JP2004167712A - レンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高性能なマイクロレンズを低コストで製造する。
【解決手段】SiO2ガラス基板11上に、エポキシ樹脂系化学増幅型レジストをスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層12aを形成する。次に、レンズ光軸に対応する領域に紫外線14を照射する。これにより露光された領域15においては、感光剤が光照射を受けて生成される酸が発生する。次に、第一レジスト層12aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二レジスト層12bを形成する。所定の時間放置して、領域15において発生している酸を領域16まで拡散させる。次に、50〜100℃の範囲で加熱して、領域16の樹脂を硬化させる。その後、現像液で未硬化部分のレジスト層を除去し、100〜200℃程度で加熱して領域16の樹脂をさらに硬化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】SiO2ガラス基板11上に、エポキシ樹脂系化学増幅型レジストをスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層12aを形成する。次に、レンズ光軸に対応する領域に紫外線14を照射する。これにより露光された領域15においては、感光剤が光照射を受けて生成される酸が発生する。次に、第一レジスト層12aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二レジスト層12bを形成する。所定の時間放置して、領域15において発生している酸を領域16まで拡散させる。次に、50〜100℃の範囲で加熱して、領域16の樹脂を硬化させる。その後、現像液で未硬化部分のレジスト層を除去し、100〜200℃程度で加熱して領域16の樹脂をさらに硬化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂を用いたレンズの製造方法およびレンズを製造するための型の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
凸型マイクロレンズアレイを作製する方法として、型で作製する方法が広く知られている。この方法では、金型に形成したアレイ状の凹型パターンに熱可塑性樹脂や架橋前の流動性のある樹脂を流し込んで形状を転写するものであるが、熱可塑性樹脂の場合、加熱状態で作製されるため、金型、樹脂共に熱膨張の影響を受けるため、アレイの位置精度が出せないという欠点がある。型の中で架橋させる方法も、架橋による樹脂の収縮の影響を受けるため、位置精度が出ない。
【0003】
高い位置精度でレンズを作製する方法として、レジストをリソグラフィ技術によりパターン化した後、軟化点まで加熱して表面張力によりレンズ形状を作製する方法がある(例えば、特許文献1参照)。リソグラフィ工程は、通常クリーンルーム内で管理された温度で行われるため熱膨張の影響がなく、高い位置精度のレンズアレイが作製できるという利点があるが、上記公報に記載の方法においては、軟化のためのスペースをとるべく、レジストをパターン化する必要があるため、平面利用効率が低い。
【0004】
一方、レジストに、同心円状に露光強度分布を有する露光光を照射し、レジストの重合度の変化によって屈折率変化を持たせたマイクロレンズを作製する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、同心円状に露光強度を有する露光光を用いてレンズを作製するため、前述のようなレジストのパターン化は必要でなく、また、任意の屈折率分布(曲面)を作製することができるという利点がある。しかし、露光光に露光強度分布を持たせるために、具体的には光透過分布を有するマスクを介して光を照射しており、マスク自体を高い階調数で作製する必要があり、マスクの製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特許第1936438号公報
【0006】
【特許文献2】
特開昭60−72927号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、高性能なレンズを容易に低コストで製造することが可能なレンズの製造方法およびレンズを製造するための型の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、残された凸形の曲面をもった領域を凸レンズとすることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程と、残された凸形の曲面もった領域を型として凹レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、硬化した凹形の曲面をもった領域を凹レンズとすることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程と、硬化した凹形の曲面をもった領域を型として凸レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするものである。
【0012】
なお、第1から第4までのレンズの製造方法においては、第一レジスト層および第二レジスト層に含まれる樹脂は、レンズ材質としての透明性を有するものが望ましい。
【0013】
