JP2005004036A - 光熱写真画像形成材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】写真性能において、低いカブリと高い感度を有する優れた光熱写真画像形成材料を提供することにあり、現像前、現像後の保存性に優れた光熱写真画像形成材料を提供することにある。
【解決手段】支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する感光層を少なくとも有する光熱写真画像形成材料において、メルカプト基を有する安定フリーラジカル化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する感光層を少なくとも有する光熱写真画像形成材料において、メルカプト基を有する安定フリーラジカル化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する光熱写真画像形成材料に関し、特に低カブリで高い感度を得ることができ、保存性に優れた光熱写真画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、光熱写真画像形成材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの光熱写真画像形成材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止層(以下、AI層とも言う)層或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(以下、BC層とも言う)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷の付くのを防ぐための保護層が設けられている。
【0004】
一般に光熱写真画像形成材料は、露光後加熱現像のみで画像を形成させうので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のためには、高温度で現像して画像が出るようにするのがよいのであるが、あまり高温にするとカブリが出易くなり、感度が低下する。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的には現像される。カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが、例えば、特許文献1に開示されている。しかし、メルカプト化合物ではカブリ抑制の効果が少なく、高い感度が得にくく保存性も向上させるのに限度があった。現像処理後の読影時シャーカステン暴露による焼き出し銀の抑制に使用されるポリハロメタン化合物はカブリ抑制と生保存性に有効で、例えば、特許文献2に開示されているが、使用量が多いと感度が低下するため限度があった。保存性の向上ために、バインダーの架橋剤として知られる化合物を使用する試みもされているが充分ではなかった。
【0005】
カブリは、膜中に共存する還元剤がハロゲン化銀粒子を還元して発生することが考えられ、このときの反応において発生するラジカルを補足する化合物を存在させれば抑制できると考えられたが、例えば、特許文献3に開示されているような化合物でも充分でなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−19681号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−319022号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2003−66561号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、写真性能において、低いカブリと高い感度を有する優れた光熱写真画像形成材料を提供することにあり、本発明の第2の目的は、現像前の保存性(以下、生保存性とも言う)と現像後の保存性(以下、画像保存性とも言う)に優れた光熱写真画像形成材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、下記各構成により達成される。
【0011】
1.支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する感光層を少なくとも有する光熱写真画像形成材料において、メルカプト基を有する安定フリーラジカル化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【0012】
2.前記安定フリーラジカル化合物が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の光熱写真画像形成材料。
【0013】
3.前記光熱写真画像形成材料の感光層又は該感光層の隣接層にフタラジン化合物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載の光熱写真画像形成材料。
【0014】
4.前記感光層又は該感光層に隣接する層中にポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0015】
5.前記感光層又は該感光層に隣接する層中にビスフェノール化合物を含有することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0016】
6.前記感光層又は該感光層に隣接する層のバインダーを架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物及びエポキシ化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光熱写真画像形成材料は、通常は支持体上に少なくとも1層の感光層及び該感光層に隣接する層を設けた少なくとも2層以上の層構成からなり、感光層の反対側に設けられるBC層、その保護層等が含まれる。上記光熱写真画像形成材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子が含まれ、さらに該感光層又はその隣接層には銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するための還元剤及び本発明の安定フリーラジカル化合物が含有される。
【0018】
上記光熱写真画像形成材料の感光層やその感光層の隣接層には、熱現像反応の場を提供する高分子バインダー、親水性バインダーや疎水性バインダーが含有され、さらに好ましくは該バインダーを架橋硬化させるイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物又はエポキシ化合物等が含有される。
【0019】
上記の光熱写真画像形成材料においては、必要によりイラジエーション防止用又はハレーション防止用の染料を含有するAI層が、又バック面側にはバッキング(BC)層等が設けられる。
【0020】
以下、本発明の光熱写真画像形成材料に含有される安定フリーラジカル化合物、フタラジン化合物及びポリハロメタン化合物について順次説明する。
【0021】
なお、上記光熱写真画像形成材料の感光層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子、感光層又はその隣接層に含有される有機銀塩、還元剤、感光層又はその隣接層に含有される高分子バインダー等についても順次後述する。
【0022】
(安定フリーラジカル化合物)
本発明の安定フリーラジカル化合物のラジカル安定性は、ESRにより不対電子の発生の強度や寿命の測定により確認することができる。
【0023】
ESRは、静磁場中に置かれた電子スピンがマイクロ波をかけることにより共鳴する現象であり、不対電子、すなわちラジカル化合物を検出し、そのマイクロ波の吸収強度がラジカル濃度に比例することを利用して安定フリーラジカル化合物の濃度(存在量)を推定することができる。
【0024】
ESRは、測定する試料に特別な前処理をすること無く、共存する他の化合物の影響を実質受けずに安定フリーラジカル化合物のみを選択的に、かつ高感度に測定できる。
【0025】
本発明に用いるESR測定装置は特に限定するものではないが、例えば、小型の筐体の中に磁気回路、マイクロ波回路、電子回路及び測定の制御、信号処理のためのコンピューターシステムを組み込んだ物であり、市販の装置、例えば、日本電子(株)のESR測定装置「ES−FR30EX」型などが使用できる。
