JP2004159429A - ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に巻線の移動(ずれ)を抑制することができるブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ブラシレスモータは、放射状に延びるように複数設けられるティース10と、各ティース10の各径方向内側端部を連結する円筒部11の一端に該円筒部11の一端を封鎖する底部12を一体形成し、該円筒部11及び該底部12により構成されるキャンとを有するインナコア8と、ティース10に巻装される巻線7と、円筒部11の内側に回転可能に配設されるロータとを備える。そして、軸方向から見て円筒部11における隣り合うティース10間には、径方向外側に突出する補強凸部11aが形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】ブラシレスモータは、放射状に延びるように複数設けられるティース10と、各ティース10の各径方向内側端部を連結する円筒部11の一端に該円筒部11の一端を封鎖する底部12を一体形成し、該円筒部11及び該底部12により構成されるキャンとを有するインナコア8と、ティース10に巻装される巻線7と、円筒部11の内側に回転可能に配設されるロータとを備える。そして、軸方向から見て円筒部11における隣り合うティース10間には、径方向外側に突出する補強凸部11aが形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体ポンプ装置等に用いられるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の流体ポンプ装置等は、ブラシレスモータを用いたものがある。ブラシレスモータは、放射状に延びるように複数設けられるティースを有するステータコアと、前記ティースに巻装される巻線と、ステータコアの内側に回転可能に配設されるロータとを備える。そして、流体ポンプ装置等では、ステータコアとロータとの間に、それらを仕切る(隔てる)キャンが配設される(例えば、特許文献1参照)。尚、上記キャンとしては、ステンレス鋼板(SUS)等の非磁性材料よりなるもの(例えば、特許文献1参照)や、樹脂材料よりなるものがある。このようなブラシレスモータ(流体ポンプ装置等)では、ステータコアとロータとがキャンにて仕切られるため、ロータが液体に浸かっていてもステータ側の巻線や電気的接続部分が被水する(液体がかかる)といったことが防止される。
【0003】
ところで、上記のようなステータコアとしては、放射状に複数設けられるティースと各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とが一体成形されたインナコアと、前記ティースの各径方向外側端部を連結するように固定される円筒状のアウタコアとから構成されるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−317682号公報
【特許文献2】
特開平14−10553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなステータコアでは、ティースに巻装された巻線が何らかの製造工程時などに移動して(ずれて)しまう虞がある。特にティースの径方向内側端部近傍においては、移動して(ずれて)しまった巻線が、隣り合うティースに巻装された巻線と当接するといった虞があり、レアショートを起こす原因となる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に巻線の移動(ずれ)を抑制することができるブラシレスモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放射状に延びるように複数設けられるティースと、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とを有するインナコアと、前記ティースに巻装される巻線と、前記円筒部の内側に回転可能に配設されるロータとを備えたブラシレスモータにおいて、軸方向から見て前記円筒部における隣り合う前記ティース間に径方向外側に突出する補強凸部を形成した。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部の一端に、該円筒部の一端を封鎖する底部を一体形成し、該円筒部及び該底部によりキャンを構成した。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、前記巻線は、断面が丸い丸線であり、前記補強凸部を、軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成した。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、一方の前記筒部から他方の筒部まで連続して形成された。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、前記ティースの軸方向両端部から前記両筒部のそれぞれの端部まで2分割されて形成された。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記底部に、前記補強凸部から連続した底部補強凸部を形成した。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ティース、前記円筒部及び前記底部を、磁性粉体を用いて一体成形した。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、軸方向から見て円筒部における隣り合うティース間には、径方向外側に突出する補強凸部が形成される。よって、円筒部において隣り合うティース間の強度が向上されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部の一端に該円筒部の一端を封鎖する底部が一体形成され、該円筒部及び該底部によりキャンが構成される。よって、例えば、ステータコアと非磁性材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べて渦電流による損失を低減することができる。又、例えば、ステータコアと樹脂材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べてエアギャップを小さくすることができ有効磁束密度を増加させることができる。