JP2017217581A - 中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法 - Google Patents

中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法 Download PDF

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洋平 薮野
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孝治 三宅
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Abstract

【課題】十分な洗浄力により中空糸膜を効果的に洗浄することが可能な中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法を提供する。【解決手段】中空糸膜濾過装置1は、外圧濾過式の中空糸膜モジュール10により原水又は処理水を濾過する装置である。中空糸膜モジュール10は、中空糸膜束15と、中空糸膜束15が収容される内部空間S1が形成されたハウジング13と、内部空間S1に配置され、内部空間S1と管内空間とを連通させる複数の孔54が形成された管部材5と、を含む。中空糸膜濾過装置1は、管内空間に原水又は処理水及び気体を同時に供給するための気液供給手段40を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法に関する。
近年、発展途上国を中心に水資源の不足が叫ばれており、安全な水資源の確保は、世界が直面する問題となっている。また日本国内においても、病原性原虫による集団感染など、水資源の安全性確保は重要な社会課題となっている。このような背景から、これまで浄水処理が困難であった原水に高度水処理技術を適用することにより、安心・安全な水資源を作り出す動きが加速している。
このような高度水処理技術の一つとして、中空糸膜を用いた膜濾過技術が挙げられる。中空糸膜を用いた膜濾過は、多数の細孔を有する多孔質な濾過膜の内外に圧力差を生じさせることで、細孔より大きな物質(イオンから粒子まで幅広い物質)を分離する技術である。この技術は、分離対象物質の相変化や化学変化を伴わないため、他の分離法に比べて高効率且つ省エネルギーという観点から有望視されている。
しかし、中空糸膜による濾過の過程では、SS(Suspended Solids)と呼ばれる原水中の懸濁物質などの固形物が中空糸膜の表面に付着し、又は細孔内に侵入することにより、経時的に透過流束の低下が生じるファウリング現象が発生する。このため、濾過運転を長期的に安定して継続するためには、定期的に実施される中空糸膜の物理洗浄方法や運転方法を改善することにより、ファウリング現象を抑制する必要がある。
このような中空糸膜の物理洗浄方法が、下記特許文献1〜3において提案されている。特許文献1には、中空糸膜モジュールにおける一方の端部に設けられた原水導入口を介してモジュール内に気体を導入すると共に、中空糸膜の濾液側から原水側に気体又は液体を透過させる方法が提案されている。特許文献2には、中空糸膜が収容されるハウジングの側面に水の供給及び排出機能を有する複数の側面ノズルが設けられた中空糸膜モジュールを用いることにより、逆洗時の圧力を低減する方法が提案されている。特許文献3には、中空糸膜の上端固定部の近傍に洗浄用のノズルを配置し、当該ノズルから洗浄水を供給することにより上端固定部に付着した懸濁物質を効果的に除去する方法が提案されている。
特許第3948593号 特許第5821838号 特開2015−226884号公報
上記特許文献1で提案されている方法は、モジュールの一端に設けられた原水導入口から気体を導入することによりバブリング洗浄するものであるが、洗浄能力が低く、膜表面に付着した懸濁物質を十分に除去することが困難である。また上記特許文献2で提案されている方法も、モジュールの下端から気体を導入することによりバブリング洗浄するものであり、同様に洗浄能力に劣るという問題がある。また上記特許文献3で提案されている方法では、モジュール内に配置されたノズルから洗浄水を供給することにより中空糸膜を洗浄するものであり、この場合も洗浄能力が不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な洗浄力により中空糸膜を効果的に洗浄することが可能な中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法を提供することである。
本発明の一局面に係る中空糸膜濾過装置は、外圧濾過式の中空糸膜モジュールにより原水又は処理水を濾過する装置である。前記中空糸膜モジュールは、中空糸膜束と、前記中空糸膜束が収容される内部空間が形成されたハウジングと、前記内部空間に配置され、前記内部空間と管内空間とを連通させる複数の孔が形成された管部材と、を含む。上記中空糸膜濾過装置は、前記管内空間に原水又は処理水及び気体を同時に供給するための気液供給手段を備える。
上記中空糸膜濾過装置によれば、管部材の内部に原水又は処理水(以下、「原水等」ともいう)と気体を同時に供給し、管部材に形成された複数の孔から内部空間に向けて水と気体を同時に噴出することができる。これにより、気液混合体の噴出によって内部空間に強いせん断力を発生させることが可能となり、当該せん断力によって中空糸膜の表面を効果的に洗浄することができる。その結果、中空糸膜の表面に付着した懸濁物質などを効率的に除去することができる。従って、上記中空糸膜濾過装置によれば、十分な洗浄力により中空糸膜を効果的に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置において、前記内部空間は、前記中空糸膜束の長手方向の中央よりも上側部分が位置する上部空間と、前記中空糸膜束の長手方向の中央よりも下側部分が位置する下部空間と、を有していてもよい。前記複数の孔は、前記管部材における前記上部空間に位置する部位及び前記下部空間に位置する部位に形成されていてもよい。
