JP2004160465A - 鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋳型1とこの鋳型底面9に密着した冷却板4とで構成された一体型鋳型14であって、前記冷却板4の鋳型底面9に対する密着面は鋳型底面と完全に接触する鋳肌面であり、冷却板材料の溶湯を鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込むことにより製造する。
【選択図】 図5
【解決手段】鋳型1とこの鋳型底面9に密着した冷却板4とで構成された一体型鋳型14であって、前記冷却板4の鋳型底面9に対する密着面は鋳型底面と完全に接触する鋳肌面であり、冷却板材料の溶湯を鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込むことにより製造する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型およびその製造方法に関するものであり、この一体型鋳型は、特に一方向凝固組織を有する鋳造体などを効率よく製造する際に使用するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一方向凝固により鋳造体を得る方法として、ブリッジマン法が知られている。この方法は、金属溶湯を充填した鋳型を高温の加熱炉内から引き出すことにより鋳型内に充填された金属溶湯を鋳型底部から徐々に冷却しながら最終的に鋳型上部まで冷却する方法である。
しかし、このブリッジマン法は金属溶湯を充填した重い鋳型を加熱炉内から徐々に引き下げるために、大型の油圧装置を必要とし、装置も大型化してコストがかかる。
そのために、近年、金属溶湯を充填した鋳型を加熱炉内に設置し、加熱炉の胴部内部に設置されたヒータを電気的に制御することにより鋳型底部から上部に向かって高温となるように温度勾配を形成し、それによって鋳型に注入された溶湯を鋳型の底部から凝固させ、最終的に溶湯の最上部を凝固させることにより一方向凝固組織を形成する方法が提案されている。
【0003】
この新しく提案された方法で一方向凝固組織を有する鋳造体を製造するための具体的な装置が図8の断面説明図に示されている。この装置は、鋳型1の底部から上部に向かって高温となるように温度勾配を形成することができるヒータ3が加熱炉2の胴部内部に設けられており、そのヒータ3は図8に示されるように例えば加熱体A〜Cで構成されている。そして一方向凝固組織を有する鋳造体5を製造するには加熱体Aを最も高温になるように制御し、加熱体Cが最も低温になるように制御し、加熱体A〜Cの温度をそれぞれTA、TB、TCとすると、加熱体に対する通電量を段階的または連続的に減少させることにより加熱体の温度を段階的または連続的に下げてTA>TB>TCとなるように制御し、それによって鋳型底面から上に向かって高温となるように温度勾配が付けられるように制御する。また加熱体A〜Cの温度:TA、TB、TCをそれぞれ均一とし、加熱体A〜Cの電源をC、B、Aの順に切ることにより温度勾配を形成しても良い。
このように加熱炉2のヒータ3の加熱体A〜Cに温度勾配が付くように供給電力を制御し、このように加熱された鋳型1に溶湯を注入すると、鋳型1に注入された溶湯は鋳型1の下端から上端に向かって凝固し、それによって一方向凝固組織を有する鋳造体5が得られる。この発明の方法によると、従来のブリッジマン法のように、鋳型を加熱炉から抜き出す操作を行なう必要はなく、したがって溶湯に振動を与えることがなく、また鋳込んだままの状態で良好な一方向凝固組織を得ることができる(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−347356号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、これら一方向凝固方法は特に高純度銅ターゲットを製造するための純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造するために適用されるようになってきた。この高純度銅ターゲットはコスト低下のために一層直径の大きな高純度銅ターゲットが求められており、したがって、一層直径の大きな高純度銅ターゲットを作るために一方向凝固組織を有する直径のより大きな大型の高純度銅鋳造体の製造が求められている。
しかし、この方法によると、鋳型に充填された溶湯は、まず、冷却板により冷却されることになるが、一般に、鋳型の底面は平滑でなく、鋳型を冷却板の上に載置しても鋳型と冷却板の間に隙間が発生することは避けられず、接触が不十分であると冷却板による冷却が鋳型の底面に十分に伝達されないことがあり、冷却が不十分であると、一方向凝固結晶粒の核となる微細結晶粒の発生が遅れたり、または一方向凝固に必要な温度勾配が得られないために粗大な等軸晶や凝固欠陥が発生するなどして品質の悪い一方向凝固組織が形成されるという課題があった。冷却板による鋳型内溶湯の冷却効率を高めるために、冷却板を鋳型の内面に来るように設置し、溶湯を鋳型に鋳込んだ時に溶湯が冷却板に直接接するように鋳造し、溶湯の冷却が直接冷却板により成されて冷却効率を向上させる方法も知られているが、この方法によると、溶湯が冷却板に直接接するために溶湯が汚染されやすく、純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造するには適当でない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、鋳型と冷却板の接触性を改善して熱伝達効率を改善し、冷却板による鋳型内溶湯の冷却を効率良く行なうことにより大型でかつ一方向凝固組織を有する純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造べく研究を行なった。その結果、
