JP2004159411A - 電動ファンモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数及び組付工数を増加することなく、ハウジングとファンボス部との間における防水性を向上することができる電動ファンモータを得る。
【解決手段】電動ファンモータ10では、外周部にプリントコイル16が固定された筒状のセンタピース12が軸芯部を挿通するシャフト14に回転可能に支持されており、シャフト14に固定されたハウジング18がヨーク部36内にプリントコイル16を収容すると共にカバー部38にセンタピース12を挿通させている。ハウジング18外でセンタピース12の先端に固定された有底円筒状のファンボス部60は、底部64がカバー部38の先端から径方向外側に延設されたリング状壁部40と対向し、円筒部66がカバー部38を径方向外側から覆っており、部品点数を増やすことなく迷路構造を形成して防水性を向上している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のラジエータを冷却するためのファンが設けられた電動ファンモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や2輪車等のラジエータを冷却するための電動ファンモータでは、ハウジングに収容された回転子と一体に回転する出力軸の先端がハウジングから突出しており、この出力軸の先端にファン部材のファンボスが固定されている。ファンボスの外周部には翼部が形成されており、電動ファンモータが作動して回転子と共に出力軸が回転すると、ファン部材の翼部が回転して生じる空気流によってラジエータが冷却される。
【0003】
この電動ファンモータは、車両における雨水等が被水する部位に配置されるため、この雨水等がハウジングとファンボス部との間を経由してハウジング内に侵入しないように、従来より種々の工夫がされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1に記載された図3の構成では、回転子100を収容するハウジング102の底部102Aの軸心部に筒状部104が設けられている。筒状部104内には軸受106が保持されており、軸受106は回転子100に固定された出力軸108をハウジング102に対し回転可能に軸支している。筒状部104の開口端には、出力軸108を挿通させつつ軸受106の軸方向移動を阻止する突き当て部110が一体に形成されている。
【0005】
この突き当て部110の内縁部からは、リング状に形成された防水壁部112が出力軸108の軸方向外側へ向けて一体に延設されている。この防水壁部112は、先端側ほど大径となるように連続的に拡径されており、出力軸108の先端に固定されたファン部材114のファンボス部116と対向している。これにより、雨水等がファン部材114とハウジング102との間から侵入し底部102Aを伝って出力軸108の軸芯側に流れようとしても、該雨水等は防水壁部112の外面を伝って重力方向に排出され、出力軸108の軸芯部すなわち軸受106が被水することが防止される。
【0006】
また、特許文献2に記載された図4に示す構成では、回転子120を収容するハウジング122の底部122Aの軸心部に筒状部124が設けられている。筒状部124内には軸受126が保持されており、軸受126は回転子120に固定された出力軸128をハウジング122に対し回転可能に軸支している。筒状部124の開口端には、出力軸128を挿通させつつ軸受126の軸方向移動を阻止する突き当て部130が一体に形成されている。
【0007】
筒状部124の径方向外側には環状溝132が隣接しており、環状溝132内にはハウジング122の内外を連通する図示しない呼吸孔が設けられている。この環状溝132は、付き当て部130の外周に嵌合された防水板134によって閉塞されており、防水板134における呼吸孔に対し周方向にずれた位置にはバーリング孔134Aが設けられている。これにより、呼吸作用を維持しつつ呼吸孔からの直接的な被水を防止するようになっている。
【0008】
そして、防水板134の外周部からは円筒部136が軸方向に立設され、円筒部136の先端からは環状板部138が径方向外側に延設されている。環状板部138は、出力軸128の先端に固定されたファン部材140のファンボス部142と対向しており、図3に示す構成の防水壁部112と同様の作用を果たす。さらに、ファンボス部142における環状板部138との対向面からは短円筒状のリブ144が立設されており、該リブ144が環状板部138とラビリンス構造を形成している。これにより、出力軸128の軸芯部すなわち軸受126の防水性を向上させている。
