JP2004155878A - 記録液及びインク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己分散型顔料を用いた、保存安定性及び色彩に優れた記録液及びインク組成物の提供。
【解決手段】記録液は、少なくとも水と自己分散型顔料とを含有する親水性顔料分散体からなり、親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下である。自己分散型顔料を用いた親水性顔料分散体の濁度値が規定範囲内にある記録液は、記録媒体上での光学濃度が良好であり、濁度値による高濃度かつ色彩に優れた記録液を得られる。親水性顔料分散体の初期濁度値を規定することで、光学濃度の高い高画質画像を提供でき、水系溶媒に対する初期分散性に優れた記録液を提供できる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録液及びインク組成物に関し、特に、自己分散型顔料を用いた、保存安定性及び色彩に優れた記録液及びインク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顔料は、通常、有機溶剤や水などの溶剤に対して不溶であるため、インク、塗料、プラスチィックの着色剤、液体現像剤などの着色用の画像形成材料に用いる場合、用途によって有機溶剤や水に分散させて用いることが多い。
【0003】
特に、最近では、臭気や人体への影響から水性化への要望が強く、水分散の安定性が必要とされている。
【0004】
従来、顔料を水中に分散させるため、界面活性剤や分散剤,分散樹脂を用いて顔料表面を修飾して水性インクや水性塗料としている。
【0005】
しかしながら、大抵の有機顔料は親油性で、水性のビヒクルと分散状態を維持させるため、分散剤や界面活性剤を顔料毎に選択し、分散条件を変えたり、前分散が必要であったりと分散が容易ではなく、長期保存安定性が困難であるという問題点がある。
【0006】
また、インクジェット用の顔料型インクの場合、染料型インクに比べて耐光性及び耐水性などの点で優るが、濁度,光学濃度が劣り、全体的に透明度に欠けた画像となる。
【0007】
さらに、分散したインキがノズル部分で凝集し、再分散が困難であり、塗料においては、凝集による顔料粒子の沈降などの現象が問題となっている。
【0008】
また、特許文献1には、銅フタロシアニン顔料本来の鮮明な色調を十分に発揮できるようにした顔料分散剤が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−281927号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1記載の顔料分散剤では、微細化した銅フタロシアニン顔料の透明性が従来顔料に比べて改善されているが、光学濃度及び保存安定性についての記述はない。
【0011】
本発明の第1番目の目的は、自己分散型顔料を用いた親水性顔料分散体の初期濁度値または濁度値の時間的な変化量を規定することで、水系溶媒に対する初期分散性、長期分散性に優れ、顔料粒子の凝集による沈殿を起こし難く、長期保存安定性に優れた記録液を提供することにある。
【0012】
本発明の第2番目の目的は、吐出安定性、保存安定性に優れ、光学濃度の高い高画質画像を形成することが可能なインク組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、鋭意検討した結果、親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下の範囲内にあるものが、記録液として良好な保存安定性を有し、また、記録媒体上で高彩色を発揮する親水性顔料分散体からなる記録液が提供できることを見出し、本発明に至った。
【0014】
自己分散型顔料を用いた親水性顔料分散体の濁度値を規定することにより、記録媒体上での彩度向上、及び長期保存安定性に優れた記録液を提供することができる。
【0015】
保存安定性試験で濁度値の変化のない色材は、安定したインクを提供することができる。
【0016】
本発明の記録液は、少なくとも水と自己分散型顔料とを含有する親水性顔料分散体からなる記録液であって、前記親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、前記親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、親水性顔料分散体の濁度値が上記規定範囲内にあるインクは、紙面(記録媒体)上での光学濃度が良好である。
【0018】
