JP2004162747A - 流路遮断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置に関し、通常の配管又は継手の外観を損ねることなく、又、設置場所が限定されることのない流路遮断装置を提供すること。
【解決手段】ガス流路を構成するシリンダー(1)内に設けられ且つ流路遮断可能な板状弁(2)と、板状弁(2)を流路開放姿勢に保持する保持具(5)と、保持具(5)による板状弁(2)の保持状態を解除すると共に板状弁(2)の弁軸を約90度回動させて流路を遮断させる操作部材(21)と、操作部材(21)を操作開始方向へ付勢する付勢手段(3)と、付勢手段(3)の付勢力に抗して操作部材(21)を操作阻止状態に位置決めする位置決め手段(4)とからなり、位置決め手段(4)は、設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成されており、シリンダー(1)の周壁に位置決め手段(4)の一部を差し込むための貫通孔(14)を形成したこと。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流路遮断装置、特に、火災発生時において、ガス流路を即座に遮断可能な流路遮断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流路遮断装置をガス流路内に組み込んだものとして、球弁を採用してなるものがある(例えば、特許文献1参照)。
このものは、前記球弁を収容する弁収容室をガス流路に連通するように並設させた構成としているもので、前記球弁は常温では支承体によって、前記弁収容室から流路への脱出が阻止された状態に支持されており、火災発生等により、異常過熱状態となった時点において、前記支承体の支持力が失われて、前記球弁が弁収容室から流路内に投入され、これにより、前記流路を遮断させる構成となっている。
【0003】
このものでは、例えば、前記支承体を低融点金属や熱可塑性樹脂材料等のような、設定温度以上の加熱によって融解あるいは変形を起こす性質の材料で構成しておけば、異常加熱時に、支承体が融解又は変形することにより、球弁が弁体収容室からガス流路内に投入させることができ、前記流路を確実に閉塞させることができる。よって、火災発生時において緊急にガスを遮断することができる、安全なガス流路を提供することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−2354号公報
【特許文献2】
特開2000−74239号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものでは、常温において球弁を収容しておく弁収容室を配管に並設させる構成であるから、配管全体が嵩高となる上に、流路を遮断するには球弁の自重により落下させなければならないから、流路遮断装置を設置する際にその方向性が限定されるといった問題がある。
本発明は、『異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置』において、通常の配管又は継手の外観を損ねることなく、又、設置場所が限定されることのない流路遮断装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
*1項
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『ガス流路を構成するシリンダー内に設けられ且つ前記シリンダー内を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、
前記板状弁を流路開放姿勢に保持する保持具と、
前記保持具による前記板状弁の保持状態を解除すると共に前記板状弁の弁軸を約90度回転させて流路を遮断させる操作部材と、
前記操作部材を操作開始方向へ付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記操作部材を操作阻止状態に位置決めする位置決め手段とからなり、
前記位置決め手段は、設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成されており、
前記シリンダーの周壁に前記位置決め手段の一部を差し込むための貫通孔が形成されている』ことである。
【0007】
上記技術的手段は次のように作用する。
