JP2004157380A - 沈胴式レンズ鏡筒の制御方法およびそれを用いた光学機器 - Google Patents

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Yoshiaki Nakatsuka
義昭 中塚
Naoto Yugi
直人 弓木
Takayuki Hayashi
孝行 林
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Abstract

【課題】従来の沈胴式レンズ鏡筒を用いたカメラなどの光学機器は、第1レンズ群および第2レンズ群の移動軌跡が一様に決まっており、撮影者の意図に応じた撮影倍率で撮影開始するまでの所要時間を短縮するのが困難である。
【解決手段】第1レンズ群L1、第2レンズ群L2をそれぞれL1駆動制御手段16、L2駆動制御手段18により繰り出し、さらにL1レンズ群L1、L2レンズ群L2の初期位置を繰込み側に設け、初期位置からの移動量でL1駆動制御手段16、L2駆動制御手段18に命令することにより、撮影開始時の撮影倍率に応じた位置へ容易に移動させることができ、所要時間を短縮することができる。
【選択図】 図18

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に撮影時に比べ非撮影時におけるレンズ鏡筒の長さを短縮し、携帯性に優れたDSC(Digital Still Camera)、ビデオムービー等のレンズ鏡筒を用いた光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル方式のDSC、ビデオムービーの普及とともに、超小型化が望まれている。そこでレンズ鏡筒の小型化とともに、非撮影時における携帯性を考慮し、非撮影時には鏡筒の長さが短くなる、いわゆる沈胴式のレンズ鏡筒が提案されている。
【0003】
従来、沈胴式のレンズ鏡筒を用いた光学機器としては、図20に示すような構造のものが知られていた(例えば特許文献1)。
【0004】
図20において、L1は撮影時(変倍及び合焦のとき)に固定の第1レンズ群、L2は変倍用の第2レンズ群、L3は撮影時に固定の第3レンズ群、L4は変倍に伴う像面変動の補正及び合焦の際に光軸上を移動する第4レンズ群である。121は固定筒であり、撮像素子FAを固定保持している。127は第1保持枠であり、第1レンズ群L1を保持している。129は第2保持枠であり、第2レンズ群L2を保持しており、第1保持枠127とメスヘリコイド133との間に固定したバー130と131によって光軸方向に移動可能となっている。メスヘリコイド133は第1保持枠127に固定され、固定筒121の外周部に設けたヘリコイドと結合している。132は駆動モータであり、メスヘリコイド133の外周部に設けたギア133aと出力ギア132aとを噛み合わせて非撮影時に第1レンズ群L1を、即ち第1保持枠127を光軸方向に直進駆動させている。なお図21は、非撮影時(沈胴時)の状態を表す。
【0005】
このような従来の沈胴式レンズ鏡筒が、非撮影状態から撮影状態へ移行するための繰り出し動作のフローチャートを図21に示す。
【0006】
図21に示すように、処理S101では、撮影準備モードスイッチがONとなり、撮影レンズのバリヤ開閉ボタンが開の位置になる等、撮影状態又は撮影準備状態となる。
【0007】
処理S102では、駆動モータ132によりメスヘリコイド133を繰り出す(物体側へ移動させる)ことにより第1レンズ群L1を物体側の所定位置まで移動させる。処理S103では、第1レンズ群L1が所定位置まで繰り出されたことを検出する繰出しスイッチ(不図示)により、第1レンズ群が所定位置に繰り出されたことを検知する。
【0008】
処理S104では、駆動モータ132を停止させ、第1レンズ群L1の移動を止める。これにより撮影可能の状態にしている。処理S105では、第2レンズ群L2と第4レンズ群L4を駆動モータ134と駆動モータ126を駆動させて変倍初期設定位置に移動させる。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−179188号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の沈胴式レンズ鏡筒においては、次のような問題点があった。
(1)繰出しスイッチを撮影位置側に設けているため、第1レンズ群L1を繰り出す際、第1レンズ群L1の繰り出し停止位置精度を高める必要があり、繰出しスイッチの検出で、第1レンズ群L1が所定位置まで繰り出されたか否かを常に監視しなければならず、光学機器に備えたマイクロコンピュータ等の監視手段に割り込み処理が入るため負荷が大きくなる。
(2)また、第1レンズ群L1の停止位置精度を高めるためには、制動距離(すなわち、停止命令してから、実際に停止するまでの間に第1レンズ群L1が移動する距離)を小さくする必要があり、このためには繰り出し速度を所定速度以下に抑えなければならない。
(3)駆動モータ132が第1レンズ群L1を繰り出す際、第1レンズ群L1あるいは第1保持枠127のみでなく、第2レンズ群L2、第2保持枠129、バー130,131さらに駆動モータ134を移動させる必要があるため、駆動モータ132への負荷が大きくなり、繰り出し時間が長くなる。
