JP2004162661A - エンジンの可変バルブタイミング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの可変バルブタイミング装置に用いられる油路を、カムキャップを大型化することなく、該カムキャップに十全に形成することを課題とする。
【解決手段】油圧供給油路60、進角用油路62、及び遅角用油路63のうちの少なくとも2つの油路の主要部を、カムキャップ4におけるカムシャフト方向と直交する一方の端面に設けた溝状通路90,91,92と、該端面を覆うカバー部材とで構成する。油路60,62,63をカムキャップ4の中に形成しないから、カムキャップ4が幅方向に厚くならず、該カムキャップ4の大型化が回避できる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの可変バルブタイミング装置に関し、エンジンの動弁機構の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用などのエンジンにおいては、吸・排気バルブの開閉時期を可変とする可変バルブタイミング装置が備えられることがある。そのエンジンの可変バルブタイミング装置の従来例として特許文献1に記載のものがある。これによると、クランクシャフトにチェーンで連動するスプロケットの中に、カムシャフト側に一体のロータとスプロケット側に一体のケーシングとで形成された進角用油圧室と遅角用油圧室とが設けられ、これらの油圧室への油圧(進角用油圧・遅角用油圧)の給排を制御することによって、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相が変化する。その場合、上記進角用油圧室及び遅角用油圧室に供給する油圧の制御は、例えばエンジン回転数センサやスロットル開度センサなどの各種センサの検出結果に基づいて、カムシャフトを支持するカムキャップ近傍に設けられた油圧制御弁によって行なわれる。
【0003】
ここで、可変バルブタイミング装置に必要な油路としては、例えば、油圧源から上記油圧制御弁に通じて、該制御弁に制御の元圧を供給する油圧供給油路や、上記油圧制御弁から進角用油圧室及び遅角用油圧室に通じて、各油圧室にそれぞれ進角用油圧及び遅角用油圧を導入する進角用油路及び遅角用油路などがある。その場合、上記油圧制御弁が、カムシャフトを支持するカムキャップに組み付けられることがあり、そのときには、上記油圧供給油路や進角用油路及び遅角用油路もまたカムキャップを利用して、該カムキャップの厚みの中に形成されることがある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−50102号公報(第3−5頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カムキャップの内部に上記油圧供給油路や進角用油路及び遅角用油路などの複数の油路を設ける場合、これらの油路と、カムキャップをシリンダヘッドに締結するためのボルト孔などとが交差することを回避しなければならない。また、もちろん、油路同士が相互に交差することも回避しなければならない。その結果、カムキャップがいきおい幅方向(厚み方向:カムシャフトの延びる方向)に大型化し、エンジンのコンパクト化、ひいては車両のコンパクト化が阻害されてしまう。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、エンジンの可変バルブタイミング装置に用いられる油路を、カムキャップを大型化することなく、該カムキャップに十全に形成することを主たる課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの端部にそれぞれ設けられ、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相を可変とする油圧式位相可変機構と、該位相可変機構の進角用油圧室及び遅角用油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁とを有し、油圧源から該油圧制御弁に通じる油圧供給油路、並びに該油圧制御弁と上記位相可変機構の進角用油圧室及び遅角用油圧室とをそれぞれ連通させる進角用油路及び遅角用油路がカムシャフトを支持するカムキャップに設けられているエンジンの可変バルブタイミング装置に関するもので、上記油圧供給油路、進角用油路、及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路の主要部が、上記カムキャップにおけるカムシャフト方向と直交する一方の端面に設けられた溝状通路と、該端面を覆うカバー部材とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、油圧供給油路、進角用油路、及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路の主要部を、カムキャップにおけるカムシャフト方向と直交する一方の端面に設けた溝状通路と、該端面ひいては該溝状通路を覆うカバー部材とで構成したから、結局、上記油圧供給油路、進角用油路、及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路の主要部が、カムキャップの一方の端面に位置することになる。