JP2004167962A - 成形機の生産状況表示装置及び表示方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数台の成形機を管理する複数台管理システムにおける管理装置に備えられたディスプレイ装置の画面により各成形機の生産状況を表示する。ディスプレイ装置は、複数台の成形機の稼働状況を、画面分割形式にてすべての号機について一括して表示する運転状況画面を表示する。運転状況画面では分割表示されている各号機の分割画面にそれぞれ、成形開始から現時点までの成形作業の進捗状況を棒グラフD1で表示する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は成形機の生産状況をディスプレイ装置によりオペレータに分かり易く表示するための生産状況表示方法に関し、特に複数台の成形機を一括管理する複数台管理システムにおける表示に適した生産状況表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
同じ場所に設置された複数台の成形機、特に射出成形機を管理する複数台管理システムとして、例えば生産性の面から管理する群管理システムが提供されている。この種の複数台管理システムでは、複数台の射出成形機と接続した管理装置として、例えばディスプレイ装置付きのパーソナルコンピュータを備えている。管理装置は、射出成形機毎にそこに設置された各種センサから様々な情報を受け、受信した情報を内蔵の管理プログラムに基づいて処理すると共に、処理した結果を内蔵のメモリに保存及び管理画面としてディスプレイ装置にて表示する。勿論、情報の種別によっては受信した生情報がそのままメモリに保存される場合もある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−156910号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、射出成形機は成形品を生産する設備であるため、その稼働率や生産の進捗状況を生産状況として管理することは生産現場にとって非常に重要な課題である。しかし、複数台の射出成形機を一括管理している場合、一目で何台もの射出成形機の稼働率や進捗状況を把握することは難しい。
【0005】
これまでの管理装置では、稼働率について言えば、一日の稼働率を自動的に集計することはできる。しかし、この場合の稼働率というのは、一日の稼働が終了してはじめて知ることのできる稼働率である。つまり、この場合の稼働率はリアルタイムで得られる値ではない。また、射出成形機を稼働している設備には、24時間成形している場合もあるし、12時間の場合もある。つまり、稼働率の計算が24時間ベースか12時間ベースかで異なってくる。
【0006】
以上のような理由で、これまでの管理装置では、一日の成形作業が終了した時点での稼働率の確認や、予定生産数の入力による進捗状況の確認はできるが、稼働率や進捗状況を生産状況としてリアルタイムで表示できるような形態にはなっていない。
【0007】
そこで、本発明の課題は成形機における成形作業の進捗状況をリアルタイムに分かり易く表示できるような生産状況表示装置及び表示方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の課題は、成形機における成形作業の進捗状況と稼働率とをリアルタイムに分かり易く表示できるような生産状況表示装置及び表示方法を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の課題は、複数台の成形機を一括管理するような管理システムであっても成形機毎の成形作業の進捗状況や稼働状況、稼動率をリアルタイムに分かり易く表示できるような生産状況表示装置及び表示方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による生産状況表示装置及び表示方法は、成形機が単一である場合、以下の第1の形態のように実施される。
【0011】
つまり、成形機の制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において、成形開始から現時点までの成形作業の進み具合を、進捗状況を用いて表示するようにしたことを特徴とする。
【0012】
具体的には、前記ディスプレイ装置には成形機の運転状況をリアルタイムで表示する運転状況画面を有し、該運転状況画面に前記進捗状況を表示させることを特徴とする。
【0013】
本発明による生産状況表示装置及び表示方法は、成形機が単一である場合、以下の第2の形態のように実施される。
