JP2004156630A - カップリング - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトな構成を有し、電動モータから被駆動部材への伝達効率を確保しつつも、被駆動部材から電動モータへの動力の伝達を遮断するカップリングを提供する。
【解決手段】ウォーム及びウォームホイールなどの伝達効率の低い逆転防止構造を必要とせず、電動モータ1から回転軸3への動力伝達を許容しつつも、回転軸3から電動モータ1への動力伝達を阻止できることから、電動モータ1の容量を小さくでき、省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリング10を提供できる。カップリング10を介して、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bとを連結するだけで上述の効果を発揮でき、電動モータ1とのアッセンブリ化も容易であり、或いは電動モータ1を組み付けた後におけるカップリング10の取り外し・取り付けも容易に行え、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【選択図】 図1
【解決手段】ウォーム及びウォームホイールなどの伝達効率の低い逆転防止構造を必要とせず、電動モータ1から回転軸3への動力伝達を許容しつつも、回転軸3から電動モータ1への動力伝達を阻止できることから、電動モータ1の容量を小さくでき、省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリング10を提供できる。カップリング10を介して、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bとを連結するだけで上述の効果を発揮でき、電動モータ1とのアッセンブリ化も容易であり、或いは電動モータ1を組み付けた後におけるカップリング10の取り外し・取り付けも容易に行え、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カップリングに関し、たとえば、自動車のパワーウィンドウ、電動パーキングブレーキ装置のワイヤ巻き取り機構、電動ディスクブレーキ装置のキャリパ押し出し機構、エンジンの可変バルブタイミング装置におけるカム位相変換機構、ベルトCVTプーリ駆動機構等、その他産業用ウィンチ、ホイスト、クレーン、各種位置決め装置などにおいて、電動モータと被駆動部材を連結可能なカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両において、パワーウィンドウや電動式パワーステアリング装置など、運転者の負担を軽減すべく、車両の操作をアクチュエータにアシストさせる、もしくは肩代わりさせることが既に行われている(特許文献1参照)。ここで、一つの問題は、例えばアクチュエータに電動モータを用いて被駆動部材を駆動させる場合、省エネ等の観点から、電動モータへの電力供給を停止した後にも、被駆動部材の位置は維持したいという課題がある。
【特許文献1】
特開平6−327190号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような課題を達成するために、ウォームギヤとウォームホイールとを用いて動力伝達機構を形成することが考えられる(特開2001−106060参照)。しかるに、ウォームギヤとウォームホイールとを用いて動力伝達機構を形成した場合、減速比が大きくとれること、及びウォームのネジレ角を適宜設計することで、被駆動部材からの動力を電動モータ側に伝達させないようにできるという利点があるが、かかる利点を裏返せば、ウォームギヤとウォームホールは伝達効率が低いという欠点を有する。
【0004】
又、ウォームギヤとウォームホイールとを用いた動力伝達機構では、その構成上、電動モータの出力軸と、被駆動部材の軸線とを交差させなくてはならず、装置全体が大型化するという問題がある。例えば可変バルブタイミング装置などに、かかるアクチュエータを適用すると、エンジン自体が大型化してしまい、それにより周囲部品との干渉を招いたり、ボンネットフードのデザインが制限されたりする恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成を有し、電動モータから被駆動部材への伝達効率を確保しつつも、被駆動部材から電動モータへの動力の伝達を遮断するカップリングを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、
ハウジングと、
前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、
前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、
前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、
前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定するようになっていることを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、ハウジングと、前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定(すなわち回転力の伝達を禁止)するようになっているので、伝達効率を高く維持できるにも関わらず、前記電動モータから前記被駆動部材への動力伝達を許容しつつも、前記被駆動部材から前記電動モータへの動力伝達を阻止できることから、前記電動モータの容量を小さくでき、更に、定位置に前記被駆動部材を保持するために前記電動モータに電力を供給する必要がないことから省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリングを提供できる。例えば、前記被駆動部材が回転軸であるような場合、前記カップリングを介して、かかる回転軸と前記電動モータの出力軸とを同軸に連結するだけで上述の効果を発揮でき、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【0008】
尚、「摩擦力が低くなる第1の位置」及び「摩擦力が高くなる第2の位置」とは、前記ロック部材が変位したときに、前記第1の位置よりも前記第2の位置の方が、前記ロック部材と前記ハウジング及び前記回転被駆動体との間の摩擦力が高くなるという相対的な関係を意味したものであり、例えば後述する実施の形態では、第1の位置は、一方向に傾斜したカム面上における回転軸心寄りの位置であり、第2の位置は、かかるカム面上における回転軸心から離れた位置である。
【0009】
更に、前記回転被駆動体は、軸受を介して前記ハウジングに対して軸線方向に位置決めされると、構成の簡素化が図れ好ましい。
【0010】
又、前記回転被駆動体は、前記ハウジングを介して前記電動モータの出力軸に対して同軸に位置決めされると、構成の簡素化が図れ好ましい。
【0011】
更に、前記ロック部材を前記第2の位置に付勢するバネ部材が設けられていると、より確実なロックを行えるので好ましい。
【0012】
又、前記第1の位置にある前記ロック部材は、前記回転被駆動体がいずれの方向に回転しても、前記第2の位置に案内される又は維持されると好ましい。
【0013】
更に、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させるときに前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b、13b)と、前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動しようとするときは、前記駆動体の駆動を制限する制限部材(例えば後述するキー7、17)とを有すると、回転伝達を行うべきときに前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動することを前記制限部材が阻止し、それにより前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図2,6参照)。
