JP2004165366A - 熱電変換素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】性能及び機械的強度の向上が可能な熱電変換素子を得ることにある。
【解決手段】電極12を有する第1基板11と、他の電極26を有して第1基板と対向して設けられた第2基板25と、両基板11,25間に挟設され両電極を介してPN接合されたP型及びN型の熱電導体17,18とを備える熱電変換素子1を前提とする。P型及びN型の各熱電導体17,18を、基板25に接合された平行部21と、この平行部に一体に連続して基板11に接合された拡大端部22とで形成する。平行部21の両基板11,25と平行な断面の面積を各部等しくする。拡大端部22の前記両基板11,25と平行な断面の面積を、この拡大端部22が接合された基板11に向けて次第に大きくしている。
【選択図】 図1
【解決手段】電極12を有する第1基板11と、他の電極26を有して第1基板と対向して設けられた第2基板25と、両基板11,25間に挟設され両電極を介してPN接合されたP型及びN型の熱電導体17,18とを備える熱電変換素子1を前提とする。P型及びN型の各熱電導体17,18を、基板25に接合された平行部21と、この平行部に一体に連続して基板11に接合された拡大端部22とで形成する。平行部21の両基板11,25と平行な断面の面積を各部等しくする。拡大端部22の前記両基板11,25と平行な断面の面積を、この拡大端部22が接合された基板11に向けて次第に大きくしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼーベック効果による温度差発電(熱発電)、及びペルチェ効果による冷却と発熱とが可能な熱電変換素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱電変換素子は、その出力を大きくするために、複数のPN接合対が直列に接続されたモジュールとして用いられる。このモジュールは、電極を有した面を互いに対向させて配置される第1及び第2の基板と、これら2枚の基板に電極を介してPN接合されて基板間に挟まれた複数のP型及びN型の熱電導体とを備え、複数のPN接合対を電極構造により直列に接続している。この熱電変換素子が備える各熱電導体は、それらの一端から他端に向けて、前記両基板と平行な断面の面積が連続的に減少する柱状の構成となっている。
【0003】
この熱電変換素子は以下の手順で製造されている。まず、平板状の半導体ウェハで作られたP型とN型の熱電導体ブロックを、電極が所定のパターンで設けられているP型用の基板とN型用の基板とに個別に接合する。この後、両基板の平面方向に沿って直交する縦横2方向からダイシングソーなどを用いて、基板上の熱電導体ブロックに対する切断による除去を行って、柱状をなすP型及びN型のエレメント(熱電導体)を形成する。次に、両基板を互いに向かい合わせて、各エレメントの先端とそれらが接する基板の電極とを接合して組立てを行うようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−220183号公報(段落0018−0020、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、平板状のP型とN型の熱電導体ブロックの夫々に対して直交する縦横2方向の切断除去加工を行ってP型及びN型の熱電導体を基板上に形成している。この場合、切断除去された領域の跡には異種の熱電導体が組立工程において配置され、この配置により互いに隣接する異種のP型とN型との熱電導体は非接触とする必要がある。これは、隣接するP型とN型との熱電導体が接触して短絡すると、既述のように複数のPN接合対を直列に接続して使用することできなくなるからである。これにより、縦横に切断除去される各領域の幅は、柱状の熱電導体の幅に前記非接触とするための寸法を加えた幅が必要である。
【0006】
このため、P型とN型の各熱電導体ブロックに対する切断除去量は、約60〜70%と多く、この改善がコスト低減などのために求められている。更に、P型とN型との柱状熱電導体を形成するのに、P型とN型の熱電導体ブロックの夫々に対して直交する縦横2方向の切断除去加工を行っているので、合計4回の切断除去加工が必要である。このため、切断除去を行う加工時間が長く掛かり、製造性が良くないので、この改善も求められている。
【0007】
又、特許文献1の製造方法で作られた熱電変換素子の各熱電導体の横断面積は、それらの一端から他端に向けて連続的に減少しているので、各熱電導体の軸方向両端の面積、言い換えれば、基板の電極に対する接合面積の差が大きい。このため、小さな接合面積によりPN接合部における吸熱又は放熱の作用が抑制され易い傾向がある。しかも、各熱電導体の横断面積が小さくなるにつれて機械的強度が低下するので、組立の際などに加えられる外力や衝撃等で各熱電導体が破損する恐れが考えられる。そのために、充分な取り扱い上の注意も求められていて、製造に時間が掛かる因子の一つとなっている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、性能及び機械的強度の向上が可能な熱電変換素子及びこの素子の製造性の向上と低コスト化が可能な製造方法を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の熱電変換素子は、第1、第2の基板間に挟まれてPN接合されたP型及びN型の各熱電導体を、いずれか一方の基板に接合されるとともに前記両基板と平行な断面の面積が各部等しい平行部と、この平行部との間に段差を形成することなく前記平行部に一体に連続して他方の基板に接合されるとともに前記両基板と平行な断面の面積が他方の基板に向けて次第に大きくなっている拡大端部とで形成している。
【0010】
本発明で、P型及びN型の熱電導体には例えば熱電半導体を好適に使用でき、この熱電半導体としては、Bi−Te系材料、Fe−Si系材料、Si−Ge系材料Co−Sb系材料などを挙げることができる。
【0011】
本発明では、平行部と拡大端部とから各熱電導体を形成したので、基板に電極を介して接合される各熱電導体の軸方向両端の面積の差を小さくできるとともに、各熱電導体の機械的強度を向上させることが可能である。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、第1基板が有する電極と前記第1接続層とを接合して、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互に前記第1基板上に間隔的に並べて取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。
【0013】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互にかつスペーサ要素を挟んで間隔的に並べるとともに、各熱電導体素片が有する前記第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記第1基板上に前記P型及びN型の熱電導体素片を取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片並びに前記スペーサ要素をそれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。この発明では、前記スペーサ要素を可溶性材料として、前記第3工程での切断後に可溶手段によりスペーサ要素を除去することが可能であり、又、前記スペーサ要素を断熱性を有する電気絶縁材料として、このスペーサの断片からなるスペーサを隣接した前記P型及びN型の熱電導体間に残すことも可能である。
【0014】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に個別に設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を互いに接触させるとともに、これら各熱電導体素片の第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記P型及びN型の各熱電導体素片を前記第1基板上に交互に並べて取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断するとともに、この切断の前又は後に、前記P型及びN型の熱電導体素片の接触部を前記並び方向と直交する方向に沿って切断して、前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。
【0015】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、第1基板が有する電極と前記P型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のP型熱電導体素片を前記第1基板上に間隔的に並べて取付けるとともに、第2基板が有する電極と前記N型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のN型熱電導体素片を前記第2基板上に間隔的に並べて取付ける。第3工程では、前記各P型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体を形成するとともに、前記各N型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記P型熱電導体が取付けられた前記第1基板と前記N型熱電導体が取付けられた前記第2基板とを向かい合わせて、前記P型熱電導体の第2接続層を前記第2基板が有する電極に接合するとともに、前記N型熱電導体の第2接続層を前記第1基板が有する電極に接合する。
【0016】
これらの製造方法では、切断軌跡の先端部が先細となるように各熱電導体素片の一部を切断除去してP型やN型の熱電導体を形成するので、一端部が拡大端部をなしこれ以外の部分が平行部をなす熱電導体を備えた熱電変換素子を製造できる。
【0017】
更に各製造方法では、第1工程で得た各熱電導体素片を第2工程で第1基板上に並べた状態で、第3工程での切断除去によりP型やN型の熱電導体を形成するので、第1基板に対する各熱電導体素片の並べ方に応じて、熱電導体の形成に必要とする基板の縦方向又は横方向に沿って実施される切断除去が1回又は2回で済む。このため、第1工程で各熱電導体素片を得るための切断除去を含めて、製造過程で必要とする切断除去は最大で2回又は3回と少なくできる。
【0018】
