JP2004170268A - 車両位置検出方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両Yに対応してGPS衛星からGPS情報を取得する第1のステップと、車両Yに対応するGPS情報に基づいて車両Yの位置を複数の車両X、Yにおいて計算した結果を取得する第2のステップと、第2のステップにおいて複数の車両X、Yから取得した複数の計算結果を用いて、車両Yの真の位置を計算する第3のステップとを有している。同じGPS情報を用いて複数の車両X、Yにおいて別々に計算した車両位置を用いることにより、それぞれの計算において発生する誤差を打ち消して車両位置の検出精度を上げることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS(全世界的衛星航法システム)受信機によって受信したGPS情報に基づいて車両位置を検出する車両位置検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車載用のナビゲーション装置は、GPS受信機を備えており、このGPS受信機によってGPS衛星から受信したGPS情報に基づいて車両位置を計算している。この計算された車両位置に基づいて、車両周辺の地図表示や周辺施設の検索が行われるため、検出される車両位置の精度は高い方が好ましい。
【0003】
特に、自車両とその周辺の他の車両との相対位置を求める場合には、車両位置の検出精度が高くないと正確な相対位置の計算は困難になり、これらの車両の走行位置の前後左右の関係を誤ってしまうおそれがある。
2台の車両の相対位置を検出する従来技術としては、GPS電波伝搬時間の誤差をキャンセルして検出精度を向上させた相対位置算出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この相対位置算出装置では、GPS電波伝搬時間の誤差によって起因する相対位置のずれが補正され、自車を基準とした近接走行車両の相対位置を高い精度でリアルタイムに知ることが可能になる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−148665号公報(第4−5頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1に開示された装置では、GPS電波伝搬時間の誤差をキャンセルすることはできるが、それぞれの車両においてGPS情報に基づいて検出された車両位置自体の検出精度が上がるわけではない。特に、GPS情報に基づいて検出される車両位置は、DGPS(高精度GPS)の場合でも数m程度の誤差があり、それ以下の精度で車両の絶対位置を計算したり、接近した位置を走行中の車両間の相対位置を計算しようとした場合には、位置の検出精度が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車両位置の検出精度を上げることができる車両位置検出方法および装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両位置検出方法は、第1の車両に対応してGPS衛星からGPS情報を取得する第1のステップと、第1の車両に対応するGPS情報に基づいて第1の車両の位置を複数の車両において計算した結果を取得する第2のステップと、第2のステップにおいて複数の車両から取得した複数の計算結果を用いて、第1の車両の真の位置を計算する第3のステップとを有している。同じGPS情報を用いて複数の車両において別々に計算した車両位置にはランダムな誤差が含まれていると考えられるため、これらの計算結果を用いて車両位置を計算することにより、ランダムに発生した誤差をうち消すことが可能になり、第1の車両の位置の検出精度を上げることが可能になる。
【0008】
また、上述した第3のステップは、複数の計算結果を用いて、複数の車両において行われる計算に含まれる誤差を推定する第4のステップと、複数の計算結果のいずれかに対して、第4のステップにおいて推定された誤差分をキャンセルする第5のステップとを有することが望ましい。複数の車両のそれぞれにおける計算に含まれる誤差によって各計算結果に差が生じるため、これら複数の計算結果を用いることによりこの誤差を推定することができ、この誤差分をキャンセルすることにより車両位置の検出精度を上げることができる。
【0009】
また、上述した第3のステップにおける計算は、複数の計算結果を平均化する演算であることが望ましい。計算結果に誤差が含まれなければ、複数の車両において計算された第1の車両の位置は全て同じになるはずであり、各計算結果に誤差が含まれるために各車両で計算された各車両位置が真の車両位置と一致せずにその周囲に分布する。したがって、誤差を含む各計算結果を平均化することにより、この平均値を第1の車両の真の車両位置に近づけることが可能になり、車両位置の検出精度を上げることができる。
【0010】
