ素化合物、特開平3−87827号公報、同4−211252号公報、特願2000−199952号公報の段落[0145]〜[0151]に記載の化合物等が挙げられる。
【0045】
<有機ホウ素化合物>
前記有機ホウ素化合物としては、下記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物を使用することが好ましい。該一般式(I)で表される化合物を使用することにより、該化合物の吸収波長領域の光に敏感に感応し、露光領域に局所的かつ高効率にラジカルを発生させることができる。
【0046】
【化5】
〔上式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又は一般式(II)で表される基を表す。M+は陽イオンを形成し得る基を表す。〕
【0047】
一般式(I)中、R1〜R4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基を表す。
前記R1〜R4が脂肪族基を表す場合、該脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、または置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、または置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
【0048】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。また、該アルキル基は、置換基を有する置換アルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよく、置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキル基の場合と同様である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0049】
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基;
【0050】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のM+等が挙げられる。
【0051】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。
前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0052】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有するアルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。
置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0053】
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有するアラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。
置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0054】
前記R1〜R4が芳香族基を表す場合、該芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0055】
前記R1〜R4が複素環基を表す場合、該複素環基としては、置換基を有する複素環基、無置換の複素環基が挙げられる。置換基を有する複素環基の置換基としては、前記R1〜R4が置換アリール基を表す場合に例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
中でも、R1〜R4が表す複素環基としては、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環等の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含む複素環基が好ましい。
【0056】
また、前記R1〜R4は、下記一般式(II)で表される基であってもよい。一般式(II)中、R5〜R7は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基を表す。該脂肪族基、芳香族基は、前記R1〜R4が表す前記脂肪族基、芳香族基と各々同義であり、好ましい例も同様である。
【0057】
【化6】
【0058】
前記一般式(I)中、R1〜R4の内の2以上が直接または置換基を介して連結し、環を形成していてもよい。環を形成している場合、該環としては、下記の(C1)〜(C3)の環より選ばれるいずれかの環が好ましく、中でも、(C2)の環が好ましい。
【0059】
【化7】
【0060】
前記(C1)における環において、Rbは、以下に示す2価の基を表す。
【化8】
【0061】
前記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物の中でも、そのR1〜R4の少なくとも1つがアルキル基であるものが好ましく、高感度化と保存性の向上の観点から、1つがアルキル基であり、他の3つがアリール基であるトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が更に好ましい。
特に、アリール基に電子吸引性基が置換したトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が好ましく、中でも、3つのアリール基上の置換基(電子吸引性基)のHammet(σ)値の合計が+0.36〜+2.58のものが最も好ましい。
前記電子吸引性基としては、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基が好ましく、特にフッ素原子、塩素原子がより好ましい。
【0062】
電子吸引性基が置換したアリール基としては、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、5−フルオロ−2−メチルフェニル基、5−フルオロ−4−メチルフェニル基、5−クロロ−2−メチルフェニル基、5−クロロ−4−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0063】
前記一般式(I)のアニオン部としては、例えば、テトラメチルボレート、テトラエチルボレート、テトラブチルボレート、トリイソブチルメチルボレート、ジ−n−ブチル−ジ−t−ブチルボレート、トリ−m−クロロフェニル−n−ヘキシルボレート、トリフェニルメチルボレート、トリフェニルエチルボレート、トリフェニルプロピルボレート、トリフェニル−n−ブチルボレート、トリメシチルブチルボレート、トリトリルイソプロピルボレート、トリフェニルベンジルボレート、テトラ−m−フルオロベンジルボレート、トリフェニルフェネチルボレート、トリフェニル−p−クロロベンジルボレート、トリフェニルエテニルブチルボレート、ジ(α−ナフチル)−ジプロピルボレート、トリフェニルシリルトリフェニルボレート、トリトルイルシリルトリフェニルボレート、トリ−n−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ボレート、ジフェニルジヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルヘキシルボレート、トリ(5−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルシクロヘキシルボレート、トリ−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)ヘキシルボレート等が挙げられる。
【0064】
前記一般式(I)中、M+は陽イオンを形成し得る基を表す。中でも、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)または金属カチオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+、1/2Ca2+等)が好ましい。
前記有機カチオン性化合物としては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、色素カチオン等が挙げられる。
【0065】
前記4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)等が挙げられる。前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アルキルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベンゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホスホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン)等が挙げられる。
【0066】
更に、前記M+の具体的な例として、特開平9−188686号公報の段落[0020]〜[0038]に記載の化合物等も挙げることができる。
【0067】
上記に例示した各カチオン性化合物(例示化合物)において、そのアルキル基としては、炭素数が1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の無置換アルキル基や、R1〜R4が表す前記置換アルキル基が好ましい。中でも特に、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
