JP2004159987A - 吸音遮水マット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた吸音性を有すると共に、十分な遮水性を確保できる吸音遮水マットの製造方法を提供する。
【解決手段】高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材2の裏面にラミネートすることによって表皮材2の裏面に裏打層3が設けられた中間体マット6を得、次いでこの中間体マット6の少なくとも裏打層3を、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、裏打層3中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層3に連続気泡構造を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材2の裏面にラミネートすることによって表皮材2の裏面に裏打層3が設けられた中間体マット6を得、次いでこの中間体マット6の少なくとも裏打層3を、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、裏打層3中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層3に連続気泡構造を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用フロアーマットとして好適に用いられる吸音遮水マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用フロアーマットとしては、従来より、表面側にパイルが植設されたカーペット基材等の表皮材の裏面側に、軟質樹脂材料からなる裏打層が積層一体化された構成のもの(特許文献1参照)が知られているが、この構成では重くなる上に吸音効果が殆ど得られないことから、近年では前記表皮材の裏面側に不織布を貼り合わせた構成のもの(特許文献2参照)が用いられるようになってきている。この構成では不織布を用いるので軽量化を図ることができるし、騒音等の音は不織布層を通過する際に吸音されるので良好な吸音効果が得られる。
【0003】
【特許文献1】
登録実用新案第3031429号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−200687号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような表皮材の裏面側に単に不織布を貼り合わせた構成では、マットとして遮水性がなく、例えば降雨時等において濡れた靴や傘などによってフロアーマットの表面に水が付着すると、この水はフロアーマットを通過してその裏面側に到達して、フロアーを構成する金属板に錆を生じさせることが懸念されるし、また予め自動車のフロアーにカーペットが敷設施工されている場合には該カーペットの構成繊維を腐食させてしまうことも懸念される。
【0006】
そこで、前記マットにさらに遮水機能を付与するべく、例えば表皮材と不織布吸音層の間に遮水シートを介装一体化させる構成も考えられるが、このような構成では遮水シートによって通気性がなくなるので、自動車のフロアー側から車内に侵入してくる騒音は下側の不織布層において吸音できるものの、エンジンルーム、ドア、窓、ルーフ等から車室内に入り込んだ騒音は、マットの遮水シートによって車室内にはね返されてしまって吸音されることなく車室内で反響して騒音レベルを上げてしまうという問題を生じる。即ち、優れた吸音性能を確保する観点からすると、上側での騒音(車室内に入り込んだ騒音)も吸音層に到達する必要があり、そのためにはマットが通気性を備えたものであることが要求される一方、マットとして遮水性を確実に備えたものとするには遮水シートを介装する等して水の通過を阻止することが要求されるというように相反するような性質(通気性、遮水性)を兼備させなければならないことから、従来では、自動車用フロアーマット等のマットにおいて優れた吸音性と遮水性を両立することはできなかったのが実状である。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、優れた吸音性を有すると共に、十分な遮水性を確保できる吸音遮水マット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法(第1発明)によって達成される。
【0009】
また、上記目的は、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を押出機から溶融押出して表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法(第2発明)によって達成される。
【0010】
上記いずれの製造方法においても、裏打層中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、この裏打層は通気性が得られる一方で気孔径の制御により遮水できるという特異な性質が発現する。また、連続気泡構造を有した裏打層によって吸音性能が発揮される。更に、表皮材の裏面に裏打層を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層に連続気泡構造を形成せしめているから、裏打層の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を裏打層に確実に形成することができて十分な通気性を確保することができ、これにより優れた吸音性を確保できる。
【0011】
また、第2発明では、押出ラミネート法により裏打層を形成しているので、表皮材と裏打層とを十分な接合強度で積層一体化できると共に、生産性も顕著に向上できる利点がある。
【0012】
