JP2004163716A - 荷電粒子の加速模型 - Google Patents

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Masahiro Hara
雅弘 原
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Abstract

【課題】本発明では、電磁波による荷電粒子の速度を、機械的な波の模型を作り、その機械的な形状と重力を利用したモデルで置き換えることによって、電磁波による荷電粒子の加速を説明するものである。
【解決手段】目に見えない高周波電場による荷電粒子の加速を、機械的な波に変えることにより重力と束縛力の変化による加速に代えて表現する線型加速器の加速空洞部の模型であって、進行波型の加速を、サーフィン(波乗り)波で表現し、
定在波型におけるディスクローディット型若しくは超電導加速空洞での加速を、サイン波の波で表現し、又は定在波型におけるドリフトチューブ型の加速を、ドリフトチューブの部分として水平な部分を持つ波で表現することにより、機械的に形成される波の上を移動する荷電粒子に代わる玉の移動タイミングを適切に調整することで前記加速を表現することを特徴とする前記模型。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、目に見えない高周波電場による荷電粒子の加速を、機械的な波に変えて示すことにより重力と束縛力の変化に基づく加速に代えて表現することを特徴とする、教育面及び広報面で使用される荷電粒子の加速模型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
荷電粒子は高周波電場で加速や減速されたりする。又逆に荷電粒子が高周波電場における電磁波を励起して電磁波を増幅したりする。
【0003】
荷電粒子は、高周波電場のどの位相にいるかで加速されたり減速されたりするため、実質的に加速または減速されるためには荷電粒子の速度と高周波電場における電磁波の位相速度とが同じでなければならない。もし、荷電粒子の速度と電磁波の位相速度が違っていれば、その荷電粒子は、その電磁波によって加速されたり減速されたりして最終的には加速されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、荷電粒子の加速は、絵やビデオを用いて説明することが多かった。又、従来の説明では荷電粒子の加速には電気力を用いるので、目に見える方法でその説明するのは難しかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、電磁波による荷電粒子の速度を、機械的な波の模型を作り、その機械的な形状と重力を利用したモデルで置き換えることによって、電磁波による荷電粒子の加速を説明するものである。このときも、荷電粒子の加速には、その粒子の速度と電磁波の位相速度が等しくなければ、荷電粒子が効率よく加速されないという原理は成り立っている。
【0006】
本発明の模型は、荷電粒子の加速に用いられている電場における電磁波を機械的な模型に置き換えることで目に見えるものにしている。さらに、本発明は、特に、模型のハンドルの回転速度をうまく調整すれば、機械的に形成された波が進行波型の場合の他に定在波型に場合においても、球の速度を加速できるという達成感が得られ、ゲームとしての特長も備えている。
【0007】
【発明の実施の態様】
(1) 進行波型について
進行波(サーフィン波)型においては、その加速管の一端からマイクロ波が供給され、加速管の中をマイクロ波が通過して他端から取り出される。即ち、図1(a)に示されるように、加速管中を進行波が左から右に進行している。そこで、この図に示される玉を荷電粒子に対応させ、波を電場中の電磁波に対応させると、この図は、この球の速度と波の位相速度が同じであれば、球が左から右に進行する波によって右方向に加速されることを示している。
【0008】
(2) ディスクローディット定在波型について
定在波型の場合においては、ある1ヵ所からマイクロ波を供給し、定在波をたて、その電場で荷電粒子を加速する。定在波なので、加速の位相と減速の位相が交互になり、荷電粒子をうまく加速するには、通過する瞬間には常に加速の位相になるように制御されていなければならない。
【0009】