よって、エンジンの可変バルブタイミング装置に必要な複数の油路を、カムキャップを利用して、該カムキャップに形成するけれども、該カムキャップを大型化(特に厚み方向に大型化)することがない。
【0010】
しかも、これらの油路と、カムキャップの厚みの中に形成され、カムキャップをシリンダヘッドに締結するためのボルト孔との交差を心配することもない。加えて、これらの油路(溝状通路)が外部に面しているから、該油路をカムキャップの内部に形成するときと比べて、該油路同士を相互に交差しないように形成することが極めて容易となり、製造コストの削減が図られる。
【0011】
なお、このように、カムキャップ端面の溝状通路をカバー部材で覆うことによって、該溝状通路は油路となって完成するが、このとき、カバー部材にも上記溝状通路に対応する溝状通路を設けると、カムキャップ側の溝状通路の深さを浅くすることができ、その結果、カムキャップの幅方向の寸法をより一層小さくすることができる。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、油圧制御弁は、軸方向をカムキャップの端面に平行に向けて該カムキャップに取り付けられており、かつ該端面に設けられた油圧供給油路、進角用油路及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路を構成する溝状通路は、上記油圧制御弁の軸方向に並べて設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、油圧制御弁をカムキャップの端面に平行な方向に延びるように配置することにより、該油圧制御弁に設けられた各ポートが同方向に並ぶ。また、上記各ポートと接続する、油圧供給油路、進角用油路、及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路を構成する溝状通路もまた、油圧制御弁の軸方向に並んでいるから、結局、上記各ポートと同様、カムキャップの端面に平行な方向に並ぶ。つまり、カムキャップ端面に設けられた複数の油路と、対応する油圧制御弁のポートとが、同じ方向に並ぶから、各ポートとそれに対応する油路との接続が極めて容易となる。したがって、カムキャップ端面に設けられた油路から油圧制御弁のポートに接続する際の油路の引き回しが少なくなり、この点からもカムキャップのコンパクト化が図れる。また、油路を形成・完成するための付随的機械加工が少なくて済み、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0014】
次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、カムキャップの端面には、進角用油路及び遅角用油路の主要部をそれぞれ構成する溝状通路が設けられていると共に、該カムキャップにおけるカムシャフトの軸受面には、上記進角用油路及び遅角用油路の一部をそれぞれ構成する環状溝がカムシャフト方向に並べて設けられており、上記両溝状通路は、上記環状溝側の端部で、対応する環状溝に近接するように、互いに異なる深さとされていることを特徴とする。
【0015】
この発明は、カムキャップの端面に、進角用油路及び遅角用油路の溝状通路が設けられ、カムキャップにおけるカムシャフトの軸受面に、進角用油路及び遅角用油路の環状溝が設けられている場合における、次のような問題に対処するものである。すなわち、上記カムキャップ端面の溝状通路と、軸受面の環状溝とを相互に連通させるためには、環状溝がカムキャップ端面から幅方向(厚み方向)に離間しているから、まずそのギャップを埋めるために、溝状通路における環状溝側の端部で、カムキャップの厚み方向に横穴を開け、そして、該横穴に対して、環状溝側から、カムキャップの端面に平行な方向に縦穴を開けることが考えられる。すなわち、少なくとも縦・横2つの連通路が必要となり、その結果、少なくとも2回の加工工程が必要となる。このような問題は、溝状通路と環状溝とが、カムキャップの厚み方向により遠く離間するほど発生する可能性が高くなる。
【0016】
