JP2004168628A - 光ファイバ素線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる光ファイバ素線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光ファイバ裸線上に線引により紫外線硬化樹脂からなる一次被覆層及び二次被覆層を被覆した後、光ファイバ素線表面の静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように紫外線を照射して二次被覆層を硬化させて光ファイバ素線を製造することにより、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ裸線上に線引により紫外線硬化樹脂からなる一次被覆層及び二次被覆層を被覆した後、光ファイバ素線表面の静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように紫外線を照射して二次被覆層を硬化させて光ファイバ素線を製造することにより、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線及びその製造方法に係り、特に安定した高速線引が可能な光ファイバ素線及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバ素線は、光ファイバ裸線上に線引されるコーティング材として、紫外線硬化樹脂が主に用いられ、線引速度の高速化、線引長の長尺化が進んでいる。
【0003】
通常、線引後の品質チェックとして、巻替を兼ねたプルーフテストが行われる。
【0004】
プルーフテストとは、光ファイバ素線のガラスに強度の低い欠陥部分がないかを調べる試験であり、一定の張力を加えて巻替を実施することにより行われている。
【0005】
このプルーフテストにおいては光ファイバ素線を高速で走行させるため、ファイバ表面に摩擦による静電気が発生しやすく、この静電気により光ファイバ素線に巻乱れが生じ、伝送損失が増加するという問題がある。
【0006】
そのため、通常、巻替装置には静電気除去装置が取り付けられているが、その除電性能を安定して保つには、静電気センサのメンテナンスを頻繁に行う必要があり、さらに静電気除去装置は周囲環境に影響を受けやすいため、除電効果が不十分になる場合が多い。こうなると、再度巻替を実施したり、ひどい場合には廃却しなければならなくなってしまう。
【0007】
このようなことから、静電気除去装置の除電性能の影響を受けずに光ファイバ素線表面の静電気を除去する方法として、被覆層に紫外線硬化樹脂を用い、ラジカル反応を阻害する酸素を除去すべく、不活性ガスが導入された気密接続管内で紫外線を照射することにより、表面摩擦抵抗が低い光ファイバ素線を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−25140号公報(第3−4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術により製造される、表面摩擦抵抗が低い光ファイバ素線は、周囲の湿度によっては巻替時に巻乱れが生じることがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる光ファイバ素線及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、二次被覆層は、紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように紫外線を照射して硬化させて形成したものである。
【0012】
請求項2の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、二次被覆層は、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、摩擦低下剤が添加されているか又は表面に塗布されているものである。
【0013】
請求項3の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、二次被覆層として紫外線硬化樹脂を用い、この紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるまで紫外線を照射して硬化させる方法である。
【0014】
請求項4の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、二次被覆材に摩擦低下剤を添加するか又は表面に塗布して二次被覆層を形成する方法である。
【0015】
上記構成によれば、巻取ボビンへの巻取時に発生する静電気によるファイバ同士の反発作用が弱くなるので、巻乱れが生じにくくなり、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
本発明者らは、光ファイバ素線の巻取ボビンへの巻取時に巻乱れが生じる原因を調査した結果、光ファイバ素線の二次被覆層の表面摩擦係数が影響していることを見出した。
【0018】
本発明にかかる光ファイバ素線は、コアとクラッドとからなる光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられており、巻取ボビンに巻き取られている。そして、巻取ボビンへの巻取時の光ファイバ素線の二次被覆層間の表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になっている。
【0019】
一次被覆層及び二次被覆層としては、特に限定するものではないが、一般には紫外線硬化樹脂組成物が用いられる。
【0020】
紫外線硬化樹脂組成物としては、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート系などがある。
【0021】
