JP2004167630A - 研磨用治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シャフトテーパー部1cに嵌め入れられるテーパーリング2に、周方向に等間隔で3つのスリット2s,2s,2sを形成する。また、これらのスリット2sの形状は、リング薄肉側の端面2aから厚肉側の端面2bに向かって、軸方向に貫通しない形状とし、それぞれのスリット2sの厚肉側端面2b近傍に、周方向に連続する連通部2tを形成する。以上の構成により、テーパーリング外周面2xの拡大方向を、それぞれ120°間隔とするとともに、この外周面2xの拡大による円筒状ワーク内周面への押し圧を、周方向に均等にすることができる。従って、本発明の研磨用治具は、この研磨用治具とワークの回転中心とを一致させた状態でこのワークを固定することができ、ワーク外径の研削時における外径の振れを抑えることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状ワークの外径研磨に用いられる治具に関し、更に詳しくは、研削・研磨装置に取り付けられる軸受外輪等の円筒状ワークを、心振れなく高精度に回転させることのできる研磨用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
センジミア冷間圧延機のバックアップロールユニット等に用いられている円筒ころ軸受は、中間ロールとの偏当たりを防止するため、定期的に外輪外径面の検査と研磨(研削)による表面疲労層の除去が行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この円筒ころ軸受の外輪のような円筒状ワークの外径研磨に用いられている従来の治具(アーバー)は、図9の一部断面図に示すように、シャフト1と、円筒状のテーパーリング12と、このテーパーリング12をシャフト1の軸方向に相対移動させるナット3等の締付手段とから構成されている。
【0004】
このシャフト1は、中実の金属材料を用いて、両端の円筒部1a,1bと、これら円筒部1a,1bの間に設けられたテーパー部1cとが一体に形成されている。テーパー部1cは、その外径がこれら円筒部1a,1bの外径より大径で、かつ、その外周面が軸方向に傾斜をつけたテーパー形状(テーパー面1y)に形成されている。また、テーパー部1cの小径側に位置する一方の円筒部1bの外周にはナット3が配置され、このナット3を回転させることによって、テーパーリング12を軸方向にスライドさせることができるように構成されている。なお、これら円筒部1a,1bの端面の中心には、研磨装置等の主軸台センターC1および心押し台センターC2に係合するセンター穴1p,1qが、それぞれ設けられている。
【0005】
テーパーリング12の内周面12yは、前記テーパー1yに沿ったテーパー形状に形成され、そのリング12の外周面12xは、シャフト1の回転軸に平行な面に形成されている。そのため、このテーパーリング12は、図10の側面図および図11の正面図に示すように、一方の端面12a側が薄肉部、他方の端面12b側が厚肉部となっている。また、テーパーリング12には、一方の端面12a側から他方の端面12b側に貫通する軸方向のスリット12sが周方向に一ヶ所形成されており、このスリット12sの間隙を押し広げることによって、その外径を拡大させることができるようになっている。
【0006】
以上のような構成の円筒状ワークの研磨用治具において、円筒状ワーク(ころ軸受の外輪21)の固定は、シャフト1のテーパー部1cにテーパーリング12を嵌め入れた状態で、そのテーパーリング12の外周にころ軸受の外輪21を配置し、ナット3を締め付けることによって行なわれる。すなわち、このナット3の締め付けにより、テーパーリング12が、シャフト1のテーパー面1yに沿って軸方向に相対移動し、このテーパーリング12の外周面12xが外輪21の内周面に押し付けられ、この軸受外輪21の心出しと固定が同時に行なわれることとなる。また、ころ軸受の外輪21が固定された治具は、シャフト円筒部1a,1bの端面に設けられたセンター穴1p,1qに、研磨装置等の主軸台センターC1および心押し台センターC2が挿入されて回転軸が固定されるとともに、一方のシャフト円筒部1aに設けられた係合孔1kに研磨装置のケレーK等が挿入され、回転駆動力が伝達される。
【0007】
一方、軸受外輪の内周面に中鍔が設けられている複列ころ軸受の外輪外径の研磨に用いられる治具(アーバー)は、図12の一部断面図に示すように、シャフト4と、円筒状のスライドリング5と、これらシャフト4およびスライドリング5の外周に配置される一対のテーパーリング16,17と、スライドリング5をシャフト4の軸方向に相対移動させるナット8等の締付手段とから構成されている。
