JP2004154926A - ピンミラーカッタ - Google Patents
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Abstract
【課題】カッタ取付部に対し、その熱に拘わることなくカッタ本体が相対的にずれるのを防止できること。
【解決手段】カッタ本体2がカッタ取付部3の内周部に挿入されたとき、位置決め固定機構により、スラスト方向に相対的に位置決めされた状態で固定される。位置決め固定機構は、カッタ本体2にカッタ取付部3方向に延在して設けられた突起5と、カッタ取付部3の内周部に形成された差込用切欠6と、差込用切欠6に突起5を差し込んだとき、該差込用切欠6及び突起5間に周方向に介設された固定駒7とを備えて構成される。
【選択図】 図6
【解決手段】カッタ本体2がカッタ取付部3の内周部に挿入されたとき、位置決め固定機構により、スラスト方向に相対的に位置決めされた状態で固定される。位置決め固定機構は、カッタ本体2にカッタ取付部3方向に延在して設けられた突起5と、カッタ取付部3の内周部に形成された差込用切欠6と、差込用切欠6に突起5を差し込んだとき、該差込用切欠6及び突起5間に周方向に介設された固定駒7とを備えて構成される。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、往復動式内燃機関のクランクシャフトを加工するピンミラーカッタに係り、特に、ピンミラーカッタのカッタ本体を、加工機に設けられるカッタ取付部に着脱するためのピンミラーカッタの技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、往復動式内燃機関のクランクシャフトを加工する工具として、円環状に形成されるカッタ取付部の内周部に、カッタ本体が挿入されて取り付けられるピンミラーカッタが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このピンミラーカッタは、カッタ本体の外周にスプラインが、周方向に定ピッチで多数設けられると共に、カッタ取付部(アダプタ)の内周部に、スプラインを嵌合するスプライン溝がスプラインと同数設けられている。スプラインは、カッタ取付部に対するカッタ本体の差込み方向前端部で、後端部より幅が狭くなるようカッタ厚み方向に所望の角度のテーパが取り付けられて台形状をなしており、該台形状の幅の狭い前端部からスプライン溝に嵌め込まれたスプラインが、テーパ面の働きでスプライン溝の厚み方向の中心に位置決めされた後、クランパ及びネジによってカッタ本体がカッタ取付部の中心に心出して取り付けられるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−118125号公報(第6頁、第1図及び第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のピンミラーカッタにおいては、カッタ取付部のスプライン溝にカッタ本体のスプラインを嵌合することで、カッタ取付部とカッタ本体との相対位置がずれないように取り付けられているものの、以下に述べる問題があった。
【0006】
即ち、ピンミラーカッタの加工中にカッタ本体を交換しようとすると、加工時の熱によりカッタ取付部の温度が上昇し、膨張していることから、カッタ取付部のスプライン溝の形状が常温のときより拡がってしまう。そのため、この状態のスプライン溝に、交換すべき常温のカッタ本体のスプラインを嵌め込んで取り付けると、スプラインがカッタ取付部のスプライン溝に微小な寸法ながら奥まで嵌め込まれてしまう結果、カッタ取付部とカッタ本体間の相対的位置がスラスト方向にずれてしまうばかりでなく、そのずれたままで加工を行うと、カッタ本体に設けられている切刃が異常にブレてしまうという問題があった。この問題は、常温においても、クランパを固定するネジの締め付け方によって上記スラスト方向のずれが生じ、また、クランパの締め付け時に、一箇所でも上記スラスト方向のずれが生じると他のクランパ締め付け状態を調整してもずれの修正が困難である。従って、上記従来のピンミラーカッタは、上記スラスト方向のずれが生じやすく、カッタ本体の取り付け状態に高い信頼性が得られないという問題があった。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、カッタ本体を交換により取り付けても、カッタ取付部に対し、その熱等に拘わることなくカッタ本体が相対的にずれるのを防止できる、信頼性の高いピンミラーカッタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、加工機に装着されるカッタ取付部の内周部又は外周部に、カッタ本体を取り付けるピンミラーカッタにおいて、前記カッタ取付部と前記カッタ本体とのいずれか一方又は双方に、前記カッタ本体の厚み方向の中心部を求心的に位置決め固定させる位置決め固定機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、位置決め固定機構がカッタ取付部とカッタ本体とのいずれか一方に、又は双方にカッタ本体の厚み方向の中心部を位置決め固定させるので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で温度上昇することで膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