JP2004162038A - ラテックスの濃縮方法 - Google Patents

ラテックスの濃縮方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004162038A
JP2004162038A JP2003351589A JP2003351589A JP2004162038A JP 2004162038 A JP2004162038 A JP 2004162038A JP 2003351589 A JP2003351589 A JP 2003351589A JP 2003351589 A JP2003351589 A JP 2003351589A JP 2004162038 A JP2004162038 A JP 2004162038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
liquid
container
latex
treated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003351589A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuyoshi Tanida
克義 谷田
Kazutaka Takada
一貴 高田
Yoshiya Kuide
義也 杭出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinko Pantec Co Ltd
Original Assignee
Kobelco Eco Solutions Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobelco Eco Solutions Co Ltd filed Critical Kobelco Eco Solutions Co Ltd
Priority to JP2003351589A priority Critical patent/JP2004162038A/ja
Publication of JP2004162038A publication Critical patent/JP2004162038A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】 膜が目詰まりしにくく、透過流束が高く、高濃度まで濃縮することが可能で、しかも低コストのラテックスの濃縮方法を提供すること。
【解決手段】 被処理液の供給入口12を有する円筒状容器13の中心部を貫通するように中空の回転軸14を配している。板の両面に透過性膜を有する多数の膜体を回転軸14に装着し、透過性膜で透過された液体を出口15、16から排出し、膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配し、回転軸14とともに膜体を回転させるモータ18を容器外に備え、被処理液の供給入口12に接続された液体流路を容器内壁面に有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ラテックスの濃縮方法に関し、特に回転型膜分離装置を用いたラテックスの濃縮方法に関するものである。
水の中に様々な物質を溶解した液(被処理液)を、清浄な水(透過液)と、粒子濃度の高い濃縮液とに分離するために膜分離装置が用いられている。膜分離装置には様々な形式のものがあるが、例えば、クロスフロー方式による膜分離が広く行われている(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載されたクロスフロー方式について、図15を参照しがら説明する。クロスフロー方式とは、図15に示すように、透過液と濃縮液に分離する機能を有する膜モジュール41に対して供給ポンプ42により被処理液を圧送し、透過液を経路43を経て膜モジュール41から取り出し、濃縮液を経路44を経て膜モジュール41から取り出し、この濃縮液を経路45を経て膜モジュール41に戻し、以降、濃縮液を経路44と45を多数回循環させてその濃縮度を増す方式である。しかしながら、クロスフロー方式で高濃縮を行うためには、濃度分極やファウリングや流路の閉塞を低減するという理由により供給ポンプ42で高流速で被処理液を循環させる必要があるが、そのためには大型の供給ポンプが必要であり、ポンプに必要なエネルギーコストが大きくなる。しかも、ポンプのエネルギーが必要な割には、膜モジュールが目詰まりしやすく、結果として高濃縮することができない。その上、高流速で被処理液を循環させても、透過流束が小さいため、一定以上の濃度に濃縮するためには、循環回数を増やす必要があるが、循環回数が多くなると、被処理液がポンプの送り羽根等で受けるせん断回数が増えて被処理液が変質することがある。特に被処理液がラテックスの場合、ラテックス中のゴム成分または樹脂成分はせん断に対する抵抗力が弱く、せん断により変質して凝集物を形成しやすいため、製品として必要な特性を備えることができなくなる。さらに、クロスフロー方式では透過流束を大きくするために分画性能の低い膜を使用するため、ラテックス中の分散剤または乳化剤が透過してしまい、その結果、ラテックス中の分散剤または乳化剤が減少し、ラテックスの凝集や変質が起こりやすくなる。