さらに、一次被覆層には主にヤング率が0.5MPa〜10MPaのものが、二次被覆層にはヤング率が50MPa〜200MPaのものが用いられる。
【0022】
さらに、二次被覆層は、摩擦低下剤が添加されているか又は表面に塗布されている。
【0023】
摩擦低下剤としては、特に規定するものではなく、シリコーン系、フッ素系などの市販の樹脂を必要に応じて1種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
二次被覆層の表面静摩擦係数を0.25以下、動摩擦係数を0.20以下とするのは、それぞれがその値より大きくなると光ファイバ素線を高速でプルーフテストを行った場合に、ファイバ表面に生じる静電気が著しく大きくなり、発生した静電気によるファイバ同士の反発作用が強くなり、摩擦抵抗によりボビンへの巻取時に巻乱れが生じ、ボビン巻状態での伝送損失が大きくなるためである。また、湿度や除電装置の性能の変動による影響を受けやすくなるためである。
【0025】
ここでの摩擦係数は、図2(a)、図2(b)に示すような摩擦係数測定器を用い、ヘイドン法により測定した光ファイバ素線同士の摩擦係数を示す。
【0026】
具体的には、図2(a)、図2(b)に示すように、台座4上に平行な2組の光ファイバ素線1が交差するように設置され、その光ファイバ素線1上に、プローブ(例えば荷重165g)2と、そのプローブ2上に重り(例えば荷重100g)3とを載置し、矢印方向に移動させて動摩擦係数と静摩擦係数とを測定する。
【0027】
次に、本発明にかかる光ファイバ素線の製造方法を、作用と共に図1を用いて説明する。
【0028】
図1は光ファイバ裸線上に紫外線硬化樹脂被覆層を設けるための紫外線照射装置の概略図である。
【0029】
図1に示すように、光ファイバ裸線上に被覆層を設けるには、光ファイバ裸線上に線引により紫外線硬化樹脂が被覆された光ファイバ素線を通過させる石英管5と紫外線を発生するUVランプ6とがほぼ平行に設けられ、それら石英管5とUVランプ6とを取り囲むように、半円筒状の2つの反射板7が設けられた紫外線照射装置を用いる。
【0030】
さらに、図示されていないが、石英管5内に酸素が存在するとラジカルが酸素とすぐに反応し、硬化反応が阻害されるため、二次被覆層の表面硬化を十分に行うために、通常、硬化反応は窒素ガスを充填した不活性雰囲気で行われるようになっている。
【0031】
酸素のパージが不十分であると、二次被覆層表面の硬化が不十分となり、表面のタック性が強くなり、摩擦係数も大きくなるため、石英管5内の酸素濃度は少なくとも1%以下に抑えられている。
【0032】
この紫外線照射装置を用いてボビン巻光ファイバ素線を製造するに際しては、光ファイバ裸線としての石英ガラスファイバ(例えば直径d=125±1μm)上に、一次被覆層(例えば約35μm厚)及び二次被覆層(例えば約25μm厚)を被覆する。
【0033】
このとき、一次被覆層に対して図1に示したような4kWのUVランプ6を2灯(ランプ長各250mm)用い、二次被覆層に対して6kWのUVランプ6を4灯(ランプ長各250mm)用い、線引速度1200m/minで1000km線引し、石英管5内で被覆層を硬化させた後、送出ボビンに巻き取る。
【0034】
これにより、巻取ボビンへの巻取時の静電気によるファイバ同士の反発作用が弱くなるので、巻乱れが生じにくくなり、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明のより具体的な実施例を比較例を用いて説明する。
【0036】
まず、二次被覆層として表1に示すA〜Dの二次被覆材を用い、二次被覆材A,Bを用いた実施例I,II及び二次被覆材C,Dを用いた比較例I,IIの光ファイバ素線を3000kmずつ製造した。
【0037】
【表1】
【0038】
そして、これらの実施例I,II及び比較例I,IIについて、線引後の送出ボビンから25kmずつ、プルーフテストを兼ねた巻替を速度1200m/minで行い、巻替した光ファイバ素線を、OTDR(Optical Time Domain Refractmeter)を用いて、巻乱れにより生じる段差の有無を確認した。なお、巻替試験は、周囲相対湿度を50%、60%、70%と変えた場合と、静電気除去装置の有無とについて行い、段差が1ヶ所でも確認された巻取ボビンはNGとして各条件の巻替歩留を調べた。その結果を、表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、実施例I及び実施例IIと比較例I及び比較例IIとから、二次被覆材の静摩擦係数が0.23以下でかつ動摩擦係数が0.17以下であれば湿度50%、60%、70%において、従来の約2倍〜6倍の歩留が得られることが分かる。さらに、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さいほど、湿度の高低や静電気除去装置の有無に関わらず巻替性の安定化が図られ、歩留が向上することが分かる。
【0041】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバ裸線上に紫外線硬化樹脂被覆層を形成するための紫外線照射装置の概略図である。
【図2】(a)は表面摩擦係数測定器の上面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【符号の説明】
5 石英管
6 UVランプ
7 反射板
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線及びその製造方法に係り、特に安定した高速線引が可能な光ファイバ素線及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバ素線は、光ファイバ裸線上に線引されるコーティング材として、紫外線硬化樹脂が主に用いられ、線引速度の高速化、線引長の長尺化が進んでいる。
