JP2004156250A - 防舷材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム製防舷材の受衝部に摩擦係数を低減するための超高分子量ポリエチレン板を配置し、当該ポリエチレン板が船舶との接触により剥離部分を生じてもその広がりが阻止されており、耐久性に優れた防舷材を提供する。
【解決手段】ゴム製防舷材2において、船舶との受衝部に超高分子量ポリエチレン板3が加硫接着により一体化され、当該超高分子量ポリエチレン板の表面に複数の溝(Mt1、Mt2)が設けられている防舷材1。前記の超高分子量ポリエチレン板3の総厚みをTmmとし、溝部の板の厚みをtmmとするとき、一般にt≦T/3の条件で複数の溝を縦横に設ける。
【選択図】図2
【解決手段】ゴム製防舷材2において、船舶との受衝部に超高分子量ポリエチレン板3が加硫接着により一体化され、当該超高分子量ポリエチレン板の表面に複数の溝(Mt1、Mt2)が設けられている防舷材1。前記の超高分子量ポリエチレン板3の総厚みをTmmとし、溝部の板の厚みをtmmとするとき、一般にt≦T/3の条件で複数の溝を縦横に設ける。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶等の接岸時または係留時の緩衝材として用いられる防舷材に関する。
【0002】
【従来の技術】
防舷材は、船舶が接岸または係留する際に、衝撃を吸収し、船体を保護するためのものであり、その主要構成材料としてゴムが広く使用されている。さらに、最近では、このゴム防舷材のゴム表面と船舶とが直接、接触することを避けるために、受衝面を他の材料で保護する工夫がなされている。その目的は、ゴム製防舷材本体の表面をゴムよりも摩擦係数の小さい材質で覆うことによって、船舶と防舷材本体の直接接触を避けてゴムの磨耗を防ぎ寿命を長くすることや、摩擦係数の小さい樹脂層を介することにより船舶が接岸するときの摩擦衝撃を低減させて岸壁に固定させたボルトに大きな圧力が加わらないようにすることなどにある。
【0003】
その例としては、ゴム防舷材表面の少なくとも船体と接触する部分に、該防舷材を構成するゴムと一体的に設けられた重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン層を有する防舷材が知られており、ゴム製防舷材の使用寿命を長くし、耐磨耗性の向上が図られている(例えば、特許文献1〜3 参照)。
ゴム製防舷材本体と超高分子量ポリエチレン板を一体化する方法としては、(1)ゴム防舷材頭部にナット付の埋設鉄板が埋め込まれ、高密度ポリエチレンや超高分子量ポリエチレン板をボルトで締結固定する方法(図5および図6参照、特許文献3より転載)、(2)ゴム防舷材の加硫製造時に超高分子量ポリエチレン板の融点以上の温度で加圧して、ゴムとの相溶性を向上させて、接着力を強固にする方法(加硫接着法)、(3)接着剤によりゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を貼り付けて固定する方法がある。
【0004】
このうち、上記(1)の方法によると、ナット溶接された埋設鉄板や、取り付け用ボルト類が必要となり経済的でなく、また超高分子量ポリエチレン板が使用による磨耗で板厚みが減少し、取り付けボルトの頭が船舶と接触する問題がある。上記(2)および(3)の方法は、このような問題を生じないが、(3)の方法はゴム製防舷材を対象とするとき(2)の加硫接着ほどの強固な接着力を期待することはできない。従って、加硫接着法は、一体化法としてはきわめて優れており、前記の特許文献1〜3に開示の防舷材においても採用されている。
【0005】
このように、ゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を加硫接着により一体化する方法は、接着力が強固であるという点において極めて優れているが、その反面、超高分子量ポリエチレン板が船舶との接触により一旦剥離が起こると、ゴム製防舷材の本体にまで破壊が及ぶことが問題となる。すなわち、このタイプの防舷材は船舶と接触により破損が発生した場合、超高分子量ポリエチレン板の全体に破壊・剥離が広がり、それに追随してゴム製防舷材との破壊・剥離が進行することになる。
【0006】
このために、特許文献3には、舷材本体の頂部に硬質プラスチック製受衝板(超高分子量ポリエチレン板を含む)を加硫接着させるとき、その受衝板を複数個に分割して配置することにより、船舶の接触時における割れの発生を防ぐことが可能であるとされている。その構造は、図7に引用するように、硬質プラスチック板(超高分子量ポリエチレン樹脂板を含む)41、42、・・・・、46がそれぞれ分割されて個別にゴム製防舷材本体に加硫接着することになっている。
【0007】
一方、超高分子量ポリエチレンなどの摩擦係数の小さい合成樹脂層をゴム製防舷材の頭部表面に設けたうえで、頭部以外において座屈するように設計して、この合成樹脂層の耐久性向上を図った防舷材も提案されている(特許文献4 参照)