また、蒸発濃縮装置や遠心分離器により、被処理液を清浄な水と濃縮液に分離する方法も知られているが、それらの方法は、液の分離に要するエネルギーコストが非常に大きい。特にラテックスの場合、液が発泡するために減圧蒸発ができず、さらに、エネルギーコストが高くなる。また、熱により製品の一部が変質して凝集物を形成しやすいため、製品として必要な特性を備えることができなくなる。
電気化学協会編、「電気化学便覧」、第4版、丸善株式会社、昭和60年1月25日、第253頁
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、膜が目詰まりしにくく、透過流束が高く、高濃度まで濃縮することが可能で、しかも低コストのラテックスの濃縮方法を提供することにある。
本発明は回転型膜分離装置を用いてラテックスを濃縮する方法であり、回転型膜分離装置は、一般的に、容器の中心部を貫通するように回転軸を配し、この回転軸の軸長手方向に多数の膜体を装着し、回転軸とともに膜体を回転させつつ膜分離を行う方式である。その膜体は、一定以上の大きさの粒子の通過を妨げる小孔が表面に形成された多孔質の構造を備えて透過液体を移送可能な経路を有する透過性膜を板の両面に取り付けた構造で、容器内に投入された被処理液中の極く微細な物質のみが膜体の小孔を透過することによって透過液を得ることができる。この場合、被処理液中の一定以上の大きさの粒子が膜の小孔を閉塞するのを防ぐために、回転軸を回転させて、回転軸に装着された膜体を回転させている。しかし、回転するだけでは、被処理液が膜体と共回りして膜体の回転効果が十分に発揮されないので、膜孔の閉塞防止は不十分である。そのため、より効果的に膜孔の閉塞防止を図るための手段として、本発明は、回転軸に装着された膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配した膜分離装置を用いるか又は膜体の両側に膜体との間に間隙を設けて配したバッフルを回転軸に装着した膜分離装置を用いて膜分離を行うので、膜体表面に乱流を生じさせることにより共回りを防止し、膜体表面の被処理液を効率的に入れ替えることができる。また、乱流を発生させることにより、濃度分極とファウリングの低減効果が大きくなるので透過流束が著しく大きく、高濃度まで濃縮することが可能である。
すなわち、バッフルと膜体とが相対的に回転(一方が静止して他方が回転)すれば、膜孔の閉塞やファウリングを防止することが可能であって、膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配するという関係を保ったままで、膜体を固定してバッフルを回転させても、膜孔の閉塞やファウリングを防止することができる。
また、本発明では、膜体としてラテックス中の分散剤または乳化剤がほとんど透過しないか又は透過しない分画性能の高い膜を用いて膜分離を行うので、ラテックス中の分散剤または乳化剤の透過を防ぎ、膜体表面での分散剤または乳化剤の減少によるラテックスの凝集や変質を防止することが可能である。
本発明の濃縮方法は上記のとおり構成されているので、膜が目詰まりしにくく、透過流束が高く、高濃度まで濃縮することが可能である。従って、高流速で被処理液を循環させる必要がないため、大型のポンプが不要であり、設備コストを低減できる。特筆すべきは透過流束が高く、高濃度に濃縮するための膜分離装置循環回数をクロスフロー方式に比べて大幅に低減できるので、せん断に弱いラテックスをマイルドな条件で濃縮することができ、高品質の高濃度ラテックスを得ることができるという特長を有する点である。
すなわち、本発明は、被処理液の供給入口を有する容器を貫通するように回転軸を配し、上記容器内にあって透過された液体を移送することの可能な構造を有する膜体を上記回転軸に装着し、上記膜体に接続されて透過液体を排出する出口を有し、上記膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配し、被処理液の供給入口に接続された液体流路を容器内壁面に有してなる回転型膜分離装置を用いてラテックスを濃縮する方法であって、供給入口から容器内に被処理液たるラテックスを導入し、膜体の被処理液側より透過液側を低圧にしながら、上記回転軸を回転させて膜体を透過した透過液を容器出口から排出し、容器内に導入したラテックスを透過液と濃縮液に膜分離しつつラテックスを濃縮することを特徴としている。