また、上述した複数の車両には、第1の車両の他に第2の車両が含まれており、第2の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報に基づいて計算した車両位置と、第1の車両に対応するGPS情報に基づいて計算した車両位置とに基づいて、第1および第2の車両との間の相対位置を計算する第6のステップを有することが望ましい。第1および第2の車両のそれぞれに対応して取得されたGPS情報に基づいて同じ車両において車両位置を計算した場合には、それぞれの計算に含まれる誤差の影響がほぼ同じ、すなわち、計算された車両位置が真の車両位置からずれる向きや程度がほぼ同じになると考えられるため、これらの計算結果を用いることにより第1および第2の車両の相対位置の検出精度を上げることが可能になる。
【0011】
また、本発明の車両位置検出装置は、他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報と、このGPS情報に基づいて他の車両において計算された第1の車両位置とを受信する他車両情報受信手段と、他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において第2の車両位置を計算する他車両位置計算手段と、第1および第2の車両位置に基づいて、車両位置計算に発生する誤差を推定する誤差推定手段と、第2の車両位置に対して、誤差推定手段によって推定された誤差分をキャンセルする他車両位置補正手段とを備えている。また、上述した自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信手段と、GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、自車両の位置を計算する自車両位置計算手段と、自車両位置計算手段によって計算された自車両の位置に対して、誤差推定手段によって推定された誤差分をキャンセルする自車両位置補正手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、複数の車両のそれぞれにおける計算に含まれる誤差を推定し、この誤差分をキャンセルすることにより、他の車両や自車両の車両位置の検出精度を上げることができる。
【0012】
また、本発明の車両位置検出装置は、他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報を受信する他車両情報受信手段と、他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において他の車両の位置を計算する他車両位置計算手段と、自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信手段と、GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、自車両の位置を計算する自車両位置計算手段と、他車両位置計算手段によって計算された他の車両の位置と、自車両位置計算手段によって計算された自車両の位置とに基づいて、他の車両と自車両との間の相対位置を計算する相対位置計算手段とを備えている。他の車両と自車両のそれぞれのGPS情報を用いて、自車両においてそれぞれの車両位置を計算することにより、これらの計算結果に含まれる同程度の誤差を相対位置の計算に際してキャンセルすることが可能になり、相対位置の検出精度を上げることが可能になる。
【0013】
また、本発明の車両位置検出装置は、自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を取得するGPS受信手段と、GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、自車両の第1の自車両位置を計算する第1の自車両位置計算手段と、自車両に対応するGPS情報を他の車両に向けて送信する自車両情報送信手段と、他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報と、このGPS情報に基づいて他の車両において計算された第1の他車両位置と、自車両情報送信手段から送信されたGPS情報に基づいて他の車両において計算された第2の自車両位置とを受信する他車両情報受信手段と、他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において第2の他車両位置を計算する第1の他車両位置計算手段と、第1および第2の他車両位置に基づいて、計算誤差を低減した第3の他車両位置を計算する第2の他車両位置計算手段と、第1および第2の自車両位置に基づいて、計算誤差を低減した第3の自車両位置を計算する第2の自車両位置計算手段と、第3の他車両位置と第3の自車両位置とに基づいて、他の車両と自車両との間の相対位置を計算する相対位置計算手段とを備えている。他の車両の真の車両位置と自車両の真の車両位置を別々に計算した後に、これらの計算結果を用いてこれらの車両の相対位置の計算を行うことにより、相対位置の検出精度をさらに上げることが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両位置検出装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の車両位置検出装置による位置検出動作の概要を示す図である。例えば、互いに接近した位置を2台の車両X、Yが走行中に、一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置において、これら2台の車両X、Yの正確な車両位置を検出する動作の概略が示されている。