また、上記に例示した各カチオン性化合物において、そのアリール基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子)置換フェニル基、アルキル(例えば、メチル基)置換フェニル基、アルコキシ(例えば、メトキシ基)置換フェニル基が好ましい。
【0068】
前記一般式(I)で表される有機ホウ素化合物の具体例としては、米国特許第3,567,453号明細書、同4,343,891号明細書、特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開平9−188684号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報、特公平8−9643号公報、特開平11−269210号公報に記載されている化合物、および以下に例示する化合物が挙げられる。有機ホウ素化合物は、後述のラジカル発生剤と併用してもよい。但し、本発明に用いられる前記有機ホウ素化合物は、これに限定されるものではない。
【0069】
【化9】
【0070】
【化10】
【0071】
【化11】
【0072】
【化12】
【0073】
【化13】
【0074】
光重合性組成物において、有機ホウ素化合物の含有量としては、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。但し、好ましい範囲は、併用する「重合可能な化合物」の種類に応じて変動するので、これに限定されるものではない。
【0075】
記録層の一層における、光重合性組成物の塗布量としては、1〜30g/m2が好ましく、2〜10g/m2がより好ましい。該塗布量が1g/m2未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、30g/m2を超えると、塗布適性が悪化することがある。
【0076】
(発色成分)
続いて、本発明の感光感熱記録材料の記録層に含有される発色成分について、詳細に説明する。
本発明の感光感熱記録材料においては、記録層は発色源として前記発色成分Aと前記化合物B(発色成分B)とを含有する。
画像部を構成する発色源としての発色成分Aと発色成分Bとの組み合わせとしては、下記(a)〜(s)の組み合わせが挙げられる。尚、下記組み合わせは、発色成分A、発色成分Bの順に示した。
【0077】
(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ。
(b)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組み合わせ。
(c)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組み合わせ。
(d)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組み合わせ。
(e)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物との組み合わせ、または前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組み合わせ。
【0078】
(f)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組み合わせ。
(g)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(h)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組み合わせ。
(i)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組み合わせ。
(j)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組み合わせ。
【0079】
(k)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組み合わせ。
(l)レゾルシンとニトロソ化合物との組み合わせのようなオキサジン染料を形成するもの。
(m)ホルマザン化合物と還元剤および/または金属塩との組み合わせ。
(n)保護された色素(またはロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組み合わせ。
(o)酸化型発色剤と酸化剤との組み合わせ。
(p)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組み合わせ。(フタロシアニンが生成する組み合わせ。)
(q)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組み合わせ(着色顔料が生成する組み合わせ)。
(r)顔料プレカーサーと酸または塩基との組み合わせ(顔料が形成する組み合わせ)。
(s)パラフェニレンジアミン誘導体またはパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組み合わせ。
【0080】
前記発色源としての二成分の組み合わせとしては、(a)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ、(b)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組み合わせ、(n)保護された色素(またはロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組み合わせ、及び(s)パラフェニレンジアミン誘導体又はパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組み合わせが好ましい。
【0081】
発色成分Aとして電子供与性無色染料前駆体を用いる場合、該電子供与性無色染料前駆体としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0082】
前記フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書および同第3,509,174号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジプロピルアミノ−2−アセチルアミノフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−3−(2−メチル−1−ペンチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が挙げられる。
【0083】
前記フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3959,571号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソプチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0084】
前記チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0085】
前記スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号明細書に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0086】
前記ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書に記載の化合物が挙げられる。
前記フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号明細書等に記載の化合物が挙げられる。
【0087】
シアン、マゼンタ、イエローを発色する色素前駆体としては、米国特許第4,800,149号明細書等に記載の各色素前駆体を使用することができる。
更に、イエロー発色色素用電子供与性染料前駆体としては、米国特許第4,800,148号明細書、同5126233号明細書、特公平7−88105号公報等に記載の染料前駆体も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性染料前駆体としては、特開平63−53542号公報等に記載の染料前駆体も使用することができる。
【0088】
前記電子供与性染料前駆体を用いる場合、該電子供与性染料前駆体を発色させる発色成分Bとして電子受容性化合物を用いる。
前記電子受容性化合物としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等の電子受容性化合物が挙げられる。具体的には、特公昭40−9309号公報、特公昭45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、特開昭48−51510号公報、特開昭57−210886号公報、特開昭58−87089号公報、特開昭59−11286号公報、特開昭60−176795号公報、特開昭61−95988号公報等に記載されている。
【0089】
上記の内、例えばフェノール誘導体としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロピルオキシフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
