JP2004161558A - 炭化珪素/炭素複合材及びこれを用いた摺動材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気中でも良好な潤滑性を有し、かつ無加圧焼結で焼結できる炭化珪素/炭素複合材を提供する。
【解決手段】ロックウエル硬さがAスケールで65〜85及びビッカース硬さが2000未満である炭化珪素/炭素複合材。
【選択図】 なし
【解決手段】ロックウエル硬さがAスケールで65〜85及びビッカース硬さが2000未満である炭化珪素/炭素複合材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素/炭素複合材及びこれを用いた摺動材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素は極めて硬く、水潤滑で使用される場合や相手材が炭素の場合には良好な潤滑性を有し、耐摩耗性、耐薬品性に優れるため、メカニカルシールや軸受によく使用されている。しかし、空気中で炭化珪素同士で使用した場合には摩擦係数が大きく、簡単に焼き付いてしまう問題がある。
【0003】
従来から炭化珪素に炭素、BN等の固体潤滑剤を添加した材料が提案されている(特許文献1、2及び3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−223273号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平03−112866号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平10−139546号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【0005】
しかしながら、BNは高価であり、安価な摺動材料には適さないという問題点がある。
また、炭素との複合材料において、その添加物として(特許文献4及び5参照)に示されるような黒鉛、(特許文献6参照)に示されるようなコークス、(特許文献7参照)に示されるようなタールピッチ、(特許文献8及び9参照)に示されるようなカーボンブラックがある。
【0006】
【特許文献4】
特開昭60−141676号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平02−221352号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開平01−278475号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開昭60−200861号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献8】
特公昭61−043310号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開昭61−063569号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【0007】
前記、特許文献4には黒鉛を1〜48重量%及び特許文献5には黒鉛を0.3〜15体積%添加した焼結体が示されるが、空気中の摩擦係数は大きく、簡単に焼き付いてしまう問題点がある。また特許文献6のコークス〜35〜45重量%、特許文献7のタールピッチからの炭素を4〜6重量%添加した焼結体も上記と同様の問題点がある。
【0008】
特許文献8にはα炭化珪素に対し1〜5体積%のカーボンブラックを添加した焼結体が示されるが、該焼結体は、水潤滑での摩擦特性には優れた効果を有するが、空気中における摩擦係数は初期で0.40程度と大きく、直ぐに焼き付いてしまうという問題点がある。
【0009】
一方、特許文献9には炭素として6〜12重量%に相当する量のカーボンブラックを添加した焼結体が示されるが、該焼結体は、油槽中での摩擦係数には優れた効果を有するが、空気中における摩擦係数は大きく、直ぐに焼き付いてしまうという問題点がある。
即ち、上記に示す焼結体は水潤滑や油潤滑での摺動については良好であるが、空気中での摺動については焼き付きが生じ使用することができないという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、空気中でも良好な潤滑性を有し、かつ無加圧焼結で焼結できる炭化珪素/炭素複合材を提供するものである。
請求項2記載の発明は、空気中でも潤滑性に優れた摺動材料を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロックウエル硬さがAスケールで65〜85及びビッカース硬さが2000未満である炭化珪素/炭素複合材に関する。
また、本発明は、上記の炭化珪素/炭素複合材を用いた摺動材料に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ロックウエル硬さは、Aスケールで65〜85、好ましくは77〜83の範囲とされ、85を超えると空気中で十分な潤滑性を得ることが困難となり、65未満では摩耗が増加する。
一方、マイクロビッカース硬さは、2000未満、好ましくは1500未満とされ、2000以上の部分があると、異常摩耗し易いという欠点がある。
【0013】
ロックウエル硬さは、押し込み深さを自動的に計測して硬度を測定する方式のため、多孔質な材料や不均質な材料でも平均的な値が個人差なく測定できる。
また、セラミックスでよく用いられるマイクロビッカース硬度計によるビッカース硬さはダイヤモンド圧子の圧痕を顕微鏡で目視で測定するため、多孔質な材料や不均質な材料の微小部分の硬さを測定することができる。
【0014】