【0026】
ESRの測定は、本発明の安定フリーラジカル化合物を含むキシレン溶液の少量の試料を採取し、これをESR測定装置内の測定セルに移し測定する。
【0027】
本発明の対象とする系では、安定フリーラジカル化合物に由来するラジカルと、現像剤やポリハロメタン化合物に由来するラジカルが存在するが、安定フリーラジカル化合物に由来するフリーラジカルは安定に存在するが、現像剤や焼きだし銀防止剤に由来するラジカルは不安定で寿命が短く、常温で行うESR測定では実質検知できないか極めて弱い。従って、ESR測定で検知するラジカルは、安定フリーラジカル化合物由来のラジカルが主と考えてよい。
【0028】
特に本発明に好ましい安定フリーラジカルを存在させることのできる化合物は前記一般式(1)で表される。
【0029】
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)で表される化合物は、少なくとも1個の窒素原子を含有するピペリジン環を母核として構成される化合物で、光熱写真画像形成材料のカブリ特性及び保存性を向上させることができる。
【0030】
前記一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、置換アミノ基、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、芳香族基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、Qは5員又は6員環を形成する原子群を表し、Rはメルカプト基を含まない置換基を示す。n1及びn2は0、1又は2を表す。但し、n1が0のとき、Rはメルカプト基を含む置換基を表し、n2は1又は2である。
【0031】
上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ置換されてもよい炭素数1〜30が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、トリフロロブチル基、ペンタフロロプロピル基、アセチル基、ブテニル基、ノネニル基等、芳香族基は、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等、ヘテロ環は、ピリジル基、フリル基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾール基等、置換オキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基、ブテノオキシ基、フェノキシ基、p−アミノフェノキシ基、p−グリシジルフェノキシ基、p−ブチルイソシアナートフェノキシ基、p−トリメトキシシラノプロピルオキシフェノキシ基、ピリジンオキシ基、チオフェニルオキシ基、置換アミノ基は、例えば、フェニルアミノ基、p−チアジアゾールアミノ基、トリオキシシラノプロピルアミノ基、p−トリメトキシプロピルオキシフェノキシアミノ基等を挙げることができる。ハロゲン原子は、塩素や臭素が好ましく、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、直鎖や分岐、飽和や不飽和を含んでいてもよい。Qは芳香族環又はヘテロ環を表し、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリミジン環等を表し、該環上には、R1〜R4で表される同義の置換基を有しても良い。
【0032】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物は、特開2001−131189号を参考にして合成することができる。メルカプト基の導入は、以下の方法で表される。
【0036】
【化4】
【0037】
これら合成された一般式(1)で表される化合物を添加する方法は、公知の添加方法に従って添加することができる。例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。
【0038】
また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。
【0039】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物の添加量は、塗布液中に1000分の1〜60質量%の範囲で添加することが好ましく、100分の1〜30質量%の範囲が特に好ましく、この範囲内で適宜添加量を調節して使用することができる。
【0040】
モル数で添加する場合には、10−6〜10−2モル/m2で添加することができる。
【0041】
(フタラジン化合物)
本発明に好ましく用いられるフタラジン化合物は、フタラジン環に各種置換基を導入して得ることができる。
【0042】
好ましいフタラジン化合物は下記一般式(2)で表される化合物である。
【0043】
【化5】
【0044】
一般式(2)において、置換基R2〜R7は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アキニル基、アルコキシ基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。置換基の機能として拡散性を制御する基、非拡散性基、拡散性基、吸着性基、酸性基等の基であってもよい。アルキル基、アルケニル基、アアルキニル基、アルコキシ基の炭素数は1〜60が好ましく、特に好ましくは1〜40である。
【0045】
炭素数が多いとカブリ抑制、色調や保存性において良い効果が得れなくなる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
【化6】
【0047】
(ポリハロメタン化合物)
本発明に好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、1個の分子の中にトリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物であり、脂肪族基上に置換されたり、芳香族環やヘテロ環に置換されている。芳香族環やヘテロ環は2価の連結基を介して更に芳香族環やヘテロ環に連結してもよい。
【0048】
芳香族はフェニル基やナフタレン基が好ましく、これら環上にロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等、ヘテロ環基としては、例えば、ピリジン基、ピリミジン基、キノリン基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等でこれら環上には、芳香族環と同様な置換基を有してもよい。
【0049】
また、芳香族環やヘテロ環上にには、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。トリハロメタン基に隣接する基がスルホニル基やカルボニル基が好ましいが、直接芳香族環やヘテロ環上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。
【0050】
芳香族環やヘテロ環は、還元されて非アリール型の飽和環が特に好ましい。トリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0051】
好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0052】
【化7】
【0053】
一般式(3)において、Z2で表される基は、飽和または不飽和の単環または縮環していてもよい環状の基を表し、好ましくは炭素数6〜30の単環または2環の基(例えばアダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
【0054】
Z2で表される環状の基は、ヘテロ環基であってもよく、代表的なヘテロ環は、N、O又はSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5乃至6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の飽和又は不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基である。
【0055】
