JP2004167893A - 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤 - Google Patents

多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2004167893A
JP2004167893A JP2002337508A JP2002337508A JP2004167893A JP 2004167893 A JP2004167893 A JP 2004167893A JP 2002337508 A JP2002337508 A JP 2002337508A JP 2002337508 A JP2002337508 A JP 2002337508A JP 2004167893 A JP2004167893 A JP 2004167893A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous material
antifouling
photocatalyst
water
water absorption
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002337508A
Other languages
English (en)
Inventor
Daisuke Kumegawa
大輔 粂川
Toshiro Kimura
敏郎 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KUMEKAWA KOGYO KK
Original Assignee
KUMEKAWA KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KUMEKAWA KOGYO KK filed Critical KUMEKAWA KOGYO KK
Priority to JP2002337508A priority Critical patent/JP2004167893A/ja
Publication of JP2004167893A publication Critical patent/JP2004167893A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】内部撥水能と表面親水能とを兼ね備えた多孔質材の防汚構造とその形成方法、および当該防汚構造の形成に適した防汚コーティング剤を提供する。
【解決手段】本発明に係る多孔質材の防汚構造は、吸水防止剤と光触媒とを含む一液性のコーティング剤を塗布してなる一液コート構造をなす。この防汚構造は、多孔質材の表面に形成された被膜部と、多孔質材の内部に浸透した浸透部とからなる。そして、被膜部が光触媒に起因する表面親水能を有し、浸透部が多孔質材の内部に残留する吸水防止剤に起因する内部撥水能を有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート製品などの多孔質建築外装材の表面および内部に形成されて、親水能と撥水能の二つの機能を有する多孔質材の防汚構造に関する。また、本発明は、当該防汚構造の形成方法と、防汚構造の形成に適した防汚コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製品は、水を通しやすく、しかも比較的短時間で微細な亀裂を生じ、さらに水を通しやすくなる欠点がある。従って、多くのコンクリート構造物には、何らかの吸水防止処理が施されている。
【0003】
本発明に係る多孔質材の防汚構造は、光触媒型酸化チタンを含むものであるが、この種の防汚構造は、例えば特許文献1ないし4などに公知である。しかし、これら特許文献に記載の防汚構造は、所謂二液コート構造を採るものであり、塗装工程が煩雑であるばかりかコスト面でも有利であるとは言い難い。かかる不具合を解消するものとして、特許文献5では、過酸化基含有アモルファス型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとシリコン系界面活性剤とを含むコーティング剤を用いることにより、一液コート構造の防汚構造を実現している。
【0004】
【特許文献1】
国際公開第97/00134号パンフレット
【特許文献2】
特開平9−73879号公報
【特許文献3】
特開平9−262481号公報
【特許文献4】
特開2000−1668号公報
【特許文献5】
特開2002−88276号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献5に係るコーティング剤によれば、酸化チタンを含む一液コートで基体表面を親水化しているため、良好な表面親水・セルフクリーニング能が得られる。また、塗装工程が一工程で済むため、特許文献1ないし4のような二液コート構造では不可避であった塗装工程の煩雑さを解消できるとともに、塗装コストの削減化を図ることができる。しかし、特許文献5に係るコーティング剤は、あくまで光触媒に起因する表面親水能を得ることを目的としており、コンクリートやモルタルなどの多孔質材に対する撥水能は期待できない。
【0006】