また、ゴムと超高分子量ポリエチレンとを加熱・加圧下において加硫接着することに関して、加圧状態で加熱して接着界面のうち最も昇温が遅れる低温部を接着可能温度域の下限温度以上にした後、加熱を停止し、接着界面のうち最も降温が遅れる高温部を接着可能温度域の上限温度以下に冷却した後、常圧に戻して接着することが提案されている(特許文献5 参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−59711号公報(請求項1、段落[0009]、図1など)
【特許文献2】
特開平11−93141号公報(段落[0014]〜[0018]、図1)
【特許文献3】
特開平10−338924号公報(請求項2および4、段落[0010]、図3〜5)
【特許文献4】
特開2000−309914号公報(請求項1および5、図2など)
【特許文献5】
特開平7−100931号公報(請求項1、3など)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を加硫接着することに関して、前記の図7に示す構造の場合、当該ポリエチレン板を分割して複数枚、加硫接着させており、接触時に部分的な割れが生じても全体に及ぶことを防止する効果が期待できる。しかしながら、複数枚に分割された前記ポリエチレン板では、ゴム成型時の作業において分割樹脂板の間にずれが生じて一定間隔の隙間を保持することが困難となり、受衝部における樹脂板の摩擦係数が部分的に異なってくるという問題がある。また、ゴム製防舷材を加硫製造する場合加硫中にゴム流れが発生し分割した前記ポリエチレン板の隙間にゴムが流れ込みブロックの目地材のような概観を呈し、ゴム材料と前記ポリエチレン板との摩擦係数の違いが発生するという問題もある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、超高分子量ポリエチレン板を受衝部に加硫接着することにより均一状態で摩擦係数の低減作用をはたすと共に、当該樹脂板に剥離が生じても局所的に抑えられてその広がりが防止され、耐久性に優れたゴム製防舷材を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題解決のために、本発明者らはゴム製防舷材本体に超高分子量ポリエチレン板を一体化する形態につき種々検討した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の防舷材に関するものである。
1)ゴム製防舷材における船舶との受衝部に超高分子量ポリエチレン板が加硫接着により一体化され、当該超高分子量ポリエチレン板の表面に複数の溝が設けられていることを特徴とする防舷材。
【0012】
2)前記の超高分子量ポリエチレン板の総厚みをTmm(ミリメートル)とし、溝刻設部の板の厚みをtmm(ミリメートル)とするとき、t≦T/3の条件で複数の溝が縦横に設けられていることを特徴とする上記1)項記載の防舷材。本発明の防舷材は、超高分子量ポリエチレン板が受衝部に加硫接着により一体化されていることから、船舶との接触時の摩擦係数が軽減されると共に、剥離事故が発生しても剥離が溝部で遮断され最小限の広がりで済むこととなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、ゴム製の防舷材本体は、平坦な頭部とそれに末広がり状でつながる一対の支衝脚部からなり、ゴムの圧縮応力と座屈変形を利用し、圧縮時のエネルギーを吸収するタイプが主な対象である。支衝脚部は各々独立していてもよいし、底部で連結されていてもよい。この平坦な頭部が船舶と接触したときの受衝部となるが、本発明の防舷材は当該受衝部に超高分子量ポリエチレン板が加硫接着により一体化され、当該ポリエチレン板の表面に複数の溝が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の防舷材を、図面を参酌しつつ説明する。図1は、本発明の防舷材1の一例を示す斜視図であり、ゴム製防舷材本体2の受衝部となる頭部に超高分子量ポリエチレン板3が加硫接着により一体化されている。当該ポリエチレン板の表面には縦溝Mt1、横溝My2など(ここでは縦1本、横2本を模式的に図示)が設けられているが、底面は全面にわたってゴム製防舷材の頭部に加硫接着がなされている。図2は、本発明の防舷材1の縦溝方向からの断面図を示し、総厚みTmmの前記ポリエチレン板が受衝部に加硫接着されており、その板に溝部Mt1、Mt2が設けられており、その溝部の板の厚みがtmmであることを示す。本発明の防舷材は、その受衝部に加硫接着された超高分子量ポリエチレン板を有し、その表面は刻設された溝により分割形状を呈するが、当該ポリエチレン板は個々に分割して接着されているのではなく、tmmの厚み部分を残し当該ポリエチレン板が受衝部全体に一体化されている。
【0015】
溝の深さと幅、溝数などは、防舷材本体を構成するゴムと超高分子量ポリエチレン板とを加硫接着するときの接着力と当該ポリエチレン板の強度との関係を主に考慮して設定される。すなわち、船舶が異常接触したときに発生する当該ポリエチレン板とゴム製防舷材との剥離が、一体的剥離に広がらないように、当該溝部でその板が切断するように設定する。