そこで、この発明では、カムキャップ端面にある溝状通路の環状溝側の端部の深さを他の部分の深さよりも深くして、該深い部分で、上記ギャップを埋めるための横穴を兼ねるようにしたのである。これにより、溝状通路と環状溝とを連通させるときに、カムキャップの幅方向への横穴を開ける必要がなくなり、環状溝側から上記深い部分に向けて縦穴を開けるだけで済むようになる。その結果、カムキャップ内部の油路の加工工程が少なくなり、油路を形成・完成するための付随的機械加工が少なくて済み、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0017】
次に、請求項4に記載の発明は、上記請求項1から3のいずれかに記載の発明において、溝状通路は、カムキャップの成形時に形成されたものであることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、カムキャップ端面の溝状通路を、例えば鋳造や焼結等のカムキャップの成形時に同時に形成することによって、カムキャップを成形した後に別途油路を後加工で形成するような手間が廃止でき、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1、図2に示すように、本実施の形態に係るエンジン1には、図外のクランクシャフト(符号2を付す)に平行に配置され、シリンダヘッド3とカムキャップ4とで回転自在に支持された、吸気カムシャフト5及び排気カムシャフト6が備えられている。これらのカムシャフト5,6の一端部近傍には、該カムシャフト5,6に対して所定範囲内で相対回転可能なスプロケット7,8が嵌合されると共に、これらのスプロケット7,8とクランクシャフト2側のスプロケットとの間にチェーン9が巻き掛けられている。そして、クランクシャフト2の回転に伴い、上記チェーン9を介して、両スプロケット7,8及び両カムシャフト5,6が回転し、これにより、カムシャフト5,6にそれぞれ固設された複数のカム10…10,11…11(図1参照)を介して、複数の吸気バルブ12…12及び排気バルブ13…13が開閉駆動される。
【0020】
このエンジン1の可変バルブタイミング装置20は、吸気カムシャフト5及び排気カムシャフト6のスプロケット7,8側の端部にそれぞれ設けられ、クランクシャフト2に対するこれらのカムシャフト5,6の回転位相角(すなわちクランクシャフト2に対する吸気バルブ12…12及び排気バルブ13…13の開閉時期の位相角)をそれぞれ独立して変更する吸気側及び排気側の油圧式位相可変機構22,23と、該位相可変機構22,23の進角用油圧室51…51及び遅角用油圧室52…52(図4参照)に供給する油圧を制御する排気側の油圧制御弁21及び吸気側の油圧制御弁(図示せず)とを有する。両位相可変機構22,23は、エンジン1の運転状態に応じて、相互に独立して、個別に制御される。そして、両位相可変機構22,23は、構造がほぼ同様とされているので、以下、排気側位相可変機構23を例にとってその構造を説明し、吸気側位相可変機構22についてはその構造の説明は省略する。
【0021】
すなわち、位相可変機構23は、図3、図4に示すように、中心に向けて突出する複数の突出部30…30(図4に2つだけ図示)を有する中空のハウジング31と、該ハウジング31の蓋部材32とを含み、これらのハウジング31と蓋部材32とが複数のボルト33…33によりスプロケット8に一体に固定された基本構造である。また、位相可変機構23は、上記ハウジング31に収容され、周辺に向けて突出する複数の(より詳しくは、ハウジング31の突出部30と同数の)係合部37…37(図4に1つだけ図示)を有するロータ35と、該ロータ35の中心部に嵌合される受け部材36とを含み、これらのロータ35と受け部材36とが中心部の単一のボルト34により排気カムシャフト6に一体に固定された構造である。各係合部37…37は、スプロケット8とハウジング31と蓋部材32とロータ35とで囲まれた空間を、進角用油圧室51と遅角用油圧室52とに画成する。ここで、各係合部37の頂面には、オイルシール38が配設されている。
【0022】
上記受け部材36にはツルマキバネ39が内装されている。ツルマキバネ39の一端39aは、蓋部材32に立設されたピン40に係止され、他端39bは、上記受け部材36の中央ボス部に設けられた凹部に係止されている。ツルマキバネ39は、カムシャフト6を、スプロケット8に対し、進角方向(図4の矢印X)に付勢する。
【0023】