本発明の目的は、内部撥水能と表面親水能とを兼ね備えた多孔質材の防汚構造とその形成方法、および当該防汚構造の形成に適した防汚コーティング剤を提供することにある。本発明の目的は、一液のコーティング剤を塗布してなる一液コート構造を採ることにより、塗装工程の煩雑さを解消できるとともに、塗装コストの削減化に寄与できる多孔質材の防汚構造、防汚構造の形成方法、および防汚コーティング剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、撥水能と親水能とを兼ね備えた多孔質材の防汚構造、および当該構造の形成に好適な防汚コーティング剤について鋭意研究を行った結果、以下のような知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、光触媒は紫外線の照射を受けない限り、強い酸化力を有するスーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカルを生成せず、従って、たとえ光触媒能を有する薬液でも多孔質材の内部に浸透したものは酸化力を発揮しない。しかるに、コンクリート等の多孔質材用の吸水防止剤に、酸化チタンなどの光触媒を混合分散してなる薬液を多孔質材に塗布すれば、当該多孔質材の内部に浸透した薬液は紫外線照射を受けないため、吸水防止剤はその効能を失わず、当該防止剤に起因する良好な内部撥水能が得られる。一方、多孔質材の表面に残存した薬液に含まれる光触媒は、紫外線の照射を受けると、吸水防止剤の結合の弱い有機成分を酸化分解し、シロキサン骨格などの無機成分に担持された状態で多孔質材の表面に残留して、親水化作用を発揮する。
【0008】
すなわち、本発明は、吸水防止剤と光触媒とを含む一液性のコーティング剤を塗布してなる多孔質材の防汚構造を対象とする。この防汚構造は、多孔質材の表面に形成された被膜部と、多孔質材の内部に浸透した浸透部とからなる一液コート構造をなしている。そして、前記被膜部が、光触媒に起因する表面親水能を有し、前記浸透部が、多孔質材の内部に残留する吸水防止剤に起因する内部撥水能を有するものであることを特徴とする。
【0009】
具体的には、吸水防止剤は、シロキサン化合物を有する無機材料を含むものであり、前記被膜部が、前記シロキサン化合物に由来するシロキサン骨格に光触媒が担持されたものとすることができる。
【0010】
コーティング剤が、吸水防止剤の固形分100重量部に、光触媒1〜31重量部を混合分散してなるものであることが望ましい。
【0011】
本発明は、多孔質材にコーティング剤を塗布することによって、上記のような防汚構造を形成することを特徴とする、多孔質材の防汚構造の形成方法である。
【0012】
本発明は、吸水防止剤に光触媒を混合分散してなる多孔質材の防汚コーティング剤を対象とする。このコーティング剤は、多孔性材に塗布されると、光触媒に起因する表面親水能を発揮する被膜部と、多孔質材の内部に浸透して吸水防止剤に起因する内部撥水能を発揮する浸透部とからなる一液コート構造を形成するものである。そして、前記吸水防止剤が、シロキサン化合物を有する無機材料を含むものであり、前記被膜部が、前記シロキサン化合物に由来するシロキサン骨格に光触媒が担持されたものであることを特徴とする。
【0013】
具体的には、吸水防止剤の固形分100重量部に、光触媒1〜31重量部を混合分散してなるものであることが望ましい。
【0014】
本発明における吸水防止剤としては、加水分解により、或いはそのままで骨格に結合エネルギーの大きいシロキサン結合を持つ無機/有機材料が広く使用できる。具体的には、アルコキシシラン、アルキルシリコーン、フルオロアルキルシラン、アルカリ・アルキルシリコネートなどの溶剤形、水溶エマルションや水溶性材料などを挙げることができる。とくに、アルコキシランは水の存在下で加水分解してシラノールを生成し、シラノール間で脱水反応して結合エネルギーの大きいシロキサン結合を生じてポリマー化するため、本発明の吸水防止剤として最も有用である。また、アルコキシランはイソプロピルアルコールを溶剤とすることができるので、水とも混合できる利点がある。
【0015】
また、吸水防止剤を先のアルコキシシラン等の水性エマルションや水溶性材料とした場合には、それらに対して有機水性エマルション、例えばフッ素系エマルションなどを添加することができる。さらに吸水防止剤を水性エマルション、水溶性やアルコール系溶剤のこの種の材料で中性やアルカリ性のものとした場合には、水ガラスを混合することも可能である。かかる水ガラスはアルカリ性を示すため、コンクリートの中性化を抑制する作用を発揮する。また、その造膜により、孔や亀裂を塞いで、被膜全体を強固で緻密な構造とできる利点もある。
【0016】
但し、有機材料のみで構成されているもの、具体的にはアクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、天然及び合成ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂やフッ素樹脂系の吸水防止剤は、本発明の吸水防止剤として不適である。これは、当該有機材料のみからなる吸収防止剤は、光触媒の酸化作用によって、太陽光の照射を受け酸化分解され、表面にある皮膜部はボロボロになり、そうすると、光触媒を固定できず、降雨によりすべて消失し、その後の汚れを分解できなくなることに拠る。以上より、本発明における吸水防止剤は、シロキサン結合を有する無機材料を含むものである。