各製造方法では、その第2工程で複数の熱電導体素片を間隔的に並べた場合には、前記間隔の分に応じた切断除去量の削減が可能であり、更に、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよいので、切断除去量の削減が可能である。又、第2工程で異種の熱電導体素片を接触させて並べた場合にも、切断除去によってP型とN型の熱電導体を同時に形成するので、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、異種及び同種の熱電導体が非接触となるように切断除去するだけでよく、それによる切断除去量の削減が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子をその製造方法とともに説明する。図1に示した熱電変換素子1は、例えば電子式腕時計等の各種形態用電子機器の発電に利用されるものであって、その製造方法は、第1〜第4の工程を具備している。なお、各工程の最後の段階ではいずれも洗浄処理が施される。
【0020】
第1工程は、図2(A)に例示したP型又はN型の熱電導体ブロック2から図2(B)に夫々1個ずつ例示した熱電導体素片5P、5Nを形成する素片作成工程である。
【0021】
詳しくは、熱電導体ブロック2は、P型及びN型の熱電半導体により直方体形状をなしているとともに、その互いに平行な第1、第2の面、例えば図2(A)で下面と上面の夫々には、PN接合が可能な金属で作られた複数の金属帯3、4がメッキ等により個別に取付けられている。PN接合が可能な金属としては、Ni、Sn−Pb、Sn−Ag、Au−Sn等を挙げることができる。図2(A)では理解を容易にするために、金属帯3、4には平行斜線を付して識別し易くしてある。この点は他の各実施形態でも同様である。各金属帯3は熱電導体ブロック2の下面に所定間隔を置いて互いに平行に設けられ、各金属帯4は熱電導体ブロック2の上面に所定間隔を置いて互いに平行に設けられている。上下の金属体3、4は熱電導体ブロック2の厚み方向に対応して配設されている。
【0022】
第1工程では、熱電導体ブロック2をその金属帯3又は4が並ぶ方向に沿って図示しない切断手段により切断して、所定厚みの熱電導体素片5P、5Nを夫々複数形成する。図2(A)中1点鎖線は切断が施される位置を示している。熱電導体素片5PはP型の熱電導体ブロック2をスライスすることによって形成し、熱電導体素片5NはN型の熱電導体ブロック2をスライスすることによって形成する。前記切断手段としてはダイシングソーやワイヤソー等を用いることができる。
【0023】
こうして形成された各熱電導体素片5P、5Nの下面の夫々には、半田バンプ例えば金属帯3の断片からなる第1接続層3aが複数間隔的に設けられている。同様に、各熱電導体素片5P、5Nの上面には、夫々金属帯4の断片からなる第2接続層4aが複数間隔的に設けられている。図2(B)では理解を容易にするために、各接続層3a、4aに平行斜線を付して識別し易くしてある。この点は以下の各工程並びに他の実施形態でも同様である。
【0024】
このように第1工程で半田バンプを得る方法では、一つ一つの半田バンプを個々に所定の位置に作成する手間を要することがなく、各熱電導体素片5P、5Nを切断して作ることによって同時に作ることができる。このため、容易に半田バンプを設け得る点で優れている。
【0025】
第2工程は第1基板11に所定数のP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを取付ける接合工程である。第1基板11は、良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで例えば矩形状に作られていて、その一面に所定パターンで設けられた電極12を有している。電極12は、Cr、Cu、Ni、Au等の金属材料からなり、真空蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフ、メッキ等により設けられている。第2工程でのP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nの基板11への取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極12に接合することで実施する。この接合によって、P型熱電導体素片5PとN型各熱電導体素片5Nとが交互に所定間隔Aを置いて第1基板11上に並べて取付けられる。この取付けにより作られたアセンブリBを図3に示す。
【0026】
第3工程は、多数のP型及びN型の熱電導体を同時に形成する切断加工工程である。この工程では切断軌跡の終端部が先細となるように切断加工する。具体的には切断軌跡の終端部が先細となるカッターを用いる。このカッターには例えばダイシングソー15を好適に使用できる。このダイシングソー15の半径寸法は各熱電導体素片5P、5Nの高さ寸法C(図3参照)よりも充分に大きく、図4(B)に示すようにダイシングソー15の周部で形成される刃先部15aの幅は、先端に向かうに従い両側から連続的に狭まっている。更に、ダイシングソー15の刃先部15aより内径側部分の両側面15b、15cは平行であり、したがって、前記内径部分の幅は各部同じに作られている。
【0027】
第3工程では、第1基板11上に立設されているP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを、それらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。これらの切断部位は、各熱電導体素片5P、5Nの第2接続層4a間の部分に対して施される。
【0028】
こうした第1基板11の一辺に沿う一方向の切断により、P型の各熱電導体素片5Pが、夫々複数のP型熱電導体17に分割されて、隣接した互いのP型熱電導体17が非接触に設けられる。同時に、N型の各熱電導体素片5Nも、夫々複数のN型熱電導体18に分割されされて、隣接した互いのN型熱電導体18も非接触に設けられる。形成されたP型の各熱電導体17の上端には第2接続層4aが残されているとともに、N型の各熱電導体18の上端にも第2接続層4aが残されている。第3工程により作られたアセンブリDを図5に示す。P型及びN型の熱電導体17、18は、いずれも柱状(チップ状)、詳しくは横断面の一辺が数百μmから数μmの直方体形状をなしている。
【0029】
前記切断の際、ダイシングソー15は、電極12の厚み分に相当する深さまで切込まれるので、第1基板11を切断することなく、各熱電導体素片5P、5Nを夫々複数の各熱電導体17、18に分割できる。更に、こうして各熱電導体素片5P、5Nを同時に作成する前記切断に伴って、分割されて互いに隣接されるようになったP型熱電導体17間、及びN型熱電導体18間には、ダイシングソー15の半径方向の厚みに応じた隙間が形成される。
【0030】
このため、図1に示すように、各熱電導体17、18は、平行部21と、この平行部21に一体に連続して第1基板11に接合された拡大端部22とを有して形成されている。平行部21の第1基板11と平行な断面の面積は各部等しい。言い換えれば、平行部21の各部の幅は一定である。拡大端部22は、第1基板11と平行な断面の面積が、第1基板11に向けて次第に大きくなるように形成されている。しかも、平行部21と拡大端部22とが一体につながる部分は、製造される過程での応力集中を抑制するために、その断面積を連続的に変化していて、段差は形成されていない。なお、平行部21と拡大端部22との境界に相当する位置を図1中2点鎖線で示す。
【0031】
第4工程は、アセンブリDに第2基板25を組付ける組立て工程である。第2基板25は、第1基板11と同種の基板が用いられ、その一面に所定パターンで設けられた電極26(図1参照)を有している。電極26は前記電極12と同種の金属で同様に設けられている。第4工程は、第2基板25をアセンブリDに対して位置決めして、その電極26を第2接続層4aに例えば半田付けにより接合することで実施する。この接合によって、P型及びN型の各熱電導体17、18が第1、第2の両基板11、25間に挟設されて、電極12、25を介してPN接合された熱電変換素子1が作成される。こうした得られた熱電変換素子1を図1及び図6に示す。
【0032】
以上の製造方法では、第1工程で得たP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを第2工程で第1基板11上に交互に所定間隔で並べた状態で、ダイシングソー15を用いる第3工程での切断除去により所定数のP型及びN型の熱電導体17、18を同時に形成できる。
【0033】
これらの熱電導体17、18の形成に必要な切断除去は、矩形状をなした第1基板11の一辺に沿う縦方向、又は前記一辺と直角な他片に沿う横方向の内の一方向に沿ってのみ実施される。このため、製造過程で必要とする切断除去は、第1工程で熱電導体素片5P、5Nを得るための切断除去を含めて、2回である。したがって、切断除去に掛かる時間が短くなって、製造性を向上できる。
【0034】
更に前記製造方法では、第2工程でP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを交互に間隔的に並べるので、この間隔Aの分に応じた切断除去量の削減が可能である。その上、熱電導体ブロック2から熱電導体素片5P、5Nを作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作る考慮をすることがないとともに、P型の各熱電導体素片5Pを切断してP型熱電導体17を作るとき、及びN型の各熱電導体素片5Nを切断してN型熱電導体18を作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよい。このため、切断除去量の削減が可能である。こうした切断除去量の削減に伴い、材料コストが高い熱電半導体の材料使用率を向上できるので、製造コストを低減することが可能である。
【0035】
しかも、第1実施形態で、P型及びN型の熱電導体素片5P、5Nを第1基板11に接合する第2工程は1回の接合工程と認識できるので、これ以外に必要な接合工程は、第2基板25とP型及びN型の各熱電導体17、18とを接合する第4工程だけである。このように熱電変換素子1を製造する上での接合回数は2回で済むので、この点においても製造性を向上できる点で第1実施形態は優れている。
【0036】
その上、第1実施形態において組立てを実施する第4工程では、微小なチップ状をなしているP型及びN型の各熱電導体17、18が既に非接触となる所定の配置で設けられている。このため、P型熱電導体17とN型熱電導体18とが接触しないように微細な位置合わせをする必要がない。この点においても製造性を向上できる点で第1実施形態は優れている。
【0037】
以上の製造方法で作られた熱電変換素子1の各熱電導体17、18は、いずれも平行部21とこれに連続した拡大端部22とから形成される。このため、第1基板11に電極12を介して接合される各熱電導体17、18の軸方向一端、つまり拡大端部22の拡大端の面積と、第2基板25に電極26を介して接合される各熱電導体17、18の軸方向他端、つまり平行部21の先端の面積との差を小さくできる。これにより、各熱電導体17、18の機械的強度を向上させることが可能となるので、製造される過程で各熱電導体17、18が損傷することを抑制し易くできる。
【0038】