一般的に前記の超高分子量ポリエチレン板に設ける溝は、t≦T/3の条件で、複数の溝を縦横に設けておくことが好ましい。この溝は、さらに好ましくは、T/5≦t≦T/3の式を満足するように設ける。ここで、超高分子量ポリエチレン板の総厚みTは、板の強度や船舶が接触するときの衝撃の程度等を考慮して適宜、決定すればよいが、通常は5〜100mmの範囲である。一方、溝の幅と個数は、船舶が受衝部である超高分子量ポリエチレン板に接触したときに衝撃を表面全体で均一に受けることが可能なように設定される。一般的に、溝の幅は5〜30mmの範囲とし、溝数は縦および横辺100cm当たり1〜3本を設けておくことが好ましい。
【0016】
本発明の防舷材におけるゴム製本体は、常法により、天然ゴム(NR)あるいは合成ゴムの中から、単独もしくはブレンドしたものを用いて製造される。合成ゴムとしては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン・プロピレン三元共重合ゴム(EPDM)等が挙げられる。このゴム組成物は、通常、添加されるようなゴム用配合剤を含有していてもよく、その例としては、充填剤(例、加硫剤、カーボンブラック、シリカ、クレーなど)、軟化剤、老化防止剤、加工助剤などが挙げられる。
【0017】
超高分子量ポリエチレンは、摩擦係数μ(JIS K 7125)が0.2であり、耐磨耗性、耐衝撃性および耐候性が高いことから受衝部に衝撃緩和の目的に適した樹脂材料である。本ポリエチレンの分子量は、粘度法による重量平均分子量が50万以上のものが好ましく、100万以上のものがさらに好ましく、なかでも200万〜300万の範囲のものが最適である。
次に、本発明における防舷材の製造方法の一例を、図4を参照しつつ説明する。
ゴム製防舷材本体2を作製するためのゴムシート34と受衝部を形成する超高分子量ポリエチレンのシート32とを金型36内に敷きつめた後、プレス加硫機38により加圧加硫し、冷却後脱型することによって超高分子量ポリエチレン板が頭部に一体成形された防舷材が得られる。ここで、超高分子量ポリエチレン板は前記の溝が予め所定の形状に刻設されたものが用いられる。本発明の防舷材は、かかる方法によって超高分子量ポリエチレン板を加硫接着できることから、当該ポリエチレン板に予め溝部を所定どおりに設けておけばその形状が維持された製品が得られる。超高分子量ポリエチレン板への溝は、加硫接着後に刻設することも可能である。
【0018】
ところが、従来のように、超高分子量ポリエチレン板製受衝板を複数個に分割して加硫接着しようとすれば、加硫製造するときにゴム流れが発生し分割した隙間を維持できない部分が発生しやすく、また作業中に分割樹脂板間にずれを生じやすく一定間隔の隙間を保持することも困難になりやすい。その結果、受衝部を構成する超高分子量ポリエチレン板の摩擦係数が部分的に異なってくることとなる。
【0019】
超高分子量ポリエチレンのシート32は、単独で使用してもよいし、例えばゴム成分をゴムの摩擦係数よりも大きくならないような割合で混合したポリマーブレンドを素練りし、さらに加硫剤、加硫促進剤および必要に応じてカーボンブラック等の他の添加剤を配合し、混練した後、作業上適当な大きさのシートに成形したものを用いてもよい。
一方、防舷材本体用のゴムシート34は、前記のゴム材料を素練りし、これに加硫剤、加硫促進剤および必要に応じてカーボンブラック等の他の添加剤を、ゴム製防舷材に適した組成比にて配合し、混練した後、作業上適当な大きさのシートに成形することによって得られる。金型36内にシートを敷きつめる際には、まず、防舷材本体2の受衝部3に該当する箇所に超高分子量ポリエチレンのシート32を敷きつめ、次いで、防舷材本体用のゴムシート34を敷きつめる。こうして、防舷材1の原型が金型36内に形成される。この原型をプレス加硫し、冷却、脱型することによって防舷材1が得られる。
【0020】
上記の製造方法によれば、防舷材本体2と超高分子量ポリエチレン板3とを一体成形でき、かつ両者を加硫によって強固に接着させることができる。この場合、ゴム製防舷材と超高分子量ポリエチレン板とを加硫接着する表面は、通常平坦であってよいが、接着力をより強固にする目的で適当な凹凸を設けておいてもよい。
本発明の防舷材の製造に用いられる加硫剤としては、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄等の硫黄のほか、例えばアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、熱反応性フェノール樹脂、アルキル−フェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の樹脂加硫剤を用いることができる。
【0021】
