JP2011089922A - ナビゲーションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】GPS測位解自体の精度判定を実施することなく、GPSマルチパス障害による大きな誤差を排除可能であり、これにより自車位置推定精度の向上を図ったナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】最大値算出部15L、15Rは、高さ情報取得部14L、14Rが取得した高さ情報に基づいて、左右のハーフエリアにおける高さの最大値を算出する。絶対値算出部16は、最大値算出部15L、15Rにて算出した最大値の差を、左右のハーフエリアにおける高低差とし、その絶対値を算出する。危険度判定部17は、絶対値算出部16の算出した絶対値に基づいて、判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度を判定する。
【選択図】図1
【解決手段】最大値算出部15L、15Rは、高さ情報取得部14L、14Rが取得した高さ情報に基づいて、左右のハーフエリアにおける高さの最大値を算出する。絶対値算出部16は、最大値算出部15L、15Rにて算出した最大値の差を、左右のハーフエリアにおける高低差とし、その絶対値を算出する。危険度判定部17は、絶対値算出部16の算出した絶対値に基づいて、判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度を判定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車載用などのナビゲーションシステムに係り、特に、GPSマルチパス障害の発生により誤差を含んだGPS測位解を、現在位置の推定演算に採用しないようにしたナビゲーションシステムに関する。
カーナビゲーションシステムは、GPS衛星から送られるGPS信号を利用してGPS測位解を取得しており、これを用いて自車位置の推定演算を行っている。しかし、自車周辺の環境によっては、ノイズの混入やGPSマルチパス障害が発生するのでGPS測位解の精度が低下することがある。
特に、林立する高層ビルの間を縫って車両が走行する場合、道路の片側にのみ高層ビルが存在すると、高層ビルにGPS信号が反射するため、GPSマルチパス障害が発生し易い。GPSマルチパス障害とは、複数の経路を通ったGPS信号を、GPS受信機が受信する現象であり、経路距離の違いによってGPS測位解に誤差が生じる原因となる。
ここで、GPSマルチパス障害によるGPS測位解の誤差について、図10を用いて簡単に説明する。図10に示すように、高層ビルなどに反射した反射波(点線にて図示)の経路を通ったGPS信号では、直接波(実線にて図示)の経路を通ったGPS信号よりも経路距離が増加する。すなわち、反射波の経路を経たGPS信号は、経路距離が増加した分だけ、GPS受信機4からGPS衛星40までの疑似距離には誤差を生じる。この結果、疑似距離に含まれる誤差がGPS測位解に大きな誤差がもたらす。
GPS測位解が大きな誤差を持つと、マップマッチング処理と組み合わせても自車位置を適切に補正することは難しくなり、自車位置の推定精度が低下する。したがって、表示装置に表示される自車位置が、実際の位置から大きくずれたり、断続的な表示となる「飛び」現象が起きたりするおそれがある。
また、近年のカーナビゲーションシステムには、センサ学習機能が付与されている。センサ学習機能とは、ナビゲーションシステムに組み込まれる車速パルスセンサやジャイロセンサの持つセンサ特性を、GPS測位解とマップマッチング処理とを組み合わせて補正・学習する機能である。このようなセンサ学習機能でもGPS測位解を使用しているので、GPS測位解が大きな誤差を持つと、センサ学習機能にも不具合が現れてしまい、問題となっている。
上記の問題点を回避するためには、GPS測位解の精度を判定し、精度の高いGPS測位解だけを自車位置の推定演算に採用することが有効である。GPS測位解の精度判定方法としては、他のセンサ類による検知結果とGPS測位解とを比較する方法や、衛星配置の誤差指標であるDOP(Dilution of Precision)を用いた方法がある。
DOPによるGPS測位解の精度判定は、GPS測位解の精度がGPS衛星の幾何学的な配置に依存することを利用して、DOPが高ければGPS測位解に誤差が含まれているものとみなしている。ただし、DOPは衛星配置の誤差指標であって、障害物を発生原因とするGPSマルチパス障害の誤差指標にはならない。つまり、DOPが低くても、GPS信号はGPSマルチパス障害の影響を受ける可能性は十分にある。