【0090】
上記の内、例えばサリチル酸誘導体としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、およびこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅塩等を挙げることができる。
【0091】
前記第一の態様の感光感熱記録材料では、発色成分Bが重合性基を有する化合物としても機能するものである。従って、第一の態様の感光感熱記録材料の重合可能な化合物の少なくとも一つは電子受容性化合物であって、その分子内には電子受容性基とエチレン性不飽和結合(以下、「重合性基」という。)とを含む。
この場合の発色成分Bとしては、例えば、特開平4−226455号公報に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号公報、同60−141587号公報、同62−99190号公報に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号明細書に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号公報、同62−16708号公報に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号公報に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
【0092】
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸誘導体が好ましい。
【0093】
【化14】
【0094】
前記式中、Xはハロゲン原子を表し、中でも塩素原子が好ましい。Yは重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でもビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基が更に好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
【0095】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル;
【0096】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0097】
更には、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール;
【0098】
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸;
【0099】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸;
【0100】
3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、およびこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0101】
発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、発色成分Bとして電子受容性化合物を使用する場合、記録層中における、前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜3g/m2がより好ましい。
また、前記電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、感度の低下や塗布適性の劣化を生じることがある。
【0102】
一方、発色成分Aとして、ジアゾ化合物を用いる場合には、下記式で表される化合物を用いることが好ましい。
Ar−N2 +・Y−
〔上式中、Arは芳香族環基を表し、Y−は酸アニオンを表す。〕
【0103】
上式において、Arは、置換または無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0104】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基;
【0105】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0106】
また、これらの基は、更に、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0107】
発色成分Aとして、好適に使用し得るジアゾ化合物としては、例えば、特開平7−276808号公報の第44段落欄〜第49段落欄に例示されるジアゾ化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに化合物に限定されるものではない。
【0108】
ジアゾ化合物の最大吸収波長λmaxとしては、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、ジアゾ化合物は、炭素原子数が12以上であって、水に対する溶解度が1%以下であり、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。
尚、発色成分Aとしてのジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし色相調整等の諸目的に応じて2種以上を併用してもよい。
【0109】
前記ジアゾ化合物を使用する場合、発色成分Bとしては、カプラー化合物(重合性基を有しない)若しくは重合性基を有するカプラー化合物を用いる。
前記両カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することも可能である。
前記重合性基を有するカプラー化合物の具体例としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体などが挙げられる。これらは、本発明の目的に合致する範囲で適宜に選択して使用できる。
【0110】
前記重合性基を有するカプラー化合物におけるカプラー骨格化合物(カプラー)としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体等のカプラーを用いるのが好ましい。具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール;
【0111】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸;
【0112】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0113】
カプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特開平5−278608号公報、特開平5−297024号公報、特開平6−18669号公報、特開平6−18670号公報、特開平7−316280号公報、特開平9−216468号公報、特開平9−216469号公報、特開平9−319025号公報、特開平10−035113号公報、特開平10−193801号公報、特開平10−264532号公報等に記載されたものも参照できる。
【0114】
カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
【0115】
以下に、重合性基を有するカプラーの具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0116】
【化15】
【0117】
【化16】
【0118】
【化17】
【0119】
【化18】
【0120】
【化19】
【0121】
【化20】
【0122】
【化21】
【0123】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記重合性基を有するカプラー化合物において、カプラー骨格化合物として列挙した化合物が挙げられる。
【0124】
発色成分Aとしてジアゾ化合物を、発色成分Bとしてカプラーを使用する場合、記録層中における前記ジアゾ化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、0.05〜3.0g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.02g/m2未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、5.0g/m2を超えると、塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0125】
また、前記カプラー化合物の使用量としては、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、塗布適性が劣化することがある。
【0126】
発色成分Bとして用いるカプラー化合物は、その他の成分と共に水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。ここで、固体分散または乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。これらの方法の詳細については、特開昭59−190886号公報、特開平2−141279号公報、特開平7−17145号公報に記載されている。
【0127】
ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン;