この構成によれば、管部材の複数の孔からハウジングの上部空間及び下部空間に向けて気液混合体を噴出することにより、中空糸膜の上部及び下部に対して強いせん断力を作用させることができる。これにより、中空糸膜をより均一に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置において、前記管部材は、前記中空糸膜束の内側に配置されていてもよい。この構成によれば、中空糸膜束の内側部分に対して管部材の孔から水と気体を同時に噴出することが可能となり、当該内側部分を効果的に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置において、前記中空糸膜束は、周方向に分割され、束状の中空糸膜を有する複数の膜束からなっていてもよい。前記複数の孔のうち少なくとも1つの孔は、隣り合う前記膜束の隙間に向かって開口するように形成されていてもよい。
この構成によれば、管部材の孔から膜束に対して水と気体の混合体が直接噴出されるのを避けることができる。このため、せん断力の高い気液混合体が噴出された時でも、これによって膜束が損傷を受けることを抑制できる。しかも、膜束同士の隙間に向けて水と気体を噴出することができるため、膜束によって水や気体の流れが遮られず、中空糸膜束の外周部まで水や気体を均一に行き渡らせることが可能となる。このため、中空糸膜束を内部から外周部に向かってより均一に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置において、前記気液供給手段は、原水又は処理水が流れる水流路を有し、前記管部材の入口に接続された水供給路と、気体が流れる気体流路を有し、前記水供給路に接続された気体供給路と、を含んでいてもよい。
この構成によれば、気体供給路から水供給路内に気体を供給することが可能となり、水供給路内において水と気体を混合させることができる。そして、水供給路を介して管部材の入口に気液混合体を供給することができる。このため、管部材の内部に水と気体をそれぞれ直接供給する場合に比べて、管部材への供給前に水と気体を十分に混合することが可能となる。このように水と気体が十分に混合された気液混合体を形成することで、より高いせん断力を発生させることができる。
本発明の他局面に係る中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、中空糸膜束がハウジングの内部空間に収容された外圧濾過式の中空糸膜モジュールにより原水又は処理水を濾過する中空糸膜濾過装置の洗浄方法である。上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、前記内部空間に配置された管部材の複数の孔から前記内部空間に向けて原水又は処理水及び気体を同時に噴出する気液洗浄工程を備える。
上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法によれば、管部材を用いてハウジングの内部空間に向けて原水等と気体を同時に噴出することができる。これにより、気液混合体によって内部空間に強いせん断力を発生させることが可能となり、当該せん断力によって中空糸膜の表面を効果的に洗浄することができる。その結果、中空糸膜の表面に付着した懸濁物質などを効率的に除去することができる。
上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、前記中空糸膜の内表面側から外表面側に向かって濾液を押し出す逆洗工程を備えていてもよい。前記気液洗浄工程は、前記逆洗工程の後又は同時に実施されてもよい。
この方法によれば、逆洗工程と気液洗浄工程とを組み合わせて実施することにより、中空糸膜の洗浄効果を一層高めることができる。
上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、充水された前記内部空間に気体を分散させることにより前記中空糸膜束を洗浄するバブリング工程をさらに備えてもよい。前記気体洗浄工程は、前記バブリング工程の前又は同時に実施されてもよい。
この方法によれば、バブリング工程をさらに組み合わせて実施することにより、中空糸膜の洗浄効果を一層高めることができる。
本発明によれば、十分な洗浄力により中空糸膜を効果的に洗浄することが可能な中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る中空糸膜濾過装置の構成を示す模式図である。 上記中空糸膜濾過装置に備えられた中空糸膜モジュールの構成を示す模式図である。 図2中の線分III−IIIに沿った断面図である。 図2中の領域IVの拡大図である。 上記中空糸膜濾過装置の基本的な運転プログラムを示す図である。 本発明のその他実施形態に係る中空糸膜濾過装置を示す模式図である。 本発明のその他実施形態に係る中空糸膜濾過装置を示す模式図である。 本発明のその他実施形態に係る中空糸膜濾過装置を示す模式図である。 本発明のその他実施形態に係る中空糸膜濾過装置を示す模式図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る中空糸膜濾過装置1の構成について説明する。中空糸膜濾過装置1は、中空糸膜モジュール10により原水又は処理水を濾過する装置である。図1に示すように、中空糸膜濾過装置1は、複数の中空糸膜14がハウジング13に収容された中空糸膜モジュール10と、中空糸膜モジュール10に原水又は処理水及び空気(気体)を同時に供給するための気液供給手段40と、を有する。処理水は、一旦濾過処理された後の水であって、中空糸膜モジュール10により再度濾過されるものである。