そこで、GPS測位解がGPSマルチパス障害の影響を受けたか否かを判定する技術としては、例えば、特許文献1などが提案されている。特許文献1記載のGPS測位解精度判定方法では、所定の参照値とクロック・オフセット値との差分に基づいて、GPS測位解に対するGPSマルチパス障害の影響度を判定している。
このようなGPS測位解精度判定方法によれば、GPSマルチパス障害の影響を受けたGPS測位解を検知可能である。そのため、GPSマルチパス障害によりGPS測位解が誤差を含んだと判定された場合には、この測位解を自車位置の推定演算に不採用とすることができ、自車位置の推定精度劣化を確実に抑止することが可能である。
以上述べた従来のGPS測位解精度判定方法では、精度判定の対象であるGPS測位解を求めることが前提であって、GPS測位解の精度判定を実施することなく、GPS測位解の採用・不採用を決定することはあり得ない。つまり、GPSマルチパス障害が発生していると判断でき、GPS測位解が大きな誤差を含んでいると予測できる状況であっても、GPS測位解の精度判定を必ず行っている。
しかしながら、前述したように、道路の片側にのみ高層ビルが存在すると、高層ビルにGPS信号が反射するため、GPSマルチパス障害が発生し易いことは自明である。したがって、GPS測位解を取得した状況がGPSマルチパス障害の影響を受けているかどうかは、自車周辺の環境から容易に判定可能である。そこで、GPSマルチパス障害の発生危険度を判定することにより、GPS測位解自体の精度判定を省略して、GPS測位解の採用・不採用を迅速に決定することが可能である自車位置推定技術の確立が待たれていた。
本発明は、以上の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、任意の広さを持つ判定エリアを設定し、この判定エリアにおいて自車の左右に位置する高層建造物の高低差に基づきGPSマルチパス障害の発生危険度を判定することにより、GPS測位解自体の精度判定を実施することなく、GPSマルチパス障害による大きな誤差を排除可能であり、これにより自車位置推定精度の向上を図ったナビゲーションシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS受信機と、前記GPS受信機の受信したGPS信号に基づいてGPS測位解を取得するGPS測位解取得手段と、前記GPS測位解を用いて現在位置の推定演算を行う現在位置推定演算手段が設けられたナビゲーションシステムにおいて、次のような構成を有することを特徴としている。
請求項1の発明は、任意の広さを持つ判定エリアを設定する判定エリア設定手段と、前記判定エリアに位置する建造物の高さ情報を取得する高さ情報取得手段と、前記判定エリアを左右のハーフエリアに分割して前記高さ情報取得手段が取得した高さ情報に基づき各ハーフエリアにおける最高点を算出する最高点算出手段と、左右のハーフエリアにおける最高点の高さの違いを算出する高低差算出手段と、前記高低差算出手段の算出した高低差に応じて前記判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度を判定する危険度判定手段、が設けられており、前記判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度が所定の規定値を超えたと前記危険度判定手段が判定した場合、前記GPS測位解取得手段が当該判定エリアで取得したGPS測位解については、前記現在位置推定演算手段は現在位置の推定演算に際して採用を見合わせるように構成されたことを特徴とするものである。
以上のような構成を有する請求項1のナビゲーションシステムでは、GPSマルチパス障害が発生したことによるGPS測位解の精度を判定するのではなく、任意の広さを持つ判定エリアにおいて、GPSマルチパス障害が発生する危険度が高いかどうかを判定している。
すなわち、GPSマルチパス障害の発生危険度に関して、判定エリアを左右に分割した各ハーフエリアでの最高点の高低差から判断することができる。そして、左右のハーフエリアでの高低差が大きい場合には、道路の左右の片側にのみ高い建造物が存在してGPS信号を反射させるため、GPSマルチパス障害が発生し易いエリアであると判定し、この判定エリアにて取得したGPS測位解については現在位置の推定演算への採用することを見合わせる。
