JP2004159762A - 流量制御具及びそれを用いた薬液注入システム - Google Patents
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Abstract
【課題】低いコストで製作できて簡便に使用でき、しかも流量が安定して実用的な精度を有する流量制御具を提供する。または、低コストでしかも安定した流量で点滴を行なうことができ、点滴に用いた場合に点滴途中の移動も可能な薬液注入システムを提供する。
【解決手段】軟質チューブの収納部と蓋状部とからなる流量制御具であり、収納部はチューブの位置決めを行なう案内ガイドと押圧面1と係止機構1を有し、蓋状部は押圧面2と係止機構2を有し、係止機構1と2は組み合わされて収納部と蓋状部を固定し、押圧面1と2は、固定状態において、平行で一定の面間距離を保って相対し一定長さにわたってチューブを押圧して流量制御を行なう。
【選択図】 図1
【解決手段】軟質チューブの収納部と蓋状部とからなる流量制御具であり、収納部はチューブの位置決めを行なう案内ガイドと押圧面1と係止機構1を有し、蓋状部は押圧面2と係止機構2を有し、係止機構1と2は組み合わされて収納部と蓋状部を固定し、押圧面1と2は、固定状態において、平行で一定の面間距離を保って相対し一定長さにわたってチューブを押圧して流量制御を行なう。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、軟質チューブ内を流れる液体の流量を簡便に調整することができる低コストの流量調整具に関し、好ましくは、輸液等の薬液を安定した流量で患者体内に点滴注入できるようにするための、簡便で安価に構成することができる流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
軟質チューブ内を流れる液体の流量を調整する目的で、軟質チューブをチューブに対して直角方向の一線で押圧し、軟質チューブ内の流路断面を変形して流量調節を行なうクランプ類が用いられている。このようなクランプ類には、軟質チューブの変形を複数の段階で調節できる段階的係止部が設けられているものや、連続的に移動することにより軟質チューブの変形量を調節できるようにしたローラを用いるいわゆるロールクランプ等がある。しかし、いずれも流量の調節は大雑把で精度は低い。
【0003】
また、電解質や水分の供給、薬効成分の投与などの目的で、各種の薬液が患者血管に留置された注射針を通して時間をかけて注入される、いわゆる点滴では、各種の輸液ポンプやシリンジポンプ等のポンプ類によって一定流量で安定的に注入するか、若しくは薬液を満たした可撓性の軟質バッグを点滴スタンドから吊り下げ、点滴セットの点滴チューブ途中に取り付けられたロールクランプによって流量を調整しながら、重力によって薬液を注入するのが一般である。
【0004】
重力によって薬液を注入する方法は低コストで広く普及しているが、ここで用いられるロールクランプによる流量調節は、滴下数をカウントしながら流量を調整するために時間と熟練を要し、しかも前記したように流量の精度は低く、ロールのずれによる流量変動も生じやすくて安定性は低い。また、薬液バックと注射針の相対的な位置関係などによっても流量が影響を受ける。そのため、流量が大きすぎて患者に不快感を与えたり、点滴に要する時間が区々なために点滴作業を行なう医療従事者に余分な負担を強いる。さらに、点滴途中の移動には点滴スタンドを引きずらねばならず不便であるなどの問題点が指摘されている。
【0005】
一方、ポンプ類を用いる方法は、流量の安定性が高く、投薬目的に合わせて流量の変更も容易という長所があるが、コストが高いためになかなか普及していない。さらに、ポンプ駆動のための電源や装置重量のために点滴途中では患者は移動しにくい。
【0006】
このような問題点に対して、ローラクランプで押圧されるチューブ内に、流量調節用の細径な流路を有する流量調節部材を設け、これがローラクランプで押されて流量調節を確実にするという発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、バルーンを用いた薬液注入装置において、複数の内径の異なる細管を並列に設け、どの管を用いて薬液を注入するかを医療従事者が選択し、注入に用いない管をクランプで閉じることにより、流量の正確な制御と目的に応じた可変性を両立させようとする発明等が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、輸液ポンプの代わりに、点滴用薬液バッグを小型ガスボンベを用いた加圧手段で加圧し、かつ流量測定手段や流量制御手段等を備えてこれらをコンピュータコントロールする点滴装置も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、いずれにせよ流路構造や制御装置が複雑となり、やはりコスト高となっていまう問題点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−117348号公報(図1〜8参照)
【特許文献2】
特開平10−113386号公報(0006欄参照)
【特許文献3】
特開平9−262286号公報(請求項1および図3参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低いコストで製作できて簡便に使用でき、しかも流量が安定して実用的な精度を有する流量制御具を提供することを課題とする。好ましくは、流量を微調整可能としたり、または投薬目的に応じて複数種の流量を設定することができる流量設定具を提供することを課題とする。また、好ましくは、点滴に用いた場合に点滴途中の移動も可能な流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明の第1は、軟質チューブを格納しうる収納部と該収納部の蓋状部とからなる流量制御具であって、前記収納部は、軟質チューブの位置決めを行なう案内ガイドと第1の押圧面と第1の係止機構とを有し、前記蓋状部は、第2の押圧面と第2の係止機構とを有し、前記第1の係止機構と前記第2の係止機構とは、互いに組み合わされて前記収納部と前記蓋状部との相対位置を固定若しくは準固定する嵌め合い状態を構成しうるものであり、前記第1の押圧面と前記第2の押圧面は、前記嵌め合い状態において、略平行で略一定の面間距離を保って相対し、かつ一定の長さにわたって前記軟質チューブを押圧、変形することにより該軟質チューブを流れる液体の流量制御を行なう流量制御具である。この構成により、長さと変形との両方に起因する流れ抵抗を利用して流量制御が行えるから、実用的な精度を有する安定した流量を得ることができる。
【0010】
ここで、面間距離が、軟質チューブの肉厚の2倍より大きくかつ軟質チューブの外径より小さい流量制御具とすることは好ましい。この構成により、流路が閉塞して流れが生じなくなったり、また、軟質チューブの変形が行われずに流量制御が行なわれない事態となるのを防止することができる。
【0011】
また、液体が点滴用薬液であり、軟質チューブが点滴セットに含まれる軟質チューブである流量制御具とすることは好ましい。この構成により、低コストで、しかも簡便な操作で安定した点滴流量を得ることができる。
【0012】
また、軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、2mm以上60cm以下である流量制御具とすることは好ましい。この構成により、患者への点滴には支障ない範囲で流量の制御を行うことができる。
【0013】
また、収納部が、直線状で軟質チューブを収納可能であり、嵌め合い状態において、蓋状部が、収納部に対して一方向に相対移動可能に準固定されており、収納部の第1の押圧面と蓋状部の第2の押圧面とが互いに平行で、かつ前記一方向に対して平行からわずかに斜めに配置されている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、流量制御具を取り付けてから流量を調整することが可能となる。
【0014】
また、収納部と蓋状部とが、ヒンジによって各々の押圧面に垂直方向に、互いに部分回転可能に結合されている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、収納部と蓋状部とがバラバラにならないから、収納部と蓋状部との組み合わせのミスや部品の紛失の発生を防止することができる。
【0015】
また、軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、案内ガイドに沿って複数種類、選択可能に設けられている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、1つの流量制御具を用いる場合でも広範囲の流量設定が可能となる。
【0016】
発明の第2は、薬液バッグと点滴筒と注射針をそれぞれ軟質チューブで接続して点滴を行なう薬液注入システムにおいて、前記薬液バッグは加圧部のガス圧により押圧されており、かつ前記軟質チューブの一部に上記の流量制御具が取り付けられている薬液注入システムである。この構成により、低コストで、しかも実用的な精度で安定した流量で点滴を行うことが可能となる。
【0017】
また、加圧部が、持ち運び可能な小型のガスボンベまたはあらかじめ設置されたガス配管からなるガス供給部と、前記ガス供給部から供給されたガス圧を減圧する減圧部と、前記減圧部を経たガスの圧力を用いて薬液バッグを加圧する加圧バッグ部とを含んでなる薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、低コストの薬液注入システムが得られる。または、患者が点滴途中で移動することが容易な薬液注入システムが得られる。
