JP2004165095A - ランプ点灯装置及びこれを用いたプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、この入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、このトリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、この出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、この放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成してランプに供給するイグナイタと、トリガー素子の入力側に、このトリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランプ点灯装置及びこれを用いたプロジェクタに関し、詳しくはメタルハライドランプなどを用いたランプ点灯制御において、放電ランプの点灯を開始させるサイダック等のトリガー素子のオフを強制的に行わせてランプ点灯の効率化を図ったランプ点灯装置及びこれを用いたプロジェクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ランプ点灯装置は、点灯時に高圧電圧を発生させて、ランプの両電極に印加することにより、例えば、ランプ内に設けられたグロースィッチなどによりグロー放電を生じさせ、その後、発光管の中でアーク放電に移行させることによりランプを点灯する。
【0003】
具体的なランプ点灯装置は、図7に示すように、点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプ10を点灯するイグナイタ23を有する点灯電圧制御部35Aと、通常点灯では通常電圧を供給して点灯を維持する通常点灯制御部10Aとからなる。
【0004】
通常点灯制御部10Aは、アクティブフィルタ等で作成され、直流電源12から通常300V〜400Vdc程度の直流電圧E1の供給を受け、この直流電圧E1を一旦50V〜100Vdc程度の直流電圧V1に変換するダウンコンバータ13と、後述する電力検出部22からの検出電力W1と基準電力W2とを比較して得られた制御信号C1をダウンコンバータ13に入力して直流電圧V1を制御して一定電力に保つコントローラ14と、50V〜100Vdcの直流電圧V1をランプ10の放電を維持するのに必要な90〜200Hz程度の周波数を持つ交流に変換してランプ10に供給するフルブリッジ15と、このフルブリッジ15を駆動する駆動信号の基準周波数fsを設定し、駆動信号をオン/オフ制御するコントローラ16と、コントローラ14のオン/オフをつかさどるON/OFFスイッチ17と、ON/OFFスイッチ17、コントローラ16を制御するコントロールマイコン18と、電源スイッチ19と、フルブリッジ15からイグナイタ23に供給する交流電圧V2の電圧値を検出する電圧検出部20と、フルブリッジ15からイグナイタ23に供給する交流電流I2の電流値を検出する電流検出部21と、電圧検出部20及び電流検出部21で検出した電圧及び電流から検出電力W1を検出する電力検出部22と、ランプ10に接続するコネクタ24とから構成されている。
【0005】
このランプ10は、図10に示すように、メタルハライドランプ等の放電ランプであり、例えば、耐熱ガラスなどで構成された透光性の気密容器25の中に所定の電極間距離Lを持つように離間して配設された同一構造の一対の電極26、27を有しており、電極26、27は交流駆動される。
【0006】
これ等の電極26、27は、気密容器25の両端部に形成されたシール部28、29に封着された金属導体30、31に接続され、金属導体30はコネクタ24の端子Hiに、金属導体31は端子Loに接続されている。また、気密容器25のシール部28,29は半球状のリフレクタ32の中心部に固定されている。
【0007】
そして、気密容器25の中には、水銀の他に、例えば、希ガス、セシウム、希土類金属、およびハロゲンを含み、セシウムの封入量が所定範囲にある放電媒体が封入され、水銀上記の放電アーク中に各種の金属蒸気を混在させることにより、その金属特有の光スペクトルを放出させるものである。
【0008】
このため、発光効率が高く、金属の組み合わせで、所望の発光特性を得ることができ、また色温度も高く、色も自然光に近く、点光源に近くリフレクタ32などを用いて容易に平行光を取り出すことができる利点があるので、高画質と高輝度が要求される液晶プロジェクタに用いられている。
【0009】
図7に戻って、フルブリッジ15は、例えば、FET(Field Effect Transistor)などで構成されたフルブリッジで構成されており、これ等のFETのゲートはコントローラ16により設定される基準周波数fsをベースとしてオンオフ制御される。
【0010】
