JP2004162559A - 流体回転機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体中で回転する回転体の円板摩擦による損失を低減することができる流体回転機械を提供する。
【解決手段】流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材12と、回転体を隙間を隔てて囲む静止部に固定された静止部材14と、隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材16とを備える。また浮動部材と静止部材、隣接する浮動部材及び/又は回転部材との間に、低抵抗の軸受18(ジャーナル軸受、動圧軸受)を有する。
【選択図】 図2
【解決手段】流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材12と、回転体を隙間を隔てて囲む静止部に固定された静止部材14と、隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材16とを備える。また浮動部材と静止部材、隣接する浮動部材及び/又は回転部材との間に、低抵抗の軸受18(ジャーナル軸受、動圧軸受)を有する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円板摩擦による損失が少ない流体回転機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポンプ、圧縮機、タービン等の流体回転機械では、羽根車の側面に働く摩擦力(いわゆる円板摩擦)により損失が発生する。
図6Aは流体中で回転する回転円板の模式図である。この図に示すように静止した流体のなかで円板が回転する場合には円板の表面に摩擦力が働く。表面の摩擦力τを[数1]の式(1)であらわせば円板の片面に働くモーメントMsは式(2)であらわせ、長さbの円筒部分については式(3)であらわせる。更に、円板摩擦動力は円板摩擦モーメントに角速度ωを乗じて得られる。円板の両面および円筒部に働く摩擦により動力損失は式(4)であらわされる。
【0003】
【数1】
【0004】
式(2)と(4)より、円板摩擦による動力損失は角速度の3乗に比例することがわかる。
【0005】
図6Bは、密閉容器内で回転する回転円板の模式図である。密閉容器内で円板が回転する場合には、円板によって角運動量を与えられた流体は円板に沿って半径方向に流出して容器の円筒面に達し、円筒面や側壁面に働く摩擦力のために角運動量を失いながら容器の内壁に沿って軸心に向かって進み、再び回転円板に接してしだいに角運動量を増加する。回転円板に戻ってきたときに流体はかなりの角運動量を残しているから、回転円板に働くモーメントは開放空間で回転する場合に比べて小さなものとなる。
【0006】
図6Cは、レイノルズ数Reと摩擦係数ζ(=(5/4π)・CM)との関係を示す図である。容器の内壁面積が広いほど、また内壁の表面が粗いほど円板の駆動モーメントは大きくなる。また、うず巻ポンプの羽根車のように、内部漏れが少ない場合には、円板摩擦モーメントは、密閉容器内の回転円板のモーメントにほぼ等しいことがわかっている。
【0007】
なお、上述した円板摩擦に関しては例えば[非特許文献1]に開示されている。
【0008】
【非特許文献1】
妹尾泰利著、内部流れ学と流体機械、株式会社養賢堂
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の技術では、回転部と静止部の間の速度差が大きく、これにより流体損失が大きくなっていた。またこの流体損失を低減するために、回転部表面を非常に滑らかにしたり、静止部との隙間を大きくしその間の速度勾配を小さくする、等の手段がとられていたが、これらによる流体損失の低減には限度があり十分な効果が得られなかった。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、流体中で回転する回転体の円板摩擦による損失を低減することができる流体回転機械を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材(12)と、該回転体を隙間を隔てて囲む静止部に固定された静止部材(14)と、前記隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材(16)とを備える、ことを特徴とする流体回転機械が提供される。
【0012】
上述した本発明の構成によれば、回転部材(12)と静止部材(14)の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材(16)を設ける。
回転部材(12)が回転することにより、そのまわりの流体に引きずられて、隣接する浮動部材(16)が同一方向に回転する。ただし、浮動部材(16)の回転速度は両面に作用する摩擦力のバランスにより、回転部材(12)より低速となる。
【0013】
すなわち、浮動部材(16)が両側に1枚ずつの場合、回転部材(12)の速度をV、浮動部材(16)の速度をV’とすると、回転部材(12)と浮動部材(16)の速度差V−V’による摩擦トルクと、浮動部材(16)とその外側の静止部材(14)の速度差V’−0による摩擦トルクとが釣合う中間速度V’(例えばV/2)で浮動部材(16)は回転する。