【0018】
また、ガス供給部が、持ち運び可能な小型のガスボンベとあらかじめ設置されたガス配管とを切り替え可能に接続する薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、低コストで、しかも患者が容易に移動することが可能なシステムが得られる。
【0019】
また、減圧部は、小型のガスボンベまたはガス配管からのガス圧を減圧するに際し、いずれにも共通した減圧弁を一つだけ用いるものである薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、加圧バッグを加圧するガス圧の設定誤差が減少し、流量制御の精度が向上する。
【0020】
また、減圧部を経たガス圧が、100hPa以上400hPa以下である薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、従来の重力を用いる点滴よりも、比較的高い圧力で点滴を行なうことができるから、患者の移動や薬液バッグと患者の体の相対的な位置の変化による流量の変動が生じにくくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を引用しながら説明する。本発明の第1に係わる流量調節具は、軟質チューブ内を液体が流れる範囲内で、一定長さにわたって軟質チューブを一様に変形し、チューブ断面の変形による流れ抵抗とその変形が維持されている長さとによる流れ抵抗の両方を用いて流量制御を行う。この流量制御具は、点滴などの薬液注入システムに限らず、一般の液体の流量調節に用いることができるが、特に、一定圧力下での流量制御に適しており、発明の第2のように点滴による薬液注入システムに加圧バッグと組み合わせて用いるのが好適である。
【0022】
図1は、発明の第1の流量制御具の一例を示している。図1(a)は、流量制御具1の使用前の斜視図、図1(b)は、(a)の収納部3に軟質チューブ30をセッティングした状態を示す斜視図、図1(c)は、(b)に示した状態を長さL方向に平行方向から見た平面図、図1(d)は、(c)に示した状態から蓋状部2の突出部22を収納部3の空間14に押し込む途中を示した平面図、図1(e)は、(d)の状態からさらに蓋状部2が押し込まれ、収納部3と蓋状部2とが嵌め合い構造を形成して互いに固定された状態を示す平面図である。
【0023】
この流量制御具1は、収納部3と蓋状部2とからなる。収納部3は、底部11と二つの側部12とから構成される断面が略コの字形で長さLの角柱である。二つの側部12と底部11で囲まれた空間14は、軟質チューブ30を収納すると共に、押圧、変形する際に軟質チューブ30が押圧面20および10から外れないよう保持する案内ガイドとして機能する。収納部3の両端には軟質チューブ30のための出口が各々に設けられている。底部11は、角柱の内側側面に軟質チューブ30と接して押圧する押圧面10を有している。二つの側部12の各々は、蓋状部2との相対位置を固定する嵌め合い構造を形成するために、内側側面の端面側において、側部12から直角に突出して押圧面10と相対し、長さLに平行方向に設けられた段差13を有し、さらに、蓋状部2がスムースに収納部3の空間14に押し込めるようにするための、段差13と同様に長さLに平行方向に設けられ、段差13から端面26に向かって段差13を解消するように傾斜した斜面15を有している。なお、収納部3の二つの側部12の段差13の先端どうしの距離は、蓋状部2の先端部分である面20の幅より若干大きいものの略同じである。
【0024】
蓋状部2は、天板24と突出部22とからなる断面が略T字形状で長さLの角棒であり、天板24は、蓋状部2を収納部3の空間14に押し込んだ場合に、収納部3の端面26と接することにより、それ以上蓋状部2を押し込めないようして軟質チューブの変形を一定範囲内にとどめるための面23を、突出部側に有している。突出部22は、先端に軟質チューブを押圧、変形させる押圧面20を有し、突出部の両側面には、長さL方向に設けられ、面23と相対するように突出部22の側面から直角に突出した段差21と、段差21と押圧面20とをつなぎ、段差21を解消するように傾斜した斜面25を有している。面23と押圧面20と面21は平行である。
【0025】
軟質チューブ30を収納部の空間14に収納し、続いて蓋状部2の突出部22を収納部3の空間14に押し込み始めると、まず、斜面15と斜面25が接し、続いて押し込むことによって斜面25が収納部の二つの斜面15を押し広げるように作用し、収納部3の二つの側部12は歪みを生じて図1(d)に記載のごとくわずかに外側に押し広げられる。さらに押し込んだ状態で斜面15と斜面25が接しなくなると、図1(e)に記載のように、側部12が弾性力によって元の形状に戻って歪みが解消され、代わって段差13と段差21が接して嵌め合い状態を形成して押し込みが終了する。このあと、押圧面20は、軟質チューブの弾性とチューブ内の液体の圧力により反発力を受けて押し戻されるが、面13と面21とが噛み合って図1(e)に記載のように抵抗となり、その結果、収納部3と蓋状部2との相対位置が固定され、押圧面10と押圧面20との相対位置も固定する。この状態で二つの押圧面は、互いに平行で一定の面間距離を保っており、収納されている軟質チューブを変形、押圧する。段差13と段差21は蓋状部の取り外し又は緩みに対する抵抗となるため、いったん取り付けた流量制御具が予期せずに外れたり、押圧が緩んで軟質チューブの変形が戻ってしまったりして流量が変動するということがなく、安定して使用することができる。
【0026】
流量制御具1は、軟質チューブに平行方向に一定の長さLを有しており、固定状態において長さLにわたって面10と面20が相対して、一定の面間距離sを保ちながら互いに略平行となる。この長さLと面間距離sは、液体の流れ抵抗を規定する要素であり、目的とする流量および一定の圧力を前提として、各種軟質チューブの外径および肉厚の違いに基づいて軟質チューブごとにあらかじめ定められる。点滴セットの軟質チューブに取り付ける場合には、流量制御の精度と点滴セットの使いやすさの観点から、長さLは2mm以上60cm以下であることが望ましい。より望ましくは5mm以上50cm以下、さらに望ましくは1cm以上40cm以下、さらに望ましくは5cm以上30cm以下である。
【0027】
面間距離sは、用いられる軟質チューブが必ず押圧、変形されるように設定される一方で、押圧過剰により変形が大きすぎて軟質チューブの流路が閉塞し、液体流れが停止することが無いように設定される。そのためには、面間距離sは、挟み込まれる軟質チューブの肉厚の2倍より大きくかつ軟質チューブの外径より小さい範囲内で設定される。
【0028】
なお、収納部3の押圧面10および蓋状部2の押圧面20の幅を軟質チューブ30の外径よりある程度大きく設定し、軟質チューブ30が2面間で蛇行などの曲線を描く状態で収納可能とし、その状態のまま押圧、変形できるようにしても良い。これにより、2面間で押圧、変形される軟質チューブの長さを、流量制御を行なう作業者が微調整することが可能となる。
【0029】
図1の例の流量制御具を用いて各種の流量設定に対応するためには、例えば、1種類の収納部に対して厚みtが異なる複数の蓋状部を用意して選択させ、面間距離sが異なるようにしてもよいし、収納部及び蓋状部の断面形状が同じで長さLを変えた制御具を複数用意して選択させても良い。また、比較的長さLが短い流量制御具を単位として、同じ単位流量制御具を複数直列に1本の軟質チューブに取り付けるようにしても良い。さらには、収納部に対して蓋状部を長さ方向に若干ずらして嵌め合い状態を形成するようにし、流量を増加させる方向の調整を行なうこともできる。いずれにせよ、流量調整を行なう医療従事者等の作業者の負担にならず、かつ流量の設定ミスが起きにくいように、できるだけ単純に設定できるようにすることが望ましい。
【0030】
次に、流量制御具の他の例を図2に示す。この例は、図1の流量制御具と類似した、軟質チューブを収納しうる収納部とその収納部に対応した蓋状部とからなる流量制御具である。図2の流量制御具では流量の調整をより容易に行うことができる。図1の例と異なる点を中心に説明する。図2(a)は、流量制御具の使用前の斜視図、図1(b)は、(a)の収納部102の正面図、図1(c)は、(a)に示した使用前の流量制御具の側面図、図1(d)は、収納部102の背面図である。図2の流量制御具100では、係止部を構成する二種類の段差21と13に対して、軟質チューブおよびそれを押圧する二つの押圧面が図1の流量制御具のように平行ではなくわずかに傾きを有している。具体的には、蓋状部101は、図1の押圧面20からさらに軟質チューブ側に突出した楔形の凸部103を有しており、この楔形の凸部103は、図1の押圧面10を基準として、図2(c)の図面上の左端では一定の高さuを有し図面上の右端では高さゼロとなっている。この結果、蓋状部101の押圧面108は、天板24の面23若しくは段差21の面に対して図面上で左下がりの傾斜を有する。この蓋状部101の構造に対応して、収納部102の押圧面106および底部107も、端面26若しくは段差21に対して、図面上左下がりの傾斜を有し、その傾斜は、図2(c)の左端で高さu、右端で高さゼロとなるように設けられている。
【0031】