遮断弁としての板状弁と、前記板状弁を流路開放状態に保持する保持具と、前記保持具による保持状態から板状弁を開放させると共に前記板状弁で流路が遮断されるように前記板状弁を閉弁操作する操作部材と、前記操作部材の操作が開始される方向へ向かって前記操作部材を付勢する付勢手段と、前記操作部材を所定位置に位置決めして操作開始を阻止する位置決め手段とからなる流路遮断装置をシリンダーに組み込んだ構成であり、感熱変形又は溶融素材からなる前記位置決め手段の一部は、前記シリンダーの周壁に形成された貫通孔に差し込まれた態様で配設されている。これにより、前記位置決め手段は前記シリンダーの外方域の温度を管壁部から感知することができる。前記操作部材は、常温においては、位置決め手段によって、操作阻止状態に保持されており、板状弁は流路開放姿勢に保持された状態のままであるから、ガスはシリンダー内を上流側から下流側へ支障なく流れる。そして、火災の発生等によりシリンダーの外方域が高温に異常加熱された場合、前記シリンダーの周壁に貫通されている前記位置決め手段が熱によって溶解又は変形する。これにより、前記付勢手段は自由状態となり、その付勢力によって操作部材は操作開始方向に移動させられることとなり、操作部材の操作によって、板状弁は保持具から開放されると同時に90度回動させられて流路遮断状態となり、ガスは前流板状弁の上流側で遮断されることとなる。
【0008】
*2項
上記1項において、『長手方向の一端が前記板状弁の中心に回動自在に連結される第1軸と、前記第1軸の他端に連結され且つ前記シリンダーの周壁近傍へ向かって延長すると共に前記付勢手段によって付勢され第2軸とから構成されている』ものでは、例えば、操作部材として、第1軸は流路の中心軸に沿って配設され、第2軸は、前記第1軸に対して直角に連結された断面略L字状又は略T字状部分を具備する軸体が採用可能である。この場合、前記第2軸の一端又は両端がシリンダーの周壁に向かって延長する態様となり、その延長端が前記付勢手段の付勢力によって前記板状弁から離反する方向へ付勢されると共に、常温においては前記位置決め手段によって移動阻止状態に位置決めされる態様となる。そして、火災の発生等によってシリンダーが異常過熱されて前記位置決め手段による位置決め力が喪失した場合、前記第2軸が付勢手段の付勢力によって前記板状弁から離反する方向に移動させられると同時に、前記第1軸も同方向に引っ張られる。前記第1軸の一端は前記板状弁の中心部分に回動自在に装着されているものであるから、前記第1軸が板状弁から離反する方向に引っ張られることによって、前記一端は前記板状弁の中心部分に対して回動すると共に前記中心部分を同方向に引っ張る態様となる。これによって、前記板状弁は強制的に90度回動させられ、流路閉塞姿勢となる。
【0009】
*3項
上記2項において、『前記板状弁の中心部分には前記第1軸が貫通可能な係止突起が突設されており、前記第1軸は、前記板状弁の直径に沿って前記係止突起を貫通した後、周縁近傍域で略U字状に屈曲するように構成されている』ものでは、第1軸は板状弁の直径に沿って配設される態様となり、係止突起に貫通させた後、外側周縁部にまで延長すると共に略U字状に屈曲する態様で、前記板状弁の回動を阻止して流路開放姿勢に保持することとなる。すなわち、第1軸の一端に設けた屈曲部分が、板状弁を流路開放姿勢に保持する保持具として機能することとなる。前記位置決め手段の喪失により、操作部材の操作阻止状態が解除された場合、付勢手段の付勢力によって、前記屈曲部分が前記係止突起に達するまで第1軸が移動させられると共に、前記屈曲部が前記係止突起に対して相対回動し、それに伴って、前記板状弁が90度回動させられることとなる。
【0010】
*4項
上記1項又は2項において、『前記保持具は、前記操作部材と別体に構成されていると共に、前記流路開放姿勢における前記板状弁の表裏を挟むように位置し且つ両端が前記シリンダーの管壁に固定された一対の軸部を具備する構成とした』ものでは、前記板状弁が流路開放姿勢にあるとき、その周縁部近傍を前記軸部で支えることによって前記板状弁を回動阻止状態に保持する態様となる。位置決め手段が喪失して前記操作部材が操作開始状態となった場合、前記板状弁は操作部材によって前記軸部間から引き抜かれることにより、回動可能となる。
【0011】
*5項
上記各項において、『前記シリンダー内に小径段部が突設されており、
前記位置決め手段は前記貫通孔から前記ガス流路に対して直角に突出させる複数の棒状体とし、
前記小径段部の一側方に前記板状弁が前記流路開放姿勢にて配設されるとき、他側方には前記棒状体が突出すると共に、前記小径段部と前記棒状体との間には、前記付勢手段としての弾性変形状態のコイルバネと前記操作部材の一部分とが介在され、
