JP2004167972A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像鮮明性が高く、写真画質に匹敵する高画質の記録が可能で、保存安定性に優れ、白地の色変動性の少ないインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と白地調整剤を含む多孔質インク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。尚、上記白地調整剤が蛍光増白剤であること、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物がブタジエンを単量体として含む重合体(特に数平均分子量500〜10,000のポリブタジエン)であること、多孔質インク受容層が、平均粒径30〜200nmのシリカ粒子、親水性バインダーを含有し、該シリカ粒子と親水性バインダーの比が3:1〜10:1であること、は何れも好ましい態様である。
【選択図】 なし
【解決手段】分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と白地調整剤を含む多孔質インク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。尚、上記白地調整剤が蛍光増白剤であること、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物がブタジエンを単量体として含む重合体(特に数平均分子量500〜10,000のポリブタジエン)であること、多孔質インク受容層が、平均粒径30〜200nmのシリカ粒子、親水性バインダーを含有し、該シリカ粒子と親水性バインダーの比が3:1〜10:1であること、は何れも好ましい態様である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用紙に関し、詳しくは、画像鮮明性、保存安定性に優れ、高画質で白地の色変動性が少ないインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙とも言う)の面からも改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に顔料と親水性ポリマーから成る微小な多孔質層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を示し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング(いわゆる皺)の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。更に、水溶性染料インクを用いたプリント画像は、鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
【0003】
しかしながら、この水溶性染料は、高画質な画像が得られる反面、顔料に比較して保存性が悪く、太陽光あるいは室内光による褪色、空気中に存在するオゾン等の酸化性ガス等による褪色が大きいことが課題となっている。特に、微小な多孔質層を設けた空隙型の記録用紙では、染料と室内の空気との接触面積が広くなるため、空気中の酸化性ガスによる影響を受け易く、改良が望まれている。
【0004】
このような保存による劣化を改善する為に、従来から、褪色防止剤として各種の紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することが多数提案されている。特に、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系化合物、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系化合物、ヒンダードフェノール系化合物とヒンダードアミン系化合物の併用、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、燐酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体など枚挙に暇がないほど提案されている。
【0005】
しかしながら、微細な空隙孔を有するインクジェット記録用紙においては、効果が必ずしも充分とは言い難く、充分な褪色防止効果を得る為に、こうした各種の褪色防止剤を多量に添加すると、多孔質層のインク吸収性を低下させてしまう問題を有していた。
【0006】
一方、ブタジエンゴム等、分子内に不飽和結合を有する樹脂は、主に油性インクの溶剤を吸収させる樹脂としてインクジェット記録用紙に使用できることは従来から知られている。又、ジエン系重合体又はその水添化物をスルホン化し、親水化することにより、水系インクの吸収性を改善する使用法が開示されている。
【0007】
又、脂肪族系炭素炭素二重結合を有する化合物を含有するインクジェット記録用紙により、形成画像の褪色が防止されることも開示されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、上記化合物に含まれる二重結合の割合が低く、その効果は十分ではなく、白地の色変動に関しては言及されていない。
【0008】
又、ブタジエン成分を20〜45%含有するスチレン−ブタジエンラテックスを結着剤として使用し、特定染料との組合せで保存性を改良できることの開示もある(例えば特許文献2参照。)が、結着剤として使用しているためブタジエン比率が低く、その効果は限られていた。
【0009】
又、インクジェット記録用紙の白度について、視覚的な白さは個人の好みによっても異なるが、一般的には無彩な白さよりも寧ろ青味を帯びた白の方が、より白く見えることが知られており、このような青味を帯びた白さへの改善に蛍光増白剤を使用することはよく知られた技術である。
【0010】
一般に、蛍光増白剤は、紫外光を吸収し、やや青味を帯びた蛍光を発することで、対象物をより白くみせる効果がある。多孔質インク受容層を利用したインクジェット記録材料においても、白地改良のために蛍光増白剤を使用することが開示されている(例えば特許文献3参照。)。
【0011】
一方、印刷に用いられる印刷用紙の白地は、純粋な白ではなく、目的に応じて色合いを持たせているのが一般的で、インクジェット記録方式を利用して、印刷物の仕上がりを事前に確認するような印刷校正用途に使用されるインクジェット記録用紙は、蛍光増白剤以外にも数種の着色剤を添加して、印刷用紙の色に調整することも開示されている(例えば特許文献4参照。)。
【0012】
しかしながら、前述の如く多孔質インク受容層は、オゾン等の有害ガスの影響を受け易いため、蛍光増白剤や他の着色剤で調整した白地は、有害ガスによる蛍光増白剤や着色剤の失活あるいは変褪色が起き易く、経時での色変動が大きいことが課題となっていた。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−264478号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平9−11613号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2000−211247号公報
【0016】
【特許文献4】
特開2001−205923号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、画像鮮明性が高く、写真画質を達成した高画質の記録が可能で、保存安定性に優れ、白地の色変動性の少ないインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0019】
1)分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と白地調整剤を含有する多孔質インク受容層を有するインクジェット記録用紙。
【0020】
2)白地調整剤が蛍光増白剤である1)記載のインクジェット記録用紙。
3)分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物が、ブタジエンを単量体として含む重合体である1)又は2)記載のインクジェット記録用紙。
【0021】
4)ブタジエンを単量体として含む重合体が、数平均分子量が500〜10,000のポリブタジエンである3)記載のインクジェット記録用紙。
【0022】
5)多孔質インク受容層が、平均粒径30〜200nmのシリカ粒子、親水性バインダーを含有し、かつシリカ粒子:親水性バインダー比(質量比)が3:1〜10:1である1)、2)又は3)記載のインクジェット記録用紙。
【0023】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を多孔質のインク受容層に含有させることにより、染料の保存性が改良された。特に、多孔質のインク受容層で課題となっていた、酸化性ガス特にオゾンガスによる水系染料インクの褪色が飛躍的に改善された。保存性が改善された理由は定かではないが、炭素−炭素不飽和結合が、室内の酸化性ガスと適度な反応性を有し、染料の褪色を防止しているものと推定している。例えば、ゴム系樹脂の劣化が、樹脂内の不飽和結合を反応性基として進行し、酸素、オゾン、ラジカル、過酸化物により引き起こされることは知られている。
【0024】
このゴムの劣化を防ぐため、ヒンダードフェノール類、アミン類、硫黄系化合物、燐系化合物が酸化防止剤として使用されている。これらの酸化防止剤は、従来技術で記載した通り、染料の褪色防止剤としてインクジェット記録用紙への応用が為されて来た。
【0025】
しかしながら、これらの酸化防止剤は、反応性が高いとされるゴム系樹脂の不飽和結合よりも更に高い反応性を有するため、樹脂の劣化防止剤として使用されるもので、室内の酸化性ガスの影響を特に受け易い微細な空隙孔をインク受容層に有する空隙型のインクジェット記録用紙では、その消費が早く持続的な効果が得られ難いものと推定している。ゴム系樹脂に内在するような不飽和結合は、染料に比較して酸化性ガスに対する反応性が高く、褪色防止効果を有するが前述の酸化防止剤に比較すれば安定であるため持続性があり、より高い褪色防止能を有するものと推定している。
【0026】
又、分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を多孔質のインク受容層に含有させることにより、プリント画像の褪色のみならず、多孔質インク受容層中に存在し、インクジェット記録用紙の白地調整を行っている、蛍光増白剤及び着色剤の失活及び変褪色を防止することができるため、白地部の色変動性の少ない多孔質インク受容層を有するインクジェット記録用紙が提供できた。
【0027】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の記録用紙は、水系染料インクの記録用紙として好適に使用される。水系染料インクとは、水溶性あるいは水分散性の染料を色材に使用したインクで、インク溶媒として水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を混合して成るインクである。染料としては、従来公知のアゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系、キノン系、アントラキノン系染料等を、スルホ基又はカルボキシル基を導入して水溶性を向上させた酸性染料や直接染料、又は塩基性染料が代表的に用いられる。又、水溶性の低い分散染料を、水系溶媒に安定に分散した水系の分散染料インクを使用することもできる。
【0028】
インク溶媒としては、水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を単独又は水と混合して使用することができ、具体的にはエタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;トリエタノールアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンテトラミン等のアミン類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いても併用してもよい。
【0029】
インクジェット記録用紙は、多孔質インク受容層を有し、支持体上に親水性バインダーと無機顔料を含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有する多孔質層を形成したものが好ましい。
【0030】
本発明に係る多孔質層は、主に顔料と親水性バインダーから形成される。多孔質層を形成する顔料としては、無機顔料や有機顔料を用いることができるが、高光沢でかつ高発色濃度が得られ、更に無機微粒子が容易に得易いことから無機顔料が利用される。このような無機顔料としては、例えば軽(又は重)質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。
【0031】
これらの中でも、記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機顔料としてシリカ又はアルミナが好ましく、更にはアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものでもよい。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。上記無機顔料の粒径は、如何なる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μm以下であれば光沢性及び発色性が良好であり、又、この観点において200nm以下がより好ましく、更には100nm以下が最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機顔料の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
【0032】