この場合、膜体が回転してバッフルは固定されているが、逆に、膜体を固定してバッフルを回転させることもできる。通常、固定した邪魔板をバッフルと呼ぶが、本発明においては、邪魔板を回転させる場合にもバッフルと呼ぶ。
すなわち、本発明は、被処理液の供給入口を有する容器を貫通するように回転軸を配し、上記容器内にあって透過された液体を移送することの可能な構造を有する膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配し、該バッフルを上記回転軸に装着し、上記膜体に接続されて透過液体を排出する出口を有し、被処理液の供給入口に接続された液体流路を容器内壁面に有してなる回転型膜分離装置を用いてラテックスを濃縮する方法であって、供給入口から容器内に被処理液たるラテックスを導入し、膜体の被処理液側より透過液側を低圧にしながら、上記バッフルを回転させて膜体を透過した透過液を容器出口から排出し、容器内に導入したラテックスを透過液と濃縮液に膜分離しつつラテックスを濃縮することも特徴としている。
上記のように構成される本発明によれば、図6に示すように、膜体23を矢視Aで示すように右方向に回転させると、供給入口から容器内に供給された被処理液は、スポーク状バッフル24のスポーク片24aの右側では矢視Cで示すように、容器内壁26に沿う流路27からスポーク片24aに沿って容器内方に向かって流れ、一方、スポーク片24aの左側では、矢視Bで示すように、膜体23表面の被処理液は容器内壁26に沿う流路27に向かって吐出される。このような膜体表面と容器内壁に沿う流路との間で形成される被処理液のフローにより、膜体表面に被処理液が停滞せず、容器内の外方へ流れる液体と内方へ流れる液体の入れ替えがスムーズに行われる。また、被処理液はスポーク状バッフルにより乱流を発生させるので、ファウリングや濃度分極が低減され、効率的に高濃度まで濃縮することができる。なお、バッフルの形状はスポーク状に限らず、長方形状を用いることも可能であり、さらに、鉤形形状バッフルやS形形状バッフル、円弧形状バッフル等他の形状のバッフルを採用することもできる。すなわち、膜体表面に乱流を発生させる機能を有するような形状のものであれば、バッフルとして採用できる。図6は、膜体が回転してバッフルは固定されている場合の被処理液のフローを示しているが、膜体を固定してバッフルを回転させる場合の被処理液のフローも図6と同じである。
また、バッフルの端部を容器壁より独立した支持体で支持固定すれば、バッフルの剛性が増し、バッフルの厚みを薄くできるので、膜体の装着枚数を多くすることが可能で、膜分離後の濃縮液の濃度を増すことができる。
また、バッフルは膜体との間に間隙を設けて設置され、膜体と接触しないようにすべきである。一方、バッフルは大きな容積を占めないように、極力厚さを薄くするのが好ましい。しかし、あまり薄すぎると、たわみやすくなって膜体に接触して膜体を破損することがあるので、バッフルは1mm以上の厚さにするのが好ましい。しかし、あまり大きな容積を占めないようにするためと膜体間のクリアランスが広くなりすぎて、装置と回転軸が長大にならないようにするため、バッフルの厚さは20mm以下にするのが好ましい。また、たわみにくくするためには、バッフルの材質は、特に限定されるものではないが、鉄、ステンレス鋼等の種々の金属、プラスチック、セラミック、ガラス繊維強化プラスチックであるのが好ましい。
また、バッフルに多数の孔を打ち抜いたものや、エッチングを施してバッフルの表面を荒らしたものや、凹凸模様の付いたロールにバッフルを押し付けて(エンボス加工をして)バッフルの表裏面に凹凸模様を施したものを使用することもできる。これら打ち抜きやエッチングやエンボス加工によりバッフルの乱流促進効果が増大し、ファウリングや濃度分極が低減され、効率的に高濃度まで濃縮することができる。
また、実用的な透過流束を得るためには、後記する実施例に示すように、膜体またはバッフルの回転角加速度は125m/sec2以上であるのが好ましい。
また、膜体の直径は、200〜1100mmとするのが好ましい。200mm未満では、十分な膜分離能力を持つ装置とするには、膜体の枚数が多くなりすぎて、装置と回転軸が長くなりすぎ、1100mmを超えるものは製作が困難で、製造コストが大幅に増加し、また、回転に必要な動力が大幅に増大するからである。
膜体表面に乱流を生じさせることにより効果的に膜孔の閉塞防止を図るには、膜体全面に回転効果を生じさせることのできるバッフル面積が必要であり、バッフル直径dとしては膜体直径Dに対してd/D=0.5以上である必要がある。一方、バッフル直径の5乗に比例して回転に必要な動力が大きくなり、経済的な運転ができなくなるという不都合な点がある。