上記本発明のレンズの製造方法において、第一の工程後、局所的に光を照射する領域以外の領域を硬化させてから局所的な領域に光を照射し、反応生成物を第二レジスト層に拡散させるようにしてもよい。
【0014】
あるいは、基板表面に、局所的に光を照射する領域以外の領域に遮光膜を形成した後、第一レジスト層を形成し、基板の裏面から光を照射するようにしてもよい。
【0015】
本発明の第1のレンズの型の製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、残された凸形の曲面をもった領域を凹レンズを成形するための型とすることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2のレンズの型の製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、硬化した凹形の曲面をもった領域を凸レンズを成形するための型とすることを特徴とするものである。
【0017】
なお、「反応生成物の作用により」とは、少なくとも反応生成物の作用を条件とするものであり、該作用のみによって溶解性が変化するものではないことを意味する。
【0018】
また、第二レジスト層の「前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂」とは、反応生成物により溶解性が変化する性質を有するものであればよく、前記第一レジスト層の「樹脂」と同材質のものでもよく、異材質のものでもよい。また、この場合の「前記反応生成物」とは、光照射を受けて第一レジスト層で発生した反応生成物を示す。
【0019】
【発明の効果】
本発明の第1から第4までのレンズの製造方法によれば、上記工程からなることにより、結果的に高性能なレンズを低コストで容易に製造することが可能である。
【0020】
より詳細には、光照射により感光剤から発生する反応生成物をレジスト中に拡散させているので、レンズの曲面形状を容易に形成することが可能である。このため、従来技術のように、透過率分布を有する高価なマスクを使用する必要が無い。また、所望のレンズ形状に合わせて、露光領域の間隔と拡散時間とを適宜調整することにより、光利用効率の高いレンズを作製することが可能である。さらには、反応生成物の拡散時間を調整することによって種々の径のレンズを容易に作製することが可能である。
【0021】
また、光を線状に照射すれば、シリンドリカルレンズを作製することが可能である。
【0022】
反応生成物が酸であり、樹脂がエポキシ系樹脂である場合には、加熱によって酸の水素イオンにより樹脂のエポキシ基が開環して樹脂同士が架橋し、さらに架橋によって発生した水素イオンがまた酸に供給されるという、酸の触媒作用によって樹脂を容易に架橋させることができる。
【0023】
第一の工程後、光を照射する所望の領域以外の領域を硬化させてから該所望の領域に光を照射し、反応生成物を第二レジスト層に拡散させるようにした場合は、第一レジストでの酸の拡散不均一を防止することができ、良好な形状を得ることができる。
【0024】
また、基板表面に、光を照射する領域以外の領域に遮光膜を形成した後、第一レジスト層を形成し、基板の裏面から光を照射するようにした場合は、遮光膜とレンズをセルフアライメントで作製することができ作製工程を簡略化することができ、さらに、遮光膜と光軸の位置ズレが無い高性能なレンズを得ることができる。
【0025】
特に、第3のレンズの製造方法によれば、凹形の型を用いた成形により凸レンズを作製するため、量産が可能であり、さらに低コストで高精度なレンズを得ることができる。
【0026】
同様に、第4のレンズの製造方法によれば、凸形の型を用いた成形により凹レンズを作製するため、量産化と低コスト化が可能である。
【0027】
また、本発明のレンズの型の製造方法によれば、レンズを成形するための型を容易に低コストで作製することが可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
本発明の第一の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図1に示す。
【0030】
図1(a)に示すように、SiO2ガラス基板11上に、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8:MicroChem Inc.社製)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層12aを数μm程度形成する。
【0031】
なお、「NANO SU8」は化学増幅型レジストであり、
【化1】
のような構造を有するエポキシノボラック系樹脂と、溶媒としてのγ−ブチロラクトン(沸点204℃)と、感光剤としてのトリアリルスルホニウム塩(Ar3S+SbF6またはAr3S+PF6)とからなるものである。この感光剤は上記波長の光照射により、酸であるH+SbF6またはH+PF6を発生する。
【0032】
次に、図1(b)に示すように、基板13aに、レンズ光軸に対応する領域に円形状の開口を有するCr膜13bが施されたマスク13を通してコンタクトアライナーにより、波長350〜400nmの紫外線14を用いて露光する。これにより露光された領域15においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。なお、露光範囲は、レンズ半径の5〜10%程度が望ましい。
【0033】