加硫促進剤には、従来公知の種々のものが使用可能である。他の添加剤としては、例えばカーボンブラックなどの充填剤や着色剤等があげられる。なお、前記ポリマーブレンドにカーボンブラックを配合してもよいが、カーボンブラックを多量に配合すると、防舷材と接触した船体がカーボンブラックによって汚れるおそれがある。防舷材の視認性や美観性を高めるといった観点から、カーボンブラックに代わる種々の着色剤を配合してもよい。
【0022】
本発明において、ゴム製防舷材本体は、前述のように、平坦な頭部とそれに末広がり状でつながる一対の支衝脚部からなり、ゴムの圧縮応力と座屈変形を利用し、圧縮時のエネルギーを吸収するタイプを主な対象とする。ここで、防舷材本体は、前記の特開2000−309914号公報(特許文献4)に開示のように、頭部から圧縮を受けたとき、頭部が座屈せずに復元力の高い支衝脚部において座屈する構造のものであれば、超高分子量ポリエチレン層の使用寿命を一層長くできることにおいて有利である。
【0023】
すなわち、図3に例示するように、防舷材の底部先端から頭部頂面までの高さをH,頭部頂面幅をBとする防舷材において、その頂部から支衝脚部にわたる表面部(外側部)に屈曲点A,A’が設けられており、該屈曲点は超高分子ポリエチレン層の頂部から前記高さHの1/6以上に相当する距離に位置し、かつ該屈曲点における頂部面に平行方向の断面幅B1と頂部幅Bとの関係は最大でもB1が1.3B以下であることを有する。ここで、超高分子量ポリエチレン板3の表面には、前記のとおり、溝Mt1、Mt2(ここでは模式的に2本で例示)が設けられていることに加えて、当該ポリエチレン板において座屈しない構造であることから、耐久性がより一層向上する。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
天然ゴムとスチレンゴム(SBR)を50:50の重量比からなるゴム製防舷材本体2と、その頭部の受衝部が超高分子量ポリエチレン板3(粘度法による分子量;330x104、JIS K 7125による摩擦係数μ;0.2)とよりなり、その表面に下記のとおりの形状の溝が設けられた防舷材1(図2のタイプの防舷材)を作製した。ゴム製本体と超高分子量ポリエチレン板は、金型を用いて、温度140℃、圧力50kgf/cm2で10時間加硫し、接着させた。
【0025】
防舷材の全高:1000mm
超高分子量ポリエチレン板の厚みT:10mm
防舷材頂部の幅:650mm
底部の幅:1800mm
溝の形状
溝刻設部の板の厚みt;2mm
溝の幅;5mm
溝数;縦および横の各辺100cm当たり2本(但し、図2では模式的に縦片に2本のMt1、Mt2のみを図示する)
実施例2
天然ゴムとスチレンゴム(SBR)を50:50の重量比からなるゴム製防舷材本体2と、その頭部受衝部が超高分子量ポリエチレン板3(粘度法による分子量;330x104、JIS K 7125による摩擦係数μ;0.2)とよりなり、その表面に下記のとおりに溝が設けられた防舷材1(図3のタイプの防舷材)を作製した。ゴム製本体と超高分子量ポリエチレン板は、金型を用いて、温度140℃、圧力50kgf/cm2で10時間加硫し、接着させた。この防舷材は、頭部頂面幅をBとし、その頂部から支衝脚部にわたる表面部(外側部)に屈曲点A,A’が設けられており、該屈曲点は超高分子ポリエチレン層の頂部から前記高さHの1/6以上に相当する距離に位置し、かつ該屈曲点における頂部面に平行方向の断面幅B1と頂部幅Bとの関係は最大でもB1が1.3B以下である形状を有する。本防舷材は、受衝部の超高分子量ポリエチレン板に溝部を設けたことに加えて、当該ポリエチレン板おいて座屈しない構造になっていることから、耐久性がより一層向上する。
【0026】
防舷材の全高H:1000mm
超高分子量ポリエチレン板の厚みT:10mm
防舷材頂部の幅B:650mm
頂部から200mmの距離の位置Eにおける幅B1:700mm
底部の幅W:1800mm
溝の形状
溝刻設部の板の厚みt;2mm
溝の幅;5mm
溝数;縦および横の各辺100cm当たり2本(但し、図3では模式的に縦片に2本のMt1、Mt2のみを図示する)
【0027】
【発明の効果】
本発明の防舷材は、その超高分子量ポリエチレン層が船舶接触を繰り返すことによりに一部に剥離が発生しても、その広がりは溝部で遮断されて最小限の大きさに抑えることができる。この防舷材は、超高分子量ポリエチレン板はその底部おいて防舷材本体の頭部全体に加硫接着されており、その表面に溝が複数個、均一に刻設されていることから摩擦係数も全体にわたってほぼ均一であり、衝撃を均一に受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防舷材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の防舷材の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の防舷材の別例を示す断面図である。
【図4】本発明の防舷材を製造する工程の一例を示す。
【図5】防舷材の頭部に樹脂板を取り付けた従来例を示す。
【図6】図5において、取り付け部の拡大断面図を示す。
