JP2004163580A - ドライイメージング材料 - Google Patents
ドライイメージング材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004163580A JP2004163580A JP2002328069A JP2002328069A JP2004163580A JP 2004163580 A JP2004163580 A JP 2004163580A JP 2002328069 A JP2002328069 A JP 2002328069A JP 2002328069 A JP2002328069 A JP 2002328069A JP 2004163580 A JP2004163580 A JP 2004163580A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- dry imaging
- imaging material
- compound
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
Abstract
【課題】即写真性能において高い感度と低いカブリに優れたドライイメージング材料を提供する。また、現像後の焼きだし銀によるカブリが抑制されたドライイメージング材料を提供する。また、現像前の生保存性と現像後の画像保存性に優れているドライイメージング材料を提供する。
【解決手段】支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成するドライイメージング材料に関するものであり、特に低いカブリと高い感度を得ることができ、保存性に優れたドライイメージング材料に関する。また、現像後に得られた画像の保存性にも優れ、焼き出し銀を抑制したドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、ドライイメージング材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプのドライイメージング材料には、通常、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及びヒンダードフェノールを含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止層(AI層)或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(BC層)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時に傷が付くのを防ぐための保護層等が設けられている。
【0004】
一般にドライイメージング材料は、露光後加熱現像のみで画像を出すので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のためには、現像温度を高温にするのがよいが、あまり高温にするとカブリが出易くなり、感度が低下する。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的に現像される。カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、メルカプト化合物は、銀の色調を劣化させ易く使用量に限度があった。
【0005】
又、カブリ抑制や保存性向上に、ポリハロメタン化合物を使用することが開示されている(例えば、特許文献4、5参照)が、ポリハロメタン化合物の使用は、最高光学濃度を低下させる傾向があり、使用量において限度があり充分ではなかった。技術分野が異なる製版用非銀塩感材の360〜900nmの吸収域に濃度変化を生じさせるロイコ色素に対して酸発生剤を使用する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)が、この酸発生剤を使用してもカブリ抑制や保存性の改良に効果がなかった。分子構造的には、−SO3−基が直接炭素原子に結合しているためと隣接基に電子求引性の置換基がないことや本発明の現像温度、時間、添加剤系の触媒の不適合等によるものと考えられ、早急な解決手段の開発が要望されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−341432号公報(第1−3頁)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−019681号公報(第1−8頁)
【0008】
【特許文献3】
特開平9−244177号公報(第1−5頁)
【0009】
【特許文献4】
特開平9−265150号公報(第1−15頁)
【0010】
【特許文献5】
特開平9−319022号公報(第1−10頁)
【0011】
【特許文献6】
特開2002−059651号公報(第1−13頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、即写真性能において高い感度と低いカブリに優れたドライイメージング材料を提供することにある。本発明の第2の目的は、現像後の焼きだし銀によるカブリが抑制されたドライイメージング材料を提供することにある。さらに本発明の第3の目的は、現像前の生保存性と現像後の画像保存性に優れているドライイメージング材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0014】
1.支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0015】
2.前記酸発生剤が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載のドライイメージング材料。
【0016】
3.フタラジン化合物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載のドライイメージング材料。
【0017】
4.ポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0018】
5.ヒンダードフェノールが環状置換基を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0019】
6.結合剤を架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物、エポキシ化合物及びアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のドライイメージング材料は、支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを一つの特徴とする。
【0021】
本発明のドライイメージング材料は、通常、支持体上に少なくとも1層の感光層及び該感光層に隣接する層を設けた少なくとも2層以上の層構成からなり、感光層の反対側に設けられるBC層、その保護層等が含まれることが好ましい。上記ドライイメージング材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子が含まれ、さらに該感光層又はその隣接層には銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するためのヒンダードフェノールが含有され、本発明の酸発生剤が含有される。
【0022】
上記ドライイメージング材料の感光層やその感光層の隣接層には、熱現像反応の場を提供する高分子結合剤、親水性結合剤や疎水性結合剤が含有されることが好ましく、さらに好ましくは該結合剤を架橋硬化させるイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物またはエポキシ化合物等が含有される。上記のドライイメージング材料において必要によりイラジエーション防止用又はハレーション防止用の染料を含有するAI層又はBC層が設けられることが好ましい。
【0023】
以下、本発明のドライイメージング材料に含有される酸発生剤、フタラジン化合物およびポリハロメタン化合物について順次説明する。なお、上記ドライイメージング材料の感光層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子、感光層又はその隣接層に含有される有機銀塩、ヒンダードフェノール、感光層又はその隣接層に含有される高分子結合剤等について更に後述する。
【0024】
本発明に係る分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物(以下S化合物ともいう)は、下記一般式(S)で表される。
【0025】
【化2】
【0026】
(式中、Rfは直鎖又は分枝の、炭化水素鎖または鎖に酸素原子を含む炭化水素鎖の水素原子が部分的にまたは完全にフッ素原子で置換された基を含む基であり、L1及びL2はフッ素原子を有さない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子、酸素原子、水素原子を含んでもよい炭素原子または窒素原子を中心にして構成される原子群よりなる2〜4価の連結基を表し、Aはスルホン酸基またはその塩基を表し、m及びnは0または1を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2または3を表す。)
Rfは直鎖又は分枝の、炭化水素鎖または鎖に酸素原子を含む炭化水素鎖の水素原子が部分的にまたは完全にフッ素原子で置換された基を含む基を表すが、炭素数1〜10のそれぞれ分枝のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、アルケニル基(例えば、プロペニル基、ブテニル基);アルコキシアルキル基、アルコキシアルキルオキシアルキル基、アルコキシアルキルオキシアルキルオキシアルキル基(例えば、プロピルオキシエチル基、ブチルオキシエチルオキシエチル基等);等の水素原子がフッ素原子で部分的に又は完全に置換された基が挙げられる。
【0027】
L1及びL2はフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基及びブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基及びブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基及びオキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基、またはこれらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0028】
Yはフッ素原子、酸素原子、水素原子を含んでもよい炭素原子または窒素原子を中心にして構成される原子群よりなる2〜4価の連結基を表すが、例えば、>C<、>CH−、−CH2−、−CF2CF2CF2−、−(CF2)6−、−CF2CF(OH)CF2−、−CF2OCF2−、−CF2CF2OCF2CF2−、−CF2CF2CONHCH2NHCOCF2CF2−、−(C6H4)−、−CH2−(C6H4)−CH2−、−CH2−CH=CH−CH2−、−(C6H4)−(C6H4)−、−CH2−(C6H4)−(C6H4)−CH2−等の各基が挙げられる。
【0029】
Aはスルホン酸基又はその塩基(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)を表す。