【0014】
つまり、成形機の生産状況をその制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において表示する表示装置あるいは表示方法において、前記ディスプレイ装置は、現時点から任意に設定可能な過去Y時間分のショット数の累積値の変化を時刻を横軸にして折れ線グラフで示すと共に、前記過去Y時間分の品質データの変化状況を時刻を横軸にして示す総括グラフ画面を表示可能であり、該総括グラフ画面には更に、前記過去Y時間を示す数値に加えて、前記過去Y時間における成形機の稼動状況を稼動率として第1の表示手段により表示すると共に、前記進捗状況を第2の表示手段により表示するようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明を、複数台の成形機を一括管理する複数台管理システムに適用する場合、以下の第3の形態のように実施される。
【0016】
つまり、複数台の成形機を管理する複数台管理システムにおける管理装置に備えられたディスプレイ装置の画面により各成形機の生産状況を表示する表示方法において、前記ディスプレイ装置は、前記複数台の成形機の稼働状況を、画面分割形式にてすべての号機について一括して表示する運転状況画面を表示可能であり、該運転状況画面では分割表示されている各号機の分割画面に、それぞれ成形作業の進捗状況を表示するようにしたことを特徴とする。
【0017】
前記進捗状況は、成形開始から現時点までの成形作業にてすべて良品が成形されたと仮定することで求められる予定進捗状況と、成形開始から現時点までの成形作業にて、成形品数から不良品数を除いた数より求められる実績進捗状況とで表示される。
【0018】
前記進捗状況はまた、グラフで表示されることが好ましい。
【0019】
前記予定進捗状況と前記実績進捗状況を一つのグラフに重ねて表示させるようにしても良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する前に、図1〜図6を参照して、本出願人により提案(特願2001−193234号)されている射出成形機の稼働状況表示方法について説明する。上記提案による稼働状況表示方法は、図1に示すような射出成形機の複数台管理システムに適用されている。図1において、同じ場所に複数台の射出成形機10−1〜10−nが設置され、これらはディスプレイ装置付きの管理装置20で一括管理されている。つまり、管理装置20は、射出成形機10−1〜10−nにおけるそれぞれの制御装置に接続されており、射出成形機10−1〜10−nのそれぞれに設置された各種センサからの様々な情報を各制御装置経由で受信し、受信した情報を内蔵の管理プログラムに基づいて射出成形機別に処理すると共に、処理した結果を内蔵のメモリに保存及び管理画面としてディスプレイ装置に表示する。情報の種別によっては受信した生情報がそのままメモリに保存される。
【0021】
次に、上記の管理装置20において各射出成形機の稼働状況を表すためにディスプレイ装置にて表示される管理画面には複数種類あり、そのうちの4つの例について説明する。
【0022】
図2は、複数台の射出成形機の運転状況をリアルタイムに表示する運転状況画面である。この運転状況画面では、複数台の射出成形機の稼働状況が、画面分割形式にてすべての号機(ここでは1号機〜30号機)についてリアルタイムで一括して1画面に表示される。例えば、9号機について拡大して示した図3をも参照して説明すると、左上に号機の番号、右上に成形条件変更カウンタの計数値C1(ここでは17)、右横に24時間稼働状況グラフ、下側にはショット数(529)とサイクル時間(14.9sec)とが表示されている。ここで、成形条件変更カウンタというのは、成形を開始してから現在までに何回成形条件が変更されたかを計数するカウンタである。このカウンタは管理装置20に備えられる。各射出成形機における制御装置には成形条件の変更を検出する手段が設けられ、管理装置20では各制御装置からの検出結果を受けてそれぞれをカウントし、号機別にカウント結果をディスプレイ装置に表示させる。管理装置20では、この表示値を必要に応じてリセット可能である。
【0023】
また、24時間稼働状況グラフというのは、現時点から過去24時間における射出成形機の稼働状況を色分けにして1本の棒グラフB1で表示するものである。稼働状況は、稼働、通常の停止(スタンバイ中)、異常発生による停止、電源切りの4種類で規定され、24時間前から現時点までの時間経過に対応させて前記4種類の状況が色分け区分表示される。ここでは、稼働が青色、通常の停止が黄色、異常発生による停止が赤色、電源切りが灰色で示され、図3では便宜上、青色は右下がりの細いハッチング、黄色は縦のハッチング、赤は右下がりの太いハッチング、灰色は左下がりの太いハッチングで示している。また、棒グラフB1の最下端が24時間前、最上端が現時点をそれぞれ示し、例えば、過去24時間前から12時間前までは通常の停止、過去12時間前から現時点までは稼働中であれば、棒グラフB1は下半分が黄色、上半分が青で表示されることになる。