【0014】
又、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときには、前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b、13b)と、前記回転被駆動部から半径方向に突出して設けられ、前記駆動体に当接することによって前記回転駆動部から前記回転被駆動部に回転力を伝達する凸部(例えば後述するキー7、17)とを有するので、前記凸部を介して前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図2,6参照)。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態であるカップリングを含むアクチュエータの断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【0016】
図1において、電動モータ1のボディ1aに形成された肩部1cに対して、円筒状のハウジング15の内周面がいんろう嵌めにて同軸に位置決めされ、且つハウジング15はボルト2によりボディ1aに対して取り付け固定されている。ハウジング15の図で左端は、後述する回転軸3を含む機構(例えば不図示の可変バルブタイミング機構等)を遮蔽する不図示のハウジングに連結されて良い。
【0017】
ハウジング15に対し、円筒状の回転被駆動体14が、軸受11によって回転自在に支持されている。軸受11の外輪は、ハウジング15の内周段部15aに付き当てられた状態で、止め輪12Aにより固定されており、軸受11の内輪は、回転被駆動体14の外周段部14aに付き当てられた状態で、止め輪12Bにより固定されている。すなわち、回転被駆動体14は、ハウジング15に対して、軸受11を介して軸線方向に位置決めされている。図1で左側の内周面14bに、被駆動部材である回転軸3をいんろう嵌めにて取り付け固定している。従って、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bは、精度良く同軸に位置決めされる。尚、軸受11をシール付きとすれば、内部からのグリース洩れなどを防止できる。
【0018】
回転軸3の先端の凸部3aは、回転被駆動体14の中央内周面14fに対して、2面嵌合している。2面嵌合とは、相対回転を防止するために、円筒外周面を平行な2面で軸線方向にカットした形状を有す凸部と凹部とを互いに嵌合させることをいう。
【0019】
電動モータ1の出力軸1bには、回転駆動部であるキャリヤ13が取り付けられている。キャリヤ13は、出力軸1bに対して2面嵌合する円盤部13aと、円盤部13aから軸線方向に延在する6本の爪部13bを有する。尚、電動モータ1の出力軸1bは、回転被駆動体14のモータ側内周面14eに対して、鍔付きブッシュ18を介して相対回転可能に支持されているが、鍔付きブッシュ18はなくても良い。
【0020】
ハウジング15と回転被駆動体14の間には、隣接する爪部13b間に挟持されるようにして、ロック部材である(本例では3つの)ころ16が配置され、更に、ころ16が存在しない爪部13b間に挟持されるようにして、(本例では1つの)キー17が配置されている。ハウジング15の内周面(転動面)と、回転被駆動体14のカム面14dは高周波焼き入れされ、その硬度はHRCで50以上となっている。なお、ハウジング15の内周面に比べ、面圧が高くなる側であるカム面14dの硬度をより高くし、その値はHRC55以上とするのが好ましい。ころ16は、軸受鋼を焼き入れ焼き鈍しすることで形成され、その硬度はHRC58以上となっている。ころ16は、回転被駆動体14の外周面を転動可能となっている。回転被駆動体14の外周面の形状に関しては、図2を参照して後述する。尚、軸受11が、ころ16の軸線方向移動を防止するようになっている。ハウジング15と、ころ16との間に軌道輪を挿入しても良い。
【0021】
図2に示すように、爪部13bには、バネ部材19が取り付けられている。図3は、バネ部材19の斜視図であり、矢印E方向に見ると図2に示す形状となる。図3において、バネ部材19は、爪部13b(図2)の外周面に対応して湾曲した矩形板状の本体19aと、本体19aの中央両脇から折れ曲がって突出した一対の嵌合部19bと、各嵌合部19bの両脇より斜め外方に突出した付勢部19cとを有している。
【0022】
図2に示すように、バネ部材19は、本体19aを爪部13bの外周面に係合させ、且つ嵌合部19bにより爪部13bの周方向両端を保持するようにして取り付けられる。このとき、付勢部19cは、隣接するころ16を離隔する方向に押圧することとなる。
【0023】
本実施の形態では、カップリング10は、ハウジング15と、キャリヤ13と、回転被駆動体14と、ころ16と、キー17と、バネ部材19とから構成される。
【0024】
カップリング10における特有の動力伝達を達成する構成を説明する。図2において、回転被駆動体14は、その外周面に、本例では3つのカム面14dを等間隔に形成しており、更に一対のカム面14dの間に1つのキー溝14cを形成している。カム面14dは、図2で時計回りに行くに従って、回転中心(軸)から遠ざかる一方向に傾いた斜面形状を有している。
【0025】
キー17と、その両側の爪部13bとの間隔をaとし、図2で点線に示すごとく、ころ16がハウジング15と回転被駆動体14との間に食い込んだ状態(第2の位置)における図2で左側の爪部13bとの間隔をb、同右側の爪部13bとの間隔をcとすると、b>a>cなる関係が成立するようになっている。
【0026】
本実施の形態の動作について説明する。図1において、不図示の電源から電動モータ1に電力が供給され、出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図2において、爪部13bが矢印B方向に回転すると、ころ16に隣接した爪部13bの端面が、ころ16に当接しようとするが、爪部13bと、ころ16と、キー17との隙間の関係は、上述した通り(b>a>c)であるので、ころ16を第2の位置(図2の点線で示す位置)に移動させる前に、キー17に隣接する爪部13bの端面が、キー17を押圧し、それにより回転軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。回転被駆動体14が回転すると、それに連結された回転軸3が回転し、例えば不図示の可変バルブタイミング機構等を駆動するようになっている。
【0027】
一方、電動モータ1への電力供給を中断すると、その内部で作用する磁力や摩擦力により、出力軸1bは静止した状態に維持される。かかる状態で、被駆動部材である回転軸3より回転力が伝達されると、回転被駆動体14は、キャリヤ13に対して相対的に回転しようとする。それにより、カム面14dが矢印C方向に回転しようとするが、ロック部材であるころ16は、バネ部材19の付勢力を受けることで、カム面14dの上部すなわち軸線から遠い側(第2の位置)に向かって押圧(付勢)されている(案内されている)ため、ハウジング15とカム面14dとの間で突っ張って摩擦力を付与することとなる。これをロック状態という。かかるロック状態では、回転被駆動体14の回転が阻止されるため、たとえ回転軸3に強い回転力が生じても、その回転を阻止することができる。尚、バネ部材19の付勢力はわずかであるので、ころ16を付勢することによって、静止している出力軸1bを回転させることはない。
【0028】
