JP2004155667A - アガリクスを含む糖尿病治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】血糖値調節剤及び糖尿病治療剤の提供。
【解決手段】アガリクスを含むことを特徴とする血糖値調節剤。
【選択図】 なし
【解決手段】アガリクスを含むことを特徴とする血糖値調節剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アガリクスの酵素処理済製剤(ABPC;Agaricus Brazei Practical Compound)を含む血糖値調節剤及び糖尿病治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
アガリクス茸(Agaricus blazei murill)は、担子菌類ハラタケ科に属し、β−D−グルカンを最も多く含む多糖体キノコであり、カワリハラタケとも呼ばれている。β−D−グルカンから成る多糖体は免疫細胞や抗癌作用と関連のある物質として注目されているため、アガリクスは健康維持物質として期待されている。
【0003】
これまでアガリクス菌体成分は血糖降下剤としての効果が報告されている(特許文献1)。この報告においては、アガリクス・ブラゼイの子実体及び/又は菌糸体の抽出エキスが用いられている。しかし、アガリクスの総合的な糖尿病治療効果に関して報告はない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−80014号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血糖値調節剤及び糖尿病治療剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アガリクスが血糖値を調節し、また糖尿病における血糖値を低減させることを見出した。さらに本発明者は、糖尿病において併発する合併症の中でも生命維持に重要な食細胞の機能不全を回復させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アガリクスを含むことを特徴とする血糖値調節剤を提供する。ここでアガリクスはその酵素処理済製剤であってもよい。また本発明は、上記血糖値調節剤を含むことを特徴とする糖尿病治療剤である。該糖尿病治療剤は、さらに糖尿病性食細胞機能不全及び/又は糖尿病性体液性免疫機能不全を回復させる機能を有するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、アガリクスの用途に係るものであり、アガリクスが血糖値を正常値に保つよう調節し、また糖尿病に付随する合併症である食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全を回復させることを利用するものである。従って、アガリクスは、血糖値調節剤及び糖尿病治療剤として使用しうる。
【0009】
アガリクスは、菌糸体や子実体を発酵処理して調製することができるが(ABPC)、発酵処理済み及び未処理の市販品を用いることもできる。
アガリクス粒子を得るためには、アガリクス菌糸体に、超音波処理等の処理及び/又は発酵過程による分解処理を行って体内へ吸収し易くすることが好ましい。超音波処理は、適当な超音波処理装置を用いて5〜50分程度行う。また、発酵過程により分解するには、酵母菌と共存させ40℃の環境下で5〜10日間の培養処理を行う。この場合、酵母菌が最終製品に混和されていてもよい。尚、アガリクスの微小断片が混入した溶媒抽出物であってもアガリクスの血糖調節活性又は食細胞免疫機能不全若しくは体液性免疫機能不全の回復機能を保有するものであれば使用してよい。また、溶媒はアブソリュートアルコール又は10%までのアルコール溶液であってもよい。抽出期間は約5〜10日間を要する。
【0010】
アガリクスの酵素処理済製剤は、繊維分解酵素(セルラーゼ)と、子実体及び菌糸体の等量混合物とを約1対100の比率で混合し、約40℃にて5日間程度混合することにより得られる。
【0011】
本発明においては、上述したような超音波処理、発酵分解処理、及び/又は酵素処理のうち1つの処理工程を行ったアガリクスを利用してもよいし、複数の処理工程を行ったものでもよい。
【0012】
アガリクスの成分により、血糖値が調節される。血糖値とは血液中のグルコース量を意味し、血糖値は、腸管からの吸収、肝グリコーゲンの分解及び糖新生で上昇し、末梢組織でのエネルギー産生、肝や筋のグリコーゲン生成及び脂肪組織における脂肪への転化で低下する。肝臓では、グリコーゲンの生成・分解及び糖新生が行なわれているため、血糖値により肝臓の血糖調節能を知ることができる。血糖値は、糖尿病をはじめとする各種高血糖症の診断や代謝管理に用いられるものであり、還元法、縮合法、酵素法、電極法などにより測定することができる。例えば酵素法では、グリコースデヒドロゲナーゼがグルコース酸化を触媒する機能を利用することによって、NAD+よりNADHが生成され、この生成したNADHの340nmにおける吸収度を測定することにより血糖値を求める。
【0013】
本発明において「血糖値の調節」とは、血糖値を正常化する、すなわち正常値に保つ又は異常である場合には正常値(近似値も含む)に補正することを指す。従って、本発明の血糖値調節剤は、血糖値を正常値に補正することができるため、糖尿病治療剤としても用いることができる。
【0014】