前記高分子物質としては疎水性熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。疎水性熱可塑性樹脂は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、裏打層の連続気泡構造における水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層の遮水性能を一層向上させることができる。
【0013】
前記高分子組成物は、さらに撥水剤を含有しているのが好ましい。撥水剤は、水の接触角を大きくさせる効果に特に優れているので、裏打層の遮水性能をより一層向上させることができる。
【0014】
前記気孔形成用化合物として水溶性無機塩の粉体を用い、前記溶媒として水を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は水への溶解速度が大きくて連続気泡構造を速やかに形成できると共に、洗浄溶媒として水を用いるので表皮材の構成繊維や裏打層に悪影響を及ぼすことがなく高品質のマットを提供できる。
【0015】
上記製造方法によって得られたマットにおいて、裏打層の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmであるのが好ましい。気孔をこのような大きさに形成すれば、裏打層において十分な通気性を確保しつつ十分な遮水性を確保できるものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明に係る吸音遮水マットの製造方法について説明する。まず、第1工程では、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材(2)の裏面にラミネートすることによって表皮材(2)の裏面に裏打層(3)が設けられた中間体マット(6)を製造する。
【0017】
この第1工程は、押出ラミネート法により行うのが望ましい。即ち、図2に示すように、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を、押出機(10)のダイ(Tダイ等)(10a)から溶融押出してフィルム状またはシート状にし、これを表皮材(2)の裏面にラミネートすることによって前記中間体マット(6)を製造する。ラミネートは、一対のロール(11)(11)間で圧接することにより行うのが良い。
【0018】
前記高分子組成物を溶融状態で表皮材(2)の裏面にラミネートする手法としては、前記押出ラミネート法の他に、例えばロールコーター法等が挙げられ、またゴムを用いる場合には、ゴム溶融物を表皮材(2)の裏面にラミネートした後、熱プレスを行って加硫すると同時にゴムの裏打層(3)を表皮材(2)に圧着する方法等が挙げられるが、特にこれらの手法に限定されるものではない。
【0019】
前記高分子物質としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂、ゴム等が挙げられる。
【0020】
前記合成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0021】
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、ポリエステル、ポリスチレン等が挙げられる。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。
【0022】
前記熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂を用いる場合には、これらの前駆物質である液状のプレポリマーを表皮材(2)の裏面にラミネートした後、加熱によってプレポリマーを架橋硬化させて裏打層(3)を形成させれば良い。
【0023】
前記ゴムとしては、例えばSBR(スチレン−ブタジエンゴム)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。
【0024】
このような様々な高分子物質の中でも、疎水性熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。疎水性熱可塑性樹脂は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、次の第2工程を経て形成される裏打層(3)の連続気泡構造での水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層(3)の遮水性能を一層向上できる利点がある。前記疎水性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリオレフィン系エラストマー等のオレフィン系樹脂等を例示できる。
【0025】
前記気孔形成用化合物としては、常温で固体であるものを用いるのが好ましい。前記気孔形成用化合物は、無機化合物であっても良いし、有機化合物であっても良い。前記気孔形成用化合物に用いられる無機化合物としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩等が挙げられる。また、前記気孔形成用化合物に用いられる有機化合物としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エステルグリコール等の多価アルコール、尿素等が挙げられる。なお、前記無機塩は、高分子物質が溶融する温度(一般に100〜300℃)では固体状態であるので、均一かつ微細分散させる観点から、粉体(粉末)状態で高分子物質に混合するのが良い。
【0026】
前記高分子組成物中には、さらに撥水剤を含有せしめるのが好ましい。撥水剤は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、裏打層(3)の連続気泡構造における水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層(3)の遮水性能を一層向上させることができる。前記撥水剤としては、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤等を例示できる。
【0027】