【0009】
また、上記各構成とも、出力軸108、128に固定されたファン部材114、140の翼部114A、140Aの基端である円筒状に形成されたハブ114B、140Bが、ハウジング102、122の外周部を覆い、ファン部材114とハウジング102との間、ファン部材140とハウジング122との間から侵入する水量を抑制するようになっている。
【0010】
【特許文献1】
実開平6−17352号公報
【特許文献2】
実開平5−50963号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の前者の構成では、防水壁部112が軸受106の軸方向移動を阻止する突き当て部110の内縁部から一体に延設されているため、プレス加工等の低コストの加工方法によって大型の防水壁部112を得ることが困難であり、防水性の向上には限界があった。すなわち、小型の防水壁部112では、突き当て部110との間で保持する(堰き止める)ことができる水量が少なく、ファン部材114とハウジング102との間から大量の雨水等が侵入すると、該雨水等が防水壁部112を越えてしまい、出力軸108の露出部分が被水するという問題があった。
【0012】
一方、上記後者の構成では、防水板134(環状板部138)を大型化することで防水性の向上は可能であるが、別部材である防水板134(円筒部136及び環状板部138を含む部材)をハウジング122に取り付ける構造であるため、部品点数及び組付工数が多いという問題があった。また、ファンボス部142には、防水板134の環状板部138との間でラビリンス構造を形成するために、リブ144が設けられており、該ファンボス部142の構造が複雑化し加工コストが高いという問題があった。
【0013】
本発明は、上記事実を考慮して、部品点数及び組付工数を増加することなく、ハウジングとファンボス部との間における防水性を向上することができる電動ファンモータを得ることが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る電動ファンモータは、筒状に形成され、外周部に回転子が固定されると共に軸芯部を挿通した支軸に回転可能に支持された出力軸と、前記回転子を収容するヨーク部と、該ヨーク部よりも小径に形成され前記出力軸を挿通させて外部に突出させる筒状部とを隣接させて構成され、前記支軸に固定されたハウジングと、有底円筒状に形成され、底部が前記出力軸に固定されると共に、外周部に翼部が設けられる円筒部が前記筒状部を径方向外側から覆うファンボス部と、前記筒状部の先端の径方向外側に全周に亘り一体に設けられ、前記ファンボス部の底部と対向する防水壁部と、を備えている。
【0015】
請求項1記載の電動ファンモータでは、支軸に固定されたハウジングのヨーク部内に回転子が収容されており、この回転子を固定している出力軸がハウジングの筒状部を挿通してその一部をハウジング外に突出させている。この出力軸(回転子)が支軸を介してハウジングに対し回転可能に支持されている。また、出力軸にはファンボス部の底部が固定されている。これにより、回転子が回転すると、出力軸及びファンボス部が回転子と一体に支軸の軸芯廻りに回転し、ファンボス部に設けられた翼部が空気流を生じさせてラジエータを冷却する。
【0016】
ここで、ファンボス部の円筒部がハウジングの筒状部を径方向外側から覆っているため、出力軸の露出部分(筒状部の開口端とファンボス部の底部との間)への直接的な被水が防止されると共に、ハウジングとファンボス部との間から出力軸の軸芯側への侵入水量が抑制される。また、筒状部の先端の径方向外側に全周に亘り設けられた防水壁部がファンボス部の底部に対向しているため、この防水壁部によって、互いに隣接するヨーク部と筒状部との間に侵入した水の軸方向ファンボス部側への流れが阻止される。以上により、ファンボス部とハウジングのヨーク部との間から水が侵入しても、この水は防水壁部によって出力軸の露出側(ファンボス部側)への移動が阻止され筒状部の外周面を伝って排出される。換言すれば、ファンボス部の円筒部とハウジングの防水壁部とによって形成されたラビリンス(迷路)構造によって防水機能が果たされる。
【0017】
そして、防水壁部がハウジングの筒状部から一体に延設されているため、部品点数及び組付工数を増やすことなくラビリンス構造が形成される。すなわち、従来の如くハウジングに別部品を取り付けたりすることなくラビリンス構造が形成され、部品点数及び組付工数を増やすことなく防水性が確保される。
【0018】