【0008】
このシャフト4も、中実の金属材料を用いて、両端の円筒部4a,4bと、これら円筒部4a,4bの間に設けられたテーパー部4cとが一体に形成されている。テーパー部4cは、シャフト4の軸方向中央より一方の円筒部4a寄りに形成されているとともに、その外径が円筒部4a,4bの外径より大径で、かつ、その外周面が他方の円筒部4bに向けて徐々に小径となるテーパー形状(テーパー面4y)に形成されている。また、このテーパー部4cの薄肉側に位置する他方の円筒部4bの外周には、シャフト4の回転軸に平行なスライド面4xが設けられているとともに、これら両円筒部4a,4bの端面の中心には、前述の従来例と同様に、研磨装置等の主軸台センターC1および心押し台センターC2に係合するセンター穴4p,4qが、それぞれ設けられている。
【0009】
スライドリング5は、その外周面が、シャフトテーパー部4cの外周面4yと軸方向に対称となるテーパー形状(テーパー面5y)に形成されており、シャフト円筒部4bのスライド面4xの周囲に、軸方向に相対移動可能に配置されている。また、シャフト円筒部4bの端部近傍にはナット8が配置され、このナット8を回転させることによって、スライドリング5を軸方向にスライドさせることができるように構成されている。
【0010】
図13と図14は、シャフトテーパー部4cの周囲に配置されるテーパーリング16の側面図および正面図である。なお、スライドリング5の周囲に配置されるテーパーリング17は、テーパーリング16と同様の形状であるため、詳細な説明を省略する。
【0011】
テーパーリング16は、内周面16yがシャフト4のテーパー面4y(あるいはスライドリング5のテーパー面5y)に沿ったテーパー形状に形成され、その外周面16xがシャフト4の回転軸に平行な面に形成されている。そのため、テーパーリング16も、前述の従来例と同様に、一方の端面16a側が薄肉部、他方の端面16b側が厚肉部となっている。また、このテーパーリング16にも、一方の端面16a側から他方の端面16b側に貫通する軸方向スリット16sが周方向に一ヶ所形成されており、このスリット16sの間隙を押し広げることによって、その外径を拡大させることができるようになっている。
【0012】
以上のような構成の内周面に突出部を有する円筒状ワーク用研磨用治具においても、円筒状ワーク(軸受の外輪22)の心出しおよび固定は、シャフトテーパー部4cとスライドリング5の外周に、テーパーリング16および17をそれぞれ嵌め入れた状態で、これらテーパーリング16,17の外周に軸受外輪22を配置し、ナット8を締め付けることによって行なわれる。また、ころ軸受の外輪22が固定された治具は、シャフト円筒部4a,4bの端面に設けられたセンター穴4p,4qに、研磨装置等の主軸台センターC1および心押し台センターC2が挿入されて回転軸が固定されるとともに、シャフト円筒部4a,4bに設けられた係合孔4k,4kに研磨装置のケレー等(図示省略)が挿入され、回転駆動力が伝達されることとなる。なお、テーパーリング16および17の間には、ワーク内周への突出部(軸受外輪22の中鍔)を保護するためのスペーサー9等が介在配置される場合もある。
【0013】
【特許文献1】特開昭57−83351号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような従来の円筒状ワーク外径の研磨用治具において、治具に固定される円筒状ワークの研磨時における回転精度が低いという問題があった。この研磨時における円筒状ワークの回転の振れは、そのワーク外径において10μm以上あり、高度な真円度が要求される圧延機のバックアップロールユニット用円筒ころ軸受等においては、その軸受外輪外径の寸法精度(すなわち研磨精度)が圧延製品の表面状態にまで影響を及ぼし、製品歩留まり等を左右することもある。
【0015】
この問題は、図11および図14に示すように、円筒状ワークの内周に押し当てられるテーパーリング12および16に、スリットが1ヶ所(12sおよび16s)しかないため、その外径の拡大方向が図中矢印dおよびe方向(図示上下方向)にのみ偏ってしまい、円筒状ワークを周方向に均等な押し圧で固定できないことが原因であると考えられる。
【0016】
