JP2004155617A - 無機化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、無機化合物の製造方法、詳しくはハロゲン化物イオン、アルカリ土類金属イオン等の原料が有効に活用され、高収率で、かつ反応母液より蛍光体前駆体を分離する際に洗浄が容易な蛍光体前駆体である希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法を提供することである。
【解決手段】反応溶媒下で、水に難溶の原料無機化合物と、水に易溶の原料無機化合物とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】反応溶媒下で、水に難溶の原料無機化合物と、水に易溶の原料無機化合物とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機化合物の製造方法に関し、更に詳しくは無機化合物が、輝尽性蛍光体原料(前駆体)として有用な希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭55−12145号などに記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも呼ばれる)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光と言う)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光という)として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号に変換し、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視画像として再生するものである。読み取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行なわれ、次の撮影に供される。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィルムを消費するのに対して、放射線像変換パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面からも有利である。
【0005】
放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜が設けられる。
【0006】
輝尽性蛍光体としては、通常400〜900nmの範囲にある励起光によって波長300〜500nmの範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に利用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体、等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素賦活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体系蛍光体等の輝尽性蛍光体が知られている。
【0007】
上述した輝尽性蛍光体の製造方法としては、従来、固相法あるいは焼結法と呼ばれる方法と液相より蛍光体前駆体結晶を得て、その前駆体を焼成して蛍光体を得る方法とがあるが、固相法あるいは焼成法では、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状、粒径等の制御が困難であるという問題を有する。輝尽性蛍光体を用いた放射線画像では、画質向上手段として、輝尽性蛍光体の微粒子化は有効な手段の一つである。
【0008】
一方、特開平7−233369号、同9−291278号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、輝尽性蛍光体前駆体の製造法として有効な方法の一つである。
【0009】
上記の様に、液相で製造されるアルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体は、輝度、粒状性の点で有利であるが、液相で前駆体結晶を得る場合には、以下の様な問題を抱えている。
【0010】
即ち、特開平10−88125号、同9−291278号等の記載に見られるように、
1)ハロゲン化バリウムを水あるいは有機溶媒に溶解し、この液を攪拌しながら無機フッ化物の溶液を添加する方法、
2)フッ化アンモニウムを水に溶解し、この液を攪拌しながらハロゲン化バリウムの溶液を添加する方法、
が有効である。
【0011】
しかし、1)の方法では、溶液中に過剰のハロゲン化バリウムを存在させておく必要があり、そのため投入したハロゲン化バリウムと固液分離後に得られるフッ化ハロゲン化バリウムの化学量論比は、0.4前後と小さい値であることが多い。つまり、投入したハロゲン化バリウムに対し、アルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は40%程度であることが多い。
【0012】
また、2)の方法でも、無機フッ化物に対して過剰のハロゲン化バリウムを必要とし、同様に収率が低い。このように、アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体の液相合成は、極めて収率が低く、生産性が悪いという問題を有している。
【0013】
希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体、特にアルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体の収率を上げる試みとし、反応母液の濃度とフッ素源を添加した後、濃縮することにより基本組成式BaFI:xLn(Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素、xは0<x≦0.1の数値を表す)で示される希土類元素含有角状フッ化沃化バリウム結晶を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、本発明者らが、上記公報に記載の方法に従って追試を行った結果、BaFI角状結晶は生成したものの、自然蒸発による濃縮を用いるため、生産性が著しく低く、そのため工業的には実用的ではないことが判った。また、得られる角状結晶も、粒径が大きく、かつ粒径分布が広いため画像特性が悪く、実用に供するには障害が大きいことが判った。
【0014】
一方、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、特にアルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体の収率を上げる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、投入した沃化バリウムと固液分離後に得られるフッ化沃化バリウムの化学量論比は0.6前後であり、投入した沃化バリウムに対し、アルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は60%程度と十分な値ではなかった。
【0015】
上述のごとく、従来の液相法による蛍光体前駆体の製造方法では、原料として過剰のハロゲン化バリウムを必要とするため、実質的に原料が無駄に消費される問題があり、生産効率上好ましくない。また、反応系内に過剰に残存している未反応ハロゲン化物イオンが、蛍光体前駆体の沈殿物内に取り込まれていると輝尽性蛍光体としての性能が劣化する等の可能性があるため、前駆体を反応母液より分離する際には洗浄度に注意する必要性があった。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−29324号公報(特許請求の範囲)
【0017】
【特許文献2】
特開2002−38143号公報(特許請求の範囲)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、収率の高い無機化合物の製造方法を提供することにあり、詳しくは、無機化合物として、製造工程におけるハロゲン化物イオン、アルカリ土類金属イオン等の各原料が有効に活用され高収率で、かつ残留が抑制され、また製造時、反応母液より蛍光体前駆体を分離する際に、洗浄が容易な蛍光体前駆体である希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0020】
1.反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0021】
2.反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0022】
3.反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒の少なくとも1種が水であり、該水の量が、該原料無機化合物の総添加量に対し900ml/mol以下であり、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0023】
4.前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し380ml/mol以下であることを特徴とする前記3項に記載の無機化合物の製造方法。
【0024】
5.前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し200ml/mol以下であることを特徴とする前記3項に記載の無機化合物の製造方法。
【0025】
6.前記反応溶媒の少なくとも1種が、水よりも主要な前記原料無機化合物及び前記無機化合物に対する溶解度が低い反応溶媒であることを特徴とする前記3〜5項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0026】
7.前記原料無機化合物の全てを固体状態で反応母液に添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0027】
8.前記原料無機化合物の少なくとも1種が固体状態で存在する反応母液中へ、他の原料無機化合物の少なくとも1種を固体状態で添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0028】
9.前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合した後、撹拌しながら前記反応溶媒を添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加する全ての原料無機化合物が固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0029】
10.撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の1種を固体状態で添加した後、他の少なくとも1種の原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0030】
11.撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で同時に添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0031】
12.前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で予め混合した混合物を調製した後、撹拌している反応溶媒中に、該混合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0032】
13.撹拌機能を有する反応容器中に、前記原料無機化合物の2種以上を同時に添加し、少なくとも1種の前記原料無機化合物が、反応溶媒との混合物であることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0033】
14.固体状態の前記原料無機化合物の少なくとも1種を撹拌している反応容器中に、反応溶媒を添加した後、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記8項に記載の無機化合物の製造方法。
【0034】
15.固体状態の前記原料無機化合物を、撹拌している反応容器中に、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする前記8項に記載の無機化合物の製造方法。
【0035】
16.反応容器中で、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合、撹拌した後、少なくとも1種の原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする前記9項に記載の無機化合物の製造方法。
【0036】
17.前記添加する固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度の該原料無機化合物溶液と該原料無機化合物の固体との混合物であることを特徴とする前記1〜16項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0037】
