JP2004168521A - 画像記録装置 - Google Patents

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恒雄 牧
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Abstract

【課題】インクミストやインクの漏出によって高圧電源が故障し、搬送ベルトの帯電不良が生じて用紙搬送が行えなくなる。
【解決手段】用紙12を搬送する搬送ベルト22を帯電させるための帯電ローラ26に対して高電圧を供給する高圧電源31を備え、高圧電源31の基盤34は基盤面が記録ヘッド4のノズル面よりも高い位置になるように、ヘッドノズル面に対してクリアランスCを持たせて配置し、インクミストが基盤34に付着して高圧電源31が故障することを防止した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は画像記録装置に関し、特に搬送ベルトを用いて用紙を搬送する画像記録装置に関する。
【0002】
【特許文献1】特許第2897960号公報
【特許文献2】特開平7−53081号公報
【0003】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置(或いは画像形成装置ともいう。)として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インク記録ヘッドから用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含むインク滴が付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙などとも称される。)にインクを吐出して記録を行うものであり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
【0004】
インクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものが知られている。
【0005】
ところで、インクジェット記録方式ではインクを用紙にインクを付着させるために、画像を形成すると用紙はインクに含まれる水分によって伸びる現象がある。この現象をコックリングと呼んでいる。このコックリングによって用紙は波打ち、ヘッドのノズルと用紙表面の位置が場所場所で変化する。このコックリングの程度が悪くなると、最悪の場合、用紙がヘッドのノズル面と接触して、ヘッドのノズル面を汚したり、用紙自身も汚れてしまって画像品質が低下し、加えてコックリングの影響でインク滴の着弾位置がずれてしまうこともある。
【0006】
そのため、インクジェット記録装置では用紙のコックリングを吸収する凹みを設けたプラテン上で印字が行われ、用紙の押えとして周上に突起を有する拍車を設けているが、この拍車による画像のひっかき傷が生じることも問題となっている。
【0007】
また、従来のインクジェット記録装置では用紙の送りをローラによって行っており、印字領域を挟んで2組のローラ(一方は前述のよう拍車とコロの組み合わせ)が配置されている。しかし、この構成では用紙の送り精度を保証できるのは用紙がこの2組のローラに噛んでいる状態でのみである。
【0008】
ところが、近年は、画像印字領域の増大が望まれているため、印字領域を確保するために本来であれば用紙の送り精度を保証できない状態、つまり2組あるローラの内、一方のローラ対にしか用紙が噛んでいない状態で印字を行うようにしたインクジェット記録装置も存在する。しかしながら、片方のローラ対にしか用紙が噛んでいない状態では、用紙の浮きが発生した場合は、対処できなかったり、用紙搬送力が確保できないために送りの精度を保証できないので、画像品質も低下するという問題が生じる。
【0009】
インクジェット記録装置において、高画質化を追求すると、インク液滴の用紙への着弾位置精度が求められ、用紙の平面度を向上させる必要があるが、前述したように、普通紙に印字した場合には、インクに含まれる水分によって、紙の繊維が膨潤し波状に変形してしまい、ドットの着弾位置にずれが生じてしまうことになる。これまでのところ、紙にインクが付着してから3秒程度以上かかってこの紙の変形が大きく発生することが判明している。
【0010】
そこで、
【特許文献1】や
【特許文献2】に記載されているように、用紙の平面性を維持するために、無端状の帯電ベルトを備え、帯電ベルト表面を帯電して用紙を静電吸着させ、この状態で帯電ベルトを周回させることで用紙を搬送することにより、用紙の帯電ベルトからの浮き上がりを防止して、高い平面性を維持できるようにしたインクジェット記録装置が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクジェット記録装置における共通の課題として、記録時に本来画像形成には必要とされない極めて体積が小さな所謂インクミストが発生するという問題がある。すなわち、インクジェットヘッドのノズルからインクが吐出されると、画像を形成する主滴と同時に、極めて体積が小さなインクミストもノズルから放出される。
【0012】
このインクミストは吐出するインク滴体積が小さくなるほど発生しやすく、高画質化のため、数ピコリットルといった非常に小さなインク滴を吐出するようになっているため、インクミストの発生が無視できなくなっている。
【0013】
特に、前述した静電アクチュエータやサーマルアクチュエータを用いたインクジェットヘッドでは、一つのノズルから複数の体積のインク滴を吐出することが難しいため、記録素子密度を高くするようにしたり、複数の吐出で一つの画素を形成するようにしており、その分、吐出回数に比例してインクミスト数も増加するため、よりインクミストの問題が顕在化している。
【0014】
また、インクジェット記録装置においては、普通紙への記録品質を向上するために、定着処理液を予め用紙上に着弾させた後インク滴を着弾させるようにしたものもあり、このような記録装置では、インクミストだけでなク、定着処理液ミストも飛散するようになる。
【0015】
さらに、インクジェット記録装置においては、ヘッドの機能維持回復するために、増粘インク、気泡、異物などを除去するために予備吐出或いは強制排出することが行われている。
【0016】
一方、前述したように用紙を搬送ベルトを帯電させて搬送するためには、搬送ベルトを帯電させるために高圧電源が必要になり、この高圧電源からの出力ケーブルが機内をはい回ると、電波障害が発生する場合がある。したがって、なるべくベルトを帯電するための帯電手段の近傍に配置することが好ましい。
【0017】