前記コイルバネの弾性復帰力によって前記操作部材が前記操作開始方向へ付勢されたとき、前記板状弁の周縁近傍部分が前記小径段部の前記一側方の面に密着状態に圧接される構成とした』ものでは、シリンダー内において前記小径段部の両側に、板状弁と棒状に形成された位置決め手段とがそれぞれ配設される構成となり、この状態において、板状弁は前記保持具によって流路開放姿勢に保持されている。火災等の異常過熱によって前記棒状体が融解又は変形すると、前記板状弁は、前記コイルバネの弾性復帰力により、保持具による保持から開放されると共に90度回動することとなり、流路が閉塞される。この流路遮断状態において、前記小径段部の一側面が前記板状弁の弁シートとして機能する。
【0012】
尚、6項のように、『前記シリンダーは、ガス配管内に外周気密状態に内挿可能な筒状部材とした』ものでは、既設のガス配管に本発明のシリンダーを内挿させるだけで、ガス配管内に流路遮断装置を具備させることができる。このとき、前記位置決め手段の前記一部を前記シリンダーの周壁を貫通させて前記ガス流路の内壁に接する構成としておけば、ガス配管が過熱されたときに位置決め手段に熱がより速やかに伝導されることとなる。
【0013】
さらに、7項のように、『前記シリンダーは、一端に一般配管が接続可能なテーパネジ部が設けられていると共に、他端にガスメータの上流側のガス入口管に螺合可能なナット部材が装着されている』ものでは、前記シリンダーを、ガスメータの上流側のガス入口管と、地中からガスを引き込む引き込み管との間に配設させる継手部材として機能させることができる。
尚、前記位置決め手段としては、8項に示すように、『熱可塑性合成樹脂、バイメタル、形状記憶合金、又は低融点金属から構成されている』ものが採用可能である。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
板状弁と保持具と操作部材と付勢手段と位置決め手段からなる流路遮断装置が予めシリンダーに組み込まれる構成としたから、現場での流路遮断装置の装着作業を簡略化することができる。遮断弁としての板状弁は操作部材による操作によって流路遮断姿勢へ姿勢変更可能に設定されているから、シリンダーに対して方向性が限定されることがなく、使用範囲が広がることとなる。又、板状弁を流路遮断状態に操作する操作部材を操作阻止状態に保持する位置決め手段は、異常加熱状態を感知し易いように配設されているから、異常過熱時において、位置決め手段に熱が伝わり易く、前記位置決め手段が変形又は溶融するまでの時間が短縮され、板状弁による迅速な遮断効果を期待することができる。
【0015】
2項のものでは、上記効果に加えて、前記操作部材と位置決め手段との間に付勢手段を介在させ易く、又、板状弁を回動させ易い構造の流路遮断装置を提供することができる。
【0016】
3項のものでは、操作部材と保持具とを一体的に形成することができるので、部品点数が削減され、組み立ても容易となるといった効果がある。
【0017】
4項のものでは、板状弁はシリンダーの管壁に固定させた二軸間に挟まれる態様で流路開放姿勢に保持する構成としたから、前記保持状態が確実となり、板状弁が不用意に回動する不都合はない。
【0018】
5項のものでは、板状弁は小径段部の一側面に密着する態様で流路を遮断することとなるから、流路を一層確実に遮断させることができる。
【0019】
上記構成のシリンダーは、6項に示したもののように、ガス配管内に挿入したり、7項のように、ガスメータの上流側の継手部材として使用したりすることができる。このような使用態様とした場合では、全体の外観が変わることがないので、ガス配管や継手等の美観が損なわれることがない。
【0020】
又、8項のもののように、位置決め手段の材料を特定することにより、異常過熱時の溶融又は変形を確実なものとすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、上記した本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。
図1から図3に示すものは、第1番目の実施の形態に関するものであり、図1は本発明実施の形態の流路遮断装置を流路開放状態に設置した様子を示す断面図であり、図2は、操作軸と板状弁の斜視図であり、図3は図1の流路遮断状態を示した断面図である。
【0022】
