JP2004155885A - 応力発光材料および発光機能を有する装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料およびこの応力発光材料を用いた発光機能を有する装置を提供する。
【解決手段】応力によって発光する応力発光材料を電歪効果を有しないように、具体的には例えば5kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下となるようにする。応力発光材料は、例えばSrx Aly Oz (0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とするものである。電界を印加することによっても発光する応力発光材料を用いてエレクトロルミネッセンス・ディスプレイを構成する。
【選択図】 図8
【解決手段】応力によって発光する応力発光材料を電歪効果を有しないように、具体的には例えば5kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下となるようにする。応力発光材料は、例えばSrx Aly Oz (0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とするものである。電界を印加することによっても発光する応力発光材料を用いてエレクトロルミネッセンス・ディスプレイを構成する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、応力発光材料および発光機能を有する装置に関し、例えば、ディスプレイに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光性物質として、希土類元素をドープしたアルミネート系物質が注目され、活発に研究が行われている。このようなアルミネート系物質としては、EuをドープしたSrAl2 O4 (以下「SrAl2 O4 :Eu」と書く)が、後述のように応力発光現象の報告を契機として、最も注目されている。そこで、まず、このSrAl2 O4 :Euの研究開発経緯について、先行技術文献を挙げながら説明する。
【0003】
蛍光体であるSrAl 2 O 4 :Euの特許と研究経緯
SrAl2 O4 :Euは、古くから蛍光体として研究された経緯があり、以下の特許が1960年代にすでに登録されており、今や公知の材料系と言える(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
米国特許第3294699号明細書
【0004】
根本特殊化学(株)による蓄光材料/長残光蛍光体SrAl 2 O 4 :Eu+Dy(N夜光:商品名「ルミノーバ」)の発明と研究経緯
この蛍光体の詳細については多くの報告または解説がある(例えば、非特許文献1−9、特許文献2−4)
【非特許文献1】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/index j.html〉
【非特許文献2】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/products/luminova/index.html〉
【非特許文献3】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/product/01 luminova/index.html〉
【非特許文献4】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/column/10 glow.html 〉
【特許文献2】
特許第2543825号明細書
【特許文献3】
米国特許第5424006号明細書
【特許文献4】
欧州特許第622440号明細書
【非特許文献5】
松沢隆嗣、竹内信義、青木康充、村上義彦、第248回 蛍光体同学会講演予稿集[Proc.Phosphor Res.Soc.](1993.11.26)7−13
【非特許文献6】
村上義彦、日経サイエンス、5(1996)20−29
【非特許文献7】
T.Matsuzawa,Y.Aoki,T.Takeuchi and Y.Murayama,J.Electrochem.Soc.,143(1996)2670−2673
【非特許文献8】
村上義彦、セラミックス、32(1997)40−43
【非特許文献9】
村上義彦、はかる、42(1997)2−7
【0005】
独立行政法人産業技術総合研究所センター・基礎素材研究部門・多機能材料技術研究グループの徐超男氏(元・通産省工業技術院・九州工業技術研究所・無機複合材料部・機能性セラミックス研究室)らによるSrAl 2 O 4 :Eu系材料に おける応力発光現象の発見と特許および研究経緯
この応力発光SrAl2 O4 :Eu系材料や関連物質に関しては多くの解説や報告がある(例えば、非特許文献10−17、特許文献5−19参照)。特許文献5には、外部からの機械的エネルギーをウルツァイト(wurzite)型圧電材料で受けることにより発光し、内部に0.01〜20重量%の希土類あるいは遷移金属を含む材料が記載され、特許文献6にはこの材料を薄膜にしたものが記載されている。特許文献7には、機械的な外力を加えて生じる変形により発光する材料であり、MgAl2 O4 、CaAl2 O4 、Al2 O3 、SrMgAl10O17の母体材料に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を含む物質とその製造方法が記載されている。特許文献8には、金属酸化物/複合酸化物の母体結晶に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を発光中心イオンとして含む物質からなる、機械的変形により発光する材料が記載されている。特許文献9には、Sr3 Al2 O6 ,Ga3 Al2 O6 の母体材料に遷移元素や希土類を含む材料、 及び添加物質の量が0.01〜20重量%で800〜1700℃の還元雰囲気下で焼成させる製造方法が記載されている。特許文献10には、外部からの機械的エネルギーを光に変える材料において、Y−Ba−Mg−Si酸化物を母体材料とし、 希土類ないし遷移金属元素を発光中心とする材料が記載されている。特許文献11には、非化学量論組成のアルミン酸塩を規定した、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献12には、可視光で励起させた蛍光体メモリーでmMO・nAl2 O3 の材料系が記載されている。特許文献13には、応力発光材料を用いた応力分布の測定システムが記載されている。特許文献14には、メリライト型結晶構造の酸化物(例えば、CaYAl3 O7 ,Ca2 Al2 SiO7 など)を母体とする、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献15には、MN2 O4 でM=Mg,Sr,Ba,Zn、N=Ga,Alで、それに発光中心として希土類あるいは遷移金属がドープされた材料系とその製造方法が記載されている。特許文献16には、アルミン酸塩の母体に希土類あるいは遷移元素をドープした電場発光材料が記載されている。特許文献17には、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料で最大歪みが1%であることが記載されており、これは相当大きい値である。特許文献18には、アルミニウムアルコラートを用いてコロイドを作製し、ジアルキルカルボン酸アミドなどの分散剤を添加、急速乾燥した後、熱処理する微粒子合成法が記載されており、その実施例では粒径1.5μmである。特許文献19には、トライボルミネッセント(Triboluminescent)材料としてピエゾ関連材料が記載されている。特許文献20には、応力発光材料として主にSr3 Al3 O6 が記載され、特許文献9に対応するものである。