このようなヘテロ環基におけるヘテロ環としては、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデン各環であり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールの各環であり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールの各環である。
【0056】
Z2で表される環状の基は−L1−C(X1)、(X2)、(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0057】
X1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0058】
L1は−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0059】
これらの化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化8】
【0061】
【化9】
【0062】
【化10】
【0063】
これら一般式(3)で表される化合物の添加量はハロゲン化銀当たり、10−6〜10−2モルの範囲で添加することができる。
【0064】
添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要がなく、隣接層や下塗り層でもよい。
【0065】
添加する方法は、一般式(1)で表される化合物或いはフタラジン化合物と同様な方法で添加することができる。
【0066】
次に本発明の光熱写真画像形成材料使用される有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀粒子、バインダー、染料、マット剤その他支持体等について順次説明する。
【0067】
(有機銀塩)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸又は酸ポリマーの銀塩などが用いられる。
【0068】
また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定度定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure(以下、単にRD)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩)等が挙げられる。
【0069】
(還元剤)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等及び前記RD第17029及び29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0070】
ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体、ヒンダードフェノール類、3−ピラゾリドン類、中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。
【0071】
ヒンダードフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化11】
【0073】
一般式(4)において、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)、芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロペンタジエン基、シクロヘキセニル基等)、又はヘテロ環基(フリル基、ピリジル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、等)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0074】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【化12】
【0076】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に好ましくは、1×10−2〜1.5モルである。
【0077】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えば、アンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで、本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば、感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0078】
感光性ハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。
【0079】
また、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。
【0080】
また、ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0081】
上記ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的に合わせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0082】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば、米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等に記載されている。
【0083】
また、ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0084】
また、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。
【0085】
上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0086】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0087】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。
【0088】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。
【0089】
特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0090】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等に記載された増感色素が使用できる。
【0091】
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、前記RDItem17643IV−A項(1978年12月号23頁)、同Item18431X項(1978年8月号437頁)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0092】
特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0093】
(バインダー)
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層又は非感光層に用いられる高分子バインダーとしては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材、熱消色染料が80〜200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材、あるいは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が選択される。
【0094】
上記高分子バインダーとしては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明の光熱写真画像形成材料の高分子バインダーとしては、いずれでもよい。
【0095】