更に、既述のように面積差が小さいことに伴い第1、第2の基板11、25に対する接合面積、つまり吸熱側及び放熱側でのPN接合部の面積、言い換えれば、熱電変換が行われる部分の面積を夫々大きくできる。それにより、熱電変換の性能を向上することが可能である。
【0039】
本発明の第2〜第4の各実施形態を以下説明する。これらの実施形態は基本的には第1実施形態と同じ構成であるので、同じ構成については第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0040】
図7に示す本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態の構成に加えて、交互に並んでいるP型熱電導体17とN型熱電導体18との間に、図7(B)に示すように断熱性を有する電気絶縁材料製のスペーサ31を夫々挟設している。
【0041】
このようにP型とN型の各熱電導体17、18が交互に並んでいる方向にスペーサ31を介して連続していることにより、P型とN型の各熱電導体17、18がスペーサ31で補強される。このため、製造される過程で各熱電導体17、18が損傷することを更に抑制し易くできる点で優れている。スペーサ31は断熱性を有する電気絶縁材料(例えばセラミックスを好適に使用できる。)製であるので、P型熱電導体17とN型熱電導体18との間での熱干渉及び電気的短絡がスペーサ31によってもたらされることはない。
【0042】
以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0043】
この第2実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図8に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nの第1接続層3aを例えば半田付けにより第1基板11の電極12に接合して、第1基板11上に、P型熱電導体素片5PとN型各熱電導体素片5Nとを交互に所定間隔を置いて並べて取付けるとともに、その際にスペーサ要素32をP型及びN型の各熱電導体素片5P、5N間に挟設する工程である。このため、異種の各熱電導体素片5P、5Nはスペーサ要素32によって所定間隔に設けられる。各スペーサ要素32は、断熱性を有する電気絶縁材料製である。各スペーサ要素32は、各熱電導体素片5P、5Nと略同じ長さを有していて、その長手方向と直交する方向の断面形状は矩形であり、高さは各熱電導体素片5P、5Nの高さ以下であリ、又、幅は異種の各熱電導体素片5P、5Nを非接触とするのに必要な大きさである。第2工程で作られたアセンブリEを図9に示す。
【0045】
図10に示した第3工程は、ダイシングソー15を用いて所定個所を切断除去する工程で、第1実施形態の第3工程と同じであるので、説明を省略する。しかし、この場合、ダイシングソー15は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nとともに、これらの間に挟まれている各スペーサ要素32も同時に切断除去する。それにより、所定数のP型及びN型の熱電導体17、18が同時に形成されるとともに、各スペーサ要素32の断片からなるスペーサ31が形成される。この第3工程により作られたアセンブリFを図11に示す。
【0046】
図12に示した第4工程は、第1実施形態の第4工程と同じであるので、説明を省略する。
【0047】
以上説明した点以外は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の製造方法においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備える熱電変換素子1を容易に製造できるとともに、第1実施形態と同じ理由により、熱電変換素子1の製造性の向上と低コスト化が可能である。
【0048】
なお、この第2実施形態においてスペーサ要素32は、熱又は溶剤で溶けることができる可溶性材料からなるものを使用することができる。この場合、シート状のスペーサ要素32であっても差し支えない。こうしたスペーサ要素32を第3工程で使用する場合、第3工程はスペーサ要素32を除去する最終過程を含むとよい。この最終過程では、切断除去後に残ったスペーサ要素32の断片(スペーサ31)を、加熱して溶かすこと、又は溶剤を用いて溶かすことによって、除去する。このため、製造された熱電変換素子1は図1のものと同じとなる。
【0049】
図13に示す本発明の第3実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態と同じ構成であるので、この第3実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0050】
この第3実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図14に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0051】
第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを互いの側面を接触させて交互に並べるとともに、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより第1基板11の電極12に接合して、第1基板11上に並べて取付ける工程である。これにより、P型熱電導体素片5P同士はN型熱電導体素片5Nの幅に相当する所定間隔を置いて第1基板11上に配置され、同様にN型熱電導体素片5N同士はP型熱電導体素片5Pの幅に相当する所定間隔を置いて第1基板11上に配置される。この第2工程で作られたアセンブリGを図15に示す。
【0052】
図16に示した第3工程は、ダイシングソー15、16を用いてアセンブリGの所定個所を切断除去する工程である。一方のダイシングソー15を用いての切断除去により、P型熱電導体素片5Pを複数のP型熱電導体17に分割するとともに、N型熱電導体素片5Nを複数のN型熱電導体18に分割する。この分割過程は、図16(A)に示されるが、第1実施形態の第3工程と同じであるので、説明を省略する。
【0053】
他方のダイシングソー16は、前記ダイシングソー15より幅が薄いものであって、これを用いてのアセンブリGの所定個所の切断除去は、前記ダイシングソー15の移動方向に直交する方向にダイシングソー16を移動させて行われる。なお、この離し過程は、一方のダイシングソー15を用いての切断除去過程の前に実施してもよい。
【0054】
他方のダイシングソー16は、P型及びN型の熱電導体素片5P、5Nの長手方向に沿って、これらの接触部に通される。これにより、互いに接触しているP型熱電導体17とN型熱電導体18との双方の接触部が切断除去されて、熱電導体17、18を非接触とできる。以上の分割過程と離し過程とを含む第3工程により作られたアセンブリHを図18に示す。
【0055】
第4工程は、図示しないが第1実施形態の第4工程と同じであるので、説明を省略する。
【0056】
以上説明した点以外は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の製造方法においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備える熱電変換素子1を容易に製造できるとともに、第1実施形態と同じ理由により、熱電変換素子1の製造性の向上と低コスト化が可能である。なお、この第3実施例における切断除去は、熱電導体素片5P、5Nを作るとき、及び第3工程での分離過程と離し過程との夫々に必要とするが、それでも合計3回で済むので、切断除去に掛かる時間を総合的に短くできることには変わりがない。
【0057】
図18に示す本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態と同じ構成であるので、この第4実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0058】
この第4実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図19に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0059】
図20(A)及び図21(A)に示す第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを夫々に対応した第1基板11及び第2基板25に個別に取付ける第1接合工程である。
【0060】
第1基板11に対する複数のP型熱電導体素片5Pの取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極12に接合することで実施する。この接合によって、P型熱電導体素片5Pは所定間隔を置いて第1基板11上に並べて取付けられる。隣接するP型熱電導体素片5P間の所定の間隔は、そこにN型熱電導体素片5NをP型熱電導体素片5Pに非接触に配置できる大きさである。こうした取付け完了状態を図20(A)に示す。
【0061】
同様に、第2基板25に対する複数のN型熱電導体素片5Nの取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極26に接合することで実施する。この接合によって、N型熱電導体素片5Nは所定間隔を置いて第2基板25上に並べて取付けられる。隣接するN型熱電導体素片5N間の所定の間隔は、そこにP型熱電導体素片5PをN型熱電導体素片5Nに非接触に配置できる大きさである。この取付け完了状態を図21(A)に示す。
【0062】
図20(B)及び図21(B)に示す第3工程は、基板11、25上のP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nに対する個別加工により、これらを複数に夫々分割して所定数のP型及びN型の各熱電導体17、18を形成する切断加工工程である。
【0063】
第1基板11上のP型熱電導体素片5Pに対する切断除去はダイシングソー15を用いて、各P型熱電導体素片5Pをそれらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。このような第1基板11の一辺に沿う一方向の切断により、P型の各熱電導体素片5Pが、夫々柱状(チップ状)をなすとともに上端には第2接続層4aが残された複数のP型熱電導体17に分割される。第3工程により作られたP型のアセンブリIを図20(C)に示す。
【0064】
同様に、第2基板25上のN型熱電導体素片5Nに対する切断除去もダイシングソー15を用いて、各N型熱電導体素片5Nをそれらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。このような第2基板25の一辺に沿う一方向の切断により、N型の各熱電導体素片5Nが、夫々柱状(チップ状)をなすとともに上端には第2接続層4aが残された複数のN型熱電導体18に分割される。この第3工程により作られたN型のアセンブリJを図21(C)に示す。