(イ)銅または銅合金の溶湯をカーボン製鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込むことにより作製した銅または銅合金製冷却板は、鋳型底面に対する冷却板の密着面が鋳肌面であるために鋳型底面と完全に接触しており、そのために冷却板による鋳型底面の冷却を効率よく行うことができる、
(ロ)カーボン製鋳型と銅または銅合金製冷却板とは非金属と金属で全く反応しないものであって、しかも濡れ性が悪いところから、完全に接触しても密着強度は依然として低いが、鋳型の鋳型底面に溝もしくは穴または突起を設けると、鋳型の鋳型底面に対する冷却板の密着強度が一層向上する、などの知見を得たのである。
【0007】
この発明は、かかる知見に基づいて成されたものであって、
(1)鋳型とこの鋳型底面に密着した冷却板とで構成された一体型鋳型であって、前記冷却板の鋳型底面に対する密着面は鋳型底面と完全に接触する鋳肌面である鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(2)前記鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されている(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(3)前記鋳型底面には、突起が形成されている(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(4)前記鋳型は、カーボン製鋳型である(1)、(2)または(3)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(5)前記鋳造体冷却板は、銅または銅合金製冷却板である(1)、(2)または(3)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(6)冷却板材料の溶湯を鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込む(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型の製造方法、
(7)前記鋳型の鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されている(6)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(8)前記鋳型の鋳型底面には、突起が形成されている(6)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(9)前記鋳型は、カーボン製鋳型である(6)、(7)または(8)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(10)前記冷却材料の溶湯は、銅または銅合金溶湯である(6)、(7)または(8)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、に特徴を有するものである。
【0008】
この発明の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型およびその製造方法について、図面に基づいて一層具体的に説明する。
図1の断面図に示されるように、カーボン製鋳型1を用意し、このカーボン製鋳型1を台7の上に被せるようにして置き、さらに前記カーボン製鋳型1の周囲を囲む枠型8をカーボン製鋳型1の底面9から突出するように嵌め込んで空間11を形成し、カーボン製鋳型1の底面9と枠型8とで形成された空間11に、図2の断面図に示されるように、中子10を設置し、この中子10を設置した空間11に図3の断面図に示されるように銅または銅合金溶湯12を鋳込む。
【0009】
鋳込まれた銅または銅合金溶湯の凝固が完了する前に、図4の断面図に示されるように、鋳込まれた銅または銅合金溶湯12の上に保温鋳型13を落とし込み、それにより引け巣の発生を防止することが一層好ましい。図4に示される状態で放冷することにより銅または銅合金溶湯12の凝固を完了させ、銅または銅合金溶湯12の凝固が完了したのち枠型8を取り外し、さらに中子10を除去すると、図5の断面図に示されるような銅または銅合金からなる冷却板4がカーボン製鋳型1の底面9に密着したこの発明の一体型鋳型14が得られる。
このようにして得られた一体型鋳型14における銅または銅合金製冷却板4は、カーボン製鋳型1の底面9に銅または銅合金溶湯を直接接するように鋳込んで製造するために、銅または銅合金製冷却板4のカーボン製鋳型1の鋳型底面9に対する密着面は鋳型底面9に対して完全に接触している鋳肌面を有している。一体型鋳型14を構成する銅または銅合金製冷却板4は、カーボン製鋳型1の鋳型底面9に完全に接触する鋳肌を有するために、カーボン製鋳型1を冷却板4によって冷却させる際の冷却効率は、従来の冷却板の上にカーボン製鋳型を載置する方法よりも格段に向上する。