【0015】
図1において、Xで示された点線の範囲は、車両Xに関する位置計算結果であり、その中に含まれる「Xp0」は車両Xにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Xに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Xの位置を、「Xp 」は検出誤差を低減した後の車両Xの位置をそれぞれ示している。
【0016】
また、Yで示された点線の範囲は、車両Yに関する位置計算結果であり、その中に含まれる「Yp0」は車両Yにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Yに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Yの位置を、「Yxp」は車両Yにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Xに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Yの位置を、「Yp 」は検出誤差を低減した後の車両Yの位置をそれぞれ示している。
【0017】
本実施形態では、車両Yにおいて計算された車両Y自身の位置Yp0と、車両Yにおいて取得されたGPS情報に基づいて車両Xにおいて計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて誤差を推定して、この推定された誤差分をキャンセルして車両Yの正確な位置Yp を検出している。
【0018】
また、このようにして車両Yの位置Yp を検出することにより、車両Xに搭載された車両位置検出装置によって位置検出を行う場合の検出誤差(Yp −Yxp)を推定することができるので、車両Xにおいて計算された車両X自身の位置Xp0に対してこの検出誤差分の修正を行い、検出誤差を低減した車両Xの位置Xp を検出している。
【0019】
図2は、2台の車両X、Yの位置検出を行う一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
図2に示すように、一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置100は、他車両情報受信部110、他車両位置計算部112、誤差推定部114、他車両位置補正部116、GPS受信機120、自車両位置計算部122、自車両位置補正部124、相対位置計算部126を含んで構成されている。
【0020】
他車両情報受信部110は、他の車両Yにおいて取得されたGPS情報と、このGPS情報に基づいて車両Y自身によって計算された車両位置Yp0と、これらの付随情報とを、車両Yに搭載された車両位置検出装置200から受信する。付随情報には、車両Yにおいて取得されたGPS情報に基づいて車両Xにおいて車両Yの位置Yxpを計算するために必要な、例えばGPS情報の取得に用いられたGPS衛星の数等の情報が含まれている。
【0021】
他車両位置計算部112は、他車両情報受信部110によって受信した車両YのGPS情報を用いて、車両Xが有する計算アルゴリズムによって車両位置Yxpを計算する。各車両において用いられる計算アルゴリズムは、使用するカルマンフィルターの種類や特性等によって異なっている。
【0022】
誤差推定部114は、他車両位置計算部112の計算によって得られた車両Yの位置Yxpと、他車両情報受信部110によって受信した車両Yの位置Yp0とに基づいて、車両Yの位置計算の誤差を推定する。図1に示したように、車両Yにおいて取得された同じGPS情報を用いて車両X、Yのそれぞれにおいて計算した位置Yxp、Yp0には、計算アルゴリズムの違い等に起因して異なる誤差が含まれているため、本来なら(誤差がない場合には)同じになるはずだが実際にはそうはならない。しかし、これらの誤差は、相関がないため、互いにランダムに発生するものと考えられる。誤差推定部114は、2台の車両X、Yのそれぞれにおいて計算された車両Yの2つの位置Yxp、Yp0を用いて、これら2つの位置Yxp、Yp0に含まれる相対的な誤差を推定する。具体的には、(Yp0−Yxp)/2を計算することにより、図1に示す位置Yxpから位置Yp0までの距離を推定誤差として求める計算が行われる。
【0023】
他車両位置補正部116は、他車両情報受信部110によって受信した車両Yの位置Yp0に対して、誤差推定部114によって計算された推定誤差に基づく補正を行って、検出誤差の影響を低減した車両Yの位置Yp を求める。具体的には、図1に示す車両Yの位置Yp0に対して推定誤差((Yp0−Yxp)/2)を減算することにより、推定誤差分を取り除いた車両Yの位置Yp が算出される。