[中空糸膜モジュール]
中空糸膜モジュール10は、中空糸膜14の外表面側に供給された原水等を内表面側から濾液として取り出す外圧濾過式のものである。図2に示すように、中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜14が上端14Bにおいて固定部材3により束状に固定された中空糸膜束15と、中空糸膜束15が収容される内部空間S1が形成されたハウジング13と、内部空間S1に配置され、内部空間S1に原水等及び空気を供給する管部材5と、ハウジング13内に供給された洗浄用の空気を分散させる散気部材4と、を有する。なお、散気部材4は必須の構成ではなく、省略されてもよい。
中空糸膜束15は、複数の中空糸膜14の上端14Bが開口した状態で固定部材3により固定され、下端14Aが1本ずつ固定されない状態で封止された片端フリータイプである。固定部材3は、複数の中空糸膜14の上端14Bを収束固定する。固定部材3は、中空糸膜14を濾過膜として機能させるため、ハウジング13内の空間を原水側の内部空間S1と濾液側の空間S2とに液密に仕切る。固定部材3には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。中空糸膜束15と固定部材3の接着方法としては、遠心接着法や静置接着法などが挙げられる。
中空糸膜14の素材としては、種々の材料を用いることが可能であり、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール及びポリエーテルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種類が、中空糸膜14の素材として用いられることが好ましい。特に、膜強度や耐薬品性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が素材として用いられることが好ましい。
中空糸膜モジュール10は、上述の通り外圧濾過式のものであるが、膜分離処理の条件や要求される性能に応じて外圧全量濾過式又は外圧循環濾過式のものであってもよい。膜寿命の点では、濾過膜の表面洗浄を同時に行うことができる外圧循環濾過式が好ましく、設備の単純さ、設置コスト及び運転コストの点では、外圧全量濾過式が好ましい。
中空糸膜束15は、中空糸膜14の本数が多くなるに従いモジュール当たりの膜面積が大きくなるため、濾過流量を高くして運転することができるが、一方で洗浄時における懸濁物質の排出効率が低下する。そのため、中空糸膜14の外径di(m)、中空糸膜14の本数n(本)及びハウジング13の断面積S(m)により計算される膜充填率100πndi/4S(%)が10〜60%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。
図3は、図2中の線分III−IIIに沿った断面を示している。図3に示すように、中空糸膜束15は、周方向に分割された複数(本実施形態では4個)の膜束15Aを有し、隣り合う膜束15Aの間には隙間Sが形成されている。各膜束15Aは、複数の中空糸膜が円筒状に束ねられたものである。膜束15Aの数は例えば4〜8個とすることができ、また膜束15Aの形状は円筒形状以外のその他の形状であってもよい。
図2に示すように、ハウジング13は、上面13A及び下面13Cと、これらを接続する側面13Bと、を有する筒形状からなる。ハウジング13は、中空糸膜束15が収容される内部空間S1を有する。内部空間S1は、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも上側部分が位置する上部空間S11と、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも下側部分が位置する下部空間S12と、を含む。
ハウジング13の上面13Aには、濾液を取り出すための濾液配管51が接続され、当該濾液配管51には濾液出口52及び濾液側気体入口53が設けられている。側面13Bにおいて固定部材3の直下には、内部空間S1の気体を系外に排出するための気体抜き口11が設けられている。気体抜き口11は、上部空間S11の開口部であり、ハウジング13の内部圧力を調整するための部分である。ハウジング13の下部には、内部空間S1から原水等を系外に排出するためのドレン抜き口12が設けられている。またハウジング13の下部には、内部空間S1に空気を供給するための孔である散気用気体入口7も設けられている。
図1に示すように、気体抜き口11には気体抜き配管61が接続され、これを介してハウジング13内の気体が系外に排出される。気体抜き配管61には気体排出口バルブ62が設けられ、これを開閉することによりハウジング13内からの気体の排出及びその停止を切り替えることができる。
またドレン抜き口12にはドレン配管41が接続され、これを介してハウジング13内の原水等が系外に排出される。ドレン配管41には液体排出口バルブ42が設けられ、これを開閉することによりハウジング13の下部からの水の排出及びその停止を切り替えることができる。
ハウジング13の材質としては、SUS、変性PPE、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリオレフィン又はABS樹脂などが用いられる。図2に示すように、ハウジング13の内面に固定部材3が接着固定されることにより、いわゆる一体型モジュールが構成されていてもよい。また、固定部材3の外周部にO−リングやパッキンなどが取り付けられ、固定部材3がハウジング13に対して着脱可能且つ液密に装着されていてもよい。この場合、固定部材3を取り外して中空糸膜束15を交換し、ハウジング13を繰り返し使用することができる。