無機顔料の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0033】
上記顔料は、1次粒子のままでも、2次粒子又はそれ以上の高次凝集粒子で、多孔質皮膜に存在していてもよいが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時に多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
【0034】
上記顔料の平均1次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒径以下である必要があり、顔料の1次粒子径としては100nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは4〜20nmの微粒子である。
【0035】
顔料の水溶性塗布液における含有量は5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記顔料は、十分なインク吸収性があり、皮膜の「ひび割れ」等の少ないインク受容層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付量になることが好ましい。更には、10〜25g/m2になることが特に好ましい。
【0036】
本発明の多孔質層に含有される親水性バインダーとしては特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えばゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が挙げられるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0037】
ポリビニルアルコールは無機顔料と相互作用をすることができ、無機顔料に対する保持力が特に高く、更に吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布・乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、塗布乾燥時の「ひび割れ」に対する適性が優れる。好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0038】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる、鹸化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
【0039】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することで得られる。このカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0040】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0041】
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平1−206088号に記載されるアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されるビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0042】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載されるポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載される疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0043】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め、重合度2000未満のポリビニルアルコールを無機顔料に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
【0044】
多孔質層の親水性バインダーに対する無機顔料の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、充分な空隙率の多孔質膜が得られ、空隙容量も十分なものが得られ、又、インクジェット記録時に親水性バインダーが膨潤して空隙を塞ぐ状況を抑え、高インク吸収速度を達成できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、多孔質層を厚膜で塗布した際であっても、「ひび割れ」が生じ難くなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機顔料の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
【0045】
本発明に用いられる、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物とは、エチレン性の二重結合あるいはアセチレン性の三重結合を分子内を少なくとも2個以上有する化合物である。染料の保存性に効果があるのは、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合部分であると推定している。
【0046】
多孔質インク受容層を有する記録用紙に多量の染料安定化剤を添加することは、空隙を塞いで空隙容量の低下を招くため、インク吸収性の点から好ましくない。そのため、染料安定化剤としては、より少ない添加量で染料の安定化効果の大きいものであることが必要になってくる。又、添加した染料安定化剤自身が、多孔質層内に安定に留まっていることも必要である。
【0047】
例えば、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(以下、非芳香族性不飽和結合含有化合物とも略記)であっても、例えばエチレンそのものや、アリルアルコールといった比較的低分子量のものでは、揮発性が大きく多孔質層に安定に留まることができない。揮発性を小さくするには、分子量を増大するか、極性の高い置換基を導入していく必要が生じるが、単純に分子量を上げて単位質量当たりの不飽和結合の割合を減少してしまうのは、空隙容量の低下を招き好ましくない。そのため、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個持たせ、揮発性を下げながらも質量当たりの不飽和結合の割合を減少させないことが重要となる。分子中の炭素数に対する不飽和結合の割合は、炭素数20に対して1以上、更には炭素数10に対して1以上あることが好ましい。
【0048】
一方、カチオン性ポリマー等により多孔質層内に固着した染料は、多孔質層内の或る範囲で固定化されてしまう。極端な場合、多孔質層の最表面に近い部位にのみ染着されることになる。そのような状態で染着された染料の保存性を効率よく上げるためには、染料安定化剤は、それ自身が多孔質層内で或る程度拡散でき、固着された染料の近傍に常に存在することが望ましい。即ち、多孔質層の最表面は、室内の酸化性ガスとの接触が最優先に起こる場所であり、染料安定化剤の消費も比較的速やかに起き易い。染料定着剤の作用により、最表層付近に染料が局在化した場合でも、染料安定化剤が或る程度多孔質層を拡散することができれば、多孔質層の比較的深い部分から染料安定化効果の高い状態で最表層に拡散することが可能であり、より高い効果を得ることができる。
【0049】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の拡散性を決める因子は、一概に決めることはできないが、分子量は必要以上に高くならないことが好ましく、ポリマーのような高分子量のものでも数平均分子量で10万以下であることが好ましく、1万以下であることがより好ましい。低分子量のものである場合には100以上が好ましく、更に好ましくは500以上である。沸点は200℃以上が好ましく、300℃以上であることがより好ましい。又、性状としては液状、あるいは水又はインク溶剤に溶解して液状になり易いものであることが拡散性の点で好ましい。
【0050】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の具体例としては、ブタジエン単独あるいは他の重合性モノマーを共重合させた樹脂、イソプレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、C5石油樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等の樹脂や、ジアリルフタレート、トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジンペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の重合性基を複数個有するモノマー単独あるいはその重合物、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸あるいはそのエステル化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらの中で単位質量当たりの非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の割合が高いものとして、非水溶性のポリマーが好ましく、特にブタジエンの重合体が好ましく用いられる。インク溶剤に対する親和性や樹脂の粘度等を調整するのに、末端を水酸基、グリシジル基、アミノ基、マレイン酸無水物等で変性したポリブタジエン、あるいはスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合したポリブタジエン等も好ましい。このようなポリブタジエンは、例えばNisso PB(日本曹達社製)、日石ポリブタジエン(新日本石油化学社製)、Poly−bd(出光石油化学社製)、Hycar (宇部興産社製)、Polyoil(日本ゼオン社製)、JSR RB(JSR社製)等の商品シリーズ名で場市されており、容易に入手することができる。又、スチレン又はアクリロニトリルとブタジエンとの共重合体も好ましく、共重合体の場合は、ブタジエンの比率が50%以上であることが、褪色改良の観点で好ましい。
【0052】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の多孔質インク受容層への添加方法としては、インク受容層を形成する塗布液に添加してもよいし、又は多孔質層を一旦塗布した後、特に塗布・乾燥した後、インク受容層にオーバーコートすることにより供給してもよい。前者のように塗布液に添加する場合、水や有機溶媒又はこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加する方法、乳化分散や湿式粉砕法などの方法により微細な油滴(粒子)に分散して添加する方法、又はモノマー重合時に乳化重合等の手法により形成されるラテックスの形態で添加する方法を用いることができる。乳化分散の際には、必要に応じて高沸点有機溶剤を添加してもよい。インク受容層が複数の層から構成される場合には、1層のみに添加してもよく、又、2層以上の層あるいは全構成層の塗布液に添加することもできる。又、後者のように、多孔質インク受容層を一旦形成した後、オーバーコート法で添加する場合には、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を溶媒に均一に溶解した後、インク受容層に供給するのが好ましい。
【0053】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の多孔質インク受容層への添加量は特に制限されないが、好ましくは記録用紙1m2当たり0.01〜3gの範囲で用いられる。3g以下であれば当該化合物が多孔質インク受容層の空隙を塞ぐことを抑え、高インク吸収性を維持することができる。又、0.01g以上であれば本発明の効果を充分に発揮できる。この観点において、より好ましくは記録用紙1m2当たり0.1〜2gの範囲で用いられる。
【0054】
本発明で用いられる白地調整剤とは、白地をより鮮やかな白に見せるために添加される蛍光増白剤や、印刷用紙等目的とする用途に合わせて色合いを調整するための染料、顔料等の着色剤である。微細な空隙孔を有する透明性の高い多孔質インク受容層に添加する白地調整剤としては、透明性や光沢性を損なうことが無い染料系の蛍光増白剤あるいは染料を用いることが好ましい。
【0055】
しかしながら、これらの白地調整剤は、有害ガスにより失活や変褪色が起き易いため、蛍光増白剤や着色剤を用いて調整した白地は、経時での色変動が大きい傾向にある。従って、本発明の如く、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と共に用いて、酸化性ガス等による失活を抑えた使用形態においては、白地の色変動幅が少なく、白地調整剤としての効果を顕著に奏することができる。特に、蛍光増白剤の場合は、それ自身が近紫外光を吸収して発光しているため、インク受容層に添加される他の添加剤による不要な着色を補正することもでき、鮮やかな白地に見せるために汎用される。蛍光増白剤は、酸化性ガス等により失活すると、発色しなくなり、青色部の吸収のみが残ることがある。その結果、他の着色剤を用いた場合や蛍光増白剤を使用しないものよりも、白地の色変動幅が大きくなることがある。
【0056】
本発明に係る分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と共に用いて、酸化性ガス等による失活を抑えた形態では、蛍光増白剤を使用した形態でも白地の色変動幅が少なく、白地調整剤としての効果を顕著に発揮できるという特徴を本発明者らは見い出した。
【0057】
