JP2004155313A - 衝撃吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩行者脚部の負傷度合の軽減を好適に図り得るようにする。
【解決手段】衝撃吸収部材20は、バンパービーム14に当接する取付壁部22から所要量だけ離間し、衝突時に歩行者脚部40からの衝撃を受ける当接壁部24と、取付壁部22から延出して当接壁部24の裏側を部分的に支持する支持壁部26とを有する。当接壁部24は、歩行者脚部40との衝突時に、支持壁部26で支持されている支持部分32よりも、該支持壁部26で支持されていない非支持部分34が容易に変形する。これにより、歩行者脚部40の姿勢変位が許容され、該脚部40の負傷度合が軽減される。
【選択図】 図10
【解決手段】衝撃吸収部材20は、バンパービーム14に当接する取付壁部22から所要量だけ離間し、衝突時に歩行者脚部40からの衝撃を受ける当接壁部24と、取付壁部22から延出して当接壁部24の裏側を部分的に支持する支持壁部26とを有する。当接壁部24は、歩行者脚部40との衝突時に、支持壁部26で支持されている支持部分32よりも、該支持壁部26で支持されていない非支持部分34が容易に変形する。これにより、歩行者脚部40の姿勢変位が許容され、該脚部40の負傷度合が軽減される。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、衝撃吸収部材に関し、更に詳細には、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から生産されている乗用車等の車両では、衝突安全の重点が乗員保護に置かれていた。例えば、当該車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護する目的で、エアバッグ装置が標準的に装備されるようになったことは勿論、ピラーガーニッシュやドアトリムの内側に、リブ構造体または中空構造体とされる合成樹脂製の衝撃吸収部材を配設することで、乗員の頭部、胸部または腰部等へのダメージを軽減する対策も図られている。
【0003】
そして、乗員保護に関する安全対策が確立するに至った近年では、歩行者保護に関する安全対策の確立が希求されつつある。すなわち、走行中の車両が誤って歩行者に衝突したり接触した場合に、該歩行者の脚部、腰部、胸部および頭部へ加わる衝撃を緩和して負傷度合を軽減するための技術が、各自動車メーカーや自動車部品メーカー等において研究・開発されている。
【0004】
図12および図13に例示するように、乗用車等の車両10における車体の前側および後側には、バンパーフェース12の内側(裏側)に被覆された状態でバンパービーム14が配設されている(図では、車体の前側のみを表示している)。すなわち、当該車両10が他の車両や物体等に衝突した際には、変形した前記バンパーフェース12を介して前記バンパービーム14がその衝撃を受け止め、この際に該バンパービーム14が変形して衝突による衝撃吸収を図るようになっている。このバンパービーム14は、従前では金属製(鋼等)のものが主流とされていたが、近年に至っては、軽量化や防錆面等で有利とされる合成樹脂製のものに置換されつつある。このような合成樹脂製のバンパービーム14は、インジェクション成形により成形されたリブ構造体や、ブロー成形により成形された中空構造体等のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたバンパービームや図12に例示したバンパービーム14は、あくまで他の車両や種々の硬質物体(例えばガードレール、ブロック塀等)等の所謂「剛性が高くて重量が嵩む物体」との衝突を前提として設計されたものが殆どであり、このような高剛性重量物体との衝突時において適切に機能して衝撃吸収を図り得るようになっている。従って従来のバンパービーム14は、歩行者等の所謂「低剛性軽量物体」との衝突に適応し得るように設計されておらず、歩行者保護のためには十分に機能し得なかった。また仮に、歩行者保護にも対応させるべく剛性を適宜低く設計した場合には、バンパービーム14としての本来の機能が阻害されることとなり、高剛性重量物体との衝突および低剛性軽量物体との衝突の両方に対応させ得るバンパービームの実施は技術的な課題があった。
【0006】
そこで前述した問題を解決するために、当該車両10が歩行者等の低剛性軽量物体に衝突した際の衝撃により変形して、該歩行者に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材を別途成形し、この衝撃吸収部材を前記バンパービーム14の端面に組付けるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、高剛性重量物体(他の車両や硬質物体等)との衝突は前記バンパービーム14で対応するようにし、また低剛性軽量物体(歩行者等)との衝突には前記衝撃吸収部材で対応するようにしたものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−237512号公報
【特許文献2】