本発明の記録液は、上記親水性顔料分散体の調製直後から、60℃で1週間経過した後の前記親水性顔料分散体の濁度値の変化量が17ppm以内であることが望ましい。
【0019】
本発明によれば、親水性顔料分散体の濁度値の変化量が上記規定範囲内にあるインクは、物性値の変化が少なく、安定したインクを提供することができる。
【0020】
本発明の記録液は、上記親水性顔料分散体が、適量の塩基性化合物を含有している。
【0021】
本発明によれば、塩基性化合物を適量(約0.4wt%)含有することで、塩基性化合物が塩として働き、安定した親水化顔料インクを提供できる。
【0022】
本発明の記録液は、上記塩基性化合物が、アミン化合物であることが望ましい。
【0023】
本発明によれば、トリエタノールアミン(TEA)などのアミン化合物を適量(約0.4wt%)含有することで、親水性顔料分散体の物性安定化を高めることができる。
【0024】
本発明のインク組成物は、上記に記載の記録液からなることを特徴とするものである。
【0025】
本発明によれば、吐出安定性、保存安定性に優れ、光学濃度の高い高画質画像を形成することができるインク組成物が提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の記録液は、少なくとも水と自己分散型顔料とを含有する親水性顔料分散体からなり、親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下である。
【0027】
本発明の記録液は、親水性顔料分散体の調製直後から、60℃で1週間経過した後の親水性顔料分散体の濁度値の変化量が17ppm以内である。
【0028】
本発明の記録液は、親水性顔料分散体が適量である約0.4wt%の塩基性化合物を含有している。
【0029】
本発明の記録液は、塩基性化合物がトリエタノールアミン(TEA)などのアミン化合物である。
【0030】
本発明のインク組成物は、上記に記載の記録液からなる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の記録液で使用される自己分散型顔料の有機顔料は、有機顔料表面を化学的にスルホン化処理することにより得られた親水性有機顔料である。
【0032】
本発明の親水性有機顔料として用いられる有機シアン顔料としては、具体的には、C.I.Pigment blue15、C.I.Pigment blue15:3、あるいはC.I.Pigment blue15:4の銅フタロシアニン構造を有する顔料などが挙げられる。
【0033】
本発明の親水性有機顔料として用いられる有機マジェンタ顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Red122、あるいはC.I.Pigment Red202のキナクリドン顔料、または、C.I.Pigment Red149、C.I.Pigment Red190、あるいはC.I.Pigment Red224のペリレン顔料、または、C.I.Pigment Red175、C.I.Pigment Red176、あるいはC.I.Pigment Red185のナフトールAS−ベンズイミダゾロン顔料などが挙げられる。
【0034】
本発明の親水性有機顔料として用いられる有機イエロー顔料としては、具体的には、C.I.Pigment Yellow74のモノアゾイエロー顔料、または、C.I.Pigment Yellow13、Pigment Yellow83、あるいはPigment Yellow176のジスアゾイエロー顔料、または、C.I.Pigment Yellow128の縮合アゾ顔料、または、C.I.Pigment Yellow151、Pigment Yellow180、あるいはPigment Yellow194のベンズイミダゾロン顔料などが挙げられる。
【0035】
また、本発明における顔料の処理方法としては、まず、濃硫酸を用いて、有機顔料にスルホン酸基を導入させる。
【0036】
スルホン化させる溶剤としては、その他、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸などが用いられる。
【0037】
また、上記の改質処理では、通常の有機顔料の耐性が求められる。
有機顔料によっては、改質処理中に分解または変色したりすることもあるので、処理条件を最適化すると共に、耐性のある顔料の選定が重要となる。
【0038】
反応後の表面処理有機顔料は、反応液を冷却した大量の水に投入することで、酸析により表面処理有機顔料を取り出すことができる。
その後、水分散液として濾過、洗浄を行ない、濾液のpHが5以上になるまで繰り返す。
【0039】