【非特許文献10】
徐超男、AIST Today,vol.2,No8(2002)
【非特許文献11】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 80 main.html〉
【非特許文献12】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 08 p13.pdf〉
【非特許文献13】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)1236−1238
【非特許文献14】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)2414−2416
【非特許文献15】
C−N.Xu,X−G.Zheng,M.Akiyama,K.Nonaka and T.Watanabe,Appl.Phys.Lett.,76(2000)179−181
【非特許文献16】
徐超男、化学工業(2000年10月号)pp.790−794&808
【非特許文献17】
徐超男、月刊ディスプレイ、9月号(2001年)98−103
【特許文献5】
特開平11−116946号公報
【特許文献6】
特許第3265356号明細書
【特許文献7】
特許第3136340号明細書
【特許文献8】
特許第3136338号明細書
【特許文献9】
特許第2992631号明細書
【特許文献10】
特開2000−313878号公報
【特許文献11】
特開2001−49251号公報
【特許文献12】
特開2001−123162号公報
【特許文献13】
特開2001−215157号公報
【特許文献14】
特許第3273317号明細書
【特許文献15】
特開2002−194349号公報
【特許文献16】
特開2002−194350号公報
【特許文献17】
特開2002−201068号公報
【特許文献18】
特開2002−220587号公報
【特許文献19】
米国特許第6117574号明細書
【特許文献20】
米国特許第6159394号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の応力発光材料に関しては、徐らによる上記の公知文献から、従来の応力発光材料(典型的には、徐らにより作製されたSrAl2 O4 系材料)は、電界を印加すると巨大な歪みが発生すると考えられる。以下にその理由について説明する。
【0007】
徐らによる特許文献17によると、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料、典型的にはSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)の組成で1.2%もの電歪が計測されている。この1.2%という電歪は非鉛系の材料では驚異的な値である。
【0008】
特許文献17の実施例では、試料番号1−1の電歪効果が1.2%と試行実験中では最大であり、それについて考察すると、試料の作製に際しては、900℃で約1時間、酸化性の雰囲気で仮焼し、粉砕、混合、成型後に、この成型体を1300℃で4時間、5%H2 −Ar雰囲気で還元処理してSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)組成物を作製している。そして、電歪測定に際しては、このSr0.99Al2 O4 :Euからなるセラミックスディスクを厚さ1mmに研磨後、その両面にAu電極を作製し、±1kV/mmの電界(0.1Hzの三角波)を印加し、そのときの変位(歪み量)をレーザー変位計で検出している。
【0009】
ところで、このSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)組成物は、特許文献11、15、18、そして電界発光を記述している特許文献16に記載されている物質の範疇に入るものであり、それらの実施例にも非常に近い組成が記載されている。したがって、徐らの作製した応力発光材料は、自ずと巨大な電歪効果を示すと考えてもおかしくない状況である。
【0010】
しかしながら、もし電界発光などの機能をディスプレイへ展開することを考えるのであれば、電界印加によって電界発光材料に巨大な変位が生じるデバイスなどは、使用に耐えないのは明白である。また、特許文献16に記載されている分極処理は、1〜10kV/mmの範囲で行われており、この処理を通じても相当な歪みが生じていることになり、また同様のことは、発光のための電圧印加時も当然生じており、したがって電界発光中は、試料が伸び縮みしていると考えられる。
【0011】
このように、徐らが開発してきた非常に大きな電歪効果を示すアルカリ土類金属−アルミニウム酸化物は、電界発光デバイスに好適とは言い難い。
したがって、この発明が解決しようとする課題は、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料およびこの応力発光材料を用いた、発光機能を有する装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術が有する上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料の実現に成功し、この発明を案出するに至った。
すなわち、この発明の第1の発明は、
応力によって発光する応力発光材料であって、
電歪効果を有しない
ことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の第2の発明は、
応力によって発光する応力発光材料を用いた、発光機能を有する装置であって、
応力発光材料が電歪効果を有しない
ことを特徴とするものである。
この発光機能を有する装置は、例えば、ディスプレイ、特に、後述のように応力発光材料が電界の印加によっても発光するものである場合にはエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence,EL) ・ディスプレイである。
【0014】
この発明において、応力発光材料は、一般的には、1kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下であり、好適には、5kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下である。この応力発光材料は、好適には、電界を印加することによっても発光するものである。
【0015】