【0030】
m及びnは0または1を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2または3を表す。
【0031】
一般式(S)で表される化合物は、代表的にはジハロゲン化アルキレン化合物をスルホン化し、水素原子をフッ酸でフッ素原子に置換することにより得ることができる。或いは、フッ素原子を導入した炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基)、アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基及びパーフロロブテニル、パーフロロノネニル基等を有する化合物のクロリド又は沃化物)と、それぞれフッ素原子を有してもよい3〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との縮合反応物をスルホ化することによって得ることができる。アルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等がある。芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。一般式(S)で表される化合物の好ましい具体例を下記に示す。
【0032】
【化3】
【0033】
本発明の一般式(S)で表される化合物の添加方法は、水、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の溶媒に溶解又は微粒子分散して添加してもよい。一般式(S)で表される化合物の添加量は1m2当たりの付き量として1×10−6モル〜1×10−1モルの範囲が好ましく、特に1×10−4モル〜1×10−2モルの範囲が好ましい。この範囲未満では、保存性の改良効果が得られにくいし、これより多いと、耐湿性等が劣化する。
【0034】
本発明に係る酸発生剤について説明する。酸発生剤は保存中には微量ながら少なくとも分子内部での解裂によりスルホン酸を発生することのできる化合物であり、現像時に多量にスルホン酸を発生する必要はない。秒単位の短時間高温で発生するよりも数日、数ヶ月単位で解裂するものが好ましい。しかもスルホン酸が発生するときに、分裂した2つの分子は写真的に無害な残基となる構造を有する酸発生剤が好ましい。該構造を有する酸発生剤の好ましいものとして前記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0035】
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、R1及びR2で表される、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基としては、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜30のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、トリフロロブチル基、ペンタフロロプロピル基、アセチレニル基、ブテニル基、ノネニル基等が挙げられる。
【0036】
アリール基としては、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等が挙げられる。
【0037】
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基等が挙げられる。
【0038】
アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基(置換オキシ基)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基、ブテノオキシ基、フェノキシ基、p−アミノフェノキシ基、p−グリシジルフェノキシ基、p−ブチルイソシアナートフェノキシ基、p−トリメトキシシラノプロピルオキシフェノキシ基、ピリジンオキシ基、チオフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
置換アミノ基としては、例えば、フェニルアミノ基、p−チアジアゾールアミノ基、トリオキシシラノプロピルアミノ基、p−トリメトキシプロピルオキシフェノキシアミノ基等を挙げることができる。
【0040】
W1で表される、置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基としては、例えば、R1及びR2で表される、アルキル基と同様なものが挙げられる。
【0041】
アリール基としては、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−トリフロロメチルフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−(フェニルスルホニル)フェニル基、p−(フェニルスルホニルアミノ)フェニル基、p−(フェニルカルボニルアミノ)フェニル基、p−(2,4−ジ−(t)−アミルフェニルスルホニルアミノ)フェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0042】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子や臭素原子が好ましく、アルキル基やアルケニル基は、直鎖や分岐、飽和や不飽和を含んでいてもよい。
【0043】
以下好ましい酸発生剤の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
【化6】
【0047】
本発明の上記酸発生剤は、特開2002−59651号48頁下段の合成ルートに準じて合成することができる。例えば、アリールスルホニルクロライド化合物とN−ヒドロキシサクシンイミドとをN,N−ジメチルアセトアミド中、5℃〜10℃の温度で3時間〜24時間反応させて酢酸エチルと水の1:1混合溶媒で水層を除去し、有機層を塩酸で数回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して得ることができる。
【0048】
これら合成された酸発生剤を添加する方法は公知の添加方法に従って添加することができる。メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。添加量は塗布液中に1000分の1質量%から60質量%の範囲で添加することが好ましく、100分の1質量%から30質量%の範囲が特に好ましくこの範囲で適宜添加量を調節して使用することができる。モル数で添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜10−2モルで添加することができる。10−6モル未満では、酸放出剤からの酸による画像保存性の向上効果が得難く、10−2モルより大きいと塗膜の強度を低下させ傷が付き易くなるので好ましくない。
【0049】
(フタラジン化合物)
本発明において好ましく用いられるフタラジン化合物は、フタラジン環に各種置換基を導入して得ることができる。好ましいフタラジン化合物は一般式(2)で示すことができる。
【0050】
【化7】
【0051】
式中、R2〜R7は各々、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アキニル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロ環基を表す。該置換基は機能として拡散性を制御する基、非拡散性基、拡散性基、吸着性基、酸性基等の基であってもよい。また、該置換基は、一般式(1)のR1及びR2(環上への置換基)と同様な基でもよい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基の炭素数は、1〜30が好ましく、特に好ましくは、1〜25である。炭素数が多いとカブリ抑制、色調や保存性において良い効果が得れなくなる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示す。
【0052】
【化8】
【0053】
(ポリハロメタン化合物)
本発明において好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、1個の分子の中に、トリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物であり、該トリハロメタン基が脂肪族基上に置換されたり、芳香族炭化水素環基上やヘテロ環基上に置換されている。該芳香族炭化水素環基やヘテロ環基は2価の連結基を介して更に芳香族炭化水素環やヘテロ環に連結してもよい。該芳香族炭化水素環基としてはフェニル基やナフタレン基が好ましく、これら環基上には例えば、ロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等)等の置換基を有してもよい。ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、フリル環基、チオフェニル環基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基等が挙げられ、これらの基の環上には、芳香族族炭化水素環基の場合と同様な置換基を有してもよい。また、芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基上には、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。トリハロメタン基に隣接する基がスルホニル基やカルボニル基であることが好ましいが、直接芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基は還元されて非アリール型の飽和環基であることが特に好ましい。トリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0054】
【化9】
【0055】
式中、X1、X2及びX3は各々、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基またはアリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Z2は環基を表す。L1は−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、pは0または1を表す。
【0056】
Z2で表される環基としては、飽和または不飽和の炭化水素環基またはヘテロ環基が挙げられる。
【0057】
該飽和または不飽和の炭化水素環基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基、例えば、アダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
【0058】
該飽和または不飽和のヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、単環または縮環していてもよく、好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデン等が挙げられる。好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0059】