この実施の形態の流路遮断装置は、流路開放姿勢に保持された状態の板状弁(2)と、板状弁(2)の中央に突設させた係止突起(20)に連結されていると共に前記板状弁(2)を90度回動させて流路遮断操作する操作部材としての操作軸(21)と、前記操作軸(21)を操作開始方向に付勢する付勢手段としてのコイルバネ(3)と、前記コイルバネ(3)の弾性復帰を阻止する位置に配設されて、前記操作軸(21)を操作阻止状態に位置決めする位置決め手段としての複数の溶融ピン(4)とが、シリンダー(1)内に組み付けられた構成のものであり、前記シリンダー(1)はガス配管(10)に内装されて使用されるものとする。
【0023】
シリンダー(1)は、ガス配管(10)の内径に略一致する外径と、前記板状弁(2)の直径より大径に設定された内径とを有する両端開放の筒状体であり、その外周には、熱膨張パッキンからなるOリング(11)と、C型弾性リング(12)とが外嵌されている。又、これらOリング(11)及びC型弾性リング(12)の配設域における前記シリンダー(1)の内周壁には、小径筒部(13)が形成されており、前記小径筒部(13)の一方側には、前記小径筒部(13)の内径よりも大径で且つシリンダー(1)の内径よりも小径に設定された直径を有する金属製の円板である板状弁(2)が位置し、他方側には、前記コイルバネ(3)が前記溶融ピン(4)により弾性復帰阻止状態に配設される構造となる。
【0024】
前記溶融ピン(4)は、設定温度以上になると溶融する熱可塑性樹脂からなる棒軸状体であり、その一端に前記棒軸部分よりも大径な頭部を具備する形状に構成されており、シリンダー(1)の周壁には、前記溶融ピン(4)が挿通される貫通孔(14)が複数箇所に形成されている。尚、前記貫通孔(14)は、シリンダー(1)の外方に開放すると共に前記頭部が収容される大径孔と、それに連通し且つ前記シリンダー(1)の内方に開放すると共に前記棒軸部分が貫通する小径孔とから構成されているものとする。
【0025】
そして、溶融ピン(4)を、それぞれ各貫通孔(14)に外方から差し込むことにより、溶融ピン(4)の棒軸部分が所定長さシリンダー(1)の内方に突出するように全体長さは設定されている。
【0026】
操作軸(21)は、図2に示すように、全体が前記係止突起(20)に挿通可能な太さの金属線材からなり、軸線の一端には、略U字状に屈曲されてなるU字状端部(22)が形成されていると共に、他端には前記軸線に対して直角に屈曲させた後、その屈曲軸を半径とする円弧状に形成された円弧状端部(23)が形成された形状となっており、前記円弧状端部(23)の外径は、前記シリンダー(1)の内径に略一致するように設定されている。この実施の形態の操作軸(21)においては、シリンダー(1)の流路に沿って位置する軸部分が第1軸として機能し、この他端から円弧状端部(23)に至る部分が第2軸として機能することとなる。
【0027】
この実施の形態の流路遮断装置をガス配管(10)内にセットした状態において、U字状端部(22)の屈曲部が、シリンダー(1)の一方の開放端近傍に位置する前記板状弁(2)の周縁近傍部分に位置すると共に、小径筒部(13)の一側方に設けたコイルバネ(3)が、円弧状端部(23)を前記溶融ピン(4)を押圧する方向に付勢するように、溶融ピン(4)の形成位置、操作軸(21)の軸部の長さ、さらには、コイルバネ(3)の弾性復帰力はそれぞれ所定の寸法や大きさに設定されているものとする。
【0028】
各構成部品のシリンダー(1)への組み付けが完了した状態においては、図1に示すように、板状弁(2)は、操作軸(21)のU字状端部(22)によって、シリンダー(1)の軸線に対して平行な流路開放姿勢に保持される態様となる。言い換えれば、前記U字状端部(22)の部分が、板状弁(2)を流路開放姿勢に保持する保持具として機能することとなる。
【0029】
常温においては、操作軸(21)の位置は溶融ピン(4)によって位置決めされた状態に維持されることとなるから、前記板状弁(2)の周縁は、前記小径筒部(13)の開放端縁に接すると共にU字状端部(22)によって回動阻止状態に保持された態様となって、安定した状態で流路開放姿勢に維持されることとなる。
【0030】
シリンダー(1)は、一般的なガス配管に内挿可能な大きさに設定されているから、これを既設のガス配管(10)内に挿入すれば、シリンダー(1)が挿入された配管は、流路遮断装置付きの配管として機能することとなる。
【0031】
尚、前記シリンダー(1)の外周には、上記したように、Oリング(11)及びC型弾性リング(12)を具備させた構成としたから、前記シリンダー(1)は、ガス配管(10)内に外周気密状態に収容可能となっている。