また、出力軸が、その軸芯部を挿通する支軸(を介してハウジング)に回転可能に支持され、従来の如く軸受によって径方向外側から支持される必要がないため、筒状部の先端には軸受を保持するために径方向内側へ延設される部分を設ける必要がない。このため、単に筒状部の先端(開口端)の径方向外側に防水壁部を一体に設ける本構成を採ることができ、この防水壁部を簡単な加工法(例えば、プレス加工)によって大型化することが可能である。これにより、ハウジングとファンボス部との間における防水性を向上させることが可能となる。
【0019】
このように、請求項1記載の電動ファンモータでは、部品点数及び組付工数を増加することなく、ハウジングとファンボス部との間における防水性を向上することができる。
【0020】
請求項2記載の発明に係る電動ファンモータは、請求項1記載の電動ファンモータにおいて、前記防水壁部の外周部に、前記筒状部と対向する筒状壁部を一体に設けた、ことを特徴としている。
【0021】
請求項2記載の電動ファンモータでは、ハウジングの筒状部(の外周面)と対向する筒状壁部を防水壁部の外周部に一体に設けたため、上記ラビリンス構造が複雑化し防水性が一層向上する。
【0022】
請求項3記載の発明に係る電動ファンモータは、請求項1または請求項2記載の電動ファンモータにおいて、前記ファンボス部の円筒部の軸方向長さを、該ファンボス部の底部から前記ヨーク部までの距離よりも小さくした、ことを特徴としている。
【0023】
請求項3記載の電動ファンモータでは、ファンボス部の円筒部の軸方向長さが底部からヨーク部までの距離よりも小さいため、この円筒部は、ヨーク部を径方向外側から覆うことなく、ヨーク部よりも小径である筒状部を径方向外側から覆っている。
【0024】
このため、例えば、ファンボス部の円筒部をヨーク部よりも小径にすることで、従来の如くファンボス部にリブ等を設けることなく、ファンボス部における翼部が設けられ機能上必要な部分である円筒部と防水壁部(筒状壁部)との間隔を小さくしたラビリンス構造を得ることが可能となる。この構成では、防水性のみならず、出力軸廻りへの塵芥等の侵入を防止する防塵性も向上する。また例えば、要求される冷却性能に応じた翼部の大きさ及び位置(その基端である円筒部の径)を、ヨーク部の径に依存しないで設定することが可能となる。すなわち、防水性を確保しつつ、ファンボス部及び翼部を有するファン部材の設計自由度が向上する。
【0025】
なお、ファンボス部の円筒部がヨーク部を径方向外側から覆わない構成では、該ファンボス部とハウジングとの間からの侵入水量の抑制効果は減少するが、上記の通りファンボス部の円筒部とハウジングの防水壁部(及び筒状壁部)とによって十分な防水性が得られるため、防水性能上問題となることはない。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る電動ファンモータ10について、図1に基づいて説明する。
【0027】
図1には、電動ファンモータ10が断面図にて示されている。この図に示される如く、電動ファンモータ10は、出力軸としてのセンタピース12と、センタピース12を支持する支軸としてのシャフト14と、センタピース12に固定された回転子としてのプリントコイル16と、シャフト14に固定されセンタピース12の一部及びプリントコイル16を収容するハウジング18と、ハウジング18の外側でセンタピース12の先端に固定されるファン部材20とを主要構成要素として構成されている。以下、この順に説明する。
【0028】
センタピース12は、その軸芯部に軸線方向に貫通する貫通孔22が設けられた略筒状に形成されている。このセンタピース12は、軸線方向(長手方向)中央部よりも一端側が他端側よりも大径(肉厚)とされている。このセンタピース12の大径側の一端部には、軸方向端面で開口し軸線方向に沿って長手とされた複数のねじ孔24が設けられており、ファン部材20の固定用とされている。
【0029】
また、貫通孔22の軸線方向両端部は、それぞれ中央部よりも拡径されて軸受保持部22A、22Bとされている。
【0030】
このセンタピース12は、貫通孔22に挿通されたシャフト14に支持されている。シャフト14は、円柱状の支持部14Aと支持部14Aよりも大径とされた短円柱状の保持部14Bとが同軸的かつ一体に形成されており、支持部14Aがセンタピース12の貫通孔22に挿通されている。
【0031】
このシャフト14の支持部14Aは、センタピース12の軸受保持部22A、22Bにそれぞれ嵌合して保持された軸受(ボールベアリング)26、28の内周部に圧入により嵌合固定されている。これにより、シャフト14は軸受26、28を介してセンタピース12を回転可能に支持している。シャフト14の支持部14Aにおける保持部14Bと反対側の先端は、センタピース12の貫通孔22すなわち軸受26から突出している。