Z2で表される環基は、−(L1)p−C(X1)、(X2)、(X3)の他に置換基を有していてもよく、該置換基として、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0060】
X1、X2及びX3は、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基またはアリール基を表し、少なくとも一つはハロゲン原子であるが、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、より好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。好ましいポリハロメタン化合物の具体例を下記に示す。
【0061】
【化10】
【0062】
【化11】
【0063】
【化12】
【0064】
前記フタラジン化合物の合成は特開平11−180961号公報を参考に行うことができ、また上記ポリハロメタン化合物であるトリブロモメチルスルホニル化合物の合成は特開2001−226343号公報を参考に行うことができる。
【0065】
前記フタラジン化合物及び上記ポリハロメタン化合物の添加量はハロゲン化銀当たり、10−6モル〜10−2モルの範囲で添加することができる。10−6モル未満では、酸放出剤との併用による画像保存性の向上が得にくく、10−2モルより多く添加すると感度の低下が大きく好ましくない。添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要はなく、隣接層や下塗り層でもよい。添加する方法は、酸発生剤の場合と同様な方法で添加することができる。
【0066】
次に本発明のドライイメージング材料に使用される有機銀塩、ヒンダードフェノール、感光性ハロゲン化銀粒子、結合剤、染料、マット剤、支持体等について順次説明する。
【0067】
(有機銀塩)
本発明のドライイメージング材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、特開2000−292880号公報1頁から2頁に掛けて記載されており、次のものがある:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸銀塩、シュウ酸銀塩、ベヘン酸銀塩、ステアリン酸銀塩、パルミチン酸銀塩、ラウリン酸銀塩等)等が挙げられる。
【0068】
(ヒンダードフェノール)
本発明のドライイメージング材料に含有される好ましいヒンダードフェノールの例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書に記載されており、次のものが挙げられる。
【0069】
ヒンダードフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体;ヒンダードフェノール類;3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましいヒンダードフェノールは、ヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が特に好ましく挙げられる。
【0070】
【化13】
【0071】
式中、Rはアリール基、ヘテロ環基またはシクロアルケニル基を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基又はアリール基を表す。
【0072】
Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等が挙げられる。
【0073】
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基等が挙げられる。
【0074】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、2−メチルシクロヘキセニル(3)基、2,4−ジメチルシクロヘキセニル(3)基、1−メチルシクロヘキセニル基、1,3−ジクロロシクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0075】
R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基又はアリール基を表すが、該アリール基としては、前記Rで表されるアリール基と同様の基が挙げられる。
【0076】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0077】
【化14】
【0078】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとするヒンダードフェノールの使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−3〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。1×10−2モル未満では、現像が不充分となり、高い濃度が得にくく、10モルより多いと保存時のカブリが極端に増大するので好ましくない。
【0079】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明のドライイメージング材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀粒子は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明に係る他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀粒子を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0080】
感光性ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズが0.1μm以下であり、0.01〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.08μmであることが特に好ましい。又、感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0081】
上記感光性ハロゲン化銀粒子の使用量は感光性ハロゲン化銀粒子及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下、好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記の感光性ハロゲン化銀粒子形成成分を用いて有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀粒子に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0082】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀粒子は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0083】
又、これらの感光性ハロゲン化銀粒子には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0084】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、感光性ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、感光性ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、感光性ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等の各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0085】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。
【0086】
(結合剤)
本発明のドライイメージング材料の感光層又は非感光層に用いられる高分子結合剤としては、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノールが反応する場として好ましい素材等が選択される。上記高分子結合剤としては例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明のドライイメージング材料の高分子結合剤としては、いずれでもよい。また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20℃から80℃であることが好ましく、特に−5℃から60℃であることが好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、一方、低いとカブリが発生し易くなり、感度の低下や軟調になるからである。
【0087】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に塗布、乾燥後、塗膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類等を挙げることができる。
【0088】
(架橋剤)
結合剤は、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を併用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、AH層、感光層、保護層、バッキング層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。好ましい架橋剤としては、イソシアナート基、ビニルスルホニル基、エポキシ基またはアルコキシシラン基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤としてイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。
【0089】
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】
(必要によってAI層又はBC層に使用される染料)
本発明のドライイメージング材料は、必要により該ドライイメージング材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号明細書等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量がドライイメージング材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0093】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、有機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0094】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0095】
(支持体)
支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0096】
〈画像露光〉