【図7】防舷材の頭部に個々に分割した樹脂板を取り付けた従来例を示す。
【符号の説明】
1:防舷材
2:ゴム製防舷材本体
3:超高分子量ポリエチレン板
Mt、My:溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶等の接岸時または係留時の緩衝材として用いられる防舷材に関する。
【0002】
【従来の技術】
防舷材は、船舶が接岸または係留する際に、衝撃を吸収し、船体を保護するためのものであり、その主要構成材料としてゴムが広く使用されている。さらに、最近では、このゴム防舷材のゴム表面と船舶とが直接、接触することを避けるために、受衝面を他の材料で保護する工夫がなされている。その目的は、ゴム製防舷材本体の表面をゴムよりも摩擦係数の小さい材質で覆うことによって、船舶と防舷材本体の直接接触を避けてゴムの磨耗を防ぎ寿命を長くすることや、摩擦係数の小さい樹脂層を介することにより船舶が接岸するときの摩擦衝撃を低減させて岸壁に固定させたボルトに大きな圧力が加わらないようにすることなどにある。
【0003】
その例としては、ゴム防舷材表面の少なくとも船体と接触する部分に、該防舷材を構成するゴムと一体的に設けられた重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン層を有する防舷材が知られており、ゴム製防舷材の使用寿命を長くし、耐磨耗性の向上が図られている(例えば、特許文献1〜3 参照)。
ゴム製防舷材本体と超高分子量ポリエチレン板を一体化する方法としては、(1)ゴム防舷材頭部にナット付の埋設鉄板が埋め込まれ、高密度ポリエチレンや超高分子量ポリエチレン板をボルトで締結固定する方法(図5および図6参照、特許文献3より転載)、(2)ゴム防舷材の加硫製造時に超高分子量ポリエチレン板の融点以上の温度で加圧して、ゴムとの相溶性を向上させて、接着力を強固にする方法(加硫接着法)、(3)接着剤によりゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を貼り付けて固定する方法がある。
【0004】
このうち、上記(1)の方法によると、ナット溶接された埋設鉄板や、取り付け用ボルト類が必要となり経済的でなく、また超高分子量ポリエチレン板が使用による磨耗で板厚みが減少し、取り付けボルトの頭が船舶と接触する問題がある。上記(2)および(3)の方法は、このような問題を生じないが、(3)の方法はゴム製防舷材を対象とするとき(2)の加硫接着ほどの強固な接着力を期待することはできない。従って、加硫接着法は、一体化法としてはきわめて優れており、前記の特許文献1〜3に開示の防舷材においても採用されている。
【0005】
このように、ゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を加硫接着により一体化する方法は、接着力が強固であるという点において極めて優れているが、その反面、超高分子量ポリエチレン板が船舶との接触により一旦剥離が起こると、ゴム製防舷材の本体にまで破壊が及ぶことが問題となる。すなわち、このタイプの防舷材は船舶と接触により破損が発生した場合、超高分子量ポリエチレン板の全体に破壊・剥離が広がり、それに追随してゴム製防舷材との破壊・剥離が進行することになる。
【0006】
このために、特許文献3には、舷材本体の頂部に硬質プラスチック製受衝板(超高分子量ポリエチレン板を含む)を加硫接着させるとき、その受衝板を複数個に分割して配置することにより、船舶の接触時における割れの発生を防ぐことが可能であるとされている。その構造は、図7に引用するように、硬質プラスチック板(超高分子量ポリエチレン樹脂板を含む)41、42、・・・・、46がそれぞれ分割されて個別にゴム製防舷材本体に加硫接着することになっている。
【0007】
一方、超高分子量ポリエチレンなどの摩擦係数の小さい合成樹脂層をゴム製防舷材の頭部表面に設けたうえで、頭部以外において座屈するように設計して、この合成樹脂層の耐久性向上を図った防舷材も提案されている(特許文献4 参照)
また、ゴムと超高分子量ポリエチレンとを加熱・加圧下において加硫接着することに関して、加圧状態で加熱して接着界面のうち最も昇温が遅れる低温部を接着可能温度域の下限温度以上にした後、加熱を停止し、接着界面のうち最も降温が遅れる高温部を接着可能温度域の上限温度以下に冷却した後、常圧に戻して接着することが提案されている(特許文献5 参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−59711号公報(請求項1、段落[0009]、図1など)
【特許文献2】
特開平11−93141号公報(段落[0014]〜[0018]、図1)
【特許文献3】
特開平10−338924号公報(請求項2および4、段落[0010]、図3〜5)
【特許文献4】
特開2000−309914号公報(請求項1および5、図2など)
【特許文献5】