そこで、バッフル直径dと膜体直径Dとの割合は、0.5≦d/D≦1.0の範囲とするのが経済的で効率的な濃縮方法を実現できるので好ましく、撹拌効果を高めるためには、0.8≦d/D≦1.0の範囲とするのがさらに好ましい。
また、膜体の厚みは1〜20mmとするのが好ましい。1mm未満では強度的に不十分で、20mmを超えると、膜体を収容する容器の容積が大きくなりすぎるからである。
さらに、膜体とバッフルの間隙は2〜18mmとするのが好ましい。2mm未満では膜体とバッフルが接触しやすくなって、膜体が破損することがあり、18mmを超えると、膜体を収容する容器の容積が大きくなりすぎて現実的ではなく、また、膜体とバッフルの距離が離れすぎて、バッフルによる乱流促進効果が小さくなるからである。
そして、膜体直径に対する容器内径の比は、1.003〜3.000にするのが好ましい。1.003未満では、膜体の占める面積が大きすぎて被処理液の圧力損失が大きくなりすぎるからである。一方、3.000を超えると、膜体の占める面積が小さすぎて膜分離効率が低下するので好ましくない。
また、ラテックスの濃縮に使用する膜は、分画分子量5000以下の限外濾過膜か、NaCl阻止率10〜30%のナノ濾過膜(NF膜)を使用するのが好ましい。膜の分画分子量が5000超の限外濾過膜ではラテックス中の分散剤または乳化剤が膜を透過するため膜体表面近傍でラテックス中の分散剤または乳化剤が減少し、ラテックス中のゴム成分または樹脂成分が凝集しやすくなるため好ましくない。一方、ラテックスをスムーズに膜分離するためにはNaCl阻止率10%以上のNF膜を使用することが好ましいが、NaCl阻止率が30%超のNF膜では溶媒である水が透過しにくいため、ラテックスをかなり加圧する必要があり、エネルギーコストが大きくなるので好ましくない。
また、膜体の形状は、円形を採用することができるが、必ずしも円形に限るものではなく、五角形以上の多角形状であればよい。
さらに、回転軸を中空とし且つ軸長手方向の膜体装着部分に小孔を設け、膜体は透過液体を移送可能な経路を有する透過性膜を板の両面に取り付けた構造であって、上記透過性膜の透過液体移送経路を回転軸に設けた小孔に連通するような構成を採用すれば、回転軸を透過液体の排出手段としても利用することができるので、膜分離装置がコンパクトになるという利点がある。
本明細書において、「直径」とは、「円または球の中心を通過して円周または球面上に両端を有する線分」をいうほか、「多角形においては、その中心から一頂点に至る距離の2倍の長さの線分」をもいう意である。
以下に、本発明の好適な実施例について、図面を参照しながら説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、適宜変更と修正が可能である。
図1は、回転型膜分離装置を含む膜分離システムの概略配置図である。図1において、1は被処理液のタンク、2はストレーナ、3はポンプ、4は回転型膜分離装置である。このように、タンク1とポンプ3の間にストレーナ2を設けることにより、回転型膜分離装置4内にラテックスの凝集物が混入しないようにすることができる。回転型膜分離装置4で分離した透過液は経路5を経て排出される。また、濃縮液は経路6と7を経てそのまま排出することもできるし(1パス濃縮)、経路8を経てタンク1に戻すこともできる。9はタンク1に被処理液を供給する経路、10は流量調整弁である。タンク1に撹拌機11を設置すれば、タンク1内の被処理液を均一に混合することができるが、必ずしも撹拌機は必要なものではない。
図2は、本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の斜視図である。12は被処理液の供給入口で、円筒状容器13の中心部を貫通するように中空の回転軸14を配し、中空の回転軸14に装着した多数の膜体(図3の番号23)で透過された液体は、中空の回転軸14内を通過して出口15、16から排出され、濃縮液は出口17から排出される。18は回転軸14とともに膜体を回転させるモータであり、モータ18の回転力は、ベルト19により回転軸14に伝達される。回転力の伝達はこれに限られるものではなく、モータ直結型、歯車減速機、巻き掛け伝導装置を用いてもよい。
本実施例で用いた膜体は、図4(a)(b)に示すように、SUS304製の板体20の両面に織布のスペーサクロス21を介してポリエーテルスルホン製の透過性膜22を取り付けた構造である。なお、透過性膜を取り付ける板としては本実施例で用いたステンレス鋼以外の他の金属板やセラミック板やプラスチック板を用いることも可能であり、容易に変形せず、破損に強い材質を採用するのが好ましい。