【0032】
そして、火災の発生等によって、ガス配管(10)が異常過熱状態となった場合、シリンダー(1)の外方に開放する前記大径孔に収容されている溶融ピン(4)の頭部が、前記ガス配管(10)に接するように配設される構成となっているから、ガス配管(10)の熱は前記頭部から迅速に溶融ピン(4)全体に伝達される。溶融ピン(4)は上記したように設定温度で溶融する熱可塑性の合成樹脂から成型されていることから、設定温度以上に過熱されると、溶解又は変形してしまう。溶融ピン(4)が溶融又は変形してしまうと、コイルバネ(3)の弾性復帰力を阻止しきれなくなり、コイルバネ(3)が弾性復帰する。その弾性復帰力によって操作軸(21)の円弧状端部(23)がシリンダー(1)の他方開放端側へ押されて移動することとなり、円弧状端部(23)の移動に伴って、操作軸(21)全体が同方向に移動させられる。この移動に伴って、操作軸(21)は、U字状端部(22)の屈曲部が板状弁(2)の係止突起(20)内に位置するまで、係止突起(20)内を挿通移動し、U字状端部(22)の屈曲部が係止突起(20)内に位置した時点で板状弁(2)も、操作軸(21)によって、同方向へ引っ張られて、前記板状弁(2)は90度回動させられることとなる。それにより、図3に示すように、前記板状弁(2)の一方の面の周縁近傍が、小径筒部(13)の端面に圧着させられることとなる。
【0033】
こうして、シリンダー(1)内の流路は板状弁(2)によって遮断されると共に、シリンダー(1)と配管(10)との間も熱膨張パッキンからなる前記Oリング(11)が熱膨張することにより気密性が確保されることから、ガス配管(10)内の流路は確実に遮断されることとなる。
【0034】
図4及び図5に示すものは、第2番目の実施の形態の流路遮断装置の流路開放状態を示しており、操作軸(21)と保護具の変形例を示している。図5は図4のX−X断面図である。
【0035】
この実施の形態の操作軸(21)は、一端が板状弁(2)の係止突起(20)に回動自在に連結されている第1軸部(24)と、前記第1軸部(24)の他端に連結され且つシリンダー(1)の内径に略一致する長さの第2軸部(25)とから全体に略T字状に構成されているもので、シリンダー(1)の周方向に沿った複数箇所には、溶融ピン(4)を突設させていると共に、この溶融ピン(4)と前記第2軸部(25)との間には、リング(30)を介在させている。
【0036】
常温においては、前記第2軸部(25)の両端が、前記コイルバネ(3)の付勢力によって、前記リング(30)を介して溶融ピン(4)を押圧する態様となる。
又、板状弁(2)を流路開放姿勢に保持する保持具(5)は、前記操作軸(21)とは別体に設けられていると共に、図5に示すように、全体が略U字状に屈曲させた金属線材から構成されている。
【0037】
前記保持具(5)を構成している一対の支持軸(51a)(51b)間の距離は、前記板状弁(2)の肉厚よりも僅かに大きい程度に設定されており、これら支持軸(51a)(51b)の両端は、それぞれ、シリンダー(1)の内壁に設けた凹部(15a)(15b)に嵌め込まれることにより、保持具(5)はシリンダー(1)内において、所定位置に位置決めされた状態となる。尚、板状弁(2)は、小径筒部(13)から所定距離離れて位置するように設けられていると共に、その位置で前記支持軸(51a)(51b)によって、前記板状弁(2)の外側周縁近傍が支持されるように、シリンダー(1)内における前記凹部(15a)(15b)の形成位置は設定されているものとする。
【0038】
このものでは、火災の発生等において、溶融ピン(4)による第2軸部(25)に対する位置決め力が喪失した場合、コイルバネ(3)の弾性復帰力によって、第2軸部(25)が前記リング(30)を押しながら、図4の矢印の方向へ移動させられることとなり,それに伴って、第1軸部(24)によって、板状弁(2)が小径筒部(13)側へ引っ張られると共に、保持具(5)の支持軸(51a)(51b)内から引き抜かれることとなる。引き抜かれた板状弁(2)は、第1軸部(24)によってその中心の係止突起(20)がさらに引っ張られることによって、90度回動させられ、小径筒部(13)の端面に圧着される態様となり、シリンダー(1)の流路を遮断することとなる。
【0039】