本発明に利用できる蛍光増白剤としては、例えばクマリン誘導体、スチルベン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、ピラゾリン誘導体などがある。これらの蛍光増白剤は、例えばチバスペシャリティケミカルズ社よりUvitexシリーズ及びTinopalシリーズ、日本曹達社よりKayacollシリーズ、住友化学工業社よりWhitexシリーズ、日本化薬社よりKayaphorシリーズ、バイエル社よりBlankophorシリーズ等の商品名で市販されているものを利用できる。
【0058】
これらの蛍光増白剤は、水溶性染料の場合、水溶性の置換基の種類によりアニオン性及びカチオン性のものがあるが、何れを用いてもよく、油溶性染料を分散して利用することもできる。蛍光強度及び色味の観点でスチルベンタイプのものが好ましい。
【0059】
本発明で利用できる着色剤としては、染料系着色剤、顔料系着色剤の何れでも使用できる。添加される着色剤としてはアゾ系、キノン系、キノンイミン系、インジゴ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系等、公知の着色剤が使用できる。
【0060】
記録用紙のインク受容層中に、表面がアニオン性である微粒子を使用する場合には、画像の耐水性や耐滲み性を改良する点から、染料に定着性を有する第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては公知のポリマーを使用することができ、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、特に、特開平10−193776号、同10−217601号、同11−20300号及び特願平10−178126号等に記載されるものが好ましい。
【0062】
本発明においては、カチオン性ポリマーは特に限定なく使用可能であるが、特に好ましいものは質量平均分子量が2000〜10万のものである。
【0063】
ポリマー媒染剤としては第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が好ましい。
【0064】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーは、より好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体又は他の共重合し得る1種又は2種以上のモノマーとの共重合体である。
【0065】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては、例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0069】
【化3】
【0070】
以下に、好ましく用いられるカチオン性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
【化4】
【0072】
【化5】
【0073】
【化6】
【0074】
【化7】
【0075】
特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0076】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であってもよい。
【0077】
第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがある。しかし、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解し得るものであれば本発明には使用できる。
【0078】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、i−プロパノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0079】
ここで質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0080】
カチオン性ポリマーの溶液を、表面アニオン性の微粒子含有分散液に添加する際、凝集物が激しく発生してしまうことがあり得るが、カチオン性ポリマーの質量平均分子量が10万以下の場合には、このような現象が起こり難く、従って粗大粒子を余り含まない、ほぼ均一な分散液が得られ易い。このような分散液を使用して作製したインクジェット記録用紙には、優れた光沢性が期待できるのである。同様の観点から、上記質量平均分子量は5万以下であると更に好ましい。質量平均分子量の下限は、染料の耐水性の点から、通常、2000以上である。
【0081】
上記微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、微粒子の種類や平均粒径又はカチオン性ポリマーの種類や質量平均分子量で変わり得るが、本発明においては、上記比率は微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる為に、1:0.01〜1:1であることが好ましい。上記の範囲であれば、微粒子のアニオン成分がカチオン成分によって完全に被覆されるので、微粒子のアニオン部分とカチオン性ポリマーのカチオン部分とがイオン結合して粗大な粒子を形成するようなおそれも生じない。
【0082】
カチオン性ポリマーの添加量は、無機微粒子に対して通常1〜30質量%であり、特に5〜20質量%が好ましい。
【0083】
無機微粒子としては、表面がカチオン性であり染料定着性を有する無機微粒子が好ましい。表面がカチオン性である無機微粒子としては、カチオン表面処理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイダルシリカ、及びアルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等を用いることができる。
【0084】
本発明のインクジェット記録用紙には、多孔質インク受容層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
【0085】
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限されない。硼酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えばエポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0086】
硼酸又はその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを言い、具体的にはオルト硼酸、二硼酸、メタ硼酸、四硼酸、五硼酸及び八硼酸ならびにそれらの塩が挙げられる。
【0087】
硬化剤としての硼素原子を有する硼酸及びその塩は、単独の水溶液でも、又、2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのは、硼酸と硼砂の混合水溶液である。
【0088】
硼酸と硼砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが、両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することが出来る。又、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
【0089】
上記硬化剤の総使用量は、水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0090】
本発明に用いる支持体は、従来、インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
【0091】
用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れ、かつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0092】
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
【0093】
紙支持体は前記の木材パルプ等の繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0094】
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体又は不透明支持体がある。透明支持体としては、ポリエステル系、ジアセテート系、トリアテセート系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系及びポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用される時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0095】
又、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、PETに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなる所謂ホワイトペットが好ましい。
【0096】
前記各種支持体とインク受容層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0097】
本発明の記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0098】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることが出来るが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0099】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0100】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分との和が30〜70質量%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
【0101】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。又、原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0102】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0103】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0104】
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
【0105】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0106】
特にインク受容層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0107】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融・押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0108】
上記ポリエチレン被覆紙においては、紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
【0109】
インクジェット記録用紙には各種の添加剤を添加することが出来る。例えばポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体;尿素樹脂又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子;カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載される退色防止剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤;硫酸、燐酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0110】
次に、本発明の記録用紙の製造方法について説明する。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク受容層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布・乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えばロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許2,761,419号、同2,761,791号に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0111】
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sである。又、カーテン塗布方式を用いる場合には5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sである。又、塗布液の15℃における粘度としては100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
【0112】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。尚、特に断り無い限り、実施例中での「%」は、「質量%」を表す。
【0113】
実施例1
[シリカ分散液D−1の調製]