本明細書において、透過性膜とは、多孔質な構造を有し、多孔質部分を経由することによって透過された液体を移送することの可能な経路(多孔質部分を接続することによって形成される流路)が内部に形成されたものをいい、このような機能を有するものであれば、上記の有機膜以外に、セラミック膜や金属膜を採用することもできる。
スペーサクロス21も透過液体を移送可能であるが、スペーサクロス21内の透過液体の流路は後記する透過性膜22の透過液体移送経路34より大径であって、透過液体はスペーサクロス21内を流れやすくなっている。
SUS304製の板体20とスペーサクロス21と透過性膜22からなる膜体23を、図3(b)に示すように回転軸14に装着し、膜体23の両側に膜体との間に間隙を設けて、ステンレス鋼製のスポーク状バッフル24を配置し(図3(a)参照)、スポーク状バッフル24の端部は容器13の左右の蓋面13aと13bを接続する貫通ボルト25によって支持固定されている。また、被処理液の供給入口12に接続された液体流路27が容器2の内壁面26に沿うように形成されている。図3(a)に示すように、スポーク状バッフル24は8本のスポーク片24aが回転軸14を囲む内側小円弧24bから容器内壁面26に向かって放射状に配置されている。
回転軸14は中空であって、図4(a)に示すように、軸長手方向の膜体23装着部分に小孔28を設け、膜体23を構成する透過性膜22の透過液体移送経路とスペーサクロス21の透過液体移送流路は小孔28に連通している。29は、膜体23の回転軸装着部分で、上下で隣接する膜体23、23の間に介装したスペーサである。また、図4(b)に示すように、スペーサ29と膜体23が回転軸14に装着される部分の軸長手方向に複数のスリット30を設け、このスリット30を透過液体移送流路として利用して、回転軸14に小孔28を設け、透過性膜22の透過液体移送経路とスペーサクロス21の透過液体移送流路をスリット30を経て小孔28に通じるような構成を採用することもできる。これにより、図4(a)の場合に比べて小孔28の数を少なくすることができ、また小孔28をスペーサクロス21に連通させる必要がなくなる。図4(b)では省略しているが、回転軸14の数カ所に小孔28が設けられている。なお、バッフルの材質は、上記した金属製以外にプラスチックやセラミックを採用することも可能である。
以上のように構成される膜分離装置の容器13内に加圧(約0.01MPa以上の圧力)された被処理液を供給するか又は容器13内を被処理液で満たして回転軸14を通して減圧もしくは吸引し、回転軸14を回転させると、図5(a)の矢印31に示すように、遠心力によって半径方向外方への流れを生じる。しかも、膜体23の両側にはバッフル24が存在するので、膜体23の膜孔を閉塞しようとする粒子の作用や濃度分極を妨げるような流れ32が発生し、図5(b)に示すように、膜孔33が閉塞されることはなく、多孔質部分を接続することによって形成される経路34からスペーサクロス21内の流路を経た透過液は、図4(a)(b)に示す小孔28から中空回転軸14内を経由して、図2に示す出口15、16から排出され、一方、濃縮液は出口17から排出される。透過液は透過性膜内の狭い透過液体移送経路34よりスペーサクロス21内の広い流路を流れやすいので、透過液体移送経路34から直接小孔28に向かう透過液は少なく、スペーサクロス21内の広い流路を経て小孔28に達する透過液の方が多い。この点で、透過液が流れやすい流路を確保するために、板体20に透過液の流路を形成することも可能であって、この場合にはスペーサクロス21は不要である。しかし、板体20に透過液の流路を形成することはコストが高くつくので、経済性の点でスペーサクロス21を採用するのが好ましい。
図7は円板状バッフルを用いる場合を示し、SUS304製の板体20とスペーサークロス21と透過性膜22からなる膜体23を、図7(a)(b)に示すように回転軸14に装着し、膜体23の両側に膜体23との間に間隙を設けてステンレス鋼製の円板状バッフル35を配置し、円板状バッフル35の内側端部は容器13の内壁面26に支持固定されている。また、被処理液の供給入口12に接続された液体流路27が容器13の内壁面26に沿うように形成されている。
図8は、膜体を固定して円板状バッフルを回転させる場合の一例を示し、膜体36は容器13の内壁面26に支持固定されており、膜体36の両側に膜体36との間に間隙を設けて配した円板状バッフル37は回転軸14に装着されている。
図9は、膜体を固定してスポーク状バッフルを回転させる場合の一例を示し、膜体36は容器13の内壁面26に支持固定されており、膜体36の両側に膜体36との間に間隙を設けて配したバッフル38をスポーク状に配置したスポーク状バッフルは回転軸14に装着されている。