【0024】
GPS受信機120は、車両XにおいてGPS情報を取得するためのものである。自車両位置計算部122は、GPS受信機120によって受信したGPS情報に基づいて車両X自身の位置Xp0を計算する。自車両位置補正部124は、自車両位置計算部122によって計算した車両Xの位置Xp0に対して、誤差推定部114によって計算された推定誤差に基づく補正を行って、検出誤差の影響を低減した(キャンセルした)車両Xの位置Xp を求める。
【0025】
相対位置計算部126は、自車両位置計算部122によって計算された車両Xの位置Xp0と、他車両位置計算部112によって車両Xにおいて計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて、2台の車両X、Yの相対位置を計算する。2台の車両X、Yのそれぞれにおいて取得されたGPS情報に基づいて各車両において計算された車両位置Xp0、Yp0にはランダムな誤差が含まれているため、これらの位置Xp0、Yp0に基づいて相対位置を計算すると、誤差が累積して正確な相対位置が得られないおそれがある。ところが、接近した位置を走行中の2台の車両X、Yのそれぞれにおいて取得されたGPS情報に基づいて、車両Xにおいて同じカルマンフィルターを用いた共通のアルゴリズムを用いて計算された車両位置Xp0、Yxpには、同じ傾向の誤差が含まれていると考えられる。相対位置計算部126は、これらの車両位置Xp0、Yxpに基づいて相対位置を計算しており、これにより、計算された相対位置に含まれる誤差の影響を大幅に低減することが可能になる。
【0026】
図3は、他方の車両Yに搭載された車両位置検出装置200の詳細構成を示す図である。
図3に示すように、他方の車両Yに搭載された車両位置検出装置200は、GPS受信機210、自車両位置計算部212、自車両情報送信部214を含んで構成されている。
【0027】
GPS受信機210は、車両YにおいてGPS情報を取得するためのものである。自車両位置計算部212は、GPS受信機210によって受信したGPS情報に基づいて車両Y自身の位置Yp0を計算する。自車両情報送信部214は、GPS受信機210によって受信したGPS情報と、自車両位置計算部212によって計算された車両Yの位置Yp0とを車両Xに向けて送信する。
【0028】
上述した車両情報受信部110が他車両情報受信手段に、他車両位置計算部112が他車両位置計算手段に、誤差推定部114が誤差推定手段に、他車両位置補正部116が他車両位置補正手段に、GPS受信機120がGPS受信手段に、自車両位置計算部122が自車両位置計算手段に、自車両位置補正部124が自車両位置補正手段に、相対位置計算部126が相対位置計算手段にそれぞれ対応する。
【0029】
本実施形態の車両位置検出装置はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
図4は、車両Xに搭載された車両位置検出装置100によって車両X、Yの正確な位置を検出する動作手順を示す流れ図である。
【0030】
まず、他車両情報受信部110は、車両Yに搭載された車両位置検出装置200内の自車両情報送信部214から送られてくる車両Yに対応するGPS情報と車両位置Yp0を受信する(ステップ100)。
次に、他車両位置計算部112は、他車両情報受信部110によって受信した車両YのGPS情報に基づいて、車両Yの位置Yxpを計算し(ステップ101)、誤差推定部114は、他車両情報受信部110によって受信した車両Yの位置Yp0と、他車両位置計算部112によって計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて、車両位置の計算において発生する誤差を推定する(ステップ102)。そして、他車両位置補正部116は、車両Yの位置Yp0からこの推定された誤差分を補正する計算を行い、正確な車両Yの位置Yp を計算する(ステップ103)。
【0031】
また、自車両位置計算部122は、GPS受信機120によって受信したGPS情報に基づいて車両Xの位置Xp0を計算する(ステップ104)。そして、自車両位置補正部124は、車両Xの位置Xp0から誤差推定部114によって推定された誤差分を補正する計算を行い、正確な車両Xの位置Xp を計算する(ステップ105)。
【0032】
次に、相対位置計算部126は、自車両位置計算部122によって計算された車両Xの位置Xp0と、他車両位置計算部112によって計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて、具体的にはこれら2つの車両位置の座標(経度、緯度)の差を求めることにより、相対位置を計算する(ステップ106)。
【0033】
このように、本実施形態の車両位置検出装置100では、車両Yに対応するGPS情報を用いて複数の車両X、Yにおいて別々に計算した結果を用いて、車両Yの真の位置を計算することにより、ランダムに発生した誤差をうち消すことが可能になり、車両位置の検出精度を上げることが可能になる。