そして、補強凸部により隣り合うティース間の強度が向上されキャンの強度(耐圧性)が確保されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、巻線は断面が丸い丸線であり、補強凸部は軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成される。よって、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、一方の前記筒部から他方の筒部まで連続して形成されるため、隣り合うティース間の強度が大幅に向上される。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、前記ティースの軸方向両端部から前記両筒部のそれぞれの端部まで2分割されて形成されるため、隣り合うティース間において特に強度の弱い両筒部の強度が向上される。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、底部には、補強凸部から連続した底部補強凸部が形成されるため、底部の全体の厚さを薄くしながら、底部の強度を確保することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記ティース、前記円筒部及び前記底部は、磁性粉体が用いられて一体成形される。このようにすると、複雑な形状であるティース、円筒部及び底部を有する一部材を容易に形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を流体ポンプ装置に具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。図2に示すように、流体ポンプ装置は、第1及び第2ケース1,2と、ブラシレスモータ3とを備える。
【0022】
第1ケース1は、円盤部1aと、円盤部1aの外縁から立設した第1筒部1bとからなる。第2ケース2は、その基端部が第1筒部1bと連続するように固定される第2筒部2aと、第2筒部2aの先端部から径方向内側に延びる内延部2bと、内延部2bの内縁から第2筒部2aと同軸方向に延びる小径筒部2cとからなる。この小径筒部2cにおいて、軸方向の中間部には該小径筒部2c内を仕切るように内部円盤部2dが形成され、その内部円盤部2dには、外部と軸方向に連通する吸入口2eが形成されている。又、小径筒部2cにおいて、軸方向の基端側(図2中、右側)には、外部と径方向に連通する吐出口2fが形成されている。
【0023】
ブラシレスモータ3は、ステータ4とロータ5とを備える。ステータ4は、図1〜図6に示すように、ステータコア6と巻線7とを備える。尚、図1、図3〜図6では、3組(U相、V相、W相)ある内の1組の巻線7のみ図示し、他の組のものは同様であるため図示及びその詳細な説明を省略する。ステータコア6は、図4に示すように、インナコア8とアウタコア9とからなる。
【0024】
インナコア8は、放射状に延びるように複数設けられるティース10と、各ティース10の各径方向内側端部(基端部)を連結する円筒部11と、円筒部11の軸方向の一端を封鎖する底部12とが一体形成されてなる。そして、本実施の形態では、円筒部11及び底部12とによりキャンが構成されている。又、本実施の形態では、ティース10は18個形成されている。
【0025】
ティース10の径方向外側端部(先端部)には、先端に向かうほど幅が広くなる楔状の係止凸部10aが形成されている。又、底部12の底面には円筒状の支持筒部12a(図1、図2及び図6参照)が立設されている。又、底部12の厚さは、円筒部11の厚さより厚く設定されている(図2参照)。尚、図1、図2及び図6では、円筒部11の厚さを実際より厚く(模式的に)図示している。
【0026】
又、軸方向から見て(図1参照)円筒部11における隣り合うティース10間には径方向外側に突出する補強凸部11aが形成されている。補強凸部11aは、軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成されている。本実施の形態の補強凸部11aは、軸方向から見て略三角形状に突出するように形成されている。又、本実施の形態では、円筒部11は、図4に示すように、ティース10の軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部11b,11cを有し、補強凸部11aは一方の筒部11bから他方の筒部11bまで連続して形成されている。このインナコア8は、磁性粉体が用いられて一体成形される。詳しくは、インナコア8は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)されている。そして、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされて成形されている。
【0027】
アウタコア9は、ティース10の各径方向外側端部を連結すべく円筒状に形成されている。アウタコア9の内周側には、前記係止凸部10aと係止可能な係止凹部9aが形成されている。そして、アウタコア9は、係止凹部9aに係止凸部10aが嵌合されることで、インナコア8に固定される。
【0028】
巻線7は、ティース10に巻装される。詳しくは、3組(U相、V相、W相)ある内の1組(1つの相)の巻線7は、離間した(隣り合わない)ティース10に連続して(1本で)巻装される。本実施の形態では、1組(1つの相)の巻線7は、隣り合う3つのティース10に巻装されるとともに、180度反対側の3つのティース10に巻装される。そして、巻線7において、離間したティース10に渡る渡り線7aは、前記底部12に沿って配設される。この渡り線7aは、直線的に(底部12の中央を通って)配設される。又、渡り線7aの中央には、導線を一回転させることでテンション調整リング部7bが形成されている。本実施の形態の巻線7は、ティース10に巻装する前に、図4に示すように、図示しない治具にて巻装されることで、予めコイル状にサブアッセンブリ化されている。尚、サブアッセンブリ化された巻線7において、テンション調整リング部7bは、その径が小さく設定されている(図4では、テンション調整リング部7bの径が小さくされていない状態の巻線7を示す。)。そして、テンション調整リング部7bの径が小さく設定されることで渡り線7aが長くされたサブアッセンブリ状態の巻線7は、まず一方(隣り合う3つのティース10に対応した一方)が3つのティース10に嵌め合わ(装着)される。そして、次に他方が180度反対側の3つのティース10に嵌め合わされるとともに、テンション調整リング部7bの径が治具等により大きくされることで、渡り線7aの長さが短くされ(たるみが解消され)、上記したように配設される(図3及び図5参照)。尚、本実施の形態の巻線7は、その断面が丸い丸線である。又、1組(1つの相)の巻線7の一端7c(図6参照)はその相に応じた電源端子に接続され、他端7d(図6参照)は他の相の巻線における同様の他端(図示しない)に接続される。又、前記アウタコア9は、3組の巻線7が全てのティース10に巻装された後、前記インナコア8に固定されることになる。