特開2002−144988号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで特許文献2には、当該車両10と衝突した歩行者の負傷度合を軽減するうえで、殊に当該歩行者の脚部における膝部分の負傷度合の軽減を図るための技術が開示されている。すなわち、歩行者の前方または側方から車両10が衝突した際には、衝撃吸収部材が当該歩行者の重心位置より低い脚部の膝下部分(臑部分)に衝突するようになるため、この衝突による衝撃の反動で歩行者の上体が前方(車両10側)へ倒れ込んでしまう。従って、衝突した衝撃吸収部材により脚部の膝下部分の姿勢変位が規制された場合、膝関節には折曲不可能な方向へ過大な負荷がかかることとなり、膝部分に重大な怪我を負ってしまう虞がある。
【0009】
このため特許文献2では、バンパービームの前面を下方から上方に向かって車体方向へ後退した形状(段付形状または傾斜形状)とすると共に、これに合わせて衝撃吸収部材の後面を下方から上方に向かって車体方向へ前進した形状とすることで、該衝撃吸収部材の下側部位と上側部位とで厚み寸法を変えてある。すなわち衝撃吸収部材は、下側部位より上側部位の方が変形可能量が大きく設定されているため、上体が車両10の側へ倒れ込むに際して脚部の膝下部分もこれに追従して姿勢変位することが許容され、膝部分にかかる負担を軽減するようにしたものである。
【0010】
しかしながら特許文献2に開示の構造では、全体が均一硬さで成形された中実状の前記衝撃吸収部材の外形形状を前述した形状に整形するだけで、押圧時の変形可能量を下側部位および上側部位で変えるようにしたものであるから、歩行者の脚部に衝突した際には厚みが小さい下側部位が所謂「底付き状態」となり易い問題がある。このように、衝撃吸収部材の下側部位が完全に押し潰されてしまった場合には、膝下部分に加わる衝撃を好適に吸収することができなくなり、当該衝撃吸収部材に要求される本来の衝撃吸収性能が低下して膝下部分の負傷度合の軽減を図り得ない不都合が指摘される。
【0011】
また、衝撃吸収性能の特性を変更するためには、前記衝撃吸収部材の外形形状を変更する必要があり、これに伴って前記バンパービームの外形形状(端面形状)も変更しなければならない。このため、煩雑な設計変更作業が伴うと共に製造コストが嵩んでしまう問題等も内在していた。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、当接壁部を裏側から支持する支持壁部を有する中空構造体として、この支持壁部の支持位置の設定により当接壁部の押圧時の変形態様を調整することで、殊に歩行者脚部の負傷度合の軽減を好適に図り得るようにした衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材において、
前記衝撃吸収部材を、
前記バンパービームに当接する取付壁部から所要量だけ離間し、衝突時に前記物体からの衝撃を受ける当接壁部と、前記取付壁部から延出し、前記当接壁部の裏側を部分的に支持する支持壁部とを有する中空構造体として構成し、
前記当接壁部は、前記低剛性の物体との衝突時に、前記支持壁部で支持されている支持部分よりも、該支持壁部で支持されていない非支持部分が容易に変形して、衝突による該物体の姿勢変位を許容するようになっていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る衝撃吸収部材につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車両における車体の前面に配設したバンパービームに取付けるようにした衝撃吸収部材につき例示する。従って、図12および図13に既出の部材、部位と同一の部材、部位は、同一の符号を付して説明する。
【0015】
図1は、好適実施例に係る衝撃吸収部材を一部省略して示した概略斜視図であり、図2は図1のII−II線断面図である。本実施例の衝撃吸収部材20は、図3および図4に示すように、車両10における車体の前面または後面に配設した前記バンパービーム14の前端面16に組付けられ、当該車両10が例えば歩行者等に代表される低剛性の物体に衝突した際の衝撃により圧潰的に変形して、これにより該歩行者に作用する衝撃を緩和させ得るようになっている。
【0016】
実施例の衝撃吸収部材20は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の樹脂材料をブロー成形技術を利用してブロー成形した中空構造体であって、全長Lが1000mm程度、高さHが100mm程度、前後方向の厚み(ストローク)Dが60mm程度の外形サイズとされる。また各部分の肉厚tは、いずれも2mm程度とされている。
【0017】
前記バンパービーム14の前端面16に組付けることを前提とした前記衝撃吸収部材20は、該バンパービーム14の外端面に当接する取付壁部22と、この取付壁部22から所要量(前記厚みD分の約60mm)だけ離間し、衝突時に前記歩行者等の低剛性の物体からの衝撃を受ける前側の当接壁部24と、前記取付壁部22から延出し、前記当接壁部24の裏側を部分的に支持する支持壁部26とを有している。これにより実施例の衝撃吸収部材20は、上下に分離した2つの内部空間を有する中空構造体とされている。すなわち、当接壁部24と取付壁部22、該取付壁部22と支持壁部26とは、単一のパリソンからブロー成形されて各部分が一体的に形成されている。
【0018】
前記支持壁部26は、前記取付壁部22から当接壁部24の間において上下に適宜間隔をおいて横ハ字状に延出する2枚の支持板28,28と、これら支持板28,28の先端間に延在して前記当接壁部24の裏側に接合される接合板30とから形成されている。このような支持壁部26は、図2に示すように、前記当接壁部24における上下中央ラインCLから下方へ所要量だけ偏倚した部分、すなわち該当接壁部24の下側部分を裏側から支持するように延出形成されている。これにより当接壁部24は、前記バンパービーム14に取付けた際に、下側に位置して前記支持壁部26から支持される支持部分32と、上側に位置して該支持壁部26から支持されない非支持部分34とに便宜上区分されている。