【0034】
特に、車両X、Yのそれぞれにおける計算に含まれる誤差によって各計算結果に差が生じるため、これら複数の計算結果を用いることによりこの誤差を推定することができ、この誤差分をキャンセルすることにより車両位置の検出精度を上げることができる。
【0035】
また、車両X、Yのそれぞれに対応して取得されたGPS情報に基づいて車両Xの車両位置検出装置100において車両位置を計算した場合には、それぞれの計算に含まれる誤差の影響がほぼ同じ、すなわち、計算された車両位置が真の車両位置からずれる向きや程度がほぼ同じになると考えられるため、これらの計算結果を用いることにより2台の車両X、Yの相対位置の検出精度を上げることが可能になる。
【0036】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の車両位置検出装置による位置検出動作の概要を示す図である。図1に示した場合と同様に、互いに接近した位置を2台の車両X、Yが走行中に、一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置において、これら2台の車両X、Yの正確な車両位置を検出する動作の概略が示されている。
【0037】
図5において、Xで示された点線は、車両Xに関する位置計算結果であり、その中に含まれる「Xp0」は車両Xにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Xに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Xの位置を、「Xyp」は車両Xにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Yに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Xの位置を、「Xp 」は検出誤差を低減した後の車両Xの位置をそれぞれ示している。
【0038】
また、Yで示された点線の範囲は、車両Yに関する位置計算結果であり、その中に含まれる「Yp0」は車両Yにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Yに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Yの位置を、「Yxp」は車両Yにおいて得られたGPS情報に基づいて車両Xに搭載された車両位置検出装置で計算された車両Yの位置を、「Yp 」は検出誤差を低減した後の車両Yの位置をそれぞれ示している。これらの関係は、図1に示した内容と同じである。
【0039】
本実施形態では、車両Yにおいて計算された車両Y自身の位置Yp0と、車両Yにおいて取得されたGPS情報に基づいて車両Xにおいて計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて誤差を推定して、この推定された誤差分をキャンセルして車両Yの正確な位置Yp を検出するとともに(この点に関しては第1の実施形態と同じである)、車両Xにおいて計算された車両X自身の位置Xp0と、車両Xにおいて取得されたGPS情報に基づいて車両Yにおいて計算された車両Xの位置Xypとに基づいて誤差を推定して、この推定された誤差分をキャンセルした車両Xの正確な位置Xp を検出している。
【0040】
図6は、第2の実施形態において2台の車両X、Yの位置検出を行う一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
図6に示すように、一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置100Aは、他車両情報受信部110A、他車両位置計算部112、他車両誤差推定部114A、他車両位置補正部116、GPS受信機120、自車両位置計算部122、自車両位置補正部124A、相対位置計算部126A、自車両情報送信部130、自車両誤差推定部132を含んで構成されている。図2に示した車両位置検出装置100に含まれる各構成と同じ動作を行う構成については同じ符号を付し、また、類似した動作を行う構成については同じ符号の末尾にAを付加して、重複した説明は省略するものとする。
【0041】
他車両情報受信部110Aは、他の車両Yにおいて取得されたGPS情報と、このGPS情報に基づいて車両Y自身によって計算された車両位置Yp0と、車両Xから送信されたGPS情報に基づいて車両Yにおいて計算された車両位置Xypとを、車両Yに搭載された車両位置検出装置200Aから受信する。
【0042】
他車両誤差推定部114Aは、他車両位置計算部112の計算によって得られた車両Yの位置Yxpと、他車両情報受信部110Aによって受信した車両Yの位置Yp0とに基づいて、車両Yの位置計算の誤差を推定する。
他車両位置補正部116は、他車両情報受信部110Aによって受信した車両Yの位置Yp0に対して、他車両誤差推定部114Aによって計算された推定誤差に基づく補正を行って、車両Yの正確な位置Yp を求める。
