JP2004167742A - 車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法 - Google Patents

車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、加熱効率の良いインパルスヒーターを用いて、表皮材の端末処理を好適に行うことが可能な車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法を提供する。
【解決手段】ボトムプレート30とこのボトムプレート30を被覆する表皮材10を備え、この表皮材10の端末部10aがボトムプレート30の裏面側に熱溶着された車両用シート1の端末処理装置40であって、表皮材10の端末部10aが重ねて配設されるボトムプレート30裏面側の部位を加熱溶融するリボン状のインパルスヒーター41を備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法に係り、特に表皮材とボトムプレートとの接合にステイプルを用いることなく、車両用シートを効率的に製造することが可能な、車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車等に配設されている車両用シート100は、図11に示すように、ボトムプレート130上にクッション材120を載置して、表皮材110で被覆することにより形成されている。表皮材110の端末部110aは、ボトムプレート130の裏面側にステイプル140により固定されている。
【0003】
一方、包装フィルムの溶着を行うL型シールにインパルスヒーターを用いた溶着工法が知られている。このインパルスヒーターを用いた溶着工法とは、被加熱物にヒーター線を配設し、瞬間的に大電流を流して発熱させて被加熱物を溶融し、溶融部分において溶着を行う方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−43824号公報(第2頁−第3頁)
【0005】
上記インパルスヒーターを用いた溶着工法において、外形が三次元で湾曲した部材を加熱する場合には、被加熱物の形状に沿って配設できるように、図9に示すようなリボン状のインパルスヒーター150が使用される。
【0006】
或いは、インパルスヒーター150の加熱時に熱膨張(上昇させる温度により変化するが、約16mm/1000mm)が発生すると、位置ずれが生じるという問題があるが、これを解消するために、図10に示すようにインパルスヒーター150に金属製のスプリング160を配設し、このスプリング160でインパルスヒーター150の熱膨張による伸びを吸収するようにしたものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、表皮材の端末部をステイプルによりボトムプレートに固定する場合、表皮材を適切な位置に保持しながら、タッカーによってステイプルを打ち込まなければならないため、効率良く作業を行うためには熟練が必要とされていた。
【0008】
或いは、ボトムプレートの裏面側で、表皮材の端末部が重ねて配設される箇所を加熱溶融させ、この加熱溶融された部分に表皮材の端末部を圧着して固定させる方法が知られている。しかし、従来では、ボトムプレートを加熱溶融させる手段として、熱板ヒーターや熱風発生装置が用いられており、加熱に時間を要するという不都合があった。
【0009】
また、前記したインパルスヒーターは瞬間加熱が可能であり、フィルムのシールにおいて加熱工程での製造効率の向上が図れるものであるが、従来の車両用シートの端末処理装置及び端末処理方法に関してインパルスヒーターを利用した技術はなかった。
【0010】
本発明の目的は、加熱効率の良いインパルスヒーターを用いて、表皮材の端末処理を好適に行うことが可能な車両用シートの端末処理装置及び車両用シートの端末処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の請求項1に係る車両用シートの端末処理装置によれば、ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備え、該表皮材の端末部が前記ボトムプレートの裏面側に熱溶着された車両用シートの端末処理装置であって、前記表皮材の端末部が重ねて配設される前記ボトムプレート裏面側の部位を加熱溶融するインパルスヒーターを備えた、ことにより解決される。
【0012】
このように、本発明の車両用シートの端末処理装置は、表皮材の端末部がボトムプレートの裏面側に熱溶着された車両用シートの端末処理において、瞬間的に加熱可能なインパルスヒーターを用いているので、効率的に熱溶着を行うことができ、製造効率を向上させることが可能となる。また、ボトムプレートを瞬間的に加熱するため、ボトムプレートへの熱的影響によるソリや収縮が起こり難く、品質を確保することが可能となる。
【0013】