これにより、フルブリッジ15は直流電圧V1を、90〜200Hz程度の周波数を持つ交流に変換し、ランプの点灯を維持するに必要な交流電流I2をイグナイタ24と、端子LoとHiを持つコネクタ24を介してランプ10に供給する。
【0011】
点灯電圧制御部35Aは、ランプ10の点灯時に5〜20kVの高圧電圧を生成するための制御を行うものであり、図8に示すように、300Vdcの直流電源DCが供給される直列回路を構成する抵抗R31及びコンデンサC31と、この抵抗R31及びコンデンサC31の接続点に接続されサイダック(SIDAC)等のトリガー素子S31を介して接続されている昇圧トランスT31と、この昇圧トランスT31の二次巻線N2に接続され、直列回路を構成するダイオードD31及び放電ギャップS32と、ダイオードD31及び放電ギャップS32の接続点に接続され、二次巻線N2と並列回路を構成するコンデンサC32とからなり、放電ギャップS32の出力側がイグナイタ23の一次巻線N1の一方端と接続し、一次巻線N1の他方端がコンデンサC32と接続し、一次巻線N1とコンデンサC32とで並列回路を構成する。
【0012】
このような接続状態を有する点灯電圧制御部35Aの動作について説明する。図9は、信号の波形図を示したものであり、ランプに接続していないときの波形図を示したものである。
【0013】
入力端子から入力する直流電圧は、ランプ点灯前は300〜400Vdc程度であり、抵抗R31及びコンデンサC31の時定数でコンデンサC31の入力充電電圧V31が充電によって上昇し(T1)、トリガー素子S31の定格電圧(例えば200Vdc)に達するとトリガー素子S31がオン(T2)し、トリガー素子電流I31が流れ、コンデンサC31の電荷を放電する。
【0014】
そして、トリガー素子S31の保持電流(例えば30mA)以下になるとトリガー素子S31はオフする。
【0015】
トリガー素子S31がオンしたときに、コンデンサC31から放電された電荷は、昇圧トランスT31の一次巻線N1に供給され、昇圧した電圧を二次巻線N2で得て、ダイオードD31を通してコンデンサC32を充電し、出力充電電圧V32を段階的に上昇させる(T2、T3)。
【0016】
この段階的に上昇する出力充電電圧V32は実施例において4段階であり、各段階毎にトリガー素子S31がオン/オフして昇圧トランスT31を経由してコンデンサC32を充電する。
【0017】
コンデンサC32で充電された出力充電電圧V32が放電ギャップS32の定格電圧に達すると、放電ギャップS32が放電状態となり、コンデンサC2の出力充電電圧V32が放電される。
【0018】
この放電された出力充電電圧V32はイグナイタ23の一次巻線N1に供給され、二次巻線N2及び3次巻線N3からランプ点灯に必要な5〜20kVのパルス電圧信号V33を生成する(T4、T5、T6)。
【0019】
このパルス電圧信号V33が、トリガー素子S31の4段階のオン/オフを一つとして繰り返し発生する。
【0020】
【特許文献1】
特開平11−74095号公報(第5頁―第6頁、第1図)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のランプ点灯が効率良く行うためには、ランプ点灯用パルス電圧信号V33が発生する繰り返し周期は短い程良いといえるが、そのためには、大元の抵抗R31及びコンデンサC31の時定数を小さくする必要がある。しかし、コンデンサC31の容量を小さくしすぎると放電エネルギーが不足し、コンデンサC32への充電が遅くなってしまう。
【0022】
その為、抵抗R31をコントロールするしかないが、トリガー素子S31を構成するサイダック等の保持電流以下の電流にする必要があるため、下限が決まっている。例えば、「保持電流30mAのサイダック」を使用する場合、入力の直流電圧を300Vdcとすると、抵抗R31の値は10KΩ以下にはできないことになる。
従って、ランプ10の出力電圧、即ち、イグナイタ23から出力するランプ点灯用パルス電圧信号V33の繰り返し周期の下限(周波数の上限)が決まってしまうことになる。
【0023】
このように、放電ランプの点灯を開始させるサイダック等のトリガー素子は、保持電流以下にならないとオフできないため、その充電用抵抗の下限には限界があり、結果として、放電ランプ等の点灯開始を行うためのイグニッションの繰り返し周波数が高いほうが望ましいにもかかわらず、上限には限界があり、点灯性能向上にも限界があった。
【0024】
又、保持電流の小さなトリガー素子を選択することができないため、設計の自由度が阻害されるという問題もあった。
【0025】
従って、既存のサイダック等のトリガー素子を使用して、尚且つイグナイタから出力するランプ点灯用パルス電圧信号の繰り返し周期を短くすることができる手法に解決すべき課題を有する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るランプ点灯装置及びこれを用いたプロジェクタは、次に示す構成にすることである。
【0027】