露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号および特開2000−10230号公報記載の方法によりレーザー露光することができる。
【0097】
〈熱現像装置〉
ドライイメージング材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号および同11−84619号公報記載の装置を使用することができる。
【0098】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0099】
実施例1
[下引済み支持体の作製]
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1を設け、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0100】
《下引塗布液a−1》
水で1lに仕上げる。
【0101】
【0102】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引上層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下引上層B−2を設けた。
【0103】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0104】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤A86gを得た。
【0105】
〈水分散有機銀塩Aの調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、水を加えて150mlに仕上げた。これを水分散有機銀塩Aとする。
[ドライイメージング材料の作製]
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、ドライイメージング材料試料101〜119を作製した。
【0106】
〔BC層側塗布〕
バック面側には以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した固形分濃度15質量%の塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0107】
《BC層塗布》
セルロースアセテートブチレート 1.8g/m2
染料:C 1.4×10−5モル/m2
活性剤:パーフロロプロピレンジスルホン酸リチウム 0.02g/m2
ジパーフロロヘキシルスルホ琥珀酸エステルナトリウム塩0.02g/m2
架橋剤:H−8 0.02g/m2
《BC保護層の塗布》
セルロースアセテートブチレート 1.1g/m2
架橋剤1:H−11 0.01g/m2
架橋剤2:H−12 0.01g/m2
帯電防止剤:E 0.02g/m2
マット剤(PMMA:平均粒子径5μm) 0.12g/m2
[感光層側の塗布]
《AI層の塗布》
結合剤:PVB−1 0.4g/m2
染料:C(BC層と同種) 1.0×15モル/m2
《感光層の塗布》
以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0108】
水分散有機銀塩A (銀量として)1.36g/m2
結合剤:PVB−1(AI層と同種) 2.6g/m2
架橋剤:表1記載 3.2×10−4モル/m2
酸発生剤:表1記載 3.2×10−4モル/m2
分光増感色素:D 2×10−5モル/m2
カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド0.3mg/m2
カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m2
ヒンダードフェノール:表1記載 3.3ミリモル/m2
ポリハロメタン化合物:表1記載 2.2×10−4モル/m2
《表面保護層》
以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を固形分濃度15質量%調製した。この塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0109】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
フタラジン化合物:表1記載 1.5×10−4モル/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
帯電防止剤:E(BC保護層と同種) 1×10−4モル/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
【0110】
【化17】
【0111】
[評価方法]
《即写真性能》
ドライイメージング材料試料を暗室下、23℃相対湿度47%で3日間保存後(以下、未熱処理と略す。)、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、128℃で6秒間熱現像した。得られた画像試料のカブリ(F1)、感度(即写真性能)を求めた。感度はカブリより1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数として求め、試料101を100とする相対感度(S1)で示す。
【0112】
《生保存性》
ドライイメージング材料試料(未熱処理済み)を、ポリエチレン袋にヒートシールにより密封し、温度55℃に設定した恒温箱に96時間保存(以下、熱処理と略す。)した後取り出し、前記即写真性能の場合と同様に露光、現像し、得られた画像試料のカブリ(F2)及び感度を求めた。カブリ差は、熱処理した場合のカブリ(F2)と前記未熱処理の場合のカブリ(F1)との差(カブリ差=F2−F1)を求めて示す。感度は、試料101の未熱処理の場合を100とする相対感度(S2)で示す。カブリ差(カブリの増加分)が少ない程、また、感度差(感度差=|S2−S1|)即ち感度の低下分が少ない程生保存性がよいことを表す。
【0113】
《画像保存性》
前記即写真性能を評価した画像試料を、1万ルクスのシャーカステン上に10時間放置し、そのときのカブリの上昇分(焼き出し銀)、最高濃度の低下分(最高濃度差)を求めた。カブリの上昇分(焼き出し銀)、最高濃度の低下分(最高濃度差)が少ない程画像保存性が良いことを表す。
【0114】
【表1】
【0115】
S−0:S化合物の比較化合物としての、パーフロロオクチルスルホン酸ナトリウム
A−54:酸発生剤の比較化合物としての、p−メチルベンゼンスルホン酸p−メトキシシクロヘキシノールエステル(特開2002−59651号記載)
BP−0:ヒンダードフェノールの比較化合物としての、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン
H−0:架橋剤の比較化合物としての、アルミニウムトリイソプロポキシド
表1から明らかなように、本発明に係る酸発生剤を使用すると熱現像時の即写真性能、生保存性及び画像保存性に優れることがわかる。更に、本発明に好ましく用いられる、フタラジン化合物、ポリハロメタン化合物、(環基で置換された)ヒンダードフェノール、架橋剤を使用すると即写真性能、生保存性及び画像保存性が向上することがわかる。
【0116】
【発明の効果】
本発明により、即写真性能において高い感度と低いカブリに優れたドライイメージング材料を提供できる。また、現像後の焼きだし銀によるカブリが抑制されたドライイメージング材料を提供できる。また、現像前の生保存性と現像後の画像保存性に優れているドライイメージング材料を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成するドライイメージング材料に関するものであり、特に低いカブリと高い感度を得ることができ、保存性に優れたドライイメージング材料に関する。また、現像後に得られた画像の保存性にも優れ、焼き出し銀を抑制したドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、ドライイメージング材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプのドライイメージング材料には、通常、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及びヒンダードフェノールを含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止層(AI層)或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(BC層)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時に傷が付くのを防ぐための保護層等が設けられている。
【0004】
一般にドライイメージング材料は、露光後加熱現像のみで画像を出すので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のためには、現像温度を高温にするのがよいが、あまり高温にするとカブリが出易くなり、感度が低下する。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的に現像される。カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、メルカプト化合物は、銀の色調を劣化させ易く使用量に限度があった。
【0005】
又、カブリ抑制や保存性向上に、ポリハロメタン化合物を使用することが開示されている(例えば、特許文献4、5参照)が、ポリハロメタン化合物の使用は、最高光学濃度を低下させる傾向があり、使用量において限度があり充分ではなかった。技術分野が異なる製版用非銀塩感材の360〜900nmの吸収域に濃度変化を生じさせるロイコ色素に対して酸発生剤を使用する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)が、この酸発生剤を使用してもカブリ抑制や保存性の改良に効果がなかった。分子構造的には、−SO3−基が直接炭素原子に結合しているためと隣接基に電子求引性の置換基がないことや本発明の現像温度、時間、添加剤系の触媒の不適合等によるものと考えられ、早急な解決手段の開発が要望されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−341432号公報(第1−3頁)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−019681号公報(第1−8頁)
【0008】
【特許文献3】
特開平9−244177号公報(第1−5頁)
【0009】
【特許文献4】
特開平9−265150号公報(第1−15頁)
【0010】
【特許文献5】
特開平9−319022号公報(第1−10頁)
【0011】
【特許文献6】
特開2002−059651号公報(第1−13頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、即写真性能において高い感度と低いカブリに優れたドライイメージング材料を提供することにある。本発明の第2の目的は、現像後の焼きだし銀によるカブリが抑制されたドライイメージング材料を提供することにある。さらに本発明の第3の目的は、現像前の生保存性と現像後の画像保存性に優れているドライイメージング材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0014】