18.前記撹拌している固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度以上の反応溶媒との混合物であることを特徴とする前記1〜16項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0038】
19.前記無機化合物が、硫化亜鉛系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0039】
20.前記無機化合物が、ハロ燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0040】
21.前記無機化合物が、燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0041】
22.前記無機化合物が、ケイ酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0042】
23.前記無機化合物が、タングステン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0043】
24.前記無機化合物が、アルミン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0044】
25.前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0045】
26.前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0046】
27.前記希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体が、前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記26項に記載の無機化合物の製造方法。
【0047】
28.前記原料無機化合物の少なくとも1種が、無機ハロゲン化物であることを特徴とする前記1〜15、26、27項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0048】
29.前記原料無機化合物が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする前記1〜15、26〜28項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0049】
30.前記原料無機化合物の2種以上が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする前記1〜15、26〜29項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0050】
31.前記原料無機化合物が、BaF2またはBaI2であることを特徴とする前記1〜15、26〜30項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0051】
32.5.1mol/L以上の前記BaI2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaF2を固体で添加することを特徴とする前記31項に記載の無機化合物の製造方法。
【0052】
33.0.01mol/L以上の前記BaF2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaI2を固体で添加することを特徴とする前記31項に記載の無機化合物の製造方法。
【0053】
34.前記原料無機化合物が、BaF2及びBaI2であって、該BaF2全添加量のフッ素元素量fと、該BaI2全添加量の沃素元素量iとの比率(f/i)が、0.5〜2.0であることを特徴とする前記31〜33項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0054】
以下、本発明の詳細について説明する。
請求項1に係る無機化合物の製造方法においては、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることが特徴である。
【0055】
本発明においては、2種以上の原料無機化合物を混合、反応させて無機化合物を製造する際に、原料無機化合物及び生成させる無機化合物の飽和濃度より高い条件、即ち、いずれもの化合物が固体状態で存在する条件下で行い、そのとき添加する反応溶媒量が、反応母液の流動性を維持できる最小量、即ち、スラリー状態を維持できる量のみ添加することが特徴である。
【0056】
このような条件下で、無機化合物を生成することにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0057】
本発明でいう原料無機化合物あるいは無機化合物が固体状態で存在するとは、原料無機化合物あるいは無機化合物が、粉体、塊状等の固形物状態であることはもちろんのこと、加えて、反応溶媒を原料無機化合物あるいは無機化合物が固体で存在し、反応母液の流動性を維持できる最小量添加されている状態、いわゆるスラリー状態や、反応溶媒中に飽和濃度を超える多量の原料無機化合物を投入し、溶解しきれずに溶液中に該化合物が存在する溶液の状態についても包含する。
【0058】
本発明でいう原料無機化合物とは、反応生成物である無機化合物の母核を構成する主成分元素を供給するもので、いわゆる賦活剤、ドーパント等の生成物の改質を目的として添加する無機化合物は、この定義では包含しない。また、原料無機化合物については、それぞれの無機塩、あるいは水和物についても包含するものである。
【0059】
本発明においては、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させるが、ここで用いることのできる反応溶媒としては、使用する各原料無機化合物の種類によって異なるが、例えば、水や、アルコール系有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、またはシクロヘキサノール等)、エーテル系有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブタチルエーテル、アニソール、ジオキサンまたはフェネトール等)、ケトン系有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノン等)、エステル系有機溶媒(例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、またはエチレングリコールジアセテート等)、炭化水素系有機溶媒(例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン等)を挙げることができるが、好ましくは、水と上記各有機溶媒との混合溶媒である。最も好ましくは、水とアルコール系有機溶媒との混合溶媒であり、水の体積混合比率としては80%以下が好ましい、更に好ましくは50%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0060】
また、本発明においては、反応溶媒の少なくとも1種が、主要な原料無機化合物及び無機化合物に対する溶解度が水よりも低い反応溶媒であることが好ましく、使用する原料無機化合物及び生成する無機化合物の種類に応じて、上述の反応溶媒、好ましくは有機溶媒より適宜選択して用いればよい。
【0061】
請求項2に係る発明においては、前述の請求項1に係る構成要件に加えて、水に難溶の原料無機化合物Aとして、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′を用い、また水に易溶の原料無機化合物Bとして、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′を用いて、かつ生成する無機化合物の溶解度が、原料無機化合物の最小値と最大値の間にあることが特徴であり、上記で規定する条件で反応させることにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0062】
また、請求項3に係る発明においては、前述の請求項2に係る構成要件に加えて、反応溶媒の少なくとも1種が水であり、該水の量が、該原料無機化合物の総添加量に対し900ml/mol以下であり、好ましくは水の量が、原料無機化合物の総添加量に対し380ml/mol以下であり、より好ましくは水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し200ml/mol以下であり、上記で規定する条件で反応させることにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0063】
本発明は、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物の少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、液相反応により無機化合物を製造方法であり、各無機化合物の添加方法としては、種々の形態での添加や、添加パターンを、使用する原料無機化合物の種類により、適宜選択することができるが、本発明で用いることのできる原料無機化合物の形態及び添加方法の好ましい実施態様を、以下に列挙するが、本発明はこれらの実施態様にのみ限定されるものではない。
【0064】
添加パターン1:反応溶媒が存在している反応容器中に、原料無機化合物の全てを固体状態で添加して反応母液を調製した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項7に係る製造方法、
添加パターン2:反応容器中に、反応溶媒と、原料無機化合物の少なくとも1種が固体状態で存在する反応母液中へ、他の原料無機化合物の少なくとも1種を固体状態で添加した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項8に係る製造方法、
添加パターン3:反応容器中に、予め原料無機化合物の2種以上を添加して、固体状態で混合した後、各原料無機化合物を撹拌しながら、そこに反応溶媒を添加して反応母液を調製した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項9に係る製造方法、添加パターン4:反応容器中に反応溶媒を添加、攪拌している中に、原料無機化合物の1種を固体状態で添加を完了した後、他の少なくとも1種の原料無機化合物を固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項10に係る製造方法、
添加パターン5:撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で同時に添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項11に係る製造方法、
添加パターン6:反応容器中に反応溶媒を添加、攪拌している中に、予め原料無機化合物の2種以上を添加して、固体状態で混合した混合物を、固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項12に係る製造方法、
添加パターン7:撹拌機能を有する反応容器中に、前記原料無機化合物の2種以上を同時に添加し、少なくとも1種の前記原料無機化合物が、反応溶媒との混合物である形態により、無機化合物を生成する請求項13に係る製造方法、
添加パターン8:固体状態の原料無機化合物の少なくとも1種を撹拌している反応容器中に、反応溶媒を添加した後、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物を固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項14に係る製造方法、
添加パターン9:固体状態の原料無機化合物を撹拌している反応容器中に、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項15に係る製造方法、
添加パターン10:反応容器中で、原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合、撹拌した後、少なくとも1種の原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項16に係る製造方法、添加パターン11:上記いずれかの製造方法において、添加する固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度の原料無機化合物溶液と原料無機化合物の固体との混合物である形態により、無機化合物を生成する請求項17に係る製造方法、
等を挙げることができ、その製造する無機化合物の種類や、目的とする特性、例えば、到達粒径、粒径分布や無機化合物の品質等により、適宜選択することができる。
【0065】