同様に浮動部材(16)が、両側に2枚以上設けられる場合には、各浮動部材(16)の速度は、回転部材(12)の速度V と静止部材(14)の速度0との中間速度(例えば、2V/3とV/3)となる。
【0014】
円板摩擦は、相対速度の2乗に比例するため、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/4、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/9になる。
また、円板摩擦による動力損失は相対速度の3乗に比例することから、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/8、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/27になる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記浮動部材と静止部材、隣接する浮動部材及び/又は回転部材との間に、低抵抗の軸受(18)を有する。
この構成により、浮動部材(16)を、回転部材(12)と静止部材(14)の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持することができ、かつこの支持に伴う損失を低く抑えることができる。
【0016】
前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体を潤滑剤とするジャーナル軸受である、ことが好ましい。
この構成により、隙間に介在する流体を潤滑剤とするので、軸受への潤滑剤の供給が容易にでき、潤滑に伴う損失を低く抑えることができる。
【0017】
前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体の動圧により支持する動圧軸受である、ことが好ましい。
この構成により、回転部材(12)及び浮動部材(16)の回転により生じる流体の動圧により回転部材(12)を極めて低い抵抗で支持でき、支持に伴う損失を極めて低く抑えることができる。
【0018】
前記回転部材(12)は、タービン又は水車である、ことが好ましい。
この構成により、タービンのタービンディスクの気体摩擦損失、又は水車の液体摩擦損失を低減できる。
【0019】
前記回転部材(12)は、圧縮機又はポンプである、ことが好ましい。
この構成により、圧縮機又はポンプの羽根車の摩擦損失を低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明による流体回転機械の第1実施形態図であり、(A)は基本構成図である。
図1Aに示すように、本発明の流体回転機械10は、流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材12と、静止部(例えばケーシングその他の固定部分)に固定された静止部材14と、回転部材12と静止部材14の隙間に位置する浮動部材16とを備える。
静止部材14は、回転体12の少なくとも軸方向両側を隙間を隔てて囲んでいる。この隙間の大きさ(間隔)は半径方向には変化してもよく、周方向には全周にわたり一定に形成されている。浮動部材16は、回転体12の軸方向両側にそれぞれ1枚ずつ又は2枚以上ずつ設けられる。また浮動部材16は、回転部材12と同一方向に自由回転可能に支持されている。
【0022】
図1Aにおいて、浮動部材16と静止部材14、隣接する浮動部材16及び回転部材12との間に、それぞれ低抵抗の軸受18が設けられ、浮動部材16を回転部材12と静止部材14の隙間に位置決めし、かつ回転部材12と同一方向に自由回転可能に支持して、支持に伴う損失を低く抑えるようになっている。
【0023】
またこの例で、低抵抗の軸受18は、隙間に介在する流体を潤滑剤とするジャーナル軸受であり、隙間に介在する流体を潤滑剤とすることにより、軸受への潤滑剤の供給を容易にし、かつ潤滑に伴う損失を低く抑えるようになっている。
【0024】
図1Bは図1Aのタービンへの適用例である。この例において、回転部材12は、外周部に動翼12aを有するタービンであり、タービンのタービンディスクの気体摩擦損失を低減するようになっている。低抵抗の軸受18は流体(この場合は気体)が通過できる構成であるのがよい。その他の構成は図1Aと同様である。
なお、図1Bでは軸流タービンを模式的に示しているが、タービンはその他の形式、例えば半径流であってもよい。またこの例で回転部材12を水車とし、水車の液体摩擦損失を低減することもできる。
【0025】
図2は、本発明による流体回転機械の第2実施形態図である。この図において、流体回転機械10は、圧縮機又はポンプであり、回転部材12は、翼12bとシュラウド12cを有する羽根車(インペラ)であり、羽根車の摩擦損失を低減するようになっている。低抵抗の軸受18は流体(この場合は気体又は液体)が通過しにくい構成であるのがよい。その他の構成は図1Aと同様である。
【0026】
図3は、本発明による流体回転機械の第3実施形態図であり、(A)は図2においてシュラウド12cを持たない羽根車(インペラ)である場合、(B)は図2と同様にシュラウド12cを有する羽根車であるが、低抵抗の軸受18を内側と外側の両方に備える場合である。その他の構成は図2と同様である。