1.支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0015】
2.前記酸発生剤が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載のドライイメージング材料。
【0016】
3.フタラジン化合物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載のドライイメージング材料。
【0017】
4.ポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0018】
5.ヒンダードフェノールが環状置換基を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0019】
6.結合剤を架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物、エポキシ化合物及びアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のドライイメージング材料は、支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを一つの特徴とする。
【0021】
本発明のドライイメージング材料は、通常、支持体上に少なくとも1層の感光層及び該感光層に隣接する層を設けた少なくとも2層以上の層構成からなり、感光層の反対側に設けられるBC層、その保護層等が含まれることが好ましい。上記ドライイメージング材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子が含まれ、さらに該感光層又はその隣接層には銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するためのヒンダードフェノールが含有され、本発明の酸発生剤が含有される。
【0022】
上記ドライイメージング材料の感光層やその感光層の隣接層には、熱現像反応の場を提供する高分子結合剤、親水性結合剤や疎水性結合剤が含有されることが好ましく、さらに好ましくは該結合剤を架橋硬化させるイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物またはエポキシ化合物等が含有される。上記のドライイメージング材料において必要によりイラジエーション防止用又はハレーション防止用の染料を含有するAI層又はBC層が設けられることが好ましい。
【0023】
以下、本発明のドライイメージング材料に含有される酸発生剤、フタラジン化合物およびポリハロメタン化合物について順次説明する。なお、上記ドライイメージング材料の感光層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子、感光層又はその隣接層に含有される有機銀塩、ヒンダードフェノール、感光層又はその隣接層に含有される高分子結合剤等について更に後述する。
【0024】
本発明に係る分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物(以下S化合物ともいう)は、下記一般式(S)で表される。
【0025】
【化2】
【0026】
(式中、Rfは直鎖又は分枝の、炭化水素鎖または鎖に酸素原子を含む炭化水素鎖の水素原子が部分的にまたは完全にフッ素原子で置換された基を含む基であり、L1及びL2はフッ素原子を有さない2価の連結基を表し、Yはフッ素原子、酸素原子、水素原子を含んでもよい炭素原子または窒素原子を中心にして構成される原子群よりなる2〜4価の連結基を表し、Aはスルホン酸基またはその塩基を表し、m及びnは0または1を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2または3を表す。)
Rfは直鎖又は分枝の、炭化水素鎖または鎖に酸素原子を含む炭化水素鎖の水素原子が部分的にまたは完全にフッ素原子で置換された基を含む基を表すが、炭素数1〜10のそれぞれ分枝のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、アルケニル基(例えば、プロペニル基、ブテニル基);アルコキシアルキル基、アルコキシアルキルオキシアルキル基、アルコキシアルキルオキシアルキルオキシアルキル基(例えば、プロピルオキシエチル基、ブチルオキシエチルオキシエチル基等);等の水素原子がフッ素原子で部分的に又は完全に置換された基が挙げられる。
【0027】
L1及びL2はフッ素原子を有さない2価の連結基を表すが、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基及びブチレン基等)、アルキレンオキシ基(メチレンオキシ基、エチレンオキシ基及びブチレンオキシ基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基及びオキシブチレン基等)、オキシアルキレンオキシ基(例えば、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシエチレンオキシエチレンオキシ基等)、フェニレン基、オキシフェニレン基、フェニルオキシ基、オキシフェニルオキシ基、またはこれらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0028】
Yはフッ素原子、酸素原子、水素原子を含んでもよい炭素原子または窒素原子を中心にして構成される原子群よりなる2〜4価の連結基を表すが、例えば、>C<、>CH−、−CH2−、−CF2CF2CF2−、−(CF2)6−、−CF2CF(OH)CF2−、−CF2OCF2−、−CF2CF2OCF2CF2−、−CF2CF2CONHCH2NHCOCF2CF2−、−(C6H4)−、−CH2−(C6H4)−CH2−、−CH2−CH=CH−CH2−、−(C6H4)−(C6H4)−、−CH2−(C6H4)−(C6H4)−CH2−等の各基が挙げられる。
【0029】
Aはスルホン酸基又はその塩基(ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩)を表す。
【0030】
m及びnは0または1を表し、pは0〜3の整数を表し、qは2または3を表す。
【0031】
一般式(S)で表される化合物は、代表的にはジハロゲン化アルキレン化合物をスルホン化し、水素原子をフッ酸でフッ素原子に置換することにより得ることができる。或いは、フッ素原子を導入した炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、パーフロロブチル基)、アルケニル基(例えば、パーフロロプロペニル基及びパーフロロブテニル、パーフロロノネニル基等を有する化合物のクロリド又は沃化物)と、それぞれフッ素原子を有してもよい3〜6価のアルカノール化合物、水酸基を3〜4個有する芳香族化合物またはヘテロ化合物との縮合反応物をスルホ化することによって得ることができる。アルカノール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンテン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ブタノール)−3、脂肪族トリオール、テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール等がある。芳香族化合物及びへテロ化合物としては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及び2,4,6−トリヒドロキシピリジン等が挙げられる。一般式(S)で表される化合物の好ましい具体例を下記に示す。
【0032】
【化3】
【0033】
本発明の一般式(S)で表される化合物の添加方法は、水、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の溶媒に溶解又は微粒子分散して添加してもよい。一般式(S)で表される化合物の添加量は1m2当たりの付き量として1×10−6モル〜1×10−1モルの範囲が好ましく、特に1×10−4モル〜1×10−2モルの範囲が好ましい。この範囲未満では、保存性の改良効果が得られにくいし、これより多いと、耐湿性等が劣化する。
【0034】
本発明に係る酸発生剤について説明する。酸発生剤は保存中には微量ながら少なくとも分子内部での解裂によりスルホン酸を発生することのできる化合物であり、現像時に多量にスルホン酸を発生する必要はない。秒単位の短時間高温で発生するよりも数日、数ヶ月単位で解裂するものが好ましい。しかもスルホン酸が発生するときに、分裂した2つの分子は写真的に無害な残基となる構造を有する酸発生剤が好ましい。該構造を有する酸発生剤の好ましいものとして前記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0035】
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、R1及びR2で表される、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基としては、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜30のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、トリフロロブチル基、ペンタフロロプロピル基、アセチレニル基、ブテニル基、ノネニル基等が挙げられる。
【0036】
アリール基としては、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等が挙げられる。
【0037】
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基等が挙げられる。
【0038】
アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基(置換オキシ基)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基、ブテノオキシ基、フェノキシ基、p−アミノフェノキシ基、p−グリシジルフェノキシ基、p−ブチルイソシアナートフェノキシ基、p−トリメトキシシラノプロピルオキシフェノキシ基、ピリジンオキシ基、チオフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
置換アミノ基としては、例えば、フェニルアミノ基、p−チアジアゾールアミノ基、トリオキシシラノプロピルアミノ基、p−トリメトキシプロピルオキシフェノキシアミノ基等を挙げることができる。
【0040】
W1で表される、置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基としては、例えば、R1及びR2で表される、アルキル基と同様なものが挙げられる。
【0041】
アリール基としては、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−トリフロロメチルフェニル基、p−ブチルフェニル基、p−(フェニルスルホニル)フェニル基、p−(フェニルスルホニルアミノ)フェニル基、p−(フェニルカルボニルアミノ)フェニル基、p−(2,4−ジ−(t)−アミルフェニルスルホニルアミノ)フェニル基、p−メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0042】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子や臭素原子が好ましく、アルキル基やアルケニル基は、直鎖や分岐、飽和や不飽和を含んでいてもよい。