本発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、軸受外輪等の円筒状ワークを、心振れなく高精度に回転させることのできる研磨用治具を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、第1の発明は、両端の円筒部とこれら円筒部の間に設けられた大径のテーパー部とからなるシャフトと、このテーパー部の外周面に沿った形状の内周面と前記シャフトの軸方向に平行な形状の外周面を有し、かつ、少なくとも1つの軸方向スリットが形成されたテーパーリングと、このテーパーリングをシャフトの軸方向に相対移動させる締付手段とからなり、前記シャフトのテーパー部に嵌合された前記テーパーリングの外周に円筒状ワークを配置し、このテーパーリングを前記締付手段によって軸方向に移動させ、該テーパーリングの外周面を前記円筒状ワークの内周面に押し当てるとともに、前記シャフトの両端面に設けられたセンター穴に、研磨装置の主軸台センターおよび心押し台センターをそれぞれ係合させることによって、この円筒状ワークの回転を支持する研磨用治具において、前記テーパーリングには、前記スリットによるリングの周方向の分割を避けるべく、どちらか一方の端面近傍に連通部が設けられているとともに、このスリットが周方向に等間隔で少なくとも3つ以上形成されていることを特徴とする。
【0018】
一方、第2の発明は、両端の円筒部とこれら円筒部の間に設けられた大径のテーパー部とからなるシャフトと、このテーパー部と対になるように前記シャフトの一方の円筒部外周に沿って配置され、外周面が前記テーパー部と同様のテーパー形状に形成されたスライドリングと、このスライドリングをシャフトの軸方向に相対移動させる締付手段と、前記テーパー部の外周面および前記スライドリングの外周面に沿った形状の内周面と前記シャフトの軸方向に平行な形状の外周面を有し、かつ、少なくとも1つの軸方向スリットが形成されたテーパーリングを一対備え、前記シャフトのテーパー部および前記スライドリングにそれぞれ嵌合された前記テーパーリングの外周に円筒状ワークを配置し、このスライドリングを前記締付手段によって軸方向に移動させ、これらテーパーリングの外周面を前記円筒状ワークの内周面に押し当てるとともに、前記シャフトの両端面に設けられたセンター穴に、研磨装置の主軸台センターおよび心押し台センターをそれぞれ係合させることによって、この円筒状ワークの回転を支持する研磨用治具において、前記テーパーリングには、前記スリットによるリングの周方向の分割を避けるべく、どちらか一方の端面近傍に連通部が設けられているとともに、このスリットが周方向に等間隔で少なくとも3つ以上形成されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、前記研磨用治具においては、これら3つ以上のテーパーリングのスリットが、それぞれこのテーパーリングの薄肉側端面から厚肉側端面に向かって形成されていることが好ましい(第3の発明)。
【0020】
また、前記テーパーリングのスリットの別の構成として、これら3つ以上のスリットが偶数個形成されているとともに、これらスリットが周方向に互い違いとなるように、個々のスリットが隣接するスリットと軸方向逆に向かって形成されている構成を採用することもできる(第4の発明)。
【0021】
本発明は、円筒状ワークの回転を支持する研磨用治具において、この円筒状ワークの内周面に押し当てられるテーパーリングに、周方向に均等に配置された3つ以上のスリットを設け、これらスリットによって形成された各区画を、円筒状ワーク内周面に均一に押し当てることによって、所期の目的を達成しようとするものである。
【0022】
すなわち、本発明によれば、研磨用治具のテーパーリングに形成されるスリットを、軸方向に貫通しない形状に形成するとともに、このスリットを周方向に等間隔で少なくとも3つ以上形成する。このスリット構成により、このテーパーリングは周方向に分割されることなく、これらスリットにより形成された各区画は、異なる3つ以上の方向に向けて一様に外径を拡大することができるようになる。従って、本発明の研磨用治具は、そのテーパーリング外周に配置される円筒状ワークを、周方向に偏ることなく、この研磨用治具と円筒状ワークの回転中心を完全に一致させた状態で、このワークを固定することができる。
【0023】
なお、これらスリットの具体的構成として、テーパーリングの厚肉側端面近傍に連通部を設け、薄肉側端面から厚肉側端面に向けて形成されたスリットを、周方向に等間隔に3つ以上配置する構成が好ましい。このようにテーパーリングの薄肉側にスリットを設けることにより、これらスリットにより形成された各区画の径方向への拡大が容易になり、これら各区画の円筒状ワーク内周面に対する押し圧を均等にすることができる。
【0024】
また、このテーパーリングに更に多数のスリットを設ける場合は、これらスリットを偶数個設け、これらが周方向に互い違いになるように、個々のスリットを隣接するスリットと軸方向逆に向かって形成することが望ましい。このスリット構成により、テーパーリングの径方向への拡大の自由度を更に向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつこの発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。また、図2はこの実施の形態に使用されるテーパーリング2の側面図であり、図3は図2のA矢視正面図である。なお、説明が煩雑になるのを避けるため、従来例と同様の構造と機能を有する構成部材には、同じ符号を付記して詳細な説明を省略する。