アガリクスが血糖値を調節する作用機構としては、肝細胞の新生を直接促進する直接作用と、肝臓類洞に定着するクッパー細胞を活性化し、その細胞から分泌されたサイトカインにより肝原基細胞を活性化促進する間接作用による、肝機能の正常化によるものが考えられる。ここでクッパー細胞とは、細胞質性の突起で類洞内壁に付着し、血中の異物や古い赤血球を貪食する単球性食細胞(例えばマクロファージ)の一員である。アガリクスの投与によって、肝機能、すなわち血糖調節能、中間代謝産物分解能(いわゆる解毒作用など)等を正常化することにより血糖値が正常値に調節される。
【0015】
また、アガリクスの成分により、食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全が回復される。「食細胞」とは、貪食細胞とも呼ばれ、生体防御機能を有する細胞であり、細菌、真菌、老化した自己赤血球、死んだ組織細胞、異物などの貪食を主に行う。食細胞としては、限定するものではないが、好中球、好酸球、単球、大食細胞、多形核白血球、クッパー細胞、ランゲルハンス細胞、ミクログリア細胞などが含まれる。「食細胞免疫機能不全」とは、上記食細胞の異物に対する処理活性(生体防御機能)が損なわれる状態を指す。その処理活性とは、食細胞の少なくとも走化性、貪食能力及び分解能力の総合的なものを意味する。また「体液性免疫」とは、食細胞から異物の情報を受けた免疫担当細胞群が異物に対して相補的に結合するタンパク質及び特異的抗体などを産生し、その異物から生体防御する機構を指す。ここで、免疫担当細胞群としては、大食細胞、T細胞及びB細胞などが知られている。また「体液性免疫機能不全」とは、上述した体液性免疫の生体防御機能が損なわれる状態を意味する。
【0016】
本発明においては、上述したような食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全をアガリクスにより回復させる。ここで「回復」とは、それぞれの生理機能において正常生体が示す機能値(正常値)に対して有意に下回る又は上回る値の状態を示す生体が正常値を示す状態に戻ることを意味する。
【0017】
また、アガリクスを有効成分として含む医薬組成物、すなわち血糖値調節剤又は糖尿病治療剤は、医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。使用される添加物は、医薬組成物の剤形に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明のアガリクスを含む血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤は、主として経口的に投与することができる。
【0018】
上記血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を経口的に投与する場合は、それに適用される錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、シロップ剤などの液体製剤等とすればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位投与剤形とすることができ、液体製剤の場合は使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。
【0019】
これら剤形のうち経口用固形剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
【0020】
上記血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤におけるアガリクス量は、限定されるものではないが、総重量を基準として1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%である。また、アガリクスの有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用しうる担体との組み合わせとして投与される有効量は、1日につき体重1kg当たり10〜1000mgであり、0.5日から3日の間隔で投与される。
【0021】
本発明の血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を投与する対象としては、限定するものではないが、血糖値が上昇又は低減した異常値を示す状態でその正常化が望まれるもの又は血糖値を正常に維持させようとするもの、あるいは糖尿病を患っているもの又は糖尿病の合併症を示すものであれば特に限定されず、例えばヒト、家畜、愛玩動物、実験動物でありうる。例えば、糖尿病を患う患者に本発明の血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を投与することができる。
【0022】
アガリクスは、医薬組成物としての用途に限定されず、その他、例えば食品等に配合されてもよい。従って、アガリクスが配合された食品は、血糖値を調節するため又は糖尿病を治療するための健康補助製品として有用である。
【0023】
アガリクスを配合する食品としては、米飯類、菓子類、麺類、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、ハム・ソーセージ等の畜肉加工品、清涼飲料・果実飲料等の飲料類、マヨネーズ・ドレッシング・味付け調味液等の調味料等が挙げられ、これらに限定されない。食品に配合するアガリクスの量は、例えば1〜1000mg/kgであり、好ましくは500mg/kgである。
【0024】