次いで、限外濾過などの膜処理、または、遠心分離装置により顔料濃度10〜15重量%の表面処理有機顔料ペーストとして得ることができる。
【0040】
この水易分散顔料ペーストは、熱乾燥により粉体顔料とすることが可能であるが、水分散体または水系インクジェット用記録液としては、水を含有したペーストの状態で用いることが好ましい。
【0041】
得られた表面処理有機顔料の水分散体は、顔料表面の官能基がスルホン酸基という酸性基であることから、それ自身でも優れた安定性を示すが、顔料分散体に塩基性化合物を加え、酸性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和し、塩形成をすることによって安定性がさらに向上する。
【0042】
この現象は、顔料分散液に塩基性化合物を加えて溶液中のpHを高くすることで、負電荷を持つと考えられる顔料粒子周囲の電気二重層を厚くし、顔料間の静電反発力が大きくなることに起因するものであり、それによって分散液に存在する顔料粒子の分散安定化効果が高まることを示唆している。
【0043】
顔料粒子の塩基性化合物には、アルカリ金属、水溶性アミン化合物などがあり、いずれの場合も親水性顔料分散体の初期分散安定性は向上する。
【0044】
しかしながら、本発明の親水性顔料に関しては、物性安定化の面で、塩基性化合物としてアルカリ金属よりも水溶性アミン化合物の方が望ましい。
【0045】
具体的には、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたアミン化合物としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミンなどが挙げられ、炭素数1〜3のアルカノール基で置換されたアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0046】
炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜3のアルカノール基で置換されたアルキルアルカノールアミンとしては、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンなどが挙げられる。
【0047】
その他の水溶性アミン化合物としては、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられる。
【0048】
親水性顔料分散体の濁度値は、カオリン水分散体の濃度(ppm)に換算した濁り度合を意味し、積分球を用いた濁度計などにより測定される。
この最適濁度値は、顔料の色のみならず、記録液の物性や印字物にとっても重要である。
【0049】
本発明の親水性顔料分散体の濁度値においては、顔料固形分濃度が2.0〜2.5重量%の時、20ppm以下であることが望ましい。
親水性顔料分散体の濁度値が高いと、親水性顔料分散体の透明性が損なわれるばかりか、水媒体中での分散性低下を引き起こし、その結果、記録媒体である紙面上に塗布した場合の光学濃度・彩度をも悪化させる。
【0050】
本発明の親水性顔料分散体は、分散、保存安定性、インクジェット用記録液としての吐出安定性を有しているが、紙への定着性や、インキ塗膜の耐水性を与えるために、バインダー樹脂の添加が必要となる。
その他、必要に応じて各種添加剤を加えることとなる。
【0051】
本発明の親水性顔料分散体を用いて作製されるインクジェット用記録液は、親水性顔料とその他上記の成分を適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合することにより製造することができる。
【0052】
分散は、ディスパー、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機などの通常の分散機で可能である。
【0053】
また、混合攪拌は、通常の羽根を用いた攪拌機による攪拌の他、高速の分散機、乳化機などにより行なうことができる。
また、製造された記録液は、予め、孔径0.8μm以下のフィルター、もしくは、孔径0.45μm以下のフィルターにて濾過しておくことが好ましい。
【0054】
本発明の親水性顔料分散体は、インクジェット用記録液の他、印刷インキ、塗料、化粧品、筆記用インキ、トナー、液体現像剤、電子写真用材料などの広範囲の分野に利用することが可能である。
【0055】
(実施例)
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、特に限定されるものではない。
ここでは、一例として、親水性シアン顔料の調製方法について記す。
【0056】
親水性シアン顔料の調製を説明する。