ビッカース硬さはSiC部分が見えれば測定可能であるが、SiC部分が不明瞭な場合は硬さを明確に測定することができない。このような場合、本発明においては、ビッカース硬さは2000未満とした。
なお、本発明において、ロックウエル硬さは、JIS Z 2245及びビッカース硬さは、JIS R 1610に準じて測定した。
【0015】
炭化珪素/炭素複合材を得るのに用いられる炭素は、カーボンブラック、黒鉛等が好ましいものとして挙げられ、これらは粉状のものが最適である。有機化合物からの炭素を主とする場合は、焼結前に仮焼が必要であり、また仮焼物の粉砕も必要となり、特に仮焼物をよく粉砕しなければ焼結し難いという傾向がある。
【0016】
上記の炭素の含有量は、全組成物中(炭化珪素/炭素複合材中)に9〜14重量%の範囲が好ましく、10〜13重量%の範囲がさらに好ましい。9重量%未満であると摩擦係数が高くなる傾向があり、14重量%を超えると摩耗が増加する傾向がある。
【0017】
本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、主成分としてSiC粉が用いられるが、該SiC粉としては、α型、β型のいずれでもよいが、価格が安く、また焼成時の結晶構造変化の少ないα型のSiC粉を用いることが好ましい。SiC粉の粒径は平均粒径が0.1μm以上が好ましく、0.3〜1.0μmの範囲がより好ましく、0.5〜0.8μmの範囲がさらに好ましい。
【0018】
また、本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、上記成分以外に、炭化珪素の焼結助剤として硼素化合物などを添加することができる。硼素化合物としては元素状硼素、炭化硼素、窒化硼素等種々のものが使用でき、この含有量は、硼素として0.1〜3重量%程度とすることが好ましい。
【0019】
本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、SiC粉、炭素粉、バインダ、焼結助剤等を均一に混合し、成形及び焼成することにより得られる。なお、焼成する際の条件として無加圧で焼成することが好ましいが、加圧下で焼成してもよく特に制限はない。焼成温度は、1900〜2300℃の範囲で焼成することが好ましく、2100〜2200℃の範囲で焼成することがさらに好ましい。
【0020】
得られる炭化珪素/炭素複合材には、気孔を埋めるために熱硬化性樹脂や金属を含浸しても差し支えないが、できれば含浸をせずに用いることが好ましい。
また、得られる炭化珪素/炭素複合材料は、空気中での摩擦係数は0.30以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。
炭化珪素/炭素複合材を用いた摺動材料としては、メカニカルシールや軸受又は電子部品の用途に用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜5、比較例1〜9
平均粒径が0.6μmのα型のSiC粉82.5〜92.5重量部に平均粒径が1.5μmのB4C粉0.5重量部、カーボンブラック0〜15重量部、人造黒鉛又は炭素0〜13重量部、バインダとして、炭素2重量部に相当する量のフェノール樹脂及びポリビニルアルコール水溶液を固形分で1重量部及び純水120重量部を樹脂製ボールミルで混合後、スプレードライヤーで造粒し、成形粉を得た。
【0022】
比較例10
平均粒径が0.6μmのα型のSiC粉89重量部と炭素15重量部に相当するフェノール樹脂を溶剤と共に混合し、1000℃で仮焼した。この仮焼物を60メッシュ以下に粉砕し、さらにフェノール樹脂を固形分で4重量部、ポリビニルアルコール水溶液を固形分で1重量部を添加し、樹脂製ボールミルで混合後、スプレードライヤーで造粒し、成形粉を得た。
【0023】
この後、上記で得た成形粉を金型内に充填し、98MPaの圧力を加えて外径が35mm及び厚さが6mmの円盤を成形した。次いで成形体をアルゴンガス雰囲気中で2150℃の温度で1時間保持して炭化珪素/炭素複合材を得た。得られた炭化珪素/炭素複合材の炭素の組成と焼結体のロックウエル硬さ(HRA)、ビッカース硬さ(HV)及び嵩密度を表1に示す。なお嵩密度は、次式から求めた。
【0024】
【数1】
【0025】
【表1】
【0026】
次に、自社製の炭化珪素(商標名:ヘキサロイSA)を外径が24.6mm、内径が15.5mm及び高さが3mmのリング状に加工し、1μmのダイヤモンドペーストで鏡面にラッピングして各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材の摺動試験の相手材とした。一方、各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材を上記と同様の条件でラッピングし、摺動試験片とした。
【0027】
各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材の円盤状の試験片を固定側とし、自社製のリング状の炭化珪素を相手材として、0.3MPaの圧力で加圧しながら2000min−1で摺動し、空気中で摩擦係数を測定した。その結果を表2に示す。なお、摩擦係数はリング状の炭化珪素にかかる摩擦力を荷重で割った値である。
【0028】
【表2】
【0029】
表2に示されるように、本発明になる実施例の摺動試験片は、摩擦係数が0.20以下と低く、摺動が安定しており、摺動面の状態も良好であることが明らかである。これに対し比較例1〜8の摺動試験片は、摩擦係数が高く、数分で焼き付いた為試験を停止した。また比較例9、10の摺動試験片は、摩擦係数が低く、摺動が安定しているが、相対密度が低すぎるため摩耗が認められた。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の炭化珪素/炭素複合材料は、空気中でも良好な潤滑性を有し、かつ無加圧焼結で焼結でき、乾式で用いる摺動材料に好適である。