アガリクスは、血糖値調節剤として有用であり、また、血糖値を正常化し、食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全を回復することによって、糖尿病の治療などに有効でもある。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕アガリクス製剤の調製
アガリクス1000gを、試料の回収率を高めるために超音波処理(ミツミ電機社製のウルトラソニケーターを用いて20KHzで60分間処理)することによりアガリクス製剤を調製した。実施例で用いたアガリクスは株式会社応微研製の標品であり、酵素処理済製剤である。
【0027】
〔実施例2〕糖尿病様症状を呈するマウスにおける血糖値の調節
アガリクスの血糖値調節剤としての効果を調べるため、実験動物として純系の清浄飼育マウス(C57BL/6、雌、7週齢)を使用して実験を行った。
【0028】
本実施例で使用する担癌マウスは、アガリクスを投与する前に赤白血病細胞(EL−4)(10000/個体)を腰背部(局所)移植して担癌状態、すなわち肝臓機能障害による血糖値上昇状態を呈する状態とし、その後1、2及び3週目に採血した。
【0029】
担癌マウスには、実施例1で調製したアガリクス製剤を1日当たり200mg/kg(3週目のみ)、400mg/kg又は800mg/kg(3週目のみ)で自由摂取方式で癌細胞接種前の1週間を含め計4週間にわたり経口投与した。
【0030】
酵素法によりマウス血液の血糖値(グルコース濃度)を測定した結果、正常マウスと比較した場合、担癌マウスの血糖値は担癌週齢が進むにつれて低下した(図1)。アガリクスを投与した(400mg/kg)担癌マウスでは、血糖値(グルコース濃度)の正常化の傾向が認められた(図1)。また、アガリクス投与量に依存して、アガリクスを投与した担癌マウスではグルコース濃度の低下が認められた(図2)。図2中、アガリクス200は200mg投与群、アガリクス400は400mg投与群、アガリクス800は800mg投与群を示す。
【0031】
〔実施例3〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの改善(糖負荷試験)
本実施例では、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0032】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0033】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0034】
以上の実験後、糖負荷試験に供した。糖負荷試験は、グルコース2g/kgを経口投与後0分、30分及び90分の血糖値を測定した。結果を下記表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1より、アガリクス投与・STZ処置群では、STZ処置群と比較して血糖値(グルコース値)が低減していることがわかる。
【0037】
〔実施例4〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの食細胞機能不全の改善
(食細胞の貪食能力試験)
本実施例では、実施例3と同様に、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0038】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0039】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0040】
以上の実験後、食細胞の機能試験に供した。各群のマウスより腹腔滲出細胞を調製し、ペトリディッシュの底に付着させた。その後、非付着細胞を除き、綿羊赤血球(日本生物材料センター、東京)の浮遊液を加え(1×108個/ml)、90分間培養した後、顕微鏡下で観察し、貪食能陽性細胞の割合を算出した。細胞の貪食能は、腹腔滲出細胞(食細胞)の細胞質内に綿羊赤血球が取り込まれているかどうかを観察し、取り込まれた赤血球が1細胞あたり3個以上の場合にその細胞を陽性であると判定した。結果を下記表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2において、正常マウスの腹腔滲出細胞の異物取り込み能力は約34.6%である条件下において、STZ処置により実験的に糖尿病を誘導したマウスでは異物取り込み能力が約21.6%と正常状態の約6割程度を示した。一方、STZ処置マウス(糖尿病マウス)にアガリクス投与した場合には、異物取り込み能力が正常状態の約8〜9割程度にまで回復した。
【0043】
〔実施例5〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの抗体産生不全の改善
(体液性免疫機能回復試験)
本実施例では、実施例3と同様に、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0044】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0045】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0046】
以上の操作後、体液性免疫の機能回復試験に供した。各群のマウスを綿羊赤血球(1×108個/ml、日本生物材料センター、東京)で免疫した。免疫後10日目に採血して血清を準備した。その後、試験管内で倍倍希釈(10〜1010倍希釈)した後、そのそれぞれの希釈液に綿羊赤血球の浮遊液を加え(1×108個/ml)、60分間培養した後、肉眼にて観察し、凝集反応陽性値を算出した。凝集反応陽性は、各群において凝集反応が陽性像を示す希釈液の最終希釈の指数として表す。結果を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