(1)ランプ点灯装置は、点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置であって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことである。
(2)上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする(1)に記載のランプ点灯装置。
【0028】
(3)プロジェクタは、点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置で生成される光源を液晶表示パネルに投光し、該液晶表示パネルの透過光を光学系を介して外部に投影するプロジェクタであって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことである。
(4)上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする(3)に記載のプロジェクタである。
【0029】
(5)プロジェクタは、点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置で生成される光源を反射型画像パネルに投光し、該反射型画像パネルで反射された反射光を光学系を介して外部に投影するプロジェクタであって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことである。
(6)上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする(5)に記載のプロジェクタである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るランプ点灯装置およびこれを用いたプロジェクタについて図を用いて説明する。図1は本発明に係るランプ点灯装置を用いてランプを点灯するための実施の形態を略示的に示した全体構成図である。
【0031】
本発明に係る第1の実施形態のランプ点灯装置は、図1に示すように、点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプ10を点灯するイグナイタ23を有する点灯電圧制御手段である点灯電圧制御部35と、通常点灯では通常電圧を供給して点灯を維持する通常点灯制御手段である通常点灯制御部11とからなる。
【0032】
通常点灯制御部11は、通常300V〜400Vdc程度の直流電圧E1を生成する直流電源12と、この300V〜400Vdc程度の直流電圧E1をランプ10の通常点灯に必要な50V〜100Vdc程度の点灯電圧V1に変換するダウンコンバータ13と、後述する電力検出部22からの検出電力W1と基準電力W2とを比較して得られた制御信号C1をダウンコンバータ13に入力して点灯電圧V1を制御して一定電力に保つコントローラ14と、50V〜100Vdcの点灯電圧V1をランプ10の点灯を維持するのに必要な90〜200Hz程度の周波数を持つAC電流である通常電流I12をイグナイタ23を経由してランプ10に供給するフルブリッジ15と、このフルブリッジ15を制御するコントローラ16と、コントローラ14のオン/オフをつかさどるON/OFFスイッチ17と、ON/OFFスイッチ17、コントローラ16及び点灯電圧制御部35を制御するコントロールマイコン18と、電源スイッチ19と、イグナイタ23に供給する通常電圧V12の電圧値を検出する電圧検出部20と、イグナイタ23に供給する通常電流I12の電流値を検出する電流検出部21と、電圧検出部20及び電流検出部21で検出した電圧及び電流から検出電力W1を検出する電力検出部22と、からなる。
【0033】
ランプ10は、従来技術で説明した図10に示すように、メタルハライドランプであり、例えば、耐熱ガラスなどで構成された透光性の気密容器25の中に所定の電極間距離Lを持つように離間して配設された一対の電極26、27を有しており、電極26は陽極で、電極27は陰極である。これ等の電極26,27は、気密容器25の両端部に形成されたシール部28、29に封着された金属導体30、31に接続され、金属導体30はコネクタ24の端子Hiに、金属導体31は端子Loに接続されている。また、気密容器25のシール部28は半球状のリフレクタ32の中心部に固定されている。そして、気密容器25の中には、例えば水銀、希ガス、セシウム、希土類金属、およびハロゲンを含み、セシウムの封入量が所定範囲にある放電媒体が封入されている。
【0034】
直流電源12は、例えば、アクティブフイルタなどを用いて作られた直流電圧E1を供給するが、通常は300V〜400Vdc程度の電圧である。この直流電圧E1はダウンコンバータ13により50KHz〜100KHz程度の周波数でスイッチングされてランプ10の通常点灯に必要な、例えば50V〜100Vdc程度の点灯電圧V12に電圧変換を行う。
【0035】
フルブリッジ15は、例えばFET(Field Effect Transistor)などで構成されたフルブリッジで構成されており、これ等のFETのゲートはコントローラ16により設定される基準周波数fsをベースとしてオンオフ制御される。