応力発光材料は、典型的には、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)または亜鉛(Zn)を構成元素の一つとする酸化物、より具体的には、アルカリ土類金属およびアルミニウム、ガリウムまたは亜鉛の酸化物を母体とし、アルカリ土類金属元素が、アルミニウム、ガリウムまたは亜鉛に対して、定比組成よりも若干欠損している非化学量論組成であるか、または、定比組成物、非化学量論組成物の母体にユーロピウム(Eu)やジスプロシウム(Dy)などの希土類元素やマンガン(Mn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)などの遷移元素がドープされたものからなる。応力発光材料は、より典型的には、少なくともアルカリ土類金属およびアルミニウムを含む酸化物からなり、具体的には、例えば、Srx Aly Oz (ただし、0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とするものである。ここで、希土類元素は、用途などに応じて1種類または2種類以上ドープされる。希土類元素が1種類だけドープされる場合の代表例はEuがドープされる場合であり、短残光が必要な用途に適している。このような応力発光材料の一例を挙げるとSrAl2 O4 :Euである。また、希土類元素が2種類以上ドープされる場合の代表例は、EuおよびDyがともにドープされる場合であり、長残光を積極的に利用する用途に適している。また、応力発光材料は、構成元素にアルミニウム、ガリウムまたは亜鉛が含まれる場合のほか、例えば、アルミニウムおよびシリコン(Si)が含まれる場合もある。さらに、応力発光材料は、アルミニウム、ガリウムまたは亜鉛を構成元素の一つとする酸化物のほか、マンガン(Mn)および/またはチタン(Ti)がドープされた例えばZnS:Mn、ZnS:Ti、ZnS:Mn、Tiのようなものからなるものであってもよい。
【0016】
例えば、上記のSrx Aly Oz (ただし、0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とする酸化物からなる応力発光材料の製造に際しては、好適には、酸化物形成後に、非酸化性雰囲気(還元雰囲気など)において1000℃以上の温度で処理する。
【0017】
上述のように構成されたこの発明によれば、応力発光材料が電歪効果を有しないので、電界を印加しても応力発光材料が伸び縮みしない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
最初に、固相反応法により応力発光材料であるSr0.975 Al2 O4 :Eu(Eu添加量は母体1mol当たり0.005mol)セラミックスを作製する。作製の手順としては、まず、原料として以下の物質を所定量秤量し、これらをボールミルにて約20時間混合する。混合の際には、溶媒としてエタノールを用いる。
【0019】
【0020】
得られた混合物を熱風乾燥した後、1000kg/cm2 の圧力で1分間加圧成型してペレット状にする。加圧成型には金型を使用した。
その後、カンタル炉を使用し、このペレットを1400℃で2時間酸素中仮焼する。この仮焼に際しては、具体的には、まず、室温から300℃/hの昇温速度で1400℃まで昇温し、酸素雰囲気(酸素流量200ml/min)中においてその温度で2時間保持した後、300℃/hの冷却速度で冷却する。
【0021】
次に、このペレットを粉砕し、再度1000kg/cm2 の圧力で加圧成型を行ってペレット状にする。
次に、水素還元炉を使用し、このペレットの焼成を行う。この焼成に際しては、具体的には、まず、室温から300℃/hの昇温速度で1200℃±10℃まで昇温し、H2 (4%)−N2 雰囲気(流量200ml/min)中においてこの温度に2時間保持した後、300℃/hの冷却速度で冷却する。
【0022】
以上により、単斜晶系の目的組成物Sr0.975 Al2 O4 :Eu(Eu添加量は母体1mol当たり0.005mol)を得た。
得られた組成物のX線回折図形を測定し、既知論文[F.Hanic,T.Y.Chemekovaand J.Majling,J.Appl.Phys.,12(1979)243]の結果と照らし合わせたところ、全ピークが一致し、単相であることが判明した。
【0023】
その後、上記のペレットの両面に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に電圧を印加することによってペレットに電界(三角波で1Hz)を5kV/mmまで印加し、そのときの変位(歪み量)をレーザードップラー変位計で測定したところ、測定限界以下であった。
【0024】
以上のように、この第1の実施形態によれば、電界誘起変位の無い、言い換えれば電歪効果を有しない応力発光材料を得ることができ、したがって電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料を得ることができる。そして、電界発光する応力発光材料をディスプレイ材料に使用することにより、使用に耐えうるエレクトロルミネッセンス・ディスプレイを実現することが可能となる。
【0025】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態においては、二重るつぼを用いたフラックス法により、応力発光材料であるSrAl2 O4 :Eu単結晶を以下のようにして育成する。
【0026】
図1は育成に用いる二重るつぼの構造を示す。図1に示すように、この二重るつぼは、内側るつぼとしての白金るつぼ11を、外側るつぼとしてのアルミナるつぼ12に入れたものである。白金るつぼ11に、Sr原料、Al原料、Euを含む賦活剤およびフラックスからなる混合粉13を入れる。白金るつぼ11には蓋をせず、アルミナるつぼ12にアルミナからなる蓋14をすることにより、るつぼ内を大気から遮蔽する。
【0027】
ここで、混合粉13を白金るつぼ11に入れるのは、加熱時に混合粉13とるつぼとの反応が生じるのを防止するためであり、白金るつぼ11に蓋をしないのは、育成時には後述のように1700℃の温度に加熱するため、白金の蓋では白金るつぼ11とくっついてしまうためである。そして、白金るつぼ11をアルミナるつぼ12に入れ、アルミナるつぼ12に蓋14をするのは、原料の蒸発防止および保温性向上のためである。
【0028】
混合粉13には、Sr原料としてのSrCO3 とAl原料としてのAl2 O3 とが、SrCO3 :Al2 O3 =(1.3〜3.5):1モル、好適にはSrCO3 :Al2 O3 =(1.5〜2.5):1モルの組成で含まれるようにする。これは、目的組成SrAl2 O4 に対して原料の投入組成をSr1.3−3.5 Al2 O4 、好適にはSr1.5−2.5 Al2 O4 とすることに対応する。このように目的組成に対して原料投入組成をかなりSrリッチに設定するのは、本発明者らの知見によれば、フラックス法による育成では投入組成よりSrプアーな組成となるため、これを十分に補償するためである。
【0029】
賦活剤としては例えば酸化ユーロピウムEu2 O3 を用い、その場合その添加量は例えば0.001<Eu2 O3 <0.05モルとする。また、フラックスとしてはB2 O3 またはH3 BO3 が好適に用いられるが、ここではB2 O3 を用いる。この場合、このB2 O3 の組成は、0.1<B2 O3 <5モル、好適には0.5<B2 O3 <1モルとする。
【0030】
上述のようにして調製された混合粉13を白金るつぼ11に入れ、これをアルミナるつぼ12に入れて蓋13をする。そして、この二重るつぼを箱型の電気炉に入れて1500〜1700℃程度の温度まで昇温して混合粉13を融解し、この状態で1〜20時間保持した後、700〜1400℃の温度まで2〜30℃/h、好適には5〜15℃の冷却速度で徐冷して結晶を析出させ、室温まで冷却する。これによって、SrAl2 O4 :Eu単結晶が得られる。この後、必要に応じて、このSrAl2 O4 :Eu単結晶を非酸化性雰囲気中において1000℃以上の温度で熱処理する。
【0031】
混合粉13の調製以降の工程は、具体的には次のようにして行った。