市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製)の顔料を、140〜150℃前後の濃硫酸(98%)中で30分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して親水性シアン顔料ペーストAを得た。
【0057】
同じく、市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製)の顔料を、140〜150℃前後の濃硫酸(98%)中で60分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して親水性シアン顔料ペーストBを得た。
【0058】
同じく、市販の銅フタロシアニンC.I.Pigment blue15:3(クラリアントジャパン社製)の顔料を、140〜150℃前後の濃硫酸(98%)中で90分攪拌後、0℃の水中に滴下攪拌し、濾過・洗浄を繰り返して親水性シアン顔料ペーストCを得た。
【0059】
実施例1:
親水性シアン顔料ペーストB 2.0重量%
水 残り
上記の物質をマグネチックスターラで60分間攪拌し、超音波分散機にて30分間分散処理を行った。
【0060】
実施例2:
親水性シアン顔料ペーストC 2.0重量%
水 残り
上記の物質をマグネチックスターラで60分間攪拌し、超音波分散機にて30分間分散処理を行った。
【0061】
実施例3:
親水性シアン顔料ペーストB 2.0重量%
トリエタノールアミン 0.4重量%
水 残り
上記の物質をマグネチックスターラで60分間攪拌し、超音波分散機にて30分間分散処理を行った。
さらに、60℃で1週間放置して、保存安定性の加速試験を行い、試験前後の種々の物性を評価した。
【0062】
実施例4:
親水性シアン顔料ペーストB 2.0重量%
トリエタノールアミン 0.9重量%
水 残り
上記の物質をマグネチックスターラで60分間攪拌し、超音波分散機にて30分間分散処理を行った。
さらに、60℃で1週間放置して、保存安定性の加速試験を行い、試験前後の種々の物性を評価した。
【0063】
比較例1:
親水性シアン顔料ペーストA 2.0重量%
水 残り
上記の物質をマグネチックスターラで60分間攪拌し、超音波分散機にて30分間分散処理を行った。
【0064】
比較例2:
実施例1で調製したインクを、60℃で1週間放置して、保存安定性の加速試験を行い、試験前後の種々の物性を評価した。
【0065】
上記の実施例1〜4及び比較例1,2で得られた親水性顔料分散体の特性は、それぞれ以下に示す方法で評価した。
【0066】
(A)濁度
各親水性顔料水分散液の濁度を測定した。
評価には、三菱化成(株)社製のポイック積分球方式濁度計SEP・PT・501D型を用いて行なった。
【0067】
次に、親水性顔料水分散液の濁度の測定原理について説明する。
図1は本発明の親水性顔料水分散液の濁度を測定する濁度計の説明図である。濁度計は、図1に示すように、光を発生する光源ランプ10、光源ランプ10からの光線をコリメータ11に集めるコンデンサレンズ12、コンデンサレンズ12の焦点位置に配置されたピンホール13、コンデンサレンズ12,ピンホール13を通過した光源ランプ10からの光を平行光線とするコリメータレンズ14、試料となる親水性顔料水分散液を入れる試料セル15、試料セル15中を透過した透過光のうち散乱光線を集光させる積分球16、積分球16に付設された試料セル15中を透過した拡散透過光(Td)を検出する拡散透過光用検知器である受光器D、積分球16に付設された試料セル15中を透過した平行透過光(Tp)を検出する平行透過光用検知器である受光器D、及び拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)の比率を演算する演算増幅器17を備えている。
【0068】
親水性顔料水分散液の濁度の測定原理は、図1に示すコンデンサレンズ12が光源ランプ10からの光線をコリメータ11に集め、コリメータレンズ14がコンデンサレンズ12,ピンホール13を通過した光源ランプ10からの光を平行光線とし、コリメータレンズ14からの平行光線が試料セル11中を透過し、試料液中の濁りによって透過光が散乱する。
【0069】
試料セル11中を透過する透過光のうち一方の散乱光線は、積分球16によって集光され、拡散透過光(Td)として受光器Dで検出される。
他方、散乱しなかった透過光は、平行透過光(Tp)として受光器Dで検出される。
【0070】