【0032】
プリントコイル16は、略円板状に形成され、その軸芯部に形成された取付孔にセンタピース12を挿通させた状態で、該センタピース12の軸方向中央部における外周部(外径の段差部分)に固着されている。すなわち、プリントコイル16は、センタピース12と一体にシャフト14の軸芯廻りに回転するようになっている。
【0033】
ハウジング18は、ハウジング本体32とエンドハウジング34との接合によって構成されている。ハウジング本体32は、略有底円筒状に形成され主にプリントコイル16及びマグネット50(後述)を収容するヨーク部36と、ヨーク部36における中央部が開口した底板部36Aの該開口縁部から軸方向外側に向けて立設された筒状部としての円筒形状のカバー部38とを備えている。すなわち、ハウジング本体32は、ヨーク部36と該ヨーク部36よりも小径のカバー部38とが同軸的に隣接して一体に形成されている。
【0034】
カバー部38は、センタピース12を挿通させて径方向外側からカバーすると共に、そのヨーク部36と反対側に形成された開口部38Aからセンタピース12のねじ孔24側端部を突出させるようになっている。また、カバー部38の開口部38Aが形成された先端からは、防水壁部としてのリング状壁部40が径方向外側に向けて全周に亘り一体に延設されている。すなわち、リング状壁部40は、ハウジング本体32の軸線との直交面に略沿って、該ハウジング本体32に一体に形成されている。
【0035】
以上説明したハウジング本体32は、金属材より成り、プレス加工によって全体として一体に形成されている。
【0036】
一方、エンドハウジング34は、ハウジング本体32側に開口する略カップ状に形成され軸芯部に位置するシャフト保持部42と、シャフト保持部42の径方向外側に延設されヨーク部36に対応した径を有する円板(ドーナツ)状のヨーク部44と、シャフト保持部42の周方向の一部における径方向外側にヨーク部44を一部切り欠いて連設されたブラシ保持部46とが一体に形成されている。このエンドハウジング34は、ハウジング本体32と同様の金属材より成り、プレス加工によって全体として一体に形成されている。
【0037】
そして、エンドハウジング34は、そのヨーク部44がハウジング本体32のヨーク部36と接合されることで、該ヨーク部36の開口端を閉塞してハウジング本体32に固定されている(ハウジング18を構成している)。この状態で、ハウジング18は、ヨーク部36とヨーク部44とで形成され本発明におけるヨーク部に相当する部分に、後述するマグネット50と共にプリントコイル16を収容している。また、ハウジング18は、カバー部38がセンタピース12におけるプリントコイル16よりもねじ孔24側部分を挿通させると共に、該センタピース12のねじ孔24側の先端を開口部38Aから外部へ突出させている。
【0038】
また、シャフト保持部42の軸芯部には、取付孔48Aを有するボス部48が一体に設けられている。このボス部48(取付孔48A)は、シャフト14の保持部14Bに嵌合した状態で固定されている。すなわち、ハウジング18がシャフト14に固定されており、該シャフト14に回転可能に支持されたセンタピース12は、軸受26、28及びシャフト14を介してハウジング18に対し回転可能に支持されている。
【0039】
さらに、ヨーク部44の内面には、マグネット50が固定されている。マグネット50は環状に形成されると共にプリントコイル16と同軸的に配置されており、該プリントコイル16と所定間隔だけ離間して対向している。すなわち、マグネット50とプリントコイル16との間には所定間隔のエアギャップが形成されている。一方、プリントコイル16とハウジング本体32のヨーク部36内面との間にも別途所定距離のエアギャップが形成されている。また、マグネット50は、その周方向にS極とN極とが交互に着磁されている。
【0040】
そして、エンドハウジング34のブラシ保持部46には、長手方向一端部がプリントコイル16の板面に対向して開口したブラシホルダ52が固定されており、ブラシホルダ52にはブラシ54が長手方向に移動可能に収容されている。ブラシホルダ52は、樹脂材等の絶縁材料にて構成されている。また、ブラシホルダ52の閉塞された長手方向他端部とブラシ54との間にはスプリング56が配設されており、ブラシ54は、スプリング56の付勢力によってプリントコイル16に圧接している。このブラシ54には、外部から駆動電流が供給されるようになっている。