(4) 撮影者が撮影を望遠状態で始めたい、すなわち、繰り出し時に第2レンズ群L2をテレ(望遠)位置で始めたいという場合であっても、必ず、第2レンズ群L2はワイド位置を経由するため、所要時間が長くなる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、第1レンズ群あるいは第2レンズ群の繰り出し時間を短縮することができ、さらに、撮影者の所望する撮影倍率で早く撮影開始することを可能とした沈胴式レンズ鏡筒とそれを用いた光学機器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために本発明の沈胴式レンズ鏡筒の制御方法は、撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒の制御方法であって、前記沈胴式レンズ鏡筒は、前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠を有し、前記第1のレンズ群は前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に第1初期位置を有し、前記第2のレンズ群は前記第2保持枠の光軸像面側に第2初期位置を有し、所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置が記憶され、前記第1のレンズ群が前記第1初期位置にあることを検出し、かつ、前記第2レンズ群が前記第2初期位置にあることを検出した後、前記第2初期位置から前記所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置に前記第2レンズ群が移動を開始するタイミングを、前記第1初期位置から前記第1レンズ群が移動した距離により決定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の沈胴式レンズ鏡筒の制御方法は、撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒の制御方法であって、前記沈胴式レンズ鏡筒は、前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠を有し、前記第1のレンズ群は前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に第1初期位置を有し、前記第2のレンズ群は前記第2保持枠の光軸像面側に第2初期位置を有し、所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置が記憶され、前記第1のレンズ群が前記第1初期位置にあることを検出し、かつ、前記第2レンズ群が前記第2初期位置にあることを検出した後、前記第2初期位置から前記所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置に前記第2レンズ群が移動を開始するタイミングを、前記第1初期位置から前記第1レンズ群が移動した距離と、前記記憶された所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置から決定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の沈胴式レンズ鏡筒を用いた光学機器は、撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒を備えた光学機器であって、前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第1保持枠を駆動制御する第1駆動制御手段と、前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に設けた第1初期位置を検出する第1初期位置検出手段と、前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離を検出する第1移動距離検出手段と、所望のズーム倍率の場合の前記第2初期位置に対する第2レンズ群の位置を記憶する位置記憶手段と、前記固定鏡筒に対して光軸方向に進退自在に配置した第2レンズ群と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠と、前記第2保持枠を駆動制御する第2駆動制御手段と、前記第2保持枠の光軸像面側に設けた第2初期位置を検出する第2初期位置検出手段とを備え、前記所望のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置への前記第2レンズ群の移動開始タイミングを前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離により決定する第2レンズ移動開始制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の沈胴式レンズ鏡筒を用いた光学機器は、撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒を備えた光学機器であって、前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第1保持枠を駆動制御する第1駆動制御手段と、前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に設けた第1初期位置を検出する第1初期位置検出手段と、前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離を検出する第1移動距離検出手段と、所望のズーム倍率の場合の前記第2初期位置に対する第2レンズ群の位置を記憶する位置記憶手段と、前記固定鏡筒に対して光軸方向に進退自在に配置した第2レンズ群と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠と、前記第2保持枠を駆動制御する第2駆動制御手段と、前記第2保持枠の光軸像面側に設けた第2初期位置を検出する第2初期位置検出手段とを備え、前記所望のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置への前記第2レンズ群の移動開始タイミングを前記記憶した所望のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置と、前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離により決定する第2レンズ移動開始制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