体の厚み方向の中心部をカッタ取付部に正確に位置決め固定することができ、従って、正確な心出しが行え、良好な加工を行うことができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のピンミラーカッタにおいて、前記位置決め固定機構は、カッタ本体の外周部にカッタ取付部方向に延在して複数設けられた突起と、カッタ取付部の内周部に、前記突起の各々を挿入する差込用切欠と、該差込用切欠及び前記突起間に周方向に介設され、かつ前記突起の各々を前記差込用切欠にそれぞれ差し込んだとき、カッタ取付部とカッタ本体とを相対的に位置決め固定させる固定駒とを備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、位置決め固定機構がカッタ本体をカッタ取付部に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で温度上昇することで膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確に位置決め固定することができ、良好な加工を行うことができる。
そして、カッタ本体の突起の各々がカッタ取付部材の差込用切欠にそれぞれ差し込まれたとき、固定駒が差込用切欠及び突起間に周方向に介設されることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定させるので、カッタ取付部に対するカッタ本体の位置決め固定を良好に行うことができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、表板と、表板と対称形状に形成された裏板と、前記表板及び裏板を、カッタ取付部の厚み方向に沿い相対移動可能に支持する締め付け部材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、締め付け部材を操作して表板及び裏板間を、カッタ本体、カッタ取付部の厚み方向に移動して狭めることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、カッタ取付部の差込用切欠に、該カッタ取付部の内周部側・外周部側方向に進退可能に取り付けられていることを特徴とする。
この発明に係るピンミラーカッタによれば、カッタ取付部の差込用切欠に進退可能に取り付けられているので、固定駒を取り外すことなく定位置にスライドさせるだけで、カッタ本体の交換が可能である。また、固定駒を落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、表板と、該表板と対称形状に形成された裏板と、これら表板及び裏板を、互いにカッタ取付部の厚み方向に対向させて固定する締め付け部材とを備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、締め付け部材により表板及び裏板間を操作し、カッタ本体及びカッタ取付部の厚み方向に移動して狭めることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、前記表板、裏板の少なくとも一方は、その一端部がカッタ取付部、カッタ本体のいずれか一方に、その表面と略平行な軸線をもって回動可能に取り付けられ、前記軸線を中心として前記表面から起立する方向に回動可能とされていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、表板がカッタ取付部に回動可能に取り付けられているので、カッタ本体の交換時に表板を回動させることで差込用切欠に対し突起を抜き差しできることから、表板及び裏板の双方を取り外す必要がなく、カッタ本体の交換を容易に行うことができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、前記表板、裏板のいずれか一方がカッタ取付部に取り付けられ、同他方がカッタ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、表板、裏板のいずれか一方を取り外すことにより差込用切欠に対し突起を抜き差しできることから、カッタ本体の交換を容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図6はこの発明の第1の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図1はピンミラーカッタの正面図、図2は図1のカッタ本体を示す図、図3はカッタ取付部を示す要部の拡大図、図4は図3のA−A線に沿う拡大断面図、図5は固定駒を示す説明図、図6は図1のB−B線に沿う拡大断面図である。
図1に示すピンミラーカッタ1は、カッタ本体2が、円環状をなすカッタ取付部3の内周部に挿入されたとき、位置決め固定機構4により、スラスト方向に相対的に位置決めして固定されている。
【0022】
位置決め固定機構4は、図1に示すように、カッタ本体2にカッタ取付部3の方向に延在して設けられた突起5と、カッタ取付部3の内周部に形成された差込用切欠6と、該差込用切欠6に突起5を差し込んだとき、差込用切欠6及び突起5間に周方向に介設された固定駒7とを備えて構成されている。
【0023】