また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20〜80℃が好ましく、特に−5〜60℃が好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、低いとカブリが発生し易くなり、感度が低下したり、軟調になるからである。
【0096】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
【0097】
(架橋剤)
バインダーは、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。
【0098】
架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、AH層、感光層、保護層、バッキング(BC)層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。
【0099】
好ましい架橋剤剤は、イソシアナート基、ビニルスルホニル基又はエポキシ基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤はイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。
【0100】
好ましい架橋剤としてH1〜H13を下記に示す。
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0101】
【化13】
【0102】
(必要によってAI層又はBC層に使用される染料)
本発明の光熱写真画像形成材料は、必要により該光熱写真画像形成材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であれば特に制限はないが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が光熱写真画像形成材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0103】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号に記載のシリカ、スイス特許第330,158号に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0104】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。
【0105】
本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0106】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。
【0107】
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0108】
(支持体)
本発明の支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0109】
(画像露光)
本発明の光熱写真画像形成方法における露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号及び特開2000−10230号記載の方法によるレーザー露光を行うすることができる。
【0110】
(熱現像装置)
本発明の光熱写真画像形成材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号及び同84619号記載の装置を使用することができる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0112】
〈下引済み支持体の作製〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、乾燥させて下引層A−1を設け、また、反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0113】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%)、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0114】
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0115】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下引上層B−2を設けた。
【0116】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0117】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを得た。
【0118】
〈分散有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、所定の濃度まで水を加えて仕上げた。
【0119】
〈感光層及びBC層の塗布〉
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々45℃,1分間で行った。
【0120】
《BC層側塗布》
バック面側には以下の熱消色性染料組成物の水溶液又は水分散体に、更に水に加えて調製した塗布液を、以下の付き量になるように塗布乾燥してBC層及びBC保護層を形成した。
【0121】
感光層形成のため以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を35℃付近に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。銀量として1.36g/m2になる量の調製液をポリマーバインダーと混合した。
【0122】
【0123】
【化14】
【0124】
〈写真性能の評価〉
上記作製した試料を5cm×12cmのサイズで50枚用意した後、2つに分け、一方を23℃で46%RHの雰囲気下、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後127℃で8秒間加熱後、得られた試料の写真性能を評価した(常湿試験試料)。
【0125】
別の一方は23℃、RH46%で機密性のアルミ箔包装袋に減圧(10hPa)熱シールし、40℃の恒温室に30日間保存した後、同様に露光、現像して得られた試料を生保存試験試料とした。
【0126】
なお、レーザー露光及び現像処理は25℃±1℃相対湿度54%±1%に調湿した部屋で行った。
【0127】
上記常湿試料のカブリ及び感度、また生保存試験試料のカブリを濃度計により測定した。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101を基準(100)として相対評価で表わした。また、現像後の保存性(画像保存性)を、現像済み試料を10000ルクスの輝度のシャーカステン上に10時間放置した後の光カブリ値で示した。
【0128】
〈安定フリーラジカルの測定〉
キシレン溶媒中に本発明の安定フリーラジカル化合物を1000ppm添加し、日本電子製ES−FR30EXで測定した。フリーラジカルの測定は、溶液調製から5分以内に測定し、信号S/Nの強度を測定した。測定したシグナル強度を表1に示した。
【0129】
【表1】
【0130】
表1より、本発明の一般式(1)で表されるメルカプト基を含有する安定フリーラジカル化合物を使用した光熱写真画像形成材料は、熱現像時の写真性能(感度及びカブリ特性)、生保存性及び画像保存性が優れていることがわかる。更に、フタラジン、ポリハロメタン化合物、ビスフェノール化合物、架橋剤を含有すると更に熱現像時の写真性能、生保存性及び画像保存性が向上していることが分かる。
【0131】
【発明の効果】
低カブリで高い感度を得ることができ、生保存性及び画像保存性に優れた光熱写真画像形成材料が得られた。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する光熱写真画像形成材料に関し、特に低カブリで高い感度を得ることができ、保存性に優れた光熱写真画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、光熱写真画像形成材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの光熱写真画像形成材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止層(以下、AI層とも言う)層或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(以下、BC層とも言う)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷の付くのを防ぐための保護層が設けられている。
