JP2004160181A - 制限装置を伴う滅菌装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一定の化学的な蒸気滅菌処理が一定の気化装置と滅菌チャンバーとの間における一定の拡散通路の温度を調整して蒸気の少なくとも一部分を液化し、さらに、その後に、これを再気化することにより改善されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
本発明は各種物品の滅菌方法に関連しており、特に、一定の滅菌チャンバーを排気して一定の液体の化学的な滅菌剤溶液を気化する工程を含む各種物品の滅菌方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素、過酢酸およびグルタルアルデヒド等のような一定の気化した化学滅菌剤により各種物品を滅菌することが知られている。本明細書に参考文献として含まれるウー(Wu)他の特許文献1は一定の真空チャンバー、過酸化水素蒸気の供給源および一定のプラズマを生じるためのRFエネルギーの供給源を備えている一定の過酸化水素/ガス・プラズマ滅菌システムを記載している。商品名をSTERRAD(登録商標)として販売されているこのようなシステムはカリホルニア州、アービンのエシコン社(Ethicon, Inc.)におけるアドバンスド・ステリライゼーション・プロダクツ事業部(Advanced Sterilization Products division)から入手可能である。
【0003】
ヤコブズ他の特許文献2は、溶液が気化する温度および圧力を調整することにより、その過酸化水素の溶液等のような溶液における一定の滅菌剤成分よりも水が一定の比較的に高い蒸気圧を有する場合に、この水はその溶液から選択的に吸引により除去されて、その溶液中の滅菌剤の濃度を高めることができる。この過程において上記の水がそのシステムから排出されると、比較的に高い濃度の滅菌剤がそのシステムに残る。このような滅菌する各種の物品に気相の滅菌剤が接触する段階における比較的に高い濃度の滅菌剤はその滅菌処理における効率を高める。
【特許文献1】
米国特許第6,365,102号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,325,972号明細書
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は改善された各種物品の滅菌方法を提供することであり、特に、一定の滅菌チャンバーを排気して一定の液体の化学的な滅菌剤溶液を気化する工程を含む改善された各種物品の滅菌方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による滅菌システムは一定の滅菌チャンバー、当該チャンバーに接続している一定の気化装置、および当該チャンバーに接続している一定の真空ポンプを備えている。さらに、一定の弁、および一定のオリフィスが貫通しているオリフィス・プレートが上記ポンプと上記チャンバーとの間に配置されている。このオリフィスは一定の液体の滅菌剤溶液の気化中に上記チャンバーの低速で制御されたポンプによる排気を可能にして、その溶液中の一定の水の部分を選択的に排出可能にすることにより、この滅菌剤溶液の濃度を高める。
【0006】
好ましくは、上記のオリフィス・プレートおよび弁は互いに並列に配置されている。さらに、第2の弁を上記オリフィス・プレートと直列に備えることができ、好ましくは、この第2の弁と上記の弁は共に良好な遮断性能を有している。あるいは、上記のオリフィス・プレートおよび弁は直列に配置することも可能である。
【0007】
好ましくは、上記弁は一定の絞り弁である。さらに、この弁が良好な絞り性能および遮断性能の両方を有していれば有利である。
【0008】
本発明の一例の態様において、上記弁は一定の弁座を有する弁体、および当該弁座に近づいて弁を閉じて、当該弁座から離れて弁を開口するように移動することに適合している一定の弁部材を有している。この弁部材はそれ自体で上記オリフィス・プレートを形成していて、これを貫通している上記オリフィスを有している。
【0009】