カーボン製鋳型1と銅または銅合金製冷却板4とは非金属と金属で全く反応しないものであって、しかも濡れ性が悪いところから、完全に密着性しても密着強度は依然として低い。そのために、カーボン製鋳型1の鋳型底面9に、図6に示されるように、溝または穴15を設けてもよく、または図7に示されるように、突起16を設けるとよい。この溝もしくは穴15、または突起16を設けると、カーボン製鋳型1の鋳型底面に対する冷却板4の密着強度は一層向上する。
なお、鋳型底面に空洞を有する冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法について説明したが、この発明の一体型鋳型の底面に密着している冷却板は、空洞のない冷却板であっても良く、さらにこの空洞のない冷却板に溶接などにより空洞を有する冷却板を形成しても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施例1
外径:200mm、内径:180mm、高さ:500mmの寸法を有する黒鉛製鋳型を用意し、この黒鉛製鋳型の底面に図1〜4に示した方法で純銅製冷却板を密着させた一体型鋳型を作製し、冷却板の空洞に冷却水を流すことにより黒鉛製鋳型の底面を冷却した。
一方、温度:1200℃、純度:99.9999%を有する高純度銅溶湯を用意し、この高純度銅溶湯を前記一体型鋳型の黒鉛製鋳型に厚さ:300mmになるまで注入し、完全に凝固するまでの凝固時間を測定した結果、凝固時間は950秒であり、冷却板から黒鉛製鋳型への熱伝達率は0.15cal/℃・sec・cm2であった。
【0011】
従来例1
比較のために、実施例1で用意した黒鉛鋳型を用意し、さらに図8に示される通常の純銅製冷却板を別々に用意し、この黒鉛鋳型を純銅製冷却板の上に置き、実施例1で用意した高純度銅溶湯を黒鉛製鋳型に厚さ:300mmになるまで注入し、完全に凝固するまでの凝固時間を測定した結果、凝固時間は1600秒であり、冷却板から黒鉛製鋳型への熱伝達率は0.01cal/℃・sec・cm2であった。
【0012】
【発明の効果】
この発明の一体型鋳型を使用すると、冷却板から鋳型への熱伝達効率が格段に向上し、全体に均一な一方向凝固組織を有する鋳造体を一層簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図2】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図3】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図4】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図5】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図6】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図7】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図8】従来の一方向凝固組織を有する鋳造体の製造装置を示す断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 加熱炉
3 ヒータ
4 冷却板
5 鋳造体
6 空洞
7 台
8 型枠
9 底面
10 中子
11 空間
12 溶湯
13 保温鋳型
14 一体型鋳型
15 溝または穴
16 突起
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型およびその製造方法に関するものであり、この一体型鋳型は、特に一方向凝固組織を有する鋳造体などを効率よく製造する際に使用するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一方向凝固により鋳造体を得る方法として、ブリッジマン法が知られている。この方法は、金属溶湯を充填した鋳型を高温の加熱炉内から引き出すことにより鋳型内に充填された金属溶湯を鋳型底部から徐々に冷却しながら最終的に鋳型上部まで冷却する方法である。
しかし、このブリッジマン法は金属溶湯を充填した重い鋳型を加熱炉内から徐々に引き下げるために、大型の油圧装置を必要とし、装置も大型化してコストがかかる。
そのために、近年、金属溶湯を充填した鋳型を加熱炉内に設置し、加熱炉の胴部内部に設置されたヒータを電気的に制御することにより鋳型底部から上部に向かって高温となるように温度勾配を形成し、それによって鋳型に注入された溶湯を鋳型の底部から凝固させ、最終的に溶湯の最上部を凝固させることにより一方向凝固組織を形成する方法が提案されている。
【0003】