また、前記課題は、本発明の請求項2に係る車両用シートの端末処理装置によれば、ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備え、該表皮材の端末部が前記ボトムプレートの裏面側に熱溶着された車両用シートの端末処理装置であって、前記表皮材の端末部が重ねて配設される前記ボトムプレート裏面側の部位を加熱溶融するインパルスヒーターを備え、該インパルスヒーターの少なくとも一部に折返し部が形成された、ことにより解決される。
【0014】
このように、本発明の車両用シートの端末処理装置は、インパルスヒーターの少なくとも一部に折返し部が形成されているので、この折返し部でインパルスヒーターを屈曲させる際の歪みや、熱膨張による伸び量を分散及び吸収することが可能となる。このため、三次元方向への追従が可能となり、ボトムプレートのように外形が略楕円形であり、上下方向にも湾曲しているような曲面形状を有する部材にも対応することが可能となる。
【0015】
より具体的には、インパルスヒーターは、ボトムプレート裏面側に当接可能な枠部材に配設される。このとき、該枠部材の少なくとも曲面部に前記折返し部が配置されるようにすると良い。なお、折返し部は、例えば断面略円弧状の部分を含んで形成される。或いは、台形形状の部分を含んで形成される。
【0016】
また、前記折返し部の内部に、充填材が配設された構成とすることにより、インパルスヒーターをボトムプレートに押し付けることが可能となる。このとき、充填材の硬度により、ボトムプレートへの加圧力を調整することができる。
【0017】
本発明の車両用シートの端末処理方法は、ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備えた車両用シートの端末処理方法であって、前記ボトムプレート裏面側の所定部位の表面をインパルスヒーターで加熱溶融する第1の工程と、前記ボトムプレートから前記インパルスヒーターを離間させる第2の工程と、前記表皮材の端末領域を前記溶融された所定部位に重ね加圧手段で加圧する第3の工程と、前記表皮材から前記加圧手段を離間させる第4の工程と、前記表皮材と前記ボトムプレートの溶着部分を固化させて前記表皮材と前記ボトムプレートとを一体化させる第5の工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0019】
図1乃至図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明に係る車両用シートの要部断面図、図2は本発明に係る端末処理装置の斜視図、図3はインパルスヒーターの斜視図、図4はインパルスヒーター電源部の回路の一例を示す説明図、図5はインパルスヒーターへの電源供給を示す説明図、図6は端末処理装置の作動状態を示す説明図、図7は図6のA−A線断面図である。
【0020】
本例では、車両用シート1として、二輪車用シートに基づいて説明する。なお、車両用シート1とは、二輪車、すなわち陸上のオートバイ,スクーターに用いられるものだけでなく、スノーモービル,水上バイク用のシートを含み、また三輪バギー車等や跨座式乗物、或いは建機シートに関する乗物用シートを含むものとする。
【0021】
図1で示すように、本例の車両用シート1は、表皮材10と、クッション材20と、ボトムプレート30とから構成されている。
表皮材10は、熱加工が可能であるとともに耐水性を有する材質からなり、例えばPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)が使用される。なお、表皮材10としては上記PVCに限らず、表面の活性が低く熱溶着に向いていないフッ素樹脂やケイ素樹脂等を除き、他の材質を選択することが可能である。
【0022】
クッション材20は、柔軟フォーム材、例えばウレタンフォーム,PP(ポリプロピレン)フォーム,PE(ポリエチレン)フォームから形成されており、ボトムプレート30上に載置される。
【0023】
クッション材20は表皮材10に被覆される。なお、クッション材20と表皮材10とは別体として形成されていても良いし、或いは、クッション材20と表皮材10を一体成形する構成としても良い。
【0024】
ボトムプレート30は、例えばPP(ポリプロピレン)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂から形成される。なお、繊維強化樹脂であるPPG(ガラス繊維入りポリプロピレン)、PPT(フィラー入りポリプロピレン)を使用して成形されたボトムプレート30を使用しても良い。
【0025】
次に、本例の車両用シート1の端末処理装置40について説明する。本例の車両用シート1は、ボトムプレート30を加熱溶融し、ボトムプレート30の加熱部位に表皮材10の端末部10aを加圧しながら配設し、ボトムプレート30に表皮材10を熱溶着により貼着させるものである。
【0026】
本例の端末処理装置40は、図2に示すように、ヒーター41と、ヒーター41が配設される枠部材としてのヒーター固定基板42と、ヒーター固定基板42を上下方向に移動させるエアシリンダ47とを備えて構成されている。
【0027】