図10は、膜体を固定してスポーク状バッフルを回転させる場合において、スポーク状バッフルが回転軸に装着される箇所を拡大して示し、膜体36は図4(a)(b)に示すものと同じように、SUS304製の板体20の両面に織布のスペーサクロス21を介してポリエーテルスルホン製の透過性膜22を取り付けた構造である。
次に、本発明の濃縮方法と従来のクロスフロー方式による濃縮方法について透過流束を調査した結果と、本発明の濃縮方法について膜体の回転角加速度をパラメーターとして、ラテックス濃度と透過流束の関係について調査した結果を、次に説明する。なお、以下の各実験に用いた円筒状容器13の内径は350mmであり、特に示したもの以外の膜体の直径は300mmであり、これらの数値は各実験において共通である。また、ここでは膜体を回転させた場合の実験結果を示すが、バッフルを回転させても相対的な現象は同じなので、同じ結果が得られる。
(1)本発明の濃縮方法と従来のクロスフロー濃縮方法における透過流束の比較
本発明の濃縮方法を実施した装置としては、図3に示すようなスポーク状バッフル24を有する回転型膜分離装置を用いて図1に示すような膜分離システムを使用し、従来のクロスフロー方式による濃縮方法を実施した装置としては、図15に示すような概略構成のものを使用し、ラテックス濃度と透過流束の関係を調査した結果を図11に示す。図11において、記号「●」は本発明方法のデータを示し、記号「○」は従来のクロスフロー方式のデータを示す。膜体としては、本発明方法とクロスフロー方式のどちらも限外濾過膜(UF膜)とし、操作温度は25℃、操作圧力は450kPaとした。操作圧力とは、被処理液の供給圧力から遠心力を差し引いた有効圧力をいい、実際に被処理液の透過に利用された圧力である。なお、クロスフロー方式では遠心力はゼロであり、回転型膜分離装置の膜体の回転角加速度は、500m/sec2である。
図11の横軸は対数目盛りであり、従来のクロスフロー方式では、ラテックス濃度が23%になれば透過流束はほぼゼロになり、それ以上の濃度に濃縮することはできない。
しかし、本発明の濃縮方法では、濃度60%でも透過流束は10リットル/m2/ hr程度あり、さらに高濃縮することが可能である。
以上のように、回転型膜分離装置を用いてラテックスの濃縮を行うことにより、従来のクロスフロー方式と比較して大きな透過流束で高濃度まで濃縮することが可能であり、本発明の濃縮方法によって効率的な濃縮処理を行うことができる。
(2)本発明の濃縮方法において、膜体の回転角加速度をパラメーターとする、ラテックス濃度と透過流束の関係
本発明の濃縮方法を実施した装置としては、図3に示すようなスポーク状バッフル24を有する回転型膜分離装置を用いて図1に示すような膜分離システムを使用し、ラテックス濃度と透過流束の関係を調査した結果を図12、図13、図14に示す。図12は、操作圧力が300KPaの場合を示し、図13は操作圧力が400KPaの場合を示し、図14は操作圧力が500KPaの場合を示す。図12〜14において、記号「●」、「○」、「▲」、「△」はそれぞれ、膜体の回転角加速度が30m/sec2、125m/sec2、500m/sec2、1110m/sec2の場合を示す。膜体としては、いずれも限外濾過膜(UF膜)とし、操作温度は25℃とした。
図12〜14を比較すると明らかなように、操作圧力が高くなると透過流束も大きくなる傾向が見られる。また、実用的な透過流束を得るためには、膜体の回転角加速度は125m/sec2以上にするのが好ましいことが分かる。
なお、容器13は円筒形以外の形状、例えば、四角形以上の多角形または上蓋の無い槽形を採用することも可能である。
本実施例においては、回転型膜分離装置を横にして用いる例を挙げているが、これに限られるものではなく、回転型膜分離装置を縦にして用いることもできる。
また、大型の装置を製作する場合、回転軸への円板(膜体)の負荷を低減し、装置の設置面積を小さくできることから、回転型膜分離装置を縦にして用いるのが好ましい。
本発明は、高濃度まで濃縮することが可能なラテックスの濃縮装置として適用できる。