【0019】
従って実施例の衝撃吸収部材20は、前記上下中央ラインCLを境界として、前記支持部分32に対応した下側部分よりも前記非支持部分34に対応した上側部分の方が変形し易い構造となっている。しかし、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の全面に対して均一的な押圧力が作用した場合には(図3(a))、前記支持壁部26がこの衝突による衝撃力を受け止めるようになるため、衝撃吸収部材20は全体が均一な厚みに圧潰変形する(図3(b))。
【0020】
また、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の非支持部分34よりも支持部分32に大きな押圧力が作用した場合には(図4(a))、前記支持壁部26がこの衝突による衝撃力を受け止めるようになるため、衝撃吸収部材20は全体が均一な厚みに圧潰変形する(図4(b))。ところが、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の支持部分32よりも非支持部分34に大きな押圧力が作用した場合には(図5(a))、前記支持壁部26では衝突による衝撃力を完全に受け止めることができないため、衝撃吸収部材20は下側部分よりも上側部分が大きく圧潰変形する(図5(b))。
【0021】
従って実施例の衝撃吸収部材20は、後述すると共に図8〜図11に示すように、車両10が歩行者に衝突するに際し、該歩行者の重心位置よりも下に位置する脚部40の膝下部分(臑部分)44に衝突して、当該歩行者が車両10の側へ倒れ込むような姿勢となった場合には、これに伴ってバンパービーム14の側へ姿勢変位するようになる該膝下部分44の移動を好適に許容し得る。すなわち衝撃吸収部材20は、歩行者の脚部40(膝下部分44)が車両10の方へ傾斜状態に姿勢変位しようとすると、前記支持部分32よりも非支持部分34に大きな押圧力が加わるようになるから、前述したように該非支持部分34が押圧力によって大きく変形して該膝下部分44の姿勢変位を好適に許容するようになる。
【0022】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された実施例に係る衝撃吸収部材20の作用につき、図8〜図11を引用して具体的に説明する。
【0023】
前述した実施例の衝撃吸収部材20は、図6および図7に示すように、前記バンパービーム14の前端面16に組付けることで該バンパービーム14の前側に位置し、また車体の最前部に配設した前記バンパーフェース12の内側に収容されて車体外方からは全く視認されない。このようにバンパービーム14の前側に配設することで、当該車両10が歩行者等に衝突した際には、この衝突による衝撃力は前記衝撃吸収部材20が受け止めるようになる。
【0024】
図8は、概略的に図示した歩行者の脚部40と、バンパーフェース12の内側でバンパービーム14に取付けられた実施例の衝撃吸収部材20との位置関係を、衝突前の状態で例示した説明断面図である。前記車両10が乗用車の場合には、図に示すように、バンパービーム14の前端面16に組付けた実施例の衝撃吸収部材20の配設位置が、大人の歩行者の脚部40における膝部42の下方に位置する膝下部分44に衝突するようになる。ここで、図中の符号46は脚部40の大腿部を示しており、この大腿部の上方に図示しない上体(上半身)が位置している。なお図8では、図面右方向が歩行者の前側とされ、当該車両10が該歩行者の正面から接近する場合を例示している。
【0025】
図9は、歩行者の脚部40と車両10との衝突初期段階を例示した説明断面図であって、脚部40における膝下部分44に接触したバンパーフェース12が衝撃吸収部材20の側へ変形し、該膝下部分44による押圧力が衝撃吸収部材20の当接壁部24に加わり始めた状態を示している。この衝突初期時点では、歩行者は身体全体が略直立状態で起立しているため、脚部40の膝下部分44も略直立状態となっている。従って、前記当接壁部24の全面に略均一な押圧力が加わるようになるため、衝突による衝撃力は前記支持壁部26の各支持板28,28で受け止められている。
【0026】
図10は、歩行者の脚部40と車両10との衝突中期段階を例示した説明断面図であって、脚部40の膝下部分44に車両10の前側が衝突したことにより、歩行者の図示しない上体が、衝突の衝撃による反動で車両10の側へ倒れ込むようになる。このため歩行者の脚部40は、上体が徐々に倒れ込んだ姿勢となることに伴い、図示右方向へ徐々に姿勢変位するようになる。これにより、前記当接壁部24の非支持部分34に対する押圧力が徐々に増加するようになるため、衝撃吸収部材20は下側部分よりも上側部分の方が圧潰的な変形量が大きくなり、脚部40の全体的な姿勢変位が許容される。
【0027】
図11は、歩行者の脚部40と車両10との衝突後期段階を例示した説明断面図であって、歩行者が車両10の側へ倒れ込んだ前傾姿勢となることにより、脚部40の大腿部46および膝部42も車両10の側へ変位する。これにより、当接壁部24の非支持部分34に対する押圧力が更に増大するため、衝撃吸収部材34は下側部分より上側部分が大きく圧潰的に変形する。なお、膝下部分44との衝突による衝撃が前記支持壁部26にも加わるため、該支持壁部26の各支持板28,28はS字状に屈折変形するようになり、この際に衝突による衝撃吸収が図られる。