また、前記高分子組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤等の各種添加剤を含有せしめるようにしても良い。
【0028】
次の第2工程では、前記第1工程で得られた中間体マット(6)の裏打層(3)を、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄する。これによって、裏打層(3)中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて溶出させて裏打層(3)に高分子物質による連続気泡構造を形成することができる。即ち、溶媒による洗浄によって裏打層(3)の表面に存在していた気孔形成用化合物が溶媒に溶出し、これによって形成された気孔から溶媒が裏打層(3)の内部に徐々に侵入していき、こうして新たな気孔が次々と連通状態で形成される結果、裏打層(3)に連続気泡構造が形成される。こうして得られた裏打層(3)は、十分な通気性が得られる一方で遮水できるという特性を備えていると共に、連続気泡構造によって十分な吸音性が得られるので、この第2工程を経て製造されたマット(1)は、優れた吸音性を有すると共に十分な遮水性を確保できるものとなる。即ち、マット(1)の下側からの騒音は、裏打層(3)で吸音される一方、マットの上側の騒音は、表皮材(2)を介して裏打層(3)に到達してこの裏打層(3)で吸音されるので、このマット(1)が敷設された空間内(例えば車室内)において十分な静粛性が確保されるものとなる。
【0029】
更に、本発明の製造方法では、先に表皮材(2)の裏面に裏打層(3)を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層(3)に連続気泡構造を形成せしめているから、裏打層(3)の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を裏打層(3)に確実に形成することができて十分な通気性を確保することができる。これに対して、例えば、上記手法で連続気泡構造に形成された裏打層シートを先に製作し、この裏打層シートを表皮材の裏面に接着剤を介して接着したのでは、裏打層シートの上面(接合面)の気孔の多くが接着剤によって閉塞されてしまって良好な連続気泡構造を維持できないし、また先に製作した連続気泡構造の裏打層シートを表皮材の裏面に裏打層自体の加熱溶融によって接着したのでは、裏打層シートの上面、下面及び内部の気孔の多くが溶融樹脂によって閉塞されてしまって良好な連続気泡構造を維持できない。
【0030】
前記第2工程において、溶媒による洗浄に際しては、例えば裏打層(3)だけを洗浄するものとしても良いし、或いは中間体マット(6)全体を洗浄するものとしても良い。具体的には、例えば裏打層(3)の裏面側から前記溶媒をスプレーして洗浄しても良いし、中間体マット(6)全体を前記溶媒中に含浸せしめて洗浄(例えば超音波洗浄)するようにしても良く、洗浄の具体的方法は特に限定されない。また、この第2工程は前記第1工程と連続工程で行うようにしても良いし、第1工程とは別工程で行うものとしても良い。また、この第2工程の後に乾燥工程を設けても良い。
【0031】
前記溶媒としては、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒であればどのようなものでも用いることができ、例えば気孔形成用化合物として塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の水溶性無機塩を用いる場合には、溶媒として水を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。また、気孔形成用化合物として炭酸カルシウムを用いる場合には、溶媒として塩酸水溶液を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。また、気孔形成用化合物として、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エステルグリコール等の多価アルコールを用いる場合には、溶媒として水を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。前記溶媒としては、その他に、例えばアルコール等の有機溶媒を例示できる。
【0032】
この発明のマット(1)において、裏打層(3)の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmに設定されているのが好ましい。気孔の大きさは、高分子組成物における気孔形成用化合物の含有量、押出温度、気孔形成用化合物が無機塩である場合にはその粉体の粒径等の条件を調整することによって制御することができる。また、裏打層(3)における気孔の容積率は、主に高分子組成物における気孔形成用化合物の含有量を調整することによって制御することができ、例えば気孔の容積率を50〜90%にすることも可能である。
【0033】
なお、高分子物質として親水性樹脂を用いる場合には、気孔の大きさは平均30〜80μmに設定すれば十分な遮水性が得られるが、高分子物質として疎水性樹脂を用いた場合や、撥水剤を含有せしめた場合には、気孔の大きさはさらに大きくても(例えば800μmでも)十分な遮水性が得られるものであり、このような主に遮水性確保の観点から、裏打層(3)の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmに設定されているのが好ましい。
【0034】
この発明において、前記表皮材(2)としては、特に限定されるものではないが、例えば基布の上にパイルが植設されたもの(図1参照)や、編布、織布、ニードルパンチ不織布等の不織布などを例示できる。図1の構成を採用する場合に、この発明の効果(通気性)を阻害しない範囲であれば、基布の裏面にパイル抜け防止用のラテックスが塗布されていても良い。この表皮材(2)を構成する繊維の種類は特に限定されず、例えばポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。
【0035】