本発明による一定の物品に濃縮された過酸化水素蒸気を供給する方法は、上記物品を一定の内部雰囲気を収容している一定のチャンバーの中に入れる工程、過酸化水素および水を含む一定の溶液を上記チャンバーに対して流体を介して連絡している状態に配置する工程を含み、この溶液は水に対する過酸化水素の一定の比率を有しており、さらに、上記方法は、上記チャンバーをその内部において比較的に低い圧力まで排気する工程、上記溶液を上記内部雰囲気の中に気化して水蒸気および過酸化水素の蒸気を形成する工程、上記チャンバーの排気速度を制御して当該チャンバーから水蒸気を選択的に排出することにより当該チャンバーの中の水に対する過酸化水素の比率を高める工程を含み、この場合に、上記排気速度は一定のオリフィス・プレート内の一定のオリフィスの中を通して上記チャンバーを排気することにより制御されており、さらに、上記方法は、上記物品を上記過酸化水素の蒸気に接触させる工程を含む。
【0010】
好ましくは、上記排気工程の初期的な部分において、その排気されるチャンバーの雰囲気は上記オリフィスを迂回することができ、水蒸気がチャンバーから選択的に排出される、上記排気工程の後続の部分において、そのチャンバーから排気される雰囲気は上記オリフィスを迂回することができない。
【0011】
好ましくは、上記チャンバーの排気速度を制御する工程は上記溶液を当該溶液中の水の蒸気圧よりも低く当該溶液中の過酸化水素の蒸気圧よりも高い一定の圧力に維持する。効率的な気化処理のために、上記チャンバーの排気速度を制御する工程は上記溶液を当該溶液の蒸気圧よりも低い一定の圧力に維持する。
【0012】
上記方法はさらに一定の気化装置の温度を調整して上記気化処理の速度を制御するための処理を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明によれば、改善された各種物品の滅菌方法が提供でき、特に、一定の滅菌チャンバーを排気して一定の液体の化学的な滅菌剤溶液を気化する工程を含む改善された各種物品の滅菌方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は一定の滅菌チャンバー12、気化装置14、および真空ポンプ16を備えている一定の滅菌システム10をブロック図の形態で示している。上記真空ポンプは、好ましくは0.5トール(0.67×102 パスカル)程度の低さに上記チャンバーの真空度を下げることができる。この真空ポンプ16とチャンバー12との間において、好ましくは、絞り弁18および随意的に一定のオリフィス・プレート20が配置されている。この絞り弁18は好ましくは良好な遮断性能も有している。好ましくは、一定の圧力ゲージ22が上記絞り弁18の近くに配置されていて、上記チャンバー12内の真空度を示す。また、一定のHEPA抗菌フィルターを採用している通気弁23が清浄な無菌状態の空気を上記チャンバー12内に入れることを可能にしている。上記気化装置14は一定の細長い拡散通路24を介してチャンバー12に接続している。さらに、図2において、この拡散通路24は当該拡散通路24に沿う温度を調整するための温度調整要素26を含む。
【0015】
過酸化水素溶液等の一定の液体滅菌剤に適している気化装置が当業界において知られている。共に本明細書に参考文献として含まれている、コーラー(Kohler)他の米国特許第6,106,772号および2000年12月10日に出願されているニューエン(Nguyen)他の米国特許出願第09/728,973号は本特許出願において適している各種の気化装置を開示している。この内の最も単純な気化装置は一定の小形チャンバーを備えており、このチャンバーの中に液体の過酸化水素溶液が注入される。このチャンバー内の真空度により生じる上記気化装置内の低い圧力により、その過酸化水素溶液が気化する。
【0016】
好ましくは、上記の気化装置14自体が加熱要素28を含んでおり、この加熱要素28が当該気化装置内の温度を調整してその気化処理を最適化する。好ましくは、上記気化装置14が上記拡散通路24に接続している場合に、一定の形態の断熱要素30がその境界面に備えられていて、気化装置14の高い温度が拡散通路24内の温度に対して過度に影響しないようになっている。これらの気化装置14および拡散通路24は好ましくはアルミニウムにより形成されており、断熱要素30はこれら2個の部品を一体に接続する一定の塩化ポリビニル(PVC)接合部の形態を採ることができる。
【0017】
さらに、一定のヒーター32が、好ましくは上記チャンバー12の内側において液化された過酸化水素を再気化するために当該チャンバー12の下方部分の近くにおいて、このチャンバー12の内側に備えられていることが好ましい。
【0018】