正常マウスの抗体産生能力(血中抗体レベル)を血清の最高希釈倍数の逆数(log2)で表した場合に平均8.25である条件下において、STZ処置により糖尿病を誘導したマウスにおいては平均5.75と正常状態よりも低値を示した。このような糖尿病マウスにアガリクスを投与した群においては、正常値と同等か又はそれを上回る値(平均9.00)を示し、抗体産生能力の回復を示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、アガリクスを含む血糖値調節剤及び糖尿病性食細胞機能不全を回復する糖尿病治療剤が提供される。本発明において、アガリクスは、糖尿病の治療、例えば血糖値の正常化、食細胞の免疫機能改善、体液性免疫機能改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で試験した、担癌動物の経時的な血糖値の推移とアガリクスの影響を示す図である。
【図2】実施例2で試験した、アガリクスを各種濃度で投与した場合の血糖値(グルコース濃度)の結果を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アガリクスの酵素処理済製剤(ABPC;Agaricus Brazei Practical Compound)を含む血糖値調節剤及び糖尿病治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
アガリクス茸(Agaricus blazei murill)は、担子菌類ハラタケ科に属し、β−D−グルカンを最も多く含む多糖体キノコであり、カワリハラタケとも呼ばれている。β−D−グルカンから成る多糖体は免疫細胞や抗癌作用と関連のある物質として注目されているため、アガリクスは健康維持物質として期待されている。
【0003】
これまでアガリクス菌体成分は血糖降下剤としての効果が報告されている(特許文献1)。この報告においては、アガリクス・ブラゼイの子実体及び/又は菌糸体の抽出エキスが用いられている。しかし、アガリクスの総合的な糖尿病治療効果に関して報告はない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−80014号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血糖値調節剤及び糖尿病治療剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アガリクスが血糖値を調節し、また糖尿病における血糖値を低減させることを見出した。さらに本発明者は、糖尿病において併発する合併症の中でも生命維持に重要な食細胞の機能不全を回復させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アガリクスを含むことを特徴とする血糖値調節剤を提供する。ここでアガリクスはその酵素処理済製剤であってもよい。また本発明は、上記血糖値調節剤を含むことを特徴とする糖尿病治療剤である。該糖尿病治療剤は、さらに糖尿病性食細胞機能不全及び/又は糖尿病性体液性免疫機能不全を回復させる機能を有するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、アガリクスの用途に係るものであり、アガリクスが血糖値を正常値に保つよう調節し、また糖尿病に付随する合併症である食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全を回復させることを利用するものである。従って、アガリクスは、血糖値調節剤及び糖尿病治療剤として使用しうる。
【0009】
アガリクスは、菌糸体や子実体を発酵処理して調製することができるが(ABPC)、発酵処理済み及び未処理の市販品を用いることもできる。
アガリクス粒子を得るためには、アガリクス菌糸体に、超音波処理等の処理及び/又は発酵過程による分解処理を行って体内へ吸収し易くすることが好ましい。超音波処理は、適当な超音波処理装置を用いて5〜50分程度行う。また、発酵過程により分解するには、酵母菌と共存させ40℃の環境下で5〜10日間の培養処理を行う。この場合、酵母菌が最終製品に混和されていてもよい。尚、アガリクスの微小断片が混入した溶媒抽出物であってもアガリクスの血糖調節活性又は食細胞免疫機能不全若しくは体液性免疫機能不全の回復機能を保有するものであれば使用してよい。また、溶媒はアブソリュートアルコール又は10%までのアルコール溶液であってもよい。抽出期間は約5〜10日間を要する。
【0010】
アガリクスの酵素処理済製剤は、繊維分解酵素(セルラーゼ)と、子実体及び菌糸体の等量混合物とを約1対100の比率で混合し、約40℃にて5日間程度混合することにより得られる。
【0011】
本発明においては、上述したような超音波処理、発酵分解処理、及び/又は酵素処理のうち1つの処理工程を行ったアガリクスを利用してもよいし、複数の処理工程を行ったものでもよい。
【0012】
