JP2004157103A - ホルムアルデヒド検知材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンと緩衝液とを含む発色液を少なくともシリカゲルを含有する基材に含侵させ、溶媒を揮散させて構成されている。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、環境中に存在するホルムアルデヒドを呈色反応で検出する検知材に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境健康への高まりから、ホルムアルデヒドによる室内環境汚染が問題になっている。ホルムアルデヒドは新築住宅の建材や家具に含まれており、化学物質過敏症の人に「シックハウス症候群」と呼ばれる様々な症状を引き起こす原因の―つと見られている。
【0003】
このような問題を解消するために、これら各方法に使用する試薬をろ紙等の多孔質担体に含浸させて、試薬の取り扱いを無くすることも考えられるが、このようにして構成された試験紙は、検出感度が低かったり、またバックグランド色が大きくて光学濃度計等により反応色を測定しようとすると、ダイナミックレンジが低くなって検出範囲が狭い等の問題があり、さらにはホルムアルデヒド以外のガスにより変色を受けやすい等の多くの問題があり、実用的な目的では使用することができない等の問題がある。
【0004】
このような問題を解消するために、特許文献1に見られるように、ヒドロキシルアミンの酸性塩と、酸性領域に変色域を有する水素イオン濃度指示薬とを多孔質担体に展開して構成したホルムアルデヒド検知紙が提案されている。
これによれば、相対湿度が80パーセント以上という特別な環境下においては、ホルムアルデヒド消毒後に環境中に残留する数ppm程度の極めて濃度の低いホルムアルデヒドを検出することが可能であるものの、高湿度下に限られるため、測定可能範囲が限定されてしまうという不都合がある。
この問題を解消するため、特許文献2に見られるように、硫酸ヒドロキシルアミン、及び水素イオン濃度指示薬としてメチルイエロ、メチルオレンジ、ベンジルオレンジ、トロペオリンの中から選択された少なくとも1つとを多孔質担体に展開し、テープ上で自然に遊離している程度の硫酸に対する変色の度合を抑えて、保存性を高めたものなどが提案されている。
【特許文献1】特開平07−55792号公報
【特許文献2】特開平07−229889号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シックハウス症候群の原因となる壁紙用接着剤から環境中に放散される程度の濃度のホルムアルデヒドを検出するには、長時間を要するという問題を抱えている。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところはシックハウス症候群の原因となる濃度のホルムアルデヒドを短時間で検出できる感度の高い検知材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明の検知材は、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンと緩衝液とを含む発色液を少なくともガス反応領域にシリカゲルを含有する基材に含侵させ、溶媒を揮散させて構成されている。
これによれば、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンとホルムアルデヒドとの反応により生成するルチジン体の特異的な吸収波長の吸光度を検出することにより、高い感度でホルムアルデヒドを検出することができる。
【0007】
【実施例】
そこで以下に本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。
4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オン(4−amino−4−phenyl−3−ene−2−one)とリン酸緩衝液(pH2.5)とを揮散容易な溶媒、例えばメタノールに溶解させて調製した発色液を、少なくとも表面にシリカゲルを含有する板状の基材に含侵させ、メタノールなどの液を揮散させると本発明の検知材が完成する。
【0008】
なお、式1で示す4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンは次のようにして合成することができる。
【式1】
ディーンスタークトラップを取付けた200mlの三っ口フラスコに、1−フエニル−1,3−ブタンジオン3.24R(0.02mol)、乾燥ベンゼン60ml、酢酸アンモニウム3.08g(0.04 mol)、酢酸1.0 mlを加え、窒素気流下、12時間還流した。放冷後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィ―(SiO2)で精製する。
【0009】
基材は、シリカゲル粒子を圧縮して板状に成形したものや、ガラスなどのベース材の表面にシリカゲル粒子の層を形成したもの、さらにはセルロース等の繊維とシリカゲル粒子とを混合して板状に漉いたものなどを使用することができる。
【0010】
このような検知材1は、例えば例えば特開平07−229889号公報に開示されているような図5(イ)に示した一方の面に開口1aを備えた凹部に載置してユニット2に構成すると、図5(ロ)に示した携帯用検出装置にセットして簡便にホルムアルデヒドを検出することができる。