【0027】
図4は、本発明による流体回転機械の第4実施形態図である。この図において、(B)は、(A)のA−A線における断面図、(C)はB−B線における断面図である。また、図5は、本発明による流体回転機械の第5実施形態図であり、(A)は図4AのC部拡大図(下図)とその上面図(上図)であり、(B)は図4AのD部拡大図(右図)とその側面図(左図)である。
これらの例において、低抵抗の軸受18は、隙間に介在する流体の動圧により支持する動圧軸受であり、回転部材12及び浮動部材16の回転により生じる流体の動圧により回転部材12を低い抵抗で支持し、支持に伴う損失を極めて低く抑えるようになっている。
なおこの図で、動圧軸受は、間隔を隔てて相対的に回転する一方の面に周方向に設けた複数の凹部からなる。またこの例でこの凹部は、対向する面に対してテーパ部と平行部を有するテーパーランド形状となっている。なお本発明はこの構成に限定されず、単なる溝付き、段付き、あるいは傾斜平面型の動圧軸受であってもよい。
【0028】
上述した本発明の構成によれば、回転部材12と静止部材14の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材16を設けるので、回転部材12が回転することにより、そのまわりの流体に引きずられて、隣接する浮動部材16が同一方向に回転する。この場合、浮動部材16の回転速度は両面に作用する摩擦力のバランスにより、回転部材12より低速となる。
【0029】
すなわち、浮動部材16が両側に1枚ずつの場合、回転部材12の速度をV、浮動部材16の速度をV’とすると、回転部材12と浮動部材16の速度差V−V’による摩擦トルクと、浮動部材16とその外側の静止部材14の速度差V’−0による摩擦トルクとが釣合う中間速度V’(例えばV/2)で浮動部材16は回転する。
同様に浮動部材16が、両側に2枚以上設けられる場合には、各浮動部材16の速度は、回転部材12の速度V と静止部材14の速度0との中間速度(例えば、2V/3とV/3)となる。
【0030】
従って、円板摩擦は、相対速度の2乗に比例するため、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/4、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/9になる。
また、円板摩擦による動力損失は相対速度の3乗に比例することから、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/8、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/27になる。
【0031】
なお、浮動部材16の枚数を増やすことで、隣り合う円板間のい速度差は更に小さくでき、円板摩擦及び円板摩擦による動力損失を更に低減できる。
また、回転円板の表面粗さや形状を流体が付きやすくする(表面粗く、溝などを付ける)と、隣り合う浮動回転円板へ伝達されるトルクが大きくなり、起動、停止状態の特性を向上することができる。
【0032】
なお本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、本発明は回転部と静止部の間に、回転部まわりの流れにより引きずられる浮動円板を設けることにより、回転部と浮動回転円板間の速度差が小さくなり、速度差によって生じる流体損失を低減するものである。
【0034】
この構成により、以下の効果が得られる
(1)回転部の流体損失が小さくなるので、効率が上がる。
(2)少ない駆動力で回転部を回すことができる。
(3)表面粗さ精度を上げるなどの特別な処置なしに、流体損失を軽減できる。
(4)同じ流体損失低減の効果が気体される形状よりも大きさを小さくできる。
(5)回転円板近傍に浮動回転円板支持のために軸受があるため、軸振動を抑制する効果がある。
【0035】
従って、本発明の流体回転機械は、流体中で回転する回転体の円板摩擦による損失を低減することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流体回転機械の第1実施形態図である。
【図2】本発明による流体回転機械の第2実施形態図である。
【図3】本発明による流体回転機械の第3実施形態図である。
【図4】本発明による流体回転機械の第4実施形態図である。
【図5】本発明による流体回転機械の第5実施形態図である。
【図6】流体中で回転する回転円板の損失に関する図である。
【符号の説明】
10 流体回転機械、
12 回転部材(タービン、水車、圧縮機、ポンプ)、
12a 動翼、12b 翼、12c シュラウド、
14 静止部材(ケーシング)、16 浮動部材、
18 軸受(ジャーナル軸受、動圧軸受)
【発明の属する技術分野】
本発明は、円板摩擦による損失が少ない流体回転機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポンプ、圧縮機、タービン等の流体回転機械では、羽根車の側面に働く摩擦力(いわゆる円板摩擦)により損失が発生する。