【0128】
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
【0129】
これらの有機塩基は、単独で用いてよいし2種以上併用して用いてもよい。
これらは、特開昭57−123086号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−94381号公報、特開平9−71048号公報、特開平9−77729号公報、特開平9−77737号公報等に記載されている。
【0130】
前記有機塩基を用いる場合、有機塩基として、重合性基を有する有機塩基を使用してもよい。
前記第一の態様の感光感熱記録材料に、重合性基を有する有機塩基を使用する場合は、発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーとを共にマイクロカプセル内に含有させ、重合性基を有する有機塩基を前記発色成分Bとして機能させることもできる。発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーをマイクロカプセルに内包させる場合は、ジアゾ化合物とカプラーとを、塩基が存在しないと発色反応が起こらない組み合わせで使用する。
また、前記第一の態様の感光感熱記録材料において、前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を使用し、前記発色成分Bとして、重合性基を有するカプラーと重合性基を有する有機塩基とを併用することも可能である。
【0131】
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾ化合物1モルに対して、1〜30モルの範囲で使用することが好ましい。
更に、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
【0132】
次に、第二の態様の感光感熱記録材料で用いる重合可能な化合物について説明する。
前記第二の態様の感光感熱記録材料では、その記録層に、重合可能な化合物として、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bとの反応を抑制する部位と、重合性基とを同一分子内に有する化合物C(以下、「重合可能な発色抑制化合物」ということがある。)を含有する。
前記発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、前記発色成分Bとして重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合、化合物Cとしては、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応を抑制する部位と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD1」という場合がある。)を用いるのが好ましい。
【0133】
前記光重合性モノマーD1としては、具体的には、アクリル酸およびその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0134】
中でも、分子内に複数のビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレートまたはメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレートまたはメタクリレート末端ポリエステル等が好ましい。
上記のうち、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレートまたはジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0135】
前記光重合性モノマーD1としては、その分子量が約100〜約5000のものが好ましく、約300〜約2000のものがより好ましい。
【0136】
化合物Cとして、上記光重合性モノマーD1を用いる場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組み合わせて使用される電子供与性化合物1質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像を形成することができないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0137】
前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を、前記発色成分Bとして重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合、化合物Cとしては、ジアゾ化合物とカプラー化合物とのカップリング反応を抑制する酸性基と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD2」ということがある。)を用いるのが好ましい。
【0138】
前記光重合性モノマーD2としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸;
【0139】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート;
【0140】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸等が好適に挙げられる。
【0141】
化合物Cとして、前記光重合性モノマーD2を使用する場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組み合わせて用いられるカプラー化合物1質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像が形成できないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0142】
(ラジカルトラップ剤)
本発明の感光感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又、定着後の地肌部分の光による黄変を抑止する目的で、以下に述べるラジカルトラップ剤を用いる。
本発明に用いられるラジカルトラップ剤は、生成したラジカル(遊離基)を捕捉(トラップ)或いは該ラジカルと反応して、該ラジカルの反応活性を抑制或いは喪失させる化合物であり、例えば、1)それ自身安定な遊離基(ラジカル)であるもの、2)ラジカルと容易に反応して安定な遊離基を生じるもの、等が挙げられる。これらのラジカルトラップ剤の中でも、記録画像の耐光性改善の効果が顕著なことより、少なくとも1種のハイドロキノン系化合物及び/又はヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
【0143】
本発明で用いられる前記ハイドロキノン系化合物としては、1,4−ジオキシベンゼン骨格に、脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するハイドロキノン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、記録画像の耐光性改善の効果が顕著なことより、ハイドロキノンの水酸基の隣位にtert−炭素で置換された脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するハイドロキノンの置換誘導体が好ましい。
【0144】
本発明で用いられる前記ヒンダードフェノール系化合物としては、フェノール骨格の2−位又は/6−位に、脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するフェノール誘導体等が挙げられる。これらの中でも、記録画像の耐光性改善の効果の観点より、フェノールの水酸基の隣位にtert−炭素で置換された脂肪族基(該脂肪族基は、芳香族環基で置換されていてもよい。)を有するフェノールの置換誘導体が好ましい。
【0145】
前記ハイドロキノン系化合物の具体例としては、後述する実施例で使用する化合物の他に、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2、3−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン等が挙げられる。
【0146】
前記ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、後述する実施例で使用する化合物の他に、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフエノ−ル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノ−ル、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
【0147】
また、耐光性改良剤、画像安定剤若しくは酸化防止剤として市販されているヒンダードフェノール系化合物も、本発明の感光感熱記録材料に使用できる。このような市販のヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、旭電化工業(株)製の商品名「アデカスタブA020、A030、A050、A080」、日本チバガイギー(株)製の商品名「イルガノックスE201、イルガノックス1035FF、チヌビン144」等が挙げられる。