【0029】
上記のように構成されたステータ4は、図2に示すように、第1及び第2ケース1,2内部に収容保持される。このとき、ステータ4は、その円筒部11の他端部(底部12が形成されない側端部)が第2ケース2における内延部2bの内縁に液密に固定される。
【0030】
ロータ5は、図2に示すように、略円筒形状の本体部21の外周に複数(本実施の形態では、16個)のマグネット22が固定されてなる。又、ロータ5の軸方向一端側には、軸方向の液体を吸い込み径方向に導くための遠心ファン23が固定されている。このロータ5は、前記第2ケース2の内部円盤部2dと底部12の支持筒部12aとに支持された固定シャフト24に回転可能に支持される。尚、このとき、マグネット22は、前記ティース10の径方向内側端部(基端部であって、円筒部11)と対向配置される。又、図2では、マグネット22と円筒部11との間隔を実際より大きく(模式的に)図示している。
【0031】
上記のように構成された流体ポンプ装置では、図示しない制御装置から各組の巻線7に3相(U相、V相、W相)の駆動電流が供給されることで回転磁界が発生され、該回転磁界に応じてロータ5が回転駆動される。すると、ロータ5と共に遠心ファン23が回転し、吸入口2eから液体が吸入されるとともに吐出口2fから液体が吐出される(図1中、矢印参照)。尚、このとき、ロータ5が収容される円筒部11及び底部12から構成されるキャンの内部には液体が浸入することになるが、該キャンによりステータ4の巻線7やその電気的接続部分(一端7cや他端7d)が被水するといったことは防止される。
【0032】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)軸方向から見て円筒部11における隣り合うティース10間には、径方向外側に突出する補強凸部11aが形成される。そして、ティース10に巻装される巻線7においては、ティース10の径方向内側端部側で補強凸部11aと当接される(図1の部分拡大図参照)。よって、円筒部11において隣り合うティース10間の強度が向上されるとともに、補強凸部11aにて容易に巻線7の移動(ずれ)を抑制することができる。その結果、円筒部11(キャン)の強度(耐圧性)を確保しながら、巻線7を良好に保持することができ、巻線7の移動(ずれ)に基づくレアショート等を防止することができる。
【0033】
(2)各ティース10の各径方向内側端部(基端部)を連結する円筒部11の一端に該円筒部11の一端を封鎖する底部12が一体形成され、該円筒部11及び該底部12によりキャンが構成される。よって、従来のステータコアと非磁性材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べて渦電流による損失を低減することができる。又、従来のステータコアと樹脂材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べてエアギャップを小さくすることができ有効磁束密度(実際に働く磁力)を増加させることができる。その結果、モータの効率を向上させることができる。又、従来に比べて部品点数が少なくなる。
【0034】
(3)巻線7は断面が丸い丸線であり、補強凸部11aは軸方向から見て略三角形状に突出する、即ち径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成される。よって、巻線7の巻装時(本実施の形態では、サブアッセンブリ状態の巻線7をティース10に嵌め合わせる(装着する)時)に補強凸部11aに巻線7が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装(装着)作業を行うことができる。又、巻線7が補強凸部11aと密着し易くなるため、巻線7の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0035】
(4)円筒部11は、ティース10の軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部11b,11cを有し、補強凸部11aは、一方の筒部11bから他方の筒部11cまで連続して形成されるため、特に強度の弱い両筒部11b,11cを含む隣り合うティース10間の強度が大幅に向上される。
【0036】
(5)インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)を、磁性粉体を用いて一体成形したため、複雑な形状であるティース10、円筒部11及び底部12を有する一部材(インナコア8)を容易に形成することができる。
【0037】
(6)底部12の厚さは、円筒部11の厚さより厚く設定される。ここで、円筒部11はティース10の各径方向内側端部(基端部)及び補強凸部11aにて比較的強度が高くなる。そして、底部12の厚さが円筒部11の厚さより厚くされることで、底部12の強度が確保される。よって、このようにすると、例えば、底部12及び円筒部11の厚さが一定の場合等に比べて、エアギャップを小さくしながら、キャンの強度(耐圧性)を確保することができる。
【0038】
(7)インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形される。そして、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされるため、底部12での磁気通過が抑制され、モータの効率が向上される。
【0039】
(8)ティース10の各径方向外側端部(先端部)はアウタコア9にて連結されるため、モータの効率が向上される。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
【0040】
・上記実施の形態では、補強凸部11aは軸方向から見て略三角形状に突出するように形成されるとしたが、円筒部11において隣り合うティース10間の強度を向上することができるとともに、ティース10に巻装される巻線7の移動(ずれ)を抑制することができれば他の形状に変更してもよい。
【0041】