予め均一に分散されている、1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製:アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6,エタノール0.5%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、プロパノールを10%、エタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5,サンノプコ社製消泡剤SN−381を2g含有)の110Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで硼酸と硼砂の1:1質量比の混合水溶液A−1(それぞれ3%の濃度)54Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
【0114】
続いて三和工業社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
【0115】
[シリカ分散液D−2の調製]
上記シリカ分散液B−1の400Lに、アニオン性蛍光増白剤Uvitex NFW liq.(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)1.0kgを攪拌しながら添加した後、カチオン性ポリマーP−2を12%、プロパノール10%、エタノールを2%含有する水溶液C−2(pH2.5)の120Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで上記混合水溶液A−1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0116】
続いて前出の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−2を得た。
【0117】
[シリカ分散液D−3の調製]
前記シリカ分散液B−1の400Lに、染料−1の5%水溶液0.35kgを攪拌しながら添加した後、カチオン性ポリマーP−2を12%、プロパノール10%、エタノールを2%含有する水溶液C−2(pH2.5)の120Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A−1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0118】
続いて前出の三和工業社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げてほぼ透明なシリカ分散液D−3を得た。
【0119】
上記シリカ分散液D−1、D−2及びD−3を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過した。
【0120】
[オイル分散液−1の調製]
ジ−i−デシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、これと酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kg及びサポニン5kgとを含有する水溶液210Lとを55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げてオイル分散液−1を調製した。
【0121】
[オイル分散液−2の調製]
ジ−i−デシルフタレート20kgとポリオイル110(日本ゼオン社製ポリブタジエン,数平均分子量1,600)及び染料−2の85gを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、これと酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kg及びサポニン5kgとを含有する水溶液210Lとを55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げてオイル分散液−2を調製した。
【0122】
[インク受容層塗布液の調製]
上記のように調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して多孔質層用の各塗布液を調製した。尚、各添加剤の添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
(第1層用塗布液:最下層)
シリカ分散液D−1 580ml
ポリビニルアルコール(PVA203:クラレ社製)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 290ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:昭和高分子社製) 42ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第2層用塗布液)
シリカ分散液D−1 580ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 270ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:前出) 22ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第3層用塗布液)
シリカ分散液D−2 630ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 270ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:前出) 5ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第4層用塗布液:最上層)
シリカ分散液D−2 660ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800 鹸化度88%) 250ml
カチオン型界面活性剤(SA−1)の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0123】
各分散液及び受容層塗布液に用いた添加剤の構造を以下に示す。
AO−1:1,4−ジオクチルオキシ−2,5−ジ−t−ペンチルベンゼン
SU−1:トリメチル・オクタデシルアンモニウムクロリド
【0124】
【化8】
【0125】
上記の様に調製した各塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
【0126】
[記録用紙−1の作製]
上記の各塗布液を、以下に示す湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体(RC紙)上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
【0127】
第1層:42μm
第2層:39μm
第3層;44μm
第4層:38μm
尚、該RC紙は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール上に巻かれた下記のものを用いた。
【0128】
含水率8%、坪量170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235)を記録媒体1m2当たり0.05gになるよう下引層を塗布し、裏面側には、コロナ放電した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1g及び約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
【0129】
インク受容層塗布液塗布後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度を適宜設定して乾燥を行い、ロール状に巻き取って比較の記録用紙−1を得た。
【0130】
同様の方法で記録用紙−2〜14を作製した。
記録用紙−2:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly bd R45HT(出光石油化学社製;数平均分子量2,800)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−2を作製した。
【0131】
記録用紙−3:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly ip (出光石油化学社製;数平均分子量2,500)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−3を作製した。
【0132】
記録用紙−4:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly oil 130 (日本ゼオン社製;数平均分子量3,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−4を作製した。
【0133】
記録用紙−5:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly oil 110 (日本ゼオン社製;数平均分子量1,600)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−5を作製した。
【0134】
記録用紙−6:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をNisso PB B−1000(日本曹達社製;数平均分子量900〜1,300)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−6を作製した。
【0135】
記録用紙−7:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)を日石ポリブタジエン E−1000−8(新日本石油化学社製;数平均分子量約1,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−7を作製した。
【0136】
記録用紙−8:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をダイソーダップS(ダイソー社製ポリアリルフタレート,平均分子量約35,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−8を作製した。
【0137】
記録用紙−9:記録用紙−1の作製において、第1〜第3層用塗布液のオイル分散液を同量の変性スチレン・ブタジエンラテックスLX438C(日本ゼオン社製)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−9を作製した。
【0138】
記録用紙−10:Poly bd R45HT(出光石油化学社製;数平均分子量2,800)を酢酸エチルに溶解して10%の溶液を調製し、スプレー塗布を行い、記録用紙−1にPoly bd R45HTの付量が0.5g/m2になるように均一に塗布・乾燥して記録用紙−10を作製した。
【0139】
記録用紙−11:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてPoly oil 130(日本ゼオン社製)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−11を作製した。
【0140】
記録用紙−12:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてハイカーATBN1300×16(日本ゼオン社製;数平均分子量3,000〜3,500)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−12を作製した。
【0141】
記録用紙−13:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてJSR RB−810(JSR社製;平均分子量150,000)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−13を作製した。
【0142】
記録用紙−14:記録用紙−1の作製において、シリカ分散液D−2に替えて同量のシリカ分散液D−3を用い、オイル分散液−1に替えて同量のオイル分散液−2を使用した以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−14を作製した。
【0143】
以上のようにして得られたインクジェット記録用紙1〜14について、それぞれ以下の項目の評価を行った。
【0144】
《画像保存性》
各記録用紙をキヤノン社製BJ−F870を用い、シアンのベタ画像を記録した後、外気を直接プリント画像に1ケ月間吹き付けてシアン画像のガス褪色性を初期濃度の残存率で示した。
【0145】
《白地変動》
上記の画像保存性試験に用いた記録用紙の、未プリント部分の外気を吹き付ける前後での色差ΔEを、X−rite社製濃度計(X−rite938)を用いて求めた。ΔEは下記計算式により算出した。
【0146】
ΔE= ((L*−L*′)2+(a*−a*′)2+(b*−b*′)2)1/2
ここで、L*,a*,b*及びL*′,a*′,b*′は、それぞれ画像保存性試験の前と後に測定した値を示す。
【0147】
《白色度》
インク受容層中に蛍光増白剤を含有する記録用紙−1〜13は僅かに青身がかった鮮明な白色であった。又、染料−1及び染料−2をインク受容層に含有する記録用紙−14は印刷用標準紙に近い色調であった。
【0148】