ところが、このような搬送ベルトを用いたインクジェット記録装置において、経時的に高圧電源がショートし、電源故障や作動不良が生じて、用紙搬送不良が発生することが判明した。本発明者はその原因を究明したところ、上述したように最近のインクジェット記録装置においては、装置内で、記録用、あるいは定着用のインクミストが飛散して、このミストが高圧電源の基盤に降りかかったり、あるいは予備吐出や強制吐出などによってヘッドからこぼれたインクによって基盤が濡れてしまったりすることにその原因があることが判明した。
【0018】
本発明は上記の課題とその原因究明の結果に鑑みてなされたものであり、高圧電源の故障を可及的に低減して信頼性を向上したインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、用紙を搬送する搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源の基盤面は記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されている構成とした。
【0020】
本発明に係る画像記録装置は、用紙を搬送する搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源のカバーは記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されている構成とした。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像記録装置の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の全体構成を説明する構成図、図2は同記録装置の要部平面説明図、図3は同記録装置の要部正面図である。
【0022】
このインクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド1と従ガイドロッド2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって図2で矢示方向に移動走査される。
【0023】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド4を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0024】
記録ヘッド4を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0025】
また、キャリッジ3には、記録ヘッド4に各色のインクを供給するための各色のサブタンク5を交換可能に搭載している。このサブタンク5には図示しないインク供給チューブ6を介してメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0026】
一方、給紙カセットなどの用紙積載部11に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)13及び給紙コロ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙コロ13側に付勢されている。
【0027】
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド4の下方側で搬送するための搬送部として、搬送ガイド21と、搬送ベルト22と、搬送ベルト22の表面に当接する中間加圧コロ23及び押さえ部材24で搬送ローラ22側に付勢された先端加圧コロ25とを備え、また搬送ベルト22表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
【0028】
ここで、搬送ベルト22は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、矢示A方向(ベルト搬送方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト22は、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った中抵抗層(アース層)とを有している。
【0029】
帯電ローラ26は、搬送ベルト22の表層に接触し、搬送ベルト22の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ローラ27はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト22の中抵抗層と接触配置され、接地ライン29を介して接地している。
【0030】
この帯電ローラ26に対して搬送ベルト22表面を帯電させるための高電圧を印加する高圧電源31は、本体構造体(前ステー)32上に配置し、高圧電源31から高圧供給ケーブル33を介して帯電ローラ26に高電圧を供給するようにしている。
【0031】
この高圧電源の供給ケーブル33の長さが長くなると、ノイズを発生して記録ヘッド4の駆動に対して影響を与えるおそれがあるので、高圧電源31は装置本体内部に設置することが好ましく、かつ供給ケーブル33の長さも短くすることが好ましい。
【0032】
そして、この高圧電源31の基盤34は、図3に示すように、基盤面が記録ヘッド4のノズル面よりも高い位置になるように、すなわちヘッドノズル面に対してクリアランスCを持たせて配置している。
【0033】
さらに、記録ヘッド4で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト22から用紙12を分離するための分離部41と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ42とを備えている。
【0034】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、この給紙された用紙12は用紙ガイド21で案内され、搬送ベルト22と中間コロ23、先端コロ25との間で順次挟まれて給送される。
【0035】
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源31から帯電ローラ26に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すよう、つまり交番する電圧が印加され、帯電ベルト22が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した帯電ベルト22上に用紙12が給送されると、用紙12内で帯電パターンと反対の電荷に分極するので、平行接続されたコンデンサが形成されたこととなり、用紙12が帯電ベルト22に吸着され、帯電ベルト22の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0036】