【0003】
通常、線引後の品質チェックとして、巻替を兼ねたプルーフテストが行われる。
【0004】
プルーフテストとは、光ファイバ素線のガラスに強度の低い欠陥部分がないかを調べる試験であり、一定の張力を加えて巻替を実施することにより行われている。
【0005】
このプルーフテストにおいては光ファイバ素線を高速で走行させるため、ファイバ表面に摩擦による静電気が発生しやすく、この静電気により光ファイバ素線に巻乱れが生じ、伝送損失が増加するという問題がある。
【0006】
そのため、通常、巻替装置には静電気除去装置が取り付けられているが、その除電性能を安定して保つには、静電気センサのメンテナンスを頻繁に行う必要があり、さらに静電気除去装置は周囲環境に影響を受けやすいため、除電効果が不十分になる場合が多い。こうなると、再度巻替を実施したり、ひどい場合には廃却しなければならなくなってしまう。
【0007】
このようなことから、静電気除去装置の除電性能の影響を受けずに光ファイバ素線表面の静電気を除去する方法として、被覆層に紫外線硬化樹脂を用い、ラジカル反応を阻害する酸素を除去すべく、不活性ガスが導入された気密接続管内で紫外線を照射することにより、表面摩擦抵抗が低い光ファイバ素線を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−25140号公報(第3−4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術により製造される、表面摩擦抵抗が低い光ファイバ素線は、周囲の湿度によっては巻替時に巻乱れが生じることがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる光ファイバ素線及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、二次被覆層は、紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように紫外線を照射して硬化させて形成したものである。
【0012】
請求項2の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、二次被覆層は、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、摩擦低下剤が添加されているか又は表面に塗布されているものである。
【0013】
請求項3の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、二次被覆層として紫外線硬化樹脂を用い、この紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるまで紫外線を照射して硬化させる方法である。
【0014】
請求項4の発明は、光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、二次被覆材に摩擦低下剤を添加するか又は表面に塗布して二次被覆層を形成する方法である。
【0015】
上記構成によれば、巻取ボビンへの巻取時に発生する静電気によるファイバ同士の反発作用が弱くなるので、巻乱れが生じにくくなり、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
本発明者らは、光ファイバ素線の巻取ボビンへの巻取時に巻乱れが生じる原因を調査した結果、光ファイバ素線の二次被覆層の表面摩擦係数が影響していることを見出した。
【0018】
本発明にかかる光ファイバ素線は、コアとクラッドとからなる光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられており、巻取ボビンに巻き取られている。そして、巻取ボビンへの巻取時の光ファイバ素線の二次被覆層間の表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になっている。
【0019】
一次被覆層及び二次被覆層としては、特に限定するものではないが、一般には紫外線硬化樹脂組成物が用いられる。
【0020】
紫外線硬化樹脂組成物としては、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート系などがある。
【0021】
さらに、一次被覆層には主にヤング率が0.5MPa〜10MPaのものが、二次被覆層にはヤング率が50MPa〜200MPaのものが用いられる。
【0022】
さらに、二次被覆層は、摩擦低下剤が添加されているか又は表面に塗布されている。
【0023】
摩擦低下剤としては、特に規定するものではなく、シリコーン系、フッ素系などの市販の樹脂を必要に応じて1種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
二次被覆層の表面静摩擦係数を0.25以下、動摩擦係数を0.20以下とするのは、それぞれがその値より大きくなると光ファイバ素線を高速でプルーフテストを行った場合に、ファイバ表面に生じる静電気が著しく大きくなり、発生した静電気によるファイバ同士の反発作用が強くなり、摩擦抵抗によりボビンへの巻取時に巻乱れが生じ、ボビン巻状態での伝送損失が大きくなるためである。また、湿度や除電装置の性能の変動による影響を受けやすくなるためである。
【0025】
ここでの摩擦係数は、図2(a)、図2(b)に示すような摩擦係数測定器を用い、ヘイドン法により測定した光ファイバ素線同士の摩擦係数を示す。
【0026】
具体的には、図2(a)、図2(b)に示すように、台座4上に平行な2組の光ファイバ素線1が交差するように設置され、その光ファイバ素線1上に、プローブ(例えば荷重165g)2と、そのプローブ2上に重り(例えば荷重100g)3とを載置し、矢印方向に移動させて動摩擦係数と静摩擦係数とを測定する。
【0027】