次に、図1(c)に示すように、第一レジスト層12aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二のレジスト層12bを形成する。この第二レジスト層12bの厚さはレンズの半径よりも厚くする。所定の時間放置して、領域15において発生している酸を、図1(d)に示すように、第一レジスト層12aおよび第二レジスト層12bからなるレジスト層の領域16まで拡散させる。これにより、レンズの曲面を形成することができる。
【0034】
放置時間は、レジストの濃度およびマイクロレンズの径等により調節することが望ましいが、本発明は、レンズ半径が数μmから100μm程度のマイクロレンズの製造に好適であるため、放置時間は数分から数十時間が望ましい。
【0035】
なお、上記レジストにおいては、溶媒に沸点が204℃のγ−ブチロラクトンを用いているため、長時間放置しても溶媒の蒸発が少なく安定に酸を拡散させることができるという利点がある。
【0036】
次に、図1(e)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域16の樹脂を硬化させる。加熱することにより、拡散した酸の水素イオンが樹脂のエポキシ基に作用してエポキシ基が開環し、樹脂が架橋する。さらにその架橋によって生じた水素イオンによって、樹脂が架橋するものである。このレジストでは、感光剤から光反応によって生成した酸が、樹脂を架橋させるための触媒としての役割を有している。
【0037】
その後、図1(f)に示すように、現像液で未硬化部分の第一レジスト層12aおよび第二レジスト層12bを除去した後、残った領域16の樹脂を100〜200℃程度で加熱してさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。100〜200℃程度で加熱することにより機械的強度を向上させることができる。
【0038】
次に、本発明の第二の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図2に示す。
【0039】
図2(a)に示すように、SiO2ガラス基板21上に、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層22aを数μm程度形成する。
【0040】
次に、図2(b)に示すように、基板23aにレンズ光軸に対応する領域に円形状にCr膜23bが施されたマスク23を通してコンタクトアライナーにより、波長350〜400nmの紫外線24を用いて露光する。これにより露光された領域25においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。
【0041】
次に、図2(c)に示すように、50〜100℃所定時間ソフトベークを行う。これにより領域25のレジストは、発生した酸の作用により硬化する。
【0042】
次に、図2(d)に示すように、さらに、第一レジスト層上全面に波長350〜400nmの紫外線26を用いて露光する。これにより、光軸に対応する領域27において酸が発生する。
【0043】
次に、図2(e)に示すように、第一レジスト層22aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二のレジスト層22bを形成する。所定の時間放置して、領域27において発生している酸を、図2(f)に示すように、領域28まで拡散させる。
【0044】
次に、図2(g)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域28の樹脂を硬化させる。
【0045】
その後、図2(h)に示すように、現像液で第二レジスト層22bの未硬化部分の第二レジスト層22bを除去した後、100〜200℃程度で加熱して領域28の樹脂をさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。
【0046】
上記第一の実施の形態においては、第一レジスト層は露光のためにソフトベークされているため、第二レジスト層に比べて、酸が拡散し難く硬化しない部分が生じる可能性があるが、第二の実施の形態によれば、レンズ光軸に対応する部分以外の部分の第一レジスト層を硬化させてから酸を第二レジスト層に拡散させるため、第一レジスト層において酸が良好に拡散されないという問題が無く、良好にレンズを形成することができる。
【0047】
次に、本発明の第三の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図3に示す。
【0048】
図3(a)に示すように、SiO2ガラス基板31上に、レンズアレイの光軸に対応する部分に円形状に開口を有するようにCr膜(厚さ30nm程度)32を形成する。
【0049】
次に、図3(b)に示すように、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層33aを数μm程度形成する。
【0050】
次に、図3(c)に示すように、基板31の裏面から波長350〜400nmの紫外線34を用いて露光する。これにより露光された領域35においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。
【0051】
次に、図3(d)に示すように、第一レジスト層33aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二レジスト層33bを形成する。
【0052】
次に、所定の時間放置して、領域35において発生している酸を、図3(e)に示すように、第一レジスト層33aおよび第二レジスト層33bからなるレジスト層の領域36まで拡散させる。
【0053】
次に、図3(f)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域36の樹脂を硬化させる。