【0043】
以下好ましい酸発生剤の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
【化6】
【0047】
本発明の上記酸発生剤は、特開2002−59651号48頁下段の合成ルートに準じて合成することができる。例えば、アリールスルホニルクロライド化合物とN−ヒドロキシサクシンイミドとをN,N−ジメチルアセトアミド中、5℃〜10℃の温度で3時間〜24時間反応させて酢酸エチルと水の1:1混合溶媒で水層を除去し、有機層を塩酸で数回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して得ることができる。
【0048】
これら合成された酸発生剤を添加する方法は公知の添加方法に従って添加することができる。メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。添加量は塗布液中に1000分の1質量%から60質量%の範囲で添加することが好ましく、100分の1質量%から30質量%の範囲が特に好ましくこの範囲で適宜添加量を調節して使用することができる。モル数で添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜10−2モルで添加することができる。10−6モル未満では、酸放出剤からの酸による画像保存性の向上効果が得難く、10−2モルより大きいと塗膜の強度を低下させ傷が付き易くなるので好ましくない。
【0049】
(フタラジン化合物)
本発明において好ましく用いられるフタラジン化合物は、フタラジン環に各種置換基を導入して得ることができる。好ましいフタラジン化合物は一般式(2)で示すことができる。
【0050】
【化7】
【0051】
式中、R2〜R7は各々、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アキニル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロ環基を表す。該置換基は機能として拡散性を制御する基、非拡散性基、拡散性基、吸着性基、酸性基等の基であってもよい。また、該置換基は、一般式(1)のR1及びR2(環上への置換基)と同様な基でもよい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基の炭素数は、1〜30が好ましく、特に好ましくは、1〜25である。炭素数が多いとカブリ抑制、色調や保存性において良い効果が得れなくなる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示す。
【0052】
【化8】
【0053】
(ポリハロメタン化合物)
本発明において好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、1個の分子の中に、トリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物であり、該トリハロメタン基が脂肪族基上に置換されたり、芳香族炭化水素環基上やヘテロ環基上に置換されている。該芳香族炭化水素環基やヘテロ環基は2価の連結基を介して更に芳香族炭化水素環やヘテロ環に連結してもよい。該芳香族炭化水素環基としてはフェニル基やナフタレン基が好ましく、これら環基上には例えば、ロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等)等の置換基を有してもよい。ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、フリル環基、チオフェニル環基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基等が挙げられ、これらの基の環上には、芳香族族炭化水素環基の場合と同様な置換基を有してもよい。また、芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基上には、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。トリハロメタン基に隣接する基がスルホニル基やカルボニル基であることが好ましいが、直接芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。芳香族族炭化水素環基やヘテロ環基は還元されて非アリール型の飽和環基であることが特に好ましい。トリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0054】
【化9】
【0055】
式中、X1、X2及びX3は各々、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基またはアリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Z2は環基を表す。L1は−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、pは0または1を表す。
【0056】
Z2で表される環基としては、飽和または不飽和の炭化水素環基またはヘテロ環基が挙げられる。
【0057】
該飽和または不飽和の炭化水素環基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基、例えば、アダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
【0058】
該飽和または不飽和のヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、単環または縮環していてもよく、好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデン等が挙げられる。好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0059】
Z2で表される環基は、−(L1)p−C(X1)、(X2)、(X3)の他に置換基を有していてもよく、該置換基として、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0060】
X1、X2及びX3は、水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基またはアリール基を表し、少なくとも一つはハロゲン原子であるが、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、より好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。好ましいポリハロメタン化合物の具体例を下記に示す。
【0061】
【化10】
【0062】
【化11】
【0063】
【化12】
【0064】
前記フタラジン化合物の合成は特開平11−180961号公報を参考に行うことができ、また上記ポリハロメタン化合物であるトリブロモメチルスルホニル化合物の合成は特開2001−226343号公報を参考に行うことができる。
【0065】
前記フタラジン化合物及び上記ポリハロメタン化合物の添加量はハロゲン化銀当たり、10−6モル〜10−2モルの範囲で添加することができる。10−6モル未満では、酸放出剤との併用による画像保存性の向上が得にくく、10−2モルより多く添加すると感度の低下が大きく好ましくない。添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要はなく、隣接層や下塗り層でもよい。添加する方法は、酸発生剤の場合と同様な方法で添加することができる。
【0066】
次に本発明のドライイメージング材料に使用される有機銀塩、ヒンダードフェノール、感光性ハロゲン化銀粒子、結合剤、染料、マット剤、支持体等について順次説明する。
【0067】
(有機銀塩)
本発明のドライイメージング材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、特開2000−292880号公報1頁から2頁に掛けて記載されており、次のものがある:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸銀塩、シュウ酸銀塩、ベヘン酸銀塩、ステアリン酸銀塩、パルミチン酸銀塩、ラウリン酸銀塩等)等が挙げられる。
【0068】
(ヒンダードフェノール)
本発明のドライイメージング材料に含有される好ましいヒンダードフェノールの例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書に記載されており、次のものが挙げられる。
【0069】
ヒンダードフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体;ヒンダードフェノール類;3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましいヒンダードフェノールは、ヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が特に好ましく挙げられる。
【0070】
【化13】
【0071】
式中、Rはアリール基、ヘテロ環基またはシクロアルケニル基を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基又はアリール基を表す。
【0072】
Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等が挙げられる。
【0073】
ヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基等が挙げられる。
【0074】
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル基、2−メチルシクロヘキセニル(3)基、2,4−ジメチルシクロヘキセニル(3)基、1−メチルシクロヘキセニル基、1,3−ジクロロシクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0075】
R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基又はアリール基を表すが、該アリール基としては、前記Rで表されるアリール基と同様の基が挙げられる。
【0076】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0077】
【化14】
【0078】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとするヒンダードフェノールの使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−3〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。1×10−2モル未満では、現像が不充分となり、高い濃度が得にくく、10モルより多いと保存時のカブリが極端に増大するので好ましくない。