ヒーター41はインパルスヒーターであり、図3に示すように、リボン状のインパルスヒーターに、複数の折返し部41aを設けて形成されている。本例のヒーター41は、断面略円弧状の折返し部41aを連続して設けた構成とされている。
【0028】
このように、ヒーター41に折返し部41aを設けることにより、ヒーター41は自由な方向に変形することが可能となり、曲面形状に合わせて変形したり捩ることができるようになる。このため、三次元方向への追従が可能となり、ボトムプレート30のように外形が略楕円形であり、上下方向にも湾曲しているような曲面形状を有する部材にも対応することが可能となる。
【0029】
ヒーター41は、インパルス電源部50に電気的に接続されてインパルス通電がなされるように構成されている。インパルス電源部50は、例えば図4に示す回路から構成されており、直流電源51、充放電コンデンサ52、充電抵抗53及び放電抵抗54、スイッチ55、出力部56を備えて構成されている。インパルス電源部50は、例えば、抵抗値=1オーム、電圧=50ボルトとし、2500ワット、50アンペアの大電流を瞬間的にヒーター41に流すことができるように構成されている。
【0030】
ヒーター41の端部は、図5に示すように、ヒーター固定基板42に設けた穴から引き出されている。ヒーター固定基板42の穴から引き出されたヒーター41の端部には、インパルス電源部50の出力部56から延長されている電源供給線57がボルト44及びナット45により連結されており、これにより電源供給が行われている。
【0031】
インパルス電源部からの電流を受けて、ヒーター41は急速に発熱する。ヒーター41によりボトムプレート30への加熱が行われるが、そのときの加熱時間は通常2〜3秒間とされる。
【0032】
ヒーター41はヒーター固定基板42の側面部に配設される。図7は図6のA−A線断面図であり、ヒーター固定基板42へのヒーター41の取付状態が示されている。図示されているように、ヒーター41は、隣接する折返し部41aの間において、軟鋼線材からなるピン43によりヒーター固定基板42に固定されている。また、ヒーター41の端部は、ボルト44及びナット45により固定されている。なお、ピン43に限らず、ヒーター41の折返し部41aの間に予め孔を設け、この孔にねじを配設して固定するようにしても良い。
【0033】
また、ヒーター41の折返し部41aの内部には、充填材46が配設されている。充填材46が配設されることにより、ヒーター41を適度な加圧力をもってボトムプレート30へ押し付けることができ、また折返し部41aの変形を防止することが可能となる。充填材46としては、ボトムプレート30への加圧力を高める場合には、次述するヒーター固定基板42の形成材料と同様の材料(例えば、セラミック、ガラス、セメント等)を充填する。また、弾性を必要とする場合は、シリコンガラスマットや、ポリアミド繊維マットとして例えばケブラー(登録商標:デュポン社製)等を充填する。
【0034】
ヒーター固定基板42は、ボトムプレート30の形状に沿って形成されている。ヒーター固定基板42は、その上に配設されているヒーター41がボトムプレート30の加熱部位に均等に当接するように、形状や大きさが調整されている。前記したように、ヒーター41には折返し部41aが設けられているので、ボトムプレート31の形状に沿って形成されたヒーター固定基板42に密着して配設される。
【0035】
なお、本例のヒーター固定基板42は、ボトムプレート31の外周縁に沿って形成された中空枠体状であるが、これに限らず、外形がボトムプレート30の周縁形状と同様であり、側面にヒーター41を配設可能な板状であっても良い。
【0036】
ヒーター固定基板42は、400℃程度の熱に耐えられる耐熱性を有し、また通電時の漏電を防止するため、絶縁性のある材料から形成されている。ヒーター固定基板42は、ヒーター41がボトムプレート30の加熱部位に均等に当接するように、大きさを調整して形成される。このため、ヒーター固定基板42は、最初は柔らかく形状や大きさの微調整が可能であり、焼成や経時により硬くなる素材から形成されると好適である。ヒーター固定基板42は、例えば、セラミック、ガラス、セメント等の材料から形成される。
【0037】
ヒーター固定基板42は取付枠46に取り付けられている。ヒーター固定基板42は取付枠46とともに、エアシリンダ47によって上下方向に移動される。エアシリンダ47は図示しないエアー供給源に接続されており、エアー供給により作動されてロッド47aを伸縮させ、取付枠46及びヒーター固定基板42を昇降可能としている。なお、本例ではヒータ固定基板42をエアシリンダ47によって作動するものとしたが、これに限らず油圧シリンダ等、他の駆動機構を用いても良いことは勿論である。
【0038】