上記説明した本発明の無機化合物の製造方法は、公知の無機化合物の製造に適用することができるが、本発明の効果をいかんなく発揮できる観点から、無機化合物として、硫化亜鉛系蛍光体前駆体、ハロ燐酸塩系蛍光体前駆体、燐酸塩系蛍光体前駆体、ケイ酸塩系蛍光体前駆体、タングステン酸塩系蛍光体前駆体、アルミン酸塩系蛍光体前駆体、または希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法に用いることが好ましく、特に好ましくは、希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法に用いることである。
【0066】
以下、希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法の詳細について説明する。
【0067】
本発明に係る希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体は、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体であることが好ましく、更に好ましくは希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体が、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0068】
一般式(1)
Ba1−y(M2)yFX:aM1,bLn
一般式(1)において、XはCl、Br、Iからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素を表し、M2はBe、Mg、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表す。y、a及びbは、それぞれ0≦y≦0.5、0≦a≦0.05、0<b≦0.2を表す。
【0069】
本発明でいう輝尽性蛍光体前駆体とは、上記一般式(1)に記載の化合物が、400℃以上の高温を経ていない状態を示す。
【0070】
希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法は、少なくとも、反応母液中に希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の沈殿物を生成させる沈殿物生成工程と、沈殿物生成工程の後工程として、少なくとも、沈殿物を前記反応母液から分離する分離工程を有するのが好ましい。
【0071】
以下、上記各工程について説明する。
《沈殿物生成工程》
沈殿物生成工程は、無機ハロゲン化物と、ハロゲン化バリウムとを反応させ、輝尽性蛍光体の前駆体であるBaFX系結晶の沈殿物を生成させる工程である。
【0072】
ハロゲン化バリウムにおけるハロゲン元素としては、F、Cl、BrおよびIが挙げられる。製造したBaFX系結晶を蛍光体材料として使用する場合は、F、Br及びIが好ましく用いられる。
【0073】
使用可能な原料無機化合物であるハロゲン化バリウムとしては、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウム等が好ましく用いられ、これらの水和物についても使用可能である。これら、ハロゲン元素の選択は、目的とする生成物により、任意に選択され、また、場合によってはこれらの混合物やこれらの複数種についても好ましく用いられる。また、これらのハロゲン化バリウムに限定されず、他のハロゲン化バリウムについても必要に応じて用いることができる。
【0074】
本発明においては、ハロゲン化バリウムを反応溶媒と混合したときの濃度は、飽和濃度以上で、かつ固体が溶液中に存在する濃度であることが特徴の一つであるが、フッ化バリウムについては0.01mol/L以上であり、塩化バリウム、臭化バリウムについては2.6mol/L以上であり、沃化バリウムについては5.1mol/L以上である。フッ化バリウムについては、更に好ましくは0.1mol/L以上で、最も好ましくは1.0mol/L以上である。沃化バリウムについては、更に好ましくは6.0mol/L以上で、最も好ましくは7.0mol/L以上である。各々のハロゲン化バリウムと溶媒との混合物の濃度の上限は、流動性を失う濃度であり、これは溶媒種により変化する。ここでいう濃度とは、1Lの反応溶媒に含まれる原料無機化合物のmol数であり、反応溶媒中に溶解していない状態についても、便宜上適用する旨とする。
【0075】
使用可能な無機ハロゲン化物としては、フッ化アンモニウム、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、あるいは上記フッ化物に代えて、塩化物、臭化物、沃化物が挙げられ、特にフッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、沃化アンモニウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウムが好ましい。これらのハロゲン元素の選択は、目的とする生成物により、任意に選択され、また、場合によってはこれらの混合物やこれらの複数種についても好ましく用いられる。また、これらの無機ハロゲン化物に限定されず、他の無機ハロゲン化物ついても用いることができる。
【0076】
無機ハロゲン化物が反応溶媒と混合したときの濃度は、飽和濃度以上で、かつ固体が溶液中に存在する濃度が好ましく、濃度の上限は流動性を失う濃度であり、これは溶媒種により変化する。
【0077】
全投入量の原料無機化合物に含まれるフッ素のモル数と、全投入量の原料無機化合物に含まれる他のハロゲン元素、例えば、BaFX系結晶については、臭素もしくは沃素のモル数の比(フッ素のモル数/臭素もしくは沃素のモル数)は、0.5〜2.0であるのが好ましい。更に好ましくは0.65〜1.54で、最も好ましくは0.75〜1.33である。
【0078】
全投入量の原料無機化合物に含まれるフッ素のモル数と、全投入量の原料無機化合物に含まれるバリウム原子のモル数との比(フッ素のモル数/バリウム原子のモル数)は、0.5〜2.0であるのが好ましい。更に好ましくは0.65〜1.54で、最も好ましくは0.75〜1.33である。
【0079】
添加する無機ハロゲン化物、ハロゲン化バリウム、反応溶媒は、前記の添加パターン1〜添加パターン11のいずれか1項の方法に従った添加順序のほか、様々な添加順序をとってもよい。すなわち、上記各方法で連続的に行ってもよいし、断続的に(所定の時間添加した後、所定の時間添加を休止し、これを繰り返す)行ってもよい。例えば、原料無機化合物が複数の場合は、原料無機化合物の種類を交互に断続的に添加してもよい。
【0080】
本発明において、得られるBaFX系結晶に、蛍光特性を付与するには、原料無機化合物を混合するのと同時、またはその前において、反応溶媒中に賦活剤を添加するのが好ましいが、賦活剤の添加時期については特に限定されない。また、賦活剤を、予め各原料無機化合物に加えておいてもよい。
【0081】
賦活剤としては、例えば、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbのハロゲン化物が好ましい。ハロゲン元素の選択は、目的に応じて適宜選択できる。例えば、BaFI結晶を生成する場合は、特に、沃化ユーロピウム、沃化セリウムが好ましい。賦活剤の添加量は、目的の性能に従って、最適化できる。
【0082】
その他の成分としては、Li、Na、K、RbおよびCs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属;から任意に選択して使用することができる。これらの添加方法、添加時期、添加量についても、賦活剤と同様に特に限定されない。
【0083】
上記各成分を混合して、沈殿物を生成させる際の反応母液の温度(反応温度)は、0〜100℃とするのが好ましい。添加時に、必要に応じて少量の酸、アンモニア、水溶性高分子ポリマー、界面活性剤等を添加してもよい。
【0084】
《分離工程》
分離工程は、前述の沈殿物生成工程を経て得られたBaFX系結晶の沈殿物を反応母液から分離する工程であり、沈殿物生成工程の後工程として好ましく設けられる。沈殿物を、ろ過や遠心分離等により分離した後、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒で十分に洗浄した後、乾燥する。
【0085】
本発明の製造方法により得られた希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体は、この工程での洗浄効率に優れ、洗浄に使用する溶媒量を従来の液相法に比較して、少量に抑えることができ、また、同量の洗浄溶媒を使用した場合には、従来の液相法に比較し高い洗浄度を得ることができる。
【0086】
本発明の製造方法により得られる希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の結晶粒子は、平均粒径が1〜10μmであることが好ましい。本発明でいう平均粒径とは、結晶粒子の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で、その平均値を求めたものである。
【0087】
以上の方法により得られた希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶は、既知の方法に従って焼成することにより、輝尽性発光を有する輝尽性蛍光体粒子を得ることができ、この輝尽性蛍光体粒子は、放射線像変換パネル等に好ましく用いることができる。
【0088】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0089】
実施例1
《輝尽性蛍光体前駆体の合成》
下記の方法に従って、輝尽性蛍光体前駆体を合成した。
【0090】
〔輝尽性蛍光体前駆体1の合成:比較例〕
ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。フッ化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中にローラーポンプを用いて30分で注入し、沈澱物を生成させた。
注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次いで、沈澱物をろ別後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体1を得た。
【0091】
〔輝尽性蛍光体前駆体2の合成(添加パターン8):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF2を99.4g投入し、これにエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加して、固形粉末のBaF2とよく混合するように攪拌してスラリー状にし、このBaF2スラリーを60℃に維持した。
【0092】
次いで、このBaF2のスラリーに、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gを少量ずつ添加、攪拌して同じくスラリー状にして、この状態で60℃で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体2を得た。
【0093】
〔輝尽性蛍光体前駆体3の合成(添加パターン1):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加し、攪拌している中に、固形粉末のBaF2を99.4g投入し、反応溶媒とよく混合するように攪拌してスラリー状にし、このBaF2スラリーを60℃に維持した。次いで、このBaF2のスラリーに、固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0g少量ずつ添加、攪拌して同じくスラリー状にして、この状態で60℃で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体3を得た。
【0094】
〔輝尽性蛍光体前駆体4の合成(添加パターン3):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF2を99.4gと固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gとを同時に投入し、良く混合攪拌した後、これにエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加して、固形粉末のBaF2及びBaI2・2H2Oと良く混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体4を得た。
【0095】
〔輝尽性蛍光体前駆体5の合成(添加パターン6):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加、攪拌している中に、固形粉末のBaF2を99.4gと固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gとを予め混合した混合粉体を投入し、良く混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体5を得た。
【0096】
〔輝尽性蛍光体前駆体6の合成(添加パターン7):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF299.4gとエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液とを良く混合、攪拌したBaF2スラリーと、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gとを、同時に添加、混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体6を得た。