図2(c)の収納部102に対して、蓋状部101のつまみ104を押して蓋状部101を図面上の左右に相対移動させることにより、押圧面106と108の面間距離を微妙に変化させることができる。これにより、軟質チューブの変形度合いを微妙に調節し、流量制御を行うことができる。例えば、収納部102に対して蓋状部101を矢印121方向に移動させると、図2の流量制御具では、一定の長さLにわたって流れ抵抗を形成して制御を行ない、ローラクランプのように一線のみの流れ抵抗で制御するのではないから、より微妙な調整が容易に行なえる。なお、長さLを一定とすれば、高さuは、小さいほど微妙な制御が可能となる一方、制御できる幅は小さくなる。逆にuが大きいと制御できる範囲の幅は大きくなるが、微妙な制御は難しくなる。したがって、液体を流すための圧力と流量制御を行なうべき流れ抵抗とその精度を想定しながら、高さuを適宜決定すればよい。
【0032】
次に、流量制御具の他の例を図3に示す。この例の流量制御具52では、軟質チューブ51をガイドすると共にその底面が軟質チューブ51を押圧する面を構成する比較的浅い案内溝33を有する収納部31と、収納部31との相対位置が固定可能で軟質チューブ51を押圧しうる蓋状部30とが、軟質チューブ51に平行方向に回転の軸が設けられたヒンジ50によって互いに回転可能に固定されている。図3(a)は、蓋状部30が開いた状態における流量制御具52の斜視図であり、図3(b)は、流量制御具52に軟質チューブ51を収納した状態を示す斜視図である。また、図3(c)は、図3(b)に示した状態を軟質チューブ51に平行方向から見た平面図であり、図3(d)は、蓋状部30が閉じて蓋状部30と収納部31との相対位置が固定されて軟質チューブ51が押圧された状態を、軟質チューブ51に平行方向から見た平面図である。
【0033】
図3の流量制御具の軟質チューブ51を収納する収納部31は、押圧面33と、その押圧面33を挟む二つの側部42と、側部42の一つに設けられた直線フランジ34とを有する断面が略円弧形状で長さLの板状物である。二つの側部42と押圧面33は、軟質チューブ51をガイドする比較的浅い案内溝42を構成する。直線フランジ34には、蓋状部30の係止突起40の先端部を挿入して蓋状部30と収納部31との相対位置を固定するための係止孔35が複数設けられている。また、蓋状部30は、押圧面32と直線フランジ37とからなり、断面が略半月形状で長さLの板状物である。直線フランジ37の押圧面32側には、直線フランジ37から垂直方向に複数の係止突起40が突出して設けられている。係止突起40は、係止孔35に先端を挿入する際に挿入しやすくするための斜面39と、挿入した後に、係止孔35の係止面36と接して嵌め合い状態を形成する段差38を有する。さらに、蓋状部30と収納部31とは、直線フランジ37または34が設けられた一端の他端において、複数のヒンジ50で結合されており、図3(c)の矢印に示されるように、押圧面に対して垂直方向に互いに部分回転可能となっている。
【0034】
図3の流量制御具52の使用の際には、図3(b)に記載のように軟質チューブ51を収納部31の案内溝42に収納し、蓋状部30をヒンジ50を中心にして部分回転し、係止突起40の先端を係止孔35に挿入する。この段階で、押圧面32と押圧面33は軟質チューブ51に接して押圧し始めるが、軟質チューブの弾性力に抗してさらに押圧面32と押圧面33が近づくように、蓋状部30を収納部31に押し付ける。このとき、係止突起40の斜面39は係止孔35の内側面に接して案内溝42方向に係止突起40を歪ませる力を受けて若干変形する。蓋状部30を十分押し付けて係止突起40に設けられた段差38が係止孔35を通り抜けた段階で嵌め合い状態が形成される。このとき係止孔35の内側面から加わっていた力がなくなって、弾性力で係止突起が元の形状に戻る。また、軟質チューブの弾性力等のために係止突起の段差38と係止孔35の係止面36とが、互いに接して嵌め合い状態を形成する。
【0035】
二つの押圧面32と33の面間距離sと長さLとによって流量制御を行うのは、図1または2の流量制御具と同じである。この流量制御具52を用いて流量の微調整ができるようにするためには、図1の流量制御具と同様に複数直列に使用するなどの他に、係止突起40に設けられた段差38を1つの係止突起に複数設けるか、または、係止孔35の係止面36において、例えばノコギリ状に複数の段差を有する係止部を段差38に対応するように設けるようにしても良い。
【0036】
次に、1つの流量制御具で、軟質チューブを変形する長さを複数種類設定可能で、その結果、複数の流量を設定できる流量制御具の例を図4に示す。この流量制御具200も、やはり収納部202と蓋状部201とからなるが、収納部202は複数種類の流路が接待できるように軟質チューブを異なる態様で収納することができる。収納部202は、軟質チューブに接して押圧する押圧面205と、軟質チューブの出口203と208で開口している周壁部204と、周壁部204から独立して押圧面上に設けられたおよそ比較的厚めの略五円玉形状をなす島状突起部206とが複数配置されている。それぞれの島状突起部206の中央には、押圧面205に垂直方向に円柱状の係止孔207が設けられ、係止孔207の内部には、押圧面205と略平行で押圧面205とは表裏が逆である段差213が設けられ、これにより段差213の前後で係止孔の直径が異なる。なお、周壁部204の内側側面は、島状突起部206と対応して、液体流れに予期せぬ抵抗を生ぜしめないように、軟質チューブが一定の曲率で曲げられるように曲線と直線を組み合わせてあり、いわゆる角の部分が生じないようになっている。
【0037】
蓋状部201は、収納部202に対応した形状であり、図4にはA−A’断面図のみを図示している。蓋状部201は、天板215と突出部214と係止突起209を有する。突出部214は、収納部202の押圧面205に対応した形状で天板215の片面に設けられ、その先端には押圧面216を有している。また、天板215の突出部214と同じ面に、収納部202の係止孔207に対応した複数の係止突起209が、押圧面216に垂直方向に設けられている。係止突起209は、係止突起209を係止孔207に挿入しやすくするために、その先端部分は楔状の斜面211を有しており、さらに、嵌め合い状態を形成するために、押圧面216と相対して平行である段差210を係止突起の途中に有する。
【0038】
この流量制御具200は、図1から図3の流量制御具と同様に、収納部202の押圧面205に軟質チューブをセッティングし、蓋状部201で軟質チューブを押圧、変形し、係止突起を係止孔に挿入して嵌め合い状態を形成して固定する。しかし、図4の流量制御具は、軟質チューブをセッティングする際に、変形される軟質チューブの長さが複数種類となるように、各種のセッティングが可能である。これを図4の(d)から(j)に示す。ここでは、6つの島状突起部206を6つの円で示し、軟質チューブの位置を液体の流れ方向を示す矢印つきの実線を用いて簡略に表す。(d)のように軟質チューブをセッティングすれば、もっとも変形を受ける流路長が短く、すなわち流れ抵抗が小さくなり、(d)から(e)、(f)と変化するにつれて流路長が長く、すなわち流れ抵抗が大きくなる。もっとも流路長が長いのは(j)であり、この場合(d)のおよそ5倍の流路長となる。
【0039】
このように、軟質チューブを一定長さにわたって変形させることにより、流路の断面と流路長の両方に起因する流路抵抗を用いて流量制御を行う制御具は、製作も軟質チューブへの取りつけも簡単であり、さらに流量の精度も良い。特に、点滴などの流量制御が重要な用途に適している。さらには、一定圧力下でより流量制御の精度が高くなるから、薬液バッグを加圧する加圧バッグなどの一定の加圧手段と併用して用いるのが好適である。
【0040】
上記の各種の流量制御具を構成する材料としては、軟質チューブを押圧できる程度の剛性を有して、軽量で取り扱いやすく、比較的低コストで製造できる材料が好ましい。また、薬液供給システムに用いる場合には、点滴セットが使い捨てであるから、点滴セットと一緒に廃棄処分できるのが望ましい。このような材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂等のプラスチックスおよびそれらの組み合わせを挙げることができる。また、流量制御具の製造は、射出成型など公知のプラスチック成形技術を用いて行なえばよく、特に制限されない。
【0041】
使用できる軟質チューブの材質としては、ある程度の弾性と可撓性を有し、人の手で容易に取り扱えるものであれば特に制限されないが、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。
【0042】
このような流量制御具の変形は上記以外にも各種考案できるが、いずれの変形も本発明の思想を利用する限り、本発明の流量制御具に含まれる。
【0043】
次に、発明の第2である薬液注入システムについて説明する。図5は、本発明の第1の流量設定具を用いて構成された発明の第2の薬液注入システムの例を示した模式図である。輸液などの薬液が貯留された薬液バッグ303は公知のものであり、図1では点滴スタンド300のハンガー301のフック302に吊り下げられている。薬液バッグ303はその周囲を加圧バッグ304のメッシュ305で囲まれている。
【0044】
加圧バッグとは、袋状の塩ビシートやポリプロピレンメッシュ等の可撓性である程度の引張り強度を有する軟質プラスチックとの組み合わせ、または布袋とゴム製のバルーンの組み合わせ等により製作され、例えば、血圧測定で二の腕に巻いて血管を圧迫するために用いられる圧迫帯(カフ)と同様の構造と機能を有している。