【0079】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明のドライイメージング材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀粒子は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明に係る他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀粒子を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0080】
感光性ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズが0.1μm以下であり、0.01〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.08μmであることが特に好ましい。又、感光性ハロゲン化銀粒子の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0081】
上記感光性ハロゲン化銀粒子の使用量は感光性ハロゲン化銀粒子及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下、好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記の感光性ハロゲン化銀粒子形成成分を用いて有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀粒子に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0082】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀粒子は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0083】
又、これらの感光性ハロゲン化銀粒子には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0084】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、感光性ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、感光性ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、感光性ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等の各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0085】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。
【0086】
(結合剤)
本発明のドライイメージング材料の感光層又は非感光層に用いられる高分子結合剤としては、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノールが反応する場として好ましい素材等が選択される。上記高分子結合剤としては例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明のドライイメージング材料の高分子結合剤としては、いずれでもよい。また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20℃から80℃であることが好ましく、特に−5℃から60℃であることが好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、一方、低いとカブリが発生し易くなり、感度の低下や軟調になるからである。
【0087】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に塗布、乾燥後、塗膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類等を挙げることができる。
【0088】
(架橋剤)
結合剤は、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を併用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、AH層、感光層、保護層、バッキング層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。好ましい架橋剤としては、イソシアナート基、ビニルスルホニル基、エポキシ基またはアルコキシシラン基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤としてイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。
【0089】
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】
(必要によってAI層又はBC層に使用される染料)
本発明のドライイメージング材料は、必要により該ドライイメージング材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号明細書等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量がドライイメージング材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0093】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、有機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0094】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0095】
(支持体)
支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0096】
〈画像露光〉
露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号および特開2000−10230号公報記載の方法によりレーザー露光することができる。
【0097】
〈熱現像装置〉
ドライイメージング材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号および同11−84619号公報記載の装置を使用することができる。
【0098】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0099】
実施例1
[下引済み支持体の作製]
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1を設け、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0100】
《下引塗布液a−1》
水で1lに仕上げる。
【0101】
【0102】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引上層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下引上層B−2を設けた。
【0103】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0104】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤A86gを得た。
【0105】
〈水分散有機銀塩Aの調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、水を加えて150mlに仕上げた。これを水分散有機銀塩Aとする。
[ドライイメージング材料の作製]
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、ドライイメージング材料試料101〜119を作製した。
【0106】
〔BC層側塗布〕
バック面側には以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した固形分濃度15質量%の塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0107】
《BC層塗布》
セルロースアセテートブチレート 1.8g/m2
染料:C 1.4×10−5モル/m2
活性剤:パーフロロプロピレンジスルホン酸リチウム 0.02g/m2
ジパーフロロヘキシルスルホ琥珀酸エステルナトリウム塩0.02g/m2
架橋剤:H−8 0.02g/m2
《BC保護層の塗布》
セルロースアセテートブチレート 1.1g/m2
架橋剤1:H−11 0.01g/m2
架橋剤2:H−12 0.01g/m2
帯電防止剤:E 0.02g/m2
マット剤(PMMA:平均粒子径5μm) 0.12g/m2
[感光層側の塗布]
《AI層の塗布》
結合剤:PVB−1 0.4g/m2
染料:C(BC層と同種) 1.0×15モル/m2
《感光層の塗布》
以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0108】
水分散有機銀塩A (銀量として)1.36g/m2
結合剤:PVB−1(AI層と同種) 2.6g/m2
架橋剤:表1記載 3.2×10−4モル/m2
酸発生剤:表1記載 3.2×10−4モル/m2
分光増感色素:D 2×10−5モル/m2
カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド0.3mg/m2
カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m2
ヒンダードフェノール:表1記載 3.3ミリモル/m2
ポリハロメタン化合物:表1記載 2.2×10−4モル/m2
《表面保護層》
以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を固形分濃度15質量%調製した。この塗布液を22℃±1℃に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0109】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
フタラジン化合物:表1記載 1.5×10−4モル/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
帯電防止剤:E(BC保護層と同種) 1×10−4モル/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
【0110】
【化17】
【0111】
[評価方法]
《即写真性能》
ドライイメージング材料試料を暗室下、23℃相対湿度47%で3日間保存後(以下、未熱処理と略す。)、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、128℃で6秒間熱現像した。得られた画像試料のカブリ(F1)、感度(即写真性能)を求めた。感度はカブリより1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数として求め、試料101を100とする相対感度(S1)で示す。