【0148】
上述したラジカルトラップ剤は1種単独でも2種以上を併用することもできる。これらのラジカルトラップ剤の添加量は、記録画像の耐光性を過不足なく向上させるために、記録層内の発色成分Aの100質量部に対して10〜500質量部の割合であることが好ましい。ラジカルトラップ剤の添加量がこの範囲内にあれば、感光感熱記録の際に重合感度を殆ど損なわないで、記録された画像及び地肌の保存安定性、特に耐光性を一層向上できる。該添加量は、10〜400質量部の割合であれば更に好ましく、特に30〜300質量部の割合であれば一層好ましい。
【0149】
尚、本発明の感光感熱記録材料においては、前記ラジカルトラップ剤は熱応答性マイクロカプセルの外部に配合して使用することもできるが、感光感熱記録の際に重合感度を出来るだけ阻害することがないように、発色成分Aと同じく熱応答性マイクロカプセルに内包して使用する方が好ましい。露光後に加熱することで、カプセルに内包されていたラジカルトラップ剤が記録層内に万篇なく均一に拡散するので、得られた記録画像の全面に亙り耐光性を向上できる。
【0150】
(マイクロカプセル)
本発明の感光感熱記録材料では、発色成分(例えば電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物)と、必要に応じてラジカルトラップ剤とをマイクロカプセルに内包して使用する。マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、米国特許第2800457号明細書、同28000458号明細書に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、英国特許第990443号明細書、特公昭38−19574号明細書、同42−446号明細書、同42−771号明細書等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号明細書、同3660304号明細書に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、同4087376号明細書、同4089802号明細書に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号明細書に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号公報に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号明細書、同965074号明細書に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号明細書、英国特許第930422号明細書に記載のスプレードライング法等が挙げられる。
【0151】
マイクロカプセル化する方法はこれらに限定されるものではないが、本発明の感光感熱記録材料においては、特に、発色成分、ヒンダードアミン系光安定化剤をカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
即ち、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた感光感熱記録材料とすることができる。
【0152】
高分子物質を形成するリアクタントは、油滴内部および/または油滴外部に添加される。高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。上記の高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0153】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0154】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート、およびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)またはカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0155】
前記多価イソシアネート、およびそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号明細書、同3773695号明細書、同3793268号明細書、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報に記載されているものを使用することができる。
【0156】
本発明において、発色成分、ヒンダードアミン系光安定化剤を含有するマイクロカプセルを調製する際、内包する発色成分(例えば、電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物)は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分をカプセル中に溶液状態で内包させる場合、例えば、電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよく、この場合、有機溶媒の使用量としては、発色成分100質量部に対して、1〜500質量部が好ましい。
【0157】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点有機溶剤の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が挙げられる。具体的には、特開昭59−178451号公報〜同59−178455号公報、同59−178457号公報、同60−242094号公報、同63−85633号公報、特開平6−194825号公報、同7−13310号公報〜同7−13311号公報、同9−106039号公報および特開昭63−45084号公報に記載の有機溶剤が挙げられる。
また、カプセル化の際には、前記有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
【0158】
また、カプセル化しようとする電子供与性無色染料またはジアゾニウム塩化合物の前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。この低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0159】
一方、用いる水相には、保護コロイドとして水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに上記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散をおこなうが、該水溶性高分子は分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は周知の乳化用界面活性剤が使用可能である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相(質量)に対して0.1〜5質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。
【0160】
また、水相に含有させる界面活性剤は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを好適に選択して使用することができる。
好ましい界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0161】
上述したように、油相を混合する水相に保護コロイドとして含有させる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
【0162】
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2−基等を有するものが挙げられる。
具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体および共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体および共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0163】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。これらのうち、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記水溶性高分子は0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
【0164】
カプセル化に用いられる、発色成分をはじめとする全ての成分は、例えば、水溶性高分子およびその他の発色助剤等と共に、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め発色成分等の油相成分を水に難溶性または不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後(油相)、これを界面活性剤および/または保護コロイドとして水溶性高分子を含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることがより好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることもできる。