【0028】
なお、実施例の衝撃吸収部材20は、図2から明らかなように、成形時における下側部分および上側部分における前後方向の厚みDが同一であるから、前記支持壁部26が形成されている下側部分であっても十分な変形量が確保されている(図3(b)、図4(b))。従って、歩行者の脚部40に衝突したとしても、この下側部分において底付き状態となることが防止され、膝下部分44に加わる衝撃を好適に吸収することができるので該膝下部分44の負傷度合の軽減を図り得る。
【0029】
このように実施例の衝撃吸収部材20では、当該車両10が歩行者と衝突した際に、該歩行者が車両10の側へ倒れ込んで脚部40が姿勢変位するに際し、前記当接壁部24の非支持部分34が容易に圧潰的に変形することで、該脚部40の膝下部分44の姿勢変位を好適に許容し得る。従って、脚部40の大腿部46のみが前方へ変位することが回避されるので、膝部42に過大な負担がかかることを防止して該膝部(膝関節)42に重大な怪我を負うことが好適に回避される。
【0030】
また実施例の衝撃吸収部材20は、公知のブロー成形技術を利用して一体的に成形されるので、成形コストを低く抑え得る。
【0031】
なお実施例の衝撃吸収部材20では、前記取付壁部22から延出した前記支持壁部26の形成位置を変更することにより、前記当接壁部24の裏側に対する支持位置が変更されるので、該当接壁部24の変形態様を変更して衝撃吸収特性を変化させることが可能である。すなわち、衝撃吸収部材20の衝撃吸収特性を変更する場合には、前記バンパービーム14を形状を変更する必要が全くなく、該バンパービーム14の設計変更に伴うコストアップを招来することはない。
【0032】
前記実施例では、車両の車体前面に配設したバンパービーム14に取付ける衝撃吸収部材を例示したが、本願が対象とする衝撃吸収部材は、車体後面に配設したバンパービームに取付けて使用に供されるものも含まれる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る衝撃吸収部材によれば、当該車両が低剛性の物体と衝突した際に、該物体が車両の側へ倒れ込んで姿勢変位するに際し、当接壁部の非支持部分が容易に圧潰的に変形することで、該物体の姿勢変位を好適に許容し得る。従って、前記低剛性の物体が歩行者であった場合には、該歩行者の脚部における膝部に過大な負担がかかることを防止することができ、該膝部における膝関節に重大な怪我を負うことを好適に回避し得る等の有益な効果を奏する。また衝撃吸収部材は、公知のブロー成形技術を利用して一体的に成形されるので、成形コストを低く抑え得る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に係る衝撃吸収部材を一部省略して示した概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】(a)は、当接壁部の全面に対して均一的な押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより全体が均一的に圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図4】(a)は、当接壁部の非支持部分よりも支持部分に対して大きな押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより全体が均一的に圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図5】(a)は、当接壁部の支持部分よりも非支持部分に対して大きな押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより下側部分より上側部分が大きく圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図6】実施例の衝撃吸収部材を、車体前面にバンパービームの前端面に組付けた実施状態で示した車両の概略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】概略的に図示した歩行者の脚部と、バンパービームに取付けられた衝撃吸収部材との位置関係を、衝突前の状態で例示した説明断面図である。
【図9】歩行者の脚部と車両との衝突初期段階を例示した説明断面図である。
【図10】歩行者の脚部と車両との衝突中期段階を例示した説明断面図である。
【図11】歩行者の脚部と車両との衝突後期段階を例示した説明断面図である。
【図12】車体前面にバンパービームを設けた従来の車両の概略斜視図である。
【図13】図12のX−X線断面図である。
【符号の説明】
10 車両
14 バンパービーム
22 取付壁部
24 当接壁部
26 支持壁部
32 支持部分
34 非支持部分
44 膝下部分
【発明の属する技術分野】
この発明は、衝撃吸収部材に関し、更に詳細には、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から生産されている乗用車等の車両では、衝突安全の重点が乗員保護に置かれていた。例えば、当該車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護する目的で、エアバッグ装置が標準的に装備されるようになったことは勿論、ピラーガーニッシュやドアトリムの内側に、リブ構造体または中空構造体とされる合成樹脂製の衝撃吸収部材を配設することで、乗員の頭部、胸部または腰部等へのダメージを軽減する対策も図られている。