【0017】
本発明における吸水防止剤には、各種メーカーから市販されている吸水防止剤を用いることができる。つまり、以上のような条件を満たすものであれば、吸水防止剤は専用品とする必要はなく、市販の吸水防止剤を適用することも可能である。これによれば、吸水防止剤を専用品とする場合に比べて、製造コストの削減化を図ることができる利点がある。
【0018】
本発明における光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等を挙げることができる。これらは、市販の微細な粒子状のものや水分散、水溶性のものから有機溶剤あるいは有機溶剤/水系のものまで広く使用できる。微細な粒子状のものは吸水防止剤に分散機などを用いて分散混合する。その他のものは、攪拌機などで混合して使用する。
【0019】
光触媒の混合量は、吸水防止剤固形物100重量部に対して、1〜31重量部の範囲にあることが好ましい。1重量部以下では、光触媒粒子が吸水防止剤の固形物に覆い隠される率が多くなり、光触媒能、すなわち表面親水能を発揮するまでに長時間がかかる。31重量部を超えると光触媒粒子を固定することが難しくなる。塗布面が変化(白色化)する不具合も生じる。光触媒を過剰に使用することは、コスト面でも有利とは言えない。
【0020】
以上のような構成からなる防汚コーティング剤のコンクリートへの塗布量は、各市販吸水防止剤の規定量に従えばよい。要は、本コーティング剤が、コンクリート製品に可能な範囲まで浸透した後、コンクリート表面にコーティング剤が浮き、濡れている状態まで塗布することが好ましい。
【0021】
本発明に係る防汚コーティングを多孔質材に塗布した後、本多孔質材を太陽光を照射を受ける場所に2ヶ月程度放置すると、光触媒により塗膜表面の有機成分が酸化分解を受け、シロキサン骨格に光触媒が担持された被膜部を得ることができる。かかる被膜部は、光触媒による親水性を示す。
【0022】
無処理のコンクリートと、本発明に係る防汚構造を有するコンクリートとを水中に1ヶ月間浸漬した後、各々の吸水率((W−Wo)/Wo×100(%),W:浸漬後のコンクリートの重量(g),Wo:浸漬前のコンクリートの重量(g))を測定した。その結果、無処理コンクリートでは、およそ6%の吸水率を示したのに対し、本発明に係る防汚構造を有するコンクリートでは、0.2〜1.2%の低い吸水率を示した。以上の結果より、本発明に係る多孔質材の防汚構造が、優れた撥水能を発揮するものであることが確認された。
【0023】
さらに、無処理のコンクリートと、本発明に係る防汚構造を備えたコンクリートとを、沿道に6ヶ月間、45°の傾斜姿勢で設置し、実験前後の汚れを、黙視と色差計にて測定した。色差計による測定値は、ΔL(ΔL=L−L 、L:6ヶ月後の値、L :初期値)で評価した。その結果、本発明に係る防汚処理が施されたコンクリートは、無処理コンクリートに比べ、目視で明らかに汚れが少なく、ΔLは前者がおよそ0〜−1,後者がおよそ−2〜−4の範囲となっていた。当該結果より、本発明に係る多孔質材の防汚構造が、優れた親水能を発揮するものであることが確認された。以上より、2つの実験結果より、本発明に係る多孔質材の防汚構造が、内部撥水能と表面親水能とを兼ね備えたものであることが確認された。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0025】
(実施例1)
実施例1では、本発明に係る多孔質材の防汚構造が、良好な内部撥水能と表面親水能とを兼ね備えたものであることを確認する。
光触媒型酸化チタン粉体(商標名:AMT−102、テイカ(株)製)0.5gと水100g及び分散媒体としてチタニアビーズ(2mmφ)100gをガラズ容器に入れペイントシェーカーで2時間分散した液を吸水防止剤のアルキルアルコシシランの水性エマルション(商標名:ドライシールS、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)10g(固形分25%、測定値)に混合して、防汚コーティング剤を作成した。このコーティング剤をJIS A1138に従って作成した10×10×10cmのコンクリートに刷毛で全面塗布して、これを第1試験体とした。なお、防汚コーティング剤に含まれる吸水防止剤の固形分100重量部に対して、光触媒型酸化チタンは20重量部であった。
【0026】
比較のために、アルキルアルコキシシランの水性エマルション(同上)10gに水100g混合した液を塗布して第2試験体を作成した。つまり、第1の試験体は、吸水防止剤と光触媒とを混合分散してなる本発明に係る防汚コーティング剤が塗布されたものであり、第2試験体は、吸水防止剤のみが塗布されたものである。これとは別に無処理のコンクリートを用意し、それを第3試験体とした。
【0027】
第1および第2の試験体のコーティング作業では、コーティング剤がコンクリートに浸透している間は繰り返して塗り、浸透できなくなりコンクリート表面にコーティング剤が浮いてきた時点で塗布を完了した。
【0028】
第1ないし第3の試験体を、屋外の平均1日5時間程度太陽光が照射される場所におき、設置3日後から1日1回、各試験体の表面に水をかけ撥水/親水の簡易な試験を実施した。この試験は30日間行った。