【0036】
これにより、フルブリッジ15は点灯電圧V1を通常点灯の際にランプ10の点灯を維持するに必要な90〜200Hz程度の周波数を持つ通常電圧V12に変換し、その通常電流I12をイグナイタ23と、端子LoとHiを持つコネクタ24を介してランプ10に供給する。
【0037】
イグナイタ23は、入力端T1、T2、出力端T3、T4、トランス端T5、T6などを有しており、そしてイグニッション出力用トランスT12の二次側巻線N2は入力端T1と出力端T3に接続されており、その一次側巻線N1はトランス端T5、T6に接続されている。
【0038】
この入力端T1と出力端T3に接続されたイグニッション出力用トランスT12は、ランプ10の点灯の際に、後に詳述するが、5〜20KVのバルスを二次側巻線N2に出力してランプ10の点灯を制御する点灯電圧制御部35に接続されている。
【0039】
また、電圧検出部20は通常電圧V12を検出して電力検出部22に出力し、また電流検出部21は、図示していないが、フルブリッジ15とイグナイタ23との間に図示しない例えば電流検出抵抗などを挿入して、この電流検出抵抗の両端に発生する電圧を換算して通常電流I12として検出して電力検出部22に出力する。
【0040】
電力検出部22は、電圧検出部20で検出した通常電圧V12と電流検出部21で検出した通常電流I12とを乗算して検出電力W1を算定して、この検出電力W1をコントローラ14に出力する。
【0041】
コントローラ14は、PWM(Pulse Width Modulation)などでコントロールするコントローラであり、電力検出部22からの検出電力W1が入力されると共に、通常点灯時にランプ10に一定の電力を供給するための基準となる基準電力W2が印加されている。
【0042】
そして、コントローラ14は、検出電力W1がこの基準電力W2に一致するようにダウンコンバータ13に制御信号C1を供給して点灯電圧V1の大きさをコントロールすることにより、全体として通常点灯時にランプ10に一定の電力が供給されるように制御している。
【0043】
点灯電圧制御部35は、ランプ10の点灯時に5〜20kVの高圧電圧を生成するための制御を行うものであり、図2に示すように、300Vdcの直流電源DCが供給される直列回路を構成する抵抗R1、コンデンサC1及びスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のゲートに接続してあるオシレータOSC(36)と、オシレータOSC(36)をイネーブルにするスイッチSW1と、抵抗R1、コンデンサC1及びスイッチング素子Q1の直列回路に並列に接続した直列回路を構成するスイッチング素子Q2、抵抗R3及びコンデンサC1と、抵抗R3とコンデンサC1との接続点に接続されサイダック(SIDAC;Silicon Diode for Alternating Current)等のトリガー素子S1を介して接続されている昇圧トランスT11と、この昇圧トランスT11の二次側巻線N2に接続され、直列回路を構成するダイオードD1及び放電ギャップS2と、ダイオードD1及び放電ギャップS2の接続点に接続され、二次側巻線N2と並列回路を構成するコンデンサC2と、からなる。
又、抵抗R1と抵抗R2との接続点がスイッチング素子Q2のゲートに接続されている。
【0044】
サイダックは、シリコン2方向2端子サイリスタと呼ばれる複合型サイリスタの一種で、向きに関係なく使用でき、所定のブレークオーバー電圧(定格電圧)でオンし、所定の保持電流以下でオフするスイッチング動作をする。
【0045】
次に、以上のように構成された本発明の要部をなす点灯電圧制御部35の動作について、図1及び図2の回路図を参照して図3と図5に示す波形図を用いて説明する。
【0046】
スイッチSW1は、本体のコントロールマイコン18から制御されるオシレータOSC(36)のオン/オフスイッチであり、スイッチング素子Q1はオシレータOSC(36)の出力であるオシレータ矩形波信号V1によって、抵抗R1、R2を通してスイッチング素子Q2をオン/オフコントロールし、スイッチング素子Q2は、入力電圧から抵抗R3を通してコンデンサC1を充電することをオン/オフ制御する。
このスイッチング素子Q2のオフにより、トリガー素子S1の入力側のラインをオフ状態にするため、抵抗R3の値にかかわらずコンデンサC1への充電電流及びトリガー素子S1への保持電流以上の電流をも強制的にオフできる。
【0047】
ここでは、抵抗R3の値は、従来技術で説明した図8に示す抵抗R31の値に対して充分小さな抵抗値を用いる。これにより、コンデンサC1への充電スピードは早くなる。
オシレータ矩形波信号V1は、オシレータOSC(36)の出力信号であり、オシレータ矩形波信号V1がオンするT1のタイミングから抵抗R3を通してコンデンサC1への充電が始まり、T2のタイミングでトリガー素子S1のトリガー開始電圧(例えば、200V)に達して充電電流I1がオンとなる。