【0024】
上記提案では更に、各号機の分割画面内に射出成形機の外観が模式的に表示され、しかもその背景が、現在の稼働状況を示すために、前記稼働、前記通常の停止、前記異常発生による停止、前記電源切りの4種類について棒グラフB1における色分けと同じ対応色関係で表示されるようにしている。つまり、上記の例示と同じとすると、背景色は青となる。
【0025】
このような運転状況画面を見ることで、オペレータあるいは管理者はどの号機が過去24時間においてどのような稼働状況であったのかを一目瞭然で知ることができる。なお、24時間という数値は、通常は固定値であるが、可変としても良い。
【0026】
ところで、管理装置20では、ディスプレイ装置における上記の運転状況画面における各号機の分割画面における特定箇所(画面上のアイコン)をクリックすることで該当する号機のみの稼働状況を詳細に示す総括グラフ画面を表示可能にしている。
【0027】
図4は、過去のそれぞれの射出成形機の運転状況を一見できる総括グラフ画面の例であり、この総括グラフ画面では号機別(ここでは10号機)に、24時間分の品質データの変化状況、異常発生の有無、設定変更の有無が時刻を横軸にして1画面にて表示される。図4において、最上段のグラフはショット数の累積値の変化を示す折れ線グラフであり、縦に入っている複数の線、例えば線L1は18時近辺で成形の中断(異常発生)があったことを示す。L2の『状態』というのは、前に述べた稼働状況の表示と同じであり、稼働、通常の停止(スタンバイ中)、異常発生による停止、電源切りの4種類で規定され、24時間分の状態が時刻に対応させて色分け表示される。L3の『条件名』というのは、成形条件の変更、つまり成形品毎の条件名が変更されると色を変更し、変更された時刻を示すグラフである。言い換えれば、これは成形品が変わると変更されるものであり、色別表示されるが、色そのものに意味があるわけではなく、色が変わった時刻に意味がある。一方、L4の『項目』というのは、成形条件内の条件項目が変更されると色を変え変更されたことを時刻とともに表示するグラフである。例えば、射出の条件や型開の条件等が変更された場合に色が変更されるものであり、これも色そのものというより、色が変わった時刻に意味がある。このため、『条件名』、『項目』の色は、『状態』とは異なり、4色以上が用意される。
【0028】
また、L5の1段目のグラフは図4下側の表示項目選択欄に示されている表示項目の『充填時間』の時間経過を示し、2段目は同様に『最小クッション位置』の時間経過を示す。3段目のグラフは『保圧完了位置』を示し、4段目、5段目はそれぞれ、『V−P切換位置』、『充填前位置』の時間経過を示す。
【0029】
上記提案では更に、総括グラフ画面の右横に更に、過去24時間における当該号機の稼働状況を、0〜100%の稼働率で第1の棒グラフB2により、24時間を示す数値と共に表示するようにしている。図4では、過去24時間の稼働率が28%であることを示し、図4下側の表示項目選択欄に示されている『時間表示』の箇所に稼働率計算のベースになっている24という数字が表示されている。なお、ここでの『時間表示』の欄L6の数字は任意に変更することができる。つまり、表示項目選択欄に示されている『日時』、『時間表示』は任意に設定することができ、ここでは2000年9月4日10時から24時間という数値が設定されていることにより、図4最上部に示されているように、2000年9月4日10時から2000年9月5日10時までの24時間分が表示される。仮に、『時間表示』の欄L6に12という数字を入力すれば、12時間をベースとした過去12時間分の稼働率が第1の棒グラフB2で表示される。この場合、図4の1段目〜8段目のグラフあるいは項目も過去12時間分について示されることになる。このような第1の棒グラフB2によれば、任意な時間の任意な時刻からの稼働率を表示できる。
【0030】
図5は、設定履歴画面の例であり、この設定履歴画面では号機別(ここでは10号機)に、設定変更の履歴が、変更した項目、変更前及び変更後の設定値、変更日時と共に1画面にて表示される。
【0031】
図6は、異常履歴画面の例であり、この異常履歴画面では号機別(ここでは10号機)に、異常発生の履歴が、異常の項目、発生日時、解除日時と共に1画面にて表示される。