【0097】
〔輝尽性蛍光体前駆体7の合成(添加パターン9):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF299.4gを投入し、良く攪拌している中に、予めエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液と、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gとを混合、攪拌したスラリー状の混合物を添加、攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体7を得た。
【0098】
〔輝尽性蛍光体前駆体8の合成(添加パターン4):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加、攪拌している中に、固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gを混合、攪拌してスラリー状とした中に、固形粉末のBaF299.4gを混合、攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体8を得た。
【0099】
〔輝尽性蛍光体前駆体9の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、BaF2の添加量を121.5gに変更した以外は同様にして、前記輝尽性蛍光体前駆体9を得た。
【0100】
〔輝尽性蛍光体前駆体10の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、164mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体10を得た。
【0101】
〔輝尽性蛍光体前駆体11の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、50mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体11を得た。
【0102】
〔輝尽性蛍光体前駆体12の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノールと水の比率を3/2に変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体12を得た。
【0103】
〔輝尽性蛍光体前駆体13の合成:比較例〕 溶媒量多くして、飽和濃度以下前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、560mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体13を得た。この条件では、混合時に添加した原料無機化合物のうち、BaI2・2H2Oの全てが溶解した。
【0104】
〔輝尽性蛍光体前駆体14の合成:比較例〕
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、耐圧容器に、BaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中に沃化カリウム992gを添加した。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)600mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。そのままの温度で90分間撹拌した後、沈殿を濾過し、エタノール2000mlで洗浄して輝尽性蛍光体前駆体14を得た。
【0105】
〔輝尽性蛍光体前駆体15の合成:比較例〕FUJI Typeの合成例
300mlのセパラブルビーカー中に、4mol/LのBaI2水溶液150mlを添加し、更に、0.1mol/LのEuI3溶液3ml及び水47mlを加え、撹拌しながら、6mol/Lのフッ化アンモニウム水溶液を50ml添加して混合溶液を調製し、80℃に保持した。
【0106】
調製した混合溶液に、固形物としてテフロン(R)沸石(ケムウエア社製:boiling stone)50gを加え、セパラブルビーカー内をアスピレーターで排気しながら2時間撹拌し反応させて、無機化合物であるユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の沈殿物を調製した。反応後、テフロン(R)沸石を開口1mmのステンレスメッシュで分離し、さらに、ろ紙を用いて吸引ろ過により沈殿物を分離した。分離後の沈殿物にIPA(イソプロピルアルコール)300mlを均一に散布してこれを洗浄し、150℃、2時間真空乾燥させて、輝尽性蛍光体前駆体15を得た。
【0107】
《輝尽性蛍光体前駆体の評価》
(収率の測定)
収率は、投入した全Ba量を求め、次いでユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)中のBa量をX線回折法により測定して、収率を算出した。
【0108】
(洗浄度の測定)
下記の方法に従って、調製した各ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)中の遊離沃素量を測定し、これを洗浄度の尺度とした。遊離沃素含有量が少ないほど、洗浄度が高いことを表す。
【0109】
上記調製した各ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム粒子を1g精秤し、これに10mlのエタノールを添加した後、超音波分散機を用いて30秒間分散した。次いで、クロマトディスクで処理を行った後、10mlの容積のメスフラスコに上記分散液を1ml採取し、1000ppmの亜硫酸イオン1mlを添加した後、超純水でメスアップした。このエタノール可溶分を含む溶液中の沃素イオン量(mg/gサンプル)をイオンクロマトを用いて測定した。
【0110】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1より明らかな様に、本発明の無機化合物の製造方法に従って合成したユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)は、比較の製造方法に対し、高収率で無機化合物を得ることができ、かつ洗浄性に優れ、得られた無機化合物の純度が高いことが分かる。
【0113】
実施例2
実施例1に記載の方法に従って、BaI2に代えてBaBr2を用いた以外は同様にして、各ユーロピウム賦活フッ化臭化バリウム(BaFBr:Eu粒子)を合成し、実施例1に記載の方法に従って、収率及び純度を測定した結果、本発明の無機化合物の製造方法に従って合成したユーロピウム賦活フッ化臭化バリウム(BaFBr:Eu粒子)は、実施例1の結果と同様に、比較の製造方法に対し、高収率で無機化合物を得ることができ、かつ洗浄性に優れ、得られた無機化合物の純度が高いことを確認することができた。
【0114】
【発明の効果】
本発明により、無機化合物として、製造工程におけるハロゲン化物イオン、アルカリ土類金属イオン等の各原料が有効に活用され高収率で、かつ残留が抑制され、また製造時、反応母液より蛍光体前駆体を分離する際に、洗浄が容易な蛍光体前駆体である希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機化合物の製造方法に関し、更に詳しくは無機化合物が、輝尽性蛍光体原料(前駆体)として有用な希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭55−12145号などに記載の輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。
【0003】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも呼ばれる)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光と言う)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光という)として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信号に変換し、得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視画像として再生するものである。読み取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行なわれ、次の撮影に供される。
【0004】
この方法によれば、放射線写真フィルムと増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、はるかに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィルムを消費するのに対して、放射線像変換パネルは繰り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面からも有利である。
【0005】
放射線像変換パネルは、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽性蛍光体層のみからなり、輝尽性蛍光体層は通常輝尽性蛍光体とこれを分散支持する結合材からなるものと、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものも知られている。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護膜が設けられる。
【0006】
輝尽性蛍光体としては、通常400〜900nmの範囲にある励起光によって波長300〜500nmの範囲にある輝尽発光を示すものが一般的に利用され、特開昭55−12145号、同55−160078号、同56−74175号、同56−116777号、同57−23673号、同57−23675号、同58−206678号、同59−27289号、同59−27980号、同59−56479号、同59−56480号等に記載の希土類元素賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物蛍光体;特開昭59−75200号、同60−84381号、同60−106752号、同60−166379号、同60−221483号、同60−228592号、同60−228593号、同61−23679号、同61−120882号、同61−120883号、同61−120885号、同61−235486号、同61−235487号等に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物蛍光体;特開昭55−12144号に記載の希土類元素賦活オキシハライド蛍光体;特開昭58−69281号に記載のセリウム賦活3価金属オキシハライド蛍光体;特開昭60−70484号に記載のビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;特開昭60−141783号、同60−157100号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−157099号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属ハロほう酸塩蛍光体;特開昭60−217354号に記載の2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−21173号、同21182号に記載のセリウム賦活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;特開昭61−40390号に記載のセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活ハロゲン化セリウム・ルビジウム蛍光体;特開昭60−78151号に記載の2価のユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体、等が挙げられ、中でも、沃素を含有する2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体、沃素を含有する希土類元素賦活オキシハロゲン化物蛍光体及び沃素を含有するビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体系蛍光体等の輝尽性蛍光体が知られている。
【0007】
上述した輝尽性蛍光体の製造方法としては、従来、固相法あるいは焼結法と呼ばれる方法と液相より蛍光体前駆体結晶を得て、その前駆体を焼成して蛍光体を得る方法とがあるが、固相法あるいは焼成法では、焼成後の粉砕が必須であり、感度、画像性能に影響する粒子形状、粒径等の制御が困難であるという問題を有する。輝尽性蛍光体を用いた放射線画像では、画質向上手段として、輝尽性蛍光体の微粒子化は有効な手段の一つである。