更に、上記の発色成分をはじめとする全ての成分は、それぞれ別々に乳化分散することも、予め混合してから高沸点溶媒に溶解し乳化分散することも可能である。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0165】
乳化分散は、例えば高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段や、例えばホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易におこなうことができる。
乳化分散後は、カプセル壁形成反応を促進させるために、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌をおこなう等の必要がある。
【0166】
また、反応中に改めて凝集防止用の分散物を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的の色素を内包したマイクロカプセルを得ることができる。
【0167】
本発明の感光感熱記録材料に用いるマイクロカプセルの平均粒子径は、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から5μm以下であることがより好ましい。形成したマイクロカプセルの径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となるため、上記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0168】
<他の記録層>
他の記録層は、所定の波長領域に光感応性を有するように調製された塗布液を塗布等して形成できる。
【0169】
<その他>
これらの記録層は、前記成分の他、更に塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止等の種々の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等のポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0170】
また、必要に応じて他の添加剤として、例えば、染料、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光増白剤、マット剤、塗布助剤、硬化剤、帯電防止剤、滑り性改良剤等を添加することもできる。
前記各添加剤の代表例は、「Research Disclosure,Vol.176」(1978年12月、Item 17643)および「同Vol.187」(1979年11月、Item 18716)に記載がある。
【0171】
前記記録層、および後述の中間層、保護層等の各層には、必要に応じて硬化剤を併用してもよい。特に、保護層に硬化剤を併用し、保護層の粘着性を低減することが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号明細書等に記載の、反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号明細書等に記載の、反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号明細書等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号明細書等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号明細書や米国特許第3687707号明細書に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号明細書に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号明細書に記載のケトビニル類等が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も挙げられる。
【0172】
中でも、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物が好ましい。
前記硬化剤は、後記バインダーの使用量に対して、0.5〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0173】
(中間層)
各単色の記録層間には、中間層を設けることができる。中間層は、主にバインダーから構成され、必要に応じて、硬化剤やポリマーラテックス、フィルタ色素、雲母、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することができる。
【0174】
前記バインダーとしては、約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000の分子量を有するポリマーが望ましい。例えば、アクリレートおよびメタクリレートのホモ若しくはコポリマー(例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)等)、セルロースエステルまたはセルロールエーテル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ポリビニルブチラル、ポリビニルホルマル、環化ゴム、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)等)、ポリアミド、ポリウレアなどが挙げられる。
【0175】
また、ゼラチン類、(変性)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子も挙げられる。更に、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス等のラテックス類を用いてもよい。
【0176】
不飽和化合物も、非光重合性フィルム形成成分との混合物として使用でき、例えば、物理的に乾燥したポリマー、または有機溶媒中のポリマー溶液であって、例えば、ニトロセルロース、またはセルロースアセトブチレートが挙げられる。しかし、それらは化学的に、および/または、熱的に硬化性(熱硬化性)樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、メラミン樹脂、並びに、ポリイミド前駆体であってもよい。同時に熱硬化性樹脂を使用することは、第一段階において光重合されそして第二段階において熱後処理によって架橋されるハイブリッド系として既知である系における使用のために重要である。
【0177】
また、バインダーとして、発色成分をカプセル化する際の水相に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましい。
これらのバインダーは、下記保護層、前記記録層等に使用できる。
【0178】
また、該記録層中の有効成分が層間拡散することを防止する目的で、雲母、合成雲母(例えば、スズライト40H,エムアールアイ(MRI)社製等)などを含有させることが好ましい。前記フィルタ色素の添加は、高鮮鋭な画像を形成しうる点で好ましく、既述の有機色素から選択できるが、各中間層上層の光吸収波長を持つ化合物を適宜選択することが好ましい。
【0179】
前記中間層の層厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。
【0180】
(保護層)
本発明の感光感熱記録材料には、必要に応じて保護層を設けることもできる。
該保護層は、照射光の入射側である最外層に設けられるのが好ましい。
【0181】
前記保護層に用いる材料としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、およびスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等のラテックス類などが挙げられる。
【0182】
前記保護層に用いる前記材料を架橋することにより、保存安定性をより一層向上させることもできる。この場合、前記架橋に用いる架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0183】
前記保護層には、更に公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤等を加えてもよく、公知のUV吸収剤やUV吸収剤プレカーサーを加えることもできる。前記保護層の塗布量としては、0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜3g/m2がより好ましい。
【0184】
(支持体)
前記支持体としては、例えば、紙、コーティツドペーパー、ラミネート紙等の合成紙;ポリエチレンテレフタレートフイルム、3酢酸セルロースフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリカーボネートフイルム等のフイルム;アルミニウム、亜鉛、銅等の金属板;または、これらの支持体表面に表面処理、下塗、金属蒸着処理等の各種処理を施したもの等が挙げられる。
更に、「Research Disclosure,Vol.200」(1980年12月、Item 20036 XVII項)の支持体も挙げることができる。これらの支持体には蛍光増白剤、青み付け染料、顔料等を含有させることもできる。また、支持体自体が弾性を有するポリウレタンフォームやゴム等のシートを用いることもできる。
