JP2004163201A - 細胞突起抽出装置および細胞突起抽出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】細胞体を顕微鏡により撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出方法において、取得した細胞画像に対して二値化処理を行って二値化画像を取得し、この二値化画像をウェーブレット変換処理することにより得られた圧縮画像(DC成分)から細胞本体部を抽出する。そして抽出された細胞本体部を二値化画像から除去して、線要素を主に含む画像を取得し、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って、線要素の線幅が1画素の細線化画像を得た後、ノイズ除去処理を行って細胞突起抽出処理画像を得る。これにより、突起部が途切れた部分を含む場合にあっても、突起部を精度良く抽出することができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞体を撮像して得られた画像から突起部を抽出する細胞突起抽出装置および細胞突起抽出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生化学分野における各種の試験では、動植物の細胞や微生物などの生体試料を種々の条件下で培養し観察することが行われる。従来より、このような生体試料を対象とした観察を行う方法として、顕微観察によって得られた画像を画像処理することにより、所望項目についてデータ抽出を行う装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平02−245881号公報
【特許文献2】
特開平02−269967号公報
【特許文献3】
特開平03−163360号公報
【特許文献4】
特開平03−291565号公報
【特許文献5】
特開平07−213491号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで製薬業界等で行われる創薬スクリーニング作業などにおいては、動植物の細胞や微生物などをスクリーニング対象の薬剤が種々の条件で投与された状態で培養し、経時的変化を観察することにより薬剤の効果を確認する作業が行われる。例えば細胞の神経突起など逐次伸長する部分を観察対象とする場合には、これらを経時的に追跡して観察・記録し、データ化する作業が必要となる。
【0005】
このため、撮像によって得られた画像から、突起部のみを抽出してデータ化の対象とすることが求められている。しかしながら、上述の各特許文献記載の装置では、このような神経突起のみを精度良く抽出することができず、上述のような観察作業を効率よく行うことが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、細胞体を撮像した画像から突起部のみを精度良く効率的に抽出することができる細胞突起検出装置および細胞突起検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の細胞突起抽出装置は、細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出装置であって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る二値化処理手段と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する細胞本体部除去処理手段と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る細線化処理手段とを備えた。
【0008】
請求項2記載の細胞突起抽出方法は、細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出方法であって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る工程と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する工程と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る工程とを含む。
【0009】
請求項3記載の細胞突起抽出プログラムは、細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出プログラムであって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る工程と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する工程と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る工程とを実行する。
【0010】
本発明によれば、細胞体を撮像して得られた画像に対して二値化処理を行って得られた二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を二値化画像から除去した後に細線化処理を行うことにより、細胞体を撮像した画像から突起部のみを精度良く効率的に抽出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の側断面図、図2は本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の制御系の構成を示すブロック図、図3は本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の突起抽出処理機能を示す機能ブロック図、図4は本発明の一実施の形態の細胞突起抽出プログラムの処理フロー図、図5,図6は本発明の一実施の形態の細胞突起抽出方法の工程説明図である。