また、表皮材(2)をポリプロピレン繊維で構成し、裏打層(3)をポリプロピレンで構成した場合には、この吸音遮水マット(1)を処分する際に各部材を何ら相互分離することなくマット全体をそのままリサイクル利用に供することができ、このようにリサイクル利用が容易化されるという利点がある。
【0036】
なお、上記実施形態では、裏打層(3)の下面は平坦面に形成されているが、特にこのような形態に限定されるものではなく、例えば第1工程での押出ラミネートの際に、ロール(11)としてエンボスロールを用いることで圧接と同時に裏打層(3)の下面に多数個の防滑用突起を突設形成せしめるようにしても良い。このような防滑用突起を設けることにより、敷設下地面がパイルカーペットや不織布等であるような場合でも十分な防滑性が発揮され得て敷設下地面に対してずれ移動を生じることがない。
【0037】
この発明の吸音遮水マット(1)は、自動車用フロアーマットとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【0038】
【発明の効果】
請求項1、2の発明によれば、裏打層中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、この裏打層は通気性が得られて吸音性を確保できると共に、この裏打層によって十分に遮水することができる。また、本製造方法では、表皮材の裏面に裏打層を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、裏打層の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を確実に形成することができて十分な通気性を確保することができ、これによって優れた吸音性を確保できる。
【0039】
請求項2の発明によれば、上記効果に加えて、表皮材と裏打層とを十分な接合強度で積層一体化できると共に、生産性も顕著に向上できる。
【0040】
請求項3の発明によれば、上記効果に加えて、裏打層の遮水性能を一層向上させることができる。
【0041】
請求項4の発明によれば、上記効果に加えて、裏打層の遮水性能をより一層向上させることができる。
【0042】
請求項5の発明によれば、上記効果に加えて、洗浄の際に表皮材の構成繊維や裏打層に悪影響を及ぼすことがなく高品質のマットを提供できる。
【0043】
請求項6の発明によれば、上記効果に加えて、十分な遮水性を確保しつつ吸音性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る吸音遮水マットを示す断面図である。
【図2】製造方法を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
1…吸音遮水マット
2…表皮材
3…裏打層
6…中間体マット
10…押出機
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用フロアーマットとして好適に用いられる吸音遮水マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用フロアーマットとしては、従来より、表面側にパイルが植設されたカーペット基材等の表皮材の裏面側に、軟質樹脂材料からなる裏打層が積層一体化された構成のもの(特許文献1参照)が知られているが、この構成では重くなる上に吸音効果が殆ど得られないことから、近年では前記表皮材の裏面側に不織布を貼り合わせた構成のもの(特許文献2参照)が用いられるようになってきている。この構成では不織布を用いるので軽量化を図ることができるし、騒音等の音は不織布層を通過する際に吸音されるので良好な吸音効果が得られる。
【0003】
【特許文献1】
登録実用新案第3031429号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−200687号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような表皮材の裏面側に単に不織布を貼り合わせた構成では、マットとして遮水性がなく、例えば降雨時等において濡れた靴や傘などによってフロアーマットの表面に水が付着すると、この水はフロアーマットを通過してその裏面側に到達して、フロアーを構成する金属板に錆を生じさせることが懸念されるし、また予め自動車のフロアーにカーペットが敷設施工されている場合には該カーペットの構成繊維を腐食させてしまうことも懸念される。
【0006】
そこで、前記マットにさらに遮水機能を付与するべく、例えば表皮材と不織布吸音層の間に遮水シートを介装一体化させる構成も考えられるが、このような構成では遮水シートによって通気性がなくなるので、自動車のフロアー側から車内に侵入してくる騒音は下側の不織布層において吸音できるものの、エンジンルーム、ドア、窓、ルーフ等から車室内に入り込んだ騒音は、マットの遮水シートによって車室内にはね返されてしまって吸音されることなく車室内で反響して騒音レベルを上げてしまうという問題を生じる。即ち、優れた吸音性能を確保する観点からすると、上側での騒音(車室内に入り込んだ騒音)も吸音層に到達する必要があり、そのためにはマットが通気性を備えたものであることが要求される一方、マットとして遮水性を確実に備えたものとするには遮水シートを介装する等して水の通過を阻止することが要求されるというように相反するような性質(通気性、遮水性)を兼備させなければならないことから、従来では、自動車用フロアーマット等のマットにおいて優れた吸音性と遮水性を両立することはできなかったのが実状である。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、優れた吸音性を有すると共に、十分な遮水性を確保できる吸音遮水マット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法(第1発明)によって達成される。
【0009】