これらの拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)を蒸留水(0.2ミクロン濾過水)で同時に検出し、両者の比率を演算増幅器17で演算後、濁度標準液で校正すれば、試料の濁度(T)は、拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)の比に比例し、下記式[1]のように表わされる。
濁度(T)∝Td/Tp [1]
【0071】
また、本発明では、試料溶液を無希釈の原液状態での濁度を測定するため、セル光路長0.2mmの特注セルを用いた。
親水性顔料分散体の初期濁度値は、50ppm以下であるものを良好であると評価し、親水性顔料分散体の調製直後から、60℃で1週間経過した後の保存安定性試験では、親水性顔料分散体の濁度値の変化量が17ppm以下であるものを良好であると評価した。
【0072】
(B)色彩評価
各インク組成物を一定量(1.0ml)採取し、専用コート紙上にアプリケータ塗布したものを乾燥後、X−Rite938(日本平版機材(株)社製)で、光学濃度(D)を評価した。
【0073】
光学濃度(D)は、下記式[2]のように表わされる。
光学濃度(D)=log(1/R) [2]
Rは測定物に与えられた光の反射率である。
シアン色の場合、Dc=1.00以上(Dc:シアン光学濃度)であるものを良好であると評価した。
【0074】
(C)保存安定性
各親水性顔料水分散液をラボランスクリュー管瓶に入れ、60℃で1週間の保存安定性テストを実施した。
【0075】
保存安定性テスト前後における親水性顔料水分散液の粘度を測定し、親水性顔料水分散液の粘度の変化量を評価した。
親水性顔料水分散液の初期粘度に対して、保存安定性テスト後の親水性顔料水分散液の粘度の変化量が±0.1以下である場合を「○」、±0.1〜±0.5の範囲にある場合を「△」、±0.5以上である場合を「×」として評価した。
なお、顔料の凝集による沈殿物が確認された場合には、「*」で表した。
【0076】
親水性顔料水分散液の粘度の測定は、協和界面科学(株)社製の粘度計(BROOKFIELD DIGITAL RHEOMETER MODEL DV−III)を用いて行なった。
【0077】
さらに、保存安定性テスト前後における親水性顔料水分散液の顔料粒子径を測定し、親水性顔料水分散液の顔料粒子径の変化量を評価した。
親水性顔料水分散液の初期顔料粒子径に対して、保存安定性テスト後の親水性顔料水分散液の顔料粒子径の変化量が5以下であれば「○」、5より大きく変化したものは「×」として評価した。
【0078】
親水性顔料水分散液の顔料粒子径の測定は、堀場製作所(株)社製の動的光散乱式粒径分布測定装置(LB−500)を用いて行った。
【0079】
以上の実施例1,実施例2,比較例1の親水性顔料水分散液の濁度値(ppm)及びシアン光学濃度(Dc)の測定結果を次の表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004155878
【0081】
表1に示した測定結果から明らかなように、本発明の実施例1及び実施例2で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値が50ppm以下であり、シアン光学濃度(Dc)が1.00以上であり、濁度及び色彩が良好であることが判った。
これに対して、比較例1で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値が50ppm以上であり、シアン光学濃度(Dc)が1.00以下であり、濁度及び色彩が良好でないことが判った。
【0082】
以上の実施例1,実施例2,比較例1で説明したように、親水性顔料水分散液の濁度値が低いものほど光学濃度が高く、濁度値が50ppm以上では、良好な光学濃度を得ることはできなかった。
したがって、濁度値が50ppm以下の記録液及びインク組成物は、記録媒体である紙面上で良好な光学濃度を得ることができる。
【0083】
以上の評価結果は次の表2に示すとおりであった。
【0084】
【表2】
Figure 2004155878
【0085】
表2に示した評価結果から明らかなように、本発明の実施例3で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値の変化量が17ppm以下であり、粘度の変化量が±0.1以下の○であり、顔料粒子径の変化量が5以下の○であり、総合評価が◎であり、濁度、光学濃度及び色彩が良好で、かつ保存安定性に優れていることが判った。
【0086】
本発明の実施例4で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値の変化量が17ppm以下であり、粘度の変化量が±0.1〜±0.5の範囲にある△であり、顔料粒子径の変化量が5以下の○であり、総合評価が○であり、濁度、光学濃度及び色彩が良好で、かつ保存安定性に優れていることが判った。