【0029】
その結果、第2試験体においては、垂直面にかかった水は小さい球となり、一気に転がり落ちるほどの撥水性を示し、30日目においても初期の撥水性と略同等の撥水性を示した。第1試験体は、屋外曝露10日目ぐらいから、徐々に撥水性が弱まる傾向が見られ、30日目には、水が前面に拡がるほどの親水性を呈した。
【0030】
そこで、試験後(30日経過後)の第1の試験体の対水接触角を測定すると、およそ18°であった。一方、第3の試験体のそれは86°であった。すなわち、第1試験体の表面は、30日間の曝露を経て良好な親水性を示すものに変化していることがわかった。このことより、曝露後の第1試験体の表面は、光触媒酸化チタンが現出する親水性構造を採っていること、すなわちアルキルアルコキシシランの結合の弱い有機部分が、光触媒酸化チタンにより酸化分解されて、結合の強いシロキサン結合に光触媒酸化チタンが担持された状態で、当該酸化チタンが表面に現出する親水性構造を採っていることが裏付けられた。
【0031】
次に、第1ないし第3の試験体を水の中に1ヶ月間浸漬し、吸水率を測定した。その結果、第1の試験体では0.89%、第2の試験体では0.82%、第3の試験体では5.8パーセントの吸水率が得られた。以上より、本発明に係る防汚構造が、専用の吸水防止剤と略同等の吸水防止効果、すなわち撥水能を発揮することが確認された。
【0032】
さらに、第1および第3試験体を沿道に6ヶ月間さらに曝露した後、汚染の程度を比較するために色差計で明度(ΔL)を測定した。目視でも明らかに、第1試験体よりも第3試験体が汚れていることが認められた。また、色差計による明度は、前者はΔL=−1,後者はΔL=−4であった。このことから、第1試験体に形成された本発明に係る防汚構造が、良好な光触媒能、すなわち表面親水能を保持していることが裏付けられた。
【0033】
(実施例2)
この実施例2では、本発明に係る防汚コーティング剤のバリエーション例を示す。詳しくは、以下の表1ないし表4に示すNo.1〜No.12のような組成で防汚コーティング剤を作成して、これらNo.1〜12の防汚コーティング剤を実施例1と同様の方法で塗布して試験体を作成し、各試験体に対して試験を行った。吸水防止剤としては、市販の溶液を用いた。粉末酸化チタン(AMT−102、同上)を使用するものは、予め、表中の水と実施例1と同様に分散したものを吸水防止剤に加えた。
【0034】
先と同様に、作成したコンクリートに各試験液を塗布し24時間後、その塗布表面の対水接触核を測定した(初期対水接触角)。次に、試験体を6ヶ月間、沿道に屋外曝露し、対水接触角、汚染度(ΔL)を測定した後、各試験体を水中に24時間浸漬し(実施例1)と同様の方法で吸水率を求めた。
【0035】
評価として、初期対水接触角が80°以上を○で、屋外曝露後の対水接触角20°以下を●で、吸水率が1.2%以下を◇で示した。
【0036】
【表1】
Figure 2004167893
【0037】
【表2】
Figure 2004167893
【0038】
【表3】
Figure 2004167893
【0039】
【表4】
Figure 2004167893
【0040】
表1〜4の屋外曝露試験より、屋外曝露後の対水接触角が、曝露前のそれよりも小さくなっていることがわかる。この結果は、親水性を発揮する光触媒型酸化チタンがコンクリートの表面に現出していることを示しており、これは吸水防止剤の結合エネルギーの弱いC−C結合部が、光触媒型酸化チタンに紫外線(太陽光)が照射され空気中の水分の存在で発生する強い酸化力を有するスーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシラジカルで酸化分解され、その結果、吸水防止剤に含まれるシロキサン化合物に由来するシロキサン骨格が残り、光触媒型酸化チタンがシロキサン骨格に担持された状態で、コンクリート表面に残留することに拠る。
【0041】
さらに、表1〜4の吸水試験より、吸水率が1.2%以下を示したことは、紫外線(太陽光)が照射されないコンクリート内部に吸水防止の効果を維持できる吸水防止剤が存在していることを物語っている。以上より、No.1〜12に係るような防汚コーティング剤を用いれば、内部撥水/表面親水構造を有する防汚構造を形成することができ、従って、内部撥水能と表面親水能の二つの機能を兼ね備える、多孔質材に好適な防汚構造が得られることが確認できた。
【0042】
(実施例3)
この実施例3は、吸水防止剤に対する光触媒の好適な混合分散量を求めるとともに、その臨界的意義を明らかにする。具体的には、吸水防止剤[C](同上)100gに光触媒型チタンAMT−102(同上)を表5に示す割合で(実施例1)と同様にペイントシェーカーで分散して、その各溶液を実施例1と同様に作成したコンクリートに塗布し、その表面の色変化(白色化)、また屋外曝露中に親水性になる時期をその表面に水をかけ調査した。さらに、親水性になった時点で、その表面を指で擦って、粉の付着度を見た。
【0043】
【表5】
Figure 2004167893
【0044】