これにより、本発明の沈胴式レンズ鏡筒は、
(a)第1駆動制御手段および第2駆動制御手段は独立しているため、同時に駆動させることが容易であり、第1保持枠および第2保持枠の繰り出し時間を短縮することができる。
(b)第1駆動制御手段は第1レンズ群を保持する第1保持枠のみを、第2駆動制御手段は第2レンズ群を保持する第2保持枠のみを移動させれば良いため、第1駆動制御手段あるいは第2駆動制御手段にかかる負荷が小さくて済み、繰り出し速度を上げることができる。
(c)第1初期位置検出手段および第2初期位置検出手段を光軸像面側に設けたことにより、第1駆動制御手段が第1保持枠を、第2駆動制御手段が第2保持枠を光軸物体側へ移動させる場合、マイクロコンピュータは第1駆動制御手段および第2駆動制御手段に対し、それぞれ第1初期位置あるいは第2初期位置から目標位置である撮影位置への移動量を指令し、第1保持枠および第2保持枠が移動している際には、マイクロコンピュータは移動量をカウントするだけで良いため、マイクロコンピュータへの割り込みによる負荷を軽減することができる。
【0017】
さらに、第1保持枠および第2保持枠をそれぞれの目標位置にて停止させる際、目標位置に対し、予め設定した制動距離だけ手前で停止命令することができ、第1保持枠あるいは第2保持枠の停止位置精度を向上することができる。
【0018】
さらに、第1保持枠および第2保持枠の繰り出し速度と制動距離との関係が既知であれば、目標位置で停止できる範囲内で、最大の移動速度で第1保持枠および第2保持枠を移動させることができる。
【0019】
さらに本発明の光学機器は、第2レンズ群は変倍レンズ系であって、撮影開始する際の撮影倍率の初期値を選択する初期撮影倍率選択手段を備え、第1駆動制御手段が第1保持枠を第1初期位置から撮影位置に移動させている間に、初期撮影倍率選択手段により選択された初期値に基づき、第2駆動制御手段が第2保持枠を第2初期位置から光軸上所定位置に移動開始させることにより、第2保持枠は最小移動量で設定した撮影倍率位置に移動でき、さらに、第1保持枠の繰り出し開始から第2レンズ群の設定した撮影倍率位置への到達までの所要時間を短縮することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について、図1〜図15を用いて説明する。図1は本実施の形態における光学機器のハードウェア構成図、図2は第1レンズ群駆動制御部のハードウェア構成図、図3は第2レンズ群駆動制御部のハードウェア構成図である。図4は撮影時のレンズ鏡筒要部断面図、図5は非撮影時のレンズ鏡筒要部断面図である。図6は撮影時のレンズ鏡筒の第1の向きから見た外観図、図7は同じく第2の向きから見た外観図、図8は同じく第3の向きから見た外観図である。図9は第2レンズ群L2および第2保持枠32の物体側から見た正面図である。
【0021】
図10は各レンズ群の配置図、図11は第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し方法を示すフローチャート、図12は第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第1形態を示すタイミングチャート、図13は第1レンズ群および第2レンズ群の停止動作を示すタイミングチャート、図14は第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第2形態を示すタイミングチャート、図15は第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第3形態を示すタイミングチャートである。
【0022】
図1において、撮像光学系1は、4つのレンズ群L1、L2、L3、L4からなる撮像光学系であり、L1は撮影時に固定の第1レンズ群、L2は変倍用の第2レンズ群、L3は撮影時に少なくとも光軸方向に固定の第3レンズ群、L4は変倍に伴う像面変動を補正する際、及びフォーカスの際に光軸方向に移動する第4レンズ群である。
【0023】
3は固定筒であり、カメラ本体(不図示)に固定されている。固定筒3はカメラ本体の中に入り込む構成であってもよいし、固定筒3の第1レンズ群L1側の一部がカメラ本体の外に突き出る構成であってもよい。この固定筒3は、図4に示すようにマスターフランジ38およびカム枠35で構成されている。前玉枠(第1保持枠)2は第1レンズ群L1を保持しており、マイクロコンピュータ15の命令に基づき、L1駆動制御手段16により、固定筒3に対し、繰り出し自在に移動される。
【0024】
4は第1レンズ群L1が非撮影時における繰込み位置にあるか否かを検出するL1繰込みスイッチである。図8に示す通り、L1繰込みスイッチ4は固定筒3に固定されたフォトセンサであり、前玉枠2の繰込み動作に伴い、前玉枠2に対し光軸中心に回転可能に保持された駆動枠31に設けられた第1遮蔽部31aが、L1繰込みスイッチ4の発光部/受光部間を遮蔽することにより、前玉枠2の繰込み位置への到達を検出する。
【0025】
ここで、L1繰込みスイッチ4が遮蔽された状態(検出信号はLOW)である場合、前玉枠2は繰込み位置にある。逆に、L1繰込みスイッチ4が遮蔽されていない状態(検出信号はHIGH)である場合、前玉枠2は繰込み位置よりも繰出し側に位置している。L1繰込みスイッチ4により検出された信号は、L1繰込み検出手段17により、マイクロコンピュータ15へ伝達される。また、前玉枠2の繰出し動作の際には、この繰込み位置を第1レンズ群L1の初期位置、すなわち第1初期位置として繰出し量を駆動制御する。
【0026】