【0026】
本実施の形態における円筒状ワークの外径研磨に用いられる治具も、基本的な構造は従来例と同様であり、シャフト1と、円筒状のテーパーリング2と、このテーパーリング2をシャフト1の軸方向に相対移動させるナット3等の締付手段とから構成されている。テーパーリング2の内周面2yは、テーパー部外周面1yに沿ったテーパー形状に形成され、そのリング2の外周面2xは、シャフト1の回転軸に平行な面に形成されている。そのため、このテーパーリング12も、図2に示すように、一方の端面2a側が薄肉部、他方の端面2b側が厚肉部となっている。
【0027】
この実施の形態における研磨用治具の特徴は、図3のように、シャフト1のテーパー部1cに嵌め入れられるテーパーリング2に、周方向に等間隔(120°間隔)で3つのスリット2s,2s,2sが形成されている点である。また、これらのスリット2sは、図2に示すように、リング薄肉側の端面2aから厚肉側の端面2bに向かって、軸方向に貫通しない形状に形成されており、それぞれのスリット2sの厚肉側端面2b近傍には、周方向に連続する連通部2tが形成されている。そのため、このテーパーリング2は、これらスリット2sにより形成された各区画が周方向に分割されず、一体として形成されている。
【0028】
本実施の形態においても、円筒状ワーク(ころ軸受の外輪21)の固定は、図1に示すように、シャフト1のテーパー部1cにこのテーパーリング2を嵌め入れた状態で、そのテーパーリング2の外周にころ軸受の外輪21を配置し、ナット3を締め付けることによって行なわれる。すなわち、このナット3の締め付けにより、従来例と同様、テーパーリング2がシャフト1のテーパー面1yに沿って軸方向に相対移動し、このテーパーリング2の外周面2xが外輪21の内周面に押し付けられ、この軸受外輪21の心出しと固定が同時に行なわれることとなる。
【0029】
この時、本実施の形態におけるテーパーリング2は、周方向に等間隔の3つのスリット2s,2s,2sが形成されていることにより、図3に示すように、これらスリット2sにより形成された各区画が、それぞれ図中矢印a方向に一様に拡大する。すなわち、このスリット構成により、締付手段の相対移動によるテーパーリング外周面2xの拡大方向を、それぞれ120°間隔とするとともに、この外周面2xの拡大による外輪21内周面への押し圧を、周方向に均等にすることができる。従って、本実施の形態の研磨用治具は、ころ軸受外輪21の径方向中心と研磨用治具の回転中心とを一致させた状態で、この外輪21を固定することができ、外輪21外径の研削時においても、外輪21外径の振れを抑えて高精度に回転させることができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。また、図5はこの実施の形態に使用されるテーパーリング6の側面図であり、図6は図5のB矢視正面図である。
【0031】
この実施の形態は、内周面に突出部(軸受外輪22の中鍔)を有する円筒状ワーク用研磨用治具に、本発明を適用した例であって、従来例と同様、シャフト4と、円筒状のスライドリング5と、これらシャフト4およびスライドリング5の外周に配置される一対のテーパーリング6,7と、スライドリング5をシャフト4の軸方向に相対移動させるナット8等の締付手段とから構成されている。
【0032】
テーパーリング6(および7)は、内周面6yがシャフト4のテーパー面4y(あるいはスライドリング5のテーパー面5y)に沿ったテーパー形状に形成され、その外周面6xがシャフト4の回転軸に平行な面に形成されている。そのため、テーパーリング6も、従来例と同様に、一方の端面6a側が薄肉部、他方の端面6b側が厚肉部となっている。
【0033】
また、本実施の形態におけるテーパーリング6(および7)も、図6のように、周方向に等間隔(120°間隔)で3つのスリット6s,6s,6sが形成されている。これらのスリット6sは、図5に示すように、リング薄肉側の端面6aから厚肉側の端面6bに向かって、軸方向に貫通しない形状に形成されており、それぞれのスリット6sの厚肉側端面6b近傍には、周方向に連続する連通部6tが形成されている。そのため、このテーパーリング6も、これらスリット6sにより形成された各区画が周方向に分割されず、一体として形成されている。
【0034】