【0054】
その後、図3(g)に示すように、現像液で未硬化部分のレジスト層を除去した後、100〜200℃程度で加熱して領域36の樹脂をさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。
【0055】
本第三の実施の形態によれば、遮光膜であるCr膜32とマイクロレンズアレイをセルフアライメントで作製可能であり、高精度な遮光膜付きマイクロレンズを得ることができる。
【0056】
また、上記実施の形態では、光照射によって発生する酸の触媒作用によって樹脂が架橋して現像液に不溶となるネガ型レジストを用いて説明したが、酸に限らず塩基の作用により硬化するネガ型レジストであってもよい。また、有機溶媒中に樹脂と感光剤と架橋剤とが溶解され、感光剤から発生した酸あるいは塩基が加熱等により架橋剤に作用して樹脂が硬化するネガ型レジストであってもよい。その他、反応生成物との組み合わせにより種々のネガ型レジストを用いることが可能である。
【0057】
また、上記実施の形態と同様のネガ型レジストを用いたプロセスにより、凸形の曲面形状を有する樹脂体を、凹レンズを成形する型とすることができる。この場合、第一レジスト層および第二レジスト層に用いる樹脂は透明性を必要としないため、樹脂の選択幅が広い。この凹レンズを成形する型の樹脂を流し込んで成形することにより、高精度な凸レンズを低コストで量産することが可能となる。さらには、上記凸形の曲面形状を有する樹脂体から、さらに凹形の第二の型を作製することも可能である。
【0058】
また、ネガ型レジストの代わりに、光照射により現像液に可溶となるポジ型レジストを用いてもよく、この場合、反応生成物が拡散した領域のみ、例えば、図1で説明すると、図1(d)における符号16の領域が現像により除去され、該領域16の上部の凹形の領域が残る。この後、残った凹形の曲面を有するレジスト層を硬化させることにより、凹型のレンズを作製することができる。この場合、第二レジストの上部に第二の基板を貼りつけた後、基板11を除去することが望ましい。
【0059】
さらに、ネガ型レジストの場合と同様、硬化させた凹形の曲面を有する樹脂体を、凸レンズを成形する型とすることができる。その凹形の型に樹脂を流し込んで凸レンズを量産することが可能である。さらには、前記凹型の曲面を有する樹脂体から凸形の第二の型を作製することも可能である。
【0060】
なお、第二の型は樹脂型に限らず、樹脂体から電鋳により金属に転写してなる金属型であってもよい。
【0061】
また、樹脂材料としては、上記実施の形態ではレジストとして「NANO SU8」を用いているため、エポキシ系樹脂であるが、これに限らず、反応生成物との反応性、透過率が高いこと、耐熱温度が高いこと、飽和吸水率が低いこと、複屈折率が小さいこと、成形性が良いこと、および機械的強度に優れていること等を考慮して選択することが望ましい。
【0062】
また、上記実施の形態において、第一レジスト層と第二レジスト層とで同素材の樹脂を用いたが、第二レジスト層に含まれる樹脂は、第一レジスト層の感光剤から発生する反応生成物の作用により溶解性が変化する性質を有する樹脂であれば第一レジスト層に含まれる樹脂と異なる樹脂を用いてもよい。
【0063】
また、露光範囲は、上記実施の形態では、レンズ半径の5〜10%程度としたが、これに限られず、樹脂材料および反応生成物等を考慮して適宜調整することが望ましい。
【0064】
また、光を照射する領域は、円形状となる場合について説明したが、楕円形状、四角形状、長方形状および線状のいずれであってもよい。なお、光を線状に照射した場合は、シリンドリカルレンズを作製することができる。
【0065】
また、マスクによる露光に限らず、EB描画による露光であってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、マイクロレンズアレイについて説明したが、本発明は、レンズ単体の作製にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【図2】本発明の第二の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【図3】本発明の第三の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【符号の説明】
11 SiO2ガラス基板
12a 第一レジスト層
12b 第二レジスト層
13a 基板
13b Cr膜
13 マスク
14 紫外線
15 露光領域
16 酸拡散領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂を用いたレンズの製造方法およびレンズを製造するための型の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
凸型マイクロレンズアレイを作製する方法として、型で作製する方法が広く知られている。この方法では、金型に形成したアレイ状の凹型パターンに熱可塑性樹脂や架橋前の流動性のある樹脂を流し込んで形状を転写するものであるが、熱可塑性樹脂の場合、加熱状態で作製されるため、金型、樹脂共に熱膨張の影響を受けるため、アレイの位置精度が出せないという欠点がある。型の中で架橋させる方法も、架橋による樹脂の収縮の影響を受けるため、位置精度が出ない。
【0003】
高い位置精度でレンズを作製する方法として、レジストをリソグラフィ技術によりパターン化した後、軟化点まで加熱して表面張力によりレンズ形状を作製する方法がある(例えば、特許文献1参照)。リソグラフィ工程は、通常クリーンルーム内で管理された温度で行われるため熱膨張の影響がなく、高い位置精度のレンズアレイが作製できるという利点があるが、上記公報に記載の方法においては、軟化のためのスペースをとるべく、レジストをパターン化する必要があるため、平面利用効率が低い。