【0032】
前に述べたように、図4の総括グラフ画面は図2の運転状況画面にリンクしており、図2の運転状況画面における各号機の特定箇所(画面上のアイコン)をクリックすることで表示されるようになっている。また、図5の設定履歴画面、図6の異常履歴画面はそれぞれ図4の総括グラフ画面にリンクしており、図4の総括グラフ画面の特定箇所(画面上のアイコン)をクリックすることで表示されるようになっている。
【0033】
さて、本発明による生産状況表示方法の第1の実施の形態では、図2に示されるような運転状況画面で表示される号機別の表示において、棒グラフB1による稼動状況の表示だけでなく、成形開始から現時点までの成形作業の進捗状況をも生産状況として表示させるようにした点に特徴を有する。この進捗状況の表示形態には複数の例があり、これを図7〜図10を参照して説明する。
【0034】
図2に示されるような運転状況画面の中から12号機について拡大して示した図7を参照して第1の例について説明する。図3と同様の形態で、左上に号機の番号、右上に成形条件変更カウンタの計数値C1(ここでは74)、右横に棒グラフB1による24時間稼働状況グラフ、下側にはショット数(70312)とサイクル時間(20.7sec)とが表示されている。前述したように、成形条件変更カウンタは管理装置20に備えられる。各射出成形機における制御装置には成形条件の変更を検出する手段が設けられ、管理装置20では各制御装置からの検出結果を受けてそれぞれをカウントし、号機別にカウント結果をディスプレイ装置に表示させる。管理装置20では、この表示値を必要に応じてリセット可能である。また、稼働状況は稼働、通常の停止(スタンバイ中)、異常発生による停止、電源切りの4種類で規定され、棒グラフB1による24時間稼働状況グラフは、現時点から過去24時間における射出成形機の稼働状況を色分けにして棒グラフB1で表示する。なお、図7では棒グラフB1は色分け区分の表示を省略している。
【0035】
本例でも、各号機の分割画面内に射出成形機の外観が模式的に表示され、しかもその背景が、現在の稼働状況を示すために、前記稼働、前記通常の停止、前記異常発生による停止、前記電源切りの4種類について棒グラフB1における色分けと同じ対応色関係で表示されるようにしている。
【0036】
成形開始から現時点までの成形作業の進捗状況の表示は、棒グラフB1に平行に隣接して表示された1本の棒グラフD1により行われる。特に、進捗状況を予定進捗状況と実績進捗状況とで表すようにし、それぞれ以下のように定義している。
【0037】
予定進捗状況=(良品数+不良品数)/(予定生産数)
実績進捗状況=(良品数)/(予定生産数)
通常、射出成形機の成形品搬出ラインには成形品の良否判別装置が設けられている。良否判別装置は、射出成形機の金型から取り出された成形品について良否判別を行い、不良品は別ラインに排出するものである。良否判別装置はまた、成形開始からの良品、不良品の数をカウントし、その数を制御装置に送る。そして、これら良品、不良品に関する情報も管理装置20に送られる。管理装置20では、射出成形機毎に上記の計算を行って進捗状況表示のための情報を作成する。
【0038】
ところで、上記の式で表される予定進捗状況と実績進捗状況との差は、不良率を表すことになる。また、棒グラフD1では、予定進捗状況と実績進捗状況とが色分け表示される。この表示例によれば、良品数の数が増えて予定生産数に近付くにつれて実績進捗状況の表示バーが上方に伸びてゆき、進捗状況を即座に把握できる。
【0039】
図8は、進捗状況表示の第2の例を示す。この例では、予定進捗状況、実績進捗状況をそれぞれ、棒グラフB1に平行に隣接して表示された別の2本の棒グラフD2、D3で行うようにしたものである。その他の、表示部分は図7、つまり図3とまったく同じである。
【0040】
図9、図10は、予定進捗状況、実績進捗状況を前述の式とは別の式で表すようにした場合の第3、第4の表示例を示している。
【0041】
つまり、第3、第4の表示例では、予定進捗状況を、
{(良品数+不良品数)×実サイクル時間}/(予定生産数×予定サイクル時間)とし、前記実績進捗状況を、
{(良品数)×実サイクル時間}/(予定生産数×予定サイクル時間)としている。ここで、実サイクル時間というのは、生産開始から現時点のショットまでの1ショット毎のサイクル時間のことであり、予定サイクル時間は1ショット当たりの予定のサイクル時間を意味する。なお、実サイクル時間は生産開始から現時点のショットまでのサイクル時間の総和とし、予定サイクル時間を生産開始から現時点のショットまでの総ショット数×予定サイクル時間としても良い。