更に、必要に応じて、用いる支持体の表面にはアンチハレーション層を、裏面にはスベリ層、アンチスタチック層、カール防止層、粘着剤層等を設けることができる。また、支持体と記録層との間に接着層を設けて、用いた支持体を剥離紙として使用するシール状の態様に構成することもできる。
【0185】
支持体と記録層との間、或いは、透明支持体の場合は、支持体の記録層を設けられていない側の表面に、上記アンチハレーション層を設ける場合には、光照射または熱によって漂白可能なアンチハレーション層を設けることができる。
光照射して漂白可能な層とする場合には、例えば、有機色素と有機ホウ素化合物とを組み合わせたものを利用することができ、熱によって漂白可能な層とする場合には、例えば、熱によって塩基または求核剤が発生し、共存する有機色素を漂白しうるような構成が利用できる。
【0186】
前記支持体と記録層の間には、酸素透過性の低い、ゼラチン、ボリビニルアルコール(PVA)等のポリマーを含有してなる層を設けることもでき、該層を設けることによって、形成画像の光酸化に起因する退色を効果的に防止することができる。
【0187】
(感光感熱記録材料の作製)
本発明の感光感熱記録材料は、記録層、保護層、中間層形成用の塗布液に前記各成分を必要に応じて溶媒中に溶解する等の手段により調製した後、支持体上に公知の塗布方法により塗布、乾燥することで作製できる。前記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、メチルセロソルプ、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル;トルエン;キシレン等の単独物、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。中でも、水が特に好ましい。
【0188】
前記公知の塗布方法としては、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いた方法が挙げられる。
また、塗布は、「Research Disclosurc,Vol.200」(1980年12月,Item 20036 XV項)を参考に行える。
【0189】
多色型の感光感熱記録材料は、例えば、以下のようにして構成できる。
イエロー発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、光源の中心波長λ1に感光する光重合性組成物とを含有した第1の記録層を支持体上に設け、該層上に、マゼンタ発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、中心波長λ2に感光する光重合性組成物とを含有した第2の記録層を設け、更にその層上に、シアン発色する発色成分を含有するマイクロカプセルと、波長λ3に感光する光重合性組成物とを含有した第3の記録層を設けることにより構成できる。本発明においては、前記第1〜第3の記録層の少なくとも一層を既述の第一の態様または第二の態様で構成する。また、必要に応じて、最外層上に保護層を設けたり、各記録層間に中間層を設けたりすることもできる。尚、それぞれの光源の中心波長λ1、λ2、λ3は互いに異なる。
【0190】
前記多色型の感光感熱記録材料を用いて多色画像を形成する場合、後述の露光工程で、各記録層の吸収波長に適合した、波長の異なる複数の光源を用いて画像露光することにより、光源の吸収波長を有する記録層が選択的にそれぞれ潜像を形成するので、高感度に、かつ高鮮鋭に多色画像を得ることができる。更にその後、記録層表面を光照射することにより、層内に残存する有機色素等の着色成分(波長光に対応する吸収成分)を消色することができるため、カブリ濃度が低く、コントラストの高い高画質な画像を形成できる。
以上より、本発明の感光感熱記録材料は、例えば、カラープリンター、ラベル、カラープルーフ、コピア、ファックス、第2原図等の用途に使用できる。
【0191】
次に、本発明の感光感熱記録材料を用いた画像記録方法の各工程について説明する。前記画像形成方法は、既述の通り、露光工程、発色工程、定着工程を少なくとも含んで構成される。
【0192】
前記露光工程では、記録層中の光重合性組成物および該発色成分と反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物が所望の画像形状のパターンに露光されると、該パターン状に硬化し潜像を形成する。
前記露光工程において、画像形成用に用いる光源としては、高感度化、高鮮鋭化の点から、各吸収波長に適合する波長を持つ光源を適宜選択することが好ましく、具体的には、紫外〜赤外領域に波長を持つ公知の光源を、最大吸収波長が300〜1000nmの範囲にある光源の中から適宜選択して使用できる。例えば、装置の簡易小型化、低コスト化を達成しうる点で、青色、緑色、紫色、赤色等のレーザー光源、またはLEDが好適である。
【0193】
前記露光工程を経た後、発色工程を設ける。該発色工程において、記録層面を加熱することにより、記録層中に含まれる発色成分と、発色成分に作用して発色させる前記該発色成分と反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物とが反応して予め形成された潜像の形状に発色し、可視画像を形成する。
【0194】
加熱は、ヒートローラー等の従来公知の方法により行え、一般に、加熱温度は、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。該加熱温度が、80℃未満であると、発色濃度が不十分となることがあり、200℃を超えると、非画像部(地肌部)が着色したり、支持体に損傷を受けたりすることがある。また、加熱時間としては1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。
加熱を施す場合、発色温度未満の所定の温度で、記録材料全面を均一に予熱する過程を設けると、更に高感度化することができる。
【0195】
前記発色工程を経た後、更に定着工程を設ける。該定着工程では、記録層表面の全面を更に特定の光源により光照射することにより、前記発色工程で形成された画像を定着するとともに、記録層中に残存する着色成分(有機色素)による着色を消色する。
前記定着工程を経ることにより、非画像部の白色性を高めることができ、化学的に安定した最終画像を得ることができる。また、発色成分にジアゾニウム塩化合物を用いた場合には、画像形成後の記録層中に残存するジアゾニウム塩化合物をも光照射により失活させることができるため、濃度変動、変色等のない形成画像の保存安定化にも有用である。
【0196】
前記定着工程で使用可能な光源としては、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電型水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、蛍光灯等の幅広い光源を好適に挙げることができる。
【0197】
前記定着工程における光照射の方法としては、特に限定されるものではなく、記録層表面全面を一度に照射する方法でも、スキャニング等により記録面を徐々に光照射し最終的に全面を照射する方法でもよいが、ほぼ均一の照射光を用いて、最終的に画像形成後の記録材料の記録面全体に照射することができる方法であればよい。このように、記録面全体を光照射することが本発明の効果をより効果的に奏する観点から好ましい。
【0198】
前記定着工程における光照射時間としては、形成画像を定着し、非画像部(地肌部)を十分に消色しうる時間照射すればよいが、十分な画像定着性と消色性を得ながら記録速度を低下させない観点から、数秒〜数十分が好ましく、数秒〜数分がより好ましい。
【0199】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に、以下の実施例は記録層が単層形態を示すが、記録層の数や構成をこれに限定するものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0200】
(感光感熱記録材料の作製)
<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>
酢酸エチル18.4部に、マゼンタ発色の下記電子供与性無色染料(a)を8.4部溶解し、カプセル壁材として三井武田ケミカル(株)製の商品名「タケネートD110N」14部と日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「ミリオネートMR400」0.35部を添加した。
上記で得られた溶液を、5.9%フタル化ゼラチン水溶液70部と10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.34部との混合液中に添加した後、温度30℃で乳化分散し乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に水64部とジエチレントリアミン0.62部を加え、攪拌しながら65℃に加温し3時間経過後、固形分が30%となるように加水して調整を行い、平均粒径0.5μmの電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)を得た。
【0201】
【化22】
【0202】
<光重合性組成物乳化液(B)の調製>
下記有機ホウ素化合物(c)6.0部、下記分光増感色素化合物(d)0.5部、下記化合物(ALI)0.1部、及び下記重合性基を有する電子受容性化合物(e)と(f)夫々50部を酢酸イソプロピル125部に溶解した。得られた溶液を8%ゼラチン水溶液300部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液17部との混合溶液中に添加した後、温度30℃で乳化分散した。次いで、得られた乳化液を40℃にて3時間撹拌し脱溶媒した後、固形分が30%となるように加水して調整を行い、平均粒径0.3μmの光重合性組成物乳化液(B)を得た。
