JP2004159116A - 多周波共用アンテナ - Google Patents

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慎 水村
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Abstract

【課題】所定の間隔をおいて配置した一対のアンテナ素子により、所定の水平面内指向特性を維持しつつ、2つの周波数の電波を放射できるようにして、従来の多周波共用アンテナよりも構成を簡略化し、かつ、コストを低減することが可能な多周波共用アンテナを提供する。
【解決手段】反射板と、前記反射板上に、任意の点を中心に線対称に配置されるとともに、f1の周波数の電波と、前記f1の周波数よりも高域のf2(f2>f1)の周波数の電波とを放射する一対のアンテナ素子とを有する多周波共用アンテナであって、前記反射板上に、前記任意の点から見て前記一対のアンテナ素子の外側になるように、前記任意の点を中心に線対称に配置され、前記f1の周波数の電波の指向特性を調整する一対の指向特性調整素子を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多周波共用アンテナに係わり、特に、所定の間隔をおいて配置した一対のアンテナ素子により、2つの周波数の電波を放射する多周波共用アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の多周波共用アンテナを説明するための概念図である。
同図において、1は反射板、3,3は、f1の周波数の電波を放射する一対の第1の半波長ダイポールアンテナ素子(以下、単に、ダイポールアンテナ素子という)、4,4は、f1の周波数よりも高域のf2(f2>f1)の周波数の電波を放射する一対の第2のダイポールアンテナ素子である。
図6に示す多周波共用アンテナは、一対の第1のダイポールアンテナ素子(3,3)を、反射板1の中心点に線対称に、λ/2の間隔で配置し、同様に、一対の第2のダイポールアンテナ素子(4,4)を、反射板1の中心点に線対称に、λ/2の間隔で配置したものである。なお、λは、f1の周波数の自由空間波長、λは、f2の周波数の自由空間波長である。
この図6に示す多周波共用アンテナでは、約60°の水平面指向特性を得ることが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した図6に示す従来の多周波共用アンテナでは、f1の電波を放射する一対の第1のダイポールアンテナ素子(3,3)と、f2の電波を放射する一対の第2のダイポールアンテナ素子(4,4)とが必要であるため、構成が複雑となり、かつ、コストを低減することが困難であるという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、所定の間隔をおいて配置した一対のアンテナ素子により、所定の水平面内指向特性を維持しつつ、2つの周波数の電波を放射できるようにして、従来の多周波共用アンテナよりも構成を簡略化し、かつ、コストを低減することが可能な多周波共用アンテナを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
即ち、本発明は、反射板と、前記反射板上に、任意の点を中心に線対称に配置されるとともに、f1の周波数の電波と、前記f1の周波数よりも高域のf2(f2>f1)の周波数の電波とを放射する一対のアンテナ素子とを有する多周波共用アンテナであって、前記反射板上に、前記任意の点から見て前記一対のアンテナ素子の外側になるように、前記任意の点を中心に線対称に配置され、前記f1の周波数の電波の指向特性を調整する指向特性調整素子を有することを特徴とする。
【0005】
また、本発明では、前記一対のアンテナ素子は、半波長ダイポールアンテナ素子であって、前記f1の周波数の自由空間波長をλ、前記f2の周波数の自由空間波長をλとするとき、前記一対のアンテナ素子は、間隔が(λ+λ)/4であり、長さ(L1)が、0.8×(λ+λ)/4≦L1≦1.2×(λ+λ)/4であり、前記一対の指向特性調整素子は、間隔がλ/2であり、長さ(L2)が、0.8×λ/4≦L2≦1.2×λ/4であることを特徴とする。
また、本発明では、前記一対の半波長ダイポールアンテナ素子、および一対の指向特性調整素子が第1の面に形成される誘電体基板を備え、前記誘電体基板の第1の面と反対側の面には、前記一対のアンテナに励振電力を供給する給電線路が形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明では、所定の間隔をおいて配置される一対のアンテナ素子を、f1の周波数の電波と、f2の周波数の電波とを放射する共用のアンテナ素子として使用する。
一般に、一対のアンテナ素子の間隔(以下、アレー間隔という)を広げると、アンテナから放射される放射ビームのビーム幅は狭くなり、逆に、一対のアンテナ素子の間隔を狭くすると、アンテナから放射される放射ビームのビーム幅は広がる。
本発明の多周波共用アンテナのように、一対のアンテナ素子を、f1の周波数の電波と、f2の周波数の電波を放射する共用のアンテナ素子として使用する場合は、アレー間隔が、一対のアンテナ素子でf1の周波数の電波のみを放射する場合よりも狭くなるので、アンテナから放射されるf1の周波数の放射ビームのビーム幅が広くなる。
そのため、本発明の多周波共用アンテナでは、一対のアンテナ素子の外側に、f1の周波数の放射ビームの水平面内指向特性を調整する一対の指向特性調整素子を設ける。