次に、本発明にかかる光ファイバ素線の製造方法を、作用と共に図1を用いて説明する。
【0028】
図1は光ファイバ裸線上に紫外線硬化樹脂被覆層を設けるための紫外線照射装置の概略図である。
【0029】
図1に示すように、光ファイバ裸線上に被覆層を設けるには、光ファイバ裸線上に線引により紫外線硬化樹脂が被覆された光ファイバ素線を通過させる石英管5と紫外線を発生するUVランプ6とがほぼ平行に設けられ、それら石英管5とUVランプ6とを取り囲むように、半円筒状の2つの反射板7が設けられた紫外線照射装置を用いる。
【0030】
さらに、図示されていないが、石英管5内に酸素が存在するとラジカルが酸素とすぐに反応し、硬化反応が阻害されるため、二次被覆層の表面硬化を十分に行うために、通常、硬化反応は窒素ガスを充填した不活性雰囲気で行われるようになっている。
【0031】
酸素のパージが不十分であると、二次被覆層表面の硬化が不十分となり、表面のタック性が強くなり、摩擦係数も大きくなるため、石英管5内の酸素濃度は少なくとも1%以下に抑えられている。
【0032】
この紫外線照射装置を用いてボビン巻光ファイバ素線を製造するに際しては、光ファイバ裸線としての石英ガラスファイバ(例えば直径d=125±1μm)上に、一次被覆層(例えば約35μm厚)及び二次被覆層(例えば約25μm厚)を被覆する。
【0033】
このとき、一次被覆層に対して図1に示したような4kWのUVランプ6を2灯(ランプ長各250mm)用い、二次被覆層に対して6kWのUVランプ6を4灯(ランプ長各250mm)用い、線引速度1200m/minで1000km線引し、石英管5内で被覆層を硬化させた後、送出ボビンに巻き取る。
【0034】
これにより、巻取ボビンへの巻取時の静電気によるファイバ同士の反発作用が弱くなるので、巻乱れが生じにくくなり、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明のより具体的な実施例を比較例を用いて説明する。
【0036】
まず、二次被覆層として表1に示すA〜Dの二次被覆材を用い、二次被覆材A,Bを用いた実施例I,II及び二次被覆材C,Dを用いた比較例I,IIの光ファイバ素線を3000kmずつ製造した。
【0037】
【表1】
【0038】
そして、これらの実施例I,II及び比較例I,IIについて、線引後の送出ボビンから25kmずつ、プルーフテストを兼ねた巻替を速度1200m/minで行い、巻替した光ファイバ素線を、OTDR(Optical Time Domain Refractmeter)を用いて、巻乱れにより生じる段差の有無を確認した。なお、巻替試験は、周囲相対湿度を50%、60%、70%と変えた場合と、静電気除去装置の有無とについて行い、段差が1ヶ所でも確認された巻取ボビンはNGとして各条件の巻替歩留を調べた。その結果を、表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、実施例I及び実施例IIと比較例I及び比較例IIとから、二次被覆材の静摩擦係数が0.23以下でかつ動摩擦係数が0.17以下であれば湿度50%、60%、70%において、従来の約2倍〜6倍の歩留が得られることが分かる。さらに、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さいほど、湿度の高低や静電気除去装置の有無に関わらず巻替性の安定化が図られ、歩留が向上することが分かる。
【0041】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、湿度や静電気除去装置の除電効果の変動に影響されることなく安定した巻替を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバ裸線上に紫外線硬化樹脂被覆層を形成するための紫外線照射装置の概略図である。
【図2】(a)は表面摩擦係数測定器の上面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【符号の説明】
5 石英管
6 UVランプ
7 反射板
Claims (4)
- 光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、上記二次被覆層は、紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように紫外線を照射して硬化させたものであることを特徴とする光ファイバ素線。
- 光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層が順次設けられた光ファイバ素線において、上記二次被覆層は、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、摩擦低下剤が添加されているか又は表面に塗布されていることを特徴とする光ファイバ素線。
- 光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、上記二次被覆層として紫外線硬化樹脂を用い、該紫外線硬化樹脂を、不活性ガス雰囲気内で表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるまで紫外線を照射して硬化させることを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
- 光ファイバ裸線上に一次被覆層及び二次被覆層を順次設ける光ファイバ素線の製造方法において、表面静摩擦係数が0.25以下及び動摩擦係数が0.20以下になるように、上記二次被覆材に摩擦低下剤を添加するか又は表面に塗布して上記二次被覆層を形成することを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
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