更に、電動モータ1に極性の異なる電力が供給されると、出力軸1bに、ころ16のロック状態を解除するに十分な起動トルクが発生するので、それにより出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図2において、爪部13bが矢印A方向に回転したとすると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17に当接し、回転被駆動体14を同方向に回転させる。このとき、ころ16に隣接する爪部13bの端面が、バネ部材19の付勢力に抗して、ころ16をカム面14dの下部すなわち軸線に近い側(第1の位置)に向かって押圧する(案内する)ため、ころ16の食い込みが生じることなく、出力軸1bと回転被駆動体14とは一体的に回転することとなる。尚、電動モータ1の起動トルクを補うべく、ころ16を第1の位置側に付勢する付勢部を、付勢部19cに対称的に延在するように、バネ部材19における反対側の嵌合部19bに形成しても良い。
【0029】
本実施の形態によれば、ウォーム及びウォームホイールなどの伝達効率の低い逆転防止構造を必要とせず、電動モータ1から回転軸3への動力伝達を許容しつつも、回転軸3から電動モータ1への動力伝達を阻止できることから、電動モータ1の容量を小さくでき、省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリング10を提供できる。カップリング10を介して、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bとを連結するだけで上述の効果を発揮でき、電動モータ1とのアッセンブリ化も容易であり、或いは電動モータ1を組み付けた後におけるカップリング10の取り外し・取り付けも容易に行え、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【0030】
図4は、第2の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。図4に示すように、本実施の形態のカップリング10’においては、回転被駆動部14に、キーの代わりにピン17’が埋め込まれており、且つハウジング15の内周面に、キャリヤ13が図4で右方に抜け出るのを阻止する縮径部15cを形成している点のみが異なっている。上述の実施の形態に対し共通する主要な構成に関しては、同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0031】
図5は、第3の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。図6は、図5の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た図である。
【0032】
図5において、電動モータ1のボディ1aに形成された肩部1cに対して、円筒状のハウジング15の内周面15bがいんろう嵌めにて同軸に位置決めされるようになっており、且つハウジング15は不図示のボルトによりボディ1aに対して取り付け固定されるようになっている。
【0033】
ハウジング15に対し、円筒状の回転被駆動体14が、軸受11によって回転自在に支持されている。軸受11の外輪は、ハウジング15の内周段部15aに付き当てられた状態で、止め輪12Aにより固定されており、軸受11の内輪は、回転被駆動体14の外周段部14aに付き当てられた状態で、止め輪12Bにより固定されている。すなわち、回転被駆動体14は、ハウジング15に対して、軸受11を介して軸線方向に位置決めされている。図5で右側の内周面14bに、被駆動部材であるネジ軸3’をいんろう嵌めにて取り付け固定するようになっている。従って、ネジ軸3’と電動モータ1の出力軸1bは、精度良く同軸に位置決めされる。尚、軸受11をシール付きとすれば、内部からのグリース洩れなどを防止できる。
【0034】
ネジ軸3’の先端の凸部3aは、回転被駆動体14の中央内周面14fに対して、2面嵌合されるようになっている。2面嵌合とは、相対回転を防止するために、円筒外周面を平行な2面で軸線方向にカットした形状を有す凸部と凹部とを互いに嵌合させることをいう(図6参照)。
【0035】
電動モータ1の出力軸1bには、回転駆動部であるキャリヤ13が取り付けられるようになっている。キャリヤ13は、出力軸1bに対して2面嵌合する円盤部13aと、円盤部13aから軸線方向に延在する6本の爪部13bを有する。尚、電動モータ1の出力軸1bは、回転被駆動体14のモータ側内周面14eに対して、相対回転可能に係合するようになっている。
【0036】
ハウジング15と回転被駆動体14の間には、隣接する爪部13b間に挟持されるようにして、ロック部材である(本例では3つの)ころ16が配置され、更に、ころ16が存在しない爪部13b間に挟持されるようにして、(本例では1つの)キー17が配置されている。ハウジング15の内周面(転動面)と、回転被駆動体14のカム面14d’は高周波焼き入れされ、その硬度はHRCで50以上となっている。なお、ハウジング15の内周面に比べ、面圧が高くなる側であるカム面14d’の硬度をより高くし、その値はHRC55以上とするのが好ましい。ころ16は、軸受鋼を焼き入れ焼き鈍しすることで形成され、その硬度はHRC58以上となっている。ころ16は、回転被駆動体14の外周面を転動可能となっている。回転被駆動体14の外周面の形状に関しては、図6を参照して後述する。尚、軸受11が、ころ16の軸線方向移動を防止するようになっている。ハウジング15と、ころ16との間に軌道輪を挿入しても良い。
【0037】
ネジ軸3’は、螺旋状に形成された外ネジ溝3b(図5では一部のみ図示)を有し、その周囲にナット50を螺合させている。ナット50内に形成された内ネジ溝50aと、外ネジ溝3bとの螺旋状の空間内には、多数のボール51が転動自在に配置されている。ナット50は、第3のリンク110を介して、後述するコントロールシャフト102に連結されている。
【0038】
本実施の形態では、カップリング10は、ハウジング15と、キャリヤ13と、回転被駆動体14と、ころ16と、キー17とから構成される。
【0039】
カップリング10における特有の動力伝達を達成する構成を説明する。図6において、回転被駆動体14は、その外周面に、本例では3つのカム面14d’を等間隔に形成しており、更に一対のカム面14d’の間に1つのキー溝14cを形成している。カム面14d’は、図6のころ16がある位置から、時計回り及び反時計回りに行くに従って、回転中心(軸)から遠ざかる両方向に傾いた斜面形状を有している。
【0040】
本実施の形態の動作について説明する。図5において、不図示の電源から電動モータ1に電力が供給され、出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図6において、爪部13bが矢印A又はB方向に回転したとすると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17に当接し、回転被駆動体14を同方向に回転させる。このとき、ころ16に隣接する爪部13bの端面は、ころ16に当接しないので、ころ16は依然としてカム面14d’の中央すなわち軸線に近い側(第1の位置P1)に維持されるため、ころ16の食い込みが生じることなく、出力軸1bと回転被駆動体14とは一体的に回転することとなる。回転被駆動体14が回転すると、それに連結されたネジ軸3’が回転し、後述する可変バルブタイミング機構等を駆動するようになっている。
【0041】
一方、電動モータ1への電力供給を中断すると、その内部で作用する磁力や摩擦力により、出力軸1bは静止した状態に維持される。かかる状態で、被駆動部材であるネジ軸3’より回転力が伝達されると、回転被駆動体14は、キャリヤ13に対して相対的に回転しようとする。それにより、カム面14d’が矢印C又はD方向に回転しようとするが、ロック部材であるころ16は、カム面14d’のいずれかの上部すなわち軸線から遠い側(D方向に回転したときは第2の位置P2)に向かって付勢(案内)されるため、ハウジング15とカム面14d’との間で突っ張って摩擦力を付与することとなる。これをロック状態という。かかるロック状態では、回転被駆動体14の回転が阻止されるため、たとえネジ軸3’に強い回転力が生じても、その回転を阻止することができる。