【0003】
そして、乗員保護に関する安全対策が確立するに至った近年では、歩行者保護に関する安全対策の確立が希求されつつある。すなわち、走行中の車両が誤って歩行者に衝突したり接触した場合に、該歩行者の脚部、腰部、胸部および頭部へ加わる衝撃を緩和して負傷度合を軽減するための技術が、各自動車メーカーや自動車部品メーカー等において研究・開発されている。
【0004】
図12および図13に例示するように、乗用車等の車両10における車体の前側および後側には、バンパーフェース12の内側(裏側)に被覆された状態でバンパービーム14が配設されている(図では、車体の前側のみを表示している)。すなわち、当該車両10が他の車両や物体等に衝突した際には、変形した前記バンパーフェース12を介して前記バンパービーム14がその衝撃を受け止め、この際に該バンパービーム14が変形して衝突による衝撃吸収を図るようになっている。このバンパービーム14は、従前では金属製(鋼等)のものが主流とされていたが、近年に至っては、軽量化や防錆面等で有利とされる合成樹脂製のものに置換されつつある。このような合成樹脂製のバンパービーム14は、インジェクション成形により成形されたリブ構造体や、ブロー成形により成形された中空構造体等のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたバンパービームや図12に例示したバンパービーム14は、あくまで他の車両や種々の硬質物体(例えばガードレール、ブロック塀等)等の所謂「剛性が高くて重量が嵩む物体」との衝突を前提として設計されたものが殆どであり、このような高剛性重量物体との衝突時において適切に機能して衝撃吸収を図り得るようになっている。従って従来のバンパービーム14は、歩行者等の所謂「低剛性軽量物体」との衝突に適応し得るように設計されておらず、歩行者保護のためには十分に機能し得なかった。また仮に、歩行者保護にも対応させるべく剛性を適宜低く設計した場合には、バンパービーム14としての本来の機能が阻害されることとなり、高剛性重量物体との衝突および低剛性軽量物体との衝突の両方に対応させ得るバンパービームの実施は技術的な課題があった。
【0006】
そこで前述した問題を解決するために、当該車両10が歩行者等の低剛性軽量物体に衝突した際の衝撃により変形して、該歩行者に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材を別途成形し、この衝撃吸収部材を前記バンパービーム14の端面に組付けるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、高剛性重量物体(他の車両や硬質物体等)との衝突は前記バンパービーム14で対応するようにし、また低剛性軽量物体(歩行者等)との衝突には前記衝撃吸収部材で対応するようにしたものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−237512号公報
【特許文献2】
特開2002−144988号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで特許文献2には、当該車両10と衝突した歩行者の負傷度合を軽減するうえで、殊に当該歩行者の脚部における膝部分の負傷度合の軽減を図るための技術が開示されている。すなわち、歩行者の前方または側方から車両10が衝突した際には、衝撃吸収部材が当該歩行者の重心位置より低い脚部の膝下部分(臑部分)に衝突するようになるため、この衝突による衝撃の反動で歩行者の上体が前方(車両10側)へ倒れ込んでしまう。従って、衝突した衝撃吸収部材により脚部の膝下部分の姿勢変位が規制された場合、膝関節には折曲不可能な方向へ過大な負荷がかかることとなり、膝部分に重大な怪我を負ってしまう虞がある。
【0009】
このため特許文献2では、バンパービームの前面を下方から上方に向かって車体方向へ後退した形状(段付形状または傾斜形状)とすると共に、これに合わせて衝撃吸収部材の後面を下方から上方に向かって車体方向へ前進した形状とすることで、該衝撃吸収部材の下側部位と上側部位とで厚み寸法を変えてある。すなわち衝撃吸収部材は、下側部位より上側部位の方が変形可能量が大きく設定されているため、上体が車両10の側へ倒れ込むに際して脚部の膝下部分もこれに追従して姿勢変位することが許容され、膝部分にかかる負担を軽減するようにしたものである。
【0010】
しかしながら特許文献2に開示の構造では、全体が均一硬さで成形された中実状の前記衝撃吸収部材の外形形状を前述した形状に整形するだけで、押圧時の変形可能量を下側部位および上側部位で変えるようにしたものであるから、歩行者の脚部に衝突した際には厚みが小さい下側部位が所謂「底付き状態」となり易い問題がある。このように、衝撃吸収部材の下側部位が完全に押し潰されてしまった場合には、膝下部分に加わる衝撃を好適に吸収することができなくなり、当該衝撃吸収部材に要求される本来の衝撃吸収性能が低下して膝下部分の負傷度合の軽減を図り得ない不都合が指摘される。
【0011】