【0008】
一方、特開平7−233369号、同9−291278号等で開示されている液相からの輝尽性蛍光体の製造法は、蛍光体原料溶液の濃度を調整して微粒子状の輝尽性蛍光体前駆体を得る方法であり、輝尽性蛍光体前駆体の製造法として有効な方法の一つである。
【0009】
上記の様に、液相で製造されるアルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体は、輝度、粒状性の点で有利であるが、液相で前駆体結晶を得る場合には、以下の様な問題を抱えている。
【0010】
即ち、特開平10−88125号、同9−291278号等の記載に見られるように、
1)ハロゲン化バリウムを水あるいは有機溶媒に溶解し、この液を攪拌しながら無機フッ化物の溶液を添加する方法、
2)フッ化アンモニウムを水に溶解し、この液を攪拌しながらハロゲン化バリウムの溶液を添加する方法、
が有効である。
【0011】
しかし、1)の方法では、溶液中に過剰のハロゲン化バリウムを存在させておく必要があり、そのため投入したハロゲン化バリウムと固液分離後に得られるフッ化ハロゲン化バリウムの化学量論比は、0.4前後と小さい値であることが多い。つまり、投入したハロゲン化バリウムに対し、アルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は40%程度であることが多い。
【0012】
また、2)の方法でも、無機フッ化物に対して過剰のハロゲン化バリウムを必要とし、同様に収率が低い。このように、アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体の液相合成は、極めて収率が低く、生産性が悪いという問題を有している。
【0013】
希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体、特にアルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体の収率を上げる試みとし、反応母液の濃度とフッ素源を添加した後、濃縮することにより基本組成式BaFI:xLn(Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素、xは0<x≦0.1の数値を表す)で示される希土類元素含有角状フッ化沃化バリウム結晶を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、本発明者らが、上記公報に記載の方法に従って追試を行った結果、BaFI角状結晶は生成したものの、自然蒸発による濃縮を用いるため、生産性が著しく低く、そのため工業的には実用的ではないことが判った。また、得られる角状結晶も、粒径が大きく、かつ粒径分布が広いため画像特性が悪く、実用に供するには障害が大きいことが判った。
【0014】
一方、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体、特にアルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体の収率を上げる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、投入した沃化バリウムと固液分離後に得られるフッ化沃化バリウムの化学量論比は0.6前後であり、投入した沃化バリウムに対し、アルカリ土類金属フッ化沃化物系輝尽性蛍光体の収率は60%程度と十分な値ではなかった。
【0015】
上述のごとく、従来の液相法による蛍光体前駆体の製造方法では、原料として過剰のハロゲン化バリウムを必要とするため、実質的に原料が無駄に消費される問題があり、生産効率上好ましくない。また、反応系内に過剰に残存している未反応ハロゲン化物イオンが、蛍光体前駆体の沈殿物内に取り込まれていると輝尽性蛍光体としての性能が劣化する等の可能性があるため、前駆体を反応母液より分離する際には洗浄度に注意する必要性があった。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−29324号公報(特許請求の範囲)
【0017】
【特許文献2】
特開2002−38143号公報(特許請求の範囲)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、収率の高い無機化合物の製造方法を提供することにあり、詳しくは、無機化合物として、製造工程におけるハロゲン化物イオン、アルカリ土類金属イオン等の各原料が有効に活用され高収率で、かつ残留が抑制され、また製造時、反応母液より蛍光体前駆体を分離する際に、洗浄が容易な蛍光体前駆体である希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0020】
1.反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0021】
2.反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0022】
3.反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒の少なくとも1種が水であり、該水の量が、該原料無機化合物の総添加量に対し900ml/mol以下であり、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
【0023】
4.前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し380ml/mol以下であることを特徴とする前記3項に記載の無機化合物の製造方法。
【0024】
5.前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し200ml/mol以下であることを特徴とする前記3項に記載の無機化合物の製造方法。
【0025】
6.前記反応溶媒の少なくとも1種が、水よりも主要な前記原料無機化合物及び前記無機化合物に対する溶解度が低い反応溶媒であることを特徴とする前記3〜5項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0026】
7.前記原料無機化合物の全てを固体状態で反応母液に添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0027】
8.前記原料無機化合物の少なくとも1種が固体状態で存在する反応母液中へ、他の原料無機化合物の少なくとも1種を固体状態で添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0028】
9.前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合した後、撹拌しながら前記反応溶媒を添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加する全ての原料無機化合物が固体状態で存在することを特徴とする前記1〜6項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0029】
10.撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の1種を固体状態で添加した後、他の少なくとも1種の原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0030】
11.撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で同時に添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0031】
12.前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で予め混合した混合物を調製した後、撹拌している反応溶媒中に、該混合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0032】
13.撹拌機能を有する反応容器中に、前記原料無機化合物の2種以上を同時に添加し、少なくとも1種の前記原料無機化合物が、反応溶媒との混合物であることを特徴とする前記7項に記載の無機化合物の製造方法。
【0033】
14.固体状態の前記原料無機化合物の少なくとも1種を撹拌している反応容器中に、反応溶媒を添加した後、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする前記8項に記載の無機化合物の製造方法。
【0034】
15.固体状態の前記原料無機化合物を、撹拌している反応容器中に、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする前記8項に記載の無機化合物の製造方法。
【0035】
16.反応容器中で、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合、撹拌した後、少なくとも1種の原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする前記9項に記載の無機化合物の製造方法。
【0036】
17.前記添加する固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度の該原料無機化合物溶液と該原料無機化合物の固体との混合物であることを特徴とする前記1〜16項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0037】
18.前記撹拌している固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度以上の反応溶媒との混合物であることを特徴とする前記1〜16項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0038】
19.前記無機化合物が、硫化亜鉛系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0039】
20.前記無機化合物が、ハロ燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0040】
21.前記無機化合物が、燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0041】
22.前記無機化合物が、ケイ酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0042】
23.前記無機化合物が、タングステン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0043】
24.前記無機化合物が、アルミン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0044】
25.前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0045】
26.前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体であることを特徴とする前記1〜18項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0046】
27.前記希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体が、前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記26項に記載の無機化合物の製造方法。
【0047】
28.前記原料無機化合物の少なくとも1種が、無機ハロゲン化物であることを特徴とする前記1〜15、26、27項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0048】
29.前記原料無機化合物が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする前記1〜15、26〜28項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0049】
30.前記原料無機化合物の2種以上が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする前記1〜15、26〜29項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0050】
31.前記原料無機化合物が、BaF2またはBaI2であることを特徴とする前記1〜15、26〜30項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0051】
32.5.1mol/L以上の前記BaI2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaF2を固体で添加することを特徴とする前記31項に記載の無機化合物の製造方法。
【0052】
33.0.01mol/L以上の前記BaF2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaI2を固体で添加することを特徴とする前記31項に記載の無機化合物の製造方法。