【0042】
更に、電動モータ1に極性の異なる電力が供給されると、出力軸1bに、ころ16のロック状態を解除するに十分な起動トルクが発生するので、それにより出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。ころ16が第2の位置P2でロック状態にあるとした場合(逆の場合も同様)、爪部13bが例えば矢印B方向に回転すると、ころ16に隣接した爪部13bの端面が、ころ16に当接してロック解除位置(第1の位置P1)へと移動させ、ロック状態を解除し、続いてキー17に隣接した爪部13bの端面がキー17を押圧し、それによりネジ軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。又、爪部13bが例えば矢印A方向に回転すると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17を押圧するのでロック状態が解除され、その後ネジ軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。このように、本実施の形態においては、カム面14dを片斜面でなく両斜面とすることで、ネジ軸3’に両方向に回転力が生じても、回転被駆動体14をロックさせることもできる。更に、ネジ軸3’と、ナット50と、ボール51とからなるボールスクリュー機構を組み合わせることで、被駆動部材としての第3のリンク110の下端を軸線方向に移動させるカップリング構成も実現できる。
【0043】
図7は、上述したアクチュエータにより駆動可能なバルブタイミング及びバルブリフトを変更できる動弁機構の斜視図である。尚、図7においては、理解しやすいように、内燃機関1気筒の吸気側の2本のバルブについて示している。
【0044】
図7において、不図示のシリンダヘッドに回転自在に取り付けられたドライブシャフト101と、コントロールシャフト102とが並行に延在している。ドライブシャフト101には円盤状の偏心カム101aが形成されており、コントロールシャフト102にも、円盤状の偏心カム102aが形成されている。ドライブシャフト102の偏心カム101aに係合する孔103aを備えた第1リンク103の上部が、コントロールシャフト102側に延在し、コントロールシャフト101の偏心カム102aに係合する孔104aを備えたロッカーアーム104の一端に枢動可能に取り付けられている。ロッカーアーム104の他端には、第2リンク105の上端が枢動可能に取り付けられており、第2リンク105の下端は、ドライブシャフト101に対して揺動自在に取り付けられたアウトプットカム106に当接するように配置されている。アウトプットカム106は、一対の円筒状のバルブリフタ107の上面に当接しており、各バルブリフタ107は、バルブ108のステム上端に当接している。
【0045】
コントロールシャフト102の一端には、その回転位置を検出するポジションセンサ109が取り付けられ、又、第3のリンク110を介して、ナット50が取り付けられている。ナット50は、ネジ軸3’に螺合しており、ネジ軸3’は、動力伝達機構10を介して電動モータ1に連結されている。ECU111は、ポジションセンサ109からの信号を受信し、それに応じて電動モータ1を駆動制御するようになっている。
【0046】
かかる可変バルブタイミング機構の動作について説明する。ドライブシャフト101が、不図示のクランクシャフトに同期して回転すると、偏心カム101aが偏心運動をして第1のリンク103を上下に往復動させる。第1のリンク103が上下に往復動すると、それに応じてロッカーアーム104が揺動運動をする。ロッカーアーム104の揺動運動により、第2のリンク105が上下に往復動し、アウトプットカム106を揺動させる。アウトプットカム106の揺動により、それに当接するバルブリフタ107を介して、バルブ108が往復動するようになっている。
【0047】
上述したように、ECU111の駆動制御により、電動モータ1が駆動され、カップリング10を介してネジ軸3’が回転すると、ナット50が軸線方向に移動し、第3のリンク110を介してコントロールシャフト102を任意の位置に回転させることができる。コントロールシャフト102の回転位置に応じて偏心カム102aが回転変位し、それによりロッカーアーム104が変位するので、それに応じて所望のバルブタイミング及びバルブリフトを設定できる。又、コントロールシャフト102を任意の回転位置に設定した後は、ロッカーアーム104に大きな力が付与されても、上述したように、ネジ軸3’から電動モータ1側に力が伝達されることが阻止されるので、電動モータ1に常時通電する必要はなく、省エネが図れる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、本発明のカップリングは、可変バルブタイミング機構に限らず、発明の属する技術分野に掲げたような多くの機構に適用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、ハウジングと、前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定するようになっているので、伝達効率を高く維持できるにも関わらず、前記電動モータから前記被駆動部材への動力伝達を許容しつつも、前記被駆動部材から前記電動モータへの動力伝達を阻止できることから、前記電動モータの容量を小さくでき、更に、定位置に前記被駆動部材を保持するために前記電動モータに電力を供給する必要がないことから省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリングを提供できる。例えば、前記被駆動部材が回転軸であるような場合、前記カップリングを介して、かかる回転軸と前記電動モータの出力軸とを同軸に連結するだけで上述の効果を発揮でき、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態であるカップリングを含むアクチュエータの断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】バネ部材19の斜視図である。
【図4】第2の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。
【図5】第3の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。
【図6】図5の構成をV−V線で切断して矢印方向に見た図である。
【図7】本実施の形態のアクチュエータにより駆動可能なバルブタイミング及びバルブリフトを変更できる動弁機構の斜視図である。
【符号の説明】
1 電動モータ
3 回転軸
3’ ネジ軸
10,10’ カップリング
13 キャリヤ
14 回転被駆動体
15 ハウジング
16 ころ
19 バネ部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、カップリングに関し、たとえば、自動車のパワーウィンドウ、電動パーキングブレーキ装置のワイヤ巻き取り機構、電動ディスクブレーキ装置のキャリパ押し出し機構、エンジンの可変バルブタイミング装置におけるカム位相変換機構、ベルトCVTプーリ駆動機構等、その他産業用ウィンチ、ホイスト、クレーン、各種位置決め装置などにおいて、電動モータと被駆動部材を連結可能なカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両において、パワーウィンドウや電動式パワーステアリング装置など、運転者の負担を軽減すべく、車両の操作をアクチュエータにアシストさせる、もしくは肩代わりさせることが既に行われている(特許文献1参照)。ここで、一つの問題は、例えばアクチュエータに電動モータを用いて被駆動部材を駆動させる場合、省エネ等の観点から、電動モータへの電力供給を停止した後にも、被駆動部材の位置は維持したいという課題がある。