回転型膜分離装置を含む膜分離システムの概略配置図である。 本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の一実施例の斜視図である。 図3(a)は、本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の一実施例のスポーク状バッフルと膜体と容器とを示す断面図、図3(b)はそのスポーク状バッフルを用いた回転型膜分離装置の断面を含む側面図であり、回転手段は省略している。 図4(a)は本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の一実施例において、膜体が回転軸に装着される箇所を拡大して示す断面図であり、図4(b)はその別の実施例の膜体が回転軸に装着される箇所を拡大して示す断面図である。 図5(a)は本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の一実施例において、容器内壁近傍の膜体とスポーク状バッフルを拡大して示す断面図であり、図5(b)は、透過性膜内の透過液体移送経路を拡大して示す図である。 本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置における被処理液のフローを示す図である。 図7(a)は、本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の他の実施例の円板状バッフルと膜体と容器とを示す断面図、図7(b)は図7(a)のVII−VII矢視断面図である。 図8(a)は、本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の他の実施例の円板状バッフルと膜体と容器とを示す断面図、図8(b)は図8(a)のVIII−VIII矢視断面図である。 図9(a)は、本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置の他の実施例のスポーク状バッフルと膜体と容器とを示す断面図、図9(b)は図9(a)のIX−IX矢視断面図である。 本発明の濃縮方法を好適に実施しうる回転型膜分離装置において、スポーク状バッフルが回転軸に装着される箇所を拡大して示す断面図である。 本発明の濃縮方法と従来のクロスフロー濃縮方法における透過流束を比較する図である。 操作圧力が300kPaの場合において、本発明の濃縮方法による膜体の回転角加速度をパラメーターとする、ラテックス濃度と透過流束の関係を示す図である。 操作圧力が400kPaの場合において、本発明の濃縮方法による膜体の回転角加速度をパラメーターとする、ラテックス濃度と透過流束の関係を示す図である。 操作圧力が500kPaの場合において、本発明の濃縮方法による膜体の回転角加速度をパラメーターとする、ラテックス濃度と透過流束の関係を示す図である。 クロスフロー方式による濃縮装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 被処理液のタンク
2 ストレーナ
3 ポンプ
4 回転型膜分離装置
10 流量調整弁
11 撹拌機
12 被処理液の供給入口
13 円筒状容器
14 回転軸
15、16 透過液出口
17 濃縮液出口
18 モータ
20 板体
21 スペーサクロス
22 透過性膜
23 膜体
24 スポーク状バッフル
24a スポーク片
24b 内側小円弧
25 貫通ボルト
26 容器の内壁面
27 液体流路
28 小孔
29 スペーサ
30 スリット
33 膜孔
34 透過液体移送経路
35、37 円板状バッフル
36 膜体
38 スポーク状バッフル




















Claims (5)

  1. 被処理液の供給入口を有する容器を貫通するように回転軸を配し、上記容器内にあって透過された液体を移送することの可能な構造を有する膜体を上記回転軸に装着し、上記膜体に接続されて透過液体を排出する出口を有し、上記膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配し、被処理液の供給入口に接続された液体流路を容器内壁面に有してなる回転型膜分離装置を用いてラテックスを濃縮する方法であって、供給入口から容器内に被処理液たるラテックスを導入し、膜体の被処理液側より透過液側を低圧にしながら、上記回転軸を回転させて膜体を透過した透過液を容器出口から排出し、容器内に導入したラテックスを透過液と濃縮液に膜分離しつつラテックスを濃縮する方法。
  2. 膜体の回転角加速度が125m/sec2以上である請求項1記載のラテックスの濃縮方法。
  3. 被処理液の供給入口を有する容器を貫通するように回転軸を配し、上記容器内にあって透過された液体を移送することの可能な構造を有する膜体の両側に膜体との間に間隙を設けてバッフルを配し、該バッフルを上記回転軸に装着し、上記膜体に接続されて透過液体を排出する出口を有し、被処理液の供給入口に接続された液体流路を容器内壁面に有してなる回転型膜分離装置を用いてラテックスを濃縮する方法であって、供給入口から容器内に被処理液たるラテックスを導入し、膜体の被処理液側より透過液側を低圧にしながら、上記バッフルを回転させて膜体を透過した透過液を容器出口から排出し、容器内に導入したラテックスを透過液と濃縮液に膜分離しつつラテックスを濃縮する方法。