これにより、本実施の形態では、所定の間隔をおいて配置した一対のアンテナ素子により、所定の水平面内指向特性を維持しながら、2つの周波数の電波を放射することができるので、従来の多周波共用アンテナよりも構成を簡略化し、かつ、コストを低減することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態の多周波共用アンテナを説明するための概念図である。
同図において、1は反射板、5,5は、f1の周波数の電波と、f1の周波数よりも高域のf2(f2>f1)の周波数の電波とを放射するダイポールアンテナ素子である。
本実施の形態の多周波共用アンテナでは、(λ+λ)/4のアレー間隔(図1に示すT1の間隔)をおいて、反射板1の中心点を中心として線対称に配置される一対のダイポールアンテナ素子(5,5)を、f1の周波数の電波と、f2の周波数の電波とを放射する共用のアンテナ素子として使用する。
前述したように、λは、f1の周波数の自由空間波長、λは、f2の周波数の自由空間波長である。
例えば、移動体通信システムに使用される1.5GHz帯の周波数と、2GHz帯の周波数とのように、λ/2と、λ/2との差が小さい場合には、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)の長さを、例えば、(λ+λ)/4とすることにより、f1の周波数の電波と、f2の周波数の電波の2つの電波を放射することができる。
【0008】
ここで、図1に示すように、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)のアレー間隔(T1)は、(λ+λ)/4とされる。
前述したように、一対のダイポールアンテナ素子のアレー間隔を広げると、アンテナから放射される電波のビーム幅は狭くなり、逆に、一対のアンテナ素子の間隔を狭くすると、アンテナから放射される放射ビームのビーム幅は広がる。
f2の周波数において、図6に示す従来の多周波共用アンテナでは、アレー間隔がλ/2であったものが、本実施の形態の多周波共用アンテナでは、アレー間隔(T1)は(λ+λ)/4となるので、f2の周波数ではアレー間隔が広くなる。
そのため、本実施の形態の多周波共用アンテナでは、f2の周波数において、アンテナから放射される電波のビーム幅が狭くなる。
しかしながら、f1の周波数においては、図6に示す従来の多周波共用アンテナでは、アレー間隔がλ/2であったものが、本実施の形態の多周波共用アンテナでは、アレー間隔(T1)は(λ+λ)/4となるので、f1の周波数ではアレー間隔が狭くなる。
そのため、本実施の形態の多周波共用アンテナでは、f1の周波数において、アンテナから放射される電波のビーム幅が広くなる。
【0009】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように、λ/2のアレー間隔(図1に示すT2の間隔)をおいて、反射板1の中心点を中心として線対称に一対の指向特性調整素子(9,9)を配置する。
即ち、本実施の形態では、一対の指向特性調整素子(9,9)を、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)の外側(反射板1の中心点から見て外側)に配置する。
この一対の指向特性調整素子(9,9)は、一種の無給電素子として動作し、f1の周波数は、一対の指向特性調整素子(9,9)においても励振され、f1の電波は、一対の指向特性調整素子(9,9)からも放射される。即ち、本実施の形態では、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)の外側に、アレー間隔がλ/2で、f1の電波を放射する一対のアンテナ素子が配置されることになるので、その結果として、f1の周波数において、アンテナから放射される電波のビーム幅を、従来の多周波共用アンテナと同様な値(60°)とすることが可能となる。
したがって、本実施の形態では、所定の水平面内指向特性を維持しながら、従来の多周波共用アンテナよりも構成を簡略化し、かつ、コストを低減することが可能となる。
【0010】
図2は、本発明の実施の形態の多周波共用アンテナの概略構成を示す図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は、同図(a)のA−A’接続線に沿った断面構造を示す断面図である。
同図において、1は反射板、2は誘電体基板であり、本実施の形態では、反射板1の反射面に対して、誘電体基板2が平行に配置される。
図3は、図2に示す誘電体基板2を説明するための図である。
一対のダイポールアンテナ素子(5,5)は、誘電体基板2の一方の面(裏面または表面)に、分波器25を中心にして線対称に設けられる。
ここで、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)を構成する導体の長さ(L1)は、0.8×(λ+λ)/4≦L1≦1.2×(λ+λ)/4とされる。
また、誘電体基板2の一方の面には、接地導体(6,6)も形成される。図3に示すように、接地導体6には、長手方向のスロット21、21とが設けられる。
ダイポールアンテナ素子5は、接地導体6に形成されたスロット21により分離される2つの導体部(22,23)に接続され、また、ダイポールアンテナ素子5は、接地導体6に形成されたスロット21により分離される2つの導体部(22,23)に接続される。
【0011】
誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)には、給電線路(7,7)が形成される。
図3に示すように、給電線路7は、導体部23が形成される領域に沿って形成されるとともに、導体部22が形成される領域に沿って折り返されて延長される折り返し部分26を有する。
同様に、給電線路7は、導体部23が形成される領域に沿って形成されるとともに、導体部22が形成される領域に沿って折り返されて延長される折り返し部分26を有する。