特開平7−100931号公報(請求項1、3など)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ゴム製防舷材の受衝部に超高分子量ポリエチレン板を加硫接着することに関して、前記の図7に示す構造の場合、当該ポリエチレン板を分割して複数枚、加硫接着させており、接触時に部分的な割れが生じても全体に及ぶことを防止する効果が期待できる。しかしながら、複数枚に分割された前記ポリエチレン板では、ゴム成型時の作業において分割樹脂板の間にずれが生じて一定間隔の隙間を保持することが困難となり、受衝部における樹脂板の摩擦係数が部分的に異なってくるという問題がある。また、ゴム製防舷材を加硫製造する場合加硫中にゴム流れが発生し分割した前記ポリエチレン板の隙間にゴムが流れ込みブロックの目地材のような概観を呈し、ゴム材料と前記ポリエチレン板との摩擦係数の違いが発生するという問題もある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、超高分子量ポリエチレン板を受衝部に加硫接着することにより均一状態で摩擦係数の低減作用をはたすと共に、当該樹脂板に剥離が生じても局所的に抑えられてその広がりが防止され、耐久性に優れたゴム製防舷材を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題解決のために、本発明者らはゴム製防舷材本体に超高分子量ポリエチレン板を一体化する形態につき種々検討した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の防舷材に関するものである。
1)ゴム製防舷材における船舶との受衝部に超高分子量ポリエチレン板が加硫接着により一体化され、当該超高分子量ポリエチレン板の表面に複数の溝が設けられていることを特徴とする防舷材。
【0012】
2)前記の超高分子量ポリエチレン板の総厚みをTmm(ミリメートル)とし、溝刻設部の板の厚みをtmm(ミリメートル)とするとき、t≦T/3の条件で複数の溝が縦横に設けられていることを特徴とする上記1)項記載の防舷材。本発明の防舷材は、超高分子量ポリエチレン板が受衝部に加硫接着により一体化されていることから、船舶との接触時の摩擦係数が軽減されると共に、剥離事故が発生しても剥離が溝部で遮断され最小限の広がりで済むこととなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、ゴム製の防舷材本体は、平坦な頭部とそれに末広がり状でつながる一対の支衝脚部からなり、ゴムの圧縮応力と座屈変形を利用し、圧縮時のエネルギーを吸収するタイプが主な対象である。支衝脚部は各々独立していてもよいし、底部で連結されていてもよい。この平坦な頭部が船舶と接触したときの受衝部となるが、本発明の防舷材は当該受衝部に超高分子量ポリエチレン板が加硫接着により一体化され、当該ポリエチレン板の表面に複数の溝が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の防舷材を、図面を参酌しつつ説明する。図1は、本発明の防舷材1の一例を示す斜視図であり、ゴム製防舷材本体2の受衝部となる頭部に超高分子量ポリエチレン板3が加硫接着により一体化されている。当該ポリエチレン板の表面には縦溝Mt1、横溝My2など(ここでは縦1本、横2本を模式的に図示)が設けられているが、底面は全面にわたってゴム製防舷材の頭部に加硫接着がなされている。図2は、本発明の防舷材1の縦溝方向からの断面図を示し、総厚みTmmの前記ポリエチレン板が受衝部に加硫接着されており、その板に溝部Mt1、Mt2が設けられており、その溝部の板の厚みがtmmであることを示す。本発明の防舷材は、その受衝部に加硫接着された超高分子量ポリエチレン板を有し、その表面は刻設された溝により分割形状を呈するが、当該ポリエチレン板は個々に分割して接着されているのではなく、tmmの厚み部分を残し当該ポリエチレン板が受衝部全体に一体化されている。
【0015】
溝の深さと幅、溝数などは、防舷材本体を構成するゴムと超高分子量ポリエチレン板とを加硫接着するときの接着力と当該ポリエチレン板の強度との関係を主に考慮して設定される。すなわち、船舶が異常接触したときに発生する当該ポリエチレン板とゴム製防舷材との剥離が、一体的剥離に広がらないように、当該溝部でその板が切断するように設定する。
一般的に前記の超高分子量ポリエチレン板に設ける溝は、t≦T/3の条件で、複数の溝を縦横に設けておくことが好ましい。この溝は、さらに好ましくは、T/5≦t≦T/3の式を満足するように設ける。ここで、超高分子量ポリエチレン板の総厚みTは、板の強度や船舶が接触するときの衝撃の程度等を考慮して適宜、決定すればよいが、通常は5〜100mmの範囲である。一方、溝の幅と個数は、船舶が受衝部である超高分子量ポリエチレン板に接触したときに衝撃を表面全体で均一に受けることが可能なように設定される。一般的に、溝の幅は5〜30mmの範囲とし、溝数は縦および横辺100cm当たり1〜3本を設けておくことが好ましい。
【0016】