突起5は、図2(a)に示すように、カッタ本体2の外周部にそのカッタ取付部3方向に向かい所望の幅Lをもって、かつ等間隔に放射状に延在して設けられている。突起5の幅L方向の両端5a及び5bは、図2(b)に示すように、カッタ取付部3に対する差込み方向の前端部から中心部に至るに従い次第に幅が大きくなると共に、その中心部から差込み方向後端部に至るに従い次第に幅が小さくなり、しかも差込み方向前端と後端とが同じ幅寸法をなし、従って、厚さ方向の中心部が最も幅の大きくなる山形形状に形成されている。
なお、カッタ本体2には、クランク等の被削体を切削するための切刃が形成されているが、図においては省略してある。
【0024】
差込用切欠6は、図1及び図3に示すように、カッタ取付部3の内周の一部を切り欠くことで突起5を差し込める大きさに形成されている。その際、差込用切欠6は、図3に示すように、幅L1が突起5の幅Lよりに大きめに形成され、例えば、図6に示すように、突起5と対応してV字状に形成された差込用切欠6の一端6aに、突起5の一端5aを挿入したとき、該突起5の他端5bから所定の距離隔てた位置に他端6bが位置する大きさになっている。なお、他端6bは、後述する凹部31の底壁32を構成している。
【0025】
固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6に対して、カッタ取付部3の内周部側・外周部側方向に進退可能に取り付けられている。具体的に述べると、固定駒7は、図5に示すように、表板71と、該表板71と対称形状をなすと共に表板71の背面側に配置される裏板72と、両者71及び72を固定駒7の厚み方向に沿い移動可能に支持する楔ピン(締め付け部材)73とを備えている。
【0026】
楔ピン73の上部外周には、例えば、表板71の挿通部に設けられた雌ねじ(図示せず)と対応する雄ねじ73aが設けられる一方、下部外周には、裏板72の挿通部に設けられた雌ねじ(図示せず)と対応する雄ねじ73bが設けられ、雄ねじ73aと雄ねじ73bとが互いに反対回りの形状で刻設されている。そして、楔ピン73が工具等で一方向に回されることで、表板71と裏板72間の間隔が図5の矢印と反対方向に狭まり、かつ反対方向に回されると、表板71と裏板72間の間隔が同図に示す矢印方向に拡がるようになっている。楔ピン73の中央部分には縮径部74が設けられている。
【0027】
この固定駒7は、図4に示すように楔ピン73の縮径部74がカッタ取付部3の凹部31の底壁32に設けられた長孔33を挿通することで、表板71と裏板72とが底壁32を挟み込んでおり、楔ピン73が緩められた状態にあるとき、縮径部74が長孔33内を移動することで、図3に示すように差込用切欠6から後退した位置に移動したり、図1に示すように差込用切欠6方向に移動したりするようになっている。
【0028】
このような固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6の一端6aにカッタ本体2の突起5の一端5aが係合したとき、差込用切欠6に移動し、図6に示すように、表板71と裏板72とが突起5の他端5bを係止させ、その状態で楔ピン73が締め付け方向に回されると、表板71と裏板72とが突起5の他端5bを係止させることで、カッタ本体2及びカッタ取付部3を相対的にスラスト方向に位置決めし、かつ同軸上で固定できるようになっている。
【0029】
そのため、固定駒7は、楔ピン73が締め付け方向に回転することで、表板71と裏板72とが互いに対向して凹部31の底壁32を挟み込みながら突起5の他端5b側を挟持するようになっている。凹部31は、カッタ取付部3の前後面において、差込用切欠6から退避する退避位置と、差込用切欠6に向かう前進位置とに跨るように連設され、固定駒7が作業者によってその退避位置と前進位置とに選択的に移動されるようになっている。
【0030】
なお、カッタ本体2には、内周部に被削体であるクランクを切削するための切刃(図示せず)が設けられ、またカッタ取付部3は、図示しない加工機に装着して駆動される。図1において、符号8は、加工機に装着するため、カッタ取付部3の後面に設けられた段差部を表している。
【0031】
この実施形態のピンミラーカッタ1は、上記のように構成されているので、カッタ取付部3にカッタ本体2を取り付ける場合には、予め、使用しないカッタを取り外して、固定駒7を図3に示すようにカッタ取付部3の差込用切欠6から外れた退避位置の凹部31にずらしておいた後、その状態でそのカッタ取付部3の内周側にカッタ本体2を入れて、カッタ本体2の突起5を差込用切欠6内に差し込み、次いでカッタ本体2を図1及び図3において反時計方向に回すことで、突起5の一端5aを差込用切欠6の一端6aに係合させる。
【0032】
この状態で、固定駒7の楔ピン73を緩める方向に回して固定駒7を図3から図1に示すような内周側に移動すると、固定駒7の表板71と裏板72との端面が突起5の他端5bと当接し、その後、楔ピン73を締め付け方向に回すと、表板71と裏板72とが両者の間隔を狭めることから、凹部31の底壁32を挟み込みながら突起5の他端5bをカッタ取付部3の厚み方向の中心部と一致するように挟着し、これによって、図6に示すように、カッタ本体2がカッタ取付部3とスラスト方向に相対的に位置決めされて、同軸上に固定されることとなる。
【0033】