【0065】
第4工程は、前記P型及びN型の両アセンブリI、Jを組立てる組立て工程である。詳しくは、図22に示すように第4工程では、P型アセンブリIの第1基板11とN型アセンブリJの第2基板25とを向かい合わせ、これらを適正に位置合わせした上で、各P型熱電導体17と各N型熱電導体18とが互い違いに入り込むようにする。さらに、この状態で、各P型熱電導体17の先端にある第2接続層4aを第2基板25が有する電極26に例えば半田付けにより接合すると同時に、各N型熱電導体18の先端にある第2接続層4aを第1基板11が有する電極12に例えば半田付けにより接合する。こうして得られた熱電変換素子1を図18(A)(B)に示す。
【0066】
以上の製造の過程で必要とする切断除去は、第1工程で熱電導体素片5P、5Nを得るための切断除去と、熱電導体素片5P、5Nの夫々よりP型又はN型の熱電導体17、18を分離させるための切断除去であり、合計で3回である。これにより、切断除去に掛かる時間が短くなって、製造性を向上できる。
【0067】
更に前記製造方法では、第2工程でP型の各熱電導体素片5P同士を間隔的に並べるとともに、N型の各熱電導体素片5N同士を間隔的に並べるので、これらの間隔の分に応じた切断除去量の削減が可能である。その上、熱電導体ブロック2から熱電導体素片5P、5Nを作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作る考慮をすることがないとともに、P型の各熱電導体素片5Pを切断してP型熱電導体17を作るとき、及びN型の各熱電導体素片5Nを切断してN型熱電導体18を作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよい。このため、切断除去量の削減が可能である。こうした切断除去量の削減に伴い、材料コストが高い熱電半導体の材料使用率を向上できるので、製造コストを低減することが可能である。
【0068】
しかも、第4実施形態での接合は、P型熱電導体素片5Pの第1基板11への接合、N型熱電導体素片5Nの第2基板25への接合、及び各熱電導体17、18と第1、第2の基板11、25との接合だけである。このように熱電変換素子1を製造する上での接合回数が3回で済むので、この点においても製造性を向上できる点で第4実施形態は優れている。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る熱電変換素子によれば、基板に電極を介して接合されるP型及びN型の各熱電導体の軸方向両端の面積の差が小さいので、吸熱及び放熱の性能を向上可能であるとともに、各熱電導体の機械的強度の向上も可能である。
【0070】
本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、一端部が拡大端部をなしこれ以外の部分が平行部をなすP型及びN型の熱電導体を備えた熱電変換素子を製造するのに好適である。これとともに、熱電変換素子の製造過程で必要とする切断除去が2回又は3回と少ないので、熱電変換素子の製造性を向上することが可能であり、更に、製造過程で必要とする切断除去は、異種及び同種の熱電導体を非接触とするためであって、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行わないので、切断除去量の削減が可能である。したがって、本発明によれば、低コストで熱電変換素子を製造可能な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子を示す側面図。
【図2】(A)は図1の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図2(A)の熱電導体ブロックから作られた熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図3】図1の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す斜視図。
【図4】(A)は図1の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する切断加工状態を示す斜視図。
(B)は図4(A)の切断加工を行うダイシングソーを示す半径方向の断面図。
【図5】図1の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す斜視図。
【図6】図1の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する斜視図。
【図7】(A)は本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子を示す側面図。
(B)は図7(A)中F7−F7線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図8】(A)は図7の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図8(A)の熱電導体ブロックから作られた熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図9】図7の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
【図10】図7の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する切断加工状態を示す平面図。
【図11】図7の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す平面図。
【図12】図7の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する一部切欠き側面図。
【図13】本発明の第3実施形態に係る熱電変換素子を一部切欠いて示す側面図。
【図14】(A)は図13の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図14(A)の熱電導体ブロックから作られた複数の熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図15】図13の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
【図16】(A)は図13の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する第1の切断加工状態を示す平面図。
(B)は図13の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する第2の切断加工状態を示す平面図。
【図17】図13の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す平面図。
【図18】(A)は本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子を一部切欠いて示す側面図。
(B)は図18(A)中F18方向から見て示す熱電変換素子の矢視図。
【図19】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図19(A)の熱電導体ブロックから作られた複数の熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図20】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板にP型熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
(B)は図18の熱電変換素子を製造する第3工程でP型熱電導体を形成する切断加工状態を示す平面図。
(C)は図18の熱電変換素子を製造する前記第3工程で作られたP型アセンブリを示す平面図。
【図21】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板にN型熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
(B)は図18の熱電変換素子を製造する第3工程でN型熱電導体を形成する加工状態を示す平面図。
(C)は図18の熱電変換素子を製造する前記第3工程で作られたN型アセンブリを示す平面図。
【図22】図18の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する側面図。
【符号の説明】
1…熱電変換素子
2…熱電導体ブロック
3、4…金属帯
3a…第1接続層
4a…第2接続層
5P…P型熱電導体素片
5N…N型熱電導体素片
11…第1基板
12…電極
15、16…ダイシングソー(カッター)
17…P型熱電導体
18…N型熱電導体
21…平行部
22…拡大端部
25…第2基板
26…電極
31…スペーサ
32…スペーサ要素
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼーベック効果による温度差発電(熱発電)、及びペルチェ効果による冷却と発熱とが可能な熱電変換素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱電変換素子は、その出力を大きくするために、複数のPN接合対が直列に接続されたモジュールとして用いられる。このモジュールは、電極を有した面を互いに対向させて配置される第1及び第2の基板と、これら2枚の基板に電極を介してPN接合されて基板間に挟まれた複数のP型及びN型の熱電導体とを備え、複数のPN接合対を電極構造により直列に接続している。この熱電変換素子が備える各熱電導体は、それらの一端から他端に向けて、前記両基板と平行な断面の面積が連続的に減少する柱状の構成となっている。
【0003】
この熱電変換素子は以下の手順で製造されている。まず、平板状の半導体ウェハで作られたP型とN型の熱電導体ブロックを、電極が所定のパターンで設けられているP型用の基板とN型用の基板とに個別に接合する。この後、両基板の平面方向に沿って直交する縦横2方向からダイシングソーなどを用いて、基板上の熱電導体ブロックに対する切断による除去を行って、柱状をなすP型及びN型のエレメント(熱電導体)を形成する。次に、両基板を互いに向かい合わせて、各エレメントの先端とそれらが接する基板の電極とを接合して組立てを行うようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−220183号公報(段落0018−0020、図1−図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、平板状のP型とN型の熱電導体ブロックの夫々に対して直交する縦横2方向の切断除去加工を行ってP型及びN型の熱電導体を基板上に形成している。この場合、切断除去された領域の跡には異種の熱電導体が組立工程において配置され、この配置により互いに隣接する異種のP型とN型との熱電導体は非接触とする必要がある。これは、隣接するP型とN型との熱電導体が接触して短絡すると、既述のように複数のPN接合対を直列に接続して使用することできなくなるからである。これにより、縦横に切断除去される各領域の幅は、柱状の熱電導体の幅に前記非接触とするための寸法を加えた幅が必要である。