そして、コンデンサC1の電荷が放電しても、抵抗R1を通して保持電流I2以上の電流が流れ続けるが、T3のタイミングでオシレータOSC(36)のオシレータ矩形波信号V1がオフとなるため、スイッチング素子Q2がオフとなり、抵抗R3による電流がオフされ、トリガー素子S1はオフとなる。
【0048】
オシレータOSC(36)の出力であるオシレータ矩形波信号V1が再びオンとなるT4のタイミングで、再びT1のタイミングからの動作が繰り返される。
【0049】
このようにして、抵抗R3の値にかかわらず、スイッチング素子Q2によって電流をオフできるため、トリガー素子S1の保持電流の値に関係なく、トリガー素子S1をオンする時定数を生成する抵抗R1、コンデンサC1の値を決めることができる。
【0050】
図4は、ランプ点灯用のイグナイタ24出力までの波形例を示したものであり、入力端子から入力する電圧は、ランプ点灯前は300〜400Vdc程度であり、オシレータOSC(36)のオシレータ矩形波信号V1がオンになったときに、スイッチング素子Q1がオンになり、抵抗R1、R2を介して電流が流れ、抵抗R1、R2の分電圧がスイッチング素子Q2のゲートに印加されて、スイッチング素子Q2がオンする。
スイッチング素子Q2がオンすると、スイッチング素子Q2、抵抗R3を経由してコンデンサC1への充電が開始され、抵抗R3及びコンデンサC1の時定数でコンデンサC1の入力充電電圧V2が充電によって上昇する(T1)。
この入力充電電圧V2がトリガー素子S1の定格電圧(例えば200Vdc)に達するとトリガー素子S1がオンする(T2)。
すると、トリガー素子電流I1が流れ、コンデンサC1の電荷を放電する。そして、コンデンサC1から放電された電荷は、昇圧トランスT11の一次巻線N1に供給され、昇圧した電圧を二次巻線N2で得て、ダイオードD1を通してコンデンサC2を充電し、出力充電電圧V3を段階的に上昇させる(T2、T3)。
そして、オシレータ矩形波信号V1がオフになると、スイッチング素子Q2がオフされ、トリガー素子S1への電流は強制的にオフされ、トリガー素子S1の保持電流(例えば30mA)以下になりトリガー素子S1はオフする。
トリガー素子S1がオンしたときに、この段階的に上昇する出力充電電圧V3は実施例において4段階であり、各段階毎にスイッチング素子Q2がオンしたときにコンデンサC1へ充電し、トリガー素子S1をオンにし、昇圧トランスT11を経由してコンデンサC2を充電する。トリガー素子S1のオフはスイッチング素子Q2がオフになったときにトリガー素子S1の入力側のラインを強制的にオフして保持電流以下の値にしてトリガー素子S1をオフにする。
【0051】
このようにして実施例の場合に4段階の充電により、コンデンサC2で充電された出力充電電圧V3が放電ギャップS2の定格電圧に達すると、放電ギャップS2が放電状態となり、コンデンサC2の出力充電電圧V3が放電される(T4、T5)。
【0052】
この放電された電圧はイグナイタ24のイグニッション出力トランスT12の一次巻線N1に供給され、二次巻線N2及び3次巻線N3からランプ点灯に必要な5〜2kVのパルス電圧信号V4を生成する(T5、T6)。
【0053】
このパルス電圧信号V4が、トリガー素子S1の4段階のオン/オフを一つとして繰り返し発生する。
【0054】
次に、本発明に係る第2の実施形態のプロジェクタについて、図5を参照して説明する。尚、このプロジェクタは、上記説明した第1の実施形態のランプ点灯装置を用いて、透過型のプロジェクタを構成する。
【0055】
この透過型のプロジェクタ40は、光源から放射される光を反射するリフレクタ41を有するランプ10と、第1の実施形態で説明したランプ点灯装置42と、リフレクタ41から照射される光で投影される、例えば、カラー液晶などの透孔性の液晶パネル43と、この液晶パネル43を駆動する液晶ドライバ44と、これ等を収容する筐体45とを備え、この筐体45は液晶パネル43に対向する部分に投光部46を形成し、この投光部46に光学系としてのレンズ47が配設され、ランプ点灯装置42と液晶ドライバ44には電源48から電源が供給される構成となっている。
【0056】
点灯電圧制御部35(図1及び図2参照)を搭載したランプ点灯装置42へ電源48を供給することによって、ランプ10が点灯するとランプ10から出た光は、リフレクタ41により反射されて液晶パネル43を照射する。
【0057】
液晶パネル43には、各画素に対応して図示しないRGBのカラーフイルタを備えており、このカラーフイルタがカラー画像信号に応じて動作する液晶ドライバ44により制御される。
【0058】
液晶パネル43を透過した光は、このカラーフイルタによりRGBの何れかに着色され、この着色光がレンズ47で集光されてスクリーン49に投影され、これによりスクリーン49上には液晶パネル43で制御されたカラー画像が投影される。
【0059】