各記録用紙の評価結果を併せて表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明によるインクジェット記録用紙は、画像保存性が改良され、白地変動の少ないことが判る。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用紙に関し、詳しくは、画像鮮明性、保存安定性に優れ、高画質で白地の色変動性が少ないインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙とも言う)の面からも改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に顔料と親水性ポリマーから成る微小な多孔質層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を示し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。特に、非吸水性支持体を使用した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング(いわゆる皺)の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。更に、水溶性染料インクを用いたプリント画像は、鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
【0003】
しかしながら、この水溶性染料は、高画質な画像が得られる反面、顔料に比較して保存性が悪く、太陽光あるいは室内光による褪色、空気中に存在するオゾン等の酸化性ガス等による褪色が大きいことが課題となっている。特に、微小な多孔質層を設けた空隙型の記録用紙では、染料と室内の空気との接触面積が広くなるため、空気中の酸化性ガスによる影響を受け易く、改良が望まれている。
【0004】
このような保存による劣化を改善する為に、従来から、褪色防止剤として各種の紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することが多数提案されている。特に、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系化合物、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系化合物、ヒンダードフェノール系化合物とヒンダードアミン系化合物の併用、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、燐酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体など枚挙に暇がないほど提案されている。
【0005】
しかしながら、微細な空隙孔を有するインクジェット記録用紙においては、効果が必ずしも充分とは言い難く、充分な褪色防止効果を得る為に、こうした各種の褪色防止剤を多量に添加すると、多孔質層のインク吸収性を低下させてしまう問題を有していた。
【0006】
一方、ブタジエンゴム等、分子内に不飽和結合を有する樹脂は、主に油性インクの溶剤を吸収させる樹脂としてインクジェット記録用紙に使用できることは従来から知られている。又、ジエン系重合体又はその水添化物をスルホン化し、親水化することにより、水系インクの吸収性を改善する使用法が開示されている。
【0007】
又、脂肪族系炭素炭素二重結合を有する化合物を含有するインクジェット記録用紙により、形成画像の褪色が防止されることも開示されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、上記化合物に含まれる二重結合の割合が低く、その効果は十分ではなく、白地の色変動に関しては言及されていない。
【0008】
又、ブタジエン成分を20〜45%含有するスチレン−ブタジエンラテックスを結着剤として使用し、特定染料との組合せで保存性を改良できることの開示もある(例えば特許文献2参照。)が、結着剤として使用しているためブタジエン比率が低く、その効果は限られていた。
【0009】
又、インクジェット記録用紙の白度について、視覚的な白さは個人の好みによっても異なるが、一般的には無彩な白さよりも寧ろ青味を帯びた白の方が、より白く見えることが知られており、このような青味を帯びた白さへの改善に蛍光増白剤を使用することはよく知られた技術である。
【0010】
一般に、蛍光増白剤は、紫外光を吸収し、やや青味を帯びた蛍光を発することで、対象物をより白くみせる効果がある。多孔質インク受容層を利用したインクジェット記録材料においても、白地改良のために蛍光増白剤を使用することが開示されている(例えば特許文献3参照。)。
【0011】
一方、印刷に用いられる印刷用紙の白地は、純粋な白ではなく、目的に応じて色合いを持たせているのが一般的で、インクジェット記録方式を利用して、印刷物の仕上がりを事前に確認するような印刷校正用途に使用されるインクジェット記録用紙は、蛍光増白剤以外にも数種の着色剤を添加して、印刷用紙の色に調整することも開示されている(例えば特許文献4参照。)。
【0012】
しかしながら、前述の如く多孔質インク受容層は、オゾン等の有害ガスの影響を受け易いため、蛍光増白剤や他の着色剤で調整した白地は、有害ガスによる蛍光増白剤や着色剤の失活あるいは変褪色が起き易く、経時での色変動が大きいことが課題となっていた。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−264478号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平9−11613号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2000−211247号公報
【0016】
【特許文献4】
特開2001−205923号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、画像鮮明性が高く、写真画質を達成した高画質の記録が可能で、保存安定性に優れ、白地の色変動性の少ないインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0019】
1)分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と白地調整剤を含有する多孔質インク受容層を有するインクジェット記録用紙。
【0020】
2)白地調整剤が蛍光増白剤である1)記載のインクジェット記録用紙。
3)分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物が、ブタジエンを単量体として含む重合体である1)又は2)記載のインクジェット記録用紙。
【0021】
4)ブタジエンを単量体として含む重合体が、数平均分子量が500〜10,000のポリブタジエンである3)記載のインクジェット記録用紙。
【0022】
5)多孔質インク受容層が、平均粒径30〜200nmのシリカ粒子、親水性バインダーを含有し、かつシリカ粒子:親水性バインダー比(質量比)が3:1〜10:1である1)、2)又は3)記載のインクジェット記録用紙。
【0023】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を多孔質のインク受容層に含有させることにより、染料の保存性が改良された。特に、多孔質のインク受容層で課題となっていた、酸化性ガス特にオゾンガスによる水系染料インクの褪色が飛躍的に改善された。保存性が改善された理由は定かではないが、炭素−炭素不飽和結合が、室内の酸化性ガスと適度な反応性を有し、染料の褪色を防止しているものと推定している。例えば、ゴム系樹脂の劣化が、樹脂内の不飽和結合を反応性基として進行し、酸素、オゾン、ラジカル、過酸化物により引き起こされることは知られている。
【0024】
このゴムの劣化を防ぐため、ヒンダードフェノール類、アミン類、硫黄系化合物、燐系化合物が酸化防止剤として使用されている。これらの酸化防止剤は、従来技術で記載した通り、染料の褪色防止剤としてインクジェット記録用紙への応用が為されて来た。
【0025】
しかしながら、これらの酸化防止剤は、反応性が高いとされるゴム系樹脂の不飽和結合よりも更に高い反応性を有するため、樹脂の劣化防止剤として使用されるもので、室内の酸化性ガスの影響を特に受け易い微細な空隙孔をインク受容層に有する空隙型のインクジェット記録用紙では、その消費が早く持続的な効果が得られ難いものと推定している。ゴム系樹脂に内在するような不飽和結合は、染料に比較して酸化性ガスに対する反応性が高く、褪色防止効果を有するが前述の酸化防止剤に比較すれば安定であるため持続性があり、より高い褪色防止能を有するものと推定している。
【0026】
又、分子内に炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物を多孔質のインク受容層に含有させることにより、プリント画像の褪色のみならず、多孔質インク受容層中に存在し、インクジェット記録用紙の白地調整を行っている、蛍光増白剤及び着色剤の失活及び変褪色を防止することができるため、白地部の色変動性の少ない多孔質インク受容層を有するインクジェット記録用紙が提供できた。
【0027】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の記録用紙は、水系染料インクの記録用紙として好適に使用される。水系染料インクとは、水溶性あるいは水分散性の染料を色材に使用したインクで、インク溶媒として水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を混合して成るインクである。染料としては、従来公知のアゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系、キノン系、アントラキノン系染料等を、スルホ基又はカルボキシル基を導入して水溶性を向上させた酸性染料や直接染料、又は塩基性染料が代表的に用いられる。又、水溶性の低い分散染料を、水系溶媒に安定に分散した水系の分散染料インクを使用することもできる。
【0028】
インク溶媒としては、水あるいは水と混和性の高い有機溶剤を単独又は水と混合して使用することができ、具体的にはエタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;トリエタノールアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンテトラミン等のアミン類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いても併用してもよい。
【0029】
インクジェット記録用紙は、多孔質インク受容層を有し、支持体上に親水性バインダーと無機顔料を含有する多孔質層を形成する水溶性塗布液を塗布し、空隙を有する多孔質層を形成したものが好ましい。
【0030】
本発明に係る多孔質層は、主に顔料と親水性バインダーから形成される。多孔質層を形成する顔料としては、無機顔料や有機顔料を用いることができるが、高光沢でかつ高発色濃度が得られ、更に無機微粒子が容易に得易いことから無機顔料が利用される。このような無機顔料としては、例えば軽(又は重)質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。
【0031】
これらの中でも、記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機顔料としてシリカ又はアルミナが好ましく、更にはアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものでもよい。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。上記無機顔料の粒径は、如何なる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。1μm以下であれば光沢性及び発色性が良好であり、又、この観点において200nm以下がより好ましく、更には100nm以下が最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機顔料の製造上の観点から、概ね3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
【0032】
無機顔料の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0033】
上記顔料は、1次粒子のままでも、2次粒子又はそれ以上の高次凝集粒子で、多孔質皮膜に存在していてもよいが、上記平均粒径は、電子顕微鏡で観察した時に多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
【0034】
上記顔料の平均1次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒径以下である必要があり、顔料の1次粒子径としては100nm以下のものが好ましく、より好ましくは30nm以下、最も好ましくは4〜20nmの微粒子である。
【0035】
顔料の水溶性塗布液における含有量は5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記顔料は、十分なインク吸収性があり、皮膜の「ひび割れ」等の少ないインク受容層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付量になることが好ましい。更には、10〜25g/m2になることが特に好ましい。
【0036】
本発明の多孔質層に含有される親水性バインダーとしては特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えばゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が挙げられるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0037】