すなわち、Sr原料として純度99.9%のSrCO3 が2モル、Al原料として純度99.99%のAl2 O3 が1モル、賦活剤としてEu2 O3 が0.005モル、フラックスとしてB2 O3 が0.5モルの組成比となるように原料を調製し、これをボールミルに入れて十分に混合した。得られた混合粉13の2gを5ccの白金るつぼ11に入れ、この白金るつぼ11をアルミナるつぼ12に入れて二重るつぼ構造とし、アルミナの蓋14をする。この二重るつぼを箱型の電気炉(カンタル炉)に入れ、空気中で室温から300℃/hの昇温速度で1700℃まで昇温し、この温度で2時間保持して白金るつぼ11内の混合粉13を十分に融解し、その後10℃/hの冷却速度で1200℃まで冷却して結晶を析出させ、室温まで冷却する。このときの育成温度シーケンスを図2に示す。
【0032】
育成後の白金るつぼ11内には、透明な結晶とともに、白濁した残渣が混在していた。この残渣はホウ素やストロンチウムの化合物、例えばSr3 B2 O6 やSrO2 などである。この残渣は、投入したSrの一部は結晶に取り込まれないでフラックスのホウ素と反応してしまうために発生するものである。
【0033】
育成した結晶を白金るつぼ11から取り出すため、酢酸CH3 COOH:H2 O=1:4の水溶液中で4〜5時間ボイルしてSr3 B2 O6 やSrO2 などの残渣を除去し、結晶を取り出した。得られた結晶は厚さ0.2mmの六角板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶であった。
【0034】
このSrAl2 O4 :Eu単結晶の形状を光学顕微鏡で観察した結果を図3に示す。図3Aおよび図3Bはそれぞれ、板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶を真上および斜めから見た写真である。図3からわかるように、このSrAl2 O4 :Eu単結晶のサイズは1mm前後である。また、このSrAl2 O4 :Eu単結晶のX線回折パターンの測定結果を図4に、EDXによる定性分析の結果を図5に、定量分析の結果を図6に、このSrAl2 O4 :Eu単結晶を水銀ランプによる波長254nmの光で励起したときの発光スペクトルを図7に示す。この図7に示す発光スペクトルの中心波長は、同じ組成のSrAl2 O4 :Eu単結晶を用いて別途測定した応力発光スペクトルの中心波長である520nmと同一であった。
【0035】
次に、この結晶サイズが1mm前後の六角板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶(厚さ=0.2mm)の両面に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に電圧を印加して±5kV/mmの範囲の電界を印加しながら、レーザードップラー変位計でその変位をその場(In−situ)で観測した。その結果を図8に示す。レーザードップラー変位計の精度からすれば、数nmの変位は十分に検出することができる(変位のエラーバーは2nm程度)わけであるが、この図8に示す結果が示すように、厚さ0.2mm(200μm)の試料に1kVもの高い電圧(電界換算で5kV/mm)を三角波で1Hzの周波数で印加しているにもかかわらず、全く変位が認められなかった。以上の結果から、このSrAl2 O4 :Eu単結晶は、電界誘起変位、すなわち電歪が無い材料と判断することができる。
【0036】
次に、上記の変位測定手法に問題がないことを検証するため、別の材料を用いて、同様の実験配置を維持したまま変位測定を行った。用いた試料は、分極処理済みのPZTセラミック試料(厚さ0.2mm)と、電歪効果を有する組成域のPLZTセラミック試料との2つである。この2つの試料の両面に、上述と同様に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に、前者のPZTセラミック試料に関しては50Vまで、後者のPLZTセラミック試料(厚さ0.5mm)に関しては400Vまでそれぞれ電圧を印加し、そのときの変位を上記と同一のレーザードップラー変位計でその場で観測した。その結果をそれぞれ図9および図10に示す。図9より、PZTセラミック試料においては、250V/mmの電界の印加で18nmの変位が観測されており、これは伸び率換算で9×10−5であり、圧電性に起因する電界に比例した変位が観測されている。一方、PLZTセラミック試料に関しては、800V/mmの電界の印加で320nmの変位が観測されており、これは伸び率換算で6.4×10−4であり、電歪効果の特徴である電圧の2乗に比例した変位量との相関が明瞭にわかる。これらの付帯実験からも、上記のレーザードップラー変位計による測定は有効であり、結果として、上記のSrAl2 O4 :Eu単結晶は、電界誘起変位が殆ど無いと言える。
この第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0037】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、応力発光材料が電歪効果を有しないので、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料を提供することができる。また、特に、応力発光材料が電界を印加することによっても発光するものである場合には、この応力発光材料を用いて、電界の印加によっても発光材料が伸び縮みしないエレクトロルミネッセンス・ディスプレイなどの発光機能を有する装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第2の実施形態においてSrAl2 O4 :Eu単結晶の育成に用いられる二重るつぼを示す略線図である。
【図2】この発明の第2の実施形態においてSrAl2 O4 :Eu単結晶の育成に用いられる育成温度シーケンスを示す略線図である。
【図3】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の光学顕微鏡による観察結果を示す図面代用写真である。
【図4】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶のX線回折スペクトルの測定結果を示す略線図である。
【図5】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の定性分析の結果を示す略線図である。
【図6】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の定量分析の結果を示す略線図である。
【図7】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶を波長254nmの光で励起したときの発光スペクトルを示す略線図である。
【図8】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶に電界を印加したときの変位をレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【図9】PZTセラミック試料に電界を印加したときの変位を図8の測定に用いたものと同一のレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【図10】PLZTセラミック試料に電界を印加したときの変位を図8の測定に用いたものと同一のレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【符号の説明】
11・・・白金るつぼ、12・・・アルミナるつぼ、13・・・混合粉、14・・・蓋
【発明の属する技術分野】