また、上記目的は、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を押出機から溶融押出して表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法(第2発明)によって達成される。
【0010】
上記いずれの製造方法においても、裏打層中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、この裏打層は通気性が得られる一方で気孔径の制御により遮水できるという特異な性質が発現する。また、連続気泡構造を有した裏打層によって吸音性能が発揮される。更に、表皮材の裏面に裏打層を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層に連続気泡構造を形成せしめているから、裏打層の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を裏打層に確実に形成することができて十分な通気性を確保することができ、これにより優れた吸音性を確保できる。
【0011】
また、第2発明では、押出ラミネート法により裏打層を形成しているので、表皮材と裏打層とを十分な接合強度で積層一体化できると共に、生産性も顕著に向上できる利点がある。
【0012】
前記高分子物質としては疎水性熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。疎水性熱可塑性樹脂は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、裏打層の連続気泡構造における水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層の遮水性能を一層向上させることができる。
【0013】
前記高分子組成物は、さらに撥水剤を含有しているのが好ましい。撥水剤は、水の接触角を大きくさせる効果に特に優れているので、裏打層の遮水性能をより一層向上させることができる。
【0014】
前記気孔形成用化合物として水溶性無機塩の粉体を用い、前記溶媒として水を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は水への溶解速度が大きくて連続気泡構造を速やかに形成できると共に、洗浄溶媒として水を用いるので表皮材の構成繊維や裏打層に悪影響を及ぼすことがなく高品質のマットを提供できる。
【0015】
上記製造方法によって得られたマットにおいて、裏打層の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmであるのが好ましい。気孔をこのような大きさに形成すれば、裏打層において十分な通気性を確保しつつ十分な遮水性を確保できるものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明に係る吸音遮水マットの製造方法について説明する。まず、第1工程では、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材(2)の裏面にラミネートすることによって表皮材(2)の裏面に裏打層(3)が設けられた中間体マット(6)を製造する。
【0017】
この第1工程は、押出ラミネート法により行うのが望ましい。即ち、図2に示すように、高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を、押出機(10)のダイ(Tダイ等)(10a)から溶融押出してフィルム状またはシート状にし、これを表皮材(2)の裏面にラミネートすることによって前記中間体マット(6)を製造する。ラミネートは、一対のロール(11)(11)間で圧接することにより行うのが良い。
【0018】
前記高分子組成物を溶融状態で表皮材(2)の裏面にラミネートする手法としては、前記押出ラミネート法の他に、例えばロールコーター法等が挙げられ、またゴムを用いる場合には、ゴム溶融物を表皮材(2)の裏面にラミネートした後、熱プレスを行って加硫すると同時にゴムの裏打層(3)を表皮材(2)に圧着する方法等が挙げられるが、特にこれらの手法に限定されるものではない。
【0019】
前記高分子物質としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂、ゴム等が挙げられる。
【0020】
前記合成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0021】
前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、ポリエステル、ポリスチレン等が挙げられる。前記熱可塑性エラストマーとしては、例えばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体樹脂)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。
【0022】
前記熱硬化性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂を用いる場合には、これらの前駆物質である液状のプレポリマーを表皮材(2)の裏面にラミネートした後、加熱によってプレポリマーを架橋硬化させて裏打層(3)を形成させれば良い。
【0023】
前記ゴムとしては、例えばSBR(スチレン−ブタジエンゴム)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。
【0024】
このような様々な高分子物質の中でも、疎水性熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。疎水性熱可塑性樹脂は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、次の第2工程を経て形成される裏打層(3)の連続気泡構造での水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層(3)の遮水性能を一層向上できる利点がある。前記疎水性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリオレフィン系エラストマー等のオレフィン系樹脂等を例示できる。