図1(b)は、定在波の時間的変化と粒子の位置を示したもので、定在波を表した機械的な波の傾きが加速を生み出すことを示している。図に示された粒子の存在する位置の波の傾きは、常に右下がりになっており、左から進行してきた粒子が図に示された波の位相位置をとると常に加速され続けることを示している。
【0010】
ディスクローディット定在波型においては、図2(b)に示されるように、その内部に、時間的変化とともに荷電粒子が右方向に加速される部分と減速される部分とが交互に形成されるが、この時間的変化により、粒子が存在する位置では常に右方向に加速されるように加速空洞内の電場を制御することができるので、荷電粒子は常に加速されながら右方向に移送される。
【0011】
又、図5(a)に示されるように、形状を工夫することにより空洞内のマイクロ波の位相速度を制御して、加速する荷電粒子の速度と等しくなるようにすることで、荷電粒子を加速することができる。
【0012】
更に、図5(a)及び図5(c)に示されるディスクローディット型定在波の各形状に対応して、偏心カム機構からなる模型を表示すると、図5(b)のように示される。
【0013】
(3) ドリフトチューブ型について
ドリフトチューブ型においては、図1(c)に示されるように、通常の波の形状を有する定在波にフラットな部分が形成される。このフラットな部分は、図3(b)に示されるドリフトチューブに相当する。この部分は荷電粒子の加速、減速に寄与しない。ドリフトチューブ両端にある加速ギャップの部分で、荷電粒子が交互に加速されたり、減速されたりする。即ち、正又は負に帯電した荷電粒子が、ドリフトチューブ間の加速ギャップにおいてドリフトチューブにおける正又は負の帯電により交互に加速されたり、減速される。そこで、荷電粒子のタイミングをうまく合わせると常に加速され続ける。図1(c)はこのような場合の波の時間的変化と荷電粒子の位置を示している。
【0014】
(4)本発明の模型にいて
本発明の模型は、図4に示されるように、波を機械的な偏心カム機構を用いて実現する。この機構では、偏板1の中心2をずらすことによって偏心円盤カムを作り、それで波となる板3を押し上げる。この円盤カムの偏心の大きさで波の振幅を調整し、円盤カムの大きさで平均位置を調整できる。この偏心カム機構を用いて実現される波の位相を調製することにより、進行波型、ディスクローディット定在波型、及びドリフトチューブを有する定在波の線型加速器の加速空洞の模型を実現することができる。
【0015】
図2(a)、(a‘)にディスクローディット定在波を形成する偏心カム機構を示す。偏心円盤カムの回転軸4を回転させると、それぞれの円盤カムの上に配置された波となる板3が波の形状を現し、その板の上に置かれた玉が偏心カム機構によって実現される波の変化にしたがって右方向に加速移動される。図4(a)、(a’)は、偏心カムの回転軸が回転して行くにしたがって実現される波の進行の形状を示すものである。
又、図3(a)に、ドリフトチューブを有する定在波の模型を示す。定在波では加速の位相と減速の位相が交互になり、粒子をうまく加速するには、加速ギャップを通過する瞬間には常に加速の位相になるように制御されていなければならない。通常の波の形状のままの定在波では力学的モデルを作るのは難しい。そこで、波にフラットな部分をつくる。この部分は上下しても加速・減速には寄与せず、両横の部分は斜めになって、交互に加速されたり減速されたりする。
【0016】
このことを用いて加速空洞の機械的なモデルとしたものが、図3(a)示されている。偏心円盤カムの回転軸4を回転させると、それぞれの円盤カムの上に配置された波となる板3がフラットな部分を有する波の形状を現し、その板の上に置かれた玉が偏心カム機構によって実現される波の移動にしたがって右方向に加速移動される。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0017】
【実施例】
(実施例1)
本発明を現す偏心カム機構の模型の外観を図6に示す。図6(a)に示される模型の右側のハンドルの回転速度を調節することにより、偏心カムの構造に基づき、進行波型、又はディスクローディット若しくはドリフトチューブ用の定在波型の波型が形成される。
【0018】
又、図6(a)の左側のハンドルを回転することにより、荷電粒子に対応する玉を直立円筒内を上昇経由させて形成される波の左端上に落下させる。図6(b)示されるように、波上に落下した玉は、左ハンドルの回転速度の調整により形成される波の形状にしたがって左から右方向に移行される。本発明の模型により荷電粒子の移動形態を見学者等に容易に説明することができた。