【0053】
34.前記原料無機化合物が、BaF2及びBaI2であって、該BaF2全添加量のフッ素元素量fと、該BaI2全添加量の沃素元素量iとの比率(f/i)が、0.5〜2.0であることを特徴とする前記31〜33項のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
【0054】
以下、本発明の詳細について説明する。
請求項1に係る無機化合物の製造方法においては、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることが特徴である。
【0055】
本発明においては、2種以上の原料無機化合物を混合、反応させて無機化合物を製造する際に、原料無機化合物及び生成させる無機化合物の飽和濃度より高い条件、即ち、いずれもの化合物が固体状態で存在する条件下で行い、そのとき添加する反応溶媒量が、反応母液の流動性を維持できる最小量、即ち、スラリー状態を維持できる量のみ添加することが特徴である。
【0056】
このような条件下で、無機化合物を生成することにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0057】
本発明でいう原料無機化合物あるいは無機化合物が固体状態で存在するとは、原料無機化合物あるいは無機化合物が、粉体、塊状等の固形物状態であることはもちろんのこと、加えて、反応溶媒を原料無機化合物あるいは無機化合物が固体で存在し、反応母液の流動性を維持できる最小量添加されている状態、いわゆるスラリー状態や、反応溶媒中に飽和濃度を超える多量の原料無機化合物を投入し、溶解しきれずに溶液中に該化合物が存在する溶液の状態についても包含する。
【0058】
本発明でいう原料無機化合物とは、反応生成物である無機化合物の母核を構成する主成分元素を供給するもので、いわゆる賦活剤、ドーパント等の生成物の改質を目的として添加する無機化合物は、この定義では包含しない。また、原料無機化合物については、それぞれの無機塩、あるいは水和物についても包含するものである。
【0059】
本発明においては、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させるが、ここで用いることのできる反応溶媒としては、使用する各原料無機化合物の種類によって異なるが、例えば、水や、アルコール系有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、またはシクロヘキサノール等)、エーテル系有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブタチルエーテル、アニソール、ジオキサンまたはフェネトール等)、ケトン系有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノン等)、エステル系有機溶媒(例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、またはエチレングリコールジアセテート等)、炭化水素系有機溶媒(例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン等)を挙げることができるが、好ましくは、水と上記各有機溶媒との混合溶媒である。最も好ましくは、水とアルコール系有機溶媒との混合溶媒であり、水の体積混合比率としては80%以下が好ましい、更に好ましくは50%以下、最も好ましくは30%以下である。
【0060】
また、本発明においては、反応溶媒の少なくとも1種が、主要な原料無機化合物及び無機化合物に対する溶解度が水よりも低い反応溶媒であることが好ましく、使用する原料無機化合物及び生成する無機化合物の種類に応じて、上述の反応溶媒、好ましくは有機溶媒より適宜選択して用いればよい。
【0061】
請求項2に係る発明においては、前述の請求項1に係る構成要件に加えて、水に難溶の原料無機化合物Aとして、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′を用い、また水に易溶の原料無機化合物Bとして、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′を用いて、かつ生成する無機化合物の溶解度が、原料無機化合物の最小値と最大値の間にあることが特徴であり、上記で規定する条件で反応させることにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0062】
また、請求項3に係る発明においては、前述の請求項2に係る構成要件に加えて、反応溶媒の少なくとも1種が水であり、該水の量が、該原料無機化合物の総添加量に対し900ml/mol以下であり、好ましくは水の量が、原料無機化合物の総添加量に対し380ml/mol以下であり、より好ましくは水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し200ml/mol以下であり、上記で規定する条件で反応させることにより、洗浄が容易で、かつ各原料無機化合物が有効に反応に寄与し、高収率で無機化合物を得ることができる。
【0063】
本発明は、反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物の少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、液相反応により無機化合物を製造方法であり、各無機化合物の添加方法としては、種々の形態での添加や、添加パターンを、使用する原料無機化合物の種類により、適宜選択することができるが、本発明で用いることのできる原料無機化合物の形態及び添加方法の好ましい実施態様を、以下に列挙するが、本発明はこれらの実施態様にのみ限定されるものではない。
【0064】
添加パターン1:反応溶媒が存在している反応容器中に、原料無機化合物の全てを固体状態で添加して反応母液を調製した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項7に係る製造方法、
添加パターン2:反応容器中に、反応溶媒と、原料無機化合物の少なくとも1種が固体状態で存在する反応母液中へ、他の原料無機化合物の少なくとも1種を固体状態で添加した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項8に係る製造方法、
添加パターン3:反応容器中に、予め原料無機化合物の2種以上を添加して、固体状態で混合した後、各原料無機化合物を撹拌しながら、そこに反応溶媒を添加して反応母液を調製した後、反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が固体状態で存在する形態により、無機化合物を生成する請求項9に係る製造方法、添加パターン4:反応容器中に反応溶媒を添加、攪拌している中に、原料無機化合物の1種を固体状態で添加を完了した後、他の少なくとも1種の原料無機化合物を固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項10に係る製造方法、
添加パターン5:撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で同時に添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項11に係る製造方法、
添加パターン6:反応容器中に反応溶媒を添加、攪拌している中に、予め原料無機化合物の2種以上を添加して、固体状態で混合した混合物を、固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項12に係る製造方法、
添加パターン7:撹拌機能を有する反応容器中に、前記原料無機化合物の2種以上を同時に添加し、少なくとも1種の前記原料無機化合物が、反応溶媒との混合物である形態により、無機化合物を生成する請求項13に係る製造方法、
添加パターン8:固体状態の原料無機化合物の少なくとも1種を撹拌している反応容器中に、反応溶媒を添加した後、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物を固体状態で添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項14に係る製造方法、
添加パターン9:固体状態の原料無機化合物を撹拌している反応容器中に、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項15に係る製造方法、
添加パターン10:反応容器中で、原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合、撹拌した後、少なくとも1種の原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させる形態により、無機化合物を生成する請求項16に係る製造方法、添加パターン11:上記いずれかの製造方法において、添加する固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度の原料無機化合物溶液と原料無機化合物の固体との混合物である形態により、無機化合物を生成する請求項17に係る製造方法、
等を挙げることができ、その製造する無機化合物の種類や、目的とする特性、例えば、到達粒径、粒径分布や無機化合物の品質等により、適宜選択することができる。
【0065】
上記説明した本発明の無機化合物の製造方法は、公知の無機化合物の製造に適用することができるが、本発明の効果をいかんなく発揮できる観点から、無機化合物として、硫化亜鉛系蛍光体前駆体、ハロ燐酸塩系蛍光体前駆体、燐酸塩系蛍光体前駆体、ケイ酸塩系蛍光体前駆体、タングステン酸塩系蛍光体前駆体、アルミン酸塩系蛍光体前駆体、または希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法に用いることが好ましく、特に好ましくは、希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法に用いることである。
【0066】
以下、希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の製造方法の詳細について説明する。
【0067】
本発明に係る希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体は、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体であることが好ましく、更に好ましくは希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体が、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0068】
一般式(1)
Ba1−y(M2)yFX:aM1,bLn
一般式(1)において、XはCl、Br、Iからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素を表し、M2はBe、Mg、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表す。y、a及びbは、それぞれ0≦y≦0.5、0≦a≦0.05、0<b≦0.2を表す。
【0069】
本発明でいう輝尽性蛍光体前駆体とは、上記一般式(1)に記載の化合物が、400℃以上の高温を経ていない状態を示す。
【0070】
希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法は、少なくとも、反応母液中に希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の沈殿物を生成させる沈殿物生成工程と、沈殿物生成工程の後工程として、少なくとも、沈殿物を前記反応母液から分離する分離工程を有するのが好ましい。
【0071】
以下、上記各工程について説明する。
《沈殿物生成工程》
沈殿物生成工程は、無機ハロゲン化物と、ハロゲン化バリウムとを反応させ、輝尽性蛍光体の前駆体であるBaFX系結晶の沈殿物を生成させる工程である。
【0072】
ハロゲン化バリウムにおけるハロゲン元素としては、F、Cl、BrおよびIが挙げられる。製造したBaFX系結晶を蛍光体材料として使用する場合は、F、Br及びIが好ましく用いられる。
【0073】
使用可能な原料無機化合物であるハロゲン化バリウムとしては、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウム等が好ましく用いられ、これらの水和物についても使用可能である。これら、ハロゲン元素の選択は、目的とする生成物により、任意に選択され、また、場合によってはこれらの混合物やこれらの複数種についても好ましく用いられる。また、これらのハロゲン化バリウムに限定されず、他のハロゲン化バリウムについても必要に応じて用いることができる。
【0074】