例えば、図7に示すように変更してもよい。図7に示すように、補強凸部31は、軸方向から見て略四角形状に突出するように形成されている。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(2)、(4)〜(8)と同様の効果を得ることができる。
【0042】
又、例えば、図8に示すように変更してもよい。図8に示すように、補強凸部32は、軸方向から見て略半円形状に突出し、径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成されている。このようにしても、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施の形態では、補強凸部11aは、一方の筒部11bから他方の筒部11cまで連続して形成されるとしたが、図9に示すように、補強凸部33をティース10の軸方向両端部から両筒部11b,11cのそれぞれの端部まで2分割して形成してもよい。このようにすると、隣り合うティース10間において特に強度の弱い両筒部11b,11cの強度が向上される。
【0044】
・上記実施の形態では、底部12を平坦な円盤形状としたが、図10に示すように、底部34に前記補強凸部11aから連続した底部補強凸部35を形成してもよい。このようにすると、底部34の全体の厚さを薄くしながら、底部34の強度を確保することができる。
【0045】
・上記実施の形態では、巻線7を断面が丸い丸線としたが、断面の四角の平角銅線等に変更してもよい。
・上記実施の形態では、インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)を、磁性粉体及び樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)したが、他の製法にて成形してもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、底部12における結合材の比率を、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多く設定したが、前記比率を(例えば、均等に)変更してもよい。各箇所における前記比率を均等とした場合、その成形が容易となる。
【0047】
・上記実施の形態のステータ4(インナコア8)は、ティース10を18個有するとしたが、ティース10の数は適宜変更してもよい。又、ロータ5は、16個のマグネット22を有するとしたが、マグネット22の個数も適宜変更してもよい。例えば、ティースを12個有したステータとし、マグネットを14個有したロータとしてもよい。
【0048】
・上記実施の形態では、巻線7は、ティース10に巻装する前に予めサブアッセンブリ化され、その状態でティース10に嵌め合わされるとしたが、サブアッセンブリ化せずに直接ティース10に巻装するようにしてもよい。尚、この場合、テンション調整リング部7bを形成する必要はなくなる。
【0049】
・上記実施の形態では、円筒部11の一端に、円筒部11の一端を封鎖する底部12を一体形成し、円筒部11及び底部12によりキャンを構成する流体ポンプ装置用のブラシレスモータに具体化したが、底部12を有さない他の装置に用いられるブラシレスモータに変更してもよい。
【0050】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項3に記載のブラシレスモータにおいて、前記補強凸部は、軸方向から見て略三角形状に突出することを特徴とするブラシレスモータ。このようにすると、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0051】
(ロ)請求項3に記載のブラシレスモータにおいて、前記補強凸部は、軸方向から見て略半円形状に突出することを特徴とするブラシレスモータ。このようにすると、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0052】
(ハ)放射状に延びるように複数設けられるティースと、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とを有するインナコアと、前記ティースに巻装される巻線とを備えたブラシレスモータのステータにおいて、軸方向から見て前記円筒部における隣り合う前記ティース間に径方向外側に突出する補強凸部を形成したことを特徴とするブラシレスモータのステータ。このようにすると、ステータにおいて、隣り合うティース間の強度が向上されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0053】
(ニ) 請求項2乃至7及び上記(イ)、(ロ)のいずれかに記載のブラシレスモータを有した流体ポンプ装置。このようにすると、流体ポンプ装置において、請求項2乃至7及び上記(イ)、(ロ)のいずれかの効果と同様の効果を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容易に巻線の移動(ずれ)を抑制することができるブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のステータの平面図。
【図2】本実施の形態の流体ポンプ装置を説明するための要部断面図。
【図3】本実施の形態のステータの斜視図。
【図4】本実施の形態のステータの分解斜視図。
【図5】本実施の形態のステータの底面図。
【図6】本実施の形態のステータの斜視図。
【図7】別例のステータを説明するための説明図。
【図8】別例のステータを説明するための説明図。
【図9】別例のステータを説明するための説明図。
【図10】別例のインナコアの斜視図。
【符号の説明】
5…ロータ、7…巻線、8…インナコア、10…ティース、11…円筒部、11a,31〜33…補強凸部、11b,11c…筒部、12,34…底部、35…底部補強凸部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体ポンプ装置等に用いられるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の流体ポンプ装置等は、ブラシレスモータを用いたものがある。ブラシレスモータは、放射状に延びるように複数設けられるティースを有するステータコアと、前記ティースに巻装される巻線と、ステータコアの内側に回転可能に配設されるロータとを備える。そして、流体ポンプ装置等では、ステータコアとロータとの間に、それらを仕切る(隔てる)キャンが配設される(例えば、特許文献1参照)。尚、上記キャンとしては、ステンレス鋼板(SUS)等の非磁性材料よりなるもの(例えば、特許文献1参照)や、樹脂材料よりなるものがある。このようなブラシレスモータ(流体ポンプ装置等)では、ステータコアとロータとがキャンにて仕切られるため、ロータが液体に浸かっていてもステータ側の巻線や電気的接続部分が被水する(液体がかかる)といったことが防止される。