【0112】
《生保存性》
ドライイメージング材料試料(未熱処理済み)を、ポリエチレン袋にヒートシールにより密封し、温度55℃に設定した恒温箱に96時間保存(以下、熱処理と略す。)した後取り出し、前記即写真性能の場合と同様に露光、現像し、得られた画像試料のカブリ(F2)及び感度を求めた。カブリ差は、熱処理した場合のカブリ(F2)と前記未熱処理の場合のカブリ(F1)との差(カブリ差=F2−F1)を求めて示す。感度は、試料101の未熱処理の場合を100とする相対感度(S2)で示す。カブリ差(カブリの増加分)が少ない程、また、感度差(感度差=|S2−S1|)即ち感度の低下分が少ない程生保存性がよいことを表す。
【0113】
《画像保存性》
前記即写真性能を評価した画像試料を、1万ルクスのシャーカステン上に10時間放置し、そのときのカブリの上昇分(焼き出し銀)、最高濃度の低下分(最高濃度差)を求めた。カブリの上昇分(焼き出し銀)、最高濃度の低下分(最高濃度差)が少ない程画像保存性が良いことを表す。
【0114】
【表1】
【0115】
S−0:S化合物の比較化合物としての、パーフロロオクチルスルホン酸ナトリウム
A−54:酸発生剤の比較化合物としての、p−メチルベンゼンスルホン酸p−メトキシシクロヘキシノールエステル(特開2002−59651号記載)
BP−0:ヒンダードフェノールの比較化合物としての、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン
H−0:架橋剤の比較化合物としての、アルミニウムトリイソプロポキシド
表1から明らかなように、本発明に係る酸発生剤を使用すると熱現像時の即写真性能、生保存性及び画像保存性に優れることがわかる。更に、本発明に好ましく用いられる、フタラジン化合物、ポリハロメタン化合物、(環基で置換された)ヒンダードフェノール、架橋剤を使用すると即写真性能、生保存性及び画像保存性が向上することがわかる。
【0116】
【発明の効果】
本発明により、即写真性能において高い感度と低いカブリに優れたドライイメージング材料を提供できる。また、現像後の焼きだし銀によるカブリが抑制されたドライイメージング材料を提供できる。また、現像前の生保存性と現像後の画像保存性に優れているドライイメージング材料を提供できる。
Claims (6)
- 支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、ヒンダードフェノール及び結合剤を含有する感光層を有するドライイメージング材料において、分子内に少なくとも2個のスルホン酸基又はその塩と少なくとも1個のフッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基を有する化合物及び酸発生剤を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
- フタラジン化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のドライイメージング材料。
- ポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- ヒンダードフェノールが環状置換基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 結合剤を架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物、エポキシ化合物及びアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328069A JP2004163580A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ドライイメージング材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002328069A JP2004163580A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ドライイメージング材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004163580A true JP2004163580A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32806474
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002328069A Pending JP2004163580A (ja) | 2002-11-12 | 2002-11-12 | ドライイメージング材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004163580A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1942375A2 (en) | 2007-01-05 | 2008-07-09 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Composition for forming photosensitive polymer complex and method of preparing photosensitive polymer complex containing silver nanoparticles using the composition |
JP2017141256A (ja) * | 2012-02-24 | 2017-08-17 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | シクロドデカトリエントリアルデヒド及び関連化合物の調製及び使用 |
-
2002
- 2002-11-12 JP JP2002328069A patent/JP2004163580A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1942375A2 (en) | 2007-01-05 | 2008-07-09 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Composition for forming photosensitive polymer complex and method of preparing photosensitive polymer complex containing silver nanoparticles using the composition |
EP1942375A3 (en) * | 2007-01-05 | 2009-01-21 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Composition for forming photosensitive polymer complex and method of preparing photosensitive polymer complex containing silver nanoparticles using the composition |
US7875416B2 (en) | 2007-01-05 | 2011-01-25 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Composition for forming photosensitive polymer complex and method of preparing photosensitive polymer complex containing silver nanoparticles using the composition |
JP2017141256A (ja) * | 2012-02-24 | 2017-08-17 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | シクロドデカトリエントリアルデヒド及び関連化合物の調製及び使用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005227441A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2003255487A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2004163580A (ja) | ドライイメージング材料 | |
JP4075500B2 (ja) | 熱現像感光材料 | |
JP2004157370A (ja) | ドライイメージング材料 | |
JP2005292535A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005010476A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005227440A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP4240828B2 (ja) | 熱現像材料 | |
JP2005234086A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2004334088A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2003140299A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2003228150A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2003021884A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005070268A (ja) | 光熱写真画像形成材料及びその熱現像方法 | |
JP2003241337A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005084175A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2002122959A (ja) | 熱現像材料 | |
JP2005134434A (ja) | 熱現像感光材料 | |
JP2005017832A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005004036A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005266229A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005084601A (ja) | 光熱写真画像形成材料 | |
JP2005321600A (ja) | 熱現像感光材料 | |
JP2002072407A (ja) | 熱現像材料 |