上記チャンバー12は好ましくは一定のプラズマをその内部に形成するために一定の機構(図示せず)を有している。この機構はヤコブズ(Jacobs)他の米国特許第4,643,867号または公開されている米国特許出願書類第20020068012号におけるプラット,ジュニア(Platt, Jr.)他により記載されているような高周波または低周波のエネルギーの一定の供給源を含んでおり、これら2件の文献は共に本明細書に参考文献として含まれる。
【0019】
本発明は過酸化水素の一部を上記気化装置14内の溶液から気化して上記拡散通路24の上に液化することを可能にすることによりその有益的な効果を達成している。この過酸化水素溶液の大部分が気化した後に、上記温度調整要素26が上記拡散通路の温度を上げて上記の液化した過酸化水素を再気化することを可能にする。この場合に、水が過酸化水素よりも高い蒸気圧を有しているので、その蒸気内の過酸化水素は水よりも容易に液化する。これにより、上記拡散通路内において液化する物質はその気化装置14の中における開始時の過酸化水素溶液の濃度よりも高い一定濃度の過酸化水素を含むことになる。
【0020】
単純な形態の上記温度調整要素26は電気抵抗ヒーターのみを含むことができる。このような場合に、上記拡散通路24の低い周囲温度により過酸化水素をその上部において液化するための低い温度が供給され、上記制御要素26がその後にこの拡散通路24を加熱してこの段階において高度に濃縮されている過酸化水素を拡散通路24から再気化する。過酸化水素の蒸気圧が温度の低下と共に降下するので、拡散通路24内の初期の温度を比較的に低くすることにより、当該拡散通路内における過酸化水素の液化を後続的に妨げることなくそのチャンバー24内の圧力を比較的に低くすることが可能になる。さらに、このように比較的に低いチャンバーの圧力はシステム効率を高めるので、上記温度調整要素26はさらに上記拡散通路の温度を周囲よりも下げるための一定の冷却要素を備えることができる。適当な冷却要素は熱電式の各種冷却装置または一定の典型的な機械的冷却システムを含む。このような場合に、上記拡散通路24が、好ましくは約10℃に、先ず冷却された後に、気化の開始またはその完了後においてある程度の時間が経過してから、その拡散通路24が、好ましくは50℃乃至110℃に加熱される。
【0021】
図2におけるように垂直方向に配向されている場合に、上記拡散通路24は気化している滅菌剤を各温度調整要素26の間における各冷却領域において液化した後に、その液化物が温度調整要素26を通過する際にこれを再気化する。
【0022】
以下の実施例は上記拡散通路内の熱を調整することの有益性を示している。
【0023】
実施例1
一定の20リットルのアルミニウム・チャンバー(4.4インチ(11.2cm)×12インチ(30.5cm)×22インチ(55.9cm))の中に典型的な各種の医療装置および試験用の内孔部を含む一定のCSR包装のトレイ(3.5インチ(8.89cm)×10インチ(25.4cm)×20インチ(50.8cm))を配置することにより効力試験を行なった。少なくとも1×106 個のバシラス属脂肪好熱菌類(Bacillus stearothermophilus spores)を接種した1インチ(2.54cm)のステンレス・スチール・ワイヤーを上記試験内孔部のそれぞれの中心に入れた。その後、上記拡散通路の温度調整の有無による作用効果を1mmの内径および700mmの長さを有する一定のテフロン(登録商標)(TEFLON(R))のポリ(テトラフルオロエチレン)の内孔部、および1mmの内径および500mmの長さを有する一定のステンレス・スチールの内孔部の両方において調べた。全ての内孔部はその両端部において開口していた。これらのサンプルのそれぞれを一定の20リットルの真空チャンバー内において一定の滅菌処理工程にかけて、5分間にわたり40℃および3トール(3.99×102 パスカル)に維持した。1.44mlの過酸化水素の59%水溶液を60℃に維持した気化装置の中に大気圧において注入した。その後、5分用クロックを始動してチャンバーを3トールまでポンプにより減圧したが、この処理は1分未満の時間がかかった。一例の場合において、上記拡散通路24は上記チャンバーを3トールまで排気している状態の最初の1分において30℃の初期的な温度を有していたが、その後に、上記圧力を3トールに維持した状態でその処理工程の残りの部分において上記拡散通路からチャンバーの中に液化した過酸化物を放出するために50℃に加熱されている。また、別の場合においては、上記拡散通路は上記処理工程の全体において50℃に維持されている。このように拡散通路を50℃に維持することにより、その拡散通路の中にほとんどまたは全く過酸化物が残らなくなる。このような状態において、滅菌の作用効果を55℃において増殖培地内の各試験サンプルを培養してその試験生物の増殖について調べることにより測定した。以下の表1はこれらの試験の結果を示している。