この発明は、応力発光材料および発光機能を有する装置に関し、例えば、ディスプレイに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光性物質として、希土類元素をドープしたアルミネート系物質が注目され、活発に研究が行われている。このようなアルミネート系物質としては、EuをドープしたSrAl2 O4 (以下「SrAl2 O4 :Eu」と書く)が、後述のように応力発光現象の報告を契機として、最も注目されている。そこで、まず、このSrAl2 O4 :Euの研究開発経緯について、先行技術文献を挙げながら説明する。
【0003】
蛍光体であるSrAl 2 O 4 :Euの特許と研究経緯
SrAl2 O4 :Euは、古くから蛍光体として研究された経緯があり、以下の特許が1960年代にすでに登録されており、今や公知の材料系と言える(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
米国特許第3294699号明細書
【0004】
根本特殊化学(株)による蓄光材料/長残光蛍光体SrAl 2 O 4 :Eu+Dy(N夜光:商品名「ルミノーバ」)の発明と研究経緯
この蛍光体の詳細については多くの報告または解説がある(例えば、非特許文献1−9、特許文献2−4)
【非特許文献1】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/index j.html〉
【非特許文献2】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/products/luminova/index.html〉
【非特許文献3】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/product/01 luminova/index.html〉
【非特許文献4】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/column/10 glow.html 〉
【特許文献2】
特許第2543825号明細書
【特許文献3】
米国特許第5424006号明細書
【特許文献4】
欧州特許第622440号明細書
【非特許文献5】
松沢隆嗣、竹内信義、青木康充、村上義彦、第248回 蛍光体同学会講演予稿集[Proc.Phosphor Res.Soc.](1993.11.26)7−13
【非特許文献6】
村上義彦、日経サイエンス、5(1996)20−29
【非特許文献7】
T.Matsuzawa,Y.Aoki,T.Takeuchi and Y.Murayama,J.Electrochem.Soc.,143(1996)2670−2673
【非特許文献8】
村上義彦、セラミックス、32(1997)40−43
【非特許文献9】
村上義彦、はかる、42(1997)2−7
【0005】
独立行政法人産業技術総合研究所センター・基礎素材研究部門・多機能材料技術研究グループの徐超男氏(元・通産省工業技術院・九州工業技術研究所・無機複合材料部・機能性セラミックス研究室)らによるSrAl 2 O 4 :Eu系材料に おける応力発光現象の発見と特許および研究経緯
この応力発光SrAl2 O4 :Eu系材料や関連物質に関しては多くの解説や報告がある(例えば、非特許文献10−17、特許文献5−19参照)。特許文献5には、外部からの機械的エネルギーをウルツァイト(wurzite)型圧電材料で受けることにより発光し、内部に0.01〜20重量%の希土類あるいは遷移金属を含む材料が記載され、特許文献6にはこの材料を薄膜にしたものが記載されている。特許文献7には、機械的な外力を加えて生じる変形により発光する材料であり、MgAl2 O4 、CaAl2 O4 、Al2 O3 、SrMgAl10O17の母体材料に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を含む物質とその製造方法が記載されている。特許文献8には、金属酸化物/複合酸化物の母体結晶に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を発光中心イオンとして含む物質からなる、機械的変形により発光する材料が記載されている。特許文献9には、Sr3 Al2 O6 ,Ga3 Al2 O6 の母体材料に遷移元素や希土類を含む材料、 及び添加物質の量が0.01〜20重量%で800〜1700℃の還元雰囲気下で焼成させる製造方法が記載されている。特許文献10には、外部からの機械的エネルギーを光に変える材料において、Y−Ba−Mg−Si酸化物を母体材料とし、 希土類ないし遷移金属元素を発光中心とする材料が記載されている。特許文献11には、非化学量論組成のアルミン酸塩を規定した、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献12には、可視光で励起させた蛍光体メモリーでmMO・nAl2 O3 の材料系が記載されている。特許文献13には、応力発光材料を用いた応力分布の測定システムが記載されている。特許文献14には、メリライト型結晶構造の酸化物(例えば、CaYAl3 O7 ,Ca2 Al2 SiO7 など)を母体とする、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献15には、MN2 O4 でM=Mg,Sr,Ba,Zn、N=Ga,Alで、それに発光中心として希土類あるいは遷移金属がドープされた材料系とその製造方法が記載されている。特許文献16には、アルミン酸塩の母体に希土類あるいは遷移元素をドープした電場発光材料が記載されている。特許文献17には、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料で最大歪みが1%であることが記載されており、これは相当大きい値である。特許文献18には、アルミニウムアルコラートを用いてコロイドを作製し、ジアルキルカルボン酸アミドなどの分散剤を添加、急速乾燥した後、熱処理する微粒子合成法が記載されており、その実施例では粒径1.5μmである。特許文献19には、トライボルミネッセント(Triboluminescent)材料としてピエゾ関連材料が記載されている。特許文献20には、応力発光材料として主にSr3 Al3 O6 が記載され、特許文献9に対応するものである。
【非特許文献10】
徐超男、AIST Today,vol.2,No8(2002)
【非特許文献11】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 80 main.html〉
【非特許文献12】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 08 p13.pdf〉
【非特許文献13】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)1236−1238
【非特許文献14】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)2414−2416
【非特許文献15】
C−N.Xu,X−G.Zheng,M.Akiyama,K.Nonaka and T.Watanabe,Appl.Phys.Lett.,76(2000)179−181
【非特許文献16】
徐超男、化学工業(2000年10月号)pp.790−794&808
【非特許文献17】
徐超男、月刊ディスプレイ、9月号(2001年)98−103
【特許文献5】
特開平11−116946号公報
【特許文献6】
特許第3265356号明細書