この場合でも、ランプ10を点灯する際には、点灯電圧制御部35(図1及び図2参照)により、入力充電電圧V2によりトリガー素子S1をオンさせて、出力充電電圧V3を生成し、スイッチング素子Q2をオフさせることで強制的に保持電流以下にしてトリガー素子S1をオフすることを繰り返し行って、ランプ10を点灯させるので、ランプ10を点灯させる周期を早くすることが可能という点灯電圧制御部35の特徴を引き継いだ形のプロジェクタ40を提供することができる。
【0060】
次に、本発明に係る第3の実施形態のプロジェクタについて、図6を参照して説明する。
【0061】
本発明の第3の実施形態のプロジェクタ50は、上記第1の実施形態で説明したランプ点灯装置を用いて、反射型のプロジェクタを構成する。
【0062】
この反射型のプロジェクタ50は、点灯電圧制御部35(図1及び図2参照)を搭載したランプ点灯装置51と、このランプ点灯装置51に制御され光源から放射される光を反射するリフレクタ52を有するランプ10と、ランプ10からの光線を反射型画像パネル53方向に集光させる第1のレンズ部54aと、第1のレンズ部54aで集光された光線を反射する反射型画像パネル53と、この反射型画像パネル53により反射された映像光線をスクリーン55上に投影する第2のレンズ部54bと、RGB信号、ビデオ信号等を入力して反射型画像パネル53を駆動させる駆動部56とから概略構成されている。
【0063】
反射型画像パネル53は、反射型液晶、或いはDLP(Digital Light Processing)方式のパネルで構成されている。
DLP方式のパネルは、所謂、DMD(Digital Micromirror Device)を使用したパネルのことで、DMDは微小可動ミラーを敷き詰めた半導体光スイッチで構成され、SRAM(Static RandomAccess Memory)の1セルごとの上に形成されたアルミ合金の16μm角微小ミラーがオン/オフ状態でプラス或いはマイナス10度の傾きを持ち、直下に配置されたメモリー素子による静電界作用により、支柱に取付けられたミラーが動作する構造になっている。このミラーが1チップ上に848×600以上集積されていて、最大のものは230万以上の集積度を持ち、各ミラーのスイッチングスピードは毎秒50万回以上であり、チップへの入射光はデジタルグレイスケールが得られる。即ち、光を完全なデジタル制御することになり、従来のようにデジタル信号をD/A変換器により輝度信号に変換するプロセスが不要になる。
【0064】
このような構成からなる反射型のプロジェクタ50は、ランプ10を点灯する際には、点灯電圧制御部35(図1及び図2参照)を搭載したランプ点灯装置51により、入力充電電圧V2によりトリガー素子S1をオンさせて、出力充電電圧V3を生成し、スイッチング素子Q2をオフさせることで強制的に保持電流以下にしてトリガー素子S1をオフすることを繰り返し行って、ランプ10を点灯させるので、ランプ10を点灯させる周期を早くすることが可能という点灯電圧制御部35(図1及び図2参照)の特徴を引き継いだ形の反射型のプロジェクタ50を提供することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るランプ点灯装置は、ランプを点灯させる際に使用されるトリガー素子の保持電流の値に左右されずに充電用抵抗の値を決めることができるため、設計の自由度が大幅に向上できるという効果がある。
【0066】
又、負荷としての放電ランプ等の要求特性に最適なトリガー周期に設定できることにより、ランプの点灯性を向上でき、ランプ設置セットの使い勝手を大幅に向上できるという効果がある。
【0067】
さらに、ランプに最適な点灯用イグニッション特性の実現により、点灯までの時間が短縮でき、ランプの負担が軽減できるため、寿命の向上が実現できるという効果がある。
【0068】
また、このランプの寿命が向上することにより、ランプ交換の回数が軽減できるため、交換費用、時間といったユーザーの負担を軽減でき、使い勝手が大幅に向上するという効果がある。
【0069】
また、トリガー素子のオフを強制的に行える点灯電圧制御手段を備えたランプ点灯装置を備えたプロジェクタは、ランプを点灯させる際に使用されるトリガー素子の保持電流の値に左右されずに充電用抵抗の値を決めることができるため、設計の自由度が大幅に向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のランプ点灯装置を略示的に示す構成図である。
【図2】図1に示す点灯電圧制御部の内部構成を略示的に示すブロック図である。
【図3】図2に示す点灯電圧制御部の動作を示す波形図である。
【図4】図2に示す点灯電圧制御部の動作を示す波形図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態のプロジェクタの構成を略示的に示した概念図である。
【図6】本発明に係る第3の実施形態のプロジェクタの構成を略示的に示した概念図である。
【図7】従来技術におけるランプ点灯装置を略示的に示したブロック図である。