また、位相可変機構23は、図3に明示したように、ロック機構42を搭載する。このロック機構42は、ロータ35の所定の1つの係合部37の中で軸方向に移動可能なロックピン43を含む。ロックピン43は、リターンスプリング45によって、常にスプロケット8側に付勢されている。スプロケット8には、カムシャフト6及びロータ35が、オーバーラップを最も狭くする位置(図例は排気側であるから、カムシャフト6及びロータ35の最進角位置)に到達したときに、上記ロックピン43が嵌入する凹所44が形成されている。さらに該凹所44のスプロケット8側には、後述する進角用油路62に連通する解除用油圧室46が設けられている。
【0024】
一方、図5に示すように、油圧制御弁21は、軸方向が上下に延びるように油圧制御弁挿入孔21aに挿入され、ブラケット71及びボルト72を用いて、カムキャップ4に組み付けられている。油圧制御弁21は、中空のバルブケース68と、該ケース68内を軸方向に移動可能なスプール69と、該スプール69を1方向に付勢するスプリング70とを有する。上記スプール69の軸方向の移動量は、コントロールユニット(図示せず)で駆動が制御されるアクチュエータ、例えば電磁ソレノイドなどで調整される。油圧制御弁21には、1つの入力ポート61と、2つのドレンポート64,65と、2つの出力ポート66,67とが設けられている。そして、入力ポート61に油圧供給油路60が接続され、出力ポート66,67にそれぞれ進角用油路62及び遅角用油路63が接続されている。このとき、油圧制御弁21のポートの配置は、上から順に、進角用出力ポート66、入力ポート61、遅角用出力ポート67の順である。また、油路の配置は、上から順に、進角用油路62、油圧供給油路60、遅角用油路63の順である。
【0025】
供給油路60は、図外の油圧源から制御の元圧をこの油圧制御弁21に供給する。進角用油路62及び遅角用油路63は、この油圧制御弁21から進角用油圧及び遅角用油圧を上記位相可変機構23の進角用油圧室51及び遅角用油圧室52にそれぞれ供給する。スプール69の軸方向の位置に応じて、進角用油路62及び遅角用油路63の入力ポート61との連通度及びドレンポート64,65との連通度が変化し、上記進角用油圧室51及び遅角用油圧室52に供給される進角用油圧及び遅角用油圧が制御される。
【0026】
次に、この可変バルブタイミング装置20における上記各油路60,62,63の構成、特に、進角用油路62及び遅角用油路63の構成を中心に説明する。まず、本実施形態においては、上記進角用油路62及び遅角用油路63は、カムキャップ4に設けられている。また、上記進角用油路62及び遅角用油路63は、油圧制御弁21と位相可変機構23の進角用油圧室51及び遅角用油圧室52とをそれぞれ連通させている。また、上記進角用油路62及び遅角用油路63の一部は、カムキャップ4におけるカムシャフト6の軸受面82に形成された環状溝101,100で構成されている。
【0027】
すなわち、図1、図2に示すように、カムキャップ4は、シリンダヘッド3の位相可変機構22,23側の端部の上面に、複数のボルト80…80で締結されている。シリンダヘッド3の上面(カムキャップ4との合せ面)及びカムキャップ4の下面(シリンダヘッド3との合せ面)には、それぞれ下方又は上方に湾曲する半円形の、カムシャフト5,6の軸受面81,81,82,82が形成されており、これらが合わさり、協働することによって、カムシャフト5,6の軸受部83,84が形成されている。
【0028】
図6に示すように、カムキャップ4の正面(カバー部材93との合せ面)には、3つの線状溝90,91,92が形成されている。なお、図6において線状溝90〜92の右端部を始端部、左端部を終端部とする。また、図7及び図8に示すように、カバー部材93の背面(カムキャップ4との合せ面)には、上記溝90〜92と鏡像関係にある、同じく3つの線状溝95,96,97が形成されている。そして、図2に示したように、これらのカムキャップ4とカバー部材93とを密着させて、複数のボルト94…94で締結することにより、上記溝90〜92,95〜97同士が合わさり、それぞれ、上記供給油路60、進角用油路62、及び遅角用油路63の一部が構成される。このとき、油路の配置は、油圧制御弁21の場合と同様に、上から順に、進角用油路62、供給油路60、遅角用油路63の順である。すなわち、進角用油路62は遅角用油路63より上位位置に設けられている。
【0029】
また、図3及び図9に示すように、カムキャップ4における排気カムシャフト6の軸受面82には、2つの環状溝100,101が形成されている。一方の環状溝100は、遅角用油路63の一部を構成し、他方の環状溝101は、進角用油路62の一部を構成する。その場合、遅角用油路63の環状溝100は、進角用油路62の環状溝101よりも、カムキャップ4の軸受面82における幅方向の端部寄りに設けられている。しかも、カムキャップ4の軸受面82における位相可変機構23側の端部寄りに設けられている。一方、進角用油路62の環状溝101は、カムキャップ4の軸受面82における幅方向のほぼ中央に設けられている。