図6Aは流体中で回転する回転円板の模式図である。この図に示すように静止した流体のなかで円板が回転する場合には円板の表面に摩擦力が働く。表面の摩擦力τを[数1]の式(1)であらわせば円板の片面に働くモーメントMsは式(2)であらわせ、長さbの円筒部分については式(3)であらわせる。更に、円板摩擦動力は円板摩擦モーメントに角速度ωを乗じて得られる。円板の両面および円筒部に働く摩擦により動力損失は式(4)であらわされる。
【0003】
【数1】
【0004】
式(2)と(4)より、円板摩擦による動力損失は角速度の3乗に比例することがわかる。
【0005】
図6Bは、密閉容器内で回転する回転円板の模式図である。密閉容器内で円板が回転する場合には、円板によって角運動量を与えられた流体は円板に沿って半径方向に流出して容器の円筒面に達し、円筒面や側壁面に働く摩擦力のために角運動量を失いながら容器の内壁に沿って軸心に向かって進み、再び回転円板に接してしだいに角運動量を増加する。回転円板に戻ってきたときに流体はかなりの角運動量を残しているから、回転円板に働くモーメントは開放空間で回転する場合に比べて小さなものとなる。
【0006】
図6Cは、レイノルズ数Reと摩擦係数ζ(=(5/4π)・CM)との関係を示す図である。容器の内壁面積が広いほど、また内壁の表面が粗いほど円板の駆動モーメントは大きくなる。また、うず巻ポンプの羽根車のように、内部漏れが少ない場合には、円板摩擦モーメントは、密閉容器内の回転円板のモーメントにほぼ等しいことがわかっている。
【0007】
なお、上述した円板摩擦に関しては例えば[非特許文献1]に開示されている。
【0008】
【非特許文献1】
妹尾泰利著、内部流れ学と流体機械、株式会社養賢堂
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の技術では、回転部と静止部の間の速度差が大きく、これにより流体損失が大きくなっていた。またこの流体損失を低減するために、回転部表面を非常に滑らかにしたり、静止部との隙間を大きくしその間の速度勾配を小さくする、等の手段がとられていたが、これらによる流体損失の低減には限度があり十分な効果が得られなかった。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、流体中で回転する回転体の円板摩擦による損失を低減することができる流体回転機械を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材(12)と、該回転体を隙間を隔てて囲む静止部に固定された静止部材(14)と、前記隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材(16)とを備える、ことを特徴とする流体回転機械が提供される。
【0012】
上述した本発明の構成によれば、回転部材(12)と静止部材(14)の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材(16)を設ける。
回転部材(12)が回転することにより、そのまわりの流体に引きずられて、隣接する浮動部材(16)が同一方向に回転する。ただし、浮動部材(16)の回転速度は両面に作用する摩擦力のバランスにより、回転部材(12)より低速となる。
【0013】
すなわち、浮動部材(16)が両側に1枚ずつの場合、回転部材(12)の速度をV、浮動部材(16)の速度をV’とすると、回転部材(12)と浮動部材(16)の速度差V−V’による摩擦トルクと、浮動部材(16)とその外側の静止部材(14)の速度差V’−0による摩擦トルクとが釣合う中間速度V’(例えばV/2)で浮動部材(16)は回転する。
同様に浮動部材(16)が、両側に2枚以上設けられる場合には、各浮動部材(16)の速度は、回転部材(12)の速度V と静止部材(14)の速度0との中間速度(例えば、2V/3とV/3)となる。
【0014】
円板摩擦は、相対速度の2乗に比例するため、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/4、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/9になる。
また、円板摩擦による動力損失は相対速度の3乗に比例することから、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/8、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/27になる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記浮動部材と静止部材、隣接する浮動部材及び/又は回転部材との間に、低抵抗の軸受(18)を有する。
この構成により、浮動部材(16)を、回転部材(12)と静止部材(14)の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持することができ、かつこの支持に伴う損失を低く抑えることができる。
【0016】
前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体を潤滑剤とするジャーナル軸受である、ことが好ましい。
この構成により、隙間に介在する流体を潤滑剤とするので、軸受への潤滑剤の供給が容易にでき、潤滑に伴う損失を低く抑えることができる。
【0017】