【0003】
ところで、上記のようなステータコアとしては、放射状に複数設けられるティースと各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とが一体成形されたインナコアと、前記ティースの各径方向外側端部を連結するように固定される円筒状のアウタコアとから構成されるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−317682号公報
【特許文献2】
特開平14−10553号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなステータコアでは、ティースに巻装された巻線が何らかの製造工程時などに移動して(ずれて)しまう虞がある。特にティースの径方向内側端部近傍においては、移動して(ずれて)しまった巻線が、隣り合うティースに巻装された巻線と当接するといった虞があり、レアショートを起こす原因となる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に巻線の移動(ずれ)を抑制することができるブラシレスモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放射状に延びるように複数設けられるティースと、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とを有するインナコアと、前記ティースに巻装される巻線と、前記円筒部の内側に回転可能に配設されるロータとを備えたブラシレスモータにおいて、軸方向から見て前記円筒部における隣り合う前記ティース間に径方向外側に突出する補強凸部を形成した。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部の一端に、該円筒部の一端を封鎖する底部を一体形成し、該円筒部及び該底部によりキャンを構成した。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、前記巻線は、断面が丸い丸線であり、前記補強凸部を、軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成した。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、一方の前記筒部から他方の筒部まで連続して形成された。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、前記ティースの軸方向両端部から前記両筒部のそれぞれの端部まで2分割されて形成された。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記底部に、前記補強凸部から連続した底部補強凸部を形成した。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ティース、前記円筒部及び前記底部を、磁性粉体を用いて一体成形した。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、軸方向から見て円筒部における隣り合うティース間には、径方向外側に突出する補強凸部が形成される。よって、円筒部において隣り合うティース間の強度が向上されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部の一端に該円筒部の一端を封鎖する底部が一体形成され、該円筒部及び該底部によりキャンが構成される。よって、例えば、ステータコアと非磁性材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べて渦電流による損失を低減することができる。又、例えば、ステータコアと樹脂材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べてエアギャップを小さくすることができ有効磁束密度を増加させることができる。そして、補強凸部により隣り合うティース間の強度が向上されキャンの強度(耐圧性)が確保されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、巻線は断面が丸い丸線であり、補強凸部は軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成される。よって、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、一方の前記筒部から他方の筒部まで連続して形成されるため、隣り合うティース間の強度が大幅に向上される。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、前記補強凸部は、前記ティースの軸方向両端部から前記両筒部のそれぞれの端部まで2分割されて形成されるため、隣り合うティース間において特に強度の弱い両筒部の強度が向上される。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、底部には、補強凸部から連続した底部補強凸部が形成されるため、底部の全体の厚さを薄くしながら、底部の強度を確保することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記ティース、前記円筒部及び前記底部は、磁性粉体が用いられて一体成形される。このようにすると、複雑な形状であるティース、円筒部及び底部を有する一部材を容易に形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を流体ポンプ装置に具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。図2に示すように、流体ポンプ装置は、第1及び第2ケース1,2と、ブラシレスモータ3とを備える。
【0022】