第2レンズ群L2は、第2保持枠32に保持されており、第2保持枠32は、マイクロコンピュータ15の命令に基づき、L2駆動制御手段18により、固定筒3に対し、繰り出し自在に移動される。5は第2レンズ群L2の繰込み位置を検出するL2繰込みスイッチである。図8に示す通り、L2繰込みスイッチ5もL1繰込みスイッチ4と同様、固定筒3に固定されたフォトセンサであり、第2レンズ群L2の繰込み動作に伴い、第2保持枠32に設けられた第2遮蔽部32aが、L2繰込みスイッチ5の発光部/受光部間を遮蔽することにより、第2レンズ群L2の繰込み位置への到達を検出する。ここで、L2繰込みスイッチ5が遮蔽された状態(検出信号はLOW)である場合、第2レンズ群L2は繰込み位置にある。逆に、L2繰込みスイッチ5が遮蔽されていない状態(検出信号はHIGH)である場合、第2レンズ群L2は繰込み位置よりも繰出し側に位置している。
【0027】
L2繰込みスイッチ5により検出された信号は、L2繰込み検出手段19により、マイクロコンピュータ15へ伝達される。また、第2レンズ群L2の繰出し動作の際には、この繰込み位置を第2レンズ群L2の初期位置、すなわち第2初期位置として繰出し量を駆動制御する。7は固体撮像素子(CCD)であり、撮像光学系1を介して入射する映像を電気信号に変換する撮像素子である。
【0028】
図2に示すように、固定筒3を構成するマスターフランジ38には沈胴モータ8が設けられている。沈胴モータ8はDCモータであり、L1駆動制御手段16により駆動された沈胴モータ8の回転力が、ギアユニット34を介して駆動ギア8aに伝達され、さらに前玉枠2に係合爪31dにより係合させることにより光軸中心に回転可能に保持された駆動枠31に設けられたギア部(内歯車)31bに伝達されることにより駆動枠31は回転する。ここでカム枠35の表面にはカム溝35aが設けられており、駆動枠31にはカム溝35aに係合するカムピン31cを設けているため、駆動枠31はカム溝35aに沿って光軸中心に回転しながら繰り出し/繰り込み方向に移動する。
【0029】
一方、前玉枠2には2本のガイドポール36が圧入されている。ガイドポール36は固定筒3に固定された第3レンズ群L3を保持する第3保持枠33に設けたガイド穴によりガイドされながら摺動するため、前玉枠2は駆動枠31の移動に伴い、光軸方向に回転することなく、繰り出し/繰り込み方向に直進移動することができる。さらに、前玉枠2の光軸の偏心発生を抑えている。沈胴モータ8への印加電圧は、プラス(+)であれば前玉枠2を繰出し方向に、マイナス(−)であれば繰込み方向に駆動する。ギアユニット34にはフォトセンサ(以下、沈胴フォトセンサと呼ぶ。)37が設けられている。一方、沈胴モータ8のシャフトにはギアユニット34の初段ギアとしてウォームギア(不図示)を圧入している。
【0030】
このウォームギアにはウォームギアの回転軸中心に120°間隔に3枚の遮蔽羽根を設けており、沈胴モータ8の回転に伴い、遮蔽羽根は沈胴フォトセンサ37の発光部/受光部間を遮蔽するため、沈胴モータ8の回転数を検出することができる。遮蔽羽根は3枚あるため、沈胴フォトセンサ37により沈胴モータ8の1回転当たり3パルス検出することができる。この検出信号は、L1駆動回転検出手段21により、マイクロコンピュータ15に伝達される。
【0031】
次に図3に示すように、固定筒3にはズームモータ9が設けられている。図4に示す通り、ズームモータ9はステッピングモータであり、L2駆動制御手段18によりズームモータ9が駆動され、ズームモータ9に設けられたリードスクリュー9aにより、第2保持枠32に連結させた歯合片32bを介して、第2レンズ群L2を保持する第2保持枠32を繰り出し/繰り込み自在に移動させる。ここで第2保持枠32は、前玉枠2が固定筒3によりガイドされている2本のガイドポール36によりガイドされており、第2レンズ群L2は第1レンズ群L1に対し、光軸の偏心のない構成を採っている。ズームモータ9には繰出し方向に回転するパルスを印加すれば、L2レンズ群L2を印加パルス数だけ繰出し方向に、繰込み方向に回転するパルスを印加すれば、印加パルス数だけ繰込み方向に直進移動させる。また、本実施形態ではズームモータ9は回転パルスをカウントするエンコーダを備えていないため、L2繰込みスイッチ5で検出される第2レンズ群L2の繰込み位置を基準にして、ズームモータ9の駆動制御を行っている。
【0032】
次に図10において、図10(a)は非撮影時に第1レンズ群が繰り込み位置にある場合、図10(b)は撮影時でワイド(広角)端にある場合、図10(c)は撮影時でテレ(望遠)端にある場合の各レンズ群の位置関係を示す。第1レンズ群L1は、繰込み状態と撮影状態(ワイド端/テレ端)との位置の差D1の範囲内で移動し、第2レンズ群L2は、撮影状態でのワイド端/テレ端の位置の差D2の範囲内で移動する。
【0033】
ここで、カメラは非撮影時にはできるだけ小さい方が持ち運び、収納に便利であるため、第1レンズ群L1の繰込み位置は、第2レンズ群L2のワイド端位置よりもD12だけ繰込み側に入り込む構成としている。第1レンズ群L1の撮影状態からD1だけ繰り込んだ位置が第1レンズ群L1の初期位置であり、第2レンズ群L2のテレ位置、すなわちワイド位置からD2だけ繰り込んだ位置が第2レンズ群L2の初期位置である。
【0034】
以上のように構成された本実施の形態の光学機器に関し、以下、その動作を説明する。図11において、まず撮影者は、カメラ本体に設けた撮影準備スイッチをONにする(S1)。この撮影準備スイッチは、カメラの電源スイッチを兼ねている。撮影準備スイッチがON状態になると、L2繰込みスイッチ5は、第2レンズ群L2の位置を検出する(S2)。L2繰込み検出手段19は、L2繰込みスイッチ5により検出された第2レンズ群L2の位置が繰込み位置(テレ端)にあるか否かを判断する(S3)。第2レンズ群L2が繰込み位置にない(N)と判断した場合、マイクロコンピュータ15はL2駆動制御手段18を介し、ズームモータ9で、第2レンズ群L2を繰込み位置に移動させる(S4)。逆に第2レンズ群L2が繰込み位置にある(Y)と判断した場合、L1繰込みスイッチ4は、第1レンズ群L1の位置を検出する(S5)。