【0012】
まず図1を参照して、細胞突起抽出装置の構造を説明する。この細胞突起抽出装置装置は、容器に収容された観察対象の細胞体を撮像して得られた画像(以下、単に「細胞画像」と略称する。)から、突起部のみを抽出する細胞突起抽出処理を行う装置であり、創薬スクリーニングにおいて試薬投与後の細胞体の突起成長度合いを観察するために用いられる。
【0013】
図1において、細胞突起抽出装置1は基部1上にフレーム1aを立設した構造となっており、フレーム1aの中間高さ位置には、観察対象の細胞体が載置される試料載置テーブル2が設けられている。細胞体は容器であるマイクロタイタープレート3のウェル3a内に収容された状態で載置される。試料載置テーブル2の下方には、垂直な光軸aを有する光学系5が配置されており、光軸aはフレーム1a内の下方に配置されたミラー6を介して、撮像手段であるカメラ7に水平方向から入射する配置となっている。カメラ7の撮像動作は、細胞画像処理部9によって制御される。
【0014】
試料載置テーブル2は、XYZテーブル(図示省略)によって水平方向および垂直方向に位置調整可能となっており、カメラ7による撮像において、試料載置テーブル2の水平位置を調整することにより、任意のウェル3aをカメラ7の撮像範囲に位置させることができる。また試料載置テーブル2を垂直方向に移動させることにより、撮像時の焦点位置を観察対象に合わせることができる。
【0015】
試料載置テーブル2の上方に位置するフレーム1aの上端部には照明装置4が配設されており、照明装置4によってウェル3a内の細胞体を照明した状態で、カメラ7によって撮像することにより細胞画像が取得され、取得された細胞画像は細胞画像処理部9に送られる。そして細胞画像処理部9が取得された画像を画像処理することにより、後述する細胞突起抽出処理が実行される。
【0016】
細胞画像処理部9は表示部8、操作・入力部10と接続されており、操作・入力部10は細胞突起抽出処理において必要な操作コマンドやデータを入力する。表示部8は画面表示用のモニタを備えており、処理対象の細胞体の原画像や、処理過程中および処理結果を示す画像を表示する。
【0017】
次に図2を参照して、細胞画像処理部9の構成を説明する。細胞画像処理部9は、画像入力I/F11、処理演算部12、顕微鏡制御部13、プログラム記憶部14、データ記憶部15、記憶媒体入出力部16、通信部17より構成される。画像入力I/F11は、カメラ7によって取得した細胞画像の画像データを受け取り必要なデータ変換を行う。処理演算部12はデータ記憶部15に記憶されたデータを用いてプログラム記憶部14に記憶された各種の処理プログラムを実行することにより、各種の処理や演算を行う。
【0018】
顕微鏡制御部13は、試料載置テーブル2を移動させるXYZテーブルや照明装置4など、細胞画像抽出装置の顕微鏡機能の制御を行う。プログラム記憶部14は、突起抽出プログラム14aを含む各種の処理プログラムを記憶する。データ記憶部15は、細胞画像記憶部15a、突起抽出画像記憶部15bを含んでおり、細胞画像記憶部15aはカメラ7によって取得され画像入力I/F11によってデータ変換された後の細胞画像の画像データを記憶する。また突起抽出処理記憶部15bは、突起抽出処理後の突起抽出画像の画像データを記憶する。
【0019】
記憶媒体入出力部16は、外部の観察装置など他装置によって取得された細胞画像などのデータをCD−ROMなどの記憶媒体から読み込み、また突起抽出処理後の画像データを記憶媒体に書き込む処理を行う。通信部17は上述のデータを、他装置との間でオンラインによって授受する。
【0020】
次に図3を参照して、細胞突起抽出処理部20の処理機能を説明する。この処理機能は、プログラム記憶部14に記憶された突起抽出プログラム14aを処理演算部12が実行することによって実現される機能であり、二値化処理21,細胞本体部除去処理22,細線化処理23,ノイズ除去処理24の各処理機構より構成される。
【0021】
図3において、データ記憶部15の細胞画像記憶部15aから、カメラ7によって取得された細胞画像が読み込まれ、二値化処理21の対象となる。二値化処理21においては、読み込まれた細胞画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る二値化処理が行われる。細胞本体部除去処理22においては、二値化処理21によって得られた二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を二値化画像から除去して、線要素を主に含む画像を取得する細胞本体部除去処理が行われる。
【0022】
細線化処理23においては、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って、線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る細線化処理が行われる。そしてノイズ除去処理24においては、細線化処理後の画像から、突起部以外のノイズに相当する小面積領域を除去するノイズ除去処理が行われる。
【0023】
すなわち、突起抽出処理プログラム14aを処理演算部12が実行することによって実現される処理機能は、細胞画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る二値化処理手段と、二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する細胞本体部除去処理手段と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る細線化処理手段とを構成する。
【0024】
この細胞突起抽出装置は上記のように構成されており、以下、細胞突起抽出プログラムを実行することによって行われる細胞突起抽出処理について、図4のフローに沿って図5,図6を参照して説明する。まず細胞体を収容したマイクロタイタープレート3のウェル3aをカメラ7によって撮像し、得られた細胞画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る(ST1)。これにより、図5(a)に示す画像が得られる。