管部材5は、例えば円筒形状を有し、図2に示すようにハウジング13の下壁部及び散気部材4の中央を貫通すると共に、中空糸膜束15の中心を中空糸膜14の長手方向に沿って上下に延びるように配置されている。管部材5は、上端が固定部材3に接続されると共に、下端がハウジング13の下壁部よりも下側に突き出ている。管部材5の下端には管内空間に連通する入口9が設けられており、当該入口9を介して管内空間に原水等又は空気を供給可能となっている。なお、管部材5の構造はこれに限定されず、例えば散気部材4の上面から上向きに突出する別の配管に対して外嵌されたものであってもよい。また管部材5は円筒形状のものに限定されず、他の形状のものであってもよい。
図2に示すように、管部材5において散気部材4の上面よりも上側に突出した部位には、長手方向全体に亘って複数の孔54が互いに間隔を空けて形成されている。より具体的には、管部材5は、上部空間S11に位置する部位に複数の上孔54Aが互いに間隔を空けて形成されると共に、下部空間S12に位置する部位に複数の下孔54Bが互いに間隔を空けて形成されている。
上孔54A及び下孔54Bは、管壁を貫通するように形成されており、これによって管部材5の管内空間とハウジング13の内部空間S1とを連通させる。このため、管部材5の下端にある入口9から管内空間に供給された原水等及び空気を、上孔54Aを介して上部空間S11に向けて同時に噴出すると共に、下孔54Bを介して下部空間S12に向けて同時に噴出することができる。また上孔54A及び下孔54Bによって、原水等のみを上部空間S11及び下部空間S12に向けて噴出することもできるし、空気のみを上部空間S11及び下部空間S12に向けて噴出することもできる。ここで、上孔54A及び下孔54Bは、上部空間S11及び下部空間S12に対して同程度の流量で水、空気及び水と空気の混合体を噴出可能な大きさで形成されていることが好ましい。なお、孔54は、互いに等間隔で形成されていてもよいし、異なる間隔で形成されていてもよい。また孔54の形状は、本実施形態のように円形状であってもよいが、水や空気を均一に噴出可能な形状であれば特に限定されない。
また本実施形態では、複数の孔54は同じ大きさで形成されているがこれに限定されず、互いに異なる大きさであってもよい。また孔54の内径は、気液混合体の噴出によるせん断力の確保という観点から30mm以下に設計されることが好ましいが、特に限定されない。
また図2に示すように、管部材5の最上部に形成された上孔54Aは気体抜き口11の下面11Aよりも上側に位置しており、上から2番目の上孔54Aは当該下面11Aよりも下側に位置している。つまり、管部材5には、気体抜き口11の下面11Aを上下に挟む位置に上孔54Aが形成されている。
図3に示すように、上孔54Aは、隣り合う膜束15Aの隙間Sに向かって開口するように形成されており、これにより当該隙間Sに向けて原水等や空気を噴出可能となっている。上孔54Aからせん断力の高い気液混合体が噴出された場合、当該混合体を膜束15Aに対して直接噴出すると、中空糸膜14が損傷を受ける虞がある。また膜束15Aによって水や空気の流れが遮られることにより、中空糸膜束15の外周部まで水や空気が行き渡りにくくなる。この場合、中空糸膜束15の外周部における洗浄効果が不十分になる。これに対して、膜束15Aの隙間Sに向かって水と空気の混合体を噴出することにより、中空糸膜14の損傷を抑制することができると共に中空糸膜束15の外周部まで水や空気を均一に行き渡らせることができる。また下孔54Bも上孔54Aと同様に膜束15Aの隙間Sに向かって開口するように形成されることが好ましい。また図3に示すように、全ての上孔54Aが隙間Sに向かって開口する場合に限定されず、一部の上孔54Aのみが隙間Sに向かって開口していてもよい。
図4は、図2中の領域IVにおける管部材5の拡大図である。管部材5における孔54の開孔率は、以下のように定義できる。図4の斜線部に示すように、最上部の孔54の中間高さ位置からその下の孔54の中間高さ位置までの範囲における管部材5の外周面の面積をS1とし、当該範囲の外周面に形成された全ての孔54の合計の開孔面積をS2としたときに、孔54の開孔率は、S2/S1×100、として定義できる。本実施形態では、当該開孔率が1%以上20%以下に設計されることが好ましい。
ハウジング13内に挿入された管部材5の長さ(図2)は、中空糸膜モジュール10を嵩張らせないようにするため、中空糸膜14の長さの1〜2倍であることが好ましく、1〜1.5倍であることがより好ましい。
管部材5の内径は、通水時の圧力損失を小さくするため、通水時の流束が4m/s以下となるように設計されることが好ましく、3m/s以下となるように設計されることがより好ましい。
図2に示すように、散気部材4は、中空糸膜14の下端14Aよりも下側に配置されており、散気用気体入口7からハウジング13内に供給された気体を中空糸膜束15の径方向に広がるように分散させる。散気部材4は、下部空間S12よりも下側に配置されており、中央部に管部材5が貫通している。より具体的には、散気部材4は、中空糸膜束15の径方向に広がった形状を有し、複数の通気孔43が径方向に間隔を空けて形成された円板状の本体部74と、本体部74の周縁部に接続された周壁部76と、本体部74の下面中央に接続された円筒状の気体受け部75と、を有し、これらが一体に形成されている。散気部材4によれば、散気用気体入口7からハウジング13内に供給された空気を気体受け部75により一時的に収容した後、当該気体受け部75に形成された孔から空気を外側へ逃がし、その後通気孔43から下部空間S12に向けて上向きに気泡を分散させることによりバブリングを行うことができる。
[気液供給手段]