【特許文献1】
特開平6−327190号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような課題を達成するために、ウォームギヤとウォームホイールとを用いて動力伝達機構を形成することが考えられる(特開2001−106060参照)。しかるに、ウォームギヤとウォームホイールとを用いて動力伝達機構を形成した場合、減速比が大きくとれること、及びウォームのネジレ角を適宜設計することで、被駆動部材からの動力を電動モータ側に伝達させないようにできるという利点があるが、かかる利点を裏返せば、ウォームギヤとウォームホールは伝達効率が低いという欠点を有する。
【0004】
又、ウォームギヤとウォームホイールとを用いた動力伝達機構では、その構成上、電動モータの出力軸と、被駆動部材の軸線とを交差させなくてはならず、装置全体が大型化するという問題がある。例えば可変バルブタイミング装置などに、かかるアクチュエータを適用すると、エンジン自体が大型化してしまい、それにより周囲部品との干渉を招いたり、ボンネットフードのデザインが制限されたりする恐れがある。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成を有し、電動モータから被駆動部材への伝達効率を確保しつつも、被駆動部材から電動モータへの動力の伝達を遮断するカップリングを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、
ハウジングと、
前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、
前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、
前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、
前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定するようになっていることを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、ハウジングと、前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定(すなわち回転力の伝達を禁止)するようになっているので、伝達効率を高く維持できるにも関わらず、前記電動モータから前記被駆動部材への動力伝達を許容しつつも、前記被駆動部材から前記電動モータへの動力伝達を阻止できることから、前記電動モータの容量を小さくでき、更に、定位置に前記被駆動部材を保持するために前記電動モータに電力を供給する必要がないことから省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリングを提供できる。例えば、前記被駆動部材が回転軸であるような場合、前記カップリングを介して、かかる回転軸と前記電動モータの出力軸とを同軸に連結するだけで上述の効果を発揮でき、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【0008】
尚、「摩擦力が低くなる第1の位置」及び「摩擦力が高くなる第2の位置」とは、前記ロック部材が変位したときに、前記第1の位置よりも前記第2の位置の方が、前記ロック部材と前記ハウジング及び前記回転被駆動体との間の摩擦力が高くなるという相対的な関係を意味したものであり、例えば後述する実施の形態では、第1の位置は、一方向に傾斜したカム面上における回転軸心寄りの位置であり、第2の位置は、かかるカム面上における回転軸心から離れた位置である。
【0009】
更に、前記回転被駆動体は、軸受を介して前記ハウジングに対して軸線方向に位置決めされると、構成の簡素化が図れ好ましい。
【0010】
又、前記回転被駆動体は、前記ハウジングを介して前記電動モータの出力軸に対して同軸に位置決めされると、構成の簡素化が図れ好ましい。
【0011】
更に、前記ロック部材を前記第2の位置に付勢するバネ部材が設けられていると、より確実なロックを行えるので好ましい。
【0012】
又、前記第1の位置にある前記ロック部材は、前記回転被駆動体がいずれの方向に回転しても、前記第2の位置に案内される又は維持されると好ましい。
【0013】
更に、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させるときに前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b、13b)と、前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動しようとするときは、前記駆動体の駆動を制限する制限部材(例えば後述するキー7、17)とを有すると、回転伝達を行うべきときに前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動することを前記制限部材が阻止し、それにより前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図2,6参照)。
【0014】
又、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときには、前記ロック部材を駆動する駆動体(例えば後述する爪部3b、13b)と、前記回転被駆動部から半径方向に突出して設けられ、前記駆動体に当接することによって前記回転駆動部から前記回転被駆動部に回転力を伝達する凸部(例えば後述するキー7、17)とを有するので、前記凸部を介して前記回転駆動部からの回転力が前記回転被駆動部にスムーズに伝達されるようになるので好ましい(図2,6参照)。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態であるカップリングを含むアクチュエータの断面図である。図2は、図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【0016】
図1において、電動モータ1のボディ1aに形成された肩部1cに対して、円筒状のハウジング15の内周面がいんろう嵌めにて同軸に位置決めされ、且つハウジング15はボルト2によりボディ1aに対して取り付け固定されている。ハウジング15の図で左端は、後述する回転軸3を含む機構(例えば不図示の可変バルブタイミング機構等)を遮蔽する不図示のハウジングに連結されて良い。
【0017】
ハウジング15に対し、円筒状の回転被駆動体14が、軸受11によって回転自在に支持されている。軸受11の外輪は、ハウジング15の内周段部15aに付き当てられた状態で、止め輪12Aにより固定されており、軸受11の内輪は、回転被駆動体14の外周段部14aに付き当てられた状態で、止め輪12Bにより固定されている。すなわち、回転被駆動体14は、ハウジング15に対して、軸受11を介して軸線方向に位置決めされている。図1で左側の内周面14bに、被駆動部材である回転軸3をいんろう嵌めにて取り付け固定している。従って、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bは、精度良く同軸に位置決めされる。尚、軸受11をシール付きとすれば、内部からのグリース洩れなどを防止できる。
【0018】
回転軸3の先端の凸部3aは、回転被駆動体14の中央内周面14fに対して、2面嵌合している。2面嵌合とは、相対回転を防止するために、円筒外周面を平行な2面で軸線方向にカットした形状を有す凸部と凹部とを互いに嵌合させることをいう。