【0041】
以上により、本実施の形態係る電動ファンモータ10は、所謂プリントモータとされており、ブラシ54を介してプリントコイル16に給電すると、該プリントコイル16に磁界が発生し、この磁界がマグネット50の磁界と作用してプリントコイル16に回転トルクが発生するようになっている。そして、この回転トルクによって、電動ファンモータ10では、センタピース12がプリントコイル16と一体に回転する構成である。
【0042】
また、ハウジング本体32とエンドハウジング34とが接合して構成されたハウジング18には、これらのハウジング本体32とエンドハウジング34とを共に貫通する取付孔58が設けられており、車体への取付用とされている。具体的には、電動ファンモータ10は、自動車や2輪車等の車両におけるラジエータの近傍に配置され、取付孔58に挿通されるボルト等によって車体に固定される。
【0043】
以上説明したハウジング18から突出したセンタピース12の先端には、ファン部材20が固定されている。ファン部材20は、略有底円筒形状に形成されたファンボス部60と、ファンボス部60の外周部に設けられた翼部(ファン、羽根)62とを備えている。
【0044】
また、ファンボス部60は、略円板状の底部64と、底部64の外周部に一体に形成された円筒部66とを有している。底部64には、これと同軸的な円周に沿って複数の透孔64Aが等間隔で設けられており、各透孔64Aは、それぞれセンタピース12の複数のねじ孔24に対応している。そして、底部64は、各透孔64Aを貫通してねじ孔24にねじ込まれたボルト68の頭部68Aとセンタピース12の端面との間に挟持されて該センタピース12に固定されている。
【0045】
これにより、ファン部材20は、センタピース12に同軸的に固定され、該センタピース12と一体にシャフト14の軸芯廻りに(シャフト14と同軸的に)回転する構成である。この固定状態では、底部64がハウジング18のリング状壁部40と対向している。
【0046】
なお、ファンボス部60の底部64における各透孔64Aよりも径方向内側の軸芯部は、軸方向外方に凸の略カップ状に形成されたカップ部70とされており、カップ部70は、センタピース12の貫通孔22から突出したシャフト14の先端を入り込ませるようになっている。また、ボールベアリングである軸受26に代えてメタル軸受(含油軸受等)を用いる場合には、該メタル軸受の脱落を阻止(すなわち、シャフト14からのセンタピース12の脱落を阻止)するために、CリングやEリングである抜け止め部材をシャフト14の先端に装着するが、この場合、カップ部70は、その内側にシャフト14の先端と共に抜け止め部材を収容する構成である。
【0047】
一方、ファンボス部60の円筒部66は、その内径がハウジング18のヨーク部36の外径よりも小でかつリング状壁部40の外径よりも大とされている。そして、円筒部66は、ファン部材20のセンタピース12への固定状態で、ハウジング18のリング状壁部40を含むカバー部38を径方向外側から覆うようになっている。すなわち、円筒部66は、底部64に対しカップ部70とは軸方向反対側に立設されており、かつ、相対回転するハウジング18と干渉しないために、その軸方向長さが底部64とヨーク部36の底板部36Aとの対向間隔よりも小さい。この円筒部66の外周面から翼部62が一体に突設されている。
【0048】
以上により、電動ファンモータ10は、ファンボス部60の円筒部66によって、センタピース12の露出部分(底部64とリング状壁部40との対向面間)への直接的な被水が防止されると共に、ファン部材20とハウジング18(ヨーク部36)との間からの侵入水量が抑制される構成である。また、ハウジング18とファン部材20との間から雨水等が侵入しても、この雨水等のセンタピース12の露出部分側への移動がリング状壁部40によって堰き止められ(阻止され)る構成である。すなわち、電動ファンモータ10では、ファン部材20の円筒部66とハウジング18のリング状壁部40とでラビリンス(迷路)構造を形成している。
【0049】
また、センタピース12の外周面とカバー部38の内周面との間には、外気温とハウジング18内の内部温度との差による圧力差を生じさせないための隙間Cが形成されている。すなわち、隙間Cは、電動ファンモータ10の作動に伴う発熱や外気温の上昇によってハウジング18内の空気が膨張しても該空気を外部に逃すことによってハウジング18内外の圧力を一定に保つようになっている。このため、逆にハウジング18内の圧力が外部の圧力よりも低くなることがなく、ハウジング本体32とエンドハウジング34との接合部等における吸気作用に伴うハウジング18内への浸水も防止される構成である。