【表1】
【0024】
上記拡散通路の温度をその処理の全体において高温に維持した場合には、上記テフロン(登録商標)(TEFLON(R))の内孔部内の各サンプルは全てバクテリアの増殖について陽性の試験結果を示して、滅菌処理が行なわれていないことを示しており、上記ステンレス・スチールの内孔部内の2個の内の1個も陽性の試験結果を示した。一方、同一の条件下であるが、拡散開始後の初めの1分間だけ加熱される拡散通路の温度を初期的に低くした場合には、各サンプルはいずれも陽性の試験結果を示さなかった。すなわち、初期的な気化段階において上記拡散通路内の過酸化物を液化した後にその拡散通路から上記チャンバーの中にその液化した過酸化物を再気化することにより、その効力が大幅に高められる。
【0025】
さらに付加的な有効性が図2において主に示されているように上記拡散通路24の中に冷却領域と加温領域を交互に設けることにより達成できる。この場合に、単純な形態の加熱要素として、各温度調整要素26が互いに離間して配置されている。また、好ましくは、上記拡散通路24はこの場合に垂直である。このような構成において、過酸化水素溶液がこの拡散通路24の中において気化してこれを通過する際に、その蒸気がその拡散通路24における加熱部分および未加熱部分をそれぞれ通過する時に交互に液化および再気化することが可能になると考えられる。また、この拡散通路は複数の加熱要素および冷却要素を交互に備えることも可能である。
【0026】
上記チャンバー12内のヒーター32は上記拡散通路24における加熱要素と同様に作用する。このヒーター32の温度を調整することにより、上記過酸化物をこのヒーター32の上に先ず液化してから、チャンバー12内に再気化することにより、この過酸化物を濃縮可能にする。
【0027】
一定の好ましい処理工程は本明細書に参考文献として含まれるウー(Wu)他の米国特許第6,365,102号において記載されている工程の変更例であると考えられる。すなわち、各処理間における通気を伴う一連の予備的なプラズマ・エネルギーの付加により上記チャンバー12内の水分を乾燥する。その後、一定の真空がそのチャンバー12内に供給されて、過酸化水素溶液が上記気化装置14の中に注入される。あるいは、この過酸化物溶液は大気圧において注入することもできる。一部の気化した溶液が冷温の拡散通路24の上において液化する。この気化装置14から大部分のまたは全ての過酸化水素溶液が気化するために十分な時間の経過後に、拡散経路24はその温度調整要素26により加温されて、その液化した過酸化水素溶液が再気化される。概ねこの時点において、上記絞り弁18が閉じて、ポンプ16が停止することによりチャンバー12が密封される。この結果、上記過酸化水素溶液における水の留分の大部分が真空ポンプ16によりチャンバー12から排出されて、拡散通路24から、あるいは、存在している場合のチャンバー12内のヒーター32から再気化される過酸化水素溶液の残りの部分がその開始時の溶液よりも高い過酸化水素の濃度を有する。好ましくは、一定のコンピューターに基づく制御システム(図示せず)が容易さおよび反復性のために上記処理の各機能を制御する。
【0028】
上記のようにして製造した過酸化水素の蒸気をチャンバー12内の1種類以上の物品34に接触させて、これらの滅菌を行なう。これらの物品34が長くて狭い内孔部のような拡散が制限される領域を有している場合には、その後にチャンバー12を換気して清浄な無菌状態の空気によりその過酸化水素の蒸気をこれらの拡散制限領域の中に深く送り込めるようにすることが好ましいと考えられる。その後、上記チャンバー12を再び真空状態にして、好ましくは上記拡散通路における加熱シーケンスを伴って、過酸化水素の付加的な注入を繰り返す。好ましくはバシラス属脂肪好熱菌(Bacillus stearothermophilus)等のような病原生物における対数で6程度の減少(six−log reduction)を伴う、上記物品34の滅菌を行なうために十分な時間の経過後に、一定のプラズマをチャンバー12の中に生じて、これによりその滅菌処理および過酸化水素の水および酸素への分解が促進される。
【0029】