この新しく提案された方法で一方向凝固組織を有する鋳造体を製造するための具体的な装置が図8の断面説明図に示されている。この装置は、鋳型1の底部から上部に向かって高温となるように温度勾配を形成することができるヒータ3が加熱炉2の胴部内部に設けられており、そのヒータ3は図8に示されるように例えば加熱体A〜Cで構成されている。そして一方向凝固組織を有する鋳造体5を製造するには加熱体Aを最も高温になるように制御し、加熱体Cが最も低温になるように制御し、加熱体A〜Cの温度をそれぞれTA、TB、TCとすると、加熱体に対する通電量を段階的または連続的に減少させることにより加熱体の温度を段階的または連続的に下げてTA>TB>TCとなるように制御し、それによって鋳型底面から上に向かって高温となるように温度勾配が付けられるように制御する。また加熱体A〜Cの温度:TA、TB、TCをそれぞれ均一とし、加熱体A〜Cの電源をC、B、Aの順に切ることにより温度勾配を形成しても良い。
このように加熱炉2のヒータ3の加熱体A〜Cに温度勾配が付くように供給電力を制御し、このように加熱された鋳型1に溶湯を注入すると、鋳型1に注入された溶湯は鋳型1の下端から上端に向かって凝固し、それによって一方向凝固組織を有する鋳造体5が得られる。この発明の方法によると、従来のブリッジマン法のように、鋳型を加熱炉から抜き出す操作を行なう必要はなく、したがって溶湯に振動を与えることがなく、また鋳込んだままの状態で良好な一方向凝固組織を得ることができる(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−347356号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、これら一方向凝固方法は特に高純度銅ターゲットを製造するための純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造するために適用されるようになってきた。この高純度銅ターゲットはコスト低下のために一層直径の大きな高純度銅ターゲットが求められており、したがって、一層直径の大きな高純度銅ターゲットを作るために一方向凝固組織を有する直径のより大きな大型の高純度銅鋳造体の製造が求められている。
しかし、この方法によると、鋳型に充填された溶湯は、まず、冷却板により冷却されることになるが、一般に、鋳型の底面は平滑でなく、鋳型を冷却板の上に載置しても鋳型と冷却板の間に隙間が発生することは避けられず、接触が不十分であると冷却板による冷却が鋳型の底面に十分に伝達されないことがあり、冷却が不十分であると、一方向凝固結晶粒の核となる微細結晶粒の発生が遅れたり、または一方向凝固に必要な温度勾配が得られないために粗大な等軸晶や凝固欠陥が発生するなどして品質の悪い一方向凝固組織が形成されるという課題があった。冷却板による鋳型内溶湯の冷却効率を高めるために、冷却板を鋳型の内面に来るように設置し、溶湯を鋳型に鋳込んだ時に溶湯が冷却板に直接接するように鋳造し、溶湯の冷却が直接冷却板により成されて冷却効率を向上させる方法も知られているが、この方法によると、溶湯が冷却板に直接接するために溶湯が汚染されやすく、純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造するには適当でない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、鋳型と冷却板の接触性を改善して熱伝達効率を改善し、冷却板による鋳型内溶湯の冷却を効率良く行なうことにより大型でかつ一方向凝固組織を有する純度:99.9999重量%以上の高純度銅鋳造体を製造べく研究を行なった。その結果、
(イ)銅または銅合金の溶湯をカーボン製鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込むことにより作製した銅または銅合金製冷却板は、鋳型底面に対する冷却板の密着面が鋳肌面であるために鋳型底面と完全に接触しており、そのために冷却板による鋳型底面の冷却を効率よく行うことができる、
(ロ)カーボン製鋳型と銅または銅合金製冷却板とは非金属と金属で全く反応しないものであって、しかも濡れ性が悪いところから、完全に接触しても密着強度は依然として低いが、鋳型の鋳型底面に溝もしくは穴または突起を設けると、鋳型の鋳型底面に対する冷却板の密着強度が一層向上する、などの知見を得たのである。
【0007】
この発明は、かかる知見に基づいて成されたものであって、
(1)鋳型とこの鋳型底面に密着した冷却板とで構成された一体型鋳型であって、前記冷却板の鋳型底面に対する密着面は鋳型底面と完全に接触する鋳肌面である鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(2)前記鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されている(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(3)前記鋳型底面には、突起が形成されている(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(4)前記鋳型は、カーボン製鋳型である(1)、(2)または(3)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(5)前記鋳造体冷却板は、銅または銅合金製冷却板である(1)、(2)または(3)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型、