【0087】
これに対して、比較例2で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値の変化量が17ppm以上であり、粘度の変化量が±0.5以上の×であり、顔料の凝集による沈殿物があり、顔料粒子径の変化量が5以上の×であり、総合評価が×であり、濁度、光学濃度、色彩及び保存安定性についての評価が悪かった。
【0088】
以上で説明したように、本発明の実施例3及び実施例4で得られた親水性顔料水分散液は、濁度値の変化量が17ppm以下であり、粘度と顔料粒子径の変化量がともに少なく、安定した記録液及びインク組成物を提供することができる。
【0089】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の記録液によれば、親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下であるように規定したので、自己分散型顔料を用いた親水性顔料分散体の濁度値が規定範囲内にある記録液は、記録媒体上での光学濃度が良好であり、濁度値による高濃度かつ色彩に優れた記録液を得ることができ、親水性顔料分散体の初期濁度値を規定することにより、従来の顔料インクよりも光学濃度の高い高画質画像を提供することができ、しかも、水系溶媒に対する初期分散性に優れた記録液を提供することができる。
【0090】
本発明の記録液によれば、親水性顔料分散体の調製直後から、60℃で1週間経過した後の親水性顔料分散体の濁度値の変化量が17ppm以内であるように規定するので、自己分散型顔料を用いた親水性顔料分散体の濁度値の変化量が規定範囲内にある記録液は、物性値の変化が少なく、安定した記録液を提供することができ、保存安定性試験による親水性顔料分散体の濁度値の時間的な変化量を規定することにより、安定した良質の親水性顔料分散体を得ることができ、しかも、水系溶媒に対する長期分散性に優れ、顔料粒子の凝集による沈殿を起こし難く、長期保存安定性に優れた記録液を提供することができる。
【0091】
本発明の親水性顔料分散体を用いれば、インクジェット用記録液としても顔料の特徴である耐水性を維持しつつ、優れた保存安定性、吐出安定性を与える記録液が得られる。
【0092】
さらに、この親水性顔料分散体は、グラビアインキ、水性塗料、その他印刷インキ分野にも分散剤を含まない状態で用いることが可能である。
【0093】
本発明の記録液によれば、親水性顔料分散体が適量の塩基性化合物を含有しているので、塩基性化合物が塩として働き、親水性顔料分散体の安定性がさらに向上し、安定した親水化顔料インクを提供できる。
【0094】
本発明の記録液によれば、塩基性化合物がアミン化合物であるので、親水性顔料分散体の物性安定化を高めることができる。
【0095】
本発明のインク組成物によれば、上記に記載の記録液からなるので、吐出安定性、保存安定性に優れ、光学濃度の高い高画質画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の親水性顔料水分散液の濁度を測定する濁度計の説明図。
【符号の説明】
10 光源ランプ
11 コリメータ
12 コンデンサレンズ
13 ピンホール
14 コリメータレンズ
15 試料セル
16 積分球
17 演算増幅器
受光器(拡散透過光用検知器)
受光器(平行透過光用検知器)

Claims (5)

  1. 少なくとも水と自己分散型顔料とを含有する親水性顔料分散体からなる記録液であって、
    前記親水性顔料分散体の層厚が0.2mmの時、前記親水性顔料分散体の濁度値が50ppm以下であることを特徴とする記録液。
  2. 上記親水性顔料分散体の調製直後から、60℃で1週間経過した後の前記親水性顔料分散体の濁度値の変化量が17ppm以内である請求項1に記載の記録液。
  3. 上記親水性顔料分散体は、適量の塩基性化合物を含有している請求項1または2に記載の記録液。
  4. 上記塩基性化合物は、アミン化合物である請求項3に記載の記録液。
  5. 上記請求項1乃至4に記載の記録液からなることを特徴とするインク組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083304A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Kao Corp インクジェット記録用水系インク

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