また、図3に示すように、給電線路(7,7)は、インピーダンス整合を図るために、その幅が一部狭くなっている。
折り返し部分(26,26)を有する給電線路(7,7)は、接地導体(6,6)とともに、分岐導体による平衡−不平衡変換回路(マイクロストリップ線路による平衡−不平衡変換回路)を構成する。
また、図3には図示していないが、誘電体基板2の裏面には、同軸接栓が設けられ、その内部導体は、誘電体基板2の裏に穿った孔に挿入され、接地導体(6,6)と電気的に接続される恐れがないようにして、給電線路(7,7)に接続され、同軸接栓の外部導体は、接地導体(6,6)に接続される。
【0012】
誘電体基板2の他方の面(表面または裏面)には、本発明の特徴とする一対の指向特性調整素子(9,9)も形成される。
この一対の指向特性調整素子(9,9)の長さ(L2)および幅(W)は、反射板1と誘電体基板2との間隔、誘電体基板2の厚さおよび材質、あるいは、ダイポールアンテナ素子(5,5)と指向特性調整素子(9,9)との間隔などに応じて適宜設定する必要があるが、一対の指向特性調整素子(9,9)の長さ(L2)は、0.8×λ/4≦L2≦1.2×λ/4が望ましい。
なお、図3では、一対のダイポールアンテナ素子(5,5)のアレー間隔は、(λ+λ)/4となっているが、このアレー間隔は、f2の周波数の電波のビーム幅が、所望の値(本実施の形態では、60°)よりも、狭くなりすぎない値に設定する必要がある。
【0013】
図4は、本実施の形態の多周波共用アンテナのf1の周波数における水平面内指向特性の一例を示すグラフであり、図5は、本実施の形態の多周波共用アンテナのf1の周波数における水平面内指向特性の一例を示すグラフである。
図4、図5に示すように、本実施の形態の多周波共用アンテナでは、f1の周波数においてビーム幅が62°、f2の周波数においてビーム幅が57°となっている。なお、ビーム幅とは、相対利得が−3dB以下となる範囲の角度である。
本実施の形態の多周波共用アンテナは、2GHz帯の周波数の電波と、1.5GHz帯の周波数の電波を放射する、移動体通信システムにおける基地局アンテナとして使用することができる。
なお、前述の実施の形態では、ダイポールアンテナ素子を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、ダイポールアンテナ素子以外の他のアンテナ素子を使用する場合にも適用可能であることはいうまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0014】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の多周波共用アンテナによれば、所定の間隔をおいて配置した一対のアンテナ素子により、所定の水平面内指向特性を維持しつつ、2つの周波数のビームを放射することができるので、従来の多周波共用アンテナよりも構成を簡略化し、かつ、コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の多周波共用アンテナを説明するための概念図である。
【図2】本発明の実施の形態の多周波共用アンテナの概略構成を示す図である。
【図3】図2に示す誘電体基板を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態の多周波共用アンテナのf1の周波数における水平面内指向特性の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態の多周波共用アンテナのf2の周波数における水平面内指向特性の一例を示すグラフである。
【図6】従来の多周波共用アンテナを説明するための概念図である。
【符号の説明】
1…反射板、2…誘電体基板、3,3…一対の第1の半波長ダイポールアンテナ素子、4,4…一対の第2の半波長ダイポールアンテナ素子、5…一対の半波長ダイポールアンテナ素子、6,6…接地導体、7,7…給電線路、9,9…一対の指向特性調整素子、21,21…スリット、22,22,23,23…導体部、25…分配器、26,26…折り返し部分。

Claims (3)

  1. 反射板と、
    前記反射板上に、任意の点を中心に線対称に配置されるとともに、f1の周波数の電波と、前記f1の周波数よりも高域のf2(f2>f1)の周波数の電波とを放射する一対のアンテナ素子とを有する多周波共用アンテナであって、
    前記反射板上に、前記任意の点から見て前記一対のアンテナ素子の外側になるように、前記任意の点を中心に線対称に配置され、前記f1の周波数の電波の指向特性を調整する一対の指向特性調整素子を有することを特徴とする多周波共用アンテナ。
  2. 前記一対のアンテナ素子は、半波長ダイポールアンテナ素子であって、
    前記f1の周波数の自由空間波長をλ、前記f2の周波数の自由空間波長をλとするとき、前記一対のアンテナ素子は、間隔が(λ+λ)/4であり、長さ(L1)が、0.8×(λ+λ)/4≦L1≦1.2×(λ+λ)/4であり、
    前記一対の指向特性調整素子は、間隔がλ/2であり、長さ(L2)が、0.8×λ/4≦L2≦1.2×λ/4であることを特徴とする請求項1に記載の多周波共用アンテナ。
  3. 前記一対の半波長ダイポールアンテナ素子、および一対の指向特性調整素子が第1の面に形成される誘電体基板を備え、
    前記誘電体基板の第1の面と反対側の面には、前記一対のアンテナに励振電力を供給する給電線路が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多周波共用アンテナ。
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