ポリビニルアルコールは無機顔料と相互作用をすることができ、無機顔料に対する保持力が特に高く、更に吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーであり、塗布・乾燥時の収縮応力が比較的小さいため、塗布乾燥時の「ひび割れ」に対する適性が優れる。好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0038】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる、鹸化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
【0039】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することで得られる。このカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0040】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0041】
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平1−206088号に記載されるアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されるビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0042】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開平7−9758号に記載されるポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載される疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0043】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め、重合度2000未満のポリビニルアルコールを無機顔料に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
【0044】
多孔質層の親水性バインダーに対する無機顔料の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、充分な空隙率の多孔質膜が得られ、空隙容量も十分なものが得られ、又、インクジェット記録時に親水性バインダーが膨潤して空隙を塞ぐ状況を抑え、高インク吸収速度を達成できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、多孔質層を厚膜で塗布した際であっても、「ひび割れ」が生じ難くなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機顔料の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
【0045】
本発明に用いられる、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物とは、エチレン性の二重結合あるいはアセチレン性の三重結合を分子内を少なくとも2個以上有する化合物である。染料の保存性に効果があるのは、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合部分であると推定している。
【0046】
多孔質インク受容層を有する記録用紙に多量の染料安定化剤を添加することは、空隙を塞いで空隙容量の低下を招くため、インク吸収性の点から好ましくない。そのため、染料安定化剤としては、より少ない添加量で染料の安定化効果の大きいものであることが必要になってくる。又、添加した染料安定化剤自身が、多孔質層内に安定に留まっていることも必要である。
【0047】
例えば、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(以下、非芳香族性不飽和結合含有化合物とも略記)であっても、例えばエチレンそのものや、アリルアルコールといった比較的低分子量のものでは、揮発性が大きく多孔質層に安定に留まることができない。揮発性を小さくするには、分子量を増大するか、極性の高い置換基を導入していく必要が生じるが、単純に分子量を上げて単位質量当たりの不飽和結合の割合を減少してしまうのは、空隙容量の低下を招き好ましくない。そのため、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個持たせ、揮発性を下げながらも質量当たりの不飽和結合の割合を減少させないことが重要となる。分子中の炭素数に対する不飽和結合の割合は、炭素数20に対して1以上、更には炭素数10に対して1以上あることが好ましい。
【0048】
一方、カチオン性ポリマー等により多孔質層内に固着した染料は、多孔質層内の或る範囲で固定化されてしまう。極端な場合、多孔質層の最表面に近い部位にのみ染着されることになる。そのような状態で染着された染料の保存性を効率よく上げるためには、染料安定化剤は、それ自身が多孔質層内で或る程度拡散でき、固着された染料の近傍に常に存在することが望ましい。即ち、多孔質層の最表面は、室内の酸化性ガスとの接触が最優先に起こる場所であり、染料安定化剤の消費も比較的速やかに起き易い。染料定着剤の作用により、最表層付近に染料が局在化した場合でも、染料安定化剤が或る程度多孔質層を拡散することができれば、多孔質層の比較的深い部分から染料安定化効果の高い状態で最表層に拡散することが可能であり、より高い効果を得ることができる。
【0049】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の拡散性を決める因子は、一概に決めることはできないが、分子量は必要以上に高くならないことが好ましく、ポリマーのような高分子量のものでも数平均分子量で10万以下であることが好ましく、1万以下であることがより好ましい。低分子量のものである場合には100以上が好ましく、更に好ましくは500以上である。沸点は200℃以上が好ましく、300℃以上であることがより好ましい。又、性状としては液状、あるいは水又はインク溶剤に溶解して液状になり易いものであることが拡散性の点で好ましい。
【0050】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の具体例としては、ブタジエン単独あるいは他の重合性モノマーを共重合させた樹脂、イソプレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、C5石油樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン系樹脂等の樹脂や、ジアリルフタレート、トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジンペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の重合性基を複数個有するモノマー単独あるいはその重合物、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸あるいはそのエステル化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらの中で単位質量当たりの非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の割合が高いものとして、非水溶性のポリマーが好ましく、特にブタジエンの重合体が好ましく用いられる。インク溶剤に対する親和性や樹脂の粘度等を調整するのに、末端を水酸基、グリシジル基、アミノ基、マレイン酸無水物等で変性したポリブタジエン、あるいはスチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合したポリブタジエン等も好ましい。このようなポリブタジエンは、例えばNisso PB(日本曹達社製)、日石ポリブタジエン(新日本石油化学社製)、Poly−bd(出光石油化学社製)、Hycar (宇部興産社製)、Polyoil(日本ゼオン社製)、JSR RB(JSR社製)等の商品シリーズ名で場市されており、容易に入手することができる。又、スチレン又はアクリロニトリルとブタジエンとの共重合体も好ましく、共重合体の場合は、ブタジエンの比率が50%以上であることが、褪色改良の観点で好ましい。
【0052】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の多孔質インク受容層への添加方法としては、インク受容層を形成する塗布液に添加してもよいし、又は多孔質層を一旦塗布した後、特に塗布・乾燥した後、インク受容層にオーバーコートすることにより供給してもよい。前者のように塗布液に添加する場合、水や有機溶媒又はこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加する方法、乳化分散や湿式粉砕法などの方法により微細な油滴(粒子)に分散して添加する方法、又はモノマー重合時に乳化重合等の手法により形成されるラテックスの形態で添加する方法を用いることができる。乳化分散の際には、必要に応じて高沸点有機溶剤を添加してもよい。インク受容層が複数の層から構成される場合には、1層のみに添加してもよく、又、2層以上の層あるいは全構成層の塗布液に添加することもできる。又、後者のように、多孔質インク受容層を一旦形成した後、オーバーコート法で添加する場合には、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を溶媒に均一に溶解した後、インク受容層に供給するのが好ましい。
【0053】
非芳香族性不飽和結合含有化合物の多孔質インク受容層への添加量は特に制限されないが、好ましくは記録用紙1m2当たり0.01〜3gの範囲で用いられる。3g以下であれば当該化合物が多孔質インク受容層の空隙を塞ぐことを抑え、高インク吸収性を維持することができる。又、0.01g以上であれば本発明の効果を充分に発揮できる。この観点において、より好ましくは記録用紙1m2当たり0.1〜2gの範囲で用いられる。
【0054】
本発明で用いられる白地調整剤とは、白地をより鮮やかな白に見せるために添加される蛍光増白剤や、印刷用紙等目的とする用途に合わせて色合いを調整するための染料、顔料等の着色剤である。微細な空隙孔を有する透明性の高い多孔質インク受容層に添加する白地調整剤としては、透明性や光沢性を損なうことが無い染料系の蛍光増白剤あるいは染料を用いることが好ましい。
【0055】
しかしながら、これらの白地調整剤は、有害ガスにより失活や変褪色が起き易いため、蛍光増白剤や着色剤を用いて調整した白地は、経時での色変動が大きい傾向にある。従って、本発明の如く、分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と共に用いて、酸化性ガス等による失活を抑えた使用形態においては、白地の色変動幅が少なく、白地調整剤としての効果を顕著に奏することができる。特に、蛍光増白剤の場合は、それ自身が近紫外光を吸収して発光しているため、インク受容層に添加される他の添加剤による不要な着色を補正することもでき、鮮やかな白地に見せるために汎用される。蛍光増白剤は、酸化性ガス等により失活すると、発色しなくなり、青色部の吸収のみが残ることがある。その結果、他の着色剤を用いた場合や蛍光増白剤を使用しないものよりも、白地の色変動幅が大きくなることがある。
【0056】
本発明に係る分子内に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と共に用いて、酸化性ガス等による失活を抑えた形態では、蛍光増白剤を使用した形態でも白地の色変動幅が少なく、白地調整剤としての効果を顕著に発揮できるという特徴を本発明者らは見い出した。
【0057】
本発明に利用できる蛍光増白剤としては、例えばクマリン誘導体、スチルベン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、ピラゾリン誘導体などがある。これらの蛍光増白剤は、例えばチバスペシャリティケミカルズ社よりUvitexシリーズ及びTinopalシリーズ、日本曹達社よりKayacollシリーズ、住友化学工業社よりWhitexシリーズ、日本化薬社よりKayaphorシリーズ、バイエル社よりBlankophorシリーズ等の商品名で市販されているものを利用できる。
【0058】
これらの蛍光増白剤は、水溶性染料の場合、水溶性の置換基の種類によりアニオン性及びカチオン性のものがあるが、何れを用いてもよく、油溶性染料を分散して利用することもできる。蛍光強度及び色味の観点でスチルベンタイプのものが好ましい。
【0059】
本発明で利用できる着色剤としては、染料系着色剤、顔料系着色剤の何れでも使用できる。添加される着色剤としてはアゾ系、キノン系、キノンイミン系、インジゴ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系等、公知の着色剤が使用できる。
【0060】
記録用紙のインク受容層中に、表面がアニオン性である微粒子を使用する場合には、画像の耐水性や耐滲み性を改良する点から、染料に定着性を有する第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては公知のポリマーを使用することができ、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン、ジアルキルアミンとエピクロロヒドリンの縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウム塩の縮合物、ポリアクリル酸エステルの4級化物等が挙げられるが、特に、特開平10−193776号、同10−217601号、同11−20300号及び特願平10−178126号等に記載されるものが好ましい。
【0062】