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ42に排紙する。
【0037】
なお、キャリッジ3の移動方向の一端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド4の吐出不良を回復するための回復装置を配置し、待機中にはこの回復装置側に移動してキャッピング手段で記録ヘッド4をキャッピングし、ノズル部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止し、また、記録途中などでも記録と関係しないインク滴を吐出させることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持するようにしている。
【0038】
また、吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド4のノズルを密封し、チューブを通して吸引手段でノズルからインクとともに気泡等を吸い出し、ノズル面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去して吐出不良を回復するための処理を行う。
【0039】
このインクジェット記録装置においては、高圧電源31の基盤34は基盤面が記録ヘッド4のノズル面よりも高い位置になるように、すなわちヘッドノズル面に対してクリアランスCを持たせて配置している。したがって、記録ヘッド4からインク滴を吐出することによって発生するサテライト滴など、インクミストが舞ったとしても、ノズル面よりも上方に位置する高圧電源31の基盤34に付着しづらくなり、仮に、インクが記録ヘッド4若しくはインク供給経路からこぼれたとしても、高圧電源31の基盤34がインクにさらされることがなくなる。
【0040】
これにより、高圧電源31の基盤34がインクミストなどに晒されて基盤34が濡れてしまったりして、高圧電源31がショートなどして故障することが防止され、長期にわたり、安定した記録を、信頼性高く行うことができる。
【0041】
次に、本発明に係る画像記録装置の第2実施形態について図4を参照して説明する。なお、同図は同記録装置の要部正面図である。
このインクジェット記録装置では、高圧電源31に基盤34を覆うカバー35を備え、このカバー35の上面が記録ヘッド4のノズル面よりも高い位置になるように、すなわちヘッドノズル面に対してクリアランスCを持たせて配置している。
【0042】
このように、高圧電源31にカバー35を施すことで、ユーザーが電源に触れることができなくなるだけでなく、インクミストが装置内の気流の影響(搬送ベルト22の周回動やキャリッジ3の主走査動で気流が発生する。)によって、ノズル面より高い位置にまで舞ったとしても、高圧電源31の基盤34(回路)にインクが付着し、ショートすることが防止される。
【0043】
さらに、高圧電源31の排熱のために、カバー35上面に通風口を設ける場合でも、カバー35の上面の位置をヘッドノズル面より高い位置としているので、たとえ記録ヘッド4などからインクが漏出したとしても、高圧電源31内の回路にインクが付着し、ショートすることもなく、長期にわたり、安定した記録を、信頼性高く行うことができる。
【0044】
この第2実施形態と第1実施形態とを組み合わせて、高圧電源31にカバー35を備え、かつ、基盤34がノズル面よりも高い位置に配置することで、より効果的である。
【0045】
なお、上記実施形態においては、本発明をキャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【0046】
また、本発明に係る画像記録装置は、インクジェットプリンタ以外にも、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができる。さらに、インク以外の液体、例えばレジスト、医療分野におけるDNA試料を吐出させる画像記録装置にも適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像記録装置によれば、用紙を搬送する搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源の基盤面は記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されている構成としたので、液体ミストなどによる高圧電源の故障が低減し、安定した用紙搬送を行うことができ、信頼性が向上する。
【0048】
本発明に係る画像記録装置によれば、用紙を搬送する搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源のカバーは記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されている構成としたので、液体ミストなどによる高圧電源の故障が低減し、安定した用紙搬送を行うことができ、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像記録装置の模式的構成図
【図2】同記録装置の要部平面説明図
【図3】同記録装置の要部正面説明図
【図4】本発明の第2実施形態に係る画像記録装置の要部正面説明図
【符号の説明】
3…キャリッジ、4…記録ヘッド、12…用紙、22…搬送ベルト、26…帯電ローラ、31…高圧電源、32…ステイ、33…高圧供給ケーブル、34…基盤、35…カバー。

Claims (2)

  1. 無端状の搬送ベルト表面を帯電させて用紙を搬送し、記録ヘッドから液滴を吐出して前記用紙に画像を記録する画像記録装置において、前記搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源の基盤面は前記記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されていることを特徴とする画像記録装置。
  2. 無端状の搬送ベルト表面を帯電させて用紙を搬送し、記録ヘッドから液滴を吐出して前記用紙に画像を記録する画像記録装置において、前記搬送ベルト表面を帯電させるための高圧電源を備え、この高圧電源のカバーは前記記録ヘッドのノズル面よりも高い位置に配置されていることを特徴とする画像記録装置。
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