つまり、誤差を含む可能性の高いGPS測位解については、GPS測位解の精度を判定するまでもなく、これを迅速に排除している。これにより、精度の高いGPS測位解だけを選択的に採用して、現在位置の推定精度を高めることが可能である。
請求項2の発明では、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記判定エリアに位置する建造物の設置面積情報を取得する設置面積情報取得手段が設けられ、前記高さ情報取得手段は、前記設置面積情報取得手段が取得した設置面積情報に基づき前記判定エリアに位置する建造物の中から所定の大きさ以上の設置面積を持つ建造物のみに限定して、前記判定エリアに位置する建造物の高さ情報を取得するように構成されたことを特徴とするものである。
請求項2のナビゲーションシステムでは、判定エリアに位置する建造物の中で、設置面積が所定の大きさに満たない小さな建造物については、GPSマルチパス障害の発生原因とはならないと判断し、高さ情報の取得対象から除外している。そのため、高さ情報を取得する建造物を絞り込むことができ、最高点算出手段は左右のハーフエリアにおける最高点を、素早く算出することが可能となる。
請求項3の発明では、請求項1または2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記発生危険度判定手段の判定結果を格納するための判定結果格納手段が設けられたことを特徴としている。
以上の請求項3のナビゲーションシステムでは、判定結果格納手段にGPSマルチパス障害の発生危険度を予め格納しておくことで、判定結果格納手段から所望の判定エリアにおける発生危険度を随時取り出すことが可能である。したがって、移動先の判定エリアについて、GPSマルチパス障害の発生危険度を事前に把握することが可能である。これにより、精度の高いGPS測位解だけを的確に採用することができ、現在位置の推定演算処理に際して正確性、迅速性が向上する。
本発明のナビゲーションシステムによれば、自車の左右に位置する建造物の高さ情報を用いてマルチパス障害の発生危険度を判定し、マルチパス障害の発生危険度の高い状況で取得されたGPS測位解については自車位置の推定に際して採用しないことで、GPSマルチパス障害による誤差を確実に排除して自車位置推定精度を高めることができる。
(1)代表的な実施形態
[構成]
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図1〜図9を参照して具体的に説明する。本実施形態は、GPS受信機4にて取得したGPS測位解を用いて、一定の周期で自車位置の推定演算を行うカーナビゲーションシステムに適用したものである。
[構成]
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図1〜図9を参照して具体的に説明する。本実施形態は、GPS受信機4にて取得したGPS測位解を用いて、一定の周期で自車位置の推定演算を行うカーナビゲーションシステムに適用したものである。
[カーナビゲーションシステムの概要]
まず、図1および図2を参照して、カーナビゲーションシステムにおいて自車位置推定を担う部分について具体的に説明する。図1は自車位置の推定演算を行うメイン基板1とそれに接続される構成部を示したブロック図、図2はGPS受信機4のブロック図である。
まず、図1および図2を参照して、カーナビゲーションシステムにおいて自車位置推定を担う部分について具体的に説明する。図1は自車位置の推定演算を行うメイン基板1とそれに接続される構成部を示したブロック図、図2はGPS受信機4のブロック図である。
図1に示すように、メイン基板1には、自車位置の推定演算を行うCPU2と、所定のデータやプログラム等が一時的に展開されるメモリ3が含まれている。また、メイン基板1には、GPS受信機4、車速パルスセンサ5、ジャイロセンサ6、地図データベース7が接続されている。メイン基板1は、これらの構成部4〜7から自車位置の推定演算に必要となる情報を取得するように構成されている。さらに、メイン基板1には、ナビゲーション用画面等を表示するための表示装置8が接続されている。
GPS受信機4は、地球を周回するGPS衛星のうちの幾つかを捕捉・追尾しており、捕捉・追尾したGPS衛星から受信するGPS信号を用いてGPS測位解を導き、メイン基板1に対し測位情報(位置、高度、速度など)を出力する部分である。
車速パルスセンサ5は、車両の左右の駆動輪の回転速度に基づいて車速パルスを出力する部分である。また、ジャイロセンサ6は、車両の水平面における方位に関する角速度を計測して出力電圧をメイン基板1側に送るようになっている。