本発明の防舷材におけるゴム製本体は、常法により、天然ゴム(NR)あるいは合成ゴムの中から、単独もしくはブレンドしたものを用いて製造される。合成ゴムとしては、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン・プロピレン三元共重合ゴム(EPDM)等が挙げられる。このゴム組成物は、通常、添加されるようなゴム用配合剤を含有していてもよく、その例としては、充填剤(例、加硫剤、カーボンブラック、シリカ、クレーなど)、軟化剤、老化防止剤、加工助剤などが挙げられる。
【0017】
超高分子量ポリエチレンは、摩擦係数μ(JIS K 7125)が0.2であり、耐磨耗性、耐衝撃性および耐候性が高いことから受衝部に衝撃緩和の目的に適した樹脂材料である。本ポリエチレンの分子量は、粘度法による重量平均分子量が50万以上のものが好ましく、100万以上のものがさらに好ましく、なかでも200万〜300万の範囲のものが最適である。
次に、本発明における防舷材の製造方法の一例を、図4を参照しつつ説明する。
ゴム製防舷材本体2を作製するためのゴムシート34と受衝部を形成する超高分子量ポリエチレンのシート32とを金型36内に敷きつめた後、プレス加硫機38により加圧加硫し、冷却後脱型することによって超高分子量ポリエチレン板が頭部に一体成形された防舷材が得られる。ここで、超高分子量ポリエチレン板は前記の溝が予め所定の形状に刻設されたものが用いられる。本発明の防舷材は、かかる方法によって超高分子量ポリエチレン板を加硫接着できることから、当該ポリエチレン板に予め溝部を所定どおりに設けておけばその形状が維持された製品が得られる。超高分子量ポリエチレン板への溝は、加硫接着後に刻設することも可能である。
【0018】
ところが、従来のように、超高分子量ポリエチレン板製受衝板を複数個に分割して加硫接着しようとすれば、加硫製造するときにゴム流れが発生し分割した隙間を維持できない部分が発生しやすく、また作業中に分割樹脂板間にずれを生じやすく一定間隔の隙間を保持することも困難になりやすい。その結果、受衝部を構成する超高分子量ポリエチレン板の摩擦係数が部分的に異なってくることとなる。
【0019】
超高分子量ポリエチレンのシート32は、単独で使用してもよいし、例えばゴム成分をゴムの摩擦係数よりも大きくならないような割合で混合したポリマーブレンドを素練りし、さらに加硫剤、加硫促進剤および必要に応じてカーボンブラック等の他の添加剤を配合し、混練した後、作業上適当な大きさのシートに成形したものを用いてもよい。
一方、防舷材本体用のゴムシート34は、前記のゴム材料を素練りし、これに加硫剤、加硫促進剤および必要に応じてカーボンブラック等の他の添加剤を、ゴム製防舷材に適した組成比にて配合し、混練した後、作業上適当な大きさのシートに成形することによって得られる。金型36内にシートを敷きつめる際には、まず、防舷材本体2の受衝部3に該当する箇所に超高分子量ポリエチレンのシート32を敷きつめ、次いで、防舷材本体用のゴムシート34を敷きつめる。こうして、防舷材1の原型が金型36内に形成される。この原型をプレス加硫し、冷却、脱型することによって防舷材1が得られる。
【0020】
上記の製造方法によれば、防舷材本体2と超高分子量ポリエチレン板3とを一体成形でき、かつ両者を加硫によって強固に接着させることができる。この場合、ゴム製防舷材と超高分子量ポリエチレン板とを加硫接着する表面は、通常平坦であってよいが、接着力をより強固にする目的で適当な凹凸を設けておいてもよい。
本発明の防舷材の製造に用いられる加硫剤としては、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄等の硫黄のほか、例えばアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、熱反応性フェノール樹脂、アルキル−フェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の樹脂加硫剤を用いることができる。
【0021】
加硫促進剤には、従来公知の種々のものが使用可能である。他の添加剤としては、例えばカーボンブラックなどの充填剤や着色剤等があげられる。なお、前記ポリマーブレンドにカーボンブラックを配合してもよいが、カーボンブラックを多量に配合すると、防舷材と接触した船体がカーボンブラックによって汚れるおそれがある。防舷材の視認性や美観性を高めるといった観点から、カーボンブラックに代わる種々の着色剤を配合してもよい。
【0022】
本発明において、ゴム製防舷材本体は、前述のように、平坦な頭部とそれに末広がり状でつながる一対の支衝脚部からなり、ゴムの圧縮応力と座屈変形を利用し、圧縮時のエネルギーを吸収するタイプを主な対象とする。ここで、防舷材本体は、前記の特開2000−309914号公報(特許文献4)に開示のように、頭部から圧縮を受けたとき、頭部が座屈せずに復元力の高い支衝脚部において座屈する構造のものであれば、超高分子量ポリエチレン層の使用寿命を一層長くできることにおいて有利である。
【0023】