【0019】
(実施例2)
本発明の荷電粒子の加速形態を現す模型である、偏心カム機構の1つである進行波型により、荷電粒子に対応する玉の移動状態が図7に示されている。この図によれば、玉が波の進行にしたがって左から右方向に移動して行くのが表示されている。
【0020】
(実施例3)
本発明の荷電粒子の加速形態を現す模型である、偏心カム機構の1つである定在波型により、荷電粒子に対応する玉の移動状態が図8に示されている。この図によれば、玉が波の進行にしたがって左から右方向に移動して行くのが表示されている。
【0021】
(実施例4)
本発明の荷電粒子の加速形態を現す模型である、偏心カム機構の1つであるドリフトチューブ型定在波型により、荷電粒子に対応する玉の移動状態が図9に示されている。この図によれば、玉が波の進行にしたがって左から右方向に移動して行くのが表示されている。
【0022】
【発明の効果】
本発明により、荷電粒子を高周波電場で加速するのは目に見えないが、機械的な波に変え重力と拘束力で加速することにより、加速の原理やそのときに働く原理が目に見える形で体得できる。機械的な模型を作ることで進行波型だけでなく、定在波型(ドリフトチューブ型及びディスクローディド型)のモデルも可能である。
【0023】
そして、これを用いて、加速器における加速に伴って満たされなければならない基本的な原理を容易に説明することができる。例えば、進行波加速管においては、加速される粒子の速さと波の位相速度は等しくなければならない(波乗り加速の原理)。また、円形の加速器において定在波型の加速空洞が用いられるが、このとき、加速される粒子が空洞を通過する際の電場の位相は同じでなければならない(共鳴加速の原理)。
【図面の簡単な説明】
【図1】進行波型及び定在波型の波を示す図である。
【図2】ディスクローディッド定在波型、及びその機械模型を示す図である。
【図3】ドリフトチューブをもつ定在波型、及びその機械模型を示す図である。
【図4】偏心カム機構を示す図である。
【図5】定在波型、又はディスクローディツト型とその偏心カム模型との対応を示す図である。
【図6】本発明の模型の外観を示す図である。
【図7】進行波型の模型による加速の様子を示す図である。
【図8】定在波型の模型による加速を示す図である。
【図9】ドリフトチューブ型定在波型の模型による加速を示す図である。
【符号の説明】
1:偏板
2:中心
3:波となる板
4:回転軸

Claims (3)

  1. 目に見えない高周波電場による荷電粒子の加速を、機械的な波に変えることにより重力と束縛力の変化による加速に代えて表現する模型であって、
    進行波型の加速を、サーフィン(波乗り)波で表現し、
    定在波型におけるディスクローディット型若しくは超伝導空洞の加速を、サイン波の波で表現し、又は
    定在波型におけるドリフトチューブ型の加速を、ドリフトチューブの部分として水平な部分を持つ波で表現することにより、
    機械的に形成される波の上を移動する荷電粒子に代わる玉の移動タイミングを適切に調整することで前記加速を表現することを特徴とする前記模型。
  2. それぞれの加速模型でうまく加速するための工程を偏心カムを用いて機械的な進行波又は定在波により表現する請求項1記載の模型。
  3. 玉の回収機構及び入射機構などの構造を備えた請求項1記載の模型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009025566A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 National Institute Of Advanced Industrial & Technology トポロジカル・ソリトン回路の模型
JP2010096970A (ja) * 2008-10-16 2010-04-30 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology トポロジカル・ソリトン回路の模型
CN103915020A (zh) * 2014-04-16 2014-07-09 陈涛 教学用重力加速度测量仪

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