地図データベース7は、地図情報を蓄積しており、その保存媒体・装置としては、例えばCD−ROMやDVD−ROM、HDD等、適宜選択自由である。地図データベース7への接続手段としては、保存媒体・装置をナビゲーションシステム本体に内蔵する以外に、ネットワークを経由して遠隔地に設置されたサーバーに接続する手段であっても良い。
なお、地図データベース7には、建造物の高さ情報(より詳しくは車両の走行面から建造物の最高点までの高さ)と、建造物の設置面積情報が入力されている。これらの情報を地図データベース7が格納することは、本実施形態を構成する上で不可欠である。
以上の構成を有するナビゲーションシステムでは、GPS受信機4から得られるGPS測位解によって車両の絶対的な位置が決定される。例えば、ナビゲーションシステムを起動させた時や、地図情報の無い地下駐車場から出庫した時などは、GPS受信機4からのGPS測位解に基づいて自車位置および方位が推定される。
ただし、GPS信号に含まれる位置情報には、ある程度の誤差が含まれている。そのため、地図データベース7から得られる地図情報をもとにして、GPS測位解から推定した自車位置および方位の補正を行うマップマッチングを実施する。
また、トンネルなどを車両が通過する場合、GPS衛星からのGPS信号が遮蔽されるので、測位演算を行うことができない。このようにGPS受信機4から測位解が得られない時は、車速パルスセンサ5からの車速パルスおよびジャイロセンサ6からの出力電圧を用いて自車位置を推定している。この時も当然、地図データベース7からの地図情報に基づくマップマッチングが実施される。
なお、車速パルスは、1パルスあたりの進んだ距離である距離係数が、車種、タイヤ径、車両重量、路面状態などで変化する。このため、車速パルスの距離係数に関しては、GPS受信機4から得られる測位情報(位置・速度)、ジャイロセンサ6からの出力電圧、地図データベース7から得られる地図情報(マップマッチング)を総合的に用いて、補正する必要がある。
また、ジャイロセンサ6に関しては、個体差やセンサの取り付け角度によりセンサ感度(deg/s/V)に誤差が生じる。さらに、0点電圧(バイアス)にも個体差があり、周囲温度で変化することが知られている。そこで、ジャイロセンサ6のセンサ感度とバイアスについても、GPS受信機4から得られる測位情報(位置・速度)と、車速パルスセンサ5からの車速パルス、地図データベース7から得られる地図情報(マップマッチング)を総合的に用いて補正する。
以上述べたように、ナビゲーションシステムでは、車速パルスの距離係数、ジャイロセンサ6のセンサ感度とバイアスについて、GPS受信機4から得られる測位情報とマップマッチング処理とを組み合わせて補正・学習(前述したセンサ学習)しながら、自車位置推定を行っている。そして、表示装置8が推定した自車位置を地図情報と共に表示画面に表示する。
続いて、図2を参照して、GPS受信機4について説明する。GPS受信機4は、アンテナ41、乗算器42、周波数シンセサイザ43、LPF(Low Pass Filter)44、A/D(Analog / Digital)変換器45、DSP(Digital Signal Processor)46、クロック47を備えている。
地球を周回するGPS衛星40は、50bpsの航法メッセージをC/Aコードと呼ばれるPRN(疑似雑音)符号で拡散し、1.57542GHzの搬送波を用いたBPSK変調方式でGPS信号を送信している。GPS受信機4では、GPS衛星40から発信されたGPS信号をアンテナ41で受信する。
乗算器42は、GPS信号帯域外(1.57542GHzと大きく異なる帯域)のノイズが減衰された受信信号をアンテナ41から入力し、周波数シンセサイザ43の発振周波数に基づいて受信信号をダウンコンバートして、LPF44に出力する。
ここで、受信信号は、安定動作や選択特性が改善される中間周波数すなわちIF(Intermediate Frequency)信号に変換される。IF信号は、LPF44によってノイズが減衰された後、A/D変換器45に入力される。A/D変換器45は、IF信号をサンプリングしてデジタルIF信号に変換し、DSP46に出力する。
GPS受信機4が二次元測位を行うものである場合、捕捉・追尾すべきGPS衛星数は少なくとも三機、GPS受信機4が三次元測位を行うものである場合、捕捉・追尾すべきGPS衛星数は少なくとも四機である。そのため、DSP46は、通常、捕捉・追尾すべきGPS衛星数以上に分配されたデジタルIF信号を入力している。