気液供給手段40は、管部材5の管内空間に原水又は処理水及び気体を同時に供給するためのものである。図1に示すように、気液供給手段40は、原水配管21(水供給路)と、原水ポンプ20と、原水バルブ22と、処理水配管25(水供給路)と、処理水タンク23と、処理水ポンプ24と、処理水バルブ26と、エアーコンプレッサー30と、気体導入配管33(気体供給路)と、気体導入バルブ36と、制御装置73と、を有する。
原水配管21は、原水が流れる水流路を有し、下流端が管部材5の入口9に接続されている。原水ポンプ20は、原水配管21の上流部に設けられ、制御装置73によって作動することにより原水配管21内に原水を流す。原水バルブ22は、原水ポンプ20よりも下流側に設けられ、制御装置73によって開閉することにより原水配管21内における水の流通及び遮断を切り替える。
処理水配管25は、処理水が流れる水流路を有し、原水配管21と同様に下流端が管部材5の入口9に接続されている。処理水ポンプ24は、制御装置73によって作動することにより処理水タンク23に貯められた処理水を処理水配管25に送り出す。処理水バルブ26は、処理水ポンプ24よりも下流側に設けられ、制御装置73によって開閉することにより処理水配管25内における水の流通及び遮断を切り替える。
エアーコンプレッサー30は、制御装置73によって作動することにより気体導入配管33内に空気を流す。気体導入配管33は、エアーコンプレッサー30から送られた空気が流れる気体流路を有し、上流端がエアーコンプレッサー30に接続されると共に、下流端が原水配管21における原水バルブ22よりも下流側の部位に接続されている。また気体導入配管33の下流端は、処理水配管25における処理水バルブ26よりも下流側の部位に接続されていてもよい。気体導入バルブ36は、制御装置73によって開閉することにより気体導入配管33における空気の流通及び遮断を切り替える。
制御装置73は、例えばパーソナルコンピュータにより構成され、原水ポンプ20、処理水ポンプ24及びエアーコンプレッサー30の各動作を制御すると共に、原水バルブ22、処理水バルブ26及び気体導入バルブ36の開閉動作を制御するコントローラを有する。この制御装置73により、原水ポンプ20及びエアーコンプレッサー30を同時に作動させると共に、原水バルブ22及び気体導入バルブ36を同時に開くことができる。これにより、原水ポンプ20によって原水配管21内に原水を供給すると共に、エアーコンプレッサー30により気体導入配管33を介して原水配管21内に空気を供給することができ、原水配管21内において水と空気の気液混合体を生成することができる。そして、原水配管21を介して原水及び空気を管部材5の管内空間に同時に供給することができ、管部材5の孔54から原水と空気を同時に噴出することができる。なお、上述のように気体導入配管33の下流端を処理水配管25に接続した場合には、処理水及び空気を管部材5の管内空間に同時に供給し、管部材5の孔54から処理水及び空気を同時に噴出することができる。
また図1に示すように、中空糸膜濾過装置1は、第1気体導入配管31と、第2気体導入配管32と、第1及び第2気体導入配管31,32に設けられた第1及び第2気体導入バルブ34,35と、をさらに有する。第1気体導入配管31は、上流端が第3気体導入配管33における第3気体導入バルブ36よりも上流側の部位に接続されると共に、下流端が中空糸膜モジュール10の濾液側気体入口53に接続されている。第1気体導入配管31には、配管内における空気の流通及び遮断を切り替える第1気体導入バルブ34が設けられており、制御装置73によって当該バルブの開閉が制御される。
第2気体導入配管32は、第1気体導入配管31における第1気体導入バルブ34よりも上流側の部位に上流端が接続されると共に、下流端が中空糸膜モジュール10の散気用気体入口7に接続されている。また第2気体導入配管32にも、配管内における空気の流通及び遮断を切り替える第2気体導入バルブ35が設けられており、制御装置73によって当該バルブの開閉が制御される。これらの構成によれば、制御装置73によりエアーコンプレッサー30を作動させると共に第1気体導入バルブ34を開くことで第1気体導入配管31を介してハウジング13の濾液側の空間S2に空気を供給して濾液を押出すことができ、また制御装置73により第2気体導入バルブ35を開くことで第2気体導入配管32を介して中空糸膜モジュール10の原液側の空間に空気を供給してバブリング洗浄を行うことができる。
[中空糸膜濾過装置の運転方法及び洗浄方法]
次に、上記中空糸膜濾過装置1の運転方法及び洗浄方法について説明する。図5は、中空糸膜濾過装置1の運転方法及び洗浄方法における各工程とバルブの開閉状態との関係を示している。図5中の丸印は該当するバルブが開状態であることを意味し、空欄はバルブが閉状態であることを意味する。
はじめに、充水工程が実施される。この工程では、中空糸膜濾過装置1の全バルブが閉じた状態において、制御装置73によって原水バルブ22及び気体排出口バルブ62が開かれ、且つ原水ポンプ20が作動する。これにより、原水ポンプ20から原水配管21を介して管部材5内に原水が導入される。そして、管部材5の孔54からハウジング13内に原水が供給され、内部空間S1が充水される。
次に、濾過工程が実施される。この工程では、気体抜き口11から原水が溢れた後、制御装置73によって濾液出口バルブ71が開かれると共に気体排出口バルブ62が閉じられる。そして、内部空間S1に満たされた原水が中空糸膜14の外表面側から膜壁を通過して内表面側へ浸透し、濾液側の空間S2から濾液として取り出される。
この濾過工程において、濾過時間が経過するのに伴って中空糸膜14の外表面に原水中の懸濁物質が付着し、透過流速が低下することにより濾過能力が低下する。そのため、一定時間濾過が実施された後、以下に説明する洗浄方法を実施することにより、中空糸膜14の外表面が洗浄される。