【0019】
電動モータ1の出力軸1bには、回転駆動部であるキャリヤ13が取り付けられている。キャリヤ13は、出力軸1bに対して2面嵌合する円盤部13aと、円盤部13aから軸線方向に延在する6本の爪部13bを有する。尚、電動モータ1の出力軸1bは、回転被駆動体14のモータ側内周面14eに対して、鍔付きブッシュ18を介して相対回転可能に支持されているが、鍔付きブッシュ18はなくても良い。
【0020】
ハウジング15と回転被駆動体14の間には、隣接する爪部13b間に挟持されるようにして、ロック部材である(本例では3つの)ころ16が配置され、更に、ころ16が存在しない爪部13b間に挟持されるようにして、(本例では1つの)キー17が配置されている。ハウジング15の内周面(転動面)と、回転被駆動体14のカム面14dは高周波焼き入れされ、その硬度はHRCで50以上となっている。なお、ハウジング15の内周面に比べ、面圧が高くなる側であるカム面14dの硬度をより高くし、その値はHRC55以上とするのが好ましい。ころ16は、軸受鋼を焼き入れ焼き鈍しすることで形成され、その硬度はHRC58以上となっている。ころ16は、回転被駆動体14の外周面を転動可能となっている。回転被駆動体14の外周面の形状に関しては、図2を参照して後述する。尚、軸受11が、ころ16の軸線方向移動を防止するようになっている。ハウジング15と、ころ16との間に軌道輪を挿入しても良い。
【0021】
図2に示すように、爪部13bには、バネ部材19が取り付けられている。図3は、バネ部材19の斜視図であり、矢印E方向に見ると図2に示す形状となる。図3において、バネ部材19は、爪部13b(図2)の外周面に対応して湾曲した矩形板状の本体19aと、本体19aの中央両脇から折れ曲がって突出した一対の嵌合部19bと、各嵌合部19bの両脇より斜め外方に突出した付勢部19cとを有している。
【0022】
図2に示すように、バネ部材19は、本体19aを爪部13bの外周面に係合させ、且つ嵌合部19bにより爪部13bの周方向両端を保持するようにして取り付けられる。このとき、付勢部19cは、隣接するころ16を離隔する方向に押圧することとなる。
【0023】
本実施の形態では、カップリング10は、ハウジング15と、キャリヤ13と、回転被駆動体14と、ころ16と、キー17と、バネ部材19とから構成される。
【0024】
カップリング10における特有の動力伝達を達成する構成を説明する。図2において、回転被駆動体14は、その外周面に、本例では3つのカム面14dを等間隔に形成しており、更に一対のカム面14dの間に1つのキー溝14cを形成している。カム面14dは、図2で時計回りに行くに従って、回転中心(軸)から遠ざかる一方向に傾いた斜面形状を有している。
【0025】
キー17と、その両側の爪部13bとの間隔をaとし、図2で点線に示すごとく、ころ16がハウジング15と回転被駆動体14との間に食い込んだ状態(第2の位置)における図2で左側の爪部13bとの間隔をb、同右側の爪部13bとの間隔をcとすると、b>a>cなる関係が成立するようになっている。
【0026】
本実施の形態の動作について説明する。図1において、不図示の電源から電動モータ1に電力が供給され、出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図2において、爪部13bが矢印B方向に回転すると、ころ16に隣接した爪部13bの端面が、ころ16に当接しようとするが、爪部13bと、ころ16と、キー17との隙間の関係は、上述した通り(b>a>c)であるので、ころ16を第2の位置(図2の点線で示す位置)に移動させる前に、キー17に隣接する爪部13bの端面が、キー17を押圧し、それにより回転軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。回転被駆動体14が回転すると、それに連結された回転軸3が回転し、例えば不図示の可変バルブタイミング機構等を駆動するようになっている。
【0027】
一方、電動モータ1への電力供給を中断すると、その内部で作用する磁力や摩擦力により、出力軸1bは静止した状態に維持される。かかる状態で、被駆動部材である回転軸3より回転力が伝達されると、回転被駆動体14は、キャリヤ13に対して相対的に回転しようとする。それにより、カム面14dが矢印C方向に回転しようとするが、ロック部材であるころ16は、バネ部材19の付勢力を受けることで、カム面14dの上部すなわち軸線から遠い側(第2の位置)に向かって押圧(付勢)されている(案内されている)ため、ハウジング15とカム面14dとの間で突っ張って摩擦力を付与することとなる。これをロック状態という。かかるロック状態では、回転被駆動体14の回転が阻止されるため、たとえ回転軸3に強い回転力が生じても、その回転を阻止することができる。尚、バネ部材19の付勢力はわずかであるので、ころ16を付勢することによって、静止している出力軸1bを回転させることはない。
【0028】
更に、電動モータ1に極性の異なる電力が供給されると、出力軸1bに、ころ16のロック状態を解除するに十分な起動トルクが発生するので、それにより出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図2において、爪部13bが矢印A方向に回転したとすると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17に当接し、回転被駆動体14を同方向に回転させる。このとき、ころ16に隣接する爪部13bの端面が、バネ部材19の付勢力に抗して、ころ16をカム面14dの下部すなわち軸線に近い側(第1の位置)に向かって押圧する(案内する)ため、ころ16の食い込みが生じることなく、出力軸1bと回転被駆動体14とは一体的に回転することとなる。尚、電動モータ1の起動トルクを補うべく、ころ16を第1の位置側に付勢する付勢部を、付勢部19cに対称的に延在するように、バネ部材19における反対側の嵌合部19bに形成しても良い。
【0029】
本実施の形態によれば、ウォーム及びウォームホイールなどの伝達効率の低い逆転防止構造を必要とせず、電動モータ1から回転軸3への動力伝達を許容しつつも、回転軸3から電動モータ1への動力伝達を阻止できることから、電動モータ1の容量を小さくでき、省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリング10を提供できる。カップリング10を介して、回転軸3と電動モータ1の出力軸1bとを連結するだけで上述の効果を発揮でき、電動モータ1とのアッセンブリ化も容易であり、或いは電動モータ1を組み付けた後におけるカップリング10の取り外し・取り付けも容易に行え、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【0030】
図4は、第2の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。図4に示すように、本実施の形態のカップリング10’においては、回転被駆動部14に、キーの代わりにピン17’が埋め込まれており、且つハウジング15の内周面に、キャリヤ13が図4で右方に抜け出るのを阻止する縮径部15cを形成している点のみが異なっている。上述の実施の形態に対し共通する主要な構成に関しては、同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0031】
図5は、第3の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。図6は、図5の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た図である。
【0032】