【0050】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0051】
上記構成の電動ファンモータ10では、ブラシ54を介してプリントコイル16に駆動電流が供給されて該プリントコイル16に磁界が発生すると、この磁界がマグネット50の磁界と作用してプリントコイル16に回転トルクが発生し、この回転トルクによってプリントコイル16がセンタピース12と一体に回転する。これにより、センタピース12に接続されたファン部材20が回転し、翼部62が発生する空気流によってラジエータが冷却される。
【0052】
電動ファンモータ10は、雨天時等には、その外面に被水する場合がある。
【0053】
ここで、電動ファンモータ10では、ファンボス部60の円筒部66がハウジング18のカバー部38を径方向外側から覆っているため、センタピース12の露出部分(カバー部38の開口端とファンボス部60の底部64との間)への直接的な被水が防止されると共に、ハウジング18(ヨーク部36)とファンボス部60との間からセンタピース12の軸芯側への侵入水量が抑制される。
【0054】
また、カバー部38の先端ではリング状壁部40がファンボス部60の底部64に対向しているため、このリング状壁部40によって、ファンボス部60とハウジング18との間から侵入した水の上記センタピース12露出部分(ファンボス部60側)への流れが阻止される。
【0055】
以上により、ファンボス部60とハウジング18のヨーク部36との間からヨーク部36の底板部36Aとカバー部38の先端との間に水が侵入しても、この水は、リング状壁部40によってセンタピース12の露出側への移動が阻止され、カバー部38の外周面を伝って重力方向に排出される。換言すれば、円筒部66とリング状壁部40とによって形成されたラビリンス(迷路)構造によって防水機能が果たされる。
【0056】
そして、リング状壁部40がハウジング18のカバー部38から一体に延設されているため、部品点数を増やすことなく上記ラビリンス構造が形成される。すなわち、ラビリンス構造を形成するために、従来の如くハウジングに別部品を取り付けたりする必要がなく、部品点数及び組付工数を増やすことなく防水性を確保することができる。
【0057】
また、センタピース12がその貫通孔22を挿通すると共にハウジング18に固定されたシャフト14に回転可能に支持されているため、換言すれば、センタピース12がその内側に挿設された軸受26等を介してシャフト14に支持されているため、センタピース12の外側を覆うカバー部38には軸受26を保持するために径方向内側へ延設される部分(図3の突き当て部110に相当する部分)を設ける必要がない。
【0058】
このため、単にカバー部38の開口部38Aが形成された先端から大型のリング状壁部40を一体に延設することができる。このリング状壁部40を大型にすると、互いに対向するリング状壁部40及びヨーク部36の底板部36Aとカバー部38とで形成される環状溝(凹部)内での堰き止め可能な水量が増し、大量の雨水等がヨーク部36とファンボス部60との間に侵入しても、センタピース12の露出部分への被水が防止される。すなわち、防水性が向上する。
【0059】
このように、本実施の形態に係る電動ファンモータ10では、部品点数及び組付工数を増加することなく、ハウジング18とファンボス部60との間における防水性を向上することができる。
【0060】
また、上記の通り防水性が向上するため、ファン部材20の円筒部66がヨーク部36を径方向外側から被覆しない構成としてハウジング18とファンボス部60との間における侵入水量の抑制効果を低減しても、該部分における防水性能上の問題はない。このため、本実施の形態では、ファンボス部60の円筒部66を、その軸方向長さが底部64から底板部36Aまでの距離も小さい設定とすると共に、その内径がヨーク部36の外径よりも小さい設定としている。
【0061】
これにより、電動ファンモータ10では、従来の如くファンボス部にリブ(図4のリブ144)を設けることなく、円筒部66をリング状壁部40に近接させることで、防水性のみならず、センタピース12廻りへの塵芥等の侵入を防止する防塵性も向上している。
【0062】
また、ファンボス部60の円筒部66がヨーク部36を径方向外側から被覆しないことにより、ファンボス部60の大きさをヨーク部36の径に依存することなく設定することが可能となり、ファン部材20の設計自由度が向上する。これにより、要求される冷却性能に応じた翼部62の大きさ及び位置(その基端である円筒部66の径)を、最適に設定することも可能である。