また、衝撃吸収性能の特性を変更するためには、前記衝撃吸収部材の外形形状を変更する必要があり、これに伴って前記バンパービームの外形形状(端面形状)も変更しなければならない。このため、煩雑な設計変更作業が伴うと共に製造コストが嵩んでしまう問題等も内在していた。
【0012】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、当接壁部を裏側から支持する支持壁部を有する中空構造体として、この支持壁部の支持位置の設定により当接壁部の押圧時の変形態様を調整することで、殊に歩行者脚部の負傷度合の軽減を好適に図り得るようにした衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、車両における車体の前面または後面に配設したバンパービームに組付けられ、当該車両が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材において、
前記衝撃吸収部材を、
前記バンパービームに当接する取付壁部から所要量だけ離間し、衝突時に前記物体からの衝撃を受ける当接壁部と、前記取付壁部から延出し、前記当接壁部の裏側を部分的に支持する支持壁部とを有する中空構造体として構成し、
前記当接壁部は、前記低剛性の物体との衝突時に、前記支持壁部で支持されている支持部分よりも、該支持壁部で支持されていない非支持部分が容易に変形して、衝突による該物体の姿勢変位を許容するようになっていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る衝撃吸収部材につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車両における車体の前面に配設したバンパービームに取付けるようにした衝撃吸収部材につき例示する。従って、図12および図13に既出の部材、部位と同一の部材、部位は、同一の符号を付して説明する。
【0015】
図1は、好適実施例に係る衝撃吸収部材を一部省略して示した概略斜視図であり、図2は図1のII−II線断面図である。本実施例の衝撃吸収部材20は、図3および図4に示すように、車両10における車体の前面または後面に配設した前記バンパービーム14の前端面16に組付けられ、当該車両10が例えば歩行者等に代表される低剛性の物体に衝突した際の衝撃により圧潰的に変形して、これにより該歩行者に作用する衝撃を緩和させ得るようになっている。
【0016】
実施例の衝撃吸収部材20は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の樹脂材料をブロー成形技術を利用してブロー成形した中空構造体であって、全長Lが1000mm程度、高さHが100mm程度、前後方向の厚み(ストローク)Dが60mm程度の外形サイズとされる。また各部分の肉厚tは、いずれも2mm程度とされている。
【0017】
前記バンパービーム14の前端面16に組付けることを前提とした前記衝撃吸収部材20は、該バンパービーム14の外端面に当接する取付壁部22と、この取付壁部22から所要量(前記厚みD分の約60mm)だけ離間し、衝突時に前記歩行者等の低剛性の物体からの衝撃を受ける前側の当接壁部24と、前記取付壁部22から延出し、前記当接壁部24の裏側を部分的に支持する支持壁部26とを有している。これにより実施例の衝撃吸収部材20は、上下に分離した2つの内部空間を有する中空構造体とされている。すなわち、当接壁部24と取付壁部22、該取付壁部22と支持壁部26とは、単一のパリソンからブロー成形されて各部分が一体的に形成されている。
【0018】
前記支持壁部26は、前記取付壁部22から当接壁部24の間において上下に適宜間隔をおいて横ハ字状に延出する2枚の支持板28,28と、これら支持板28,28の先端間に延在して前記当接壁部24の裏側に接合される接合板30とから形成されている。このような支持壁部26は、図2に示すように、前記当接壁部24における上下中央ラインCLから下方へ所要量だけ偏倚した部分、すなわち該当接壁部24の下側部分を裏側から支持するように延出形成されている。これにより当接壁部24は、前記バンパービーム14に取付けた際に、下側に位置して前記支持壁部26から支持される支持部分32と、上側に位置して該支持壁部26から支持されない非支持部分34とに便宜上区分されている。
【0019】
従って実施例の衝撃吸収部材20は、前記上下中央ラインCLを境界として、前記支持部分32に対応した下側部分よりも前記非支持部分34に対応した上側部分の方が変形し易い構造となっている。しかし、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の全面に対して均一的な押圧力が作用した場合には(図3(a))、前記支持壁部26がこの衝突による衝撃力を受け止めるようになるため、衝撃吸収部材20は全体が均一な厚みに圧潰変形する(図3(b))。
【0020】
また、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の非支持部分34よりも支持部分32に大きな押圧力が作用した場合には(図4(a))、前記支持壁部26がこの衝突による衝撃力を受け止めるようになるため、衝撃吸収部材20は全体が均一な厚みに圧潰変形する(図4(b))。ところが、前記当接壁部24に対して歩行者等が衝突した際に、該当接壁部24の支持部分32よりも非支持部分34に大きな押圧力が作用した場合には(図5(a))、前記支持壁部26では衝突による衝撃力を完全に受け止めることができないため、衝撃吸収部材20は下側部分よりも上側部分が大きく圧潰変形する(図5(b))。