【0025】
二値化画像中には、観察対象の細胞体25,26,27および周囲に点在する小面積領域29が含まれている。小面積領域29は観察対象に該当しないノイズに相当する。この画像上での細胞体25,26,27は、かたまり状の細胞本体部25a,26a,27aと、これらの各細胞本体部から周囲に延出した突起部28より構成される。この観察においては、これらの細胞体のうち、突起部28のみが計測の対象とされるため、細胞突起抽出処理ではこの二値化画像を対象として以下の処理を順次実行する。
【0026】
まず、取得された二値化画像は、ウェーブレット変換される(ST2)。そして二値化画像を周波数変換して得られた複数の変換画像のうち、図5(b)に示すように、圧縮画像(DC成分)より、細胞本体部25a,26a,27aのみを抽出する(ST3)。そして二値化画像からウェーブレット変換によって抽出された細胞本体部25a,26a,27aを除去する(ST4)。図5(c)は、この除去処理後の画像を示しており、この処理により突起部28に相当する線要素を主に含む画像が取得される。この画像には、ノイズに相当する小面積領域29が含まれている。
【0027】
次いで、このようにした細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理が実行される(ST5)。これにより、図6(a)に示すように、突起部28や小面積領域29を構成する線要素の線幅が1画素の処理後突起部28a、処理後小面積領域29aとなるように処理された細線化画像が得られる。そしてこの細線化画像から、所定領域大きさ(例えば5ドット)に満たない小面積領域29aを除去するノイズ除去処理を行う(ST6)。
【0028】
これにより、図6(b)に示すように、細胞突起抽出の処理画像が取得され、処理画像は突起抽出画像記憶部15aに記憶される。そしてこの処理画像に基づいて、細胞突起の長さなどの計測対象諸量が画像処理によって求められる。
【0029】
上述の細胞突起抽出処理においては、撮像によって得られた細胞画像上で突起部分を輪郭追跡の手法によって検出する方法において生じる不具合、すなわち、突起部が部分的に途切れている場合に追跡が中断されて突起検出が不完全になる不具合が生じることが無く、全画面領域において正確に突起部を抽出することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、細胞体を撮像して得られた画像画像に対して二値化処理を行って得られた二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を二値化画像から除去した後に細線化処理を行うようにしたので、細胞体を撮像した画像から突起部のみを精度良く効率的に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の側断面図
【図2】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の制御系の構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出装置の突起抽出処理機能を示す機能ブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出プログラムの処理フロー図
【図5】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出方法の工程説明図
【図6】本発明の一実施の形態の細胞突起抽出方法の工程説明図
【符号の説明】
3 マイクロタイタープレート
7 カメラ
9 細胞画像処理部
12 処理演算部
14 プログラム記憶部
14a 突起抽出プログラム
20 細胞突起抽出処理部
21 二値化処理
22 細胞本体部除去処理
23 細線化処理
24 ノイズ除去処理
Claims (3)
- 細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出装置であって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る二値化処理手段と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する細胞本体部除去処理手段と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る細線化処理手段とを備えたことを特徴とする細胞突起抽出装置。
- 細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出方法であって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る工程と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する工程と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る工程とを含むことを特徴とする細胞突起抽出方法。
- 細胞体を撮像して得られた画像から突起部のみを抽出する細胞突起抽出プログラムであって、前記画像に対して二値化処理を行って二値化画像を得る工程と、前記二値化画像をウェーブレット変換することにより細胞本体部を抽出し、抽出された細胞本体部を前記二値化画像から除去して線要素を主に含む画像を取得する工程と、細胞本体部が除去された画像に対して細線化処理を行って前記線要素の線幅が1画素の細線化画像を得る工程とを実行することを特徴とする細胞突起抽出プログラム。
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