【0035】
L1繰込み検出手段17は、L1繰込みスイッチ4により検出された第1レンズ群L1の位置が繰込み位置にあるか否かを判断する(S6)。第1レンズ群L1が繰込み位置にない(N)と判断した場合、マイクロコンピュータ15はL1駆動制御手段16を介し、沈胴モータ8で、第1レンズ群L1を保持する前玉枠2を繰込み位置に移動させる(S7)。逆に第1レンズ群L1が繰込み位置にある(Y)と判断した場合、第1レンズ群L1の繰出しを開始し(S8)、沈胴モータ8の回転に伴い沈胴フォトセンサ37から出力されるパルスをカウントする(S9)。
【0036】
ここでパルス数は、繰込み位置を基準としてカウントする。繰込み位置から繰出し位置(撮影位置)までの所要パルス数は、あらかじめL1駆動制御手段16に設定されている。そして、第1レンズ群L1を繰り出している最中に、マイクロコンピュータ15はカウントしたパルス数により次に出す命令を判断する(S10)。
【0037】
第2レンズ群L2が第1レンズ群L1に追突するのを防止するため、第1レンズ群L1の位置がズームモータ9により移動する第2レンズ群L2の移動速度では追いつかない位置に達していない(パルス数が第1設定値未満)場合、ズームモータ9は停止状態を保持する。
【0038】
ここで、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とが衝突しないための判断方法のいくつかを説明する。
【0039】
第1の判断方法は、第1レンズ群L1が第2レンズ群L2のワイド位置よりも前に出るときのパルス数を第1設定値とする方法である。図10で言えば、d1を第1レンズ群L1のレンズ移動方向における厚みとするとき、第1レンズ群の移動量が(D12+d1)となるときのパルス数を第1設定値とするのである。
【0040】
第2の判断方法は、第1レンズ群L1の移動速度をV1、第2レンズ群L2の移動速度をV2としたときにV1≧V2の場合に有効な方法で、第1レンズ群L1が繰出し開始するとき、すなわち、駆動枠のカムピンがカム溝の斜め部(繰出し用のカム溝部)に達するパルス数を第1設定値とする方法である。
【0041】
第3の判断方法は、V1<V2の場合に有効な方法で、この場合、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2を同時に動かした場合、第2レンズ群L2が第1レンズ群L1に追いついてしまう場合がある。それを回避するため、第3の判断方法では、第2レンズ群L2を移動開始するタイミングを第1レンズ群L1より遅らせる。すなわち、第1レンズ群L1が繰出し開始後、t1経過後に第2レンズ群L2がワイド位置に向かって繰出し開始する場合、第2レンズ群L2の移動時間tに対して、V1×t1+V1×t>D12+d1、かつ、V2×t<D2の上記2式を満足すれば追突しない(ただし、0≦t≦D2/V2)。そこで、上式の関係を満足する(V1×t1)となるパルス数を第1設定値を設定するのが第3の判断方法である。また、第2レンズ群L2の目的位置がワイドではない場合、上式でD2とした値の代わりに別のD2より小さい値が入り、もし、テレ位置に向かって移動を開始するならば、D2には0が入る。
【0042】
第1レンズ群L1の位置が、ズームモータ9により移動する第2レンズ群L2の移動速度では追いつかない位置に達した(パルス数が第1設定値)場合、ズームモータ9は第2レンズ群を繰出し位置(ワイド端)へ移動させる(S11)。そしてパルス数が第1レンズ群L1の撮影位置を表す値(第2設定値)に達した場合、沈胴モータ8を停止させる(S12)。
【0043】
以上のように説明した本実施形態の光学機器の動作に関し、以下、詳細に動作タイミングを説明する。
【0044】
図12〜図15は、それぞれ、沈胴モータ8への印加電圧、沈胴フォトセンサ37の出力、L1繰込みスイッチ4の出力、ズームモータ9への印加パルス、L2繰込みスイッチ5の出力のタイミングチャートを表す。
【0045】
図12において、図11の処理S2で、L2繰込みスイッチにより第2レンズ群L2の位置が検出された場合(T2)、検出信号はLOWであるため、処理S3において、第2レンズ群L2は繰込み位置にあると判断される。次に、処理S5で、L1繰込みスイッチ4により前玉枠2の位置が検出された時(T5)、検出信号はLOWであるため、処理S6において、前玉枠2は繰込み位置にあると判断し、沈胴モータ8に+3Vの電圧を印加し、前玉枠2を繰出し方向に移動開始させる(T8)。
【0046】
沈胴モータの回転に伴い、沈胴フォトセンサ37にはパルス波形が出力され始め、さらにL1繰込みスイッチ4の出力信号が、LOWからHIGHに切り替わる(T8)。このとき、前玉枠2は繰込み位置から繰出し方向に移動したことを示し、このタイミングT8の時から、処理S10に示すようにパルス数をカウントする。そしてカウントしたパルス数が第1設定値に達した時(T11a)、ズームモータ9に繰出し方向に回転するパルスを印加し、第2レンズ群L2を繰出し(ワイド)方向へ移動開始させる。その後、L2繰込みスイッチ5の出力信号が、LOWからHIGHに切り替わる(T11c)ことにより、第2レンズ群L2が繰出し方向に移動したことを検出する。
【0047】
図11の処理S9で沈胴フォトセンサ37の出力パルス数をカウントし、処理S10で、前玉枠2が撮影位置に達したと判断した場合、沈胴モータ8への印加電圧を0Vにし、沈胴モータ8を停止させる(図13(T12))。これに伴い、沈胴フォトセンサ37にはパルスが検出されなくなる。その後、ズームモータ9により第2レンズ群L2がワイド端に到達し停止する。ここで、前玉枠2と第2レンズ群L2の撮影位置への移動が完了する。