図5において、電動モータ1のボディ1aに形成された肩部1cに対して、円筒状のハウジング15の内周面15bがいんろう嵌めにて同軸に位置決めされるようになっており、且つハウジング15は不図示のボルトによりボディ1aに対して取り付け固定されるようになっている。
【0033】
ハウジング15に対し、円筒状の回転被駆動体14が、軸受11によって回転自在に支持されている。軸受11の外輪は、ハウジング15の内周段部15aに付き当てられた状態で、止め輪12Aにより固定されており、軸受11の内輪は、回転被駆動体14の外周段部14aに付き当てられた状態で、止め輪12Bにより固定されている。すなわち、回転被駆動体14は、ハウジング15に対して、軸受11を介して軸線方向に位置決めされている。図5で右側の内周面14bに、被駆動部材であるネジ軸3’をいんろう嵌めにて取り付け固定するようになっている。従って、ネジ軸3’と電動モータ1の出力軸1bは、精度良く同軸に位置決めされる。尚、軸受11をシール付きとすれば、内部からのグリース洩れなどを防止できる。
【0034】
ネジ軸3’の先端の凸部3aは、回転被駆動体14の中央内周面14fに対して、2面嵌合されるようになっている。2面嵌合とは、相対回転を防止するために、円筒外周面を平行な2面で軸線方向にカットした形状を有す凸部と凹部とを互いに嵌合させることをいう(図6参照)。
【0035】
電動モータ1の出力軸1bには、回転駆動部であるキャリヤ13が取り付けられるようになっている。キャリヤ13は、出力軸1bに対して2面嵌合する円盤部13aと、円盤部13aから軸線方向に延在する6本の爪部13bを有する。尚、電動モータ1の出力軸1bは、回転被駆動体14のモータ側内周面14eに対して、相対回転可能に係合するようになっている。
【0036】
ハウジング15と回転被駆動体14の間には、隣接する爪部13b間に挟持されるようにして、ロック部材である(本例では3つの)ころ16が配置され、更に、ころ16が存在しない爪部13b間に挟持されるようにして、(本例では1つの)キー17が配置されている。ハウジング15の内周面(転動面)と、回転被駆動体14のカム面14d’は高周波焼き入れされ、その硬度はHRCで50以上となっている。なお、ハウジング15の内周面に比べ、面圧が高くなる側であるカム面14d’の硬度をより高くし、その値はHRC55以上とするのが好ましい。ころ16は、軸受鋼を焼き入れ焼き鈍しすることで形成され、その硬度はHRC58以上となっている。ころ16は、回転被駆動体14の外周面を転動可能となっている。回転被駆動体14の外周面の形状に関しては、図6を参照して後述する。尚、軸受11が、ころ16の軸線方向移動を防止するようになっている。ハウジング15と、ころ16との間に軌道輪を挿入しても良い。
【0037】
ネジ軸3’は、螺旋状に形成された外ネジ溝3b(図5では一部のみ図示)を有し、その周囲にナット50を螺合させている。ナット50内に形成された内ネジ溝50aと、外ネジ溝3bとの螺旋状の空間内には、多数のボール51が転動自在に配置されている。ナット50は、第3のリンク110を介して、後述するコントロールシャフト102に連結されている。
【0038】
本実施の形態では、カップリング10は、ハウジング15と、キャリヤ13と、回転被駆動体14と、ころ16と、キー17とから構成される。
【0039】
カップリング10における特有の動力伝達を達成する構成を説明する。図6において、回転被駆動体14は、その外周面に、本例では3つのカム面14d’を等間隔に形成しており、更に一対のカム面14d’の間に1つのキー溝14cを形成している。カム面14d’は、図6のころ16がある位置から、時計回り及び反時計回りに行くに従って、回転中心(軸)から遠ざかる両方向に傾いた斜面形状を有している。
【0040】
本実施の形態の動作について説明する。図5において、不図示の電源から電動モータ1に電力が供給され、出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。このとき、図6において、爪部13bが矢印A又はB方向に回転したとすると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17に当接し、回転被駆動体14を同方向に回転させる。このとき、ころ16に隣接する爪部13bの端面は、ころ16に当接しないので、ころ16は依然としてカム面14d’の中央すなわち軸線に近い側(第1の位置P1)に維持されるため、ころ16の食い込みが生じることなく、出力軸1bと回転被駆動体14とは一体的に回転することとなる。回転被駆動体14が回転すると、それに連結されたネジ軸3’が回転し、後述する可変バルブタイミング機構等を駆動するようになっている。
【0041】
一方、電動モータ1への電力供給を中断すると、その内部で作用する磁力や摩擦力により、出力軸1bは静止した状態に維持される。かかる状態で、被駆動部材であるネジ軸3’より回転力が伝達されると、回転被駆動体14は、キャリヤ13に対して相対的に回転しようとする。それにより、カム面14d’が矢印C又はD方向に回転しようとするが、ロック部材であるころ16は、カム面14d’のいずれかの上部すなわち軸線から遠い側(D方向に回転したときは第2の位置P2)に向かって付勢(案内)されるため、ハウジング15とカム面14d’との間で突っ張って摩擦力を付与することとなる。これをロック状態という。かかるロック状態では、回転被駆動体14の回転が阻止されるため、たとえネジ軸3’に強い回転力が生じても、その回転を阻止することができる。
【0042】
更に、電動モータ1に極性の異なる電力が供給されると、出力軸1bに、ころ16のロック状態を解除するに十分な起動トルクが発生するので、それにより出力軸1bが回転被駆動体14に対して相対的に回転する。ころ16が第2の位置P2でロック状態にあるとした場合(逆の場合も同様)、爪部13bが例えば矢印B方向に回転すると、ころ16に隣接した爪部13bの端面が、ころ16に当接してロック解除位置(第1の位置P1)へと移動させ、ロック状態を解除し、続いてキー17に隣接した爪部13bの端面がキー17を押圧し、それによりネジ軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。又、爪部13bが例えば矢印A方向に回転すると、キー17に隣接した爪部13bの端面がキー17を押圧するのでロック状態が解除され、その後ネジ軸3と回転被駆動体14とは一体的に回転するようになっている。このように、本実施の形態においては、カム面14dを片斜面でなく両斜面とすることで、ネジ軸3’に両方向に回転力が生じても、回転被駆動体14をロックさせることもできる。更に、ネジ軸3’と、ナット50と、ボール51とからなるボールスクリュー機構を組み合わせることで、被駆動部材としての第3のリンク110の下端を軸線方向に移動させるカップリング構成も実現できる。
【0043】
図7は、上述したアクチュエータにより駆動可能なバルブタイミング及びバルブリフトを変更できる動弁機構の斜視図である。尚、図7においては、理解しやすいように、内燃機関1気筒の吸気側の2本のバルブについて示している。
【0044】
図7において、不図示のシリンダヘッドに回転自在に取り付けられたドライブシャフト101と、コントロールシャフト102とが並行に延在している。ドライブシャフト101には円盤状の偏心カム101aが形成されており、コントロールシャフト102にも、円盤状の偏心カム102aが形成されている。ドライブシャフト102の偏心カム101aに係合する孔103aを備えた第1リンク103の上部が、コントロールシャフト102側に延在し、コントロールシャフト101の偏心カム102aに係合する孔104aを備えたロッカーアーム104の一端に枢動可能に取り付けられている。ロッカーアーム104の他端には、第2リンク105の上端が枢動可能に取り付けられており、第2リンク105の下端は、ドライブシャフト101に対して揺動自在に取り付けられたアウトプットカム106に当接するように配置されている。アウトプットカム106は、一対の円筒状のバルブリフタ107の上面に当接しており、各バルブリフタ107は、バルブ108のステム上端に当接している。