【0006】
このため、P型とN型の各熱電導体ブロックに対する切断除去量は、約60〜70%と多く、この改善がコスト低減などのために求められている。更に、P型とN型との柱状熱電導体を形成するのに、P型とN型の熱電導体ブロックの夫々に対して直交する縦横2方向の切断除去加工を行っているので、合計4回の切断除去加工が必要である。このため、切断除去を行う加工時間が長く掛かり、製造性が良くないので、この改善も求められている。
【0007】
又、特許文献1の製造方法で作られた熱電変換素子の各熱電導体の横断面積は、それらの一端から他端に向けて連続的に減少しているので、各熱電導体の軸方向両端の面積、言い換えれば、基板の電極に対する接合面積の差が大きい。このため、小さな接合面積によりPN接合部における吸熱又は放熱の作用が抑制され易い傾向がある。しかも、各熱電導体の横断面積が小さくなるにつれて機械的強度が低下するので、組立の際などに加えられる外力や衝撃等で各熱電導体が破損する恐れが考えられる。そのために、充分な取り扱い上の注意も求められていて、製造に時間が掛かる因子の一つとなっている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、性能及び機械的強度の向上が可能な熱電変換素子及びこの素子の製造性の向上と低コスト化が可能な製造方法を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の熱電変換素子は、第1、第2の基板間に挟まれてPN接合されたP型及びN型の各熱電導体を、いずれか一方の基板に接合されるとともに前記両基板と平行な断面の面積が各部等しい平行部と、この平行部との間に段差を形成することなく前記平行部に一体に連続して他方の基板に接合されるとともに前記両基板と平行な断面の面積が他方の基板に向けて次第に大きくなっている拡大端部とで形成している。
【0010】
本発明で、P型及びN型の熱電導体には例えば熱電半導体を好適に使用でき、この熱電半導体としては、Bi−Te系材料、Fe−Si系材料、Si−Ge系材料Co−Sb系材料などを挙げることができる。
【0011】
本発明では、平行部と拡大端部とから各熱電導体を形成したので、基板に電極を介して接合される各熱電導体の軸方向両端の面積の差を小さくできるとともに、各熱電導体の機械的強度を向上させることが可能である。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、第1基板が有する電極と前記第1接続層とを接合して、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互に前記第1基板上に間隔的に並べて取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。
【0013】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互にかつスペーサ要素を挟んで間隔的に並べるとともに、各熱電導体素片が有する前記第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記第1基板上に前記P型及びN型の熱電導体素片を取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片並びに前記スペーサ要素をそれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。この発明では、前記スペーサ要素を可溶性材料として、前記第3工程での切断後に可溶手段によりスペーサ要素を除去することが可能であり、又、前記スペーサ要素を断熱性を有する電気絶縁材料として、このスペーサの断片からなるスペーサを隣接した前記P型及びN型の熱電導体間に残すことも可能である。
【0014】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に個別に設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を互いに接触させるとともに、これら各熱電導体素片の第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記P型及びN型の各熱電導体素片を前記第1基板上に交互に並べて取付ける。第3工程では、前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断するとともに、この切断の前又は後に、前記P型及びN型の熱電導体素片の接触部を前記並び方向と直交する方向に沿って切断して、前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する。
【0015】
同様に、前記課題を解決するために、本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、第1〜第4の工程を具備する。第1工程では、互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する。第2工程では、第1基板が有する電極と前記P型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のP型熱電導体素片を前記第1基板上に間隔的に並べて取付けるとともに、第2基板が有する電極と前記N型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のN型熱電導体素片を前記第2基板上に間隔的に並べて取付ける。第3工程では、前記各P型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体を形成するとともに、前記各N型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のN型熱電導体を形成する。第4工程では、前記P型熱電導体が取付けられた前記第1基板と前記N型熱電導体が取付けられた前記第2基板とを向かい合わせて、前記P型熱電導体の第2接続層を前記第2基板が有する電極に接合するとともに、前記N型熱電導体の第2接続層を前記第1基板が有する電極に接合する。
【0016】
これらの製造方法では、切断軌跡の先端部が先細となるように各熱電導体素片の一部を切断除去してP型やN型の熱電導体を形成するので、一端部が拡大端部をなしこれ以外の部分が平行部をなす熱電導体を備えた熱電変換素子を製造できる。
【0017】
更に各製造方法では、第1工程で得た各熱電導体素片を第2工程で第1基板上に並べた状態で、第3工程での切断除去によりP型やN型の熱電導体を形成するので、第1基板に対する各熱電導体素片の並べ方に応じて、熱電導体の形成に必要とする基板の縦方向又は横方向に沿って実施される切断除去が1回又は2回で済む。このため、第1工程で各熱電導体素片を得るための切断除去を含めて、製造過程で必要とする切断除去は最大で2回又は3回と少なくできる。
【0018】
各製造方法では、その第2工程で複数の熱電導体素片を間隔的に並べた場合には、前記間隔の分に応じた切断除去量の削減が可能であり、更に、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよいので、切断除去量の削減が可能である。又、第2工程で異種の熱電導体素片を接触させて並べた場合にも、切断除去によってP型とN型の熱電導体を同時に形成するので、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、異種及び同種の熱電導体が非接触となるように切断除去するだけでよく、それによる切断除去量の削減が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子をその製造方法とともに説明する。図1に示した熱電変換素子1は、例えば電子式腕時計等の各種形態用電子機器の発電に利用されるものであって、その製造方法は、第1〜第4の工程を具備している。なお、各工程の最後の段階ではいずれも洗浄処理が施される。
【0020】
第1工程は、図2(A)に例示したP型又はN型の熱電導体ブロック2から図2(B)に夫々1個ずつ例示した熱電導体素片5P、5Nを形成する素片作成工程である。
【0021】
詳しくは、熱電導体ブロック2は、P型及びN型の熱電半導体により直方体形状をなしているとともに、その互いに平行な第1、第2の面、例えば図2(A)で下面と上面の夫々には、PN接合が可能な金属で作られた複数の金属帯3、4がメッキ等により個別に取付けられている。PN接合が可能な金属としては、Ni、Sn−Pb、Sn−Ag、Au−Sn等を挙げることができる。図2(A)では理解を容易にするために、金属帯3、4には平行斜線を付して識別し易くしてある。この点は他の各実施形態でも同様である。各金属帯3は熱電導体ブロック2の下面に所定間隔を置いて互いに平行に設けられ、各金属帯4は熱電導体ブロック2の上面に所定間隔を置いて互いに平行に設けられている。上下の金属体3、4は熱電導体ブロック2の厚み方向に対応して配設されている。
【0022】
第1工程では、熱電導体ブロック2をその金属帯3又は4が並ぶ方向に沿って図示しない切断手段により切断して、所定厚みの熱電導体素片5P、5Nを夫々複数形成する。図2(A)中1点鎖線は切断が施される位置を示している。熱電導体素片5PはP型の熱電導体ブロック2をスライスすることによって形成し、熱電導体素片5NはN型の熱電導体ブロック2をスライスすることによって形成する。前記切断手段としてはダイシングソーやワイヤソー等を用いることができる。
【0023】
こうして形成された各熱電導体素片5P、5Nの下面の夫々には、半田バンプ例えば金属帯3の断片からなる第1接続層3aが複数間隔的に設けられている。同様に、各熱電導体素片5P、5Nの上面には、夫々金属帯4の断片からなる第2接続層4aが複数間隔的に設けられている。図2(B)では理解を容易にするために、各接続層3a、4aに平行斜線を付して識別し易くしてある。この点は以下の各工程並びに他の実施形態でも同様である。
【0024】
このように第1工程で半田バンプを得る方法では、一つ一つの半田バンプを個々に所定の位置に作成する手間を要することがなく、各熱電導体素片5P、5Nを切断して作ることによって同時に作ることができる。このため、容易に半田バンプを設け得る点で優れている。
【0025】