【0043】
自車両情報送信部130は、GPS受信機120によって受信された車両Xに対応するGPS情報を車両Yに向けて送信する。上述した他車両情報受信部110Aは、このようにして送られたGPS情報に基づいて車両Yにおいて計算され、送り返されてくる車両Xの位置Xypを受信する。
【0044】
自車両誤差推定部132は、自車両位置計算部122によって計算された車両Xの位置Xp0と、他車両情報受信部110Aによって受信した車両Xの位置Xypとに基づいて、車両Xの位置計算の誤差を推定する。具体的には、(Xyp−Xp0)/2を計算することにより、図5に示す位置Xp0から位置Xypまでの距離を推定誤差として求める計算が行われる。
【0045】
自車両位置補正部124Aは、自車両位置計算部122によって計算した車両Xの位置Xp0に対して、自車両誤差推定部132によって計算された推定誤差に基づく補正を行った、検出誤差の影響を低減した車両Xの位置Xp を求める。具体的に、図5に示す車両位置Xp0に対して推定誤差((Xyp−Xp0)/2)を加算することにより、推定誤差分を取り除いた車両Xの位置Xp が算出される。
【0046】
図7は、他の車両Yに搭載された車両位置検出装置200Aの詳細構成を示す図である。
図7に示すように、他方の車両Yに搭載された車両位置検出装置200Aは、GPS受信機210、自車両位置計算部212、自車両情報送信部214A、他車両情報受信部220、他車両位置計算部222を含んで構成されている。図3に示した車両位置検出装置200に含まれる各構成と同じ動作を行う構成については同じ符号を付し、また、類似した動作を行う構成については同じ符号の末尾にAを付加して、重複した説明は省略するものとする。
【0047】
他車両情報受信部220は、車両Xの車両位置検出装置100A内の自車両情報送信部130から送られてくる車両Xに対応するGPS情報を受信する。他車両位置計算部222は、他車両情報受信部220によって受信した車両XのGPS情報を用いて、車両Yが有する計算アルゴリズムによって車両位置Xypを計算する。
【0048】
自車両情報送信部214Aは、GPS受信機210によって受信したGPS情報と、自車両位置計算部212によって計算された車両Yの位置Yp0と、他車両位置計算部222によって車両Yにおいて計算された車両Xの位置Xypとを車両Xに向けて送信する。
【0049】
上述したGPS受信機120がGPS受信手段に、自車両位置計算部122が第1の自車両位置計算手段に、自車両情報送信部130が自車両情報送信手段に、他車両情報受信部110Aが他車両情報受信手段に、他車両位置計算部112が第1の他車両位置計算手段に、他車両誤差推定部114Aおよび他車両位置補正部116が第2の他車両位置計算手段に、自車両誤差推定部132および自車両位置補正部124Aが第2の自車両位置計算手段に、相対位置計算部126Aが相対位置計算手段にそれぞれ対応する。
【0050】
本実施形態の車両位置検出装置はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
図8は、車両Xに搭載された車両位置検出装置100Aによって車両X、Yの正確な位置を検出する動作手順を示す流れ図である。
【0051】
まず、自車両情報送信部130は、GPS受信機120によって受信されたGPS情報を車両Yに搭載された車両位置検出装置200A内の他車両情報受信部220に向けて送信する(ステップ200)。その後、他車両情報受信部110Aは、車両位置検出装置200A内の自車両情報送信部214Aから送られてくる車両Yに対応するGPS情報と車両位置Yp0、Xypを受信する(ステップ201)。
【0052】
次に、他車両位置計算部112は、他車両情報受信部110Aによって受信した車両YのGPS情報に基づいて、車両Yの位置Yxpを計算し(ステップ202)、他車両誤差推定部114Aは、他車両情報受信部110Aによって受信した車両Yの位置Yp0と、他車両位置計算部112によって計算された車両Yの位置Yxpとに基づいて、車両Yの位置計算において発生する誤差を推定する(ステップ203)。そして、他車両位置補正部116は、車両Yの位置Yp0からこの推定された誤差分を補正する計算を行い、正確な車両Yの位置Yp を計算する(ステップ204)。
【0053】
また、自車両位置計算部122は、GPS受信機120によって受信したGPS情報に基づいて車両Xの位置Xp0を計算し(ステップ205)、自車両誤差推定部132は、他車両情報受信部110Aによって受信した車両Xの位置Xypと、自車両位置計算部122によって計算された車両Xの位置Xp0とに基づいて、車両Xの位置計算において発生する誤差を推定する(ステップ206)。そして、自車両位置補正部124Aは、車両Xの位置Xp0からこの推定された誤差分を補正する計算を行い、正確な車両Xの位置Xp を計算する(ステップ207)。
【0054】