以上のような構成の研磨用治具においても、円筒状ワーク(ころ軸受の外輪22)の固定は、図4に示すように、シャフトテーパー部4cとスライドリング5の外周に、テーパーリング6および7をそれぞれ嵌め入れた状態で、これらテーパーリング6,7の外周に軸受外輪22を配置し、ナット8を締め付けることによって行なわれる。また、ころ軸受の外輪22が固定された治具は、シャフト円筒部4a,4bの端面に設けられたセンター穴4p,4qに、研磨装置等の主軸台センターC1および心押し台センターC2が挿入されて回転軸が固定されるとともに、シャフト円筒部4a,4bに設けられた係合孔4k,4kに研磨装置のケレー等(図示省略)が挿入され、回転駆動力が伝達されることとなる。なお、テーパーリング6および7の間には、ワーク内周への突出部(軸受外輪22の中鍔)を保護するためのスペーサー9等が介在配置される場合もある。
【0035】
この実施の形態においても、第1の実施の形態同様、これらテーパーリング6,7に、周方向に等間隔の3つのスリット6s,6s,6sが形成されていることにより、図6に示すように、これらスリット6sにより形成された各区画が、それぞれ図中矢印b方向に一様に拡大する。すなわち、このスリット構成により、締付手段の相対移動によるテーパーリング6,7の外周面6x,7xの拡大方向が、それぞれ120°間隔となるとともに、これら外周面6x,7xの拡大による外輪22内周面への押し圧を、周方向に均等にすることができる。従って、本実施の形態における研磨用治具も、この研磨用治具ところ軸受外輪22の回転中心を一致させた状態で、この外輪22を固定することができ、外輪22外径の研削時においても、外輪22外径の振れを抑えて高精度に回転させることができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。また、図8はこの実施の形態に使用されるテーパーリング10の外観斜視図である。
【0037】
本実施の形態も、第2の実施の形態同様、内周面に突出部(軸受外輪22の中鍔)を有する円筒状ワーク用研磨用治具に、本発明を適用した例である。第2の実施の形態と異なる点は、図8に示すように、シャフトテーパー面4yおよびスライドリングテーパー面5yの外周に配置される一対のテーパーリング10,11のそれぞれに、軸方向が互いに異なる6本のスリットが、周方向に等間隔で形成されている点である。
【0038】
このテーパーリング10には、薄肉側の端部10aから圧肉側の端部10bに向かう3本のスリット10s1が周方向に等間隔(120°間隔)で設けられているとともに、これらスリット10s1どうしの中間位置に、圧肉側の端部10bから薄肉側の端部10aに向かう逆方向のスリット10s2が設けられている。また、スリット10s1の厚肉側端部10b近傍およびスリット10s2の薄肉側端部10a近傍には、それぞれ連通部10tが設けられており、第1・第2の実施の形態同様、これらのスリット10s1と10s2は、軸方向に貫通しない形状に形成されている。
【0039】
この構成により、本実施の形態における研磨用治具も、第1および第2の実施の形態同様に、この研磨用治具ところ軸受の外輪22の回転中心を一致させた状態で外輪22を固定することができ、この外輪22の外径の振れを抑えて、高精度に回転させることができる。
【0040】
また更に、これらのスリット10s1と10s2を、周方向に互い違いに等間隔で配置したことにより、このテーパーリング10,11の径方向への拡大の自由度を向上させる効果も併せて奏することができる。
【0041】
なお、テーパーリングに形成されるスリットの形状は、これらの実施の形態において例示した形状に限定されることなく、テーパーリングの材質や形状等に合わせて適宜変更することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の研磨用治具によれば、テーパーリングの外周に配置される円筒状ワークを、周方向に偏ることなく、このワークの径方向中心と研磨用治具の回転中心とを一致させた状態で固定することができる。従って、このワークの外径の研削時においても、ワーク外径の振れを抑えて高精度に回転させることができ、もってワーク外径の研磨精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における研磨用治具に用いられているテーパーリング2の側面図である。
【図3】図2のテーパーリング2を矢印A方向から見た正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における研磨用治具に用いられているテーパーリング6の側面図である。