第2工程は第1基板11に所定数のP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを取付ける接合工程である。第1基板11は、良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで例えば矩形状に作られていて、その一面に所定パターンで設けられた電極12を有している。電極12は、Cr、Cu、Ni、Au等の金属材料からなり、真空蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフ、メッキ等により設けられている。第2工程でのP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nの基板11への取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極12に接合することで実施する。この接合によって、P型熱電導体素片5PとN型各熱電導体素片5Nとが交互に所定間隔Aを置いて第1基板11上に並べて取付けられる。この取付けにより作られたアセンブリBを図3に示す。
【0026】
第3工程は、多数のP型及びN型の熱電導体を同時に形成する切断加工工程である。この工程では切断軌跡の終端部が先細となるように切断加工する。具体的には切断軌跡の終端部が先細となるカッターを用いる。このカッターには例えばダイシングソー15を好適に使用できる。このダイシングソー15の半径寸法は各熱電導体素片5P、5Nの高さ寸法C(図3参照)よりも充分に大きく、図4(B)に示すようにダイシングソー15の周部で形成される刃先部15aの幅は、先端に向かうに従い両側から連続的に狭まっている。更に、ダイシングソー15の刃先部15aより内径側部分の両側面15b、15cは平行であり、したがって、前記内径部分の幅は各部同じに作られている。
【0027】
第3工程では、第1基板11上に立設されているP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを、それらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。これらの切断部位は、各熱電導体素片5P、5Nの第2接続層4a間の部分に対して施される。
【0028】
こうした第1基板11の一辺に沿う一方向の切断により、P型の各熱電導体素片5Pが、夫々複数のP型熱電導体17に分割されて、隣接した互いのP型熱電導体17が非接触に設けられる。同時に、N型の各熱電導体素片5Nも、夫々複数のN型熱電導体18に分割されされて、隣接した互いのN型熱電導体18も非接触に設けられる。形成されたP型の各熱電導体17の上端には第2接続層4aが残されているとともに、N型の各熱電導体18の上端にも第2接続層4aが残されている。第3工程により作られたアセンブリDを図5に示す。P型及びN型の熱電導体17、18は、いずれも柱状(チップ状)、詳しくは横断面の一辺が数百μmから数μmの直方体形状をなしている。
【0029】
前記切断の際、ダイシングソー15は、電極12の厚み分に相当する深さまで切込まれるので、第1基板11を切断することなく、各熱電導体素片5P、5Nを夫々複数の各熱電導体17、18に分割できる。更に、こうして各熱電導体素片5P、5Nを同時に作成する前記切断に伴って、分割されて互いに隣接されるようになったP型熱電導体17間、及びN型熱電導体18間には、ダイシングソー15の半径方向の厚みに応じた隙間が形成される。
【0030】
このため、図1に示すように、各熱電導体17、18は、平行部21と、この平行部21に一体に連続して第1基板11に接合された拡大端部22とを有して形成されている。平行部21の第1基板11と平行な断面の面積は各部等しい。言い換えれば、平行部21の各部の幅は一定である。拡大端部22は、第1基板11と平行な断面の面積が、第1基板11に向けて次第に大きくなるように形成されている。しかも、平行部21と拡大端部22とが一体につながる部分は、製造される過程での応力集中を抑制するために、その断面積を連続的に変化していて、段差は形成されていない。なお、平行部21と拡大端部22との境界に相当する位置を図1中2点鎖線で示す。
【0031】
第4工程は、アセンブリDに第2基板25を組付ける組立て工程である。第2基板25は、第1基板11と同種の基板が用いられ、その一面に所定パターンで設けられた電極26(図1参照)を有している。電極26は前記電極12と同種の金属で同様に設けられている。第4工程は、第2基板25をアセンブリDに対して位置決めして、その電極26を第2接続層4aに例えば半田付けにより接合することで実施する。この接合によって、P型及びN型の各熱電導体17、18が第1、第2の両基板11、25間に挟設されて、電極12、25を介してPN接合された熱電変換素子1が作成される。こうした得られた熱電変換素子1を図1及び図6に示す。
【0032】
以上の製造方法では、第1工程で得たP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを第2工程で第1基板11上に交互に所定間隔で並べた状態で、ダイシングソー15を用いる第3工程での切断除去により所定数のP型及びN型の熱電導体17、18を同時に形成できる。
【0033】
これらの熱電導体17、18の形成に必要な切断除去は、矩形状をなした第1基板11の一辺に沿う縦方向、又は前記一辺と直角な他片に沿う横方向の内の一方向に沿ってのみ実施される。このため、製造過程で必要とする切断除去は、第1工程で熱電導体素片5P、5Nを得るための切断除去を含めて、2回である。したがって、切断除去に掛かる時間が短くなって、製造性を向上できる。
【0034】
更に前記製造方法では、第2工程でP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを交互に間隔的に並べるので、この間隔Aの分に応じた切断除去量の削減が可能である。その上、熱電導体ブロック2から熱電導体素片5P、5Nを作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作る考慮をすることがないとともに、P型の各熱電導体素片5Pを切断してP型熱電導体17を作るとき、及びN型の各熱電導体素片5Nを切断してN型熱電導体18を作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよい。このため、切断除去量の削減が可能である。こうした切断除去量の削減に伴い、材料コストが高い熱電半導体の材料使用率を向上できるので、製造コストを低減することが可能である。
【0035】
しかも、第1実施形態で、P型及びN型の熱電導体素片5P、5Nを第1基板11に接合する第2工程は1回の接合工程と認識できるので、これ以外に必要な接合工程は、第2基板25とP型及びN型の各熱電導体17、18とを接合する第4工程だけである。このように熱電変換素子1を製造する上での接合回数は2回で済むので、この点においても製造性を向上できる点で第1実施形態は優れている。
【0036】
その上、第1実施形態において組立てを実施する第4工程では、微小なチップ状をなしているP型及びN型の各熱電導体17、18が既に非接触となる所定の配置で設けられている。このため、P型熱電導体17とN型熱電導体18とが接触しないように微細な位置合わせをする必要がない。この点においても製造性を向上できる点で第1実施形態は優れている。
【0037】
以上の製造方法で作られた熱電変換素子1の各熱電導体17、18は、いずれも平行部21とこれに連続した拡大端部22とから形成される。このため、第1基板11に電極12を介して接合される各熱電導体17、18の軸方向一端、つまり拡大端部22の拡大端の面積と、第2基板25に電極26を介して接合される各熱電導体17、18の軸方向他端、つまり平行部21の先端の面積との差を小さくできる。これにより、各熱電導体17、18の機械的強度を向上させることが可能となるので、製造される過程で各熱電導体17、18が損傷することを抑制し易くできる。
【0038】
更に、既述のように面積差が小さいことに伴い第1、第2の基板11、25に対する接合面積、つまり吸熱側及び放熱側でのPN接合部の面積、言い換えれば、熱電変換が行われる部分の面積を夫々大きくできる。それにより、熱電変換の性能を向上することが可能である。
【0039】
本発明の第2〜第4の各実施形態を以下説明する。これらの実施形態は基本的には第1実施形態と同じ構成であるので、同じ構成については第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略し、以下異なる部分について説明する。
【0040】
図7に示す本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態の構成に加えて、交互に並んでいるP型熱電導体17とN型熱電導体18との間に、図7(B)に示すように断熱性を有する電気絶縁材料製のスペーサ31を夫々挟設している。
【0041】
このようにP型とN型の各熱電導体17、18が交互に並んでいる方向にスペーサ31を介して連続していることにより、P型とN型の各熱電導体17、18がスペーサ31で補強される。このため、製造される過程で各熱電導体17、18が損傷することを更に抑制し易くできる点で優れている。スペーサ31は断熱性を有する電気絶縁材料(例えばセラミックスを好適に使用できる。)製であるので、P型熱電導体17とN型熱電導体18との間での熱干渉及び電気的短絡がスペーサ31によってもたらされることはない。
【0042】
以上説明した点以外の構成は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0043】
この第2実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図8に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0044】
第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nの第1接続層3aを例えば半田付けにより第1基板11の電極12に接合して、第1基板11上に、P型熱電導体素片5PとN型各熱電導体素片5Nとを交互に所定間隔を置いて並べて取付けるとともに、その際にスペーサ要素32をP型及びN型の各熱電導体素片5P、5N間に挟設する工程である。このため、異種の各熱電導体素片5P、5Nはスペーサ要素32によって所定間隔に設けられる。各スペーサ要素32は、断熱性を有する電気絶縁材料製である。各スペーサ要素32は、各熱電導体素片5P、5Nと略同じ長さを有していて、その長手方向と直交する方向の断面形状は矩形であり、高さは各熱電導体素片5P、5Nの高さ以下であリ、又、幅は異種の各熱電導体素片5P、5Nを非接触とするのに必要な大きさである。第2工程で作られたアセンブリEを図9に示す。
【0045】
図10に示した第3工程は、ダイシングソー15を用いて所定個所を切断除去する工程で、第1実施形態の第3工程と同じであるので、説明を省略する。しかし、この場合、ダイシングソー15は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nとともに、これらの間に挟まれている各スペーサ要素32も同時に切断除去する。それにより、所定数のP型及びN型の熱電導体17、18が同時に形成されるとともに、各スペーサ要素32の断片からなるスペーサ31が形成される。この第3工程により作られたアセンブリFを図11に示す。