前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体の動圧により支持する動圧軸受である、ことが好ましい。
この構成により、回転部材(12)及び浮動部材(16)の回転により生じる流体の動圧により回転部材(12)を極めて低い抵抗で支持でき、支持に伴う損失を極めて低く抑えることができる。
【0018】
前記回転部材(12)は、タービン又は水車である、ことが好ましい。
この構成により、タービンのタービンディスクの気体摩擦損失、又は水車の液体摩擦損失を低減できる。
【0019】
前記回転部材(12)は、圧縮機又はポンプである、ことが好ましい。
この構成により、圧縮機又はポンプの羽根車の摩擦損失を低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明による流体回転機械の第1実施形態図であり、(A)は基本構成図である。
図1Aに示すように、本発明の流体回転機械10は、流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材12と、静止部(例えばケーシングその他の固定部分)に固定された静止部材14と、回転部材12と静止部材14の隙間に位置する浮動部材16とを備える。
静止部材14は、回転体12の少なくとも軸方向両側を隙間を隔てて囲んでいる。この隙間の大きさ(間隔)は半径方向には変化してもよく、周方向には全周にわたり一定に形成されている。浮動部材16は、回転体12の軸方向両側にそれぞれ1枚ずつ又は2枚以上ずつ設けられる。また浮動部材16は、回転部材12と同一方向に自由回転可能に支持されている。
【0022】
図1Aにおいて、浮動部材16と静止部材14、隣接する浮動部材16及び回転部材12との間に、それぞれ低抵抗の軸受18が設けられ、浮動部材16を回転部材12と静止部材14の隙間に位置決めし、かつ回転部材12と同一方向に自由回転可能に支持して、支持に伴う損失を低く抑えるようになっている。
【0023】
またこの例で、低抵抗の軸受18は、隙間に介在する流体を潤滑剤とするジャーナル軸受であり、隙間に介在する流体を潤滑剤とすることにより、軸受への潤滑剤の供給を容易にし、かつ潤滑に伴う損失を低く抑えるようになっている。
【0024】
図1Bは図1Aのタービンへの適用例である。この例において、回転部材12は、外周部に動翼12aを有するタービンであり、タービンのタービンディスクの気体摩擦損失を低減するようになっている。低抵抗の軸受18は流体(この場合は気体)が通過できる構成であるのがよい。その他の構成は図1Aと同様である。
なお、図1Bでは軸流タービンを模式的に示しているが、タービンはその他の形式、例えば半径流であってもよい。またこの例で回転部材12を水車とし、水車の液体摩擦損失を低減することもできる。
【0025】
図2は、本発明による流体回転機械の第2実施形態図である。この図において、流体回転機械10は、圧縮機又はポンプであり、回転部材12は、翼12bとシュラウド12cを有する羽根車(インペラ)であり、羽根車の摩擦損失を低減するようになっている。低抵抗の軸受18は流体(この場合は気体又は液体)が通過しにくい構成であるのがよい。その他の構成は図1Aと同様である。
【0026】
図3は、本発明による流体回転機械の第3実施形態図であり、(A)は図2においてシュラウド12cを持たない羽根車(インペラ)である場合、(B)は図2と同様にシュラウド12cを有する羽根車であるが、低抵抗の軸受18を内側と外側の両方に備える場合である。その他の構成は図2と同様である。
【0027】
図4は、本発明による流体回転機械の第4実施形態図である。この図において、(B)は、(A)のA−A線における断面図、(C)はB−B線における断面図である。また、図5は、本発明による流体回転機械の第5実施形態図であり、(A)は図4AのC部拡大図(下図)とその上面図(上図)であり、(B)は図4AのD部拡大図(右図)とその側面図(左図)である。
これらの例において、低抵抗の軸受18は、隙間に介在する流体の動圧により支持する動圧軸受であり、回転部材12及び浮動部材16の回転により生じる流体の動圧により回転部材12を低い抵抗で支持し、支持に伴う損失を極めて低く抑えるようになっている。
なおこの図で、動圧軸受は、間隔を隔てて相対的に回転する一方の面に周方向に設けた複数の凹部からなる。またこの例でこの凹部は、対向する面に対してテーパ部と平行部を有するテーパーランド形状となっている。なお本発明はこの構成に限定されず、単なる溝付き、段付き、あるいは傾斜平面型の動圧軸受であってもよい。
【0028】
上述した本発明の構成によれば、回転部材12と静止部材14の隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材16を設けるので、回転部材12が回転することにより、そのまわりの流体に引きずられて、隣接する浮動部材16が同一方向に回転する。この場合、浮動部材16の回転速度は両面に作用する摩擦力のバランスにより、回転部材12より低速となる。
【0029】
すなわち、浮動部材16が両側に1枚ずつの場合、回転部材12の速度をV、浮動部材16の速度をV’とすると、回転部材12と浮動部材16の速度差V−V’による摩擦トルクと、浮動部材16とその外側の静止部材14の速度差V’−0による摩擦トルクとが釣合う中間速度V’(例えばV/2)で浮動部材16は回転する。