【特許文献7】
特許第3136340号明細書
【特許文献8】
特許第3136338号明細書
【特許文献9】
特許第2992631号明細書
【特許文献10】
特開2000−313878号公報
【特許文献11】
特開2001−49251号公報
【特許文献12】
特開2001−123162号公報
【特許文献13】
特開2001−215157号公報
【特許文献14】
特許第3273317号明細書
【特許文献15】
特開2002−194349号公報
【特許文献16】
特開2002−194350号公報
【特許文献17】
特開2002−201068号公報
【特許文献18】
特開2002−220587号公報
【特許文献19】
米国特許第6117574号明細書
【特許文献20】
米国特許第6159394号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の応力発光材料に関しては、徐らによる上記の公知文献から、従来の応力発光材料(典型的には、徐らにより作製されたSrAl2 O4 系材料)は、電界を印加すると巨大な歪みが発生すると考えられる。以下にその理由について説明する。
【0007】
徐らによる特許文献17によると、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料、典型的にはSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)の組成で1.2%もの電歪が計測されている。この1.2%という電歪は非鉛系の材料では驚異的な値である。
【0008】
特許文献17の実施例では、試料番号1−1の電歪効果が1.2%と試行実験中では最大であり、それについて考察すると、試料の作製に際しては、900℃で約1時間、酸化性の雰囲気で仮焼し、粉砕、混合、成型後に、この成型体を1300℃で4時間、5%H2 −Ar雰囲気で還元処理してSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)組成物を作製している。そして、電歪測定に際しては、このSr0.99Al2 O4 :Euからなるセラミックスディスクを厚さ1mmに研磨後、その両面にAu電極を作製し、±1kV/mmの電界(0.1Hzの三角波)を印加し、そのときの変位(歪み量)をレーザー変位計で検出している。
【0009】
ところで、このSr0.99Al2 O4 :Eu(Euの添加量は0.01)組成物は、特許文献11、15、18、そして電界発光を記述している特許文献16に記載されている物質の範疇に入るものであり、それらの実施例にも非常に近い組成が記載されている。したがって、徐らの作製した応力発光材料は、自ずと巨大な電歪効果を示すと考えてもおかしくない状況である。
【0010】
しかしながら、もし電界発光などの機能をディスプレイへ展開することを考えるのであれば、電界印加によって電界発光材料に巨大な変位が生じるデバイスなどは、使用に耐えないのは明白である。また、特許文献16に記載されている分極処理は、1〜10kV/mmの範囲で行われており、この処理を通じても相当な歪みが生じていることになり、また同様のことは、発光のための電圧印加時も当然生じており、したがって電界発光中は、試料が伸び縮みしていると考えられる。
【0011】
このように、徐らが開発してきた非常に大きな電歪効果を示すアルカリ土類金属−アルミニウム酸化物は、電界発光デバイスに好適とは言い難い。
したがって、この発明が解決しようとする課題は、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料およびこの応力発光材料を用いた、発光機能を有する装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術が有する上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料の実現に成功し、この発明を案出するに至った。
すなわち、この発明の第1の発明は、
応力によって発光する応力発光材料であって、
電歪効果を有しない
ことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の第2の発明は、
応力によって発光する応力発光材料を用いた、発光機能を有する装置であって、
応力発光材料が電歪効果を有しない
ことを特徴とするものである。
この発光機能を有する装置は、例えば、ディスプレイ、特に、後述のように応力発光材料が電界の印加によっても発光するものである場合にはエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence,EL) ・ディスプレイである。
【0014】
この発明において、応力発光材料は、一般的には、1kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下であり、好適には、5kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下である。この応力発光材料は、好適には、電界を印加することによっても発光するものである。
【0015】
応力発光材料は、典型的には、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)または亜鉛(Zn)を構成元素の一つとする酸化物、より具体的には、アルカリ土類金属およびアルミニウム、ガリウムまたは亜鉛の酸化物を母体とし、アルカリ土類金属元素が、アルミニウム、ガリウムまたは亜鉛に対して、定比組成よりも若干欠損している非化学量論組成であるか、または、定比組成物、非化学量論組成物の母体にユーロピウム(Eu)やジスプロシウム(Dy)などの希土類元素やマンガン(Mn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)などの遷移元素がドープされたものからなる。応力発光材料は、より典型的には、少なくともアルカリ土類金属およびアルミニウムを含む酸化物からなり、具体的には、例えば、Srx Aly Oz (ただし、0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とするものである。ここで、希土類元素は、用途などに応じて1種類または2種類以上ドープされる。希土類元素が1種類だけドープされる場合の代表例はEuがドープされる場合であり、短残光が必要な用途に適している。このような応力発光材料の一例を挙げるとSrAl2 O4 :Euである。また、希土類元素が2種類以上ドープされる場合の代表例は、EuおよびDyがともにドープされる場合であり、長残光を積極的に利用する用途に適している。また、応力発光材料は、構成元素にアルミニウム、ガリウムまたは亜鉛が含まれる場合のほか、例えば、アルミニウムおよびシリコン(Si)が含まれる場合もある。さらに、応力発光材料は、アルミニウム、ガリウムまたは亜鉛を構成元素の一つとする酸化物のほか、マンガン(Mn)および/またはチタン(Ti)がドープされた例えばZnS:Mn、ZnS:Ti、ZnS:Mn、Tiのようなものからなるものであってもよい。
【0016】
例えば、上記のSrx Aly Oz (ただし、0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とする酸化物からなる応力発光材料の製造に際しては、好適には、酸化物形成後に、非酸化性雰囲気(還元雰囲気など)において1000℃以上の温度で処理する。
【0017】