【0030】
図3に明示したように、排気カムシャフト6の周面には、上記環状溝100,101にそれぞれ臨む縦穴102,103が形成されており、該縦穴102,103を介して、上記環状溝100,101から供給される遅角用油圧・進角用油圧が、カムシャフト6の内部に設けられた横穴104,105を経て、それぞれ位相可変機構23の遅角用油圧室52及び進角用油圧室51に導かれる。
【0031】
また、図9及び図10に示すように、カムキャップ4の底面には、吸気カムシャフト5及び排気カムシャフト6の軸受面82,82間で、縦穴110が形成されている。この縦穴110は、図6及び図10に示すように、横穴111を介して、供給油路60の線状溝90の始端部と連通している。
【0032】
そして、図11及び図12に示すように、供給油路60は、線状溝90の終端部から油圧制御弁21の入力ポート61に至る連通路120を有する。
【0033】
一方、図13及び図14に示すように、進角用油路62は、線状溝91の終端部がそのまま油圧制御弁21に通じている。ここで、図14に明示したように、進角用油路62の線状溝91は、カムシャフト6の軸受面82の上方に位置する始端部において、深く形成された箇所121を有している。そして、図14に示すように、進角用油路62の線状溝91は、その深く形成された箇所121において、単一の連通路122のみにより、進角用油路62の環状溝101と連通している。
【0034】
また、図15に示すように、遅角用油路63も、進角用油路62と同様、線状溝92の終端部がそのまま油圧制御弁21に通じている。ここで、遅角用油路63の線状溝92は、カムシャフト6の軸受面82に近接する始端部において、終端部と比べて深く形成されたの箇所123を有している。そして、遅角用油路63の線状溝92は、その箇所123において、単一の連通路124のみにより、遅角用油路63の環状溝100と連通している。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、位相可変機構23の作用を説明すると、図4に示すように、ロータ35は、スプロケット8、ハウジング31、及び蓋部材32に対して、係合部37…37が突出部30…30に当接するまで、所定範囲内で相対回転可能である。これにより、スプロケット8ひいてはクランクシャフト2に対するカムシャフト6の回転位相角が変更可能となり、クランクシャフト2に対する排気バルブ13…13の開閉時期が変更可能となる。また、ツルマキバネ39は、カムシャフト6を、その回転方向である進角方向Xに付勢している。これにより、排気バルブ13…13を常時閉側に付勢するリターンスプリング(図示せず)の反力によって排気カムシャフト6が遅角方向(オーバーラップが大きくなる方向)へ付勢されることが緩和される。
【0036】
次に、排気側位相可変機構23の進角用油圧室51又は遅角用油圧室52にそれぞれ進角用油圧・遅角用油圧が供給される動作を説明する。まず、この油圧の給排制御は、例えばエンジン回転数センサやスロットル開度センサあるいは水温センサなどの各種センサで検出されたエンジン1の運転状態に基づいて、油圧制御弁21を駆使してコントロールユニットにより行われ、エンジン1の出力性能などが最適化される。もちろん、吸気側位相可変機構22もまた、エンジン1の運転状態に基づいて、図示しない油圧制御弁を駆使して、同様に、個別に制御される。
【0037】
次に、カムキャップ4に設けられた油路60,62,63の作用について説明する。まず、本実施形態では、油圧供給油路60、進角用油路62、及び遅角用油路63のうちの少なくとも2つの油路(より詳しくはすべての油路)の主要部を、カムキャップ4におけるカムシャフト5,6が延びる方向と直交する一方の端面に設けた溝状通路90〜92と、該端面ひいては該溝状通路90〜92を覆うカバー部材93とで構成したから、結局、上記油圧供給油路60、進角用油路62、及び遅角用油路63のすべての油路の主要部が、カムキャップ4の一方の端面に位置することになる。よって、このエンジン1の可変バルブタイミング装置20に必要な複数の油路60,62,63を、カムキャップ4を利用して、該カムキャップ4に形成するけれども、該カムキャップ4を大型化(特に幅方向・厚み方向に大型化)することが回避できる。
【0038】
しかも、これらの油路60,62,63が、カムキャップ4の厚みの中に形成され、カムキャップ4をシリンダヘッド3に締結するための複数のボルト80…80用の孔等と交差する心配もない。加えて、これらの油路60,62,63(より詳しくは溝状通路90〜92)が外部に面しているから、該油路60,62,63(溝状通路90〜92)をカムキャップ4の内部に形成するときと比べて、該油路(90〜92)同士を相互に交差しないように形成することが極めて容易となり、製造コストの削減が図られる。