(6)冷却板材料の溶湯を鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込む(1)記載の鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型の製造方法、
(7)前記鋳型の鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されている(6)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(8)前記鋳型の鋳型底面には、突起が形成されている(6)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(9)前記鋳型は、カーボン製鋳型である(6)、(7)または(8)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、
(10)前記冷却材料の溶湯は、銅または銅合金溶湯である(6)、(7)または(8)記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法、に特徴を有するものである。
【0008】
この発明の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型およびその製造方法について、図面に基づいて一層具体的に説明する。
図1の断面図に示されるように、カーボン製鋳型1を用意し、このカーボン製鋳型1を台7の上に被せるようにして置き、さらに前記カーボン製鋳型1の周囲を囲む枠型8をカーボン製鋳型1の底面9から突出するように嵌め込んで空間11を形成し、カーボン製鋳型1の底面9と枠型8とで形成された空間11に、図2の断面図に示されるように、中子10を設置し、この中子10を設置した空間11に図3の断面図に示されるように銅または銅合金溶湯12を鋳込む。
【0009】
鋳込まれた銅または銅合金溶湯の凝固が完了する前に、図4の断面図に示されるように、鋳込まれた銅または銅合金溶湯12の上に保温鋳型13を落とし込み、それにより引け巣の発生を防止することが一層好ましい。図4に示される状態で放冷することにより銅または銅合金溶湯12の凝固を完了させ、銅または銅合金溶湯12の凝固が完了したのち枠型8を取り外し、さらに中子10を除去すると、図5の断面図に示されるような銅または銅合金からなる冷却板4がカーボン製鋳型1の底面9に密着したこの発明の一体型鋳型14が得られる。
このようにして得られた一体型鋳型14における銅または銅合金製冷却板4は、カーボン製鋳型1の底面9に銅または銅合金溶湯を直接接するように鋳込んで製造するために、銅または銅合金製冷却板4のカーボン製鋳型1の鋳型底面9に対する密着面は鋳型底面9に対して完全に接触している鋳肌面を有している。一体型鋳型14を構成する銅または銅合金製冷却板4は、カーボン製鋳型1の鋳型底面9に完全に接触する鋳肌を有するために、カーボン製鋳型1を冷却板4によって冷却させる際の冷却効率は、従来の冷却板の上にカーボン製鋳型を載置する方法よりも格段に向上する。
カーボン製鋳型1と銅または銅合金製冷却板4とは非金属と金属で全く反応しないものであって、しかも濡れ性が悪いところから、完全に密着性しても密着強度は依然として低い。そのために、カーボン製鋳型1の鋳型底面9に、図6に示されるように、溝または穴15を設けてもよく、または図7に示されるように、突起16を設けるとよい。この溝もしくは穴15、または突起16を設けると、カーボン製鋳型1の鋳型底面に対する冷却板4の密着強度は一層向上する。
なお、鋳型底面に空洞を有する冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法について説明したが、この発明の一体型鋳型の底面に密着している冷却板は、空洞のない冷却板であっても良く、さらにこの空洞のない冷却板に溶接などにより空洞を有する冷却板を形成しても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施例1
外径:200mm、内径:180mm、高さ:500mmの寸法を有する黒鉛製鋳型を用意し、この黒鉛製鋳型の底面に図1〜4に示した方法で純銅製冷却板を密着させた一体型鋳型を作製し、冷却板の空洞に冷却水を流すことにより黒鉛製鋳型の底面を冷却した。
一方、温度:1200℃、純度:99.9999%を有する高純度銅溶湯を用意し、この高純度銅溶湯を前記一体型鋳型の黒鉛製鋳型に厚さ:300mmになるまで注入し、完全に凝固するまでの凝固時間を測定した結果、凝固時間は950秒であり、冷却板から黒鉛製鋳型への熱伝達率は0.15cal/℃・sec・cm2であった。
【0011】
従来例1
比較のために、実施例1で用意した黒鉛鋳型を用意し、さらに図8に示される通常の純銅製冷却板を別々に用意し、この黒鉛鋳型を純銅製冷却板の上に置き、実施例1で用意した高純度銅溶湯を黒鉛製鋳型に厚さ:300mmになるまで注入し、完全に凝固するまでの凝固時間を測定した結果、凝固時間は1600秒であり、冷却板から黒鉛製鋳型への熱伝達率は0.01cal/℃・sec・cm2であった。
【0012】
【発明の効果】