【0203】
【化23】
【0204】
【化24】
【0205】
【化25】
【0206】
【化26】
【0207】
<感光感熱記録層用塗布液(C)の調製>
前記光重合性組成物乳化液(B)18.2部と、前記電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)6.1部と、15%ゼラチン水溶液0.9部とを混合して、感光感熱記録層用塗布液(C)を調製した。
【0208】
<保護層用塗布液(D)の調製>
18%ゼラチン水溶液8.8部と、蒸留水7.0部と、下記2%界面活性剤(1)水溶液0.4部と、下記2%界面活性剤(2)水溶液1.2部と、2%ビニルスルホン系化合物(硬膜剤)水溶液8.8部と、20%ジュリマーAC10LA(日本純薬(株)製のポリアクリル酸)1.8部とを混合し、保護層用塗布液(D)を調製した。
【0209】
【化27】
【0210】
[比較例1]
支持体(レジンコート紙)上に、前記感光感熱記録層用塗布液(C)を乾燥質量が7.4g/m2となるように塗布し乾燥して設け、この上に保護層用塗布液(D)を乾燥質量が1.5g/m2となるよう塗布乾燥して設け、比較例1に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0211】
[実施例1]
比較例1の<光重合性組成物乳化液(B)の調製>において、重合性基を有する電子受容性化合物(e)と(f)の混合物100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を8部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例1に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0212】
[実施例2]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を10部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例2に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0213】
[実施例3]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例3に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0214】
[実施例4]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を50部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例4に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0215】
[実施例5]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(1)を100部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例5に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0216】
[実施例6]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(2)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例6に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0217】
[実施例7]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(4)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例7に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0218】
[実施例8]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(3)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例8に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0219】
[実施例9]
比較例1の<電子供与性無色染料内包マイクロカプセル液(A)の調製>において、電子供与性無色染料(a)100部に対して、更に下記に示すラジカルトラップ化合物(5)を25部の割合で含有させたこと以外は、比較例1と同様にして実施例9に係わる感光感熱記録材料を得た。
【0220】
【化28】
【0221】
(画像記録方法)
以上の比較例1及び実施例1〜9で得られた感光感熱記録材料について、以下の様にして画像を形成した。各感光感熱記録材料を保護層側から波長563nmのレーザー光を用いて照射エネルギー5.0mJ/cm2で露光し、地肌部を形成するための各サンプルを作成した。また、レーザー光を照射せずに最大発色濃度部を形成する各サンプルを作成した。
上記露光及び未露光記録材料サンプルを、110℃の熱板で10秒間加熱した後、この記録材料を38000ルックスの蛍光灯照射器上で該記録材料の記録層表面全体を30秒間光照射した。その結果、鮮明にマゼンタ発色した画像部サンプルと白色度の高い地肌部サンプルが得られた。
【0222】
(耐光性の評価試験)
上記で得られた画像記録後のサンプルの最大発色濃度部(O.D.(マゼンタ))及び地肌部濃度(O.D.(イエロー))をマクベス濃度計(ブルーフィルター付き)を用いて測定した。その後、キセノンウェザーメーター(アトラス社の「Ci5000」)を用いて、これら各サンプルに85000ルックスで133時間照射した後、再度、最大発色濃度部(O.D.(M))及び地肌部濃度(O.D.(Y))を測定し、次式により色素残存率と光ステイン(ΔO.D.)を算出した。
色素残存率=(O.D.(M)(照射後))/(O.D.(M)(照射前))
光ステイン=(O.D.(Y)(照射後))−(O.D.(Y)(照射前))
その測定結果を下記の表1に示す。キセノン光照射の前後において、画像部(発色部)ではマゼンタ発色濃度の減少が少なく、地肌部(非発色部)ではイエロー濃度の増加が少ないほど耐光性に優れている。
【0223】
(記録感度の測定)
比較例1及び実施例1〜9の感光感熱記録材料について、キセノン露光機で563nmバンドパスフィルター、ステップウェッジを介して露光し、ベタ2段が得られる露光量(mJ/cm2)を記録感度とした。測定結果を下記表1に示す。この数字が小さい方が高感度であることを示す。
【0224】
【表1】
【0225】
上記表1の評価結果から、ラジカルトラップ剤を含有した本実施例の感光感熱記録材料1〜9では、ラジカルトラップ剤を含有していない比較例の感光感熱材料に較べて、発色部においては発色濃度の減退度が小さく、地肌部においては光ステインの増加が小さく、発色部及び地肌部共に耐光性に優れた感光感熱記録材料を得ることができた。
【0226】
【発明の効果】
本発明によれば、感度を殆ど損なわないで、画像部の耐光性に優れ、特に地肌部白色度の保存安定性を向上させた感光感熱記録材料を提供することができる。
Claims (9)
- 支持体上に記録層が設けられた記録材料であって、
該記録層の少なくとも一層が、(1)熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A、(2)該熱応答性マイクロカプセルの外部に存在し、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する実質的に無色の化合物B、(3)光重合性組成物、(4)少なくとも1種のラジカルトラップ剤、を含有することを特徴とする感光感熱記録材料。 - 前記ラジカルトラップ剤が、ハイドロキノン系化合物及び/又はヒンダードフェノール系化合物である請求項1に記載の感光感熱記録材料。
- 前記ラジカルトラップ剤の添加量が、発色成分Aの100質量部に対して10〜500質量部である請求項1又は2に記載の感光感熱記録材料。
- 前記ラジカルトラップ剤が、熱応答性マイクロカプセルに内包されている請求項1〜3のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
- 前記光重合性組成物が、重合可能な化合物と光重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
- 前記化合物Bが、分子内に更に重合性基を有する化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
- 前記記録層の少なくとも一層が、更に、分子内に前記発色成分Aと前記化合物Bとの反応を抑制する部位と重合性基とを有する実質的に無色の化合物Cを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
- 前記発色成分Aが電子供与性無色染料である請求項1〜8のいずれかに記載の感光感熱記録材料。
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