【0021】
従って実施例の衝撃吸収部材20は、後述すると共に図8〜図11に示すように、車両10が歩行者に衝突するに際し、該歩行者の重心位置よりも下に位置する脚部40の膝下部分(臑部分)44に衝突して、当該歩行者が車両10の側へ倒れ込むような姿勢となった場合には、これに伴ってバンパービーム14の側へ姿勢変位するようになる該膝下部分44の移動を好適に許容し得る。すなわち衝撃吸収部材20は、歩行者の脚部40(膝下部分44)が車両10の方へ傾斜状態に姿勢変位しようとすると、前記支持部分32よりも非支持部分34に大きな押圧力が加わるようになるから、前述したように該非支持部分34が押圧力によって大きく変形して該膝下部分44の姿勢変位を好適に許容するようになる。
【0022】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された実施例に係る衝撃吸収部材20の作用につき、図8〜図11を引用して具体的に説明する。
【0023】
前述した実施例の衝撃吸収部材20は、図6および図7に示すように、前記バンパービーム14の前端面16に組付けることで該バンパービーム14の前側に位置し、また車体の最前部に配設した前記バンパーフェース12の内側に収容されて車体外方からは全く視認されない。このようにバンパービーム14の前側に配設することで、当該車両10が歩行者等に衝突した際には、この衝突による衝撃力は前記衝撃吸収部材20が受け止めるようになる。
【0024】
図8は、概略的に図示した歩行者の脚部40と、バンパーフェース12の内側でバンパービーム14に取付けられた実施例の衝撃吸収部材20との位置関係を、衝突前の状態で例示した説明断面図である。前記車両10が乗用車の場合には、図に示すように、バンパービーム14の前端面16に組付けた実施例の衝撃吸収部材20の配設位置が、大人の歩行者の脚部40における膝部42の下方に位置する膝下部分44に衝突するようになる。ここで、図中の符号46は脚部40の大腿部を示しており、この大腿部の上方に図示しない上体(上半身)が位置している。なお図8では、図面右方向が歩行者の前側とされ、当該車両10が該歩行者の正面から接近する場合を例示している。
【0025】
図9は、歩行者の脚部40と車両10との衝突初期段階を例示した説明断面図であって、脚部40における膝下部分44に接触したバンパーフェース12が衝撃吸収部材20の側へ変形し、該膝下部分44による押圧力が衝撃吸収部材20の当接壁部24に加わり始めた状態を示している。この衝突初期時点では、歩行者は身体全体が略直立状態で起立しているため、脚部40の膝下部分44も略直立状態となっている。従って、前記当接壁部24の全面に略均一な押圧力が加わるようになるため、衝突による衝撃力は前記支持壁部26の各支持板28,28で受け止められている。
【0026】
図10は、歩行者の脚部40と車両10との衝突中期段階を例示した説明断面図であって、脚部40の膝下部分44に車両10の前側が衝突したことにより、歩行者の図示しない上体が、衝突の衝撃による反動で車両10の側へ倒れ込むようになる。このため歩行者の脚部40は、上体が徐々に倒れ込んだ姿勢となることに伴い、図示右方向へ徐々に姿勢変位するようになる。これにより、前記当接壁部24の非支持部分34に対する押圧力が徐々に増加するようになるため、衝撃吸収部材20は下側部分よりも上側部分の方が圧潰的な変形量が大きくなり、脚部40の全体的な姿勢変位が許容される。
【0027】
図11は、歩行者の脚部40と車両10との衝突後期段階を例示した説明断面図であって、歩行者が車両10の側へ倒れ込んだ前傾姿勢となることにより、脚部40の大腿部46および膝部42も車両10の側へ変位する。これにより、当接壁部24の非支持部分34に対する押圧力が更に増大するため、衝撃吸収部材34は下側部分より上側部分が大きく圧潰的に変形する。なお、膝下部分44との衝突による衝撃が前記支持壁部26にも加わるため、該支持壁部26の各支持板28,28はS字状に屈折変形するようになり、この際に衝突による衝撃吸収が図られる。
【0028】
なお、実施例の衝撃吸収部材20は、図2から明らかなように、成形時における下側部分および上側部分における前後方向の厚みDが同一であるから、前記支持壁部26が形成されている下側部分であっても十分な変形量が確保されている(図3(b)、図4(b))。従って、歩行者の脚部40に衝突したとしても、この下側部分において底付き状態となることが防止され、膝下部分44に加わる衝撃を好適に吸収することができるので該膝下部分44の負傷度合の軽減を図り得る。
【0029】
このように実施例の衝撃吸収部材20では、当該車両10が歩行者と衝突した際に、該歩行者が車両10の側へ倒れ込んで脚部40が姿勢変位するに際し、前記当接壁部24の非支持部分34が容易に圧潰的に変形することで、該脚部40の膝下部分44の姿勢変位を好適に許容し得る。従って、脚部40の大腿部46のみが前方へ変位することが回避されるので、膝部42に過大な負担がかかることを防止して該膝部(膝関節)42に重大な怪我を負うことが好適に回避される。
【0030】
また実施例の衝撃吸収部材20は、公知のブロー成形技術を利用して一体的に成形されるので、成形コストを低く抑え得る。
【0031】