【0042】
図9では、予定進捗状況、実績進捗状況が別の色で表示され、棒グラフD4の上端を成形作業の終了予定時刻(あるいは時間)としている。このように、(予定生産数×予定サイクル時間)を分母にした式の場合には、予定進捗状況と実績進捗状況との差を不良率として把握することができる。しかし、実績進捗状況を示す色が棒グラフD4の上端に近付くとこれを把握できなくなる。これは、予定進捗状況を示す色の長さは不良品が増えるのに伴って長くなるが、生産が進んで良品数が増加し実績進捗状況を示す色が棒グラフD4の上端に近付くと予定進捗状況は棒グラフをオーバーしてしまい、ついには表示されなくなるからである。
【0043】
一方、終了予定時刻(あるいは時間)を(予定生産数×予定サイクル時間)とし、予定進捗状況を(良品数+不良品数)×実サイクル時間、実績進捗状況を(良品数)×実サイクル時間として時間で表すようにしても良い。
【0044】
図10では、終了予定時刻(あるいは時間)を棒グラフD5の上端に設定するのではなく、棒グラフD5中の任意の位置に横線で設定することにより、実績進捗状況が終了予定時刻(あるいは時間)に達しても、予定進捗状況と実績進捗状況との差を棒グラフD5から読み取ることができるようにしている。つまり、実績進捗状況が終了予定時刻(あるいは時間)に達すると、終了予定時刻(あるいは時間)を示す横線の上側に予定進捗状況と実績進捗状況との差が表示されることになる。この場合、予定進捗状況と実績進捗状況との差は厳密に言えば不良率を表しているわけではないが、不良品発生の傾向を知ることはできる。そして、棒グラフD5の横に時刻(あるいは時間)の目盛りを付すことで、この目盛りから予定進捗状況と実績進捗状況との差がどの程度の時間であるかを知ることができるので、生産の遅れがどの程度の時間であるかを定量的に知ることができる。このような表示形態は、成形品毎にサイクル時間が異なる場合に有効である。
【0045】
なお、図9、図10のいずれも、棒グラフD4、D5の表示部分以外の表示部分は、図3とまったく同じである。
【0046】
図11は、本発明による生産状況表示方法の第2の実施の形態を示す。本形態では、図4で説明した総括グラフ画面における第1の棒グラフB2に隣接させて進捗状況を第2の棒グラフB3で表示するようにしたものである。ここでの進捗状況は(良品数/予定生産数)で表される。つまり、成形品の良品数が予定生産数に近付くにつれて進捗状況を示す色のバーが100%に近付いてゆく。勿論、第2の棒グラフB3の表示形態は、図7〜図10で説明した形態でも良い。
【0047】
また、図11に示す総括グラフ画面には、図4でも説明したように、2000年8月5日10:00における2000年8月4日10:00から24時間における総括グラフ、稼動状況及び進捗状況を表示している。編集時間範囲は、『時間表示』の欄L6へ24を入力することで、現在値から過去24時間の範囲における稼動率と進捗状況が演算され、第1及び第2の棒グラフB2及びB3で表示される。更に、稼動率と進捗状況の表示とともに、成形品の品質に影響を及ぼす製品判別評価項目としてのロギング項目である『充填時間』、『最小クッション位置』、『保圧完了位置』等が時系列データとしてグラフ表示される。このため、過去24時間における不良品の発生が、どのロギング項目に依存しているのか、更に、どの時間帯にそれが発生したのかが一目で判別できる。また、表示項目選択欄に示されている『日時』、『時間表示』は任意に設定することができる。仮に、『時間表示』の欄L6に12を入力すれば、過去12時間分について測定時間範囲を狭くした総括グラフが表示され、より詳細に機械の『状態』やロギング項目等のデータを分析することができる。更に、過去の任意の時間範囲だけでなく、任意のショット数範囲を指定して求めてもよい。
【0048】
また、稼動状況、つまり稼働率と進捗状況とを生産状況として総括グラフ画面に表示させることにより、仮に進捗状況が低下した時間帯が、条件を変更した後に原因があるのか、機械的に停止したためなのか等、進捗状況が低下した種々の原因を、総括グラフ画面を分析することで求めることができる。
【0049】
更に、稼動状況と進捗状況を異なった時間範囲やショット数範囲から演算してもよい。稼動状況とは、機械の稼動状態を求めるものであり、金型交換による停止や異常による停止などが考慮されるが、進捗状況は、生産工程の進捗状態を求めるものであり、成形された良品数を基にして求められるため、両者は必ずしも関係があるとは言えないからである。このため、例えば、稼動状況を過去の時間範囲を指定し、進捗状況はショット数範囲を指定することで、成形機の稼動状況と進捗状況に対する要因分析をより詳細に求めることもできる。