【0025】
前記気孔形成用化合物としては、常温で固体であるものを用いるのが好ましい。前記気孔形成用化合物は、無機化合物であっても良いし、有機化合物であっても良い。前記気孔形成用化合物に用いられる無機化合物としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩等が挙げられる。また、前記気孔形成用化合物に用いられる有機化合物としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エステルグリコール等の多価アルコール、尿素等が挙げられる。なお、前記無機塩は、高分子物質が溶融する温度(一般に100〜300℃)では固体状態であるので、均一かつ微細分散させる観点から、粉体(粉末)状態で高分子物質に混合するのが良い。
【0026】
前記高分子組成物中には、さらに撥水剤を含有せしめるのが好ましい。撥水剤は、水がこれに接触した際の接触角を大きくすることができるので、裏打層(3)の連続気泡構造における水の通過の阻止の確実性を高めることができ、裏打層(3)の遮水性能を一層向上させることができる。前記撥水剤としては、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤等を例示できる。
【0027】
また、前記高分子組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、帯電防止剤等の各種添加剤を含有せしめるようにしても良い。
【0028】
次の第2工程では、前記第1工程で得られた中間体マット(6)の裏打層(3)を、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄する。これによって、裏打層(3)中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて溶出させて裏打層(3)に高分子物質による連続気泡構造を形成することができる。即ち、溶媒による洗浄によって裏打層(3)の表面に存在していた気孔形成用化合物が溶媒に溶出し、これによって形成された気孔から溶媒が裏打層(3)の内部に徐々に侵入していき、こうして新たな気孔が次々と連通状態で形成される結果、裏打層(3)に連続気泡構造が形成される。こうして得られた裏打層(3)は、十分な通気性が得られる一方で遮水できるという特性を備えていると共に、連続気泡構造によって十分な吸音性が得られるので、この第2工程を経て製造されたマット(1)は、優れた吸音性を有すると共に十分な遮水性を確保できるものとなる。即ち、マット(1)の下側からの騒音は、裏打層(3)で吸音される一方、マットの上側の騒音は、表皮材(2)を介して裏打層(3)に到達してこの裏打層(3)で吸音されるので、このマット(1)が敷設された空間内(例えば車室内)において十分な静粛性が確保されるものとなる。
【0029】
更に、本発明の製造方法では、先に表皮材(2)の裏面に裏打層(3)を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層(3)に連続気泡構造を形成せしめているから、裏打層(3)の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を裏打層(3)に確実に形成することができて十分な通気性を確保することができる。これに対して、例えば、上記手法で連続気泡構造に形成された裏打層シートを先に製作し、この裏打層シートを表皮材の裏面に接着剤を介して接着したのでは、裏打層シートの上面(接合面)の気孔の多くが接着剤によって閉塞されてしまって良好な連続気泡構造を維持できないし、また先に製作した連続気泡構造の裏打層シートを表皮材の裏面に裏打層自体の加熱溶融によって接着したのでは、裏打層シートの上面、下面及び内部の気孔の多くが溶融樹脂によって閉塞されてしまって良好な連続気泡構造を維持できない。
【0030】
前記第2工程において、溶媒による洗浄に際しては、例えば裏打層(3)だけを洗浄するものとしても良いし、或いは中間体マット(6)全体を洗浄するものとしても良い。具体的には、例えば裏打層(3)の裏面側から前記溶媒をスプレーして洗浄しても良いし、中間体マット(6)全体を前記溶媒中に含浸せしめて洗浄(例えば超音波洗浄)するようにしても良く、洗浄の具体的方法は特に限定されない。また、この第2工程は前記第1工程と連続工程で行うようにしても良いし、第1工程とは別工程で行うものとしても良い。また、この第2工程の後に乾燥工程を設けても良い。
【0031】
前記溶媒としては、気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒であればどのようなものでも用いることができ、例えば気孔形成用化合物として塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の水溶性無機塩を用いる場合には、溶媒として水を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。また、気孔形成用化合物として炭酸カルシウムを用いる場合には、溶媒として塩酸水溶液を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。また、気孔形成用化合物として、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エステルグリコール等の多価アルコールを用いる場合には、溶媒として水を用いれば高分子物質を溶解させることなく気孔形成用化合物だけを選択的に溶解させることができる。前記溶媒としては、その他に、例えばアルコール等の有機溶媒を例示できる。
【0032】