同様に浮動部材16が、両側に2枚以上設けられる場合には、各浮動部材16の速度は、回転部材12の速度V と静止部材14の速度0との中間速度(例えば、2V/3とV/3)となる。
【0030】
従って、円板摩擦は、相対速度の2乗に比例するため、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/4、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/9になる。
また、円板摩擦による動力損失は相対速度の3乗に比例することから、両側に1枚ずつで相対速度が半分(V/2)であれば、円板摩擦は1/8、両側に2枚ずつで相対速度が1/3であれば、円板摩擦は1/27になる。
【0031】
なお、浮動部材16の枚数を増やすことで、隣り合う円板間のい速度差は更に小さくでき、円板摩擦及び円板摩擦による動力損失を更に低減できる。
また、回転円板の表面粗さや形状を流体が付きやすくする(表面粗く、溝などを付ける)と、隣り合う浮動回転円板へ伝達されるトルクが大きくなり、起動、停止状態の特性を向上することができる。
【0032】
なお本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、本発明は回転部と静止部の間に、回転部まわりの流れにより引きずられる浮動円板を設けることにより、回転部と浮動回転円板間の速度差が小さくなり、速度差によって生じる流体損失を低減するものである。
【0034】
この構成により、以下の効果が得られる
(1)回転部の流体損失が小さくなるので、効率が上がる。
(2)少ない駆動力で回転部を回すことができる。
(3)表面粗さ精度を上げるなどの特別な処置なしに、流体損失を軽減できる。
(4)同じ流体損失低減の効果が気体される形状よりも大きさを小さくできる。
(5)回転円板近傍に浮動回転円板支持のために軸受があるため、軸振動を抑制する効果がある。
【0035】
従って、本発明の流体回転機械は、流体中で回転する回転体の円板摩擦による損失を低減することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流体回転機械の第1実施形態図である。
【図2】本発明による流体回転機械の第2実施形態図である。
【図3】本発明による流体回転機械の第3実施形態図である。
【図4】本発明による流体回転機械の第4実施形態図である。
【図5】本発明による流体回転機械の第5実施形態図である。
【図6】流体中で回転する回転円板の損失に関する図である。
【符号の説明】
10 流体回転機械、
12 回転部材(タービン、水車、圧縮機、ポンプ)、
12a 動翼、12b 翼、12c シュラウド、
14 静止部材(ケーシング)、16 浮動部材、
18 軸受(ジャーナル軸受、動圧軸受)
Claims (6)
- 流体中で軸心Zを中心に回転する回転部材(12)と、該回転体を隙間を隔てて囲む静止部に固定された静止部材(14)と、前記隙間に回転部材と同一方向に自由回転可能に支持された単一又は複数の浮動部材(16)とを備える、ことを特徴とする流体回転機械。
- 前記浮動部材と静止部材、隣接する浮動部材及び/又は回転部材との間に、低抵抗の軸受(18)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の流体回転機械。
- 前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体を潤滑剤とするジャーナル軸受である、ことを特徴とする請求項2に記載の流体回転機械。
- 前記低抵抗の軸受(18)は、前記隙間に介在する流体の動圧により支持する動圧軸受である、ことを特徴とする請求項2に記載の流体回転機械。
- 前記回転部材(12)は、タービン又は水車である、ことを特徴とする請求項1に記載の流体回転機械。
- 前記回転部材(12)は、圧縮機又はポンプである、ことを特徴とする請求項1に記載の流体回転機械。
Priority Applications (1)
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JP2002327396A JP2004162559A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 流体回転機械 |
Applications Claiming Priority (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004162559A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020195133A1 (ja) * | 2019-03-28 | 2020-10-01 | ダイキン工業株式会社 | 遠心圧縮機 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002327396A patent/JP2004162559A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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