アガリクスの成分により、血糖値が調節される。血糖値とは血液中のグルコース量を意味し、血糖値は、腸管からの吸収、肝グリコーゲンの分解及び糖新生で上昇し、末梢組織でのエネルギー産生、肝や筋のグリコーゲン生成及び脂肪組織における脂肪への転化で低下する。肝臓では、グリコーゲンの生成・分解及び糖新生が行なわれているため、血糖値により肝臓の血糖調節能を知ることができる。血糖値は、糖尿病をはじめとする各種高血糖症の診断や代謝管理に用いられるものであり、還元法、縮合法、酵素法、電極法などにより測定することができる。例えば酵素法では、グリコースデヒドロゲナーゼがグルコース酸化を触媒する機能を利用することによって、NAD+よりNADHが生成され、この生成したNADHの340nmにおける吸収度を測定することにより血糖値を求める。
【0013】
本発明において「血糖値の調節」とは、血糖値を正常化する、すなわち正常値に保つ又は異常である場合には正常値(近似値も含む)に補正することを指す。従って、本発明の血糖値調節剤は、血糖値を正常値に補正することができるため、糖尿病治療剤としても用いることができる。
【0014】
アガリクスが血糖値を調節する作用機構としては、肝細胞の新生を直接促進する直接作用と、肝臓類洞に定着するクッパー細胞を活性化し、その細胞から分泌されたサイトカインにより肝原基細胞を活性化促進する間接作用による、肝機能の正常化によるものが考えられる。ここでクッパー細胞とは、細胞質性の突起で類洞内壁に付着し、血中の異物や古い赤血球を貪食する単球性食細胞(例えばマクロファージ)の一員である。アガリクスの投与によって、肝機能、すなわち血糖調節能、中間代謝産物分解能(いわゆる解毒作用など)等を正常化することにより血糖値が正常値に調節される。
【0015】
また、アガリクスの成分により、食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全が回復される。「食細胞」とは、貪食細胞とも呼ばれ、生体防御機能を有する細胞であり、細菌、真菌、老化した自己赤血球、死んだ組織細胞、異物などの貪食を主に行う。食細胞としては、限定するものではないが、好中球、好酸球、単球、大食細胞、多形核白血球、クッパー細胞、ランゲルハンス細胞、ミクログリア細胞などが含まれる。「食細胞免疫機能不全」とは、上記食細胞の異物に対する処理活性(生体防御機能)が損なわれる状態を指す。その処理活性とは、食細胞の少なくとも走化性、貪食能力及び分解能力の総合的なものを意味する。また「体液性免疫」とは、食細胞から異物の情報を受けた免疫担当細胞群が異物に対して相補的に結合するタンパク質及び特異的抗体などを産生し、その異物から生体防御する機構を指す。ここで、免疫担当細胞群としては、大食細胞、T細胞及びB細胞などが知られている。また「体液性免疫機能不全」とは、上述した体液性免疫の生体防御機能が損なわれる状態を意味する。
【0016】
本発明においては、上述したような食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全をアガリクスにより回復させる。ここで「回復」とは、それぞれの生理機能において正常生体が示す機能値(正常値)に対して有意に下回る又は上回る値の状態を示す生体が正常値を示す状態に戻ることを意味する。
【0017】
また、アガリクスを有効成分として含む医薬組成物、すなわち血糖値調節剤又は糖尿病治療剤は、医薬的に許容される担体又は添加物を共に含むものであってもよい。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙げられる。使用される添加物は、医薬組成物の剤形に応じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。
本発明のアガリクスを含む血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤は、主として経口的に投与することができる。
【0018】
上記血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を経口的に投与する場合は、それに適用される錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは液剤、シロップ剤などの液体製剤等とすればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位投与剤形とすることができ、液体製剤の場合は使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。
【0019】
これら剤形のうち経口用固形剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通常それらの組成物中に製剤上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
【0020】
上記血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤におけるアガリクス量は、限定されるものではないが、総重量を基準として1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%である。また、アガリクスの有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用しうる担体との組み合わせとして投与される有効量は、1日につき体重1kg当たり10〜1000mgであり、0.5日から3日の間隔で投与される。
【0021】
本発明の血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を投与する対象としては、限定するものではないが、血糖値が上昇又は低減した異常値を示す状態でその正常化が望まれるもの又は血糖値を正常に維持させようとするもの、あるいは糖尿病を患っているもの又は糖尿病の合併症を示すものであれば特に限定されず、例えばヒト、家畜、愛玩動物、実験動物でありうる。例えば、糖尿病を患う患者に本発明の血糖値調節剤及び/又は糖尿病治療剤を投与することができる。