まず、逆洗工程が実施される。この工程では、制御装置73によって液体排出口バルブ42及び第1気体導入バルブ34を開き、且つエアーコンプレッサー30を作動させる。これにより、濾液側気体入口53からハウジング13の濾液側の空間S2に気体又は液体(例えば空気又は水)が導入され、これによって濾液が加圧される。そして、加圧された濾液は、中空糸膜14の内表面側から外表面側に向かって押し出される。これにより、内部空間S1の液体の一部がドレン抜き口12から系外に排出される。このようにして中空糸膜14の逆洗が行われる。
次に、気液洗浄工程が実施される。この工程では、制御装置73によって原水ポンプ20及びエアーコンプレッサー30を作動させると共に、原水バルブ22、第3気体導入バルブ36及び気体排出口バルブ62をそれぞれ開く。これにより、原水配管21内に原水が流れると共に第3気体導入配管33から原水配管21内に空気が導入され、原水配管21内に原水と空気の混合体が生成する。そして、原水と空気の混合体が原水配管21を介して管部材5の内部に導入され、管部材5の上孔54A及び下孔54Bからハウジング13の上部空間S11及び下部空間S12のそれぞれに向けて原水及び空気が同時に噴出される。これにより、噴出された気液混合体によって上部空間S11及び下部空間S12において強いせん断力が発生し、当該せん断力によって中空糸膜14を長手方向において均一且つ効果的に洗浄することができる。この時、上部空間S11及び下部空間S12に対して原水と空気を均一に噴出することが、モジュール内の均一な洗浄という観点から好ましい。なお、洗浄中においては、気体抜き口11からモジュールの系外に空気が排出されると共に、ドレン抜き口12からモジュールの系外に原水が排水される。
また図3を参照して説明したように、管部材5の孔54は、膜束15Aの隙間Sに向かって開口している。このため、図3中矢印に示すように、中空糸膜束15の中心から当該隙間Sに向かって径方向外向きに水及び空気を噴出することができる。このため、中空糸膜束15の中心部分を効果的に洗浄することができると共に、噴出された水及び空気を中空糸膜束15の外周部にまで容易に行き渡らせることができる。よって、中空糸膜束15の中心部分だけでなく外周部における洗浄効果も高めることができる。しかも、膜束15Aに向かって直接水や空気を噴出しないため、中空糸膜14が損傷を受けるのも抑制できる。
次に、バブリング工程が実施される。この工程では、内部空間S1が充水された状態において、制御装置73によって第3気体導入バルブ36が閉じられると共に第2気体導入バルブ35が開かれる。これにより、第2気体導入配管32を介して散気用気体入口7からハウジング13内に空気が供給される。そして、当該空気は、気体受け部75に収容された後、通気孔43から下部空間S12へ分散される。これにより、中空糸膜14の下端14Aから上端14Bに向かって上昇する空気によって中空糸膜14が揺らされ、その作用で膜表面に付着した懸濁物質が剥がれ落ちる。
次に、排水工程が実施される。この工程では、制御装置73によって第2気体導入バルブ35が閉じられると共に液体排出口バルブ42が開かれる。これにより、逆洗工程、気液洗浄工程及びバブリング工程において中空糸膜14の外表面から剥がれ落ちた懸濁物質を含む液体が、ドレン抜き口12を介して系外に排出される。
このようにして中空糸膜モジュール10の洗浄が実施された後、原水の濾過が再開される。また上記の洗浄方法は、濾過運転中において任意のタイミングで実施することができる。また逆洗工程から排水工程までの洗浄プロセスを1回のみ実施するだけでなく複数回繰り返して実施することも可能であり、これによってより効果的な洗浄が可能になる。
また上記実施形態では、原水の濾過及び原水を用いた中空糸膜14の洗浄について説明したが、原水の代わりに処理水を用いてもよい。この場合、処理水タンク23に貯められた処理水が処理水ポンプ24によって管部材5に送られる。
また上記実施形態では、逆洗工程、気液洗浄工程、バブリング工程の順で洗浄を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、逆洗工程と気液洗浄工程を同時に実施してその後バブリング工程を実施してもよいし、逆洗工程を行った後に気液洗浄工程とバブリング工程を同時に行ってもよいし、逆洗工程、気液洗浄工程及びバブリング工程を全て同時に行ってもよい。また逆洗工程及びバブリング工程は本発明の洗浄方法において必須の工程ではなく、いずれか一方の工程を省略してもよいし、両方の工程を省略してもよい。
[作用効果]
次に、本実施形態に係る中空糸膜濾過装置1及びその洗浄方法の特徴並びに作用効果について説明する。
上記中空糸膜濾過装置1は、外圧濾過式の中空糸膜モジュール10により原水又は処理水を濾過する装置である。中空糸膜モジュール10は、束状の複数の中空糸膜14を有する中空糸膜束15と、中空糸膜束15が収容される内部空間S1が形成されたハウジング13と、内部空間S1に配置され、内部空間S1と管内空間とを連通させる複数の孔54が形成された管部材5と、を含む。内部空間S1は、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも上側部分が位置する上部空間S11と、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも下側部分が位置する下部空間S12と、を有する。孔54は、管部材5における上部空間S11に位置する部位及び下部空間S12に位置する部位に形成されている。上記中空糸膜濾過装置1は、管内空間に原水又は処理水及び気体を供給するための気液供給手段40を備える。