すなわち、図3に例示するように、防舷材の底部先端から頭部頂面までの高さをH,頭部頂面幅をBとする防舷材において、その頂部から支衝脚部にわたる表面部(外側部)に屈曲点A,A’が設けられており、該屈曲点は超高分子ポリエチレン層の頂部から前記高さHの1/6以上に相当する距離に位置し、かつ該屈曲点における頂部面に平行方向の断面幅B1と頂部幅Bとの関係は最大でもB1が1.3B以下であることを有する。ここで、超高分子量ポリエチレン板3の表面には、前記のとおり、溝Mt1、Mt2(ここでは模式的に2本で例示)が設けられていることに加えて、当該ポリエチレン板において座屈しない構造であることから、耐久性がより一層向上する。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
天然ゴムとスチレンゴム(SBR)を50:50の重量比からなるゴム製防舷材本体2と、その頭部の受衝部が超高分子量ポリエチレン板3(粘度法による分子量;330x104、JIS K 7125による摩擦係数μ;0.2)とよりなり、その表面に下記のとおりの形状の溝が設けられた防舷材1(図2のタイプの防舷材)を作製した。ゴム製本体と超高分子量ポリエチレン板は、金型を用いて、温度140℃、圧力50kgf/cm2で10時間加硫し、接着させた。
【0025】
防舷材の全高:1000mm
超高分子量ポリエチレン板の厚みT:10mm
防舷材頂部の幅:650mm
底部の幅:1800mm
溝の形状
溝刻設部の板の厚みt;2mm
溝の幅;5mm
溝数;縦および横の各辺100cm当たり2本(但し、図2では模式的に縦片に2本のMt1、Mt2のみを図示する)
実施例2
天然ゴムとスチレンゴム(SBR)を50:50の重量比からなるゴム製防舷材本体2と、その頭部受衝部が超高分子量ポリエチレン板3(粘度法による分子量;330x104、JIS K 7125による摩擦係数μ;0.2)とよりなり、その表面に下記のとおりに溝が設けられた防舷材1(図3のタイプの防舷材)を作製した。ゴム製本体と超高分子量ポリエチレン板は、金型を用いて、温度140℃、圧力50kgf/cm2で10時間加硫し、接着させた。この防舷材は、頭部頂面幅をBとし、その頂部から支衝脚部にわたる表面部(外側部)に屈曲点A,A’が設けられており、該屈曲点は超高分子ポリエチレン層の頂部から前記高さHの1/6以上に相当する距離に位置し、かつ該屈曲点における頂部面に平行方向の断面幅B1と頂部幅Bとの関係は最大でもB1が1.3B以下である形状を有する。本防舷材は、受衝部の超高分子量ポリエチレン板に溝部を設けたことに加えて、当該ポリエチレン板おいて座屈しない構造になっていることから、耐久性がより一層向上する。
【0026】
防舷材の全高H:1000mm
超高分子量ポリエチレン板の厚みT:10mm
防舷材頂部の幅B:650mm
頂部から200mmの距離の位置Eにおける幅B1:700mm
底部の幅W:1800mm
溝の形状
溝刻設部の板の厚みt;2mm
溝の幅;5mm
溝数;縦および横の各辺100cm当たり2本(但し、図3では模式的に縦片に2本のMt1、Mt2のみを図示する)
【0027】
【発明の効果】
本発明の防舷材は、その超高分子量ポリエチレン層が船舶接触を繰り返すことによりに一部に剥離が発生しても、その広がりは溝部で遮断されて最小限の大きさに抑えることができる。この防舷材は、超高分子量ポリエチレン板はその底部おいて防舷材本体の頭部全体に加硫接着されており、その表面に溝が複数個、均一に刻設されていることから摩擦係数も全体にわたってほぼ均一であり、衝撃を均一に受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防舷材の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の防舷材の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の防舷材の別例を示す断面図である。
【図4】本発明の防舷材を製造する工程の一例を示す。
【図5】防舷材の頭部に樹脂板を取り付けた従来例を示す。
【図6】図5において、取り付け部の拡大断面図を示す。
【図7】防舷材の頭部に個々に分割した樹脂板を取り付けた従来例を示す。
【符号の説明】
1:防舷材
2:ゴム製防舷材本体
3:超高分子量ポリエチレン板
Mt、My:溝
Claims (2)
- ゴム製防舷材において、船舶との受衝部に超高分子量ポリエチレン板が加硫接着により一体化され、当該超高分子量ポリエチレン板の表面に複数の溝が設けられていることを特徴とする防舷材。
- 前記の超高分子量ポリエチレン板の総厚みをTmmとし、溝部の板の厚みをtmmとするとき、t≦T/3の条件で複数の溝が縦横に設けられていることを特徴とする請求項1記載の防舷材。
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2002
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