【0022】
アガリクスは、医薬組成物としての用途に限定されず、その他、例えば食品等に配合されてもよい。従って、アガリクスが配合された食品は、血糖値を調節するため又は糖尿病を治療するための健康補助製品として有用である。
【0023】
アガリクスを配合する食品としては、米飯類、菓子類、麺類、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、ハム・ソーセージ等の畜肉加工品、清涼飲料・果実飲料等の飲料類、マヨネーズ・ドレッシング・味付け調味液等の調味料等が挙げられ、これらに限定されない。食品に配合するアガリクスの量は、例えば1〜1000mg/kgであり、好ましくは500mg/kgである。
【0024】
アガリクスは、血糖値調節剤として有用であり、また、血糖値を正常化し、食細胞免疫機能不全及び/又は体液性免疫機能不全を回復することによって、糖尿病の治療などに有効でもある。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〕アガリクス製剤の調製
アガリクス1000gを、試料の回収率を高めるために超音波処理(ミツミ電機社製のウルトラソニケーターを用いて20KHzで60分間処理)することによりアガリクス製剤を調製した。実施例で用いたアガリクスは株式会社応微研製の標品であり、酵素処理済製剤である。
【0027】
〔実施例2〕糖尿病様症状を呈するマウスにおける血糖値の調節
アガリクスの血糖値調節剤としての効果を調べるため、実験動物として純系の清浄飼育マウス(C57BL/6、雌、7週齢)を使用して実験を行った。
【0028】
本実施例で使用する担癌マウスは、アガリクスを投与する前に赤白血病細胞(EL−4)(10000/個体)を腰背部(局所)移植して担癌状態、すなわち肝臓機能障害による血糖値上昇状態を呈する状態とし、その後1、2及び3週目に採血した。
【0029】
担癌マウスには、実施例1で調製したアガリクス製剤を1日当たり200mg/kg(3週目のみ)、400mg/kg又は800mg/kg(3週目のみ)で自由摂取方式で癌細胞接種前の1週間を含め計4週間にわたり経口投与した。
【0030】
酵素法によりマウス血液の血糖値(グルコース濃度)を測定した結果、正常マウスと比較した場合、担癌マウスの血糖値は担癌週齢が進むにつれて低下した(図1)。アガリクスを投与した(400mg/kg)担癌マウスでは、血糖値(グルコース濃度)の正常化の傾向が認められた(図1)。また、アガリクス投与量に依存して、アガリクスを投与した担癌マウスではグルコース濃度の低下が認められた(図2)。図2中、アガリクス200は200mg投与群、アガリクス400は400mg投与群、アガリクス800は800mg投与群を示す。
【0031】
〔実施例3〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの改善(糖負荷試験)
本実施例では、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0032】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0033】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0034】
以上の実験後、糖負荷試験に供した。糖負荷試験は、グルコース2g/kgを経口投与後0分、30分及び90分の血糖値を測定した。結果を下記表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1より、アガリクス投与・STZ処置群では、STZ処置群と比較して血糖値(グルコース値)が低減していることがわかる。
【0037】
〔実施例4〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの食細胞機能不全の改善
(食細胞の貪食能力試験)
本実施例では、実施例3と同様に、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0038】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0039】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0040】
以上の実験後、食細胞の機能試験に供した。各群のマウスより腹腔滲出細胞を調製し、ペトリディッシュの底に付着させた。その後、非付着細胞を除き、綿羊赤血球(日本生物材料センター、東京)の浮遊液を加え(1×108個/ml)、90分間培養した後、顕微鏡下で観察し、貪食能陽性細胞の割合を算出した。細胞の貪食能は、腹腔滲出細胞(食細胞)の細胞質内に綿羊赤血球が取り込まれているかどうかを観察し、取り込まれた赤血球が1細胞あたり3個以上の場合にその細胞を陽性であると判定した。結果を下記表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2において、正常マウスの腹腔滲出細胞の異物取り込み能力は約34.6%である条件下において、STZ処置により実験的に糖尿病を誘導したマウスでは異物取り込み能力が約21.6%と正常状態の約6割程度を示した。一方、STZ処置マウス(糖尿病マウス)にアガリクス投与した場合には、異物取り込み能力が正常状態の約8〜9割程度にまで回復した。