【0063】
次に、本発明の実施の形態の変形例に係る電動ファンモータ80について説明する。なお、上記実施の形態と基本的に同一の部品・部分については上記実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図2には、電動ファンモータ80のが断面図にて示されている。この図に示される如く、電動ファンモータ80は、リング状壁部40の外周部に略円筒形状の筒状壁部82が設けられている点で、電動ファンモータ10とは異なる。
【0065】
筒状壁部82は、プレス加工によって、リング状壁部40の外周部からヨーク部36側に折り返されてハウジング本体32に一体に形成されている。すなわち、筒状壁部82は、その内周面がカバー部38の外周面と対向すると共に、その外周面がファン部材20の円筒部66の内周面と対向している。その他の構成は、電動ファンモータ10と全く同様である。
【0066】
この構成の電動ファンモータ80では、上記実施の形態に係る電動ファンモータ10と全く同様の効果が得られる他、リング状壁部40、筒状壁部82、及び円筒部66によって形成されるラビリンス構造が複雑化し、簡単な構造で防水性が一層向上する。
【0067】
特に、円筒部66がカバー部38におけるヨーク部36側の根元部分(カバー部38を全長に亘り)を覆わない本構成では、カバー部38が直接的に被水した場合に、この水が径方向外側にはね上がってリング状壁部40を越えることが懸念されるが、筒状壁部82によって水のはね上がりによるセンタピース12の露出部への被水が確実に防止される。なお、筒状壁部82をテーパ状に形成しても良い。
【0068】
なお、上記の実施の形態では、電動ファンモータ10がプリントモータである好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、出力軸がその軸芯部を挿通する支軸に支持される構成であれば、如何なる形式の電動ファンモータに適用しても良い。また、出力軸としてのセンタピース12は、軸受26を介することなく支軸としてのシャフト14に直接的に支持されても良い。
【0069】
また、上記の実施の形態では、ファン部材20の円筒部66がヨーク部36を径方向外側から覆わない構成としたが、本発明はこれに限定されず、円筒部66がヨーク部36を径方向外側から覆う構成としても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動ファンモータを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の変形例に係る電動ファンモータを示す断面図である。
【図3】従来の電動ファンモータの防水構造を示す断面図である。
【図4】従来の別の電動ファンモータの防水構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10…電動ファンモータ、12…センタピース(出力軸)、14…シャフト(支軸)、16…プリントコイル(回転子)、18…ハウジング、36…ヨーク部、38…カバー部(筒状部)、40…リング状壁部(防水壁部)、44…ヨーク部、60…ファンボス部、62…翼部、64…底部、66…円筒部、80…電動ファンモータ、82…筒状壁部

Claims (3)

  1. 筒状に形成され、外周部に回転子が固定されると共に軸芯部を挿通した支軸に回転可能に支持された出力軸と、
    前記回転子を収容するヨーク部と、該ヨーク部よりも小径に形成され前記出力軸を挿通させて外部に突出させる筒状部とを隣接させて構成され、前記支軸に固定されたハウジングと、
    有底円筒状に形成され、底部が前記出力軸に固定されると共に、外周部に翼部が設けられる円筒部が前記筒状部を径方向外側から覆うファンボス部と、
    前記筒状部の先端の径方向外側に全周に亘り一体に設けられ、前記ファンボス部の底部と対向する防水壁部と、
    を備えた電動ファンモータ。
  2. 前記防水壁部の外周部に、前記筒状部と対向する筒状壁部を一体に設けた、ことを特徴とする請求項1記載の電動ファンモータ。
  3. 前記ファンボス部の円筒部の軸方向長さを、該ファンボス部の底部から前記ヨーク部までの距離よりも小さくした、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動ファンモータ。
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