第1ケース1は、円盤部1aと、円盤部1aの外縁から立設した第1筒部1bとからなる。第2ケース2は、その基端部が第1筒部1bと連続するように固定される第2筒部2aと、第2筒部2aの先端部から径方向内側に延びる内延部2bと、内延部2bの内縁から第2筒部2aと同軸方向に延びる小径筒部2cとからなる。この小径筒部2cにおいて、軸方向の中間部には該小径筒部2c内を仕切るように内部円盤部2dが形成され、その内部円盤部2dには、外部と軸方向に連通する吸入口2eが形成されている。又、小径筒部2cにおいて、軸方向の基端側(図2中、右側)には、外部と径方向に連通する吐出口2fが形成されている。
【0023】
ブラシレスモータ3は、ステータ4とロータ5とを備える。ステータ4は、図1〜図6に示すように、ステータコア6と巻線7とを備える。尚、図1、図3〜図6では、3組(U相、V相、W相)ある内の1組の巻線7のみ図示し、他の組のものは同様であるため図示及びその詳細な説明を省略する。ステータコア6は、図4に示すように、インナコア8とアウタコア9とからなる。
【0024】
インナコア8は、放射状に延びるように複数設けられるティース10と、各ティース10の各径方向内側端部(基端部)を連結する円筒部11と、円筒部11の軸方向の一端を封鎖する底部12とが一体形成されてなる。そして、本実施の形態では、円筒部11及び底部12とによりキャンが構成されている。又、本実施の形態では、ティース10は18個形成されている。
【0025】
ティース10の径方向外側端部(先端部)には、先端に向かうほど幅が広くなる楔状の係止凸部10aが形成されている。又、底部12の底面には円筒状の支持筒部12a(図1、図2及び図6参照)が立設されている。又、底部12の厚さは、円筒部11の厚さより厚く設定されている(図2参照)。尚、図1、図2及び図6では、円筒部11の厚さを実際より厚く(模式的に)図示している。
【0026】
又、軸方向から見て(図1参照)円筒部11における隣り合うティース10間には径方向外側に突出する補強凸部11aが形成されている。補強凸部11aは、軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成されている。本実施の形態の補強凸部11aは、軸方向から見て略三角形状に突出するように形成されている。又、本実施の形態では、円筒部11は、図4に示すように、ティース10の軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部11b,11cを有し、補強凸部11aは一方の筒部11bから他方の筒部11bまで連続して形成されている。このインナコア8は、磁性粉体が用いられて一体成形される。詳しくは、インナコア8は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)されている。そして、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされて成形されている。
【0027】
アウタコア9は、ティース10の各径方向外側端部を連結すべく円筒状に形成されている。アウタコア9の内周側には、前記係止凸部10aと係止可能な係止凹部9aが形成されている。そして、アウタコア9は、係止凹部9aに係止凸部10aが嵌合されることで、インナコア8に固定される。
【0028】
巻線7は、ティース10に巻装される。詳しくは、3組(U相、V相、W相)ある内の1組(1つの相)の巻線7は、離間した(隣り合わない)ティース10に連続して(1本で)巻装される。本実施の形態では、1組(1つの相)の巻線7は、隣り合う3つのティース10に巻装されるとともに、180度反対側の3つのティース10に巻装される。そして、巻線7において、離間したティース10に渡る渡り線7aは、前記底部12に沿って配設される。この渡り線7aは、直線的に(底部12の中央を通って)配設される。又、渡り線7aの中央には、導線を一回転させることでテンション調整リング部7bが形成されている。本実施の形態の巻線7は、ティース10に巻装する前に、図4に示すように、図示しない治具にて巻装されることで、予めコイル状にサブアッセンブリ化されている。尚、サブアッセンブリ化された巻線7において、テンション調整リング部7bは、その径が小さく設定されている(図4では、テンション調整リング部7bの径が小さくされていない状態の巻線7を示す。)。そして、テンション調整リング部7bの径が小さく設定されることで渡り線7aが長くされたサブアッセンブリ状態の巻線7は、まず一方(隣り合う3つのティース10に対応した一方)が3つのティース10に嵌め合わ(装着)される。そして、次に他方が180度反対側の3つのティース10に嵌め合わされるとともに、テンション調整リング部7bの径が治具等により大きくされることで、渡り線7aの長さが短くされ(たるみが解消され)、上記したように配設される(図3及び図5参照)。尚、本実施の形態の巻線7は、その断面が丸い丸線である。又、1組(1つの相)の巻線7の一端7c(図6参照)はその相に応じた電源端子に接続され、他端7d(図6参照)は他の相の巻線における同様の他端(図示しない)に接続される。又、前記アウタコア9は、3組の巻線7が全てのティース10に巻装された後、前記インナコア8に固定されることになる。
【0029】
上記のように構成されたステータ4は、図2に示すように、第1及び第2ケース1,2内部に収容保持される。このとき、ステータ4は、その円筒部11の他端部(底部12が形成されない側端部)が第2ケース2における内延部2bの内縁に液密に固定される。
【0030】
ロータ5は、図2に示すように、略円筒形状の本体部21の外周に複数(本実施の形態では、16個)のマグネット22が固定されてなる。又、ロータ5の軸方向一端側には、軸方向の液体を吸い込み径方向に導くための遠心ファン23が固定されている。このロータ5は、前記第2ケース2の内部円盤部2dと底部12の支持筒部12aとに支持された固定シャフト24に回転可能に支持される。尚、このとき、マグネット22は、前記ティース10の径方向内側端部(基端部であって、円筒部11)と対向配置される。又、図2では、マグネット22と円筒部11との間隔を実際より大きく(模式的に)図示している。
【0031】
上記のように構成された流体ポンプ装置では、図示しない制御装置から各組の巻線7に3相(U相、V相、W相)の駆動電流が供給されることで回転磁界が発生され、該回転磁界に応じてロータ5が回転駆動される。すると、ロータ5と共に遠心ファン23が回転し、吸入口2eから液体が吸入されるとともに吐出口2fから液体が吐出される(図1中、矢印参照)。尚、このとき、ロータ5が収容される円筒部11及び底部12から構成されるキャンの内部には液体が浸入することになるが、該キャンによりステータ4の巻線7やその電気的接続部分(一端7cや他端7d)が被水するといったことは防止される。