【図8】図7に示す点灯電圧制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示す点灯電圧制御部の動作を示す波形図である。
【図10】ランプの構成を略示的に示す断面図である。
【符号の説明】
10;ランプ、11;通常点灯制御部、12;直流電源、13;ダウンコンバータ、 14;コントローラ、15;フルブリッジ、16;コントローラ、17;ON/OFFスイッチ、18;コントロールマイコン、19;電源スイッチ、20;電圧検出部、21;電流検出部、22;電力検出部、23;イグナイタ、24;コネクタ、25;気密容器、26;電極、27;電極、28;シール部、29;シール部、30;金属導体、31;金属導体、32;リフレクタ、35;点灯電圧制御部、36;オシレータOSC、40;プロジェクタ、41;リフレクタ、42;ランプ点灯装置、43;液晶パネル、44;液晶ドライバ、45;筐体、46;投光部、47;レンズ、49;スクリーン、50;プロジェクタ、51;ランプ点灯装置、52;リフレクタ、53;反射型画像パネル、54a;第1のレンズ部、54b;第2のレンズ部、55;スクリーン、56;駆動部。
Claims (6)
- 点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置であって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことを特徴とするランプ点灯装置。 - 上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする請求項1に記載のランプ点灯装置。
- 点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置で生成される光源を液晶表示パネルに投光し、該液晶表示パネルの透過光を光学系を介して外部に投影するプロジェクタであって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。 - 上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする請求項3に記載のプロジェクタ。
- 点灯時には高圧パルス電圧を印加してランプを点灯するイグナイタを有する点灯電圧制御手段と、通常点灯では通常電圧を供給して前記点灯を維持する通常点灯制御手段とを備えてなるランプ点灯装置で生成される光源を反射型画像パネルに投光し、該反射型画像パネルで反射された反射光を光学系を介して外部に投影するプロジェクタであって、
前記点灯電圧制御手段は、
所定の直流電圧を入力して充電する入力充電生成手段と、
該入力充電生成手段により得られた入力充電電圧が所定電圧になったときにオンするトリガー素子と、
該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子を経由して得られる入力充電電圧に基づいて充電する出力充電生成手段と、
該出力充電生成手段により生成された出力充電電圧が所定の定格電圧になったときに放電する放電ギャップと、
該放電ギャップで放電したときの放電電圧によりパルス電圧信号を生成して前記ランプに供給するイグナイタと、
前記トリガー素子の入力側に、該トリガー素子がオンしたときに、トリガー素子に前記入力充電電圧を入力するラインをオフするスイッチ手段と、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。 - 上記トリガー素子は、オンした後に所定の保持電流値以下になったときにオフする素子であることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。
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---|---|---|---|
JP2002332227A JP2004165095A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | ランプ点灯装置及びこれを用いたプロジェクタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006302550A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Iwasaki Electric Co Ltd | 高圧放電灯点灯装置 |
JP2007026830A (ja) * | 2005-07-14 | 2007-02-01 | Matsushita Electric Works Ltd | 放電灯点灯装置、照明器具、および照明システム |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332227A patent/JP2004165095A/ja active Pending
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