上記オリフィス・プレート20は上記過酸化水素をその気化中において濃縮する作用を高めることができる。本明細書に参考文献として含まれるリン(Lin)他の米国特許第5,851,485号において記載されているように、水が一定の比較的に高い蒸気圧を有しているので、上記チャンバー12の一定の制御されたまたは低速のポンプによる排気処理により、過酸化水素よりも多量の水を初期的に吸引により除いて、比較的に高い濃度の過酸化水素を残留させることができる。一般に、各種の真空ポンプは絞り戻し(throttle back)を十分に行なわず、このような装置内の絞り弁は制御が困難であり高価であるので、上記のような制御されたポンプによる排気は困難であると考えられる。そこで、上記のオリフィス・プレート20をポンプ16に到る流通路の中に配置することにより、このポンプ16により排気されるチャンバー12からの雰囲気の量が制限され、さらに、このプレート20における適当な寸法のオリフィス36を選択することにより、チャンバー12内の過酸化水素を効果的に濃縮する一定の速度に制御可能になる。
【0030】
次に、図3において、システム10aは、図1および図2のシステム10と大部分において類似しており、類似の部品の各参照番号または符号は「a」が加えられて示されており、一定のオリフィス・プレート20aも含まれている。しかしながら、オリフィス・プレート20aにおける制御されたポンプ排気の利点を維持しながらこのチャンバー12aにおける速やかなポンプ排気を可能にするために、このシステム10aはポンプ16aからチャンバー12aに到る2個の通路を備えている。第1の通路40は一定の絞り弁42を含み、第2の通路44は一定の絞り弁46およびオリフィス・プレート20aを含む。これにより、初期的なポンプ廃棄中において、上記第1の絞り弁42が開口してポンプ16aがチャンバー12aに対して自由に接続している状態になる。その後、チャンバー12aが水の蒸気圧に近づくと、第1の絞り弁42が閉じて、ポンプ16aがオリフィス20aを介して排気するようになり、過酸化水素溶液から水を選択的に吸引してチャンバー12aから排出するために比較的に適している一定の減速した制御された速度でチャンバー12aの排気が行なわれる。
【0031】
次に、図4(A)および図4(B)において、図1のシステムに類似している一定のシステム110が示されている。この場合には、上記図3のシステム10aにおけるような2個の通路を用いる代わりに、一定の弁112が一定の弁体114、弁座116、および一定の蝶形円板、プラグまたはその類似物等のような、弁要素118を有している。さらに、一定のオリフィス120が上記弁要素の中に備えられている。これにより、弁112が開口している時に排気は速やかに行なえるが、弁112が閉じている時には、排気は比較的に低速で行なうことができる。
【0032】
次に、図5において、高濃度の滅菌用の蒸気は滅菌を効率的または効果的にすることにおいて役立つが、その蒸気を滅菌処理する各物品に対して接触させることもまた重要である。一般的に、一定のチャンバー12の内部における低い圧力(0.5トール(0.67×102 パスカル)乃至10.0トール(1.33×103 パスカル))がそのチャンバー12の中における全ての領域に対する滅菌剤蒸気の速やかな拡散を助長する。
【0033】
図5は一定の気化装置64、真空ポンプ66および通気手段68を含む一定のチャンバー62を備えている一定の滅菌システム60を示している図である。好ましくは、既に説明されているような一定の細長い温度調整型の拡散通路70が気化装置64をチャンバー62に接続している。一定の絞り弁72および圧力ゲージ74がポンプ66に備えられている。
【0034】
滅菌処理する各種の物品76がそれぞれのトレイまたは容器78の中に入れられている。2種類の包装が一般的に滅菌用の各種物品76を調製するために用いられている。その一例において、物品76は複数の開口部を有している一定のトレイの中に配置され、このトレイがその後に滅菌用の各種気体を通すが汚染性の微生物を遮断するCSRラップ材のような一定の材料により包装される。このようなトレイが本明細書に参考文献として含まれるウー(Wu)の米国特許第6,379,631号において記載されている。また、別の包装は幾つかのポートを、好ましくは上面部および下面部に、備えている一定の密封可能な容器を含み、これらのポートのそれぞれが一定の半透過性の膜により被覆されており、この膜は滅菌用の各種気体を通すが汚染性の微生物の侵入を遮断する。このような容器は本明細書に参考文献として含まれるニコルズ(Nichols)の米国特許第4,704,254号において記載されている。上記第1の種類の包装は一般的に「トレイ(tray)」と呼ばれており、第2の包装は「容器(container)」と呼ばれている。しかしながら、この用語の「容器(container)」は、本明細書において用いられているように、一定の化学的な蒸気の環境内において滅菌する各種物品を収容するために適している任意の容器、包装または閉鎖容器を意味する。