【0032】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)軸方向から見て円筒部11における隣り合うティース10間には、径方向外側に突出する補強凸部11aが形成される。そして、ティース10に巻装される巻線7においては、ティース10の径方向内側端部側で補強凸部11aと当接される(図1の部分拡大図参照)。よって、円筒部11において隣り合うティース10間の強度が向上されるとともに、補強凸部11aにて容易に巻線7の移動(ずれ)を抑制することができる。その結果、円筒部11(キャン)の強度(耐圧性)を確保しながら、巻線7を良好に保持することができ、巻線7の移動(ずれ)に基づくレアショート等を防止することができる。
【0033】
(2)各ティース10の各径方向内側端部(基端部)を連結する円筒部11の一端に該円筒部11の一端を封鎖する底部12が一体形成され、該円筒部11及び該底部12によりキャンが構成される。よって、従来のステータコアと非磁性材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べて渦電流による損失を低減することができる。又、従来のステータコアと樹脂材料よりなるキャンとを別体で構成したブラシレスモータに比べてエアギャップを小さくすることができ有効磁束密度(実際に働く磁力)を増加させることができる。その結果、モータの効率を向上させることができる。又、従来に比べて部品点数が少なくなる。
【0034】
(3)巻線7は断面が丸い丸線であり、補強凸部11aは軸方向から見て略三角形状に突出する、即ち径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成される。よって、巻線7の巻装時(本実施の形態では、サブアッセンブリ状態の巻線7をティース10に嵌め合わせる(装着する)時)に補強凸部11aに巻線7が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装(装着)作業を行うことができる。又、巻線7が補強凸部11aと密着し易くなるため、巻線7の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0035】
(4)円筒部11は、ティース10の軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部11b,11cを有し、補強凸部11aは、一方の筒部11bから他方の筒部11cまで連続して形成されるため、特に強度の弱い両筒部11b,11cを含む隣り合うティース10間の強度が大幅に向上される。
【0036】
(5)インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)を、磁性粉体を用いて一体成形したため、複雑な形状であるティース10、円筒部11及び底部12を有する一部材(インナコア8)を容易に形成することができる。
【0037】
(6)底部12の厚さは、円筒部11の厚さより厚く設定される。ここで、円筒部11はティース10の各径方向内側端部(基端部)及び補強凸部11aにて比較的強度が高くなる。そして、底部12の厚さが円筒部11の厚さより厚くされることで、底部12の強度が確保される。よって、このようにすると、例えば、底部12及び円筒部11の厚さが一定の場合等に比べて、エアギャップを小さくしながら、キャンの強度(耐圧性)を確保することができる。
【0038】
(7)インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形される。そして、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされるため、底部12での磁気通過が抑制され、モータの効率が向上される。
【0039】
(8)ティース10の各径方向外側端部(先端部)はアウタコア9にて連結されるため、モータの効率が向上される。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
【0040】
・上記実施の形態では、補強凸部11aは軸方向から見て略三角形状に突出するように形成されるとしたが、円筒部11において隣り合うティース10間の強度を向上することができるとともに、ティース10に巻装される巻線7の移動(ずれ)を抑制することができれば他の形状に変更してもよい。
【0041】
例えば、図7に示すように変更してもよい。図7に示すように、補強凸部31は、軸方向から見て略四角形状に突出するように形成されている。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)、(2)、(4)〜(8)と同様の効果を得ることができる。
【0042】
又、例えば、図8に示すように変更してもよい。図8に示すように、補強凸部32は、軸方向から見て略半円形状に突出し、径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成されている。このようにしても、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0043】
・上記実施の形態では、補強凸部11aは、一方の筒部11bから他方の筒部11cまで連続して形成されるとしたが、図9に示すように、補強凸部33をティース10の軸方向両端部から両筒部11b,11cのそれぞれの端部まで2分割して形成してもよい。このようにすると、隣り合うティース10間において特に強度の弱い両筒部11b,11cの強度が向上される。
【0044】
・上記実施の形態では、底部12を平坦な円盤形状としたが、図10に示すように、底部34に前記補強凸部11aから連続した底部補強凸部35を形成してもよい。このようにすると、底部34の全体の厚さを薄くしながら、底部34の強度を確保することができる。
【0045】
・上記実施の形態では、巻線7を断面が丸い丸線としたが、断面の四角の平角銅線等に変更してもよい。
・上記実施の形態では、インナコア8(ティース10、円筒部11及び底部12)を、磁性粉体及び樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)したが、他の製法にて成形してもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、底部12における結合材の比率を、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多く設定したが、前記比率を(例えば、均等に)変更してもよい。各箇所における前記比率を均等とした場合、その成形が容易となる。