No.13,14の試験結果より、光触媒型酸化チタン量が、吸水防止剤固形分100重量部に対して1重量部未満であると、親水性を発揮するのに2ヶ月以上もかかり、実用利便性に不具合が生じることがわかる。また、No.15,16の試験結果より、光触媒型酸化チタン量が吸水防止剤固形分100重量部に対して31重量部を超えると、色変化と粉付着が生じ、この点でも実用利便性に不具合が生じることがわかる。以上より、光触媒型酸化チタン量は、吸水防止剤固形分100重量部に対し、1重量部以上、31重量部以下が好ましいことが判った。尤も、親水速度の問題、色変化や手の触れない箇所などを容認するならば、上記数値範囲を超えて使用することも許される。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係る多孔質材の防汚構造は、多孔質材の表面に形成された被膜部と、多孔質材の内部に浸透した浸透部とからなるものとし、被膜部が光触媒に起因する表面親水能を有し、浸透部が多孔質材の内部に残留する吸水防止剤に起因する内部撥水能を有するものとしてあるので、多孔質材にその表面に付いた汚れを分解除去するセルフクリーニング機能と、多孔質材の内部に水が浸透するのを防ぐ吸水防止機能とを与えることができる。そのうえで、この防汚構造は、一液性のコーティング剤を多孔質材の表面に塗布してなる一液コート構造であるため、二液コート構造では不可避であった塗装工程の煩雑さを解消できるとともに、塗装コストの削減化を図ることができ、実用利便性に優れている。
【0046】
吸水防止剤が有機材料のみで構成されていると、光触媒の触媒能により有機成分が分解されて表面被膜はボロボロになり、光触媒を固定できない。その点、吸水防止剤がシロキサン化合物を有する無機材料を含むものとしてあると、当該シロキサン化合物に由来するシロキサン骨格で光触媒は、長期間にわたり確りと担持されるので、経時変化によるセルフクリーニング機能の低下をよく抑えることができる。
【0047】
本発明における吸水防止剤には、各種メーカーから市販されている吸水防止剤を用いることができる。つまり、以上のような条件を満たすものであれば、吸水防止剤は専用品とする必要はなく、市販の吸水防止剤を適用することも可能である。これによれば、吸水防止剤を専用品とする場合に比べて、製造コストの削減化を図ることができる利点がある。

Claims (6)

  1. 吸水防止剤と光触媒とを含む一液性のコーティング剤を塗布してなる多孔質材の防汚構造であって、
    前記防汚構造は、多孔質材の表面に形成された被膜部と、多孔質材の内部に浸透した浸透部とからなる一液コート構造をなしており、
    前記被膜部が、光触媒に起因する表面親水能を有し、前記浸透部が、多孔質材の内部に残留する吸水防止剤に起因する内部撥水能を有するものであることを特徴とする多孔質材の防汚構造。
  2. 前記吸水防止剤は、シロキサン化合物を有する無機材料を含むものであり、
    前記被膜部が、前記シロキサン化合物に由来するシロキサン骨格に光触媒が担持されたものである請求項1記載の多孔質材の防汚構造。
  3. 前記コーティング剤が、吸水防止剤の固形分100重量部に、光触媒1〜31重量部を混合分散してなるものである請求項1又は2記載の多孔質材の防汚構造。
  4. 多孔質材に前記コーティング剤を塗布することによって、請求項1ないし3のいずれかに記載の防汚構造を形成することを特徴とする多孔質材の防汚構造の形成方法。
  5. 吸水防止剤に、光触媒を混合分散してなる多孔質材の防汚コーティング剤であって、
    このコーティング剤は、多孔性材に塗布されると、光触媒に起因する表面親水能を発揮する被膜部と、多孔質材の内部に浸透された吸水防止剤に起因する内部撥水能を発揮する浸透部とからなる一液コート構造を形成するものであり、
    前記吸水防止剤が、シロキサン化合物を有する無機材料を含むものであり、
    前記被膜部が、前記シロキサン化合物に由来するシロキサン骨格に光触媒が担持されたものであることを特徴とする多孔質材の防汚用コーティング剤。
  6. 吸水防止剤の固形分100重量部に、光触媒1〜31重量部を混合分散してなる請求項5記載の多孔質材の防汚用コーティング剤。
JP2002337508A 2002-11-21 2002-11-21 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤 Pending JP2004167893A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002337508A JP2004167893A (ja) 2002-11-21 2002-11-21 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002337508A JP2004167893A (ja) 2002-11-21 2002-11-21 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004167893A true JP2004167893A (ja) 2004-06-17

Family