これらの分配されたデジタルIF信号は、それぞれ別個の系統の回路で処理される必要がある。このため、DSP46は、各デジタルIF信号を処理して複数のGPS衛星を同時捕捉・追尾できるよう、複数の受信チャンネル48を有している。つまり、各受信チャンネル48は、CPU2から指定されたGPS衛星のGPS信号を追尾して、所定のデジタルIF信号を入力する。
受信チャンネルは、PLL(Phase Lock Loop)回路であるキャリア・トラッキング・ループと、DLL(Delay Lock Loop)回路であるコード・トラッキング・ループとに大別される。各受信チャンネル48に入力されたデジタルIF信号は、キャリア・トラッキング・ループによりベースバンド信号に復調され、コード信号となる。また、DSP46の各受信チャンネル48では再生コード信号が生成される。
キャリア・トラッキング・ループによるコード信号と、DSP46で生成した再生コード信号とは、コード・トラッキング・ループによって位相同期を行って乗算することで逆拡散され、これにより航法メッセージが得られる。この航法メッセージに基づいて、GPS衛星の座標などが算出される。
さらに、コード・トラッキング・ループでGPS衛星のコード信号と同期する過程で、GPS衛星からGPS受信機4までの伝搬時間を得ることができる。そして、この伝搬時間と、前記GPS衛星の座標の算出結果とから、GPS衛星からGPS受信機4との疑似距離が求められる。このようにして得られた複数のGPS衛星との疑似距離により、GPS受信機4は正確な位置情報と時刻情報を算出することができる。
すなわち、GPS衛星iと、GPS受信機4の疑似距離ri[m]は、GPS衛星iの位置座標を(xi、yi、zi)、GPS受信機4の位置座標を(x、y、z)とすると、以下の式(1)で表される。ここで、cは光速、δはクロック47の誤差を除去するためのクロック・オフセット[秒]である。
CPU2は、例えば航法メッセージに基づいて算出された少なくとも四つの疑似距離に基づいて上記式(1)を解き、測位解を得る。上記式(1)において、未知数はGPS受信機4の位置座標(x、y、z)と、クロック・オフセットのδの4つである。そのため、CPU2は、最低でも四機個以上の衛星について、上記式(1)の連立方程式を解く必要がある。
なお、二次元測位の場合は、測位情報のうち高度を既知と仮定するので、少なくとも三機のGPS衛星について、上記式(1)の連立方程式を解けば良い。上記式(1)の連立方程式は非線形の連立方程式であるため、通常は適当な初期値を用いて線形化を行い、ニュートン・ラフソン法により解を求める。また、測位に用いる衛星数が五機以上(二次元測位の場合は四機以上)の場合は、GPS衛星の数が未知のパラメータの数よりも多くなるので、最小二乗法を用いて上記式(1)を解き、測位解を得ることができる。
[本実施形態における特徴的な構成]
続いて、本実施形態における特徴的な構成について、図3を用いて説明する。図3は、自車位置の推定演算を行うCPU2において、各機能を仮想的なブロックとして示した構成図である。
続いて、本実施形態における特徴的な構成について、図3を用いて説明する。図3は、自車位置の推定演算を行うCPU2において、各機能を仮想的なブロックとして示した構成図である。
図3に示すように、CPU2には、GPS測位解取得部10、判定エリア確定部11、設置面積情報取得部12L、12R、建造物選択部13L、13R、高さ情報取得部14L、14R、最大値算出部15L、15R、絶対値算出部16、危険度判定部17、GPS測位解判定部18が設けられている。
GPS測位解取得部10はGPS信号に基づいて、現在のGPS測位解を取得する部分である。判定エリア確定部11は、推定された自車位置を中心として、予め設定された半径rを持つ円形の判定エリアを確定する部分である。また、判定エリア確定部11にて確定された判定エリアは、自車から見て左右のハーフエリアに分割可能に構成されている。
左側のハーフエリアを作業対象として機能するブロックが、設置面積情報取得部12L、建造物選択部13L、高さ情報取得部14L、最大値算出部15Lである。一方、右側のハーフエリアを作業対象として機能するブロックが、設置面積情報取得部12R、建造物選択部13R、高さ情報取得部14R、最大値算出部15Rである。
設置面積情報取得部12L、12Rは、それぞれ左右のハーフエリア内に位置する建造物の設置面積情報を地図データベース7から取得する部分である。建造物選択部13L、13Rは、設置面積情報取得部12L、12Rの取得した設置面積情報に基づいて、所定以上の設置面積を有する建造物を、選択する部分である。また、高さ情報取得部14L、14Rは、それぞれ左右のハーフエリア内に位置する建造物の高さ情報を地図データベース7から取得する部分である。