図6及び図7に示すものは、第3番目の実施の形態の流路遮断装置であり、操作軸(21)を、金属線材により、略U字状の第1軸部(26)と、前記第1軸部(26)の両端からシリンダー(1)の内壁に向かって直角に延長させた一対の第2軸部(27)とから構成したもので、第1軸部(26)の屈曲部分を板状弁(2)の係止突起(20)に挿通させると共に、第2軸部(27)をコイルバネ(3)によって、溶融ピン(4)に押圧状態に付勢される構成とする。尚、この実施の形態のものにおいても、上記した第2番目の実施の形態のものと同様に、前記第2軸部(27)と前記溶融ピン(4)との間に、リング(30)が介在されているものとする。
【0040】
保持具(50)としては、図7に示すように、金属線材を屈曲させて、略C字状体の両端から一対の支持軸(52a)(52b)を円の内側に向かって平行に延長させた形状のものを採用しており、シリンダー(1)の内壁に形成された環状溝部(18)内に、前記保持具(50)を嵌め込むことにより、保持具(50)は、シリンダー(1)内において所定位置に固定される態様となる。尚、この環状溝部(18)の形成位置も、上記した第2番目の実施の形態における前記凹部(15a)(15b)の形成位置と略一致するように設定されているものとする。
【0041】
前記支持軸(52a)(52b)間の距離は、板状弁(2)の肉厚に略一致する程度に設定されており、この実施の形態のものも、上記した第2番目の実施の形態の場合と同様に、溶融ピン(4)の位置決め力が喪失して、第2軸部(27)がコイルバネ(3)の弾性復帰力によって移動させられるとき、第1軸部(26)によって、板状弁(2)は支持軸(52a)(52b)間から引き抜かれると共に90度回転させられて、流路遮断状態となる。
【0042】
図8に示すものは、シリンダー(1)を、配管に内挿させることなく、ガスメータ(M)の上流側のガス入口管(40)と、地中からガスを引き込む引き込み管(41)との間に配設させる継手部材(100)として機能させるようにしたものであり、上端には、一般配管が接続可能なテーパネジ部(16)が設けられていると共に、下端には、ガスメータ(M)の上流側のガス入口管(40)に螺合可能なナット部材(17)が装着された構成となっている。
【0043】
シリンダー(1)内には、上記実施の形態の場合と同様に、小径筒部(13)が設けられていると共に、その上方には板状弁(2)とその保持具が、下方にはコイルバネ(3)で付勢させた操作軸がそれぞれ配設される構成とする。
【0044】
尚、この実施の形態のものでは、操作軸として、上記した第2番目の実施の形態で採用した構成のものが使用され、保護具としては、第3番目の実施の形態で採用した構成のものを使用する構成とした。
【0045】
又、板状弁(2)を、同図に示す流路開放姿勢に保持した状態にて、操作軸(21)を操作阻止状態に保持するための溶融ピン(4)は、シリンダー(1)の内壁に設けた差込穴(42)に差し込まれて固定された構成となっている。
【0046】
このものでは、火災発生等の異常過熱状態において、シリンダー(1)が設定温度以上に過熱されると、溶融ピン(4)が溶融して第2軸部(25)に対する保持力が喪失し、コイルバネ(3)の弾性復帰力によって、前記第2軸部(25)が下方へ押され、それに伴って、第1軸部(24)によって、板状弁(2)が保持具(50)から下方へ引き抜かれると共に、下方へ向かって90度回動させられることとなる。これによって、板状弁(2)は、小径筒部(13)の上端面に圧着することとなり、シリンダー(1)内の流路が遮断されることとなる。
【0047】
このように、火災発生時において、引き込み管(41)からガスメータ(M)へ送られてくるガスを、ガスメータ(M)の上流側に設けた継手部材(100)としてのシリンダー(1)内で遮断することができるから、何らかの原因で不用意にガスメータ(M)が落下した場合でも、引き込み管(41)内のガスは継手部材(100)の上流側で遮断されることとなり、ガスが外部に漏れる危険性を防止することができる。
【0048】
又、シリンダー(1)からなる継手部材(100)は、構造上、ガスメータ(M)の入口側又は出口側のどちらの配管継手としても取付けることができるが、安全性の面から、ガスメータの上流側の配管に設置させておくことが望ましい。
【0049】
尚、各実施の形態において、操作部材の操作阻止状態に保持する溶融ピン(4)としては、設定温度以上に過熱されたときに溶解又は変形する材質のものであれば、何ら限定されることなく、熱可塑性樹脂やバイメタルの他、形状記憶合金や低融点金属等も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置をガス配管に内挿させた例を示す常温時の断面図。