【0047】
・上記実施の形態のステータ4(インナコア8)は、ティース10を18個有するとしたが、ティース10の数は適宜変更してもよい。又、ロータ5は、16個のマグネット22を有するとしたが、マグネット22の個数も適宜変更してもよい。例えば、ティースを12個有したステータとし、マグネットを14個有したロータとしてもよい。
【0048】
・上記実施の形態では、巻線7は、ティース10に巻装する前に予めサブアッセンブリ化され、その状態でティース10に嵌め合わされるとしたが、サブアッセンブリ化せずに直接ティース10に巻装するようにしてもよい。尚、この場合、テンション調整リング部7bを形成する必要はなくなる。
【0049】
・上記実施の形態では、円筒部11の一端に、円筒部11の一端を封鎖する底部12を一体形成し、円筒部11及び底部12によりキャンを構成する流体ポンプ装置用のブラシレスモータに具体化したが、底部12を有さない他の装置に用いられるブラシレスモータに変更してもよい。
【0050】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項3に記載のブラシレスモータにおいて、前記補強凸部は、軸方向から見て略三角形状に突出することを特徴とするブラシレスモータ。このようにすると、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0051】
(ロ)請求項3に記載のブラシレスモータにおいて、前記補強凸部は、軸方向から見て略半円形状に突出することを特徴とするブラシレスモータ。このようにすると、巻線の巻装時に補強凸部に巻線が引っ掛かることが抑制され、スムーズに巻装作業を行うことができる。又、巻線が補強凸部と密着し易くなるため、巻線の移動(ずれ)を更に抑制することができる。
【0052】
(ハ)放射状に延びるように複数設けられるティースと、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とを有するインナコアと、前記ティースに巻装される巻線とを備えたブラシレスモータのステータにおいて、軸方向から見て前記円筒部における隣り合う前記ティース間に径方向外側に突出する補強凸部を形成したことを特徴とするブラシレスモータのステータ。このようにすると、ステータにおいて、隣り合うティース間の強度が向上されるとともに、突出する補強凸部にてティースに巻装される巻線の移動(ずれ)を抑制することができる。
【0053】
(ニ) 請求項2乃至7及び上記(イ)、(ロ)のいずれかに記載のブラシレスモータを有した流体ポンプ装置。このようにすると、流体ポンプ装置において、請求項2乃至7及び上記(イ)、(ロ)のいずれかの効果と同様の効果を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容易に巻線の移動(ずれ)を抑制することができるブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のステータの平面図。
【図2】本実施の形態の流体ポンプ装置を説明するための要部断面図。
【図3】本実施の形態のステータの斜視図。
【図4】本実施の形態のステータの分解斜視図。
【図5】本実施の形態のステータの底面図。
【図6】本実施の形態のステータの斜視図。
【図7】別例のステータを説明するための説明図。
【図8】別例のステータを説明するための説明図。
【図9】別例のステータを説明するための説明図。
【図10】別例のインナコアの斜視図。
【符号の説明】
5…ロータ、7…巻線、8…インナコア、10…ティース、11…円筒部、11a,31〜33…補強凸部、11b,11c…筒部、12,34…底部、35…底部補強凸部。
Claims (7)
- 放射状に延びるように複数設けられるティースと、各ティースの各径方向内側端部を連結する円筒部とを有するインナコアと、
前記ティースに巻装される巻線と、
前記円筒部の内側に回転可能に配設されるロータと
を備えたブラシレスモータにおいて、
軸方向から見て前記円筒部における隣り合う前記ティース間に径方向外側に突出する補強凸部を形成したことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記円筒部の一端に、該円筒部の一端を封鎖する底部を一体形成し、該円筒部及び該底部によりキャンを構成したことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記巻線は、断面が丸い丸線であり、
前記補強凸部を、軸方向から見て径方向外側に向かうほど幅が狭くなるように形成したことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、
前記補強凸部は、一方の前記筒部から他方の筒部まで連続して形成されたことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記円筒部は、前記ティースの軸方向両端部より軸方向の両方に突出する筒部を有し、
前記補強凸部は、前記ティースの軸方向両端部から前記両筒部のそれぞれの端部まで2分割されて形成されたことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項2乃至5のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記底部に、前記補強凸部から連続した底部補強凸部を形成したことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項2乃至6のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ティース、前記円筒部及び前記底部を、磁性粉体を用いて一体成形したことを特徴とするブラシレスモータ。
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-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322779A patent/JP2004159429A/ja active Pending
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041119 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070109 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070508 |