【0050】
また、このようにわずかなスペ−スにおいて稼動状況や進捗状況を生産状況として表示させることができるため、総括グラフ画面や運転状況画面以外のどの画面にも表示することができるだけでなく、ポップアップウインドウとして常時表示させることもできる。この場合、どの画面を表示させていても、リアルタイムに稼動状況や進捗状況を生産状況として確認することができる。
【0051】
なお、図7〜図10の表示形態において稼働状況を示す棒グラフB1に代えて、図11のような稼動率を示す棒グラフB2を表示するようにしても良い。また、上記のいずれの例においても、進捗状況を、稼働状況あるいは稼動率を示す棒グラフと共に表示するようにしているが、号機別の分割画面には稼働状況あるいは稼動率の棒グラフ無しで進捗状況の棒グラフのみを表示するようにしても良い。また、棒グラフに限らず、円グラフ等の他のグラフ、あるいは数値を表示するようにしても良い。
【0052】
以上説明してきたように、本発明の生産状況表示方法によれば、成形を開始してからの成形作業の進捗状況をリアルタイムで表示することができ、複数台の管理システムであってもオペレータは成形機別に最新の進捗状況を即座に把握できる。特に、稼動率と進捗状況とを同じ画面に表示する場合には、生産計画の立て直しの判断がし易くなる。例えば、稼動率が良いにもかかわらず進捗状況が悪いというような場合には、不良品の発生が多く、当該射出成形機による成形だけでは生産計画に支障をきたすので、別の射出成形機に成形作業を一部負担させるというような生産計画の変更を実施する。
【0053】
また、上記の説明は、複数台管理システムに適用する場合についてであるが、本発明は複数台管理システムに限らず、1台の成形機のみの場合にも適用できることは言うまでも無い。つまり、成形機は必ず制御装置を備えており、この制御装置にはモニタ用のディスプレイ装置が接続されている。そして、このディスプレイ装置に図11に示すような総括グラフ画面や図5の設定履歴画面、図6の異常履歴画面を表示させることができる。但し、図2と同じような運転状況画面は無いので、図7〜図10に示すような分割画面も無い。この場合、図7〜図10に示すような棒グラフは別の運転状況画面や、図11の総括グラフ画面における第2の棒グラフB3に代えて表示するようにすれば良い。
【0054】
更に、本発明は射出成形機に限らず、他の成形機、例えば押出し成形機等にも適用可能であることは言うまでも無い。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の生産状況表示方法によれば生産の進捗状況や稼働率を生産状況としていつでも容易にリアルタイムで確認できる。したがって、このような生産状況表示方法は、複数台の成形機を一括管理する複数台管理システムに最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願人により提案され、本発明も適用され得る射出成形機の多数台管理システムの構成を概略的に示した図である。
【図2】本出願人による提案により、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される管理画面の一例として運転状況画面の例を示した図である。
【図3】図2に示された分割画面の一つを拡大して示した図である。
【図4】本出願人による提案により、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される管理画面の他の例として総括グラフ画面の例を示した図である。
【図5】本出願人による提案により、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される管理画面の他の例として設定履歴画面の例を示した図である。
【図6】本出願人による提案により、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される管理画面の他の例として異常履歴画面の例を示した図である。
【図7】本発明による生産状況表示方法の第1の例として、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される運転状況画面における分割画面の1つを拡大して示した図である。
【図8】本発明による生産状況表示方法の第2の例として、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される運転状況画面における分割画面の1つを拡大して示した図である。