ただし、高さ情報取得部14L、14Rは、建造物選択部13L、13Rの選択した建造物に限り、高さ情報を取得するように構成されている。つまり高さ情報取得部14L、14Rは、判定エリアに位置する建造物の中から所定の大きさ以上の設置面積を持つ建造物のみに絞って、当該建造物の高さ情報を取得するようになっている。
最大値算出部15L、15Rは、高さ情報取得部14L、14Rが取得した高さ情報に基づいて、左右のハーフエリアにおける高さの最大値を算出する部分である。絶対値算出部16は、最大値算出部15L、15Rにて算出した最大値の差を、左右のハーフエリアにおける高低差とし、その絶対値を算出する部分である。
危険度判定部17は、本実施形態の主要部であって、絶対値算出部16の算出した絶対値に基づいて、判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度を判定する部分である。危険度判定部17にはマルチパス障害発生危険度の判定閾値が予め設定されており、絶対値算出部16の算出した絶対値がこの判定閾値を超えたか否かを判定するように構成されている。
GPS測位解判定部18は、危険度判定部17の判定結果に基づき、GPS測位解取得部10が取得したGPS測位解について、自車位置の推定演算への採用または不採用を判定する部分である。すなわち、GPS測位解判定部18は、危険度判定部17がGPSマルチパス障害の発生危険度が所定の規定値を超えたと判定した場合にはGPS測位解取得部10の取得したGPS測位解を不採用とし、危険度判定部17がGPSマルチパス障害の発生危険度が所定の規定値未満であると判定した場合には、GPS測位解取得部10の取得したGPS測位解を採用するように構成されている。
[マルチパス障害の発生危険度判定処理フロー]
以上の構成を有する本実施形態におけるマルチパス障害の発生危険度判定について、図4〜図7を用いて説明する。図4は想定される自車周辺状況の平面図、図5は図4の俯瞰図、図6は図4の正面図、図7はGPS測位解の精度判定処理のフローチャートである。図4〜図6では本実施形態に係るカーナビゲーションシステムが搭載された車両が、道路を図中の上方に進行する場合を想定している。
以上の構成を有する本実施形態におけるマルチパス障害の発生危険度判定について、図4〜図7を用いて説明する。図4は想定される自車周辺状況の平面図、図5は図4の俯瞰図、図6は図4の正面図、図7はGPS測位解の精度判定処理のフローチャートである。図4〜図6では本実施形態に係るカーナビゲーションシステムが搭載された車両が、道路を図中の上方に進行する場合を想定している。
図7のフローチャートにて示すように、自車位置の推定演算を行うCPU2において、GPS測位解取得部10が現在のGPS測位解を取得した場合(S101)、判定エリア確定部11は予め設定された半径rから判定エリアを確定し、右のハーフエリア内に位置する建造物について、設置面積情報取得部12Rが設置面積情報を、高さ情報取得部14Rが建造物の高さ情報を、それぞれ地図データベース7から取得する(S102)。図4においてはビルR1〜R3が右のハーフエリア内に位置する建造物に該当する。
建造物選択部13Rは、設置面積情報取得部12Rの取得した建造物の設置面積情報から、設置面積が規定値以上の建造物を選択する(S103)。図4ではビルR3は設置面積が規定値よりも小さいということで除外され、ビルR1、R2が選ばれる。さらに、高さ情報取得部14Rの取得した建造物の高さ情報に基づき、最高点算出部15Rが右のハーフエリアにおける高さの最大値RH−Maxを算出する(S104)。ここでは、図6に示すようにビルR1の高さがRH−Maxとなる。
続いて、左のハーフエリアについても、同様の処理を行う。すなわち、左のハーフエリア内に位置する建造物について、設置面積情報取得部12Lが設置面積情報を、高さ情報取得部14Lが建造物の高さ情報を、それぞれ地図データベース7から取得する(S105)。図4においてはビルL1、L2が左のハーフエリア内に位置する建造物に該当する。
建造物選択部13Lは、設置面積情報取得部12Lの取得した建造物の設置面積情報から、設置面積が規定値以上の建造物を選択する(S106)。図4では設置面積が規定値よりも小さい建造物はなく、ビルL1、L2が共に選ばれる。さらに、高さ情報取得部14Lの取得した建造物の高さ情報に基づき、最高点算出部15Lが左のハーフエリアにおける高さの最大値LH−Maxを算出する(S107)。ここでは、図6に示すようにビルL1の高さがLH−Maxとなる。