本発明においては、カチオン性ポリマーは特に限定なく使用可能であるが、特に好ましいものは質量平均分子量が2000〜10万のものである。
【0063】
ポリマー媒染剤としては第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー媒染剤が好ましい。
【0064】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーは、より好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体又は他の共重合し得る1種又は2種以上のモノマーとの共重合体である。
【0065】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては、例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0069】
【化3】
【0070】
以下に、好ましく用いられるカチオン性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
【化4】
【0072】
【化5】
【0073】
【化6】
【0074】
【化7】
【0075】
特に、第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0076】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であってもよい。
【0077】
第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがある。しかし、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解し得るものであれば本発明には使用できる。
【0078】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、i−プロパノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0079】
ここで質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0080】
カチオン性ポリマーの溶液を、表面アニオン性の微粒子含有分散液に添加する際、凝集物が激しく発生してしまうことがあり得るが、カチオン性ポリマーの質量平均分子量が10万以下の場合には、このような現象が起こり難く、従って粗大粒子を余り含まない、ほぼ均一な分散液が得られ易い。このような分散液を使用して作製したインクジェット記録用紙には、優れた光沢性が期待できるのである。同様の観点から、上記質量平均分子量は5万以下であると更に好ましい。質量平均分子量の下限は、染料の耐水性の点から、通常、2000以上である。
【0081】
上記微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、微粒子の種類や平均粒径又はカチオン性ポリマーの種類や質量平均分子量で変わり得るが、本発明においては、上記比率は微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる為に、1:0.01〜1:1であることが好ましい。上記の範囲であれば、微粒子のアニオン成分がカチオン成分によって完全に被覆されるので、微粒子のアニオン部分とカチオン性ポリマーのカチオン部分とがイオン結合して粗大な粒子を形成するようなおそれも生じない。
【0082】
カチオン性ポリマーの添加量は、無機微粒子に対して通常1〜30質量%であり、特に5〜20質量%が好ましい。
【0083】
無機微粒子としては、表面がカチオン性であり染料定着性を有する無機微粒子が好ましい。表面がカチオン性である無機微粒子としては、カチオン表面処理された気相法シリカ、カチオン表面処理されたコロイダルシリカ、及びアルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等を用いることができる。
【0084】
本発明のインクジェット記録用紙には、多孔質インク受容層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
【0085】
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限されない。硼酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えばエポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0086】
硼酸又はその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを言い、具体的にはオルト硼酸、二硼酸、メタ硼酸、四硼酸、五硼酸及び八硼酸ならびにそれらの塩が挙げられる。
【0087】
硬化剤としての硼素原子を有する硼酸及びその塩は、単独の水溶液でも、又、2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのは、硼酸と硼砂の混合水溶液である。
【0088】
硼酸と硼砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが、両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することが出来る。又、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。
【0089】
上記硬化剤の総使用量は、水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0090】
本発明に用いる支持体は、従来、インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
【0091】
用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れ、かつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0092】
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
【0093】
紙支持体は前記の木材パルプ等の繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0094】
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体又は不透明支持体がある。透明支持体としては、ポリエステル系、ジアセテート系、トリアテセート系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリ塩化ビニル系及びポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用される時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0095】
又、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(所謂RCペーパー)、PETに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなる所謂ホワイトペットが好ましい。
【0096】
前記各種支持体とインク受容層の接着強度を大きくする等の目的で、インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0097】
本発明の記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
【0098】
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることが出来るが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0099】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
【0100】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分との和が30〜70質量%が好ましい。尚、4メッシュ残分は20質量%以下であることが好ましい。
【0101】
原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。又、原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。
【0102】
原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0103】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
【0104】
原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
【0105】
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
【0106】
特にインク受容層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
【0107】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融・押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0108】
上記ポリエチレン被覆紙においては、紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
【0109】
インクジェット記録用紙には各種の添加剤を添加することが出来る。例えばポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体;尿素樹脂又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子;カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤;特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載される退色防止剤;特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載される蛍光増白剤;硫酸、燐酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0110】
次に、本発明の記録用紙の製造方法について説明する。
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク受容層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布・乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えばロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許2,761,419号、同2,761,791号に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0111】
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には5〜100mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜50mPa・sである。又、カーテン塗布方式を用いる場合には5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは25〜500mPa・sである。又、塗布液の15℃における粘度としては100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、更に好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
【0112】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。尚、特に断り無い限り、実施例中での「%」は、「質量%」を表す。
【0113】
実施例1
[シリカ分散液D−1の調製]
予め均一に分散されている、1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製:アエロジル300)を25%含むシリカ分散液B−1(pH2.6,エタノール0.5%含有)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を12%、プロパノールを10%、エタノールを2%含有する水溶液C−1(pH2.5,サンノプコ社製消泡剤SN−381を2g含有)の110Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加した。次いで硼酸と硼砂の1:1質量比の混合水溶液A−1(それぞれ3%の濃度)54Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
【0114】
続いて三和工業社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
【0115】
[シリカ分散液D−2の調製]