【0039】
なお、このように、カムキャップ4の端面の溝状通路90〜92をカバー部材93で覆うことによって、該溝状通路90〜92はそれぞれ油路60,62,63の主要部となって完成するが、このとき、カバー部材93にも上記溝状通路90〜92に対応する溝状通路95〜97を設けたので、カムキャップ4側の溝状通路90〜92の深さを浅くすることができ、その結果、カムキャップ4の幅方向の寸法をより一層小さくすることができる。
【0040】
また、油圧制御弁21を、カムキャップ4の端面に平行な方向に(より詳しくは上下方向に)延びるように配置したから、該油圧制御弁21に設けられた各ポート61,64〜67が同じく上下方向に並ぶ。また、特に、入力ポート61及び出力ポート66,67と接続する、油圧供給油路60、進角用油路62、及び遅角用油路63のうちの少なくとも2つの油路(より詳しくはすべての油路)を構成する溝状通路90〜92もまた、油圧制御弁21の軸方向、つまり上下方向に並んでいるから、結局、上記各ポート61,64〜67と同様、カムキャップ4の端面に平行な上下方向に並ぶ。つまり、カムキャップ4の端面に設けられた複数の油路60,62,63(溝状通路90〜92)と、対応する油圧制御弁21のポート61,66,67とが、同じ上下方向に並ぶから、各ポート61,66,67と、それに対応する油路60,62,63(90〜92)との接続が極めて容易となる。したがって、カムキャップ4の端面に設けられた油路60,62,63(90〜92)から油圧制御弁21のポート61,66,67に接続する際の油路の引き回しが少なくなり、この点からもカムキャップ4のコンパクト化が図れる。また、油路60,62,63(90〜92)を形成・完成するための付随的機械加工が少なくて済み、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0041】
また、カムキャップ4の端面にある溝状通路91,92の環状溝101,100側の端部(始端部)の深さを他の部分(例えば終端部)の深さよりも深くして、該深い部分121,123で、環状溝101,100に通じる横穴を兼ねるようにしたから、溝状通路91,92と環状溝101,100とを連通させるときに、カムキャップ4の幅方向への横穴を開ける必要がなくなり、環状溝101,100側から上記深い部分121,123に向けて縦穴122,124を開けるだけで済むようになる。その結果、カムキャップ4の内部における油路62,63の加工工程が少なくなり、油路62,63を形成・完成するための付随的機械加工が少なくて済み、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0042】
また、カムキャップ4の端面の溝状通路90〜92を、例えば鋳造や焼結等のカムキャップ4の成形時に同時に形成することができ、これにより、例えば、カムキャップ4を成形した後に別途油路(90〜92等)を後加工で形成するような手間が廃止でき、この点からも製造コストの削減が図られる。
【0043】
次に、シリンダヘッド3へのカムキャップ4の位置決め機構について説明する。図16に示すように、位置決め機構は、供給油路60の縦穴110とシリンダヘッド3に形成された縦穴130とを連結する第1のチューブラピン131と、図9に示すように、シリンダヘッド3をカムキャップ4に締結するボルト80…80のうちの油圧制御弁21から最も遠いボルトのボルト孔132でシリンダヘッド3とカムキャップ4とを連結する第2のチューブラピン133との、2つのピンからなる(図9のボルト孔132の内側の二重線は、第2のチューブピン133が当接する段部を示す)。なお、上記シリンダヘッド3側の縦穴130は、図外の油圧源に通じている。
【0044】
ここで、図16に明示したように、第1のチューブラピン112の周面には絞り孔134,134が設けられている。また、図9に明示したように、カムキャップ4の底面には、上記縦穴110から、吸気カムシャフト5及び排気カムシャフト6の軸受面82,82にそれぞれ通じる潤滑用の油溝135,136が設けられている。その場合に、該油溝135,136の通路上には、両カムシャフト5,6間に配置されたボルト80,80が位置するため、該ボルト80,80を避けるように、該ボルト孔137,138の周りに湾曲する溝部139,140を設けて、作動油を両カムシャフト5,6の軸受面82,82に支障なく供給することを図っている。
【0045】
なお、本実施の形態では、排気側の位相可変機構23に通じる油路60,62,63に本発明を適用したが、吸気側の位相可変機構22に通じる油路にも本発明は適応し得る。
【0046】