【0045】
発明の第2の加圧部として用いることができる加圧バッグ304は、一定の耐圧性を有するものであれば公知の加圧バッグを用いればよく、小型の持ち運び可能なガスボンベ311若しくは病院内にあらかじめ設置されているガス配管からの配管313に減圧弁312を介して接続して用いる。加圧バッグ304は、減圧弁312から供給されるガス圧によって体積が膨張し、このために加圧バッグ304に囲繞されている薬液バッグ303が加圧されて薬液が押出される。このような加圧バッグを用いれば、重力を利用する点滴スタンドを用いる必要は無く、また、加圧圧力を比較的高くかつ一定に設定できるから、前述した流量調節器による流量のコントロールが比較的容易となる。なお、加圧部としては、上記のような薬液バッグを囲繞する軟質の加圧バッグに限るものではなく、薬液バッグをガス圧により加圧できる形式のものであれば用いることができる。
【0046】
なお、図5では、従来の点滴方法と同様に点滴スタンド300のフック302に薬液バッグ303を吊り下げて使用している。このように注射針からの薬液注入に重力がかかるようにして点滴を行なっても良いが、注射針には加圧ガスの圧力と重力による圧力の両方が加わることになる。患者が移動する際の簡便さの観点からは、点滴スタンドを用いないで点滴システムを首掛けや肩掛け形式にして持ち運べることが望ましい。そのような形式では重力による加圧はできないから、重力による加圧が無いか若しくは小さい状態で、常時点滴ができることが望ましい。そのためには、点滴スタンドを使用するとしても注射針の高さと同じ程度の高さに点滴バッグの位置を調整し、もっぱらガス圧による加圧を利用して点滴を行なうようにするのが望ましい。流量も正確に調節可能となる。
【0047】
ガス供給部としては、小型ガスボンベまたはガス配管のいずれか一方、若しくは両方を切り替え可能に使用すれば良い。図5の例では、小型ガスボンベ311とガス配管314(図示していない)からの延長配管313は、減圧弁312の前に設けられた三方弁(図示していない)により切り替え可能となっており、手術室で薬液注入しながら手術を行なったり、ベッドで長時間安静にしている状態ではガス配管からのガス圧を用い、ベッドから離れて移動する場合には小型ガスボンベのガス圧を用いるように切り替えて使用するのがコスト面からみて望ましい。なお、使用するガスとしては、可燃性や爆発性を有さない比較的低価格のものを用いればよく、具体的には、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気等が例示される。
【0048】
このように、ガス圧を用いて薬液バッグを加圧することにより、患者と薬液バッグの相対高さの変動による圧力変動が起こりにくくて加圧圧力が比較的一定しており、しかも重力による加圧よりも若干高めの加圧が可能となり、流量制御がより容易となる。
【0049】
減圧弁312は、小型ガスボンベ311若しくはガス配管314からの延長配管313から供給されるガスの圧力を、加圧バッグ304に供給できるまでに減圧する。例えば、炭酸ガスの小型ガスボンベの使用開始直後のガス圧力は約60000hPaであり、病院内に設置されているガス配管のガス圧力は、病院設置基準に従って約4000hPaである。一方、加圧バッグにかけるべき圧力は、一般の静脈内の圧力の範囲と流量調節の容易さという観点から100hPa以上400hPa以下であることが望ましい。より望ましくは150hPa以上350hPa以下、さらに望ましくは200hPa以上300hPa以下である。そのため、図5の例では、減圧弁は、小型ガスボンベの約60000hPaから加圧バッグにかけるべき100hPa以上400hPa以下の範囲内に一段で減圧できるものを使用する。なお、加圧バッグ304にかかる圧力である減圧弁312の出口圧は、圧力メータ310または加圧バッグ304に付属のマノメータ323で確認することができる。
【0050】
一段で減圧する減圧弁が何らかの理由で利用できない場合には、まず高圧減圧弁を使って一度約60000hPaから約10000hPaていどに減圧し、さらに低圧減圧弁を使って約10000hPaていどから100hPa以上400hPa以下の範囲内に減圧する、つまり2段で減圧するようにしても良い。この場合、ガス配管から供給されるガスの減圧には、低圧減圧弁のみを使用すればよい。ただし、二段で減圧すると減圧弁の誤差が重なるために、加圧バッグに加える圧力が誤差が大きくなりやすく、これが流量制御の誤差につながりやすい。そのため、できるだけ一段で減圧することが望ましい。
【0051】
ガス供給部の構成例を図6に示す。図6(a)は一段で減圧できる一段減圧弁を用いた場合の構成例、図6(b)は高圧減圧弁と低圧減圧弁を用いて二段で減圧する場合の構成例である。(a)では、小型ガスボンベ311からのガスとガス配管314からのガスは、三方弁315でいずれかに切り替えられて一段減圧弁312に供給されて十分減圧され、マノメータ323で圧力を測定されながら加圧バッグ304に供給される。(b)では、小型ガスボンベ350からのガスは、まず高圧減圧弁351で約10000hPaていどに減圧され、ガス配管314からのガスと三方弁352でいずれかに切り替えられてから低圧減圧弁354に供給され、薬液注入に適する圧力まで減圧され、マノメータ355で圧力を測定されながら加圧バッグ304に供給される。なお、図5の例におけるガス供給部の減圧弁312出口からの配管320は、接続コネクタ321、クランプ322、マノメータ323を介して加圧バッグ304に接続されている。
【0052】
薬液バッグ303から点滴を行なう注射針へのラインについては、市販の点滴セットを用いればよい。市販の点滴セットは、薬液バック303の取り出し口に差し込んで薬液を取り出すプラスチック針(スパイク)324、一定時間内の滴下滴数を目視で数えて流量を測定する点滴筒(ドリップチャンバー)325、流量調節を行うロールクランプ326、注射針を取り付けるルアーコネクター329、およびこれらを直列に接続する軟質チューブ328からなる。この点滴セットを薬液バッグ303に接続し、さらに点滴セットの軟質チューブの途中に上記の流量制御具327を取り付け、必要により発明の第1の流量制御具327若しくはロールクランプ326を用いて流量の微調整を行なう。ここで、流量制御具327の取り付け位置がロールクランプ326とルアーコネクター329の間としているが、プラスチック針324以降に取り付ければよく特に制限されない。なお、ロールクランプ326の調整の難しさの点やロールのずれによる流量変動の防止等の観点から、できるだけロールクランプ326は開放状態で用いることが望ましい。
【0053】
発明の第2の薬液注入システムでは、加圧バッグを用いて重力によるよりも若干高めに薬液バッグに圧力をかけ、その後、発明の第1の流量制御具で流れ抵抗を生ぜしめて流量を制御する。このようにすることで、低コストで安定した流量制御が可能となり、また、患者の点滴中の移動が容易で肉体的負担も低く、さらに医療従事者の作業負担も低減することができる。
【0054】
この薬液注入システムは、図5に記載のように点滴スタンドを用いた使用もできるが、重力を用いないために高さが必要でなく、また、電力も用いないために電線やバッテリーも必要ではない。そのため全体をコンパクトに収納することができ、患者の首からぶらさげたり肩にかけて持ち運びができるバッグ形式としたり、背中に背負うリュックサック形式とすることができる。また、チョッキなどに専用のポケットを設けて患者が移動時にそのチョッキを着用するようにしても良い。
【0055】
【発明の効果】
低いコストで製作できて簡便に使用でき、しかも流量が安定して実用的な精度を有する流量制御具が得られる。また、高価格の輸液ポンプを用いなくとも精度の良い流量で安定して点滴を行なうことができ、点滴途中の移動も可能な流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の第1の流量制御具の1例を示した概略図である。
【図2】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図3】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図4】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図5】発明の第二の薬液注入システムの1例を示した模式図である。
【図6】ガス供給部のラインの例を示した模式図である。
【発明が属する技術分野】
本発明は、軟質チューブ内を流れる液体の流量を簡便に調整することができる低コストの流量調整具に関し、好ましくは、輸液等の薬液を安定した流量で患者体内に点滴注入できるようにするための、簡便で安価に構成することができる流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
軟質チューブ内を流れる液体の流量を調整する目的で、軟質チューブをチューブに対して直角方向の一線で押圧し、軟質チューブ内の流路断面を変形して流量調節を行なうクランプ類が用いられている。このようなクランプ類には、軟質チューブの変形を複数の段階で調節できる段階的係止部が設けられているものや、連続的に移動することにより軟質チューブの変形量を調節できるようにしたローラを用いるいわゆるロールクランプ等がある。しかし、いずれも流量の調節は大雑把で精度は低い。
【0003】