【0043】
〔実施例5〕アガリクスによる実験的糖尿病マウスの抗体産生不全の改善
(体液性免疫機能回復試験)
本実施例では、実施例3と同様に、5週令のddY雄性マウス(日本クレア産,東京)を用いた。マウスは恒温恒湿(23±2℃)、12時間の明暗サイクル(点灯6時〜18時)の清浄SPF化動物飼育室で、プラスチック製ホームケージ内にそれぞれ4匹ずつ群飼育した。実験期間中、餌及び水は自由摂取下にて飼育した。
【0044】
マウス16匹を、アガリクス投与群(n=4)、並びに対照群としてストレプトゾトシン(STZ;和光純薬(株)より購入)処置群(n=4)及び未処置群(n=4)の3群に分け、STZ投与後よりアガリクスの投与を開始し、1日1回、500mg/kgの用量で4週間にわたり経口投与を行った。
【0045】
ストレプトゾトシン(STZ)は、糖尿病を誘発するために慣例的に用いられている薬剤であり、本試験ではマウス1匹当たり250mg/kgを尾静脈投与した。
【0046】
以上の操作後、体液性免疫の機能回復試験に供した。各群のマウスを綿羊赤血球(1×108個/ml、日本生物材料センター、東京)で免疫した。免疫後10日目に採血して血清を準備した。その後、試験管内で倍倍希釈(10〜1010倍希釈)した後、そのそれぞれの希釈液に綿羊赤血球の浮遊液を加え(1×108個/ml)、60分間培養した後、肉眼にて観察し、凝集反応陽性値を算出した。凝集反応陽性は、各群において凝集反応が陽性像を示す希釈液の最終希釈の指数として表す。結果を下記表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
正常マウスの抗体産生能力(血中抗体レベル)を血清の最高希釈倍数の逆数(log2)で表した場合に平均8.25である条件下において、STZ処置により糖尿病を誘導したマウスにおいては平均5.75と正常状態よりも低値を示した。このような糖尿病マウスにアガリクスを投与した群においては、正常値と同等か又はそれを上回る値(平均9.00)を示し、抗体産生能力の回復を示した。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、アガリクスを含む血糖値調節剤及び糖尿病性食細胞機能不全を回復する糖尿病治療剤が提供される。本発明において、アガリクスは、糖尿病の治療、例えば血糖値の正常化、食細胞の免疫機能改善、体液性免疫機能改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で試験した、担癌動物の経時的な血糖値の推移とアガリクスの影響を示す図である。
【図2】実施例2で試験した、アガリクスを各種濃度で投与した場合の血糖値(グルコース濃度)の結果を示す図である。
Claims (5)
- アガリクスを含むことを特徴とする血糖値調節剤。
- アガリクスがその酵素処理済製剤である請求項1記載の血糖値調節剤。
- 請求項1又は2記載の血糖値調節剤を含むことを特徴とする糖尿病治療剤。
- さらに糖尿病性食細胞機能不全に対する回復機能を有することを特徴とする、請求項3記載の糖尿病治療剤。
- さらに糖尿病性体液性免疫機能不全に対する回復機能を有することを特徴とする、請求項3又は4記載の糖尿病治療剤。
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---|---|---|---|
JP2002320224A JP2004155667A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | アガリクスを含む糖尿病治療剤 |
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JP2002320224A JP2004155667A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | アガリクスを含む糖尿病治療剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006180716A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-13 | Taiyo Koko Co Ltd | バナジウム含有アガリクス菌糸体の生産方法及びアガリクス機能性食品。 |
KR100698775B1 (ko) | 2005-06-23 | 2007-03-23 | 김영표 | 항당뇨활성이 있는 식용 및 약용버섯을 이용한 당절임형기능성 식품 및 그 제조방법 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002320224A patent/JP2004155667A/ja active Pending
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JP2006180716A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-13 | Taiyo Koko Co Ltd | バナジウム含有アガリクス菌糸体の生産方法及びアガリクス機能性食品。 |
KR100698775B1 (ko) | 2005-06-23 | 2007-03-23 | 김영표 | 항당뇨활성이 있는 식용 및 약용버섯을 이용한 당절임형기능성 식품 및 그 제조방법 |
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