【0004】
一方、レジストに、同心円状に露光強度分布を有する露光光を照射し、レジストの重合度の変化によって屈折率変化を持たせたマイクロレンズを作製する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、同心円状に露光強度を有する露光光を用いてレンズを作製するため、前述のようなレジストのパターン化は必要でなく、また、任意の屈折率分布(曲面)を作製することができるという利点がある。しかし、露光光に露光強度分布を持たせるために、具体的には光透過分布を有するマスクを介して光を照射しており、マスク自体を高い階調数で作製する必要があり、マスクの製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特許第1936438号公報
【0006】
【特許文献2】
特開昭60−72927号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、高性能なレンズを容易に低コストで製造することが可能なレンズの製造方法およびレンズを製造するための型の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、残された凸形の曲面をもった領域を凸レンズとすることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程と、残された凸形の曲面もった領域を型として凹レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、硬化した凹形の曲面をもった領域を凹レンズとすることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4のレンズの製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程と、硬化した凹形の曲面をもった領域を型として凸レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするものである。
【0012】
なお、第1から第4までのレンズの製造方法においては、第一レジスト層および第二レジスト層に含まれる樹脂は、レンズ材質としての透明性を有するものが望ましい。
【0013】
上記本発明のレンズの製造方法において、第一の工程後、局所的に光を照射する領域以外の領域を硬化させてから局所的な領域に光を照射し、反応生成物を第二レジスト層に拡散させるようにしてもよい。
【0014】
あるいは、基板表面に、局所的に光を照射する領域以外の領域に遮光膜を形成した後、第一レジスト層を形成し、基板の裏面から光を照射するようにしてもよい。
【0015】
本発明の第1のレンズの型の製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、硬化した領域を残し、硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、残された凸形の曲面をもった領域を凹レンズを成形するための型とすることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2のレンズの型の製造方法は、基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、第一レジスト層の上に、反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、反応生成物が拡散した領域を除去し、反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、硬化した凹形の曲面をもった領域を凸レンズを成形するための型とすることを特徴とするものである。
【0017】
なお、「反応生成物の作用により」とは、少なくとも反応生成物の作用を条件とするものであり、該作用のみによって溶解性が変化するものではないことを意味する。
【0018】
また、第二レジスト層の「前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂」とは、反応生成物により溶解性が変化する性質を有するものであればよく、前記第一レジスト層の「樹脂」と同材質のものでもよく、異材質のものでもよい。また、この場合の「前記反応生成物」とは、光照射を受けて第一レジスト層で発生した反応生成物を示す。
【0019】
【発明の効果】
本発明の第1から第4までのレンズの製造方法によれば、上記工程からなることにより、結果的に高性能なレンズを低コストで容易に製造することが可能である。
【0020】
より詳細には、光照射により感光剤から発生する反応生成物をレジスト中に拡散させているので、レンズの曲面形状を容易に形成することが可能である。このため、従来技術のように、透過率分布を有する高価なマスクを使用する必要が無い。また、所望のレンズ形状に合わせて、露光領域の間隔と拡散時間とを適宜調整することにより、光利用効率の高いレンズを作製することが可能である。さらには、反応生成物の拡散時間を調整することによって種々の径のレンズを容易に作製することが可能である。
【0021】
また、光を線状に照射すれば、シリンドリカルレンズを作製することが可能である。
【0022】