上述のように構成されたこの発明によれば、応力発光材料が電歪効果を有しないので、電界を印加しても応力発光材料が伸び縮みしない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
最初に、固相反応法により応力発光材料であるSr0.975 Al2 O4 :Eu(Eu添加量は母体1mol当たり0.005mol)セラミックスを作製する。作製の手順としては、まず、原料として以下の物質を所定量秤量し、これらをボールミルにて約20時間混合する。混合の際には、溶媒としてエタノールを用いる。
【0019】
【0020】
得られた混合物を熱風乾燥した後、1000kg/cm2 の圧力で1分間加圧成型してペレット状にする。加圧成型には金型を使用した。
その後、カンタル炉を使用し、このペレットを1400℃で2時間酸素中仮焼する。この仮焼に際しては、具体的には、まず、室温から300℃/hの昇温速度で1400℃まで昇温し、酸素雰囲気(酸素流量200ml/min)中においてその温度で2時間保持した後、300℃/hの冷却速度で冷却する。
【0021】
次に、このペレットを粉砕し、再度1000kg/cm2 の圧力で加圧成型を行ってペレット状にする。
次に、水素還元炉を使用し、このペレットの焼成を行う。この焼成に際しては、具体的には、まず、室温から300℃/hの昇温速度で1200℃±10℃まで昇温し、H2 (4%)−N2 雰囲気(流量200ml/min)中においてこの温度に2時間保持した後、300℃/hの冷却速度で冷却する。
【0022】
以上により、単斜晶系の目的組成物Sr0.975 Al2 O4 :Eu(Eu添加量は母体1mol当たり0.005mol)を得た。
得られた組成物のX線回折図形を測定し、既知論文[F.Hanic,T.Y.Chemekovaand J.Majling,J.Appl.Phys.,12(1979)243]の結果と照らし合わせたところ、全ピークが一致し、単相であることが判明した。
【0023】
その後、上記のペレットの両面に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に電圧を印加することによってペレットに電界(三角波で1Hz)を5kV/mmまで印加し、そのときの変位(歪み量)をレーザードップラー変位計で測定したところ、測定限界以下であった。
【0024】
以上のように、この第1の実施形態によれば、電界誘起変位の無い、言い換えれば電歪効果を有しない応力発光材料を得ることができ、したがって電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料を得ることができる。そして、電界発光する応力発光材料をディスプレイ材料に使用することにより、使用に耐えうるエレクトロルミネッセンス・ディスプレイを実現することが可能となる。
【0025】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態においては、二重るつぼを用いたフラックス法により、応力発光材料であるSrAl2 O4 :Eu単結晶を以下のようにして育成する。
【0026】
図1は育成に用いる二重るつぼの構造を示す。図1に示すように、この二重るつぼは、内側るつぼとしての白金るつぼ11を、外側るつぼとしてのアルミナるつぼ12に入れたものである。白金るつぼ11に、Sr原料、Al原料、Euを含む賦活剤およびフラックスからなる混合粉13を入れる。白金るつぼ11には蓋をせず、アルミナるつぼ12にアルミナからなる蓋14をすることにより、るつぼ内を大気から遮蔽する。
【0027】
ここで、混合粉13を白金るつぼ11に入れるのは、加熱時に混合粉13とるつぼとの反応が生じるのを防止するためであり、白金るつぼ11に蓋をしないのは、育成時には後述のように1700℃の温度に加熱するため、白金の蓋では白金るつぼ11とくっついてしまうためである。そして、白金るつぼ11をアルミナるつぼ12に入れ、アルミナるつぼ12に蓋14をするのは、原料の蒸発防止および保温性向上のためである。
【0028】
混合粉13には、Sr原料としてのSrCO3 とAl原料としてのAl2 O3 とが、SrCO3 :Al2 O3 =(1.3〜3.5):1モル、好適にはSrCO3 :Al2 O3 =(1.5〜2.5):1モルの組成で含まれるようにする。これは、目的組成SrAl2 O4 に対して原料の投入組成をSr1.3−3.5 Al2 O4 、好適にはSr1.5−2.5 Al2 O4 とすることに対応する。このように目的組成に対して原料投入組成をかなりSrリッチに設定するのは、本発明者らの知見によれば、フラックス法による育成では投入組成よりSrプアーな組成となるため、これを十分に補償するためである。
【0029】
賦活剤としては例えば酸化ユーロピウムEu2 O3 を用い、その場合その添加量は例えば0.001<Eu2 O3 <0.05モルとする。また、フラックスとしてはB2 O3 またはH3 BO3 が好適に用いられるが、ここではB2 O3 を用いる。この場合、このB2 O3 の組成は、0.1<B2 O3 <5モル、好適には0.5<B2 O3 <1モルとする。
【0030】
上述のようにして調製された混合粉13を白金るつぼ11に入れ、これをアルミナるつぼ12に入れて蓋13をする。そして、この二重るつぼを箱型の電気炉に入れて1500〜1700℃程度の温度まで昇温して混合粉13を融解し、この状態で1〜20時間保持した後、700〜1400℃の温度まで2〜30℃/h、好適には5〜15℃の冷却速度で徐冷して結晶を析出させ、室温まで冷却する。これによって、SrAl2 O4 :Eu単結晶が得られる。この後、必要に応じて、このSrAl2 O4 :Eu単結晶を非酸化性雰囲気中において1000℃以上の温度で熱処理する。
【0031】
混合粉13の調製以降の工程は、具体的には次のようにして行った。
すなわち、Sr原料として純度99.9%のSrCO3 が2モル、Al原料として純度99.99%のAl2 O3 が1モル、賦活剤としてEu2 O3 が0.005モル、フラックスとしてB2 O3 が0.5モルの組成比となるように原料を調製し、これをボールミルに入れて十分に混合した。得られた混合粉13の2gを5ccの白金るつぼ11に入れ、この白金るつぼ11をアルミナるつぼ12に入れて二重るつぼ構造とし、アルミナの蓋14をする。この二重るつぼを箱型の電気炉(カンタル炉)に入れ、空気中で室温から300℃/hの昇温速度で1700℃まで昇温し、この温度で2時間保持して白金るつぼ11内の混合粉13を十分に融解し、その後10℃/hの冷却速度で1200℃まで冷却して結晶を析出させ、室温まで冷却する。このときの育成温度シーケンスを図2に示す。
【0032】
育成後の白金るつぼ11内には、透明な結晶とともに、白濁した残渣が混在していた。この残渣はホウ素やストロンチウムの化合物、例えばSr3 B2 O6 やSrO2 などである。この残渣は、投入したSrの一部は結晶に取り込まれないでフラックスのホウ素と反応してしまうために発生するものである。
【0033】
育成した結晶を白金るつぼ11から取り出すため、酢酸CH3 COOH:H2 O=1:4の水溶液中で4〜5時間ボイルしてSr3 B2 O6 やSrO2 などの残渣を除去し、結晶を取り出した。得られた結晶は厚さ0.2mmの六角板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶であった。
【0034】