本発明においては、ハロゲン化バリウムを反応溶媒と混合したときの濃度は、飽和濃度以上で、かつ固体が溶液中に存在する濃度であることが特徴の一つであるが、フッ化バリウムについては0.01mol/L以上であり、塩化バリウム、臭化バリウムについては2.6mol/L以上であり、沃化バリウムについては5.1mol/L以上である。フッ化バリウムについては、更に好ましくは0.1mol/L以上で、最も好ましくは1.0mol/L以上である。沃化バリウムについては、更に好ましくは6.0mol/L以上で、最も好ましくは7.0mol/L以上である。各々のハロゲン化バリウムと溶媒との混合物の濃度の上限は、流動性を失う濃度であり、これは溶媒種により変化する。ここでいう濃度とは、1Lの反応溶媒に含まれる原料無機化合物のmol数であり、反応溶媒中に溶解していない状態についても、便宜上適用する旨とする。
【0075】
使用可能な無機ハロゲン化物としては、フッ化アンモニウム、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、あるいは上記フッ化物に代えて、塩化物、臭化物、沃化物が挙げられ、特にフッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、沃化アンモニウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、沃化バリウムが好ましい。これらのハロゲン元素の選択は、目的とする生成物により、任意に選択され、また、場合によってはこれらの混合物やこれらの複数種についても好ましく用いられる。また、これらの無機ハロゲン化物に限定されず、他の無機ハロゲン化物ついても用いることができる。
【0076】
無機ハロゲン化物が反応溶媒と混合したときの濃度は、飽和濃度以上で、かつ固体が溶液中に存在する濃度が好ましく、濃度の上限は流動性を失う濃度であり、これは溶媒種により変化する。
【0077】
全投入量の原料無機化合物に含まれるフッ素のモル数と、全投入量の原料無機化合物に含まれる他のハロゲン元素、例えば、BaFX系結晶については、臭素もしくは沃素のモル数の比(フッ素のモル数/臭素もしくは沃素のモル数)は、0.5〜2.0であるのが好ましい。更に好ましくは0.65〜1.54で、最も好ましくは0.75〜1.33である。
【0078】
全投入量の原料無機化合物に含まれるフッ素のモル数と、全投入量の原料無機化合物に含まれるバリウム原子のモル数との比(フッ素のモル数/バリウム原子のモル数)は、0.5〜2.0であるのが好ましい。更に好ましくは0.65〜1.54で、最も好ましくは0.75〜1.33である。
【0079】
添加する無機ハロゲン化物、ハロゲン化バリウム、反応溶媒は、前記の添加パターン1〜添加パターン11のいずれか1項の方法に従った添加順序のほか、様々な添加順序をとってもよい。すなわち、上記各方法で連続的に行ってもよいし、断続的に(所定の時間添加した後、所定の時間添加を休止し、これを繰り返す)行ってもよい。例えば、原料無機化合物が複数の場合は、原料無機化合物の種類を交互に断続的に添加してもよい。
【0080】
本発明において、得られるBaFX系結晶に、蛍光特性を付与するには、原料無機化合物を混合するのと同時、またはその前において、反応溶媒中に賦活剤を添加するのが好ましいが、賦活剤の添加時期については特に限定されない。また、賦活剤を、予め各原料無機化合物に加えておいてもよい。
【0081】
賦活剤としては、例えば、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、TmおよびYbのハロゲン化物が好ましい。ハロゲン元素の選択は、目的に応じて適宜選択できる。例えば、BaFI結晶を生成する場合は、特に、沃化ユーロピウム、沃化セリウムが好ましい。賦活剤の添加量は、目的の性能に従って、最適化できる。
【0082】
その他の成分としては、Li、Na、K、RbおよびCs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属;から任意に選択して使用することができる。これらの添加方法、添加時期、添加量についても、賦活剤と同様に特に限定されない。
【0083】
上記各成分を混合して、沈殿物を生成させる際の反応母液の温度(反応温度)は、0〜100℃とするのが好ましい。添加時に、必要に応じて少量の酸、アンモニア、水溶性高分子ポリマー、界面活性剤等を添加してもよい。
【0084】
《分離工程》
分離工程は、前述の沈殿物生成工程を経て得られたBaFX系結晶の沈殿物を反応母液から分離する工程であり、沈殿物生成工程の後工程として好ましく設けられる。沈殿物を、ろ過や遠心分離等により分離した後、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒で十分に洗浄した後、乾燥する。
【0085】
本発明の製造方法により得られた希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体は、この工程での洗浄効率に優れ、洗浄に使用する溶媒量を従来の液相法に比較して、少量に抑えることができ、また、同量の洗浄溶媒を使用した場合には、従来の液相法に比較し高い洗浄度を得ることができる。
【0086】
本発明の製造方法により得られる希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体の結晶粒子は、平均粒径が1〜10μmであることが好ましい。本発明でいう平均粒径とは、結晶粒子の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で、その平均値を求めたものである。
【0087】
以上の方法により得られた希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶は、既知の方法に従って焼成することにより、輝尽性発光を有する輝尽性蛍光体粒子を得ることができ、この輝尽性蛍光体粒子は、放射線像変換パネル等に好ましく用いることができる。
【0088】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0089】
実施例1
《輝尽性蛍光体前駆体の合成》
下記の方法に従って、輝尽性蛍光体前駆体を合成した。
【0090】
〔輝尽性蛍光体前駆体1の合成:比較例〕
ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.2mol/L)2380mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。フッ化アンモニウム水溶液(13mol/L)200mlを反応母液中にローラーポンプを用いて30分で注入し、沈澱物を生成させた。
注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次いで、沈澱物をろ別後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体1を得た。
【0091】
〔輝尽性蛍光体前駆体2の合成(添加パターン8):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF2を99.4g投入し、これにエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加して、固形粉末のBaF2とよく混合するように攪拌してスラリー状にし、このBaF2スラリーを60℃に維持した。
【0092】
次いで、このBaF2のスラリーに、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gを少量ずつ添加、攪拌して同じくスラリー状にして、この状態で60℃で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体2を得た。
【0093】
〔輝尽性蛍光体前駆体3の合成(添加パターン1):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加し、攪拌している中に、固形粉末のBaF2を99.4g投入し、反応溶媒とよく混合するように攪拌してスラリー状にし、このBaF2スラリーを60℃に維持した。次いで、このBaF2のスラリーに、固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0g少量ずつ添加、攪拌して同じくスラリー状にして、この状態で60℃で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体3を得た。
【0094】
〔輝尽性蛍光体前駆体4の合成(添加パターン3):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF2を99.4gと固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gとを同時に投入し、良く混合攪拌した後、これにエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加して、固形粉末のBaF2及びBaI2・2H2Oと良く混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体4を得た。
【0095】
〔輝尽性蛍光体前駆体5の合成(添加パターン6):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加、攪拌している中に、固形粉末のBaF2を99.4gと固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gとを予め混合した混合粉体を投入し、良く混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体5を得た。
【0096】
〔輝尽性蛍光体前駆体6の合成(添加パターン7):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF299.4gとエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液とを良く混合、攪拌したBaF2スラリーと、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gとを、同時に添加、混合するように攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体6を得た。
【0097】
〔輝尽性蛍光体前駆体7の合成(添加パターン9):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、固形粉末のBaF299.4gを投入し、良く攪拌している中に、予めエタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液と、固形粉末のBaI2・2H2Oの296.0gとを混合、攪拌したスラリー状の混合物を添加、攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体7を得た。
【0098】
〔輝尽性蛍光体前駆体8の合成(添加パターン4):本発明〕
攪拌機を備えた容積が1Lの円錐形の反応容器中に、エタノール/水=3/1の混合反応溶媒82mlに希土類元素(EuI3)を1.2g溶解した溶液を添加、攪拌している中に、固形粉末のBaI2・2H2Oを296.0gを混合、攪拌してスラリー状とした中に、固形粉末のBaF299.4gを混合、攪拌してスラリー状にし、このスラリーを60℃に維持した状態で2時間攪拌して反応させて、ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の結晶を生成させた。次いで、結晶物をろ別した後、エタノール1600mlで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体8を得た。
【0099】
〔輝尽性蛍光体前駆体9の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、BaF2の添加量を121.5gに変更した以外は同様にして、前記輝尽性蛍光体前駆体9を得た。
【0100】
〔輝尽性蛍光体前駆体10の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、164mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体10を得た。
【0101】
〔輝尽性蛍光体前駆体11の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、50mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体11を得た。
【0102】
〔輝尽性蛍光体前駆体12の合成(添加パターン8):本発明〕
前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノールと水の比率を3/2に変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体12を得た。
【0103】
〔輝尽性蛍光体前駆体13の合成:比較例〕 溶媒量多くして、飽和濃度以下前記輝尽性蛍光体前駆体2の合成において、反応溶媒であるエタノール/水=3/1の混合反応溶媒の添加量を、560mlに変更した以外は同様にして輝尽性蛍光体前駆体13を得た。この条件では、混合時に添加した原料無機化合物のうち、BaI2・2H2Oの全てが溶解した。