反応生成物が酸であり、樹脂がエポキシ系樹脂である場合には、加熱によって酸の水素イオンにより樹脂のエポキシ基が開環して樹脂同士が架橋し、さらに架橋によって発生した水素イオンがまた酸に供給されるという、酸の触媒作用によって樹脂を容易に架橋させることができる。
【0023】
第一の工程後、光を照射する所望の領域以外の領域を硬化させてから該所望の領域に光を照射し、反応生成物を第二レジスト層に拡散させるようにした場合は、第一レジストでの酸の拡散不均一を防止することができ、良好な形状を得ることができる。
【0024】
また、基板表面に、光を照射する領域以外の領域に遮光膜を形成した後、第一レジスト層を形成し、基板の裏面から光を照射するようにした場合は、遮光膜とレンズをセルフアライメントで作製することができ作製工程を簡略化することができ、さらに、遮光膜と光軸の位置ズレが無い高性能なレンズを得ることができる。
【0025】
特に、第3のレンズの製造方法によれば、凹形の型を用いた成形により凸レンズを作製するため、量産が可能であり、さらに低コストで高精度なレンズを得ることができる。
【0026】
同様に、第4のレンズの製造方法によれば、凸形の型を用いた成形により凹レンズを作製するため、量産化と低コスト化が可能である。
【0027】
また、本発明のレンズの型の製造方法によれば、レンズを成形するための型を容易に低コストで作製することが可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
本発明の第一の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図1に示す。
【0030】
図1(a)に示すように、SiO2ガラス基板11上に、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8:MicroChem Inc.社製)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層12aを数μm程度形成する。
【0031】
なお、「NANO SU8」は化学増幅型レジストであり、
【化1】
のような構造を有するエポキシノボラック系樹脂と、溶媒としてのγ−ブチロラクトン(沸点204℃)と、感光剤としてのトリアリルスルホニウム塩(Ar3S+SbF6またはAr3S+PF6)とからなるものである。この感光剤は上記波長の光照射により、酸であるH+SbF6またはH+PF6を発生する。
【0032】
次に、図1(b)に示すように、基板13aに、レンズ光軸に対応する領域に円形状の開口を有するCr膜13bが施されたマスク13を通してコンタクトアライナーにより、波長350〜400nmの紫外線14を用いて露光する。これにより露光された領域15においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。なお、露光範囲は、レンズ半径の5〜10%程度が望ましい。
【0033】
次に、図1(c)に示すように、第一レジスト層12aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二のレジスト層12bを形成する。この第二レジスト層12bの厚さはレンズの半径よりも厚くする。所定の時間放置して、領域15において発生している酸を、図1(d)に示すように、第一レジスト層12aおよび第二レジスト層12bからなるレジスト層の領域16まで拡散させる。これにより、レンズの曲面を形成することができる。
【0034】
放置時間は、レジストの濃度およびマイクロレンズの径等により調節することが望ましいが、本発明は、レンズ半径が数μmから100μm程度のマイクロレンズの製造に好適であるため、放置時間は数分から数十時間が望ましい。
【0035】
なお、上記レジストにおいては、溶媒に沸点が204℃のγ−ブチロラクトンを用いているため、長時間放置しても溶媒の蒸発が少なく安定に酸を拡散させることができるという利点がある。
【0036】
次に、図1(e)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域16の樹脂を硬化させる。加熱することにより、拡散した酸の水素イオンが樹脂のエポキシ基に作用してエポキシ基が開環し、樹脂が架橋する。さらにその架橋によって生じた水素イオンによって、樹脂が架橋するものである。このレジストでは、感光剤から光反応によって生成した酸が、樹脂を架橋させるための触媒としての役割を有している。
【0037】
その後、図1(f)に示すように、現像液で未硬化部分の第一レジスト層12aおよび第二レジスト層12bを除去した後、残った領域16の樹脂を100〜200℃程度で加熱してさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。100〜200℃程度で加熱することにより機械的強度を向上させることができる。
【0038】
次に、本発明の第二の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図2に示す。
【0039】
図2(a)に示すように、SiO2ガラス基板21上に、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層22aを数μm程度形成する。
【0040】
次に、図2(b)に示すように、基板23aにレンズ光軸に対応する領域に円形状にCr膜23bが施されたマスク23を通してコンタクトアライナーにより、波長350〜400nmの紫外線24を用いて露光する。これにより露光された領域25においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。