次に、相対位置計算部126Aは、自車両位置補正部124Aによって計算された車両Xの位置Xp と、他車両位置補正部116によって計算された車両Yの位置Yp とに基づいて、具体的にはこれら2つの車両位置の座標(経度、緯度)の差を求めることにより、相対位置を計算する(ステップ208)。
【0055】
このように、本実施形態の車両位置検出装置100Aでは、車両X、Yのそれぞれについて別々に誤差の推定およびキャンセルを行って真の車両位置を計算しており、これらの計算結果を用いて2台の車両X、Yの相対位置の計算を行うことにより、相対位置の検出精度をさらに上げることが可能になる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、2台の車両X、Yの計算結果を用いて車両位置の検出を行うようにしたが、3台以上の車両の計算結果を用いて車両位置の検出を行うようにしてもよい。例えば、車両X以外に2台以上の車両Y1、Y2、…が互いに接近した位置を走行中であるときに、車両XのGPS情報に基づいて全ての車両X、Y1、Y2、…のそれぞれにおいて車両位置を計算し、これらの計算結果を平均した値が車両Xの正確な位置となる。また、この正確な位置とそれぞれの計算結果(各車両において計算された車両Xの位置)とを比較することにより、各車両による位置計算において発生する誤差を推定することが可能になり、各車両自身によって計算された車両位置に対してこの推定された誤差分をキャンセルする補正を行うことが可能になる。
【0057】
また、上述した実施形態では、GPS受信機を用いた車両位置検出について説明したが、他の車両位置検出方式と併用するようにしてもよい。例えば、GPS受信機を用いた車両位置検出と、地図上の道路形状と走行軌跡とが一致するように車両位置を修正するマップマッチング処理とを併用する場合には、道路と垂直な向きの車両位置補正をマップマッチング処理によって行い、道路と平行な向きの車両位置補正を本実施形態の方式を用いて行うようにしてもよい。
【0058】
また、上述した各実施形態では、車両の真の位置を計算するために、まず、複数の車両において計算された結果に基づいて誤差の推定を行い、次に、この推定した誤差分をキャンセルする補正を行ったが、図1および図5からわかるように、複数の車両において計算された複数の計算結果を平均することにより、誤差分をキャンセルして計算した真の車両位置と同じ結果が得られる。したがって、誤差を推定した後にこの誤差分をキャンセルする代わりに、複数の車両において計算された結果を平均化するようにしてもよい。例えば、図2に示す構成では、誤差推定部114と他車両位置補正部116を平均化処理部に置き換えればよい。また、図6に示す構成では、他車両誤差推定部114Aと他車両位置補正部116を第1の平均化処理部に、自車両誤差推定部132と自車両位置補正部124Aを第2の平均化処理部にそれぞれ置き換えればよい。
【0059】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、同じGPS情報を用いて複数の車両において別々に計算した車両位置にはランダムな誤差が含まれていると考えられるため、これらの計算結果を用いて車両位置を計算することにより、ランダムに発生した誤差をうち消すことが可能になり、第1の車両の位置の検出精度を上げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の車両位置検出装置による位置検出動作の概要を示す図である。
【図2】2台の車両X、Yの位置検出を行う一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
【図3】他方の車両Yに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
【図4】車両Xに搭載された車両位置検出装置によって車両X、Yの正確な位置を検出する動作手順を示す流れ図である。
【図5】第2の実施形態の車両位置検出装置による位置検出動作の概要を示す図である。
【図6】第2の実施形態において2台の車両X、Yの位置検出を行う一方の車両Xに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
【図7】他の車両Yに搭載された車両位置検出装置の詳細構成を示す図である。
【図8】車両Xに搭載された車両位置検出装置によって車両X、Yの正確な位置を検出する動作手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
100、100A、200、200A 車両位置検出装置
110、110A、220 他車両情報受信部
112、222 他車両位置計算部
114 誤差推定部
114A 他車両誤差推定部
116 他車両位置補正部
120、210 GPS受信機
122、212 自車両位置計算部
124、124A 自車両位置補正部
126、126A 相対位置計算部
130、214、214A 自車両情報送信部
132 自車両誤差推定部
Claims (8)
- 第1の車両に対応してGPS衛星からGPS情報を取得する第1のステップと、