また、電解質や水分の供給、薬効成分の投与などの目的で、各種の薬液が患者血管に留置された注射針を通して時間をかけて注入される、いわゆる点滴では、各種の輸液ポンプやシリンジポンプ等のポンプ類によって一定流量で安定的に注入するか、若しくは薬液を満たした可撓性の軟質バッグを点滴スタンドから吊り下げ、点滴セットの点滴チューブ途中に取り付けられたロールクランプによって流量を調整しながら、重力によって薬液を注入するのが一般である。
【0004】
重力によって薬液を注入する方法は低コストで広く普及しているが、ここで用いられるロールクランプによる流量調節は、滴下数をカウントしながら流量を調整するために時間と熟練を要し、しかも前記したように流量の精度は低く、ロールのずれによる流量変動も生じやすくて安定性は低い。また、薬液バックと注射針の相対的な位置関係などによっても流量が影響を受ける。そのため、流量が大きすぎて患者に不快感を与えたり、点滴に要する時間が区々なために点滴作業を行なう医療従事者に余分な負担を強いる。さらに、点滴途中の移動には点滴スタンドを引きずらねばならず不便であるなどの問題点が指摘されている。
【0005】
一方、ポンプ類を用いる方法は、流量の安定性が高く、投薬目的に合わせて流量の変更も容易という長所があるが、コストが高いためになかなか普及していない。さらに、ポンプ駆動のための電源や装置重量のために点滴途中では患者は移動しにくい。
【0006】
このような問題点に対して、ローラクランプで押圧されるチューブ内に、流量調節用の細径な流路を有する流量調節部材を設け、これがローラクランプで押されて流量調節を確実にするという発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、バルーンを用いた薬液注入装置において、複数の内径の異なる細管を並列に設け、どの管を用いて薬液を注入するかを医療従事者が選択し、注入に用いない管をクランプで閉じることにより、流量の正確な制御と目的に応じた可変性を両立させようとする発明等が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、輸液ポンプの代わりに、点滴用薬液バッグを小型ガスボンベを用いた加圧手段で加圧し、かつ流量測定手段や流量制御手段等を備えてこれらをコンピュータコントロールする点滴装置も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、いずれにせよ流路構造や制御装置が複雑となり、やはりコスト高となっていまう問題点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−117348号公報(図1〜8参照)
【特許文献2】
特開平10−113386号公報(0006欄参照)
【特許文献3】
特開平9−262286号公報(請求項1および図3参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低いコストで製作できて簡便に使用でき、しかも流量が安定して実用的な精度を有する流量制御具を提供することを課題とする。好ましくは、流量を微調整可能としたり、または投薬目的に応じて複数種の流量を設定することができる流量設定具を提供することを課題とする。また、好ましくは、点滴に用いた場合に点滴途中の移動も可能な流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明の第1は、軟質チューブを格納しうる収納部と該収納部の蓋状部とからなる流量制御具であって、前記収納部は、軟質チューブの位置決めを行なう案内ガイドと第1の押圧面と第1の係止機構とを有し、前記蓋状部は、第2の押圧面と第2の係止機構とを有し、前記第1の係止機構と前記第2の係止機構とは、互いに組み合わされて前記収納部と前記蓋状部との相対位置を固定若しくは準固定する嵌め合い状態を構成しうるものであり、前記第1の押圧面と前記第2の押圧面は、前記嵌め合い状態において、略平行で略一定の面間距離を保って相対し、かつ一定の長さにわたって前記軟質チューブを押圧、変形することにより該軟質チューブを流れる液体の流量制御を行なう流量制御具である。この構成により、長さと変形との両方に起因する流れ抵抗を利用して流量制御が行えるから、実用的な精度を有する安定した流量を得ることができる。
【0010】
ここで、面間距離が、軟質チューブの肉厚の2倍より大きくかつ軟質チューブの外径より小さい流量制御具とすることは好ましい。この構成により、流路が閉塞して流れが生じなくなったり、また、軟質チューブの変形が行われずに流量制御が行なわれない事態となるのを防止することができる。
【0011】
また、液体が点滴用薬液であり、軟質チューブが点滴セットに含まれる軟質チューブである流量制御具とすることは好ましい。この構成により、低コストで、しかも簡便な操作で安定した点滴流量を得ることができる。
【0012】
また、軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、2mm以上60cm以下である流量制御具とすることは好ましい。この構成により、患者への点滴には支障ない範囲で流量の制御を行うことができる。
【0013】
また、収納部が、直線状で軟質チューブを収納可能であり、嵌め合い状態において、蓋状部が、収納部に対して一方向に相対移動可能に準固定されており、収納部の第1の押圧面と蓋状部の第2の押圧面とが互いに平行で、かつ前記一方向に対して平行からわずかに斜めに配置されている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、流量制御具を取り付けてから流量を調整することが可能となる。
【0014】
また、収納部と蓋状部とが、ヒンジによって各々の押圧面に垂直方向に、互いに部分回転可能に結合されている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、収納部と蓋状部とがバラバラにならないから、収納部と蓋状部との組み合わせのミスや部品の紛失の発生を防止することができる。
【0015】
また、軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、案内ガイドに沿って複数種類、選択可能に設けられている流量制御具とすることは好ましい。この構成により、1つの流量制御具を用いる場合でも広範囲の流量設定が可能となる。
【0016】
発明の第2は、薬液バッグと点滴筒と注射針をそれぞれ軟質チューブで接続して点滴を行なう薬液注入システムにおいて、前記薬液バッグは加圧部のガス圧により押圧されており、かつ前記軟質チューブの一部に上記の流量制御具が取り付けられている薬液注入システムである。この構成により、低コストで、しかも実用的な精度で安定した流量で点滴を行うことが可能となる。
【0017】
また、加圧部が、持ち運び可能な小型のガスボンベまたはあらかじめ設置されたガス配管からなるガス供給部と、前記ガス供給部から供給されたガス圧を減圧する減圧部と、前記減圧部を経たガスの圧力を用いて薬液バッグを加圧する加圧バッグ部とを含んでなる薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、低コストの薬液注入システムが得られる。または、患者が点滴途中で移動することが容易な薬液注入システムが得られる。
【0018】
また、ガス供給部が、持ち運び可能な小型のガスボンベとあらかじめ設置されたガス配管とを切り替え可能に接続する薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、低コストで、しかも患者が容易に移動することが可能なシステムが得られる。
【0019】
また、減圧部は、小型のガスボンベまたはガス配管からのガス圧を減圧するに際し、いずれにも共通した減圧弁を一つだけ用いるものである薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、加圧バッグを加圧するガス圧の設定誤差が減少し、流量制御の精度が向上する。
【0020】
また、減圧部を経たガス圧が、100hPa以上400hPa以下である薬液注入システムとすることは好ましい。この構成により、従来の重力を用いる点滴よりも、比較的高い圧力で点滴を行なうことができるから、患者の移動や薬液バッグと患者の体の相対的な位置の変化による流量の変動が生じにくくなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を引用しながら説明する。本発明の第1に係わる流量調節具は、軟質チューブ内を液体が流れる範囲内で、一定長さにわたって軟質チューブを一様に変形し、チューブ断面の変形による流れ抵抗とその変形が維持されている長さとによる流れ抵抗の両方を用いて流量制御を行う。この流量制御具は、点滴などの薬液注入システムに限らず、一般の液体の流量調節に用いることができるが、特に、一定圧力下での流量制御に適しており、発明の第2のように点滴による薬液注入システムに加圧バッグと組み合わせて用いるのが好適である。
【0022】
図1は、発明の第1の流量制御具の一例を示している。図1(a)は、流量制御具1の使用前の斜視図、図1(b)は、(a)の収納部3に軟質チューブ30をセッティングした状態を示す斜視図、図1(c)は、(b)に示した状態を長さL方向に平行方向から見た平面図、図1(d)は、(c)に示した状態から蓋状部2の突出部22を収納部3の空間14に押し込む途中を示した平面図、図1(e)は、(d)の状態からさらに蓋状部2が押し込まれ、収納部3と蓋状部2とが嵌め合い構造を形成して互いに固定された状態を示す平面図である。
【0023】