【0004】
一般に光熱写真画像形成材料は、露光後加熱現像のみで画像を形成させうので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のためには、高温度で現像して画像が出るようにするのがよいのであるが、あまり高温にするとカブリが出易くなり、感度が低下する。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的には現像される。カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが、例えば、特許文献1に開示されている。しかし、メルカプト化合物ではカブリ抑制の効果が少なく、高い感度が得にくく保存性も向上させるのに限度があった。現像処理後の読影時シャーカステン暴露による焼き出し銀の抑制に使用されるポリハロメタン化合物はカブリ抑制と生保存性に有効で、例えば、特許文献2に開示されているが、使用量が多いと感度が低下するため限度があった。保存性の向上ために、バインダーの架橋剤として知られる化合物を使用する試みもされているが充分ではなかった。
【0005】
カブリは、膜中に共存する還元剤がハロゲン化銀粒子を還元して発生することが考えられ、このときの反応において発生するラジカルを補足する化合物を存在させれば抑制できると考えられたが、例えば、特許文献3に開示されているような化合物でも充分でなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−19681号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−319022号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2003−66561号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、写真性能において、低いカブリと高い感度を有する優れた光熱写真画像形成材料を提供することにあり、本発明の第2の目的は、現像前の保存性(以下、生保存性とも言う)と現像後の保存性(以下、画像保存性とも言う)に優れた光熱写真画像形成材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、下記各構成により達成される。
【0011】
1.支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する感光層を少なくとも有する光熱写真画像形成材料において、メルカプト基を有する安定フリーラジカル化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【0012】
2.前記安定フリーラジカル化合物が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の光熱写真画像形成材料。
【0013】
3.前記光熱写真画像形成材料の感光層又は該感光層の隣接層にフタラジン化合物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載の光熱写真画像形成材料。
【0014】
4.前記感光層又は該感光層に隣接する層中にポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0015】
5.前記感光層又は該感光層に隣接する層中にビスフェノール化合物を含有することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0016】
6.前記感光層又は該感光層に隣接する層のバインダーを架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物及びエポキシ化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光熱写真画像形成材料は、通常は支持体上に少なくとも1層の感光層及び該感光層に隣接する層を設けた少なくとも2層以上の層構成からなり、感光層の反対側に設けられるBC層、その保護層等が含まれる。上記光熱写真画像形成材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子が含まれ、さらに該感光層又はその隣接層には銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するための還元剤及び本発明の安定フリーラジカル化合物が含有される。
【0018】
上記光熱写真画像形成材料の感光層やその感光層の隣接層には、熱現像反応の場を提供する高分子バインダー、親水性バインダーや疎水性バインダーが含有され、さらに好ましくは該バインダーを架橋硬化させるイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物又はエポキシ化合物等が含有される。
【0019】
上記の光熱写真画像形成材料においては、必要によりイラジエーション防止用又はハレーション防止用の染料を含有するAI層が、又バック面側にはバッキング(BC)層等が設けられる。
【0020】
以下、本発明の光熱写真画像形成材料に含有される安定フリーラジカル化合物、フタラジン化合物及びポリハロメタン化合物について順次説明する。
【0021】
なお、上記光熱写真画像形成材料の感光層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子、感光層又はその隣接層に含有される有機銀塩、還元剤、感光層又はその隣接層に含有される高分子バインダー等についても順次後述する。
【0022】
(安定フリーラジカル化合物)
本発明の安定フリーラジカル化合物のラジカル安定性は、ESRにより不対電子の発生の強度や寿命の測定により確認することができる。
【0023】
ESRは、静磁場中に置かれた電子スピンがマイクロ波をかけることにより共鳴する現象であり、不対電子、すなわちラジカル化合物を検出し、そのマイクロ波の吸収強度がラジカル濃度に比例することを利用して安定フリーラジカル化合物の濃度(存在量)を推定することができる。
【0024】
ESRは、測定する試料に特別な前処理をすること無く、共存する他の化合物の影響を実質受けずに安定フリーラジカル化合物のみを選択的に、かつ高感度に測定できる。
【0025】
本発明に用いるESR測定装置は特に限定するものではないが、例えば、小型の筐体の中に磁気回路、マイクロ波回路、電子回路及び測定の制御、信号処理のためのコンピューターシステムを組み込んだ物であり、市販の装置、例えば、日本電子(株)のESR測定装置「ES−FR30EX」型などが使用できる。
【0026】
ESRの測定は、本発明の安定フリーラジカル化合物を含むキシレン溶液の少量の試料を採取し、これをESR測定装置内の測定セルに移し測定する。
【0027】
本発明の対象とする系では、安定フリーラジカル化合物に由来するラジカルと、現像剤やポリハロメタン化合物に由来するラジカルが存在するが、安定フリーラジカル化合物に由来するフリーラジカルは安定に存在するが、現像剤や焼きだし銀防止剤に由来するラジカルは不安定で寿命が短く、常温で行うESR測定では実質検知できないか極めて弱い。従って、ESR測定で検知するラジカルは、安定フリーラジカル化合物由来のラジカルが主と考えてよい。
【0028】
特に本発明に好ましい安定フリーラジカルを存在させることのできる化合物は前記一般式(1)で表される。
【0029】
前記一般式(1)で表される化合物について説明する。
前記一般式(1)で表される化合物は、少なくとも1個の窒素原子を含有するピペリジン環を母核として構成される化合物で、光熱写真画像形成材料のカブリ特性及び保存性を向上させることができる。
【0030】