【0041】
次に、図2(c)に示すように、50〜100℃所定時間ソフトベークを行う。これにより領域25のレジストは、発生した酸の作用により硬化する。
【0042】
次に、図2(d)に示すように、さらに、第一レジスト層上全面に波長350〜400nmの紫外線26を用いて露光する。これにより、光軸に対応する領域27において酸が発生する。
【0043】
次に、図2(e)に示すように、第一レジスト層22aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二のレジスト層22bを形成する。所定の時間放置して、領域27において発生している酸を、図2(f)に示すように、領域28まで拡散させる。
【0044】
次に、図2(g)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域28の樹脂を硬化させる。
【0045】
その後、図2(h)に示すように、現像液で第二レジスト層22bの未硬化部分の第二レジスト層22bを除去した後、100〜200℃程度で加熱して領域28の樹脂をさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。
【0046】
上記第一の実施の形態においては、第一レジスト層は露光のためにソフトベークされているため、第二レジスト層に比べて、酸が拡散し難く硬化しない部分が生じる可能性があるが、第二の実施の形態によれば、レンズ光軸に対応する部分以外の部分の第一レジスト層を硬化させてから酸を第二レジスト層に拡散させるため、第一レジスト層において酸が良好に拡散されないという問題が無く、良好にレンズを形成することができる。
【0047】
次に、本発明の第三の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造方法について説明する。そのマイクロレンズアレイの製造過程の断面図を図3に示す。
【0048】
図3(a)に示すように、SiO2ガラス基板31上に、レンズアレイの光軸に対応する部分に円形状に開口を有するようにCr膜(厚さ30nm程度)32を形成する。
【0049】
次に、図3(b)に示すように、エポキシ樹脂系レジスト(NANO SU8)をスピンコート法により塗布した後、50〜100℃で所定時間ソフトベークして、第一レジスト層33aを数μm程度形成する。
【0050】
次に、図3(c)に示すように、基板31の裏面から波長350〜400nmの紫外線34を用いて露光する。これにより露光された領域35においては、感光剤が光照射を受けて生成される上記酸が発生する。
【0051】
次に、図3(d)に示すように、第一レジスト層33aの上に第一レジスト層と同レジストをスピンコート法により塗布して第二レジスト層33bを形成する。
【0052】
次に、所定の時間放置して、領域35において発生している酸を、図3(e)に示すように、第一レジスト層33aおよび第二レジスト層33bからなるレジスト層の領域36まで拡散させる。
【0053】
次に、図3(f)に示すように、50〜100℃の範囲で加熱して、領域36の樹脂を硬化させる。
【0054】
その後、図3(g)に示すように、現像液で未硬化部分のレジスト層を除去した後、100〜200℃程度で加熱して領域36の樹脂をさらに硬化させて、マイクロレンズアレイを完成させる。
【0055】
本第三の実施の形態によれば、遮光膜であるCr膜32とマイクロレンズアレイをセルフアライメントで作製可能であり、高精度な遮光膜付きマイクロレンズを得ることができる。
【0056】
また、上記実施の形態では、光照射によって発生する酸の触媒作用によって樹脂が架橋して現像液に不溶となるネガ型レジストを用いて説明したが、酸に限らず塩基の作用により硬化するネガ型レジストであってもよい。また、有機溶媒中に樹脂と感光剤と架橋剤とが溶解され、感光剤から発生した酸あるいは塩基が加熱等により架橋剤に作用して樹脂が硬化するネガ型レジストであってもよい。その他、反応生成物との組み合わせにより種々のネガ型レジストを用いることが可能である。
【0057】
また、上記実施の形態と同様のネガ型レジストを用いたプロセスにより、凸形の曲面形状を有する樹脂体を、凹レンズを成形する型とすることができる。この場合、第一レジスト層および第二レジスト層に用いる樹脂は透明性を必要としないため、樹脂の選択幅が広い。この凹レンズを成形する型の樹脂を流し込んで成形することにより、高精度な凸レンズを低コストで量産することが可能となる。さらには、上記凸形の曲面形状を有する樹脂体から、さらに凹形の第二の型を作製することも可能である。
【0058】
また、ネガ型レジストの代わりに、光照射により現像液に可溶となるポジ型レジストを用いてもよく、この場合、反応生成物が拡散した領域のみ、例えば、図1で説明すると、図1(d)における符号16の領域が現像により除去され、該領域16の上部の凹形の領域が残る。この後、残った凹形の曲面を有するレジスト層を硬化させることにより、凹型のレンズを作製することができる。この場合、第二レジストの上部に第二の基板を貼りつけた後、基板11を除去することが望ましい。
【0059】
さらに、ネガ型レジストの場合と同様、硬化させた凹形の曲面を有する樹脂体を、凸レンズを成形する型とすることができる。その凹形の型に樹脂を流し込んで凸レンズを量産することが可能である。さらには、前記凹型の曲面を有する樹脂体から凸形の第二の型を作製することも可能である。
【0060】
なお、第二の型は樹脂型に限らず、樹脂体から電鋳により金属に転写してなる金属型であってもよい。
【0061】