上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、束状の複数の中空糸膜14を有する中空糸膜束15がハウジング13の内部空間S1に収容された外圧濾過式の中空糸膜モジュール10により原水又は処理水を濾過する中空糸膜濾過装置1の洗浄方法である。内部空間S1は、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも上側部分が位置する上部空間S11と、中空糸膜14の長手方向の中央Cよりも下側部分が位置する下部空間S12と、を有する。上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、内部空間S1に配置された管部材5を用いて、上部空間S11及び下部空間S12に向けて原水又は処理水及び気体を同時に噴出する気液洗浄工程を備える。
これにより、管部材5の内部に原水又は処理水を供給すると共に気体を供給し、管部材5の孔54から内部空間S1に向けて水と気体を同時に噴出することができる。このため、気液混合体の噴出によって内部空間S1に強いせん断力を発生させることが可能となり、当該せん断力によって中空糸膜14の表面を効果的に洗浄することができる。その結果、中空糸膜14の表面に付着した懸濁物質などを効率的に除去することができる。しかも、管部材5における上部空間S11及び下部空間S12に位置する部位に形成された孔54(上孔54A及び下孔54B)から気液混合体を噴出することで、中空糸膜14の上部及び下部のそれぞれに対して強いせん断力を作用させることができる。これにより、中空糸膜14を強いせん断力によって効果的且つ均一に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置1において、管部材5は、中空糸膜束15の内側に配置されている。これにより、中空糸膜束15の内側部分に対して管部材5の孔54から水と気体を同時に噴出することが可能となり、当該内側部分を効果的に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置1において、中空糸膜束15は、周方向に分割された複数の膜束15Aを有する。孔54は、隣り合う膜束15Aの隙間Sに向かって開口するように形成されている。
これにより、管部材5の孔54から膜束15Aに対して水と気体の混合体が直接噴出されるのを避けることができる。このため、せん断力の高い気液混合体が噴出された時でも、これによって膜束15Aが損傷を受けることを抑制できる。しかも、膜束15A同士の隙間Sに向けて水と気体を噴出することができるため、膜束15Aによって水や気体の流れが遮られず、中空糸膜束15の外周部まで水や気体を均一に行き渡らせることが可能となる。このため、中空糸膜束15を内部から外周部に亘ってより均一に洗浄することができる。
上記中空糸膜濾過装置1において、気液供給手段40は、原水が流れる水流路を有すると共に管部材5の入口9に接続された原水配管21と、処理水が流れる水流路を有すると共に管部材5の入口9に接続された処理水配管25と、気体が流れる気体流路を有すると共に原水配管21及び処理水配管25に接続された第3気体導入配管33を含む。
これにより、第3気体導入配管33から原水配管21及び処理水配管25の内部に気体を供給することが可能となり、原水配管21及び処理水配管25において水と気体を混合させることができる。そして、原水配管21及び処理水配管25を介して管部材5の入口9に気液混合体を供給することができる。このため、管部材5の内部に水と気体をそれぞれ直接供給する場合に比べて、管部材5への供給前に水と気体を十分に混合することが可能となる。このように水と気体が十分に混合された気液混合体を形成することで、より高いせん断力を発生させることができる。
上記中空糸膜濾過装置の洗浄方法は、中空糸膜14の内表面側から外表面側に向かって濾液を押し出す逆洗工程を備える。気液洗浄工程は、逆洗工程の後又は同時に実施される。これにより、逆洗工程と気液洗浄工程とを組み合わせて実施することで、中空糸膜14の洗浄効果を一層高めることができる。
(その他実施形態)
次に、本発明のその他実施形態について説明する。
上記実施形態1では、第3気体導入配管33から原水配管21及び処理水配管25の内部に空気を導入する場合について説明したが、これに限定されない。図6に示すように、第3気体導入配管33を管部材5に直接接続し、管部材5の内部に直接空気を供給する構成としてもよい。この場合でも、管部材5の孔54から水と空気を内部空間S1に向けて同時に噴出することができる。
上記実施形態1では、管部材5が中空糸膜束15の内側に配置される場合について説明したが、中空糸膜束15の外側に配置する構成としてもよい。
上記実施形態1では、中空糸膜束15が複数の膜束15Aに分割される場合について説明したが、1つの膜束からなっていてもよい。
上記実施形態1では、管部材5において上部空間S11及び下部空間S12に位置する部位に孔54が形成される場合について説明したが、これに限定されない。図7に示すように管部材5において上部空間S11に位置する部位のみに孔54(上孔54A)が形成されてもよいし、図8に示すように管部材5において下部空間S12に位置する部位のみに孔54(下孔54B)が形成されてもよい。
また図9に示すように、原水と空気を混合した気液混合体を作ることができる気液混合装置77を設けてもよい。この場合、制御装置73により気液混合装置77を作動させると共に開閉弁79を開くことで、供給配管78を通して管部材5の管内空間に原水と気体を同時に供給し、管部材5の孔54から原水と空気を同時に噴出することができる。この場合、気液混合装置77、供給配管78、開閉弁79及び制御装置73により気液供給手段40が構成される。なお、通常の濾過工程においては、原水中に空気を混入させずに原水ポンプと同様に気液混合装置77を用いてもよい。
上記実施形態1では、管部材5に供給する気体として空気を例示したがこれに限定されず、中空糸膜14の洗浄に適した種々の気体を用いることが可能である。
本発明の中空糸膜濾過装置及びその洗浄方法による効果を確認するため、以下の実験を行った。
(実施例1)