【0048】
次に、図14には図12とは異なる第2の動作タイミング例を示す。図11の処理S2で、L2繰込みスイッチ5により第2レンズ群L2の位置が検出された時(T2)、検出信号はHIGHであるため、処理S3において、第2レンズ群L2は繰込み位置より繰り出し側にあると判断される。
【0049】
そこで、処理4によりズームモータ9に繰込み方向に回転するパルスを印加し、第2レンズ群L2を繰込み位置に移動させる(T4)。その後、L2繰込みスイッチ5による検出信号がHIGHからLOWに切り替わる(T4a)ことにより、第2レンズ群L2が繰込み位置に到着したことが分かり、ズームモータ9を停止させる。そして、タイミングT4aにおいて、処理5によるL1繰込みスイッチ4の検出信号はLOWであるため、処理S6により前玉枠2は繰込み位置にあると判断し、沈胴モータ8に+3Vの電圧を印加し、前玉枠2を繰出し方向に移動開始させる(T8)。この後の処理および動作タイミングは図12と同一である。
【0050】
次に、図15には図12あるいは図14とは異なる第3の動作タイミング例を示す。図11の処理S2で、L2繰込みスイッチ5により第2レンズ群L2の位置が検出された時(T2)、検出信号はHIGHであるため、処理S3において、第2レンズ群L2は繰込み位置より繰り出し側にあると判断される。そこで、処理4によりズームモータ9に繰込み方向に回転するパルスを印加し、第2レンズ群L2を繰込み位置に移動させる(T4)。
【0051】
その後、L2繰込みスイッチ5による検出信号がHIGHからLOWに切り替わる(T4a)ことにより、第2レンズ群L2が繰込み位置に到着したことが分かり、ズームモータ9を停止させる。そして、タイミングT4aにおいて、処理5によるL1繰込みスイッチ4の検出信号はHIGHであるため、処理S6により前玉枠2は繰込み位置より繰出し側にあると判断し、処理S7で、沈胴モータ8に−3Vの電圧を印加し、前玉枠2を繰込み方向に移動させる(T7)。そして、タイミングT7aにおいて、L1繰込みスイッチ4の検出信号はHIGHからLOWに切り替わり、前玉枠2が繰込み位置に到着したことが分かり、沈胴モータ8への印加電圧を−3Vから+3Vに切り替え、沈胴モータ8の回転を逆転させ、前玉枠2を繰出し方向に移動させる(T8)。その後の処理およびタイミングは図14の第2形態と同一である。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、沈胴モータ8とズームモータ9を同時に駆動させることが容易であり、図20で示した従来技術より第1レンズ群L1および第2レンズ群L2の繰出し時間を短縮し、撮影開始時間を短縮することができる。
【0053】
さらに沈胴モータ8は前玉枠2の、またズームモータ9は第2レンズ群L2の負荷のみで済むため、負荷が軽く、沈胴モータ8およびズームモータ9を図20で示した従来技術より高速に駆動することができる。
【0054】
さらに、第1レンズ群L1および第2レンズ群L2の初期位置をそれぞれ繰込み位置に設けたことにより、第1レンズ群L1および第2レンズ群L2の繰り出し時には、マイクロコンピュータ15は、沈胴モータ8の回転に伴う沈胴フォトセンサ37のパルスおよびズームモータ9に印加するパルスをカウントするだけで良いため、マイクロコンピュータ15への割り込みによる負荷を軽減することができる。
【0055】
さらに、沈胴モータ8を停止させる際、制動距離を見越して手前で停止命令することができるため、第1レンズ群L1の停止精度を向上することができる。ズームモータ9は、元々、印加パルス分だけしか回転しないため、停止位置精度は高い。
【0056】
さらに、沈胴モータ8の繰り出し速度と制動距離との関係が分かっていれば、目標位置で停止できる範囲内で、最大の移動速度で前玉枠2を移動させることができる。
【0057】
なお本実施の形態において、沈胴モータ8はDCモータとしたが、ステッピングモータ等、他の形態の駆動手段であっても良い。また、沈胴モータ8がステッピングモータである場合、DCモータにおける沈胴フォトセンサ37と同じ役割を果たすエンコーダがなくても前玉枠2を移動させることは可能であるが、エンコーダがある方が、第2レンズ群L2が第1レンズ群L1への追突をより確実に回避することができる。
【0058】
また、本実施形態において、沈胴フォトセンサ37は1つである説明をしたが、図16(本発明の本実施の形態における、沈胴フォトセンサの別の実施形態におけるレンズ鏡筒の外観図)に示すように、沈胴モータ8のシャフトを中心に150°回転させた位置に沈胴フォトセンサをさらに1個追加して設けた場合(沈胴フォトセンサ37を新たに第1沈胴フォトセンサ37a、追加した方を第2沈胴フォトセンサ37bとする。)、図17は沈胴フォトセンサの別の実施形態における検出パルス波形を示す図であるが、図17(a)に示す前玉枠2を繰り出す方向に回転する場合と、図17(b)に示す前玉枠2を繰り込み方向に回転する場合では、第1沈胴フォトセンサ37aおよび第2沈胴フォトセンサ37bの出力パルスの位相のずれ方が異なるため、沈胴モータ8への印加電圧をモニターすることなしに、正確に沈胴モータ8の回転方向を検出することができ、さらに沈胴フォトセンサが2個あることで、沈胴モータ8の回転数が大きすぎることによるカウントミスを減らすことができ、より正確に沈胴モータ8を駆動制御することができる。
【0059】
また、本実施の形態では第2レンズ群L2はワイド端位置へ繰り出すとしたが、テレ端位置、あるいはワイド端位置とテレ端位置との間の任意の撮影倍率位置であっても本実施の形態に対し何ら追加することなく実施することができる。
【0060】
また、第3レンズ群は撮影時に少なくとも光軸方向に固定されているとしたが、光軸と垂直な軸方向に移動することにより、手ぶれに伴う撮影画像の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置であっても良い。