この流量制御具1は、収納部3と蓋状部2とからなる。収納部3は、底部11と二つの側部12とから構成される断面が略コの字形で長さLの角柱である。二つの側部12と底部11で囲まれた空間14は、軟質チューブ30を収納すると共に、押圧、変形する際に軟質チューブ30が押圧面20および10から外れないよう保持する案内ガイドとして機能する。収納部3の両端には軟質チューブ30のための出口が各々に設けられている。底部11は、角柱の内側側面に軟質チューブ30と接して押圧する押圧面10を有している。二つの側部12の各々は、蓋状部2との相対位置を固定する嵌め合い構造を形成するために、内側側面の端面側において、側部12から直角に突出して押圧面10と相対し、長さLに平行方向に設けられた段差13を有し、さらに、蓋状部2がスムースに収納部3の空間14に押し込めるようにするための、段差13と同様に長さLに平行方向に設けられ、段差13から端面26に向かって段差13を解消するように傾斜した斜面15を有している。なお、収納部3の二つの側部12の段差13の先端どうしの距離は、蓋状部2の先端部分である面20の幅より若干大きいものの略同じである。
【0024】
蓋状部2は、天板24と突出部22とからなる断面が略T字形状で長さLの角棒であり、天板24は、蓋状部2を収納部3の空間14に押し込んだ場合に、収納部3の端面26と接することにより、それ以上蓋状部2を押し込めないようして軟質チューブの変形を一定範囲内にとどめるための面23を、突出部側に有している。突出部22は、先端に軟質チューブを押圧、変形させる押圧面20を有し、突出部の両側面には、長さL方向に設けられ、面23と相対するように突出部22の側面から直角に突出した段差21と、段差21と押圧面20とをつなぎ、段差21を解消するように傾斜した斜面25を有している。面23と押圧面20と面21は平行である。
【0025】
軟質チューブ30を収納部の空間14に収納し、続いて蓋状部2の突出部22を収納部3の空間14に押し込み始めると、まず、斜面15と斜面25が接し、続いて押し込むことによって斜面25が収納部の二つの斜面15を押し広げるように作用し、収納部3の二つの側部12は歪みを生じて図1(d)に記載のごとくわずかに外側に押し広げられる。さらに押し込んだ状態で斜面15と斜面25が接しなくなると、図1(e)に記載のように、側部12が弾性力によって元の形状に戻って歪みが解消され、代わって段差13と段差21が接して嵌め合い状態を形成して押し込みが終了する。このあと、押圧面20は、軟質チューブの弾性とチューブ内の液体の圧力により反発力を受けて押し戻されるが、面13と面21とが噛み合って図1(e)に記載のように抵抗となり、その結果、収納部3と蓋状部2との相対位置が固定され、押圧面10と押圧面20との相対位置も固定する。この状態で二つの押圧面は、互いに平行で一定の面間距離を保っており、収納されている軟質チューブを変形、押圧する。段差13と段差21は蓋状部の取り外し又は緩みに対する抵抗となるため、いったん取り付けた流量制御具が予期せずに外れたり、押圧が緩んで軟質チューブの変形が戻ってしまったりして流量が変動するということがなく、安定して使用することができる。
【0026】
流量制御具1は、軟質チューブに平行方向に一定の長さLを有しており、固定状態において長さLにわたって面10と面20が相対して、一定の面間距離sを保ちながら互いに略平行となる。この長さLと面間距離sは、液体の流れ抵抗を規定する要素であり、目的とする流量および一定の圧力を前提として、各種軟質チューブの外径および肉厚の違いに基づいて軟質チューブごとにあらかじめ定められる。点滴セットの軟質チューブに取り付ける場合には、流量制御の精度と点滴セットの使いやすさの観点から、長さLは2mm以上60cm以下であることが望ましい。より望ましくは5mm以上50cm以下、さらに望ましくは1cm以上40cm以下、さらに望ましくは5cm以上30cm以下である。
【0027】
面間距離sは、用いられる軟質チューブが必ず押圧、変形されるように設定される一方で、押圧過剰により変形が大きすぎて軟質チューブの流路が閉塞し、液体流れが停止することが無いように設定される。そのためには、面間距離sは、挟み込まれる軟質チューブの肉厚の2倍より大きくかつ軟質チューブの外径より小さい範囲内で設定される。
【0028】
なお、収納部3の押圧面10および蓋状部2の押圧面20の幅を軟質チューブ30の外径よりある程度大きく設定し、軟質チューブ30が2面間で蛇行などの曲線を描く状態で収納可能とし、その状態のまま押圧、変形できるようにしても良い。これにより、2面間で押圧、変形される軟質チューブの長さを、流量制御を行なう作業者が微調整することが可能となる。
【0029】
図1の例の流量制御具を用いて各種の流量設定に対応するためには、例えば、1種類の収納部に対して厚みtが異なる複数の蓋状部を用意して選択させ、面間距離sが異なるようにしてもよいし、収納部及び蓋状部の断面形状が同じで長さLを変えた制御具を複数用意して選択させても良い。また、比較的長さLが短い流量制御具を単位として、同じ単位流量制御具を複数直列に1本の軟質チューブに取り付けるようにしても良い。さらには、収納部に対して蓋状部を長さ方向に若干ずらして嵌め合い状態を形成するようにし、流量を増加させる方向の調整を行なうこともできる。いずれにせよ、流量調整を行なう医療従事者等の作業者の負担にならず、かつ流量の設定ミスが起きにくいように、できるだけ単純に設定できるようにすることが望ましい。
【0030】
次に、流量制御具の他の例を図2に示す。この例は、図1の流量制御具と類似した、軟質チューブを収納しうる収納部とその収納部に対応した蓋状部とからなる流量制御具である。図2の流量制御具では流量の調整をより容易に行うことができる。図1の例と異なる点を中心に説明する。図2(a)は、流量制御具の使用前の斜視図、図1(b)は、(a)の収納部102の正面図、図1(c)は、(a)に示した使用前の流量制御具の側面図、図1(d)は、収納部102の背面図である。図2の流量制御具100では、係止部を構成する二種類の段差21と13に対して、軟質チューブおよびそれを押圧する二つの押圧面が図1の流量制御具のように平行ではなくわずかに傾きを有している。具体的には、蓋状部101は、図1の押圧面20からさらに軟質チューブ側に突出した楔形の凸部103を有しており、この楔形の凸部103は、図1の押圧面10を基準として、図2(c)の図面上の左端では一定の高さuを有し図面上の右端では高さゼロとなっている。この結果、蓋状部101の押圧面108は、天板24の面23若しくは段差21の面に対して図面上で左下がりの傾斜を有する。この蓋状部101の構造に対応して、収納部102の押圧面106および底部107も、端面26若しくは段差21に対して、図面上左下がりの傾斜を有し、その傾斜は、図2(c)の左端で高さu、右端で高さゼロとなるように設けられている。
【0031】
図2(c)の収納部102に対して、蓋状部101のつまみ104を押して蓋状部101を図面上の左右に相対移動させることにより、押圧面106と108の面間距離を微妙に変化させることができる。これにより、軟質チューブの変形度合いを微妙に調節し、流量制御を行うことができる。例えば、収納部102に対して蓋状部101を矢印121方向に移動させると、図2の流量制御具では、一定の長さLにわたって流れ抵抗を形成して制御を行ない、ローラクランプのように一線のみの流れ抵抗で制御するのではないから、より微妙な調整が容易に行なえる。なお、長さLを一定とすれば、高さuは、小さいほど微妙な制御が可能となる一方、制御できる幅は小さくなる。逆にuが大きいと制御できる範囲の幅は大きくなるが、微妙な制御は難しくなる。したがって、液体を流すための圧力と流量制御を行なうべき流れ抵抗とその精度を想定しながら、高さuを適宜決定すればよい。
【0032】
次に、流量制御具の他の例を図3に示す。この例の流量制御具52では、軟質チューブ51をガイドすると共にその底面が軟質チューブ51を押圧する面を構成する比較的浅い案内溝33を有する収納部31と、収納部31との相対位置が固定可能で軟質チューブ51を押圧しうる蓋状部30とが、軟質チューブ51に平行方向に回転の軸が設けられたヒンジ50によって互いに回転可能に固定されている。図3(a)は、蓋状部30が開いた状態における流量制御具52の斜視図であり、図3(b)は、流量制御具52に軟質チューブ51を収納した状態を示す斜視図である。また、図3(c)は、図3(b)に示した状態を軟質チューブ51に平行方向から見た平面図であり、図3(d)は、蓋状部30が閉じて蓋状部30と収納部31との相対位置が固定されて軟質チューブ51が押圧された状態を、軟質チューブ51に平行方向から見た平面図である。
【0033】
図3の流量制御具の軟質チューブ51を収納する収納部31は、押圧面33と、その押圧面33を挟む二つの側部42と、側部42の一つに設けられた直線フランジ34とを有する断面が略円弧形状で長さLの板状物である。二つの側部42と押圧面33は、軟質チューブ51をガイドする比較的浅い案内溝42を構成する。直線フランジ34には、蓋状部30の係止突起40の先端部を挿入して蓋状部30と収納部31との相対位置を固定するための係止孔35が複数設けられている。また、蓋状部30は、押圧面32と直線フランジ37とからなり、断面が略半月形状で長さLの板状物である。直線フランジ37の押圧面32側には、直線フランジ37から垂直方向に複数の係止突起40が突出して設けられている。係止突起40は、係止孔35に先端を挿入する際に挿入しやすくするための斜面39と、挿入した後に、係止孔35の係止面36と接して嵌め合い状態を形成する段差38を有する。さらに、蓋状部30と収納部31とは、直線フランジ37または34が設けられた一端の他端において、複数のヒンジ50で結合されており、図3(c)の矢印に示されるように、押圧面に対して垂直方向に互いに部分回転可能となっている。