【図9】本発明による生産状況表示方法の第3の例として、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される運転状況画面における分割画面の1つを拡大して示した図である。
【図10】本発明による生産状況表示方法の第4の例として、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される運転状況画面における分割画面の1つを拡大して示した図である。
【図11】本発明による生産状況表示方法の他の実施形態として、図1に示された管理装置のディスプレイ装置で表示される総括グラフ画面の1例を示した図である。
【符号の説明】
10−1〜10−n 射出成形機
20 管理装置
B1、D1〜D5 棒グラフ
B2 第1の棒グラフ
B3 第2の棒グラフ
Claims (10)
- 成形機の制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において、成形開始から現時点までの成形作業の進み具合を、進捗状況を用いて表示するようにしたことを特徴とする成形機の生産状況表示装置。
- 前記ディスプレイ装置には成形機の運転状況をリアルタイムで表示する運転状況画面を有し、該運転状況画面に前記進捗状況を表示させることを特徴とする請求項1に記載の成形機の生産状況表示装置。
- 成形機の生産状況をその制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において表示する表示装置において、
前記ディスプレイ装置は、現時点から任意に設定可能な過去Y時間分のショット数の累積値の変化を時刻を横軸にして折れ線グラフで示すと共に、前記過去Y時間分の品質データの変化状況を時刻を横軸にして示す総括グラフ画面を表示可能であり、
該総括グラフ画面には更に、前記過去Y時間を示す数値に加えて、前記過去Y時間における成形機の稼動状況を稼動率として第1の表示手段により表示すると共に、前記進捗状況を第2の表示手段により表示するようにしたことを特徴とする成形機の生産状況表示装置。 - 成形機の制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において、成形開始から現時点までの成形作業の進み具合を、進捗状況を用いて表示するようにしたことを特徴とする成形機の生産状況表示方法。
- 前記ディスプレイ装置には成形機の運転状況をリアルタイムで表示する運転状況画面を有し、該運転状況画面に前記進捗状況を表示させることを特徴とする請求項4に記載の成形機の生産状況表示方法。
- 成形機の生産状況をその制御装置に接続されたディスプレイ装置の画面において表示する表示方法において、
前記ディスプレイ装置は、現時点から任意に設定可能な過去Y時間分のショット数の累積値の変化を時刻を横軸にして折れ線グラフで示すと共に、前記過去Y時間分の品質データの変化状況を時刻を横軸にして示す総括グラフ画面を表示可能であり、
該総括グラフ画面には更に、前記過去Y時間を示す数値に加えて、前記過去Y時間における成形機の稼動状況を稼動率として第1の表示手段により表示すると共に、前記進捗状況を第2の表示手段により表示するようにしたことを特徴とする成形機の生産状況表示方法。 - 複数台の成形機を管理する複数台管理システムにおける管理装置に備えられたディスプレイ装置の画面により各成形機の生産状況を表示する表示方法において、
前記ディスプレイ装置は、前記複数台の成形機の稼働状況を、画面分割形式にてすべての号機について一括して表示する運転状況画面を表示可能であり、
該運転状況画面では分割表示されている各号機の分割画面に、それぞれ成形作業の進捗状況を表示するようにしたことを特徴とする成形機の生産状況表示方法。 - 前記進捗状況は、成形開始から現時点までの成形作業にてすべて良品が成形されたと仮定することで求められる予定進捗状況と、成形開始から現時点までの成形作業にて、成形品数から不良品数を除いた数より求められる実績進捗状況とで表示されることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の成形機の生産状況表示方法。
- 前記進捗状況は、グラフで表示されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の成形機の生産状況表示方法。
- 前記予定進捗状況と前記実績進捗状況を一つのグラフに重ねて表示させることを特徴とする請求項9に記載の成形機の生産状況表示方法。
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