【0035】
上記ポンプ66は一定の排気マニホールド80を介してチャンバー62に接続している。このマニホールド80は1個以上の容器78を支持および受容するための1個以上の棚82を有しており、これらの容器は流体を媒体として絞り弁72を介してポンプ66に接続している。上記棚82のそれそれの上面部における一定の開口部、または、好ましくは複数の開口部84はそれぞれの開口部84を通して上記マニホールド80を介してチャンバー62内の雰囲気をポンプ66により排出することを可能にしている。
【0036】
上記の容器78は好ましくはその一定の下面部88に複数の開口部86を有しており、さらに、少なくとも1個の別の表面部分に付加的な開口部90を有している。これらの容器78が上記の棚82の上に置かれると、ポンプ66により排気される雰囲気が上記開口部90を通して容器78の中に部分的に吸引され、さらにこの容器を通してその内部における1種類以上の物品76に接触した後に、上記開口部86を通してマニホールド80の中にその開口部84を通して吸引される。このように排気される雰囲気が一定の滅菌用のガスまたは気体を含む場合に、この気体は各容器78の中への侵入を促進し、さらに、その内部における各物品76に対する接触を助長する。
【0037】
各種の滅菌用の気体もまた、上記滅菌剤溶液が気化していて上記第2の過酸化水素の添加の直前に、上述した処理工程中において同様に排気される。このような処理工程はさらに一定期間の拡散の後に一定のポンプ排気処理を行なうことも可能である。上記滅菌剤の蒸気が侵入した後に、チャンバー62の圧力はその内部における付加的な気体の存在により、一般的に約0.5トール(0.67×102 パスカル)乃至約10トール(1.33×103 パスカル)だけ、わずかに上昇する。このような比較的に高い圧力は負荷の量およびチャンバー温度が比較的に高い場合に効率的である。
【0038】
次に、図6(A)および図6(B)において、一定の代替的な設計(この設計において、上記図5の設計における各部品と類似している各部品の参照番号または符号は「b」を加えてそれぞれ示されている)が上記図5の設計におけるマニホールド80を一定の単純なポート92に換えている。このポート92は容器78に対応する一定の支持体94により被覆されており、この支持体94はこれを貫通している複数の開口部96を有しているので、チャンバー62bは容器78、支持体94およびポート92を介してポンプ66bに対して流体を媒体として連絡している。なお、この支持体94は移動可能にできる。
【0039】
次に、図7(A)および図7(B)(これらの図において上記図5乃至図6(B)の設計における各部品と類似している各部品の参照番号または符号は「c」を加えてそれぞれ示されている)において、チャンバー62cの一定の表面部分102において静止している一定の支持体100が示されており、この支持体100を通してポート92cが侵入している。すなわち、支持体100はポート92cを囲っている。これにより、ポンプ66cにより排気される雰囲気の大部分または全部が容器78を通過して、当該容器78、支持体100および表面部分102の中に形成されている一定の空間部分104の中に入り、さらに、ポート92cを通してポンプ66cに吸引される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は一定の滅菌システムに適用可能であり、この滅菌システムは一定の滅菌チャンバー、当該チャンバーに接続している一定の気化装置、および当該チャンバーに接続している一定の真空ポンプを備えている。さらに、一定の弁、および一定のオリフィスが貫通しているオリフィス・プレートが上記ポンプと上記チャンバーとの間に配置されている。このオリフィスは一定の液体の滅菌剤溶液の気化中に上記チャンバーの低速で制御されたポンプによる排気を可能にして、その溶液中の一定の水の部分を選択的に排出可能にすることにより滅菌剤溶液の濃度を高める。
【0041】
本発明の具体的な実施態様は以下のとおりである。
(1)前記オリフィス・プレートおよび前記弁が互いに並列に配置されている請求項1に記載の滅菌システム。
(2)さらに、前記オリフィス・プレートに対して直列に第2の弁を備えており、この場合に、前記弁および当該第2の弁の両方が良好な遮断性能を有している実施態様(1)に記載の滅菌システム。