【発明の効果】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明によれば、エンジンの可変バルブタイミング装置に用いられる油路を、カムキャップを大型化することなく、該カムキャップに十全に形成することができるから、本発明は、エンジンのコンパクト化、ひいては車両のコンパクト化に寄与する。本発明は、エンジンの可変バルブタイミング装置一般に用いて好適であり、自動車等の車両の技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るエンジンの可変バルブタイミング装置を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線による矢視図である。
【図3】排気側の油圧式位相可変機構の周辺を示す一部切欠きの拡大側面図である。
【図4】同位相可変機構の一部切欠き正面図である。
【図5】油圧制御弁の一部切欠き正面図である。
【図6】カムキャップの正面図(カバー部材との合せ面)である。
【図7】カバー部材の背面図(カムキャップとの合せ面)である。
【図8】図7のB−B線による断面図である。
【図9】カムキャップの底面図(シリンダヘッドとの合せ面)である。
【図10】図6のC−C線による断面図である。
【図11】図6のD−D線による断面図である。
【図12】図11のE−E線による断面図である。
【図13】図6のF−F線による断面図である。
【図14】図6のG−G線による断面図である。
【図15】図6のH−H線による断面図である。
【図16】図2のI−I線による断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クランクシャフト
4 カムキャップ
5 吸気カムシャフト
6 排気カムシャフト
20 可変バルブタイミング装置
21 油圧制御弁
51 進角用油圧室
52 遅角用油圧室
22,23 位相可変機構
62 進角用油路
63 遅角用油路
83,84 軸受面
90 溝状通路(供給油路)
91 溝状通路(進角用油路)
92 溝状通路(遅角用油路)
93 カバー部材
100(63) 環状溝(遅角用油路)
101(62) 環状溝(進角用油路)

Claims (4)

  1. 吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの端部にそれぞれ設けられ、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相を可変とする油圧式位相可変機構と、該位相可変機構の進角用油圧室及び遅角用油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁とを有し、油圧源から該油圧制御弁に通じる油圧供給油路、並びに該油圧制御弁と上記位相可変機構の進角用油圧室及び遅角用油圧室とをそれぞれ連通させる進角用油路及び遅角用油路がカムシャフトを支持するカムキャップに設けられているエンジンの可変バルブタイミング装置であって、上記油圧供給油路、進角用油路、及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路の主要部が、上記カムキャップにおけるカムシャフト方向と直交する一方の端面に設けられた溝状通路と、該端面を覆うカバー部材とで構成されていることを特徴とするエンジンの可変バルブタイミング装置。
  2. 油圧制御弁は、軸方向をカムキャップの端面に平行に向けて該カムキャップに取り付けられており、かつ該端面に設けられた油圧供給油路、進角用油路及び遅角用油路のうちの少なくとも2つの油路の主要部を構成する溝状通路は、上記油圧制御弁の軸方向に並べて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの可変バルブタイミング装置。
  3. カムキャップの端面には、進角用油路及び遅角用油路の主要部をそれぞれ構成する溝状通路が設けられていると共に、該カムキャップにおけるカムシャフトの軸受面には、上記進角用油路及び遅角用油路の一部をそれぞれ構成する環状溝がカムシャフト方向に並べて設けられており、上記両溝状通路は、上記環状溝側の端部で、対応する環状溝に近接するように、互いに異なる深さとされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジンの可変バルブタイミング装置。
  4. 溝状通路は、カムキャップの成形時に形成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエンジンの可変バルブタイミング装置。
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