次に、絶対値算出部16が左右のハーフエリアにおける最大値RH−Max、LH−Maxの差の絶対値dHを求める(S108、図6に図示)。また、危険度判定部17において、予め設定しておいた危険度判定閾値と、絶対値算出部16にて求めた絶対値dHとを比較する(S109)。
そして、絶対値dHが危険度判定閾値を超えた場合、GPS測位解判定部18は、自車位置の推定演算に際して現在のGPS測位解を採用しないようにする(S110)。一方、絶対値が閾値を超えていない場合には、GPS測位解判定部18は、現在のGPS測位解をとりあえず現在のGPS測位解を採用して、さらに採用判定作業を継続する(S111)。継続された採用判定作業では、衛星配置の誤差指標(DOP)や他のセンサ類との比較などの判定作業が行われる。
[作用効果]
以上のような本実施形態の作用効果は次の通りである。すなわち、GPSマルチパス障害は、自車周辺に高い建造物が存在しない場合(図8参照)や、道路の両側に高層建造物が存在する場合(図9参照)には、GPSマルチパス障害は発生し難い。
以上のような本実施形態の作用効果は次の通りである。すなわち、GPSマルチパス障害は、自車周辺に高い建造物が存在しない場合(図8参照)や、道路の両側に高層建造物が存在する場合(図9参照)には、GPSマルチパス障害は発生し難い。
図9に示した状況では、低仰角のGPS衛星40aから送信されるGPS信号(放送波)は、道路両側の高層建造物が障害物となって、直接波、反射波のどちらの経路でもGPS受信機4には到達し難い。また、高仰角のGPS衛星40bからのGPS信号は直接波の経路だけがGPS受信機4に到達し易く、反射波の経路を通るGPS信号はGPS受信機4に到達し難い。したがって、衛星配置の誤差指標であるDOPは劣化するものの、マルチパス障害の影響は低くなる。
本実施形態では、以上のことを利用しており、自車周辺の建造物の高さ情報から、自車周辺の場所がマルチパス障害の発生し易い場所であるかどうかを、危険度判定部17により判定し、マルチパス障害が発生し易い場所であれば、PS測位解取得部10の取得したGPS測位解を不採用としている。
以上のような本発明によれば、誤差を含む可能性の高いGPS測位解については、GPS測位解の精度を判定するまでもなく、これを迅速に排除することが可能である。したがって、精度の高いGPS測位解だけを選択的に採用し、現在位置の推定精度の向上に寄与することができる。
しかも、本実施形態では設置面積情報取得部12L、12Rおよび建造物選択部13L、13Rを具備したことで、判定エリアの中で設置面積が小さな建造物についてはGPSマルチパス障害の発生原因とはならないと判断可能である。このため、高さ情報取得部14L、14Rによる高さ情報の取得対象建造物を絞り込むことができる。したがって、最大値算出部15L、15Rは左右のハーフエリアにおける最大値を迅速且つ確実に算出することができる。
(2)他の実施形態
なお、本発明のナビゲーションシステムは、上記の実施形態に限定されるものではなく、判定エリア確定部11において半径rの大きさは適宜選択可能であり、判定エリアも円状に限らず、任意の形状を持つもので良い。また、危険度判定部17におけるマルチパス障害発生危険度の判定閾値や、建造物選択部13L、13Rにおける設置面積の大きさについても適宜変更可能である。
なお、本発明のナビゲーションシステムは、上記の実施形態に限定されるものではなく、判定エリア確定部11において半径rの大きさは適宜選択可能であり、判定エリアも円状に限らず、任意の形状を持つもので良い。また、危険度判定部17におけるマルチパス障害発生危険度の判定閾値や、建造物選択部13L、13Rにおける設置面積の大きさについても適宜変更可能である。
さらに、次のような実施形態も包含する。地図データベース7に予め算出したGPSマルチパス障害の発生危険度を入力しておき、その発生危険度を随時、地図データベース7から取得するようにしても良い。このような実施形態によれば、車両がこれから向かおうとする領域の判定エリアについて、その判定エリアに到達するよりも前に、発生危険度を把握することが可能である。これにより、精度の高いGPS測位解だけを的確に採用することができ、自車位置の推定演算処理に関して、正確性および迅速性がより向上する。
1…メイン基板
2…CPU
4…GPS受信機
7…地図データベース
10…GPS測位解取得部