なお実施例の衝撃吸収部材20では、前記取付壁部22から延出した前記支持壁部26の形成位置を変更することにより、前記当接壁部24の裏側に対する支持位置が変更されるので、該当接壁部24の変形態様を変更して衝撃吸収特性を変化させることが可能である。すなわち、衝撃吸収部材20の衝撃吸収特性を変更する場合には、前記バンパービーム14を形状を変更する必要が全くなく、該バンパービーム14の設計変更に伴うコストアップを招来することはない。
【0032】
前記実施例では、車両の車体前面に配設したバンパービーム14に取付ける衝撃吸収部材を例示したが、本願が対象とする衝撃吸収部材は、車体後面に配設したバンパービームに取付けて使用に供されるものも含まれる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る衝撃吸収部材によれば、当該車両が低剛性の物体と衝突した際に、該物体が車両の側へ倒れ込んで姿勢変位するに際し、当接壁部の非支持部分が容易に圧潰的に変形することで、該物体の姿勢変位を好適に許容し得る。従って、前記低剛性の物体が歩行者であった場合には、該歩行者の脚部における膝部に過大な負担がかかることを防止することができ、該膝部における膝関節に重大な怪我を負うことを好適に回避し得る等の有益な効果を奏する。また衝撃吸収部材は、公知のブロー成形技術を利用して一体的に成形されるので、成形コストを低く抑え得る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に係る衝撃吸収部材を一部省略して示した概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】(a)は、当接壁部の全面に対して均一的な押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより全体が均一的に圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図4】(a)は、当接壁部の非支持部分よりも支持部分に対して大きな押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより全体が均一的に圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図5】(a)は、当接壁部の支持部分よりも非支持部分に対して大きな押圧力が作用する場合の説明断面図、(b)は、これにより下側部分より上側部分が大きく圧潰変形した状態を示した説明断面図である。
【図6】実施例の衝撃吸収部材を、車体前面にバンパービームの前端面に組付けた実施状態で示した車両の概略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】概略的に図示した歩行者の脚部と、バンパービームに取付けられた衝撃吸収部材との位置関係を、衝突前の状態で例示した説明断面図である。
【図9】歩行者の脚部と車両との衝突初期段階を例示した説明断面図である。
【図10】歩行者の脚部と車両との衝突中期段階を例示した説明断面図である。
【図11】歩行者の脚部と車両との衝突後期段階を例示した説明断面図である。
【図12】車体前面にバンパービームを設けた従来の車両の概略斜視図である。
【図13】図12のX−X線断面図である。
【符号の説明】
10 車両
14 バンパービーム
22 取付壁部
24 当接壁部
26 支持壁部
32 支持部分
34 非支持部分
44 膝下部分
Claims (4)
- 車両(10)における車体の前面または後面に配設したバンパービーム(14)に組付けられ、当該車両(10)が低剛性の物体に衝突した際の衝撃により変形して、該物体に作用する衝撃を緩和させる合成樹脂製の衝撃吸収部材において、
前記衝撃吸収部材を、
前記バンパービーム(14)に当接する取付壁部(22)から所要量だけ離間し、衝突時に前記物体からの衝撃を受ける当接壁部(24)と、前記取付壁部(22)から延出し、前記当接壁部(24)の裏側を部分的に支持する支持壁部(26)とを有する中空構造体として構成し、
前記当接壁部(24)は、前記低剛性の物体との衝突時に、前記支持壁部(26)で支持されている支持部分(32)よりも、該支持壁部(26)で支持されていない非支持部分(34)が容易に変形して、衝突による該物体の姿勢変位を許容するようになっている
ことを特徴とする衝撃吸収部材。 - 前記支持壁部(26)は、前記当接壁部(24)における上下中央から下方へ偏倚した部分を裏側から支持し、これにより当接壁部(24)は、下側に位置する前記支持部分(32)よりも、上側に位置する前記非支持部分(34)が容易に変形するようになっている請求項1記載の衝撃吸収部材。
- 前記当接壁部(24)、取付壁部(22)および支持壁部(26)は、ポリプロピレン等の樹脂材料からブロー成形技術に基いて一体的に形成されている請求項1または2記載の衝撃吸収部材。
- 前記低剛性の物体は歩行者であり、この歩行者の脚部における膝下部分(44)に前記当接壁部(24)が衝突した際に、該膝下部分(44)の姿勢変位を許容するようになっている請求項1〜3の何れかに記載の衝撃吸収部材。
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-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322974A patent/JP2004155313A/ja active Pending
Cited By (3)
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