【0046】
図12に示した第4工程は、第1実施形態の第4工程と同じであるので、説明を省略する。
【0047】
以上説明した点以外は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の製造方法においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備える熱電変換素子1を容易に製造できるとともに、第1実施形態と同じ理由により、熱電変換素子1の製造性の向上と低コスト化が可能である。
【0048】
なお、この第2実施形態においてスペーサ要素32は、熱又は溶剤で溶けることができる可溶性材料からなるものを使用することができる。この場合、シート状のスペーサ要素32であっても差し支えない。こうしたスペーサ要素32を第3工程で使用する場合、第3工程はスペーサ要素32を除去する最終過程を含むとよい。この最終過程では、切断除去後に残ったスペーサ要素32の断片(スペーサ31)を、加熱して溶かすこと、又は溶剤を用いて溶かすことによって、除去する。このため、製造された熱電変換素子1は図1のものと同じとなる。
【0049】
図13に示す本発明の第3実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態と同じ構成であるので、この第3実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0050】
この第3実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図14に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0051】
第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを互いの側面を接触させて交互に並べるとともに、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより第1基板11の電極12に接合して、第1基板11上に並べて取付ける工程である。これにより、P型熱電導体素片5P同士はN型熱電導体素片5Nの幅に相当する所定間隔を置いて第1基板11上に配置され、同様にN型熱電導体素片5N同士はP型熱電導体素片5Pの幅に相当する所定間隔を置いて第1基板11上に配置される。この第2工程で作られたアセンブリGを図15に示す。
【0052】
図16に示した第3工程は、ダイシングソー15、16を用いてアセンブリGの所定個所を切断除去する工程である。一方のダイシングソー15を用いての切断除去により、P型熱電導体素片5Pを複数のP型熱電導体17に分割するとともに、N型熱電導体素片5Nを複数のN型熱電導体18に分割する。この分割過程は、図16(A)に示されるが、第1実施形態の第3工程と同じであるので、説明を省略する。
【0053】
他方のダイシングソー16は、前記ダイシングソー15より幅が薄いものであって、これを用いてのアセンブリGの所定個所の切断除去は、前記ダイシングソー15の移動方向に直交する方向にダイシングソー16を移動させて行われる。なお、この離し過程は、一方のダイシングソー15を用いての切断除去過程の前に実施してもよい。
【0054】
他方のダイシングソー16は、P型及びN型の熱電導体素片5P、5Nの長手方向に沿って、これらの接触部に通される。これにより、互いに接触しているP型熱電導体17とN型熱電導体18との双方の接触部が切断除去されて、熱電導体17、18を非接触とできる。以上の分割過程と離し過程とを含む第3工程により作られたアセンブリHを図18に示す。
【0055】
第4工程は、図示しないが第1実施形態の第4工程と同じであるので、説明を省略する。
【0056】
以上説明した点以外は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態の製造方法においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備える熱電変換素子1を容易に製造できるとともに、第1実施形態と同じ理由により、熱電変換素子1の製造性の向上と低コスト化が可能である。なお、この第3実施例における切断除去は、熱電導体素片5P、5Nを作るとき、及び第3工程での分離過程と離し過程との夫々に必要とするが、それでも合計3回で済むので、切断除去に掛かる時間を総合的に短くできることには変わりがない。
【0057】
図18に示す本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子1は、第1実施形態と同じ構成であるので、この第4実施形態においても、平行部21と拡大端部22とからなるP型とN型の各熱電導体17、18を備えることで、熱電変換素子1の性能及び機械的強度の向上が可能である。
【0058】
この第4実施形態の熱電変換素子1も第1〜第4の工程により製造される。図19に示した第1工程は、第1実施形態の第1工程と同じであるので、説明を省略する。
【0059】
図20(A)及び図21(A)に示す第2工程は、P型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nを夫々に対応した第1基板11及び第2基板25に個別に取付ける第1接合工程である。
【0060】
第1基板11に対する複数のP型熱電導体素片5Pの取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極12に接合することで実施する。この接合によって、P型熱電導体素片5Pは所定間隔を置いて第1基板11上に並べて取付けられる。隣接するP型熱電導体素片5P間の所定の間隔は、そこにN型熱電導体素片5NをP型熱電導体素片5Pに非接触に配置できる大きさである。こうした取付け完了状態を図20(A)に示す。
【0061】
同様に、第2基板25に対する複数のN型熱電導体素片5Nの取付けは、それらの第1接続層3aを例えば半田付けにより電極26に接合することで実施する。この接合によって、N型熱電導体素片5Nは所定間隔を置いて第2基板25上に並べて取付けられる。隣接するN型熱電導体素片5N間の所定の間隔は、そこにP型熱電導体素片5PをN型熱電導体素片5Nに非接触に配置できる大きさである。この取付け完了状態を図21(A)に示す。
【0062】
図20(B)及び図21(B)に示す第3工程は、基板11、25上のP型及びN型の各熱電導体素片5P、5Nに対する個別加工により、これらを複数に夫々分割して所定数のP型及びN型の各熱電導体17、18を形成する切断加工工程である。
【0063】
第1基板11上のP型熱電導体素片5Pに対する切断除去はダイシングソー15を用いて、各P型熱電導体素片5Pをそれらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。このような第1基板11の一辺に沿う一方向の切断により、P型の各熱電導体素片5Pが、夫々柱状(チップ状)をなすとともに上端には第2接続層4aが残された複数のP型熱電導体17に分割される。第3工程により作られたP型のアセンブリIを図20(C)に示す。
【0064】
同様に、第2基板25上のN型熱電導体素片5Nに対する切断除去もダイシングソー15を用いて、各N型熱電導体素片5Nをそれらの並び方向に沿って切断する。この切断は、前記並び方向と直交する方向に沿って所定寸法毎にダイシングソー15の切込み位置を変えて必要回数実施する。このような第2基板25の一辺に沿う一方向の切断により、N型の各熱電導体素片5Nが、夫々柱状(チップ状)をなすとともに上端には第2接続層4aが残された複数のN型熱電導体18に分割される。この第3工程により作られたN型のアセンブリJを図21(C)に示す。
【0065】
第4工程は、前記P型及びN型の両アセンブリI、Jを組立てる組立て工程である。詳しくは、図22に示すように第4工程では、P型アセンブリIの第1基板11とN型アセンブリJの第2基板25とを向かい合わせ、これらを適正に位置合わせした上で、各P型熱電導体17と各N型熱電導体18とが互い違いに入り込むようにする。さらに、この状態で、各P型熱電導体17の先端にある第2接続層4aを第2基板25が有する電極26に例えば半田付けにより接合すると同時に、各N型熱電導体18の先端にある第2接続層4aを第1基板11が有する電極12に例えば半田付けにより接合する。こうして得られた熱電変換素子1を図18(A)(B)に示す。
【0066】
以上の製造の過程で必要とする切断除去は、第1工程で熱電導体素片5P、5Nを得るための切断除去と、熱電導体素片5P、5Nの夫々よりP型又はN型の熱電導体17、18を分離させるための切断除去であり、合計で3回である。これにより、切断除去に掛かる時間が短くなって、製造性を向上できる。
【0067】
更に前記製造方法では、第2工程でP型の各熱電導体素片5P同士を間隔的に並べるとともに、N型の各熱電導体素片5N同士を間隔的に並べるので、これらの間隔の分に応じた切断除去量の削減が可能である。その上、熱電導体ブロック2から熱電導体素片5P、5Nを作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作る考慮をすることがないとともに、P型の各熱電導体素片5Pを切断してP型熱電導体17を作るとき、及びN型の各熱電導体素片5Nを切断してN型熱電導体18を作るときに、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行う必要がなく、同種の熱電導体が非接触となるように切断除去すればよい。このため、切断除去量の削減が可能である。こうした切断除去量の削減に伴い、材料コストが高い熱電半導体の材料使用率を向上できるので、製造コストを低減することが可能である。
【0068】
しかも、第4実施形態での接合は、P型熱電導体素片5Pの第1基板11への接合、N型熱電導体素片5Nの第2基板25への接合、及び各熱電導体17、18と第1、第2の基板11、25との接合だけである。このように熱電変換素子1を製造する上での接合回数が3回で済むので、この点においても製造性を向上できる点で第4実施形態は優れている。
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る熱電変換素子によれば、基板に電極を介して接合されるP型及びN型の各熱電導体の軸方向両端の面積の差が小さいので、吸熱及び放熱の性能を向上可能であるとともに、各熱電導体の機械的強度の向上も可能である。
【0070】