【0061】
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態について、図18と図19を用いて説明する。図18は本実施の形態における、光学機器のハードウェア構成図、図19は第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し方法を示すフローチャートである。なお、これまで説明したものは同一の符号を付し、その説明は省略するが、必要に応じて図2、図3を用いて説明する。
【0062】
本実施形態の第1の実施形態に対する相違点は、第1レンズ群および第2レンズ群繰り出し直後の撮影倍率を予め撮影者が設定することのできる初期撮影倍率選択手段を光学機器に備えていることである。
【0063】
以上のように構成された本実施の形態の光学機器に関し、以下、その動作を説明する。図19において、まず撮影者は、カメラ本体に設けた初期撮影倍率選択手段61で、撮影開始時の撮影倍率を最広角位置(ワイド端)であるか、最望遠位置(テレ端)であるか設定する(S21)。次に、カメラ本体に設けた撮影準備スイッチをONにする(S22)。この後、処理S29までは、第1の実施形態と同一であるため説明は省略する。
【0064】
処理S29で前玉枠2が繰出し方向へ移動開始した後、繰込み位置を基準としてパルス数をカウントする(S30)。繰込み位置から繰出し位置(撮影位置)までの所要パルス数は、あらかじめL1駆動制御手段16に設定されている。そして、第1レンズ群L1を繰り出している最中に、マイクロコンピュータ15はカウントしたパルス数により次に出す命令を判断する(S31)。
【0065】
第1レンズ群L1の位置が、ズームモータ9により移動する第2レンズ群L2の移動速度では追いつかない位置に達していない(パルス数が第1設定値未満)場合、ズームモータ9は停止状態を保持する。
【0066】
第1レンズ群L1の位置が、ズームモータ9により移動する第2レンズ群L2の移動速度では追いつかない位置に達した(パルス数が第1設定値)場合、処理S21で選択した初期撮影倍率により次の判断をする(S32)。
【0067】
処理S32において、ワイド端が選択されたと判断された場合、第2レンズ群L2をワイド端位置へ移動させる(S33)。逆に処理S32において、テレ端が選択されたと判断された場合、第2レンズ群L2をテレ端へ移動させる(S34)。その後、沈胴フォトセンサ37の出力パルス数が第1レンズ群L1の撮影位置を表す値(第2設定値)に達した場合、沈胴モータ8を停止させる(S35)。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、沈胴モータ8とズームモータ9を同時に駆動させることが容易であり、撮影者の意図に応じて、第2レンズ群L2を初期撮影倍率位置に、短時間で移動させることができる。初期撮影倍率がワイド端位置と設定した場合は、第1の実施形態と同じ所要時間であり、テレ端位置とした場合は、第2レンズ群L2の繰込み位置がテレ端位置のため、さらに所要時間を短縮することができる。
【0069】
なお本実施の形態において、初期撮影倍率選択手段61で初期撮影倍率はワイド端とテレ端の2種類のみ選択可能であるとしたが、ワイド端およびテレ端以外の撮影倍率を選択可能であっても良い。ズームモータ9には繰込み位置基準で、繰り出し方向へのパルスを印加するのみであるため、追加手段なしに実現可能である。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光学機器によれば、第1レンズ群を駆動制御するL1駆動制御手段と、第2レンズ群を駆動制御するL2駆動制御手段とを同時に駆動することが容易であり、第1レンズ群および第2レンズ群の繰出し時間を短縮し、撮影開始時間を短縮することができる。
【0071】
さらに、第1レンズ群および第2レンズ群の初期位置をそれぞれ繰込み位置に設けたことにより、第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し時には、マイクロコンピュータは、L1駆動制御手段およびL2駆動制御手段による回転移動量を検出し、カウントするだけで良いため、マイクロコンピュータへの割り込みによる負荷を軽減することができる。
【0072】
さらに、L1駆動制御手段およびL2駆動制御手段を停止させる際、L1駆動制御手段および第2駆動制御手段の制動距離を見越して手前で停止命令することができるため、第1レンズ群および第2レンズ群の停止精度を向上することができる。
【0073】
さらに、L1駆動制御手段およびL2駆動制御手段の繰り出し速度と制動距離との関係が分かっていれば、目標位置で停止できる範囲内で、最大の移動速度で第1レンズ群および第2レンズ群を移動させることができる。
【0074】
さらに、撮影者の意図に応じて、第2レンズ群を初期撮影倍率位置に短時間で移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における、光学機器のハードウェア構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群駆動制御部のハードウェア構成図
【図3】本発明の第1の実施の形態における、第2レンズ群駆動制御部のハードウェア構成図
【図4】本発明の第1の実施の形態における、撮影時のレンズ鏡筒要部断面図
【図5】本発明の第1の実施の形態における、非撮影時のレンズ鏡筒要部断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態における、撮影時のレンズ鏡筒の第1の向きから見た外観図
【図7】本発明の第1の実施の形態における、撮影時のレンズ鏡筒の第2の向きから見た外観図
【図8】本発明の第1の実施の形態における、撮影時のレンズ鏡筒の第3の向きから見た外観図