【図2】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置に採用した操作軸と板状弁の斜視図。
【図3】本発明の第1番目の実施の形態の流路遮断装置の異常過熱時の様子を示す断面図。
【図4】本発明の第2番目の実施の形態の流路遮断装置をガス配管に内挿させた例を示す常温時の断面図。
【図5】図4のX−X断面図。
【図6】本発明の第3番目の実施の形態の流路遮断装置をガス配管に内挿させた例を示す常温時の断面図。
【図7】図6のY−Y断面図。
【図8】本発明の第4番目の実施の形態の流路遮断装置に採用されたシリンダーをガスメ ータ用の配管用継手部材の断面図。
【符号の説明】
(1)・・・・シリンダー
(14) ・・・・貫通孔
(2)・・・・板状弁
(21)・・・・操作部材(操作軸)
(3) ・・・・付勢手段(コイルバネ)
(4) ・・・・位置決め手段(溶融ピン)
(5)(50)・・保持具

Claims (8)

  1. 異常過熱時にガス流路を遮断させる流路遮断装置において、
    ガス流路を構成するシリンダー内に設けられ且つ前記シリンダー内を遮断可能な大きさ形状に形成された板状弁と、
    前記板状弁を流路開放姿勢に保持する保持具と、
    前記保持具による前記板状弁の保持状態を解除すると共に前記板状弁の弁軸を約90度回動させて流路を遮断させる操作部材と、
    前記操作部材を操作開始方向へ付勢する付勢手段と、
    前記付勢手段の付勢力に抗して前記操作部材を操作阻止状態に位置決めする位置決め手段とからなり、
    前記位置決め手段は、設定温度で変形又は溶融可能な素材より構成されており、
    前記シリンダーの周壁に前記位置決め手段の一部を差し込むための貫通孔が形成されている流路遮断装置。
  2. 請求項1に記載の流路遮断装置において、前記操作部材は、長手方向の一端が前記板状弁の中心に回動自在に連結される第1軸と、前記第1軸の他端に連結され且つ前記シリンダーの周壁近傍へ向かって延長すると共に前記付勢手段によって付勢される第2軸とから構成されている流路遮断装置。
  3. 請求項2に記載の流路遮断装置において、前記板状弁の中心部分には前記第1軸が貫通可能な係止突起が突設されており、前記第1軸は、前記板状弁の直径に沿って前記係止突起を貫通した後、周縁近傍域で略U字状に屈曲するように構成されている流路遮断装置。
  4. 請求項1又は2に記載の流路遮断装置において、前記保持具は、前記操作部材と別体に構成されていると共に、前記流路開放姿勢における前記板状弁の表裏を挟むように位置し且つ両端が前記シリンダーの管壁に固定された一対の軸部を具備する構成とした流路遮断装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の流路遮断装置において、前記シリンダー内に小径段部が突設されており、
    前記位置決め手段は前記貫通孔から前記ガス流路に対して直角に突出させる複数の棒状体とし、
    前記小径段部の一側方に前記板状弁が前記流路開放姿勢にて配設されるとき、他側方には前記棒状体が突出すると共に、前記小径段部と前記棒状体との間には、前記付勢手段としての弾性変形状態のコイルバネと前記操作部材の一部分とが介在され、
    前記コイルバネの弾性復帰力によって前記操作部材が前記操作開始方向へ付勢されたとき、前記板状弁の周縁近傍部分が前記小径段部の前記一側方の面に密着状態に圧接される構成とした流路遮断装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の流路遮断装置において、前記シリンダーは、ガス配管内に外周気密状態に内挿可能な筒状部材とした流路遮断装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の流路遮断装置において、前記シリンダーは、一端に一般配管が接続可能なテーパネジ部が設けられていると共に、他端にガスメータの上流側のガス入口管に螺合可能なナット部材が装着されている流路遮断装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の流路遮断装置において、前記位置決め手段は熱可塑性合成樹脂、バイメタル、形状記憶合金、又は低融点金属から構成されている流路遮断装置。
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