  4. バッフルの回転角加速度が125m/sec2以上である請求項3記載のラテックスの濃縮方法。
  5. ラテックス中の分散剤または乳化剤がほとんど透過しないか又は透過しない分画性能の高い膜を使用する請求項1、2、3または4記載のラテックスの濃縮方法。
JP2003351589A 2002-10-22 2003-10-10 ラテックスの濃縮方法 Pending JP2004162038A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003351589A JP2004162038A (ja) 2002-10-22 2003-10-10 ラテックスの濃縮方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002306646 2002-10-22
JP2003351589A JP2004162038A (ja) 2002-10-22 2003-10-10 ラテックスの濃縮方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004162038A true JP2004162038A (ja) 2004-06-10

Family

ID=32828038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003351589A Pending JP2004162038A (ja) 2002-10-22 2003-10-10 ラテックスの濃縮方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004162038A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114409829A (zh) * 2022-01-05 2022-04-29 淄博鲁华泓锦新材料集团股份有限公司 一种异戊二烯胶乳浓缩方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114409829A (zh) * 2022-01-05 2022-04-29 淄博鲁华泓锦新材料集团股份有限公司 一种异戊二烯胶乳浓缩方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4369153B2 (ja) 膜分離装置及び膜分離方法
JP5068727B2 (ja) 水浄化システムの運転方法及び水浄化システム
JP4530245B2 (ja) 膜分離装置
US9126853B2 (en) Fresh water generator
JP5269749B2 (ja) 濾過装置の洗浄方法
US20160346739A1 (en) Filtration apparatus
JP2011083764A (ja) 水浄化システムの運転方法及び水浄化システム
JP5464836B2 (ja) 洗浄装置及び洗浄方法
WO2012145787A1 (en) Apparatus and method for reducing fouling and scaling in a fluid treatment system
KR100828742B1 (ko) 회전원반 또는 프로펠러가 장착된 침지형 분리막 모듈 및장치
JP2004162038A (ja) ラテックスの濃縮方法
JP2008183561A (ja) 膜分離装置及び膜分離方法
JP3741685B2 (ja) 回転型膜分離装置
JP2009136777A (ja) 膜分離装置
JP5269331B2 (ja) 廃水処理装置
JP2006061911A (ja) 回転型膜分離装置
JP3801926B2 (ja) 回転型膜分離装置
JP2002292258A (ja) 膜分離方法及び膜分離装置
WO2003051496A1 (fr) Separateur de membranes rotatif et procede de separation de membranes au moyen d'un separateur de membranes rotatif
JP2017217581A (ja) 中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法
WO2014148628A1 (ja) 多段式浸漬型膜分離装置および膜分離方法
JP2017080688A (ja) 分離膜エレメントおよび分離膜モジュール
JPH09276846A (ja) 高濃度排水の廃棄方法及び装置
JP2001104761A (ja) 膜分離装置の運転方法
JP4853453B2 (ja) ろ過膜エレメントの取り出し方法