この発明の一体型鋳型を使用すると、冷却板から鋳型への熱伝達効率が格段に向上し、全体に均一な一方向凝固組織を有する鋳造体を一層簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図2】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図3】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図4】この発明の一体型鋳型の製造方法を説明するための断面概略説明図である。
【図5】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図6】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図7】この発明の一体型鋳型の断面概略説明図である。
【図8】従来の一方向凝固組織を有する鋳造体の製造装置を示す断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 加熱炉
3 ヒータ
4 冷却板
5 鋳造体
6 空洞
7 台
8 型枠
9 底面
10 中子
11 空間
12 溶湯
13 保温鋳型
14 一体型鋳型
15 溝または穴
16 突起
Claims (10)
- 鋳型とこの鋳型底面に密着した冷却板とで構成された一体型鋳型であって、前記冷却板の鋳型底面に対する密着面は鋳型底面と完全に接触する鋳肌面であることを特徴とする鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型。
- 前記鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されていることを特徴とする請求項1記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型。
- 前記鋳型底面には、突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型。
- 前記鋳型は、カーボン製鋳型であることを特徴とする請求項1、2または3記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型。
- 前記冷却板は、銅または銅合金製冷却板であることを特徴とする請求項1、2または3記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型。
- 冷却板材料の溶湯を鋳型の鋳型底面に直接接するように鋳込むことを特徴とする請求項1記載の鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型の製造方法。
- 前記鋳型の鋳型底面には、溝および穴の内の少なくともいずれか一方が形成されていることを特徴とする請求項6記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法。
- 前記鋳型の鋳型底面には、突起が形成されていることを特徴とする請求項6記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法。
- 前記鋳型は、カーボン製鋳型であることを特徴とする請求項6、7または8記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法。
- 前記冷却板材料の溶湯は、銅または銅合金溶湯であることを特徴とする請求項6、7または8記載の鋳型底面に冷却板が密着している一体型鋳型の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002326578A JP2004160465A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型およびその製造方法 |
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JP2002326578A JP2004160465A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 鋳型底面に冷却板が密着した一体型鋳型およびその製造方法 |
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JP (1) | JP2004160465A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103978169A (zh) * | 2014-05-19 | 2014-08-13 | 辽宁科技大学 | 一种带有铜冷却壁的铸铁模 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326578A patent/JP2004160465A/ja active Pending
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CN103978169A (zh) * | 2014-05-19 | 2014-08-13 | 辽宁科技大学 | 一种带有铜冷却壁的铸铁模 |
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