請求項2記載の摺動材料は、空気中でも潤滑性に優れ、メカニカルシールや軸受に好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素/炭素複合材及びこれを用いた摺動材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素は極めて硬く、水潤滑で使用される場合や相手材が炭素の場合には良好な潤滑性を有し、耐摩耗性、耐薬品性に優れるため、メカニカルシールや軸受によく使用されている。しかし、空気中で炭化珪素同士で使用した場合には摩擦係数が大きく、簡単に焼き付いてしまう問題がある。
【0003】
従来から炭化珪素に炭素、BN等の固体潤滑剤を添加した材料が提案されている(特許文献1、2及び3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−223273号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平03−112866号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平10−139546号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【0005】
しかしながら、BNは高価であり、安価な摺動材料には適さないという問題点がある。
また、炭素との複合材料において、その添加物として(特許文献4及び5参照)に示されるような黒鉛、(特許文献6参照)に示されるようなコークス、(特許文献7参照)に示されるようなタールピッチ、(特許文献8及び9参照)に示されるようなカーボンブラックがある。
【0006】
【特許文献4】
特開昭60−141676号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平02−221352号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開平01−278475号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開昭60−200861号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献8】
特公昭61−043310号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開昭61−063569号公報(第1頁、特許請求の範囲)
【0007】
前記、特許文献4には黒鉛を1〜48重量%及び特許文献5には黒鉛を0.3〜15体積%添加した焼結体が示されるが、空気中の摩擦係数は大きく、簡単に焼き付いてしまう問題点がある。また特許文献6のコークス〜35〜45重量%、特許文献7のタールピッチからの炭素を4〜6重量%添加した焼結体も上記と同様の問題点がある。
【0008】
特許文献8にはα炭化珪素に対し1〜5体積%のカーボンブラックを添加した焼結体が示されるが、該焼結体は、水潤滑での摩擦特性には優れた効果を有するが、空気中における摩擦係数は初期で0.40程度と大きく、直ぐに焼き付いてしまうという問題点がある。
【0009】
一方、特許文献9には炭素として6〜12重量%に相当する量のカーボンブラックを添加した焼結体が示されるが、該焼結体は、油槽中での摩擦係数には優れた効果を有するが、空気中における摩擦係数は大きく、直ぐに焼き付いてしまうという問題点がある。
即ち、上記に示す焼結体は水潤滑や油潤滑での摺動については良好であるが、空気中での摺動については焼き付きが生じ使用することができないという問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、空気中でも良好な潤滑性を有し、かつ無加圧焼結で焼結できる炭化珪素/炭素複合材を提供するものである。
請求項2記載の発明は、空気中でも潤滑性に優れた摺動材料を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロックウエル硬さがAスケールで65〜85及びビッカース硬さが2000未満である炭化珪素/炭素複合材に関する。
また、本発明は、上記の炭化珪素/炭素複合材を用いた摺動材料に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ロックウエル硬さは、Aスケールで65〜85、好ましくは77〜83の範囲とされ、85を超えると空気中で十分な潤滑性を得ることが困難となり、65未満では摩耗が増加する。
一方、マイクロビッカース硬さは、2000未満、好ましくは1500未満とされ、2000以上の部分があると、異常摩耗し易いという欠点がある。
【0013】
ロックウエル硬さは、押し込み深さを自動的に計測して硬度を測定する方式のため、多孔質な材料や不均質な材料でも平均的な値が個人差なく測定できる。
また、セラミックスでよく用いられるマイクロビッカース硬度計によるビッカース硬さはダイヤモンド圧子の圧痕を顕微鏡で目視で測定するため、多孔質な材料や不均質な材料の微小部分の硬さを測定することができる。
【0014】
ビッカース硬さはSiC部分が見えれば測定可能であるが、SiC部分が不明瞭な場合は硬さを明確に測定することができない。このような場合、本発明においては、ビッカース硬さは2000未満とした。
なお、本発明において、ロックウエル硬さは、JIS Z 2245及びビッカース硬さは、JIS R 1610に準じて測定した。
【0015】