【0034】
図3の流量制御具52の使用の際には、図3(b)に記載のように軟質チューブ51を収納部31の案内溝42に収納し、蓋状部30をヒンジ50を中心にして部分回転し、係止突起40の先端を係止孔35に挿入する。この段階で、押圧面32と押圧面33は軟質チューブ51に接して押圧し始めるが、軟質チューブの弾性力に抗してさらに押圧面32と押圧面33が近づくように、蓋状部30を収納部31に押し付ける。このとき、係止突起40の斜面39は係止孔35の内側面に接して案内溝42方向に係止突起40を歪ませる力を受けて若干変形する。蓋状部30を十分押し付けて係止突起40に設けられた段差38が係止孔35を通り抜けた段階で嵌め合い状態が形成される。このとき係止孔35の内側面から加わっていた力がなくなって、弾性力で係止突起が元の形状に戻る。また、軟質チューブの弾性力等のために係止突起の段差38と係止孔35の係止面36とが、互いに接して嵌め合い状態を形成する。
【0035】
二つの押圧面32と33の面間距離sと長さLとによって流量制御を行うのは、図1または2の流量制御具と同じである。この流量制御具52を用いて流量の微調整ができるようにするためには、図1の流量制御具と同様に複数直列に使用するなどの他に、係止突起40に設けられた段差38を1つの係止突起に複数設けるか、または、係止孔35の係止面36において、例えばノコギリ状に複数の段差を有する係止部を段差38に対応するように設けるようにしても良い。
【0036】
次に、1つの流量制御具で、軟質チューブを変形する長さを複数種類設定可能で、その結果、複数の流量を設定できる流量制御具の例を図4に示す。この流量制御具200も、やはり収納部202と蓋状部201とからなるが、収納部202は複数種類の流路が接待できるように軟質チューブを異なる態様で収納することができる。収納部202は、軟質チューブに接して押圧する押圧面205と、軟質チューブの出口203と208で開口している周壁部204と、周壁部204から独立して押圧面上に設けられたおよそ比較的厚めの略五円玉形状をなす島状突起部206とが複数配置されている。それぞれの島状突起部206の中央には、押圧面205に垂直方向に円柱状の係止孔207が設けられ、係止孔207の内部には、押圧面205と略平行で押圧面205とは表裏が逆である段差213が設けられ、これにより段差213の前後で係止孔の直径が異なる。なお、周壁部204の内側側面は、島状突起部206と対応して、液体流れに予期せぬ抵抗を生ぜしめないように、軟質チューブが一定の曲率で曲げられるように曲線と直線を組み合わせてあり、いわゆる角の部分が生じないようになっている。
【0037】
蓋状部201は、収納部202に対応した形状であり、図4にはA−A’断面図のみを図示している。蓋状部201は、天板215と突出部214と係止突起209を有する。突出部214は、収納部202の押圧面205に対応した形状で天板215の片面に設けられ、その先端には押圧面216を有している。また、天板215の突出部214と同じ面に、収納部202の係止孔207に対応した複数の係止突起209が、押圧面216に垂直方向に設けられている。係止突起209は、係止突起209を係止孔207に挿入しやすくするために、その先端部分は楔状の斜面211を有しており、さらに、嵌め合い状態を形成するために、押圧面216と相対して平行である段差210を係止突起の途中に有する。
【0038】
この流量制御具200は、図1から図3の流量制御具と同様に、収納部202の押圧面205に軟質チューブをセッティングし、蓋状部201で軟質チューブを押圧、変形し、係止突起を係止孔に挿入して嵌め合い状態を形成して固定する。しかし、図4の流量制御具は、軟質チューブをセッティングする際に、変形される軟質チューブの長さが複数種類となるように、各種のセッティングが可能である。これを図4の(d)から(j)に示す。ここでは、6つの島状突起部206を6つの円で示し、軟質チューブの位置を液体の流れ方向を示す矢印つきの実線を用いて簡略に表す。(d)のように軟質チューブをセッティングすれば、もっとも変形を受ける流路長が短く、すなわち流れ抵抗が小さくなり、(d)から(e)、(f)と変化するにつれて流路長が長く、すなわち流れ抵抗が大きくなる。もっとも流路長が長いのは(j)であり、この場合(d)のおよそ5倍の流路長となる。
【0039】
このように、軟質チューブを一定長さにわたって変形させることにより、流路の断面と流路長の両方に起因する流路抵抗を用いて流量制御を行う制御具は、製作も軟質チューブへの取りつけも簡単であり、さらに流量の精度も良い。特に、点滴などの流量制御が重要な用途に適している。さらには、一定圧力下でより流量制御の精度が高くなるから、薬液バッグを加圧する加圧バッグなどの一定の加圧手段と併用して用いるのが好適である。
【0040】
上記の各種の流量制御具を構成する材料としては、軟質チューブを押圧できる程度の剛性を有して、軽量で取り扱いやすく、比較的低コストで製造できる材料が好ましい。また、薬液供給システムに用いる場合には、点滴セットが使い捨てであるから、点滴セットと一緒に廃棄処分できるのが望ましい。このような材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、フッ素樹脂等のプラスチックスおよびそれらの組み合わせを挙げることができる。また、流量制御具の製造は、射出成型など公知のプラスチック成形技術を用いて行なえばよく、特に制限されない。
【0041】
使用できる軟質チューブの材質としては、ある程度の弾性と可撓性を有し、人の手で容易に取り扱えるものであれば特に制限されないが、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。
【0042】
このような流量制御具の変形は上記以外にも各種考案できるが、いずれの変形も本発明の思想を利用する限り、本発明の流量制御具に含まれる。
【0043】
次に、発明の第2である薬液注入システムについて説明する。図5は、本発明の第1の流量設定具を用いて構成された発明の第2の薬液注入システムの例を示した模式図である。輸液などの薬液が貯留された薬液バッグ303は公知のものであり、図1では点滴スタンド300のハンガー301のフック302に吊り下げられている。薬液バッグ303はその周囲を加圧バッグ304のメッシュ305で囲まれている。
【0044】
加圧バッグとは、袋状の塩ビシートやポリプロピレンメッシュ等の可撓性である程度の引張り強度を有する軟質プラスチックとの組み合わせ、または布袋とゴム製のバルーンの組み合わせ等により製作され、例えば、血圧測定で二の腕に巻いて血管を圧迫するために用いられる圧迫帯(カフ)と同様の構造と機能を有している。
【0045】
発明の第2の加圧部として用いることができる加圧バッグ304は、一定の耐圧性を有するものであれば公知の加圧バッグを用いればよく、小型の持ち運び可能なガスボンベ311若しくは病院内にあらかじめ設置されているガス配管からの配管313に減圧弁312を介して接続して用いる。加圧バッグ304は、減圧弁312から供給されるガス圧によって体積が膨張し、このために加圧バッグ304に囲繞されている薬液バッグ303が加圧されて薬液が押出される。このような加圧バッグを用いれば、重力を利用する点滴スタンドを用いる必要は無く、また、加圧圧力を比較的高くかつ一定に設定できるから、前述した流量調節器による流量のコントロールが比較的容易となる。なお、加圧部としては、上記のような薬液バッグを囲繞する軟質の加圧バッグに限るものではなく、薬液バッグをガス圧により加圧できる形式のものであれば用いることができる。
【0046】
なお、図5では、従来の点滴方法と同様に点滴スタンド300のフック302に薬液バッグ303を吊り下げて使用している。このように注射針からの薬液注入に重力がかかるようにして点滴を行なっても良いが、注射針には加圧ガスの圧力と重力による圧力の両方が加わることになる。患者が移動する際の簡便さの観点からは、点滴スタンドを用いないで点滴システムを首掛けや肩掛け形式にして持ち運べることが望ましい。そのような形式では重力による加圧はできないから、重力による加圧が無いか若しくは小さい状態で、常時点滴ができることが望ましい。そのためには、点滴スタンドを使用するとしても注射針の高さと同じ程度の高さに点滴バッグの位置を調整し、もっぱらガス圧による加圧を利用して点滴を行なうようにするのが望ましい。流量も正確に調節可能となる。
【0047】
ガス供給部としては、小型ガスボンベまたはガス配管のいずれか一方、若しくは両方を切り替え可能に使用すれば良い。図5の例では、小型ガスボンベ311とガス配管314(図示していない)からの延長配管313は、減圧弁312の前に設けられた三方弁(図示していない)により切り替え可能となっており、手術室で薬液注入しながら手術を行なったり、ベッドで長時間安静にしている状態ではガス配管からのガス圧を用い、ベッドから離れて移動する場合には小型ガスボンベのガス圧を用いるように切り替えて使用するのがコスト面からみて望ましい。なお、使用するガスとしては、可燃性や爆発性を有さない比較的低価格のものを用いればよく、具体的には、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気等が例示される。