(3)前記オリフィス・プレートおよび前記弁が直列に配置されている請求項1に記載の滅菌システム。
(4)前記弁が一定の絞り弁である請求項1に記載の滅菌システム。
(5)前記弁が一定の弁座を有する一定の弁体、および当該弁座に近づいて弁を閉じて、当該弁座から離れて弁を開口するように移動することに適合している一定の弁部材を有しており、この場合に、前記弁部材が前記オリフィス・プレートを形成していて、これを貫通している前記オリフィスを有している請求項1に記載の滅菌システム。
【0042】
(6)前記排気工程の初期的な部分において、その排気されるチャンバーの雰囲気が前記オリフィスを迂回することが可能であり、水蒸気がチャンバーから選択的に排出される、前記排気工程の後続の部分において、そのチャンバーから排気される雰囲気が前記オリフィスを迂回することができない請求項2に記載の方法。
(7)前記オリフィスが前記チャンバーと当該チャンバーを排気する一定の真空ポンプとの間における一定の弁の中に配置されている一定の弁部材の中に形成されており、前記チャンバーを排気する工程の初期的な部分において前記弁が閉じておらず、当該チャンバーを排気する工程の後続の部分において前記弁が閉じていて、前記チャンバーが前記弁部材を貫通する前記オリフィスを通して排気される実施態様(6)に記載の方法。
(8)前記チャンバーの排気速度を制御する工程が前記溶液を当該溶液中の水の蒸気圧よりも低く当該溶液中の過酸化水素の蒸気圧よりも高い一定の圧力に維持する請求項2に記載の方法。
(9)前記チャンバーの排気速度を制御する工程が前記溶液を当該溶液の蒸気圧よりも低い一定の圧力に維持する実施態様(8)に記載の方法。
(10)前記溶液が一定の気化装置の中に配置されており、前記方法がさらに前記気化装置の温度を調整してその気化速度を制御する処理を含む請求項2に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による滅菌システムのブロック図である。
【図2】図1の滅菌システムにおける一定の気化装置および拡散通路のブロック図である。
【図3】本発明による滅菌システムの別の実施形態のブロック図である。
【図4】図4(A)は本発明による滅菌システムの別の実施形態のブロック図である。図4(B)は図4(A)の線3B−3Bに沿う断面図である。
【図5】本発明による滅菌システムの別の実施形態のブロック図である。
【図6】図6(A)は本発明による滅菌システムの別の実施形態のブロック図である。図6(B)は図6(A)の線6−6に沿う断面図である。
【図7】図7(A)は本発明による滅菌システムの別の実施形態のブロック図である。図7(B)は図7(A)の線8−8に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 滅菌システム
12 滅菌チャンバー
14 気化装置
16 真空ポンプ
18 絞り弁
20 オリフィス・プレート
22 圧力ゲージ
23 通気弁
24 拡散通路
26 温度調整要素
28 加熱要素
30 断熱要素
32 ヒーター
34 物品
Claims (2)
- 滅菌システムにおいて、
一定の滅菌チャンバー、
前記チャンバーに接続している一定の気化装置、
前記チャンバーに接続している一定の真空ポンプ、および
一定の弁、および前記ポンプと前記チャンバーとの間において貫通している一定のオリフィスを有する一定のオリフィス・プレートを備えている滅菌システム。 - 一定の物品に濃縮した過酸化水素の蒸気を供給する方法において、
前記物品を一定の内部雰囲気を収容している一定のチャンバーの中に配置する工程、
過酸化水素および水を含む一定の溶液を前記チャンバーに対して流体を介して連絡している状態で配置する工程を含み、当該溶液が水に対する過酸化水素の一定の比率を有しており、さらに、前記方法が
前記チャンバーをその内部において比較的に低い圧力に排気する工程、
前記溶液を前記内部雰囲気の中に気化して水蒸気および過酸化水素の蒸気を形成する工程、
前記蒸気チャンバーの排気速度を制御して当該チャンバーから水蒸気を選択的に排出することにより当該チャンバーの中の水に対する過酸化水素の比率を高める工程を含み、この場合に、前記排気速度は一定のオリフィス・プレート内の一定のオリフィスの中を通して前記チャンバーを排気することにより制御されており、さらに、前記方法が
前記物品を前記過酸化水素の蒸気に接触させる工程を含む方法。
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