【図6】図5のテーパーリング6を矢印B方向から見た正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における研磨用治具の構造を示す一部断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における研磨用治具に用いられているテーパーリング10の外観斜視図である。
【図9】従来の研磨用治具の構造を示す一部断面図である。
【図10】従来の研磨用治具に用いられているテーパーリング12の側面図である。
【図11】図10のテーパーリング12を矢印D方向から見た正面図である。
【図12】別の従来の研磨用治具の構造を示す一部断面図である。
【図13】別の従来の研磨用治具に用いられているテーパーリング16の側面図である。
【図14】図13のテーパーリング16を矢印E方向から見た正面図である。
【符号の説明】
1 シャフト
1a,1b 円筒部
1c テーパー部
1p,1q センター穴
1y テーパー面
2,12 テーパーリング
2a,12a 端面
2b,12b 端面
2s,12s スリット
2t 連通部
2x,12x 外周面
2y,12y 内周面
3 ナット
4 シャフト
4a,4b 円筒部
4c テーパー部
4p,4q センター穴
4x スライド面
4y テーパー面
5 スライドリング
5y テーパー面
6,7,16,17 テーパーリング
6a,16a 端面
6b,16b 端面
6s,16s スリット
6t 連通部
6x,16x 外周面
6y,16y 内周面
8 ナット
9 スペーサー
10,11 テーパーリング
10a 端面
10b 端面
10s1,10s2 スリット
10t 連通部
10x 外周面
10y 内周面
21,22 ころ軸受の外輪
C1 主軸台センター
C2 心押し台センター
K ケレー
T 砥石
Claims (4)
- 両端の円筒部とこれら円筒部の間に設けられた大径のテーパー部とからなるシャフトと、このテーパー部の外周面に沿った形状の内周面と前記シャフトの軸方向に平行な形状の外周面を有し、かつ、少なくとも1つの軸方向スリットが形成されたテーパーリングと、このテーパーリングをシャフトの軸方向に相対移動させる締付手段とからなり、前記シャフトのテーパー部に嵌合された前記テーパーリングの外周に円筒状ワークを配置し、このテーパーリングを前記締付手段によって軸方向に移動させ、該テーパーリングの外周面を前記円筒状ワークの内周面に押し当てるとともに、前記シャフトの両端面に設けられたセンター穴に、研磨装置の主軸台センターおよび心押し台センターをそれぞれ係合させることによって、この円筒状ワークの回転を支持する研磨用治具において、
前記テーパーリングには、前記スリットによるリングの周方向の分割を避けるべく、どちらか一方の端面近傍に連通部が設けられているとともに、このスリットが周方向に等間隔で少なくとも3つ以上形成されていることを特徴とする研磨用治具。 - 両端の円筒部とこれら円筒部の間に設けられた大径のテーパー部とからなるシャフトと、このテーパー部と対になるように前記シャフトの一方の円筒部外周に沿って配置され、外周面が前記テーパー部と同様のテーパー形状に形成されたスライドリングと、このスライドリングをシャフトの軸方向に相対移動させる締付手段と、前記テーパー部の外周面および前記スライドリングの外周面に沿った形状の内周面と前記シャフトの軸方向に平行な形状の外周面を有し、かつ、少なくとも1つの軸方向スリットが形成されたテーパーリングを一対備え、前記シャフトのテーパー部および前記スライドリングにそれぞれ嵌合された前記テーパーリングの外周に円筒状ワークを配置し、このスライドリングを前記締付手段によって軸方向に移動させ、これらテーパーリングの外周面を前記円筒状ワークの内周面に押し当てるとともに、前記シャフトの両端面に設けられたセンター穴に、研磨装置の主軸台センターおよび心押し台センターをそれぞれ係合させることによって、この円筒状ワークの回転を支持する研磨用治具において、前記テーパーリングには、前記スリットによるリングの周方向の分割を避けるべく、どちらか一方の端面近傍に連通部が設けられているとともに、このスリットが周方向に等間隔で少なくとも3つ以上形成されていることを特徴とする研磨用治具。
- 前記3つ以上のテーパーリングのスリットが、それぞれこのテーパーリングの薄肉側端面から厚肉側端面に向かって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨用治具。
- 前記3つ以上のテーパーリングのスリットが偶数個形成されているとともに、これらスリットが周方向に互い違いとなるように、個々のスリットが隣接するスリットと軸方向逆に向かって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨用治具。
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