この発明のマット(1)において、裏打層(3)の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmに設定されているのが好ましい。気孔の大きさは、高分子組成物における気孔形成用化合物の含有量、押出温度、気孔形成用化合物が無機塩である場合にはその粉体の粒径等の条件を調整することによって制御することができる。また、裏打層(3)における気孔の容積率は、主に高分子組成物における気孔形成用化合物の含有量を調整することによって制御することができ、例えば気孔の容積率を50〜90%にすることも可能である。
【0033】
なお、高分子物質として親水性樹脂を用いる場合には、気孔の大きさは平均30〜80μmに設定すれば十分な遮水性が得られるが、高分子物質として疎水性樹脂を用いた場合や、撥水剤を含有せしめた場合には、気孔の大きさはさらに大きくても(例えば800μmでも)十分な遮水性が得られるものであり、このような主に遮水性確保の観点から、裏打層(3)の連続気泡構造における気孔の大きさは平均30〜800μmに設定されているのが好ましい。
【0034】
この発明において、前記表皮材(2)としては、特に限定されるものではないが、例えば基布の上にパイルが植設されたもの(図1参照)や、編布、織布、ニードルパンチ不織布等の不織布などを例示できる。図1の構成を採用する場合に、この発明の効果(通気性)を阻害しない範囲であれば、基布の裏面にパイル抜け防止用のラテックスが塗布されていても良い。この表皮材(2)を構成する繊維の種類は特に限定されず、例えばポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。
【0035】
また、表皮材(2)をポリプロピレン繊維で構成し、裏打層(3)をポリプロピレンで構成した場合には、この吸音遮水マット(1)を処分する際に各部材を何ら相互分離することなくマット全体をそのままリサイクル利用に供することができ、このようにリサイクル利用が容易化されるという利点がある。
【0036】
なお、上記実施形態では、裏打層(3)の下面は平坦面に形成されているが、特にこのような形態に限定されるものではなく、例えば第1工程での押出ラミネートの際に、ロール(11)としてエンボスロールを用いることで圧接と同時に裏打層(3)の下面に多数個の防滑用突起を突設形成せしめるようにしても良い。このような防滑用突起を設けることにより、敷設下地面がパイルカーペットや不織布等であるような場合でも十分な防滑性が発揮され得て敷設下地面に対してずれ移動を生じることがない。
【0037】
この発明の吸音遮水マット(1)は、自動車用フロアーマットとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【0038】
【発明の効果】
請求項1、2の発明によれば、裏打層中の気孔形成用化合物を溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、この裏打層は通気性が得られて吸音性を確保できると共に、この裏打層によって十分に遮水することができる。また、本製造方法では、表皮材の裏面に裏打層を積層一体化し、この後に、溶媒洗浄によって裏打層に連続気泡構造を形成せしめているので、裏打層の上面、下面のいずれにも良好状態に連通した連続気泡構造を確実に形成することができて十分な通気性を確保することができ、これによって優れた吸音性を確保できる。
【0039】
請求項2の発明によれば、上記効果に加えて、表皮材と裏打層とを十分な接合強度で積層一体化できると共に、生産性も顕著に向上できる。
【0040】
請求項3の発明によれば、上記効果に加えて、裏打層の遮水性能を一層向上させることができる。
【0041】
請求項4の発明によれば、上記効果に加えて、裏打層の遮水性能をより一層向上させることができる。
【0042】
請求項5の発明によれば、上記効果に加えて、洗浄の際に表皮材の構成繊維や裏打層に悪影響を及ぼすことがなく高品質のマットを提供できる。
【0043】
請求項6の発明によれば、上記効果に加えて、十分な遮水性を確保しつつ吸音性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る吸音遮水マットを示す断面図である。
【図2】製造方法を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
1…吸音遮水マット
2…表皮材
3…裏打層
6…中間体マット
10…押出機
Claims (6)
- 高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を溶融状態で表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、
前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法。 - 高分子物質に気孔形成用化合物を分散含有せしめてなる高分子組成物を押出機から溶融押出して表皮材の裏面にラミネートすることによって表皮材の裏面に裏打層が設けられた中間体マットを得る工程と、
前記中間体マットの少なくとも裏打層を、前記気孔形成用化合物は溶解するが高分子物質は溶解しない溶媒で洗浄することによって、前記裏打層中の気孔形成用化合物をこの溶媒に溶解せしめて裏打層に連続気泡構造を形成する工程とを包含することを特徴とする吸音遮水マットの製造方法。 - 前記高分子物質として疎水性熱可塑性樹脂を用いる請求項1または2に記載の吸音遮水マットの製造方法。
- 前記高分子組成物は、さらに撥水剤を含有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸音遮水マットの製造方法。
- 前記気孔形成用化合物として水溶性無機塩の粉体を用い、前記溶媒として水を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音遮水マットの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された製造方法により製造されたマットであって、裏打層の連続気泡構造における気孔の大きさが平均30〜800μmであることを特徴とする吸音遮水マット。
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