ID=32701004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002337508A Pending JP2004167893A (ja) 2002-11-21 2002-11-21 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004167893A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010139853A1 (en) * 2009-06-02 2010-12-09 Pomatec Oy Method of processing porous article and porous article
JP2011162672A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Kanagawa Acad Of Sci & Technol 光触媒機能を有する撥水性構造体
JP2018525251A (ja) * 2015-08-12 2018-09-06 ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー 被覆コンクリート体
CN112409026A (zh) * 2020-10-12 2021-02-26 华能国际电力股份有限公司海门电厂 一种新型滨海工程防污瓷板
CN116120750A (zh) * 2023-04-04 2023-05-16 中国海洋大学 抗杀一体的复合弹性体、制备方法及防污应用

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010139853A1 (en) * 2009-06-02 2010-12-09 Pomatec Oy Method of processing porous article and porous article
CN102448714A (zh) * 2009-06-02 2012-05-09 柯利哥有限公司 处理多孔制品的方法以及多孔制品
JP2011162672A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Kanagawa Acad Of Sci & Technol 光触媒機能を有する撥水性構造体
JP2018525251A (ja) * 2015-08-12 2018-09-06 ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー 被覆コンクリート体
CN112409026A (zh) * 2020-10-12 2021-02-26 华能国际电力股份有限公司海门电厂 一种新型滨海工程防污瓷板
CN116120750A (zh) * 2023-04-04 2023-05-16 中国海洋大学 抗杀一体的复合弹性体、制备方法及防污应用
CN116120750B (zh) * 2023-04-04 2023-10-27 中国海洋大学 抗杀一体的复合弹性体、制备方法及防污应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010121021A (ja) 非平滑面用撥水処理組成物
JP2002060651A (ja) 金属酸化物水系ゾル組成物、これを用いた造膜法及び部材
JP2004167893A (ja) 多孔質材の防汚構造とその形成方法、および多孔質材の防汚コーティング剤
JP7034644B2 (ja) 水系光触媒塗料および浄化方法
JP2006136782A (ja) 光触媒アルミニウム部材
JP2011016107A (ja) 窓サッシ、および窓サッシ用コーティング液
JP2011056449A (ja) 外構、および外構用コーティング液
JP2007023096A (ja) 水系防汚染剤
JP2004263182A (ja) 防汚被覆用組成物
JP2011012486A (ja) 雨樋、および雨樋用コーティング液
JP5418972B2 (ja) 光触媒塗装体、および光触媒コーティング液
JP2011011161A (ja) 外壁建材、および外壁用コーティング液
CZ21553U1 (cs) Jednosložková nátěrová hmota
JP5327714B2 (ja) 光触媒塗装体、および光触媒コーティング液
JP2011056814A (ja) 外構、および外構用コーティング液
JP2011062628A (ja) 建築用外装材、および建築外装用コーティング液
JP2011012487A (ja) 屋根材、および屋根用コーティング液
JP2011056863A (ja) 外構、および外構用コーティング液
JP2011017157A (ja) 雨樋、および雨樋用コーティング液
JP2011063697A (ja) 外構、および外構用コーティング液
JP2011017156A (ja) 外壁建材、および外壁用コーティング液
JP2011017221A (ja) 外壁建材、および外壁用コーティング液
JP2011006952A (ja) 外壁建材、および外壁用コーティング液
JP2011006953A (ja) 雨樋、および雨樋用コーティング液
JP2011017225A (ja) 窓サッシ、および窓サッシ用コーティング液

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051121

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081008