次に、上記端末処理装置40を用いて、車両用シート1の端末処理を行う方法について説明する。車両用シート1の端末処理工程は、ボトムプレート30の裏面側の所定部位の表面をインパルスヒーターで加熱溶融する第1の工程と、ボトムプレート30からインパルスヒーターを離間させる第2の工程と、表皮材10の端末部10aを、ボトムプレート30の溶融された所定部位に重ねて圧着手段で加圧する第3の工程と、表皮材10から圧着手段を離間させる第4の工程と、表皮材10とボトムプレート30の溶着部分を固化させて表皮材10とボトムプレート30とを一体化させる第5の工程とから構成されている。
【0039】
端末処理装置40の作動は、自動制御或いは手動制御により行われる。自動制御の場合は、温度センサにより加熱状況を監視したり、タイマにより処理時間を計測し、これらセンサやタイマからの情報に基づいて、各手段が自動的に操作されることにより行われる。
【0040】
また、手動制御による場合は、端末処理装置40の近傍に操作盤(図示せず)を設け、この操作盤の複数のスイッチを投入することにより、各手段の動作がなされるようにする。
【0041】
なお、第1の工程より前に、表皮材10,クッション材20,ボトムプレート30の組み付けが行われる。表皮材10,クッション材20,ボトムプレート30の組み付けは、作業台等に載置されたクッション材20及びボトムプレート30を表皮材10で被覆するか、或いは、表皮材10が予め配設された金型に、クッション材20及びボトムプレート30が配設されることにより行われる。車両用シート1の組付体は、ボトムプレート30が上方を向くように固定される。
なお、端末処理では、必要に応じて組付体を加圧手段により押圧する。
【0042】
第1の工程では、エアシリンダ47のロッド47aを伸長させて、ヒーター固定基板42を下降させ、図6に示すように、ボトムプレート30の裏面側の周縁端部31にヒーター41を当接させて加熱が行われる。ヒーター41による2〜3秒間の加熱で、ボトムプレート30の表面が溶融する。
【0043】
本例では、ヒーター41を構成するインパルスヒーターが、図2に示すようにヒーター固定基板42の周囲に連続して設けられているので、加熱は、ボトムプレート30の周縁端部31に沿って連続して行われる。
第2の工程では、エアシリンダ47のロッド47aを伸縮させて、ヒーター固定基板42を上昇させ、ボトムプレート30からヒーター41を離間させる。
【0044】
第3の工程では、表皮材10の端末部10aがボトムプレート30の裏面側に折り返され、表面が溶融した部分に表皮材10の端末部10aが重ねられ、圧着手段により加圧されて溶着される。圧着手段はボトムプレート30に対して昇降可能に設けられている。なお、圧着手段として、ボトムプレート30の周縁端部31に係合可能な枠部材を使用しても良いが、ヒーター固定基板42を圧着手段として兼用しても良い。ヒーター固定基板42を圧着手段として用いる場合は、ヒーター41の温度が下がってから使用する。
【0045】
第4の工程では、圧着手段を上昇させ、表皮材10から圧着手段を離間させる。
さらに、第5の工程では、熱溶着された部分が固化され、ボトムプレート30と表皮材10の端末部10aとが接着固定される。このとき、ボトムプレート30と、表皮材10の端末部10aとの接合箇所に向けて冷風を送風し、より早く冷却されるようにしても良い。
【0046】
図8は、他の形状のインパルスヒーターを示すものである。図8のヒーター41は、折返し部41aの断面形状が略台形になるように形成されている。このような構成とすることにより、ヒーター41とボトムプレート30との接触面が大きくなり、ボトムプレート30の樹脂溶融部分の面積を大きくすることができ、表皮材10との固定強度を向上させることが可能となる。
【0047】
なお、ヒーター41の折返し部41aの形状としては、断面略円弧状、断面略台形形状の他にも、断面多角形、断面不定形、山と谷が連続する形状等自由な形状とすることができる。また、一定の断面形状が連続するのではなく、複数の断面形状を有する構成としても良い。或いは、配設面が平坦面の場合は直線状とし、配設面が曲面の箇所のみ折返し部41aを設けるようにしても良い。
【0048】
なお、上記各実施例では折返し部41aが形成されたインパルスヒーターを使用した構成を示したが、被溶着部に追従可能であれば、折返し部41aが形成されていないインパルスヒーターを用いた構成であっても良い。さらに、線状または、より広い幅を有する面状のインパルスヒーターを使用しても良い。さらに、ヒーター41を2列、或いは2列以上設けた構成としても良い。或いは、ヒーター41を連続的ではなく、所定間隔をおいて設けても良い。
【0049】
本例では、ボトムプレート30の周縁端部31を溶融し、表皮材10の端末部10aを溶着させる構成としたが、ボトムプレート30の周縁端部31に限らず、ボトムプレート30の座面部の裏側面を溶融し、表皮材10を貼着させても良い。
【0050】
なお、ボトムプレート30の周縁端部31と、座面部の裏側面の両方に樹脂溶融部を設けるようにしても良い。これにより、ボトムプレート30の周縁端部31と、座面部の裏側面との両方に、表皮材10の端末部10aを接合することができ、高い接合性を得ることが可能となる。
【0051】