前記一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、置換アミノ基、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、芳香族基及びヘテロ環基から選ばれる基を表し、Qは5員又は6員環を形成する原子群を表し、Rはメルカプト基を含まない置換基を示す。n1及びn2は0、1又は2を表す。但し、n1が0のとき、Rはメルカプト基を含む置換基を表し、n2は1又は2である。
【0031】
上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ置換されてもよい炭素数1〜30が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、トリフロロブチル基、ペンタフロロプロピル基、アセチル基、ブテニル基、ノネニル基等、芳香族基は、例えば、フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−アミノフェニル基、p−グリシジルフェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−シアノフェニル基、ナフチル基、1,5−ジメチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等、ヘテロ環は、ピリジル基、フリル基、イミダゾール基、トリアゾール基、チアゾール基等、置換オキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基、ブテノオキシ基、フェノキシ基、p−アミノフェノキシ基、p−グリシジルフェノキシ基、p−ブチルイソシアナートフェノキシ基、p−トリメトキシシラノプロピルオキシフェノキシ基、ピリジンオキシ基、チオフェニルオキシ基、置換アミノ基は、例えば、フェニルアミノ基、p−チアジアゾールアミノ基、トリオキシシラノプロピルアミノ基、p−トリメトキシプロピルオキシフェノキシアミノ基等を挙げることができる。ハロゲン原子は、塩素や臭素が好ましく、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、直鎖や分岐、飽和や不飽和を含んでいてもよい。Qは芳香族環又はヘテロ環を表し、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリミジン環等を表し、該環上には、R1〜R4で表される同義の置換基を有しても良い。
【0032】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物は、特開2001−131189号を参考にして合成することができる。メルカプト基の導入は、以下の方法で表される。
【0036】
【化4】
【0037】
これら合成された一般式(1)で表される化合物を添加する方法は、公知の添加方法に従って添加することができる。例えば、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。
【0038】
また、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。
【0039】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物の添加量は、塗布液中に1000分の1〜60質量%の範囲で添加することが好ましく、100分の1〜30質量%の範囲が特に好ましく、この範囲内で適宜添加量を調節して使用することができる。
【0040】
モル数で添加する場合には、10−6〜10−2モル/m2で添加することができる。
【0041】
(フタラジン化合物)
本発明に好ましく用いられるフタラジン化合物は、フタラジン環に各種置換基を導入して得ることができる。
【0042】
好ましいフタラジン化合物は下記一般式(2)で表される化合物である。
【0043】
【化5】
【0044】
一般式(2)において、置換基R2〜R7は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アキニル基、アルコキシ基、芳香族基、ヘテロ環基を表す。置換基の機能として拡散性を制御する基、非拡散性基、拡散性基、吸着性基、酸性基等の基であってもよい。アルキル基、アルケニル基、アアルキニル基、アルコキシ基の炭素数は1〜60が好ましく、特に好ましくは1〜40である。
【0045】
炭素数が多いとカブリ抑制、色調や保存性において良い効果が得れなくなる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
【化6】
【0047】
(ポリハロメタン化合物)
本発明に好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、1個の分子の中にトリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物であり、脂肪族基上に置換されたり、芳香族環やヘテロ環に置換されている。芳香族環やヘテロ環は2価の連結基を介して更に芳香族環やヘテロ環に連結してもよい。
【0048】
芳香族はフェニル基やナフタレン基が好ましく、これら環上にロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等、ヘテロ環基としては、例えば、ピリジン基、ピリミジン基、キノリン基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等でこれら環上には、芳香族環と同様な置換基を有してもよい。
【0049】
また、芳香族環やヘテロ環上にには、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。トリハロメタン基に隣接する基がスルホニル基やカルボニル基が好ましいが、直接芳香族環やヘテロ環上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。
【0050】
芳香族環やヘテロ環は、還元されて非アリール型の飽和環が特に好ましい。トリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0051】
好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0052】
【化7】
【0053】
一般式(3)において、Z2で表される基は、飽和または不飽和の単環または縮環していてもよい環状の基を表し、好ましくは炭素数6〜30の単環または2環の基(例えばアダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。
【0054】
Z2で表される環状の基は、ヘテロ環基であってもよく、代表的なヘテロ環は、N、O又はSの少なくとも一つの原子を含む3乃至10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5乃至6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5乃至6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の飽和又は不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1乃至4原子含む縮合環を有していてもよい5乃至6員の不飽和ヘテロ環基である。
【0055】
このようなヘテロ環基におけるヘテロ環としては、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデン各環であり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールの各環であり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールの各環である。
【0056】
Z2で表される環状の基は−L1−C(X1)、(X2)、(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0057】
X1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0058】
L1は−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0059】
これらの化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
【化8】
【0061】