【0104】
〔輝尽性蛍光体前駆体14の合成:比較例〕
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、耐圧容器に、BaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中に沃化カリウム992gを添加した。この反応器中の反応母液を攪拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)600mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。そのままの温度で90分間撹拌した後、沈殿を濾過し、エタノール2000mlで洗浄して輝尽性蛍光体前駆体14を得た。
【0105】
〔輝尽性蛍光体前駆体15の合成:比較例〕FUJI Typeの合成例
300mlのセパラブルビーカー中に、4mol/LのBaI2水溶液150mlを添加し、更に、0.1mol/LのEuI3溶液3ml及び水47mlを加え、撹拌しながら、6mol/Lのフッ化アンモニウム水溶液を50ml添加して混合溶液を調製し、80℃に保持した。
【0106】
調製した混合溶液に、固形物としてテフロン(R)沸石(ケムウエア社製:boiling stone)50gを加え、セパラブルビーカー内をアスピレーターで排気しながら2時間撹拌し反応させて、無機化合物であるユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)の沈殿物を調製した。反応後、テフロン(R)沸石を開口1mmのステンレスメッシュで分離し、さらに、ろ紙を用いて吸引ろ過により沈殿物を分離した。分離後の沈殿物にIPA(イソプロピルアルコール)300mlを均一に散布してこれを洗浄し、150℃、2時間真空乾燥させて、輝尽性蛍光体前駆体15を得た。
【0107】
《輝尽性蛍光体前駆体の評価》
(収率の測定)
収率は、投入した全Ba量を求め、次いでユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)中のBa量をX線回折法により測定して、収率を算出した。
【0108】
(洗浄度の測定)
下記の方法に従って、調製した各ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)中の遊離沃素量を測定し、これを洗浄度の尺度とした。遊離沃素含有量が少ないほど、洗浄度が高いことを表す。
【0109】
上記調製した各ユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム粒子を1g精秤し、これに10mlのエタノールを添加した後、超音波分散機を用いて30秒間分散した。次いで、クロマトディスクで処理を行った後、10mlの容積のメスフラスコに上記分散液を1ml採取し、1000ppmの亜硫酸イオン1mlを添加した後、超純水でメスアップした。このエタノール可溶分を含む溶液中の沃素イオン量(mg/gサンプル)をイオンクロマトを用いて測定した。
【0110】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1より明らかな様に、本発明の無機化合物の製造方法に従って合成したユーロピウム賦活フッ化ヨウ化バリウム(BaFI:Eu粒子)は、比較の製造方法に対し、高収率で無機化合物を得ることができ、かつ洗浄性に優れ、得られた無機化合物の純度が高いことが分かる。
【0113】
実施例2
実施例1に記載の方法に従って、BaI2に代えてBaBr2を用いた以外は同様にして、各ユーロピウム賦活フッ化臭化バリウム(BaFBr:Eu粒子)を合成し、実施例1に記載の方法に従って、収率及び純度を測定した結果、本発明の無機化合物の製造方法に従って合成したユーロピウム賦活フッ化臭化バリウム(BaFBr:Eu粒子)は、実施例1の結果と同様に、比較の製造方法に対し、高収率で無機化合物を得ることができ、かつ洗浄性に優れ、得られた無機化合物の純度が高いことを確認することができた。
【0114】
【発明の効果】
本発明により、無機化合物として、製造工程におけるハロゲン化物イオン、アルカリ土類金属イオン等の各原料が有効に活用され高収率で、かつ残留が抑制され、また製造時、反応母液より蛍光体前駆体を分離する際に、洗浄が容易な蛍光体前駆体である希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系結晶の製造方法を提供することができた。
Claims (34)
- 反応溶媒の存在下で、水に難溶の原料無機化合物Aの少なくとも1種と、水に易溶の原料無機化合物Bの少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去する液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A及びBの濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
- 反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
- 反応溶媒の存在下で、25℃の水に対する溶解度が0.1mol/L以下の原料無機化合物A′の少なくとも1種と、25℃の水に対する溶解度が1.0mol/L以上の原料無機化合物B′の少なくとも1種とを反応させた後、反応溶媒を除去して、水に対する溶解度が該原料無機化合物の溶解度の最小値と最大値の間にある無機化合物を、液相反応により製造する無機化合物の製造方法であって、該反応溶媒の少なくとも1種が水であり、該水の量が、該原料無機化合物の総添加量に対し900ml/mol以下であり、該反応溶媒中の主要な該原料無機化合物A′及びB′の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒中の該無機化合物の濃度が飽和濃度よりも高く、かつ該反応溶媒量が、固体が存在する反応母液の流動性を維持できる最小量であることを特徴とする無機化合物の製造方法。
- 前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し380ml/mol以下であることを特徴とする請求項3に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記水の量が、前記原料無機化合物の総添加量に対し200ml/mol以下であることを特徴とする請求項3に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記反応溶媒の少なくとも1種が、水よりも主要な前記原料無機化合物及び前記無機化合物に対する溶解度が低い反応溶媒であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物の全てを固体状態で反応母液に添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物の少なくとも1種が固体状態で存在する反応母液中へ、他の原料無機化合物の少なくとも1種を固体状態で添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加した全ての原料無機化合物が、固体状態で存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合した後、撹拌しながら前記反応溶媒を添加し、かつ添加終了後の反応母液中に添加する全ての原料無機化合物が固体状態で存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の1種を固体状態で添加した後、他の少なくとも1種の原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする請求項7に記載の無機化合物の製造方法。
- 撹拌している反応溶媒中に、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で同時に添加して反応させることを特徴とする請求項7に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で予め混合した混合物を調製した後、撹拌している反応溶媒中に、該混合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする請求項7に記載の無機化合物の製造方法。
- 撹拌機能を有する反応容器中に、前記原料無機化合物の2種以上を同時に添加し、少なくとも1種の前記原料無機化合物が、反応溶媒との混合物であることを特徴とする請求項7に記載の無機化合物の製造方法。
- 固体状態の前記原料無機化合物の少なくとも1種を撹拌している反応容器中に、反応溶媒を添加した後、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物を固体状態で添加して反応させることを特徴とする請求項8に記載の無機化合物の製造方法。
- 固体状態の前記原料無機化合物を、撹拌している反応容器中に、他の少なくとも1種の前記原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする請求項8に記載の無機化合物の製造方法。
- 反応容器中で、前記原料無機化合物の2種以上を固体状態で混合、撹拌した後、少なくとも1種の原料無機化合物と反応溶媒との混合物を添加して反応させることを特徴とする請求項9に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記添加する固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度の該原料無機化合物溶液と該原料無機化合物の固体との混合物であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記撹拌している固体状態の原料無機化合物が、飽和濃度以上の反応溶媒との混合物であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、硫化亜鉛系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、ハロ燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、燐酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、ケイ酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、タングステン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、アルミン酸塩系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記無機化合物が、希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記希土類賦活アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項26に記載の無機化合物の製造方法。
一般式(1)
Ba1−y(M2)yFX:aM1,bLn
〔式中、XはCl、Br、Iからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素を表し、M2はBe、Mg、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表す。y、a及びbは、それぞれ0≦y≦0.5、0≦a≦0.05、0<b≦0.2を表す。〕 - 前記原料無機化合物の少なくとも1種が、無機ハロゲン化物であることを特徴とする請求項1〜15、26、27のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする請求項1〜15、26〜28のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物の2種以上が、ハロゲン化バリウムであることを特徴とする請求項1〜15、26〜29のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物が、BaF2またはBaI2であることを特徴とする請求項1〜15、26〜30のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
- 5.1mol/L以上の前記BaI2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaF2を固体で添加することを特徴とする請求項31に記載の無機化合物の製造方法。
- 0.01mol/L以上の前記BaF2を固体状態で含有する反応母液中に、前記BaI2を固体で添加することを特徴とする請求項31に記載の無機化合物の製造方法。
- 前記原料無機化合物が、BaF2及びBaI2であって、該BaF2全添加量のフッ素元素量fと、該BaI2全添加量の沃素元素量iとの比率(f/i)が、0.5〜2.0であることを特徴とする請求項31〜33のいずれか1項に記載の無機化合物の製造方法。
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