【0048】
このように、ガス圧を用いて薬液バッグを加圧することにより、患者と薬液バッグの相対高さの変動による圧力変動が起こりにくくて加圧圧力が比較的一定しており、しかも重力による加圧よりも若干高めの加圧が可能となり、流量制御がより容易となる。
【0049】
減圧弁312は、小型ガスボンベ311若しくはガス配管314からの延長配管313から供給されるガスの圧力を、加圧バッグ304に供給できるまでに減圧する。例えば、炭酸ガスの小型ガスボンベの使用開始直後のガス圧力は約60000hPaであり、病院内に設置されているガス配管のガス圧力は、病院設置基準に従って約4000hPaである。一方、加圧バッグにかけるべき圧力は、一般の静脈内の圧力の範囲と流量調節の容易さという観点から100hPa以上400hPa以下であることが望ましい。より望ましくは150hPa以上350hPa以下、さらに望ましくは200hPa以上300hPa以下である。そのため、図5の例では、減圧弁は、小型ガスボンベの約60000hPaから加圧バッグにかけるべき100hPa以上400hPa以下の範囲内に一段で減圧できるものを使用する。なお、加圧バッグ304にかかる圧力である減圧弁312の出口圧は、圧力メータ310または加圧バッグ304に付属のマノメータ323で確認することができる。
【0050】
一段で減圧する減圧弁が何らかの理由で利用できない場合には、まず高圧減圧弁を使って一度約60000hPaから約10000hPaていどに減圧し、さらに低圧減圧弁を使って約10000hPaていどから100hPa以上400hPa以下の範囲内に減圧する、つまり2段で減圧するようにしても良い。この場合、ガス配管から供給されるガスの減圧には、低圧減圧弁のみを使用すればよい。ただし、二段で減圧すると減圧弁の誤差が重なるために、加圧バッグに加える圧力が誤差が大きくなりやすく、これが流量制御の誤差につながりやすい。そのため、できるだけ一段で減圧することが望ましい。
【0051】
ガス供給部の構成例を図6に示す。図6(a)は一段で減圧できる一段減圧弁を用いた場合の構成例、図6(b)は高圧減圧弁と低圧減圧弁を用いて二段で減圧する場合の構成例である。(a)では、小型ガスボンベ311からのガスとガス配管314からのガスは、三方弁315でいずれかに切り替えられて一段減圧弁312に供給されて十分減圧され、マノメータ323で圧力を測定されながら加圧バッグ304に供給される。(b)では、小型ガスボンベ350からのガスは、まず高圧減圧弁351で約10000hPaていどに減圧され、ガス配管314からのガスと三方弁352でいずれかに切り替えられてから低圧減圧弁354に供給され、薬液注入に適する圧力まで減圧され、マノメータ355で圧力を測定されながら加圧バッグ304に供給される。なお、図5の例におけるガス供給部の減圧弁312出口からの配管320は、接続コネクタ321、クランプ322、マノメータ323を介して加圧バッグ304に接続されている。
【0052】
薬液バッグ303から点滴を行なう注射針へのラインについては、市販の点滴セットを用いればよい。市販の点滴セットは、薬液バック303の取り出し口に差し込んで薬液を取り出すプラスチック針(スパイク)324、一定時間内の滴下滴数を目視で数えて流量を測定する点滴筒(ドリップチャンバー)325、流量調節を行うロールクランプ326、注射針を取り付けるルアーコネクター329、およびこれらを直列に接続する軟質チューブ328からなる。この点滴セットを薬液バッグ303に接続し、さらに点滴セットの軟質チューブの途中に上記の流量制御具327を取り付け、必要により発明の第1の流量制御具327若しくはロールクランプ326を用いて流量の微調整を行なう。ここで、流量制御具327の取り付け位置がロールクランプ326とルアーコネクター329の間としているが、プラスチック針324以降に取り付ければよく特に制限されない。なお、ロールクランプ326の調整の難しさの点やロールのずれによる流量変動の防止等の観点から、できるだけロールクランプ326は開放状態で用いることが望ましい。
【0053】
発明の第2の薬液注入システムでは、加圧バッグを用いて重力によるよりも若干高めに薬液バッグに圧力をかけ、その後、発明の第1の流量制御具で流れ抵抗を生ぜしめて流量を制御する。このようにすることで、低コストで安定した流量制御が可能となり、また、患者の点滴中の移動が容易で肉体的負担も低く、さらに医療従事者の作業負担も低減することができる。
【0054】
この薬液注入システムは、図5に記載のように点滴スタンドを用いた使用もできるが、重力を用いないために高さが必要でなく、また、電力も用いないために電線やバッテリーも必要ではない。そのため全体をコンパクトに収納することができ、患者の首からぶらさげたり肩にかけて持ち運びができるバッグ形式としたり、背中に背負うリュックサック形式とすることができる。また、チョッキなどに専用のポケットを設けて患者が移動時にそのチョッキを着用するようにしても良い。
【0055】
【発明の効果】
低いコストで製作できて簡便に使用でき、しかも流量が安定して実用的な精度を有する流量制御具が得られる。また、高価格の輸液ポンプを用いなくとも精度の良い流量で安定して点滴を行なうことができ、点滴途中の移動も可能な流量制御具およびそれを用いた薬液注入システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の第1の流量制御具の1例を示した概略図である。
【図2】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図3】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図4】流量制御具の他の例を示した概略図である。
【図5】発明の第二の薬液注入システムの1例を示した模式図である。
【図6】ガス供給部のラインの例を示した模式図である。
Claims (12)
- 軟質チューブを格納しうる収納部と該収納部の蓋状部とからなる流量制御具であって、前記収納部は、軟質チューブの位置決めを行なう案内ガイドと第1の押圧面と第1の係止機構とを有し、前記蓋状部は、第2の押圧面と第2の係止機構とを有し、前記第1の係止機構と前記第2の係止機構とは、互いに組み合わされて前記収納部と前記蓋状部との相対位置を固定若しくは準固定する嵌め合い状態を構成しうるものであり、前記第1の押圧面と前記第2の押圧面は、前記嵌め合い状態において、略平行で略一定の面間距離を保って相対し、かつ一定の長さにわたって前記軟質チューブを押圧、変形することにより該軟質チューブを流れる液体の流量制御を行なう流量制御具。
- 面間距離が、軟質チューブの肉厚の2倍より大きくかつ軟質チューブの外径より小さい請求項1に記載の流量制御具。
- 液体が点滴用薬液であり、軟質チューブが点滴セットに含まれる軟質チューブである請求項1に記載の流量制御具。
- 軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、2mm以上60cm以下である請求項1に記載の流量制御具。
- 収納部が、直線状で軟質チューブを収納可能であり、嵌め合い状態において、蓋状部が、収納部に対して一方向に相対移動可能に準固定されており、収納部の第1の押圧面と蓋状部の第2の押圧面とが互いに平行で、かつ前記一方向に対して平行からわずかに斜めに配置されている請求項1に記載の流量制御具。
- 収納部と蓋状部とが、ヒンジによって各々の押圧面に垂直方向に、互いに部分回転可能に結合されている請求項1に記載の流量制御具。
- 軟質チューブが押圧、変形される一定の長さが、案内ガイドに沿って複数種類、選択可能に設けられている請求項1に記載の流量制御具。
- 薬液バッグと点滴筒と注射針をそれぞれ軟質チューブで接続して点滴を行なう薬液注入システムにおいて、前記薬液バッグは加圧部のガス圧により押圧されており、かつ前記軟質チューブの一部に請求項1に記載の流量制御具が取り付けられている薬液注入システム。
- 加圧部が、持ち運び可能な小型のガスボンベまたはあらかじめ設置されたガス配管からなるガス供給部と、前記ガス供給部から供給されたガス圧を減圧する減圧部と、前記減圧部を経たガスの圧力を用いて薬液バッグを加圧する加圧バッグ部とを含んでなる請求項8に記載の薬液注入システム。
- ガス供給部が、持ち運び可能な小型のガスボンベとあらかじめ設置されたガス配管とを切り替え可能に接続する請求項9に記載の薬液注入システム。
- 減圧部は、小型のガスボンベまたはガス配管からのガス圧を減圧するに際し、いずれにも共通した減圧弁を一つだけ用いるものである請求項10に記載の薬液注入システム。
- 減圧部を経たガス圧が、100hPa以上400hPa以下である請求項9に記載の薬液注入システム。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015101241A (ja) * | 2013-11-26 | 2015-06-04 | 富士重工業株式会社 | 車両用衝突検知装置 |
KR102157228B1 (ko) * | 2020-03-16 | 2020-09-17 | 주식회사 엔게인 | 약액 공급량 조절장치 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326932A patent/JP2004159762A/ja active Pending
Cited By (2)
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