上記シリカ分散液B−1の400Lに、アニオン性蛍光増白剤Uvitex NFW liq.(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)1.0kgを攪拌しながら添加した後、カチオン性ポリマーP−2を12%、プロパノール10%、エタノールを2%含有する水溶液C−2(pH2.5)の120Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで上記混合水溶液A−1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0116】
続いて前出の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−2を得た。
【0117】
[シリカ分散液D−3の調製]
前記シリカ分散液B−1の400Lに、染料−1の5%水溶液0.35kgを攪拌しながら添加した後、カチオン性ポリマーP−2を12%、プロパノール10%、エタノールを2%含有する水溶液C−2(pH2.5)の120Lに室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いで、上記混合水溶液A−1の52Lを攪拌しながら徐々に添加した。
【0118】
続いて前出の三和工業社製の高圧ホモジナイザーで3000N/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げてほぼ透明なシリカ分散液D−3を得た。
【0119】
上記シリカ分散液D−1、D−2及びD−3を、30μmの濾過精度を有するアドバンテック東洋社製のTCP−30タイプのフィルターを用いて濾過した。
【0120】
[オイル分散液−1の調製]
ジ−i−デシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、これと酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kg及びサポニン5kgとを含有する水溶液210Lとを55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げてオイル分散液−1を調製した。
【0121】
[オイル分散液−2の調製]
ジ−i−デシルフタレート20kgとポリオイル110(日本ゼオン社製ポリブタジエン,数平均分子量1,600)及び染料−2の85gを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、これと酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマーP−1を2.9kg及びサポニン5kgとを含有する水溶液210Lとを55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げてオイル分散液−2を調製した。
【0122】
[インク受容層塗布液の調製]
上記のように調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合して多孔質層用の各塗布液を調製した。尚、各添加剤の添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
(第1層用塗布液:最下層)
シリカ分散液D−1 580ml
ポリビニルアルコール(PVA203:クラレ社製)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 290ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:昭和高分子社製) 42ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第2層用塗布液)
シリカ分散液D−1 580ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 270ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:前出) 22ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第3層用塗布液)
シリカ分散液D−2 630ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800,鹸化度88%) 270ml
オイル分散液−1 30ml
ラテックス分散液(AE−803:前出) 5ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる
(第4層用塗布液:最上層)
シリカ分散液D−2 660ml
ポリビニルアルコール(PVA203:前出)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度3800 鹸化度88%) 250ml
カチオン型界面活性剤(SA−1)の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0123】
各分散液及び受容層塗布液に用いた添加剤の構造を以下に示す。
AO−1:1,4−ジオクチルオキシ−2,5−ジ−t−ペンチルベンゼン
SU−1:トリメチル・オクタデシルアンモニウムクロリド
【0124】
【化8】
【0125】
上記の様に調製した各塗布液を、20μmの濾過精度を持つアドバンテック東洋社製のTCPD−30フィルターで濾過した後、TCPD−10フィルターで濾過した。
【0126】
[記録用紙−1の作製]
上記の各塗布液を、以下に示す湿潤膜厚となるよう、40℃で両面にポリエチレンを被覆した紙支持体(RC紙)上に、スライドホッパー型コーターを用いて4層同時塗布した。
【0127】
第1層:42μm
第2層:39μm
第3層;44μm
第4層:38μm
尚、該RC紙は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール上に巻かれた下記のものを用いた。
【0128】
含水率8%、坪量170gの写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを厚さ35μmで押し出し溶融塗布した。表面側は、コロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA235)を記録媒体1m2当たり0.05gになるよう下引層を塗布し、裏面側には、コロナ放電した後、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1g及び約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
【0129】
インク受容層塗布液塗布後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンの温度を適宜設定して乾燥を行い、ロール状に巻き取って比較の記録用紙−1を得た。
【0130】
同様の方法で記録用紙−2〜14を作製した。
記録用紙−2:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly bd R45HT(出光石油化学社製;数平均分子量2,800)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−2を作製した。
【0131】
記録用紙−3:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly ip (出光石油化学社製;数平均分子量2,500)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−3を作製した。
【0132】
記録用紙−4:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly oil 130 (日本ゼオン社製;数平均分子量3,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−4を作製した。
【0133】
記録用紙−5:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をPoly oil 110 (日本ゼオン社製;数平均分子量1,600)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−5を作製した。
【0134】
記録用紙−6:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をNisso PB B−1000(日本曹達社製;数平均分子量900〜1,300)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−6を作製した。
【0135】
記録用紙−7:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)を日石ポリブタジエン E−1000−8(新日本石油化学社製;数平均分子量約1,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−7を作製した。
【0136】
記録用紙−8:オイル分散液−1の調製において、酸化防止剤(AO−1)をダイソーダップS(ダイソー社製ポリアリルフタレート,平均分子量約35,000)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−8を作製した。
【0137】
記録用紙−9:記録用紙−1の作製において、第1〜第3層用塗布液のオイル分散液を同量の変性スチレン・ブタジエンラテックスLX438C(日本ゼオン社製)に替えた以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−9を作製した。
【0138】
記録用紙−10:Poly bd R45HT(出光石油化学社製;数平均分子量2,800)を酢酸エチルに溶解して10%の溶液を調製し、スプレー塗布を行い、記録用紙−1にPoly bd R45HTの付量が0.5g/m2になるように均一に塗布・乾燥して記録用紙−10を作製した。
【0139】
記録用紙−11:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてPoly oil 130(日本ゼオン社製)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−11を作製した。
【0140】
記録用紙−12:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてハイカーATBN1300×16(日本ゼオン社製;数平均分子量3,000〜3,500)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−12を作製した。
【0141】
記録用紙−13:記録用紙−10の作製において、Poly bd R45HTに替えてJSR RB−810(JSR社製;平均分子量150,000)を用いた以外は、記録用紙−10と同様にして記録用紙−13を作製した。
【0142】
記録用紙−14:記録用紙−1の作製において、シリカ分散液D−2に替えて同量のシリカ分散液D−3を用い、オイル分散液−1に替えて同量のオイル分散液−2を使用した以外は、記録用紙−1と同様にして記録用紙−14を作製した。
【0143】
以上のようにして得られたインクジェット記録用紙1〜14について、それぞれ以下の項目の評価を行った。
【0144】
《画像保存性》
各記録用紙をキヤノン社製BJ−F870を用い、シアンのベタ画像を記録した後、外気を直接プリント画像に1ケ月間吹き付けてシアン画像のガス褪色性を初期濃度の残存率で示した。
【0145】
《白地変動》
上記の画像保存性試験に用いた記録用紙の、未プリント部分の外気を吹き付ける前後での色差ΔEを、X−rite社製濃度計(X−rite938)を用いて求めた。ΔEは下記計算式により算出した。
【0146】
ΔE= ((L*−L*′)2+(a*−a*′)2+(b*−b*′)2)1/2
ここで、L*,a*,b*及びL*′,a*′,b*′は、それぞれ画像保存性試験の前と後に測定した値を示す。
【0147】
《白色度》
インク受容層中に蛍光増白剤を含有する記録用紙−1〜13は僅かに青身がかった鮮明な白色であった。又、染料−1及び染料−2をインク受容層に含有する記録用紙−14は印刷用標準紙に近い色調であった。
【0148】
各記録用紙の評価結果を併せて表1に示す。
【0149】
【表1】
【0150】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明によるインクジェット記録用紙は、画像保存性が改良され、白地変動の少ないことが判る。
Claims (5)
- 分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物と白地調整剤を含有する多孔質インク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 白地調整剤が蛍光増白剤であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 分子内に非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を複数個有する化合物が、ブタジエンを単量体として含む重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
- ブタジエンを単量体として含む重合体が、数平均分子量が500〜10,000のポリブタジエンであることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録用紙。
- 多孔質インク受容層が、平均粒径30〜200nmのシリカ粒子、親水性バインダーを含有し、かつシリカ粒子:親水性バインダー比(質量比)が3:1〜10:1であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用紙。
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