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の中空糸膜(株式会社クラレ製:M02−100)を用いて中空糸膜モジュール10(図2)を作製し、これを用いて中空糸膜濾過装置1(図1)を組み立てた。中空糸膜14は、平均孔径が0.02μmであり、ポリビニルアルコールによる親水化処理がなされたものを用いた。
上記中空糸膜濾過装置1において、塩化鉄沈殿水(pH=7、SS濃度:250mg/L)を原水として使用し、ハウジング13内に原水を満たす充水工程を行った後、全量濾過方式による濾過工程を30分間行った。そして、中空糸膜14の内表面側から外表面側に濾液を押し出す逆洗工程を行った後、管部材5の孔54から原水と空気を同時に噴出する気液洗浄工程を実施し、その後排水工程を行った。この逆洗工程、気液洗浄工程及び排出工程のプロセスを繰り返し行った。約24時間に亘り上記の洗浄プロセスを繰り返したところ、中空糸膜モジュール10全体においてSS成分の付着が見られず、良好な洗浄状態を確認することができた。
(実施例2)
逆洗工程と同時に気液洗浄工程を行った点以外は、上記実施例1と同様である。約24時間に亘り洗浄運転を繰り返したところ、上記実施例1と同様に中空糸膜モジュール10全体においてSS成分の付着が見られず、良好な洗浄状態を確認することができた。
(実施例3)
管部材5において下孔54Bを省略して上孔54Aのみを形成した点以外は、上記実施例1と同様である。この場合、ハウジング13の下部空間S12においてSS成分の付着が見られた。このことから、上記実施例1のように上孔54A及び下孔54Bの両方を形成し、上部空間S11及び下部空間S12のいずれに対しても水と空気を同時に噴出することにより、洗浄効果がより向上することが分かった。
(比較例1)
逆洗工程の後、第3気体導入バルブ36を開かず、ハウジング13内の充水のみ行った点以外は上記実施例1と同様である。約24時間に亘り運転を繰り返したところ、中空糸膜モジュール10全体においてSS成分の付着が見られ、十分な洗浄効果を得ることができなかった。これは、上記実施例1,2と異なり、水と空気を同時に噴出する気液洗浄工程を行っていないことから、中空糸膜モジュール10を洗浄するためのせん断力が不足した結果であると考えられる。
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 中空糸膜濾過装置
5 管部材
9 入口
10 中空糸膜モジュール
13 ハウジング
14 中空糸膜
15 中空糸膜束
15A 膜束
20 原水ポンプ(気液供給手段)
21 原水配管(水供給路、気液供給手段)
22 原水バルブ(気液供給手段)
23 処理水タンク(気液供給手段)
24 処理水ポンプ(気液供給手段)
25 処理水配管(水供給路、気液供給手段)
26 処理水バルブ(気液供給手段)
30 エアーコンプレッサー(気液供給手段)
33 第3気体導入配管(気体供給路、気液供給手段)
40 気液供給手段
54 孔
54A 上孔
54B 下孔
C 中央
S 隙間
S1 内部空間
S11 上部空間
S12 下部空間

Claims (8)

  1. 外圧濾過式の中空糸膜モジュールにより原水又は処理水を濾過する中空糸膜濾過装置であって、
    前記中空糸膜モジュールは、
    中空糸膜束と、
    前記中空糸膜束が収容される内部空間が形成されたハウジングと、
    前記内部空間に配置され、前記内部空間と管内空間とを連通させる複数の孔が形成された管部材と、を含み、
    前記管内空間に原水又は処理水及び気体を同時に供給するための気液供給手段を備えた、中空糸膜濾過装置。
  2. 前記内部空間は、前記中空糸膜束の長手方向の中央よりも上側部分が位置する上部空間と、前記中空糸膜束の長手方向の中央よりも下側部分が位置する下部空間と、を有し、
    前記複数の孔は、前記管部材における前記上部空間に位置する部位及び前記下部空間に位置する部位に形成されている、請求項1に記載の中空糸膜濾過装置。
  3. 前記管部材は、前記中空糸膜束の内側に配置されている、請求項1又は2に記載の中空糸膜濾過装置。
  4. 前記中空糸膜束は、周方向に分割され、束状の中空糸膜を有する複数の膜束からなり、
    前記複数の孔のうち少なくとも1つの孔は、隣り合う前記膜束の隙間に向かって開口するように形成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の中空糸膜濾過装置。
  5. 前記気液供給手段は、
    原水又は処理水が流れる水流路を有し、前記管部材の入口に接続された水供給路と、
    気体が流れる気体流路を有し、前記水供給路に接続された気体供給路と、を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の中空糸膜濾過装置。
  6. 中空糸膜束がハウジングの内部空間に収容された外圧濾過式の中空糸膜モジュールにより原水又は処理水を濾過する中空糸膜濾過装置の洗浄方法であって、
    前記内部空間に配置された管部材の複数の孔から前記内部空間に向けて原水又は処理水及び気体を同時に噴出する気液洗浄工程を備えた、中空糸膜濾過装置の洗浄方法。
  7. 前記中空糸膜束における中空糸膜の内表面側から外表面側に向かって濾液を押し出す逆洗工程を備え、
    前記気液洗浄工程が前記逆洗工程の後又は同時に実施される、請求項6に記載の中空糸膜濾過装置の洗浄方法。
  8. 充水された前記内部空間に気体を分散させることにより前記中空糸膜束を洗浄するバブリング工程をさらに備え、
    前記気体洗浄工程が前記バブリング工程の前又は同時に実施される、請求項6又は7に記載の中空糸膜濾過装置の洗浄方法。
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