【0011】
この検出装置は、ガス吸引手段3と、測定ヘッド4と、測定ヘッドの光学濃度の変化を検出する信号処理手段とを、測定ヘッドの一部を窓5から露出させるようにケース6に収容して構成され、ガス吸引手段3により吸引したガスをユニット2にあてるように構成されている。なお、図中符号8は、蓋体を、また符号9はガス吸引口を示す。
【0012】
このように構成された検知材は、図1の曲線Aに示したように、350nmをピークとし、400nmで吸収が無くなる吸光特性を有する。
【0013】
一方、上記検知材を、例えば特開平07−229889号公報に開示されている測定装置にセットしてホルムアルデヒドを含む雰囲気に晒すと、ホルムアルデヒドがシリカゲル粒子の触媒作用を受けて4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンと反応して、
【式2】
なる反応により検知材の表面にホルムアルデヒドの濃度に応じて1−(5−acetyl−2,4−diphenyl−3H,6H−3−azinyl)ethan−1−oneなるルチジン体が生成する。
【0014】
このルチジン体は、図1の曲線Bに示したように4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンが吸収特性を示さない波長400nmより長波長にも吸収特性を有するため、この波長、例えば波長430nmの吸光度を、例えば青色発光ダイオード6からの光を照射することにより、受光手段7により特異的に検出することができる。
【0015】
4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンを1Wt%、リン酸緩衝液を20V/V%をずつメタノールに溶解させて発色液を調整して、上記手法により検知材を製造し、それぞれ暴露時間(サンプリング時間)を5分(符号A)、10分(符号B)、15分(符号C)に設定し、ホルムアルデヒドの濃度を換えて吸光度を測定したところ、図2に示したような結果を得た。
このことから、0.05ppmから0.7ppm程度のホルムアルデヒドを確実に検出できることが判明した。
【0016】
つぎに、リン酸緩衝液の濃度を一定(20V/V%)にして4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンの濃度を変えた検知材を作成し、ホルムアルデヒドを含有しない空気(符号A)、及びホルムアルデヒドを含む空気に5分(符号B)、10分(符号C)、15分(符号D)に晒したところ、図3に示すような結果を得た。
このことから、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンを0.5wt%含む発色試薬が、ブランク値が最も小さく、相対感度が高くなることが判明した。
【0017】
さらに、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンを一定値(1Wt%)とし、リン酸緩衝液の濃度を変えた発色液を調整し、前述の手法で検知材を製作し、ホルムアルデヒドに対する感度を調査したところ、図4に示すような結果を得た。
このことから、感度は、リン酸緩衝液の濃度に比例することが確認されたが、乾燥などの点を考慮すると、リン酸緩衝液の濃度は10V/V%程度に抑えるのが望ましいことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】発色試薬自体と、発色試薬とホルムアルデヒドとの反応体との吸光スペクトルを示す線図である。
【図2】本発明の検知材のホルムアルデヒドに対する吸光度の変化を、サンプリング時間をパラメータとして示す線図である。
【図3】本発明の検知材の4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンに対する吸光度の変化を、サンプリング時間をパラメータとして示す線図である。
【図4】本発明の検知材のリン酸緩衝液の濃度に対する吸光度の変化を示す線図である。
【図5】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の検知材の一形態と測定装置との実施例を示す図である。
Claims (6)
- 4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンと緩衝液とを含む発色液を少なくともガス反応領域にシリカゲルを含有する板状の基材に含侵させ、溶媒を揮散させたホルムアルデヒド検知材。
- 前記基材が、シリカゲル粒子を圧縮して板状に成形して構成されている請求項1に記載のホルムアルデヒド検知材。
- 前記基材が、ベース材の表面にシリカゲル粒子の層を形成して構成されている請求項1に記載のホルムアルデヒド検知材。
- 前記基材が、繊維とシリカゲル粒子とを混合して板状に漉いて構成されている請求項1に記載のホルムアルデヒド検知材。
- 前記発色液が4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンを0.5wt%以上含む請求項1に記載のホルムアルデヒド検知材。
- 前記緩衝液がりん酸緩衝液である請求項1に記載のホルムアルデヒド検知材。
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2003
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