前記第1の車両に対応するGPS情報に基づいて前記第1の車両の位置を複数の車両において計算した結果を取得する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて前記複数の車両から取得した複数の計算結果を用いて、前記第1の車両の真の位置を計算する第3のステップと、
を有することを特徴とする車両位置検出方法。 - 請求項1において、
前記第3のステップは、
前記複数の計算結果を用いて、前記複数の車両において行われる計算に含まれる誤差を推定する第4のステップと、
前記複数の計算結果のいずれかに対して、前記第4のステップにおいて推定された前記誤差分をキャンセルする第5のステップと、
を有することを特徴とする車両位置検出方法。 - 請求項1において、
前記第3のステップにおける計算は、前記複数の計算結果を平均化する演算であることを特徴とする車両位置検出方法。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記複数の車両には、前記第1の車両の他に第2の車両が含まれており、
前記第2の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報に基づいて計算した車両位置と、前記第1の車両に対応するGPS情報に基づいて計算した車両位置とに基づいて、前記第1および第2の車両との間の相対位置を計算する第6のステップを有することを特徴とする車両位置検出方法。 - 他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報と、このGPS情報に基づいて前記他の車両において計算された第1の車両位置とを受信する他車両情報受信手段と、
前記他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において第2の車両位置を計算する他車両位置計算手段と、
前記第1および第2の車両位置に基づいて、車両位置計算に発生する誤差を推定する誤差推定手段と、
前記第2の車両位置に対して、前記誤差推定手段によって推定された誤差分をキャンセルする他車両位置補正手段と、
を備えることを特徴とする車両位置検出装置。 - 請求項5において、
前記自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信手段と、
前記GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、前記自車両の位置を計算する自車両位置計算手段と、
前記自車両位置計算手段によって計算された前記自車両の位置に対して、前記誤差推定手段によって推定された誤差分をキャンセルする自車両位置補正手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両位置検出装置。 - 他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報を受信する他車両情報受信手段と、
前記他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において前記他の車両の位置を計算する他車両位置計算手段と、
前記自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を受信するGPS受信手段と、
前記GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、前記自車両の位置を計算する自車両位置計算手段と、
前記他車両位置計算手段によって計算された前記他の車両の位置と、前記自車両位置計算手段によって計算された前記自車両の位置とに基づいて、前記他の車両と前記自車両との間の相対位置を計算する相対位置計算手段と、
を備えることを特徴とする車両位置検出装置。 - 自車両に対応してGPS衛星からGPS情報を取得するGPS受信手段と、
前記GPS受信手段で受信したGPS情報に基づいて、前記自車両の第1の自車両位置を計算する第1の自車両位置計算手段と、
前記自車両に対応するGPS情報を他の車両に向けて送信する自車両情報送信手段と、
前記他の車両に対応してGPS衛星から取得したGPS情報と、このGPS情報に基づいて前記他の車両において計算された第1の他車両位置と、前記自車両情報送信手段から送信されたGPS情報に基づいて前記他の車両において計算された第2の自車両位置とを受信する他車両情報受信手段と、
前記他の車両に対応するGPS情報に基づいて自車両において第2の他車両位置を計算する第1の他車両位置計算手段と、
前記第1および第2の他車両位置に基づいて、計算誤差を低減した第3の他車両位置を計算する第2の他車両位置計算手段と、
前記第1および第2の自車両位置に基づいて、計算誤差を低減した第3の自車両位置を計算する第2の自車両位置計算手段と、
前記第3の他車両位置と前記第3の自車両位置とに基づいて、前記他の車両と前記自車両との間の相対位置を計算する相対位置計算手段と、
を備えることを特徴とする車両位置検出装置。
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