【化9】
【0062】
【化10】
【0063】
これら一般式(3)で表される化合物の添加量はハロゲン化銀当たり、10−6〜10−2モルの範囲で添加することができる。
【0064】
添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要がなく、隣接層や下塗り層でもよい。
【0065】
添加する方法は、一般式(1)で表される化合物或いはフタラジン化合物と同様な方法で添加することができる。
【0066】
次に本発明の光熱写真画像形成材料使用される有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀粒子、バインダー、染料、マット剤その他支持体等について順次説明する。
【0067】
(有機銀塩)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸又は酸ポリマーの銀塩などが用いられる。
【0068】
また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定度定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure(以下、単にRD)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩)等が挙げられる。
【0069】
(還元剤)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等及び前記RD第17029及び29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0070】
ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体、ヒンダードフェノール類、3−ピラゾリドン類、中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。
【0071】
ヒンダードフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化11】
【0073】
一般式(4)において、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)、芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロペンタジエン基、シクロヘキセニル基等)、又はヘテロ環基(フリル基、ピリジル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、等)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0074】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【化12】
【0076】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に好ましくは、1×10−2〜1.5モルである。
【0077】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えば、アンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで、本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば、感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0078】
感光性ハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。
【0079】
また、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。
【0080】
また、ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0081】
上記ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的に合わせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0082】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば、米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等に記載されている。
【0083】
また、ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0084】
また、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。
【0085】
上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0086】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0087】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。
【0088】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。
【0089】
特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0090】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等に記載された増感色素が使用できる。
【0091】
本発明に使用される有用な増感色素は、例えば、前記RDItem17643IV−A項(1978年12月号23頁)、同Item18431X項(1978年8月号437頁)に記載もしくは引用された文献に記載されている。
【0092】
特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0093】
(バインダー)
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層又は非感光層に用いられる高分子バインダーとしては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材、熱消色染料が80〜200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材、あるいは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が選択される。
【0094】
上記高分子バインダーとしては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明の光熱写真画像形成材料の高分子バインダーとしては、いずれでもよい。
【0095】
また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20〜80℃が好ましく、特に−5〜60℃が好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、低いとカブリが発生し易くなり、感度が低下したり、軟調になるからである。
【0096】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
【0097】
(架橋剤)
バインダーは、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。
【0098】
架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、AH層、感光層、保護層、バッキング(BC)層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。
【0099】
好ましい架橋剤剤は、イソシアナート基、ビニルスルホニル基又はエポキシ基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤はイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。