【0045】
コントロールシャフト102の一端には、その回転位置を検出するポジションセンサ109が取り付けられ、又、第3のリンク110を介して、ナット50が取り付けられている。ナット50は、ネジ軸3’に螺合しており、ネジ軸3’は、動力伝達機構10を介して電動モータ1に連結されている。ECU111は、ポジションセンサ109からの信号を受信し、それに応じて電動モータ1を駆動制御するようになっている。
【0046】
かかる可変バルブタイミング機構の動作について説明する。ドライブシャフト101が、不図示のクランクシャフトに同期して回転すると、偏心カム101aが偏心運動をして第1のリンク103を上下に往復動させる。第1のリンク103が上下に往復動すると、それに応じてロッカーアーム104が揺動運動をする。ロッカーアーム104の揺動運動により、第2のリンク105が上下に往復動し、アウトプットカム106を揺動させる。アウトプットカム106の揺動により、それに当接するバルブリフタ107を介して、バルブ108が往復動するようになっている。
【0047】
上述したように、ECU111の駆動制御により、電動モータ1が駆動され、カップリング10を介してネジ軸3’が回転すると、ナット50が軸線方向に移動し、第3のリンク110を介してコントロールシャフト102を任意の位置に回転させることができる。コントロールシャフト102の回転位置に応じて偏心カム102aが回転変位し、それによりロッカーアーム104が変位するので、それに応じて所望のバルブタイミング及びバルブリフトを設定できる。又、コントロールシャフト102を任意の回転位置に設定した後は、ロッカーアーム104に大きな力が付与されても、上述したように、ネジ軸3’から電動モータ1側に力が伝達されることが阻止されるので、電動モータ1に常時通電する必要はなく、省エネが図れる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、本発明のカップリングは、可変バルブタイミング機構に限らず、発明の属する技術分野に掲げたような多くの機構に適用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のカップリングは、電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、ハウジングと、前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定するようになっているので、伝達効率を高く維持できるにも関わらず、前記電動モータから前記被駆動部材への動力伝達を許容しつつも、前記被駆動部材から前記電動モータへの動力伝達を阻止できることから、前記電動モータの容量を小さくでき、更に、定位置に前記被駆動部材を保持するために前記電動モータに電力を供給する必要がないことから省電力も図れる。また、このような逆転防止構造を一体で組み込むことで、コンパクトながら高機能なカップリングを提供できる。例えば、前記被駆動部材が回転軸であるような場合、前記カップリングを介して、かかる回転軸と前記電動モータの出力軸とを同軸に連結するだけで上述の効果を発揮でき、取り扱い性に優れ搭載箇所を制限されないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態であるカップリングを含むアクチュエータの断面図である。
【図2】図1の構成をII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】バネ部材19の斜視図である。
【図4】第2の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。
【図5】第3の実施の形態にかかるカップリングを含むアクチュエータの分解図である。
【図6】図5の構成をV−V線で切断して矢印方向に見た図である。
【図7】本実施の形態のアクチュエータにより駆動可能なバルブタイミング及びバルブリフトを変更できる動弁機構の斜視図である。
【符号の説明】
1 電動モータ
3 回転軸
3’ ネジ軸
10,10’ カップリング
13 キャリヤ
14 回転被駆動体
15 ハウジング
16 ころ
19 バネ部材
Claims (7)
- 電動モータからの動力を被駆動部材に伝達するカップリングであって、
ハウジングと、
前記電動モータに動力伝達可能に連結された回転駆動部と、
前記回転駆動部より回転力を受ける回転被駆動体と、
前記ハウジングと前記回転被駆動体との間に配置されたロック部材とを有し、
前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が低くなる第1の位置に案内される又は維持されることで、前記回転駆動部から前記回転被駆動体への回転力の伝達を許容し、前記回転被駆動体に回転力が入力されるときは、前記ロック部材が前記ハウジング及び前記回転被駆動体に対して摩擦力が高くなる第2の位置に案内される又は維持されることで、前記回転被駆動体から前記回転駆動部への回転を固定するようになっていることを特徴とするカップリング。 - 前記回転被駆動体は、軸受を介して前記ハウジングに対して軸線方向に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のカップリング。
- 前記回転被駆動体は、前記ハウジングを介して前記電動モータの出力軸に対して同軸に位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載のカップリング。
- 前記ロック部材を前記第2の位置に付勢するバネ部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカップリング。
- 前記第1の位置にある前記ロック部材は、前記回転被駆動体がいずれの方向に回転しても、前記第2の位置に案内される又は維持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカップリング。
- 前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させるときに前記ロック部材を駆動する駆動体と、前記駆動体が前記ロック部材を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって駆動しようとするときは、前記駆動体の駆動を制限する制限部材とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカップリング。
- 前記回転駆動部に回転力が入力され前記回転被駆動体を回転させようとするときには、前記ロック部材を駆動する駆動体と、前記回転被駆動部から半径方向に突出して設けられ、前記駆動体に当接することによって前記回転駆動部から前記回転被駆動部に回転力を伝達する凸部とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のカップリング。
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JP2006070987A (ja) * | 2004-09-01 | 2006-03-16 | Katsuji Shoji | セルフロック機能を有する動力伝達装置およびそれを用いたウインチ等 |
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-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002317095A patent/JP2004156630A/ja active Pending
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