本発明に係る熱電変換素子の製造方法は、一端部が拡大端部をなしこれ以外の部分が平行部をなすP型及びN型の熱電導体を備えた熱電変換素子を製造するのに好適である。これとともに、熱電変換素子の製造過程で必要とする切断除去が2回又は3回と少ないので、熱電変換素子の製造性を向上することが可能であり、更に、製造過程で必要とする切断除去は、異種及び同種の熱電導体を非接触とするためであって、異種の熱電導体が入るスペースを作るための切断除去を行わないので、切断除去量の削減が可能である。したがって、本発明によれば、低コストで熱電変換素子を製造可能な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子を示す側面図。
【図2】(A)は図1の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図2(A)の熱電導体ブロックから作られた熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図3】図1の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す斜視図。
【図4】(A)は図1の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する切断加工状態を示す斜視図。
(B)は図4(A)の切断加工を行うダイシングソーを示す半径方向の断面図。
【図5】図1の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す斜視図。
【図6】図1の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する斜視図。
【図7】(A)は本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子を示す側面図。
(B)は図7(A)中F7−F7線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図8】(A)は図7の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図8(A)の熱電導体ブロックから作られた熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図9】図7の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
【図10】図7の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する切断加工状態を示す平面図。
【図11】図7の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す平面図。
【図12】図7の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する一部切欠き側面図。
【図13】本発明の第3実施形態に係る熱電変換素子を一部切欠いて示す側面図。
【図14】(A)は図13の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図14(A)の熱電導体ブロックから作られた複数の熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図15】図13の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板に熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
【図16】(A)は図13の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する第1の切断加工状態を示す平面図。
(B)は図13の熱電変換素子を製造する第3工程でP型及びN型の各熱電導体を形成する第2の切断加工状態を示す平面図。
【図17】図13の熱電変換素子を製造する第3工程で作られたアセンブリを示す平面図。
【図18】(A)は本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子を一部切欠いて示す側面図。
(B)は図18(A)中F18方向から見て示す熱電変換素子の矢視図。
【図19】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第1工程で用意される熱電導体ブロックを示す斜視図。
(B)は図19(A)の熱電導体ブロックから作られた複数の熱電導体素片を並べて示す斜視図。
【図20】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板にP型熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
(B)は図18の熱電変換素子を製造する第3工程でP型熱電導体を形成する切断加工状態を示す平面図。
(C)は図18の熱電変換素子を製造する前記第3工程で作られたP型アセンブリを示す平面図。
【図21】(A)は図18の熱電変換素子を製造する第2工程で第1基板にN型熱電導体素片が取付けられた状態を示す平面図。
(B)は図18の熱電変換素子を製造する第3工程でN型熱電導体を形成する加工状態を示す平面図。
(C)は図18の熱電変換素子を製造する前記第3工程で作られたN型アセンブリを示す平面図。
【図22】図18の熱電変換素子を製造する第4工程を説明する側面図。
【符号の説明】
1…熱電変換素子
2…熱電導体ブロック
3、4…金属帯
3a…第1接続層
4a…第2接続層
5P…P型熱電導体素片
5N…N型熱電導体素片
11…第1基板
12…電極
15、16…ダイシングソー(カッター)
17…P型熱電導体
18…N型熱電導体
21…平行部
22…拡大端部
25…第2基板
26…電極
31…スペーサ
32…スペーサ要素
Claims (7)
- 電極を有する第1基板と、他の電極を有して前記第1基板と対向して設けられた第2基板と、前記両基板間に挟設され前記両電極を介してPN接合されたP型及びN型の熱電導体とを備える熱電変換素子において、前記P型及びN型の各熱電導体は、いずれか一方の前記基板に接合された平行部と、この平行部との間に段差を形成することなく前記平行部に一体に連続して前記他方の基板に接合された拡大端部とを有し、前記両基板と平行な前記平行部の断面の面積が各部等しく、前記拡大端部の前記両基板と平行な断面の面積がこの拡大端部が接合された前記他方の基板に向けて次第に大きくなっている熱電変換素子。
- 互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する第1工程と、
第1基板が有する電極と前記第1接続層とを接合して、所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互に前記第1基板上に間隔的に並べて取付ける第2工程と、
前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する第3工程と、
前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する第4工程と、
を具備した熱電変換素子の製造方法。 - 互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する第1工程と、
所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を交互にかつスペーサ要素を挟んで間隔的に並べるとともに、各熱電導体素片が有する前記第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記第1基板上に前記P型及びN型の熱電導体素片を取付ける第2工程と、
前記P型及びN型の各熱電導体素片並びに前記スペーサ要素をそれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する第3工程と、
前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する第4工程と、
を具備した熱電変換素子の製造方法。 - 前記スペーサ要素を可溶性材料として、前記第3工程での切断後に可溶手段により前記スペーサ要素を除去する請求項3に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記スペーサ要素を断熱性を有する電気絶縁材料として、このスペーサ要素の断片からなるスペーサを隣接した前記P型及びN型の熱電導体間に残した請求項3に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に個別に設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する第1工程と、
所定数の前記P型及びN型の熱電導体素片を互いに接触させるとともに、これら各熱電導体素片の第1接続層と第1基板が有する電極とを接合して、前記P型及びN型の各熱電導体素片を前記第1基板上に交互に並べて取付ける第2工程と、
前記P型及びN型の各熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断するとともに、この切断の前又は後に、前記P型及びN型の熱電導体素片の接触部を前記並び方向と直交する方向に沿って切断して、前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体及びN型熱電導体を形成する第3工程と、
前記第1基板に対向して配置される第2基板が有する他の電極と前記P型及びN型の熱電導体の第2接続層とを接合する第4工程と、
を具備した熱電変換素子の製造方法。 - 互いに平行な第1、第2の面の夫々に複数の金属帯が所定間隔で互いに平行に設けられたP型及びN型の熱電導体ブロックを、夫々前記各金属帯の並び方向に沿って切断して、前記各金属帯の断片からなる複数の第1、第2の接続層が上下両面に夫々設けられたP型及びN型の熱電導体素片を夫々複数形成する第1工程と、
第1基板が有する電極と前記P型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のP型熱電導体素片を前記第1基板上に間隔的に並べて取付けるとともに、第2基板が有する電極と前記N型熱電導体素片の第1接続層とを接合して、所定数のN型熱電導体素片を前記第2基板上に間隔的に並べて取付ける第2工程と、前記各P型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のP型熱電導体を形成するとともに、前記各N型熱電導体素片をこれらの並び方向に沿って切断して前記第2接続層を有した多数のN型熱電導体を形成する第3工程と、
前記P型熱電導体が取付けられた前記第1基板と前記N型熱電導体が取付けられた前記第2基板とを向かい合わせて、前記P型熱電導体の第2接続層を前記第2基板が有する電極に接合するとともに、前記N型熱電導体の第2接続層を前記第1基板が有する電極に接合する第4工程と、
を具備した熱電変換素子の製造方法。
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