【0100】
好ましい架橋剤としてH1〜H13を下記に示す。
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0101】
【化13】
【0102】
(必要によってAI層又はBC層に使用される染料)
本発明の光熱写真画像形成材料は、必要により該光熱写真画像形成材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であれば特に制限はないが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が光熱写真画像形成材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0103】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号に記載のシリカ、スイス特許第330,158号に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0104】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。
【0105】
本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0106】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。
【0107】
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0108】
(支持体)
本発明の支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0109】
(画像露光)
本発明の光熱写真画像形成方法における露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号及び特開2000−10230号記載の方法によるレーザー露光を行うすることができる。
【0110】
(熱現像装置)
本発明の光熱写真画像形成材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号及び同84619号記載の装置を使用することができる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0112】
〈下引済み支持体の作製〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、乾燥させて下引層A−1を設け、また、反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0113】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%)、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0114】
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
【0115】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下引上層B−2を設けた。
【0116】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0117】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを得た。
【0118】
〈分散有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、所定の濃度まで水を加えて仕上げた。
【0119】
〈感光層及びBC層の塗布〉
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々45℃,1分間で行った。
【0120】
《BC層側塗布》
バック面側には以下の熱消色性染料組成物の水溶液又は水分散体に、更に水に加えて調製した塗布液を、以下の付き量になるように塗布乾燥してBC層及びBC保護層を形成した。
【0121】
感光層形成のため以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を35℃付近に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。銀量として1.36g/m2になる量の調製液をポリマーバインダーと混合した。
【0122】
【0123】
【化14】
【0124】
〈写真性能の評価〉
上記作製した試料を5cm×12cmのサイズで50枚用意した後、2つに分け、一方を23℃で46%RHの雰囲気下、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後127℃で8秒間加熱後、得られた試料の写真性能を評価した(常湿試験試料)。
【0125】
別の一方は23℃、RH46%で機密性のアルミ箔包装袋に減圧(10hPa)熱シールし、40℃の恒温室に30日間保存した後、同様に露光、現像して得られた試料を生保存試験試料とした。
【0126】
なお、レーザー露光及び現像処理は25℃±1℃相対湿度54%±1%に調湿した部屋で行った。
【0127】
上記常湿試料のカブリ及び感度、また生保存試験試料のカブリを濃度計により測定した。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101を基準(100)として相対評価で表わした。また、現像後の保存性(画像保存性)を、現像済み試料を10000ルクスの輝度のシャーカステン上に10時間放置した後の光カブリ値で示した。
【0128】
〈安定フリーラジカルの測定〉
キシレン溶媒中に本発明の安定フリーラジカル化合物を1000ppm添加し、日本電子製ES−FR30EXで測定した。フリーラジカルの測定は、溶液調製から5分以内に測定し、信号S/Nの強度を測定した。測定したシグナル強度を表1に示した。
【0129】
【表1】
【0130】
表1より、本発明の一般式(1)で表されるメルカプト基を含有する安定フリーラジカル化合物を使用した光熱写真画像形成材料は、熱現像時の写真性能(感度及びカブリ特性)、生保存性及び画像保存性が優れていることがわかる。更に、フタラジン、ポリハロメタン化合物、ビスフェノール化合物、架橋剤を含有すると更に熱現像時の写真性能、生保存性及び画像保存性が向上していることが分かる。
【0131】
【発明の効果】
低カブリで高い感度を得ることができ、生保存性及び画像保存性に優れた光熱写真画像形成材料が得られた。
Claims (6)
- 支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する感光層を少なくとも有する光熱写真画像形成材料において、メルカプト基を有する安定フリーラジカル化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
- 前記光熱写真画像形成材料の感光層又は該感光層の隣接層にフタラジン化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光熱写真画像形成材料。
- 前記感光層又は該感光層に隣接する層中にポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
- 前記感光層又は該感光層に隣接する層中にビスフェノール化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
- 前記感光層又は該感光層に隣接する層のバインダーを架橋する架橋剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホン化合物及びエポキシ化合物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光熱写真画像形成材料。
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- 2003-06-13 JP JP2003168972A patent/JP2005004036A/ja active Pending
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