11…判定エリア確定部
12L、12R…設置面積情報取得部
13L、13R…建造物選択部
14L、14R…高さ情報取得部
15L、15R…最大値算出部
16…絶対値算出部
17危険度判定部
18…GPS測位解判定部
40、40a、40b…GPS衛星
2…CPU
4…GPS受信機
7…地図データベース
10…GPS測位解取得部
11…判定エリア確定部
12L、12R…設置面積情報取得部
13L、13R…建造物選択部
14L、14R…高さ情報取得部
15L、15R…最大値算出部
16…絶対値算出部
17危険度判定部
18…GPS測位解判定部
40、40a、40b…GPS衛星
Claims (3)
- GPS衛星からGPS信号を受信するGPS受信機と、前記GPS受信機の受信したGPS信号に基づいてGPS測位解を取得するGPS測位解取得手段と、前記GPS測位解を用いて現在位置の推定演算を行う現在位置推定演算手段が設けられたナビゲーションシステムにおいて、
任意の広さを持つ判定エリアを設定する判定エリア設定手段と、
前記判定エリアに位置する建造物の高さ情報を取得する高さ情報取得手段と、
前記判定エリアを左右のハーフエリアに分割して前記高さ情報取得手段が取得した高さ情報に基づき各ハーフエリアにおける最高点を算出する最高点算出手段と、
左右のハーフエリアにおける最高点の高さの違いを算出する高低差算出手段と、
前記高低差算出手段の算出した高低差に応じて前記判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度を判定する危険度判定手段、が設けられており、
前記判定エリアにおけるGPSマルチパス障害の発生危険度が所定の規定値を超えたと前記危険度判定手段が判定した場合、前記GPS測位解取得手段が当該判定エリアで取得したGPS測位解については、前記現在位置推定演算手段は現在位置の推定演算に際して採用を見合わせるように構成されたことを特徴とするナビゲーションシステム。 - 前記判定エリアに位置する建造物の設置面積情報を取得する設置面積情報取得手段が設けられ、
前記高さ情報取得手段は、前記設置面積情報取得手段が取得した設置面積情報に基づき前記判定エリアに位置する建造物の中から所定の大きさ以上の設置面積を持つ建造物のみに限定して、前記判定エリアに位置する建造物の高さ情報を取得するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。 - 前記発生危険度判定手段の判定結果を格納するための判定結果格納手段が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーションシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009244572A JP2011089922A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | ナビゲーションシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009244572A JP2011089922A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | ナビゲーションシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011089922A true JP2011089922A (ja) | 2011-05-06 |
Family
ID=44108299
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009244572A Pending JP2011089922A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | ナビゲーションシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011089922A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2009
- 2009-10-23 JP JP2009244572A patent/JP2011089922A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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