このSrAl2 O4 :Eu単結晶の形状を光学顕微鏡で観察した結果を図3に示す。図3Aおよび図3Bはそれぞれ、板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶を真上および斜めから見た写真である。図3からわかるように、このSrAl2 O4 :Eu単結晶のサイズは1mm前後である。また、このSrAl2 O4 :Eu単結晶のX線回折パターンの測定結果を図4に、EDXによる定性分析の結果を図5に、定量分析の結果を図6に、このSrAl2 O4 :Eu単結晶を水銀ランプによる波長254nmの光で励起したときの発光スペクトルを図7に示す。この図7に示す発光スペクトルの中心波長は、同じ組成のSrAl2 O4 :Eu単結晶を用いて別途測定した応力発光スペクトルの中心波長である520nmと同一であった。
【0035】
次に、この結晶サイズが1mm前後の六角板状のSrAl2 O4 :Eu単結晶(厚さ=0.2mm)の両面に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に電圧を印加して±5kV/mmの範囲の電界を印加しながら、レーザードップラー変位計でその変位をその場(In−situ)で観測した。その結果を図8に示す。レーザードップラー変位計の精度からすれば、数nmの変位は十分に検出することができる(変位のエラーバーは2nm程度)わけであるが、この図8に示す結果が示すように、厚さ0.2mm(200μm)の試料に1kVもの高い電圧(電界換算で5kV/mm)を三角波で1Hzの周波数で印加しているにもかかわらず、全く変位が認められなかった。以上の結果から、このSrAl2 O4 :Eu単結晶は、電界誘起変位、すなわち電歪が無い材料と判断することができる。
【0036】
次に、上記の変位測定手法に問題がないことを検証するため、別の材料を用いて、同様の実験配置を維持したまま変位測定を行った。用いた試料は、分極処理済みのPZTセラミック試料(厚さ0.2mm)と、電歪効果を有する組成域のPLZTセラミック試料との2つである。この2つの試料の両面に、上述と同様に金電極を蒸着で作製し、これらの電極間に、前者のPZTセラミック試料に関しては50Vまで、後者のPLZTセラミック試料(厚さ0.5mm)に関しては400Vまでそれぞれ電圧を印加し、そのときの変位を上記と同一のレーザードップラー変位計でその場で観測した。その結果をそれぞれ図9および図10に示す。図9より、PZTセラミック試料においては、250V/mmの電界の印加で18nmの変位が観測されており、これは伸び率換算で9×10−5であり、圧電性に起因する電界に比例した変位が観測されている。一方、PLZTセラミック試料に関しては、800V/mmの電界の印加で320nmの変位が観測されており、これは伸び率換算で6.4×10−4であり、電歪効果の特徴である電圧の2乗に比例した変位量との相関が明瞭にわかる。これらの付帯実験からも、上記のレーザードップラー変位計による測定は有効であり、結果として、上記のSrAl2 O4 :Eu単結晶は、電界誘起変位が殆ど無いと言える。
この第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0037】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、応力発光材料が電歪効果を有しないので、電界を印加しても伸び縮みしない応力発光材料を提供することができる。また、特に、応力発光材料が電界を印加することによっても発光するものである場合には、この応力発光材料を用いて、電界の印加によっても発光材料が伸び縮みしないエレクトロルミネッセンス・ディスプレイなどの発光機能を有する装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第2の実施形態においてSrAl2 O4 :Eu単結晶の育成に用いられる二重るつぼを示す略線図である。
【図2】この発明の第2の実施形態においてSrAl2 O4 :Eu単結晶の育成に用いられる育成温度シーケンスを示す略線図である。
【図3】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の光学顕微鏡による観察結果を示す図面代用写真である。
【図4】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶のX線回折スペクトルの測定結果を示す略線図である。
【図5】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の定性分析の結果を示す略線図である。
【図6】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶の定量分析の結果を示す略線図である。
【図7】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶を波長254nmの光で励起したときの発光スペクトルを示す略線図である。
【図8】この発明の第2の実施形態により育成されたSrAl2 O4 :Eu単結晶に電界を印加したときの変位をレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【図9】PZTセラミック試料に電界を印加したときの変位を図8の測定に用いたものと同一のレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【図10】PLZTセラミック試料に電界を印加したときの変位を図8の測定に用いたものと同一のレーザードップラー変位計により測定した結果を示す略線図である。
【符号の説明】
11・・・白金るつぼ、12・・・アルミナるつぼ、13・・・混合粉、14・・・蓋
Claims (9)
- 応力によって発光する応力発光材料であって、
電歪効果を有しない
ことを特徴とする応力発光材料。 - 1kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下である
ことを特徴とする請求項1記載の応力発光材料。 - 5kV/mm以下の電界を印加したときの変位率が1×10−5以下である
ことを特徴とする請求項1記載の応力発光材料。 - 電界を印加することによっても発光する
ことを特徴とする請求項1記載の応力発光材料。 - 少なくともアルカリ土類金属およびアルミニウムを含む酸化物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の応力発光材料。 - Srx Aly Oz (ただし、0.9≦x≦1.0,1.95≦y≦2.05,z=(2x+3y)/2)を母体結晶とする
ことを特徴とする請求項5記載の応力発光材料。 - 応力によって発光する応力発光材料を用いた、発光機能を有する装置であって、
上記応力発光材料が電歪効果を有しない
ことを特徴とする発光機能を有する装置。 - 上記応力発光材料は電界を印加することによっても発光する
ことを特徴とする請求項7記載の発光機能を有する装置。 - 上記発光機能を有する装置はディスプレイである
ことを特徴とする請求項7記載の発光機能を有する装置。
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JP2014145040A (ja) * | 2013-01-29 | 2014-08-14 | Sakai Chem Ind Co Ltd | 応力発光材料用組成物の製造方法、その製造方法によって得られる応力発光材料用組成物、及びその組成物から製造した応力発光材料 |
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-
2002
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