また、上記実施例では、二輪車用シートのボトムプレート30に、表皮材10の端末部10aを接合する例を示したが、同様構成のものであれば二輪車用シートに限らず、四輪車両用シートボトムプレートや、ドア、ルーフ等他の内装部品にも適用可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ステイプルを用いることなく、ボトムプレートに表皮材の端末領域が固定された車両用シートにおいて、ボトムプレートの加熱溶融手段として、瞬間的に発熱するインパルスヒーターを用いているので、効率的に熱溶着を行うことができ、製造効率を向上させることが可能となる。また、ボトムプレートを瞬間的に加熱するため、ボトムプレートへの熱的影響によるソリや収縮が起こり難く、品質を確保することが可能となる。
【0053】
また、インパルスヒーターの少なくとも一部に折返し部が形成されており、この折返し部でインパルスヒーターを屈曲させる際の歪みや、熱膨張による伸び量を分散及び吸収することが可能となる。したがって、ボトムプレートのように三次元の曲面形状を有する部材であってもヒーターが密着され、熱溶着すべき部分が確実に加熱溶融される。よって、表皮材の接着を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用シートの要部断面図である。
【図2】本発明に係る端末処理装置の斜視図である。
【図3】インパルスヒーターの斜視図である。
【図4】インパルスヒーター電源部の回路の一例を示す説明図である。
【図5】インパルスヒーターへの電源供給を示す説明図である。
【図6】端末処理装置の作動状態を示す説明図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】他の形状のインパルスヒーターを示す説明図である。
【図9】一般的なリボン状のインパルスヒーターを示す説明図である。
【図10】従来例を示す説明図である。
【図11】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車両用シート
10 表皮材
10a 端末部
20 クッション材
30 ボトムプレート
31 周縁端部
40 端末処理装置
41 ヒーター
41a 折返し部
42 ヒーター固定基板
43 ピン
44 ボルト
45 ナット
46 取付枠
47 エアシリンダ
50 インパルス電源部
51 直流電源
52 充放電コンデンサ
53 充電抵抗
54 放電抵抗
55 スイッチ
56 出力部

Claims (8)

  1. ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備え、該表皮材の端末部が前記ボトムプレートの裏面側に熱溶着された車両用シートの端末処理装置であって、
    前記表皮材の端末部が重ねて配設される前記ボトムプレート裏面側の部位を加熱溶融するインパルスヒーターを備えたことを特徴とする車両用シートの端末処理装置。
  2. ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備え、該表皮材の端末部が前記ボトムプレートの裏面側に熱溶着された車両用シートの端末処理装置であって、
    前記表皮材の端末部が重ねて配設される前記ボトムプレート裏面側の部位を加熱溶融するインパルスヒーターを備え、
    該インパルスヒーターの少なくとも一部に折返し部が形成されたことを特徴とする車両用シートの端末処理装置。
  3. 前記インパルスヒーターは、前記ボトムプレート裏面側に当接可能な枠部材に配設されたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用シートの端末処理装置。
  4. 前記インパルスヒーターは、前記ボトムプレート裏面側に当接可能な枠部材に配設され、該枠部材の少なくとも曲面部に前記折返し部が配置されたことを特徴とする請求項2記載の車両用シートの端末処理装置。
  5. 前記折返し部は断面略円弧状の部分を含んで形成されたことを特徴とする請求項2記載の車両用シートの端末処理装置。
  6. 前記折返し部は断面略台形形状の部分を含んで形成されたことを特徴とする請求項2記載の車両用シートの端末処理装置。
  7. 前記折返し部の内部には充填材が配設されたことを特徴とする請求項2記載の車両用シートの端末処理装置。
  8. ボトムプレートと該ボトムプレートを被覆する表皮材を備えた車両用シートの端末処理方法であって、
    前記ボトムプレート裏面側の所定部位の表面をインパルスヒーターで加熱溶融する第1の工程と、
    前記ボトムプレートから前記インパルスヒーターを離間させる第2の工程と、
    前記表皮材の端末領域を前記溶融された所定部位に重ね圧着手段で加圧する第3の工程と、
    前記表皮材から前記圧着手段を離間させる第4の工程と、
    前記表皮材と前記ボトムプレートの溶着部分を固化させて前記表皮材と前記ボトムプレートとを一体化させる第5の工程と、を備えたことを特徴とする車両用シートの端末処理方法。
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