炭化珪素/炭素複合材を得るのに用いられる炭素は、カーボンブラック、黒鉛等が好ましいものとして挙げられ、これらは粉状のものが最適である。有機化合物からの炭素を主とする場合は、焼結前に仮焼が必要であり、また仮焼物の粉砕も必要となり、特に仮焼物をよく粉砕しなければ焼結し難いという傾向がある。
【0016】
上記の炭素の含有量は、全組成物中(炭化珪素/炭素複合材中)に9〜14重量%の範囲が好ましく、10〜13重量%の範囲がさらに好ましい。9重量%未満であると摩擦係数が高くなる傾向があり、14重量%を超えると摩耗が増加する傾向がある。
【0017】
本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、主成分としてSiC粉が用いられるが、該SiC粉としては、α型、β型のいずれでもよいが、価格が安く、また焼成時の結晶構造変化の少ないα型のSiC粉を用いることが好ましい。SiC粉の粒径は平均粒径が0.1μm以上が好ましく、0.3〜1.0μmの範囲がより好ましく、0.5〜0.8μmの範囲がさらに好ましい。
【0018】
また、本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、上記成分以外に、炭化珪素の焼結助剤として硼素化合物などを添加することができる。硼素化合物としては元素状硼素、炭化硼素、窒化硼素等種々のものが使用でき、この含有量は、硼素として0.1〜3重量%程度とすることが好ましい。
【0019】
本発明になる炭化珪素/炭素複合材は、SiC粉、炭素粉、バインダ、焼結助剤等を均一に混合し、成形及び焼成することにより得られる。なお、焼成する際の条件として無加圧で焼成することが好ましいが、加圧下で焼成してもよく特に制限はない。焼成温度は、1900〜2300℃の範囲で焼成することが好ましく、2100〜2200℃の範囲で焼成することがさらに好ましい。
【0020】
得られる炭化珪素/炭素複合材には、気孔を埋めるために熱硬化性樹脂や金属を含浸しても差し支えないが、できれば含浸をせずに用いることが好ましい。
また、得られる炭化珪素/炭素複合材料は、空気中での摩擦係数は0.30以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。
炭化珪素/炭素複合材を用いた摺動材料としては、メカニカルシールや軸受又は電子部品の用途に用いることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜5、比較例1〜9
平均粒径が0.6μmのα型のSiC粉82.5〜92.5重量部に平均粒径が1.5μmのB4C粉0.5重量部、カーボンブラック0〜15重量部、人造黒鉛又は炭素0〜13重量部、バインダとして、炭素2重量部に相当する量のフェノール樹脂及びポリビニルアルコール水溶液を固形分で1重量部及び純水120重量部を樹脂製ボールミルで混合後、スプレードライヤーで造粒し、成形粉を得た。
【0022】
比較例10
平均粒径が0.6μmのα型のSiC粉89重量部と炭素15重量部に相当するフェノール樹脂を溶剤と共に混合し、1000℃で仮焼した。この仮焼物を60メッシュ以下に粉砕し、さらにフェノール樹脂を固形分で4重量部、ポリビニルアルコール水溶液を固形分で1重量部を添加し、樹脂製ボールミルで混合後、スプレードライヤーで造粒し、成形粉を得た。
【0023】
この後、上記で得た成形粉を金型内に充填し、98MPaの圧力を加えて外径が35mm及び厚さが6mmの円盤を成形した。次いで成形体をアルゴンガス雰囲気中で2150℃の温度で1時間保持して炭化珪素/炭素複合材を得た。得られた炭化珪素/炭素複合材の炭素の組成と焼結体のロックウエル硬さ(HRA)、ビッカース硬さ(HV)及び嵩密度を表1に示す。なお嵩密度は、次式から求めた。
【0024】
【数1】
【0025】
【表1】
【0026】
次に、自社製の炭化珪素(商標名:ヘキサロイSA)を外径が24.6mm、内径が15.5mm及び高さが3mmのリング状に加工し、1μmのダイヤモンドペーストで鏡面にラッピングして各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材の摺動試験の相手材とした。一方、各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材を上記と同様の条件でラッピングし、摺動試験片とした。
【0027】
各実施例及び各比較例で得られた炭化珪素/炭素複合材の円盤状の試験片を固定側とし、自社製のリング状の炭化珪素を相手材として、0.3MPaの圧力で加圧しながら2000min−1で摺動し、空気中で摩擦係数を測定した。その結果を表2に示す。なお、摩擦係数はリング状の炭化珪素にかかる摩擦力を荷重で割った値である。
【0028】
【表2】
【0029】
表2に示されるように、本発明になる実施例の摺動試験片は、摩擦係数が0.20以下と低く、摺動が安定しており、摺動面の状態も良好であることが明らかである。これに対し比較例1〜8の摺動試験片は、摩擦係数が高く、数分で焼き付いた為試験を停止した。また比較例9、10の摺動試験片は、摩擦係数が低く、摺動が安定しているが、相対密度が低すぎるため摩耗が認められた。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の炭化珪素/炭素複合材料は、空気中でも良好な潤滑性を有し、かつ無加圧焼結で焼結でき、乾式で用いる摺動材料に好適である。
請求項2記載の摺動材料は、空気中でも潤滑性に優れ、メカニカルシールや軸受に好適である。
Claims (2)
- ロックウエル硬さがAスケールで65〜85及びビッカース硬さが2000未満である炭化珪素/炭素複合材。
- 請求項1記載の炭化珪素/炭素複合材を用いた摺動材料。
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