また、樹脂材料としては、上記実施の形態ではレジストとして「NANO SU8」を用いているため、エポキシ系樹脂であるが、これに限らず、反応生成物との反応性、透過率が高いこと、耐熱温度が高いこと、飽和吸水率が低いこと、複屈折率が小さいこと、成形性が良いこと、および機械的強度に優れていること等を考慮して選択することが望ましい。
【0062】
また、上記実施の形態において、第一レジスト層と第二レジスト層とで同素材の樹脂を用いたが、第二レジスト層に含まれる樹脂は、第一レジスト層の感光剤から発生する反応生成物の作用により溶解性が変化する性質を有する樹脂であれば第一レジスト層に含まれる樹脂と異なる樹脂を用いてもよい。
【0063】
また、露光範囲は、上記実施の形態では、レンズ半径の5〜10%程度としたが、これに限られず、樹脂材料および反応生成物等を考慮して適宜調整することが望ましい。
【0064】
また、光を照射する領域は、円形状となる場合について説明したが、楕円形状、四角形状、長方形状および線状のいずれであってもよい。なお、光を線状に照射した場合は、シリンドリカルレンズを作製することができる。
【0065】
また、マスクによる露光に限らず、EB描画による露光であってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、マイクロレンズアレイについて説明したが、本発明は、レンズ単体の作製にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【図2】本発明の第二の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【図3】本発明の第三の実施の形態によるマイクロレンズアレイの製造過程を示す断面図
【符号の説明】
11 SiO2ガラス基板
12a 第一レジスト層
12b 第二レジスト層
13a 基板
13b Cr膜
13 マスク
14 紫外線
15 露光領域
16 酸拡散領域
Claims (8)
- 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、
該硬化した領域を残し、該硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、
該残された凸形の曲面をもった領域を凸レンズとすることを特徴とするレンズの製造方法。 - 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、
該硬化した領域を残し、該硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程と、
該残された凸形の曲面もった領域を型として凹レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするレンズの製造方法。 - 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を除去し、該反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、
該残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、
該硬化した凹形の曲面をもった領域を凹レンズとすることを特徴とするレンズの製造方法。 - 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を除去し、該反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、
該残された領域を硬化させる第五の工程と、
該硬化した凹形の曲面をもった領域を型として凸レンズを成形する第六の工程とからなることを特徴とするレンズの製造方法。 - 前記第一の工程後、前記局所的に光を照射する領域以外の領域を硬化させてから該局所的な領域に光を照射し、前記反応生成物を前記第二レジスト層に拡散させることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のレンズの製造方法。
- 前記基板表面に、前記局所的に光を照射する領域以外の領域に遮光膜を形成した後、前記第一レジスト層を形成し、
前記基板の裏面から前記光を照射することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のレンズの製造方法。 - 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を硬化させる第四の工程と、
該硬化した領域を残し、該硬化した領域以外の領域を除去する第五の工程とからなり、
該残された凸形の曲面をもった領域を凹レンズを成形するための型とすることを特徴とするレンズの型の製造方法。 - 基板表面に、感光剤と該感光剤に光が照射されて生成する反応生成物の作用により溶解性が変化する樹脂とを含む第一レジスト層を形成する第一の工程と、
前記第一レジスト層の一部に局所的に光を照射する第二の工程と、
前記第一レジスト層の上に、前記反応生成物により溶解性が変化する樹脂を含み所望のレンズ厚より厚い第二レジスト層を形成し、前記光の照射を受けて生成された反応生成物を、所望のレンズ形状を構成する範囲まで第二レジスト層に拡散させる第三の工程と、
該反応生成物が拡散した領域を除去し、該反応生成物が拡散した領域以外の領域を残す第四の工程と、
該残された領域を硬化させる第五の工程とからなり、
該硬化した凹形の曲面をもった領域を凸レンズを成形するための型とすることを特徴とするレンズの型の製造方法。
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