【図9】本発明の第1の実施の形態における、第2レンズ群および第2保持枠の物体側から見た正面図
【図10】本発明の第1の実施の形態における、各レンズ群の配置図
【図11】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し方法を示すフローチャート
【図12】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第1形態を示すタイミングチャート
【図13】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の停止動作を示すタイミングチャート
【図14】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第2形態を示すタイミングチャート
【図15】本発明の第1の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の移動開始に関する第3形態を示すタイミングチャート
【図16】本発明の第1の実施の形態における、沈胴フォトセンサの別の実施形態におけるレンズ鏡筒の外観図
【図17】本発明の第1の実施の形態における、沈胴フォトセンサの別の実施形態における検出パルス波形を示す図
【図18】本発明の第2の実施の形態における、光学機器のハードウェア構成図
【図19】本発明の第2の実施の形態における、第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し方法を示すフローチャート
【図20】従来の沈胴式レンズ鏡筒における、非撮影時の要部断面図
【図21】従来の沈胴式レンズ鏡筒における、第1レンズ群および第2レンズ群の繰り出し方法を示すフローチャート
【符号の説明】
1 撮像光学系
2 前玉枠
3 固定筒
4 L1繰込みスイッチ
5 L2繰込みスイッチ
7 固定撮像素子(CCD)
8 沈胴モータ
8a 駆動ギア
9 ズームモータ
15 マイクロコンピュータ
16 L1駆動制御手段
17 L1繰込み検出手段
18 L2駆動制御手段
19 L2繰込み検出手段
21 L1駆動回転検出手段
31 駆動枠
31a 第1遮蔽部
31b ギア部(内歯車)
31c カムピン
31d 係合爪
32 第2保持枠
32a 第2遮蔽部
32b 歯合片
33 第3保持枠
34 ギアユニット
35 カム枠
35a カム溝
36 ガイドポール
37 沈胴フォトセンサ
38 マスターフランジ
61 初期撮影倍率選択手段
121 固定筒
126 駆動モータ
127 第1保持枠
129 第2保持枠
130 バー
131 バー
132 駆動モータ
133 メスヘリコイド
134 駆動モータ
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群

Claims (3)

  1. 撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒の制御方法であって、
    前記沈胴式レンズ鏡筒は、前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠を有し、前記第1のレンズ群は前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に第1初期位置を有し、前記第2のレンズ群は前記第2保持枠の光軸像面側に第2初期位置を有し、
    所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置が記憶され、
    前記第1のレンズ群が前記第1初期位置にあることを検出し、かつ、前記第2レンズ群が前記第2初期位置にあることを検出した後、前記第2初期位置から前記所定のズーム倍率の場合の第2レンズ群の位置に前記第2レンズ群が移動を開始するタイミングを、前記第1初期位置から前記第1レンズ群が移動した距離により決定することを特徴とする沈胴式レンズ鏡筒の制御方法。
  2. 撮像素子を固定した固定鏡筒に対して第1レンズ群を光軸方向に進退自在に配置し、この第1レンズ群を撮影時には光軸物体側に移動させ、非撮影時には光軸像面側に移動させて使用する沈胴式レンズ鏡筒を備えた光学機器であって、
    前記第1レンズ群を保持する第1保持枠と、前記第1保持枠を駆動制御する第1駆動制御手段と、前記第1保持枠の光軸像面側の非撮影位置に設けた第1初期位置を検出する第1初期位置検出手段と、前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離を検出する第1移動距離検出手段と、所望のズーム倍率の場合の前記第2初期位置に対する第2レンズ群の位置を記憶する位置記憶手段と、
    前記固定鏡筒に対して光軸方向に進退自在に配置した第2レンズ群と、前記第2レンズ群を保持する第2保持枠と、前記第2保持枠を駆動制御する第2駆動制御手段と、前記第2保持枠の光軸像面側に設けた第2初期位置を検出する第2初期位置検出手段とを備え、
    前記第1レンズ群が前記第1初期位置から移動した移動距離により前記第2レンズ群の移動開始タイミングを決定する第2レンズ移動開始制御手段とを備えたことを特徴とする沈胴式レンズ鏡筒を用いた光学機器。
  3. 前記第2レンズ群は変倍レンズ系であって、撮影開始する際の撮影倍率の初期値を選択する初期撮影倍率選択手段を備え、前記第1駆動制御手段が前記第1保持枠を前記第1初期位置から前記撮影位置に移動させている間に、前記初期撮影倍率選択手段により選択された前記初期値に基づき、前記第2駆動制御手段が前記第2保持枠を前記第2初期位置から光軸上所定位置に移動開始させることを特徴とする請求項2記載の沈胴式レンズ鏡筒を用いた光学機器。
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