この実施形態によれば、突起5と差込用切欠6と固定駒7とを備えた位置決め固定機構4によって、カッタ本体2をカッタ取付部3に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるので、カッタ本体2を交換したとき、カッタ取付部3が加工時の熱で膨張している場合等であっても、これに拘わることなくカッタ本体2をカッタ取付部3に対し正確に位置決め固定することができる。これにより、交換によって取り付けられた常温のカッタ本体の位置がずれるのを防止することができるばかりでなく、その後の加工時に切刃にブレが発生したりするのを防ぐことができ、良好な加工を行うことができる結果、位置決め固定機構4としての信頼性が高まる。また、カッタ取付部3とカッタ本体2との回転方向の隙間をなくすことができ、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0034】
また、位置決め固定機構4は、カッタ取付部3の内周に設けられた差込用切欠6に、カッタ本体2の外周に設けられた突起5を差し込んだとき、固定駒7を退避位置から前進して締め付けることで、カッタ本体2及びカッタ取付部3間のスラスト方向を位置決めすることができるので、カッター本体2の取り付けを簡単に行うことができ、交換を良好に行うことができる。
【0035】
この場合、固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6に進退可能に取り付けられているので、落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体2の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる。しかも、楔ピン73を回転操作することにより、固定駒7の移動、固定を行えるので、固定駒7の取扱いが簡便となる。
【0036】
図7から図9は、この発明の第2の実施の形態に係るピンミラーカッタを示している。
この場合も、第1の実施形態と同様に、位置決め固定機構4の固定駒7がカッタ取付部3の差込用切欠6に進退可能に取り付けられている。そして、この実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、図6に示す固定駒7を支持している凹部31の底壁32に相当する部分が切り除かれることで、図8に示すように貫通孔34が形成され、その貫通孔34に設けられたガイド部35により、固定駒7が退避位置で支持されるようになっている。ガイド部35は、図8に示すように、固定駒7の表板71及び裏板72間に対応する形状、つまり、図2(b)のようなカッタ本体2の突起5の両端5a、5bと同様の形状をなしている。
【0037】
そして、カッタ本体2がカッタ取付部3から取り外された状態にあるとき、ガイド部35が固定駒7の両側を支持することで固定駒7を退避させ、カッタ本体2がカッタ取付部3の差込用切欠6に差し込まれたとき、カッタ取付部3上で求心方向に前進し、そこで楔ピン73が締め付け方向に回転されることで、図9に示すように突起5の他端5bとカッタ本体2間に固定駒7が固定され、これによって、カッタ本体2とカッタ取付部3とが相対的にスラスト方向に位置決め固定されるようになっている。
【0038】
従って、この実施形態によれば、基本的には前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。しかも、カッタ取付部3に貫通孔34、ガイド部35が設けられているので、カッタ取付部3に凹部31及び底壁32を設ける第1の実施形態に比較すると、それだけ製作が容易となる等の利点が得られる。
なお、上記の第1,第2の実施の形態において、図10に示すようにカッタ本体2とカッタ取付部3との間に、カッタ本体2の取り付け時における落下防止機構100を設けることも可能である。即ち、落下防止機構100は、図11(a)、(b)に示すように、カッタ本体2の突起5の先端部に凹部101を形成し、この凹部101内に環状の落下防止駒102を配置し、この落下防止駒102をネジ103により突起5に固定する。この場合、落下防止駒102は、その一部が突起5の先端縁から外方に突出している。また、図12に示すように、カッタ取付部3の差込用切欠6に望む部分に凹部104を形成する。
そして、カッタ本体2の取り付け時に、図10に示すようにカッタ本体2の突起5を差込用切欠6内に差し込みつつ落下防止駒102を凹部104内に係合させる。従って、この構成を採用した場合には、カッタ本体2の取り付け時において、当該カッタ本体2の落下を防止することができる。
【0039】
図13から図15は、この発明の第3の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図13は要部の正面図、図14は図13のE−E線に沿う拡大断面図、図15は図13のF−F線に沿う拡大断面図である。
ところで、前述した第1の実施形態では、固定駒7によってカッタ本体2がカッタ取付部3に取り付けられたとき、固定駒7が図3に示す状態から図1に示すように差込用切欠6に移動することから、カッタ取付部3において、楔ピン73の縮径部74を案内する長孔33の一部が外部に露出した状態となる。そのため、ピンミラーカッタ1による加工時、被削体から発生した切屑が、長孔33の部分に付着し、しかも加工時に用いられる切削油等によってこびりついた状態となる。このような状態で、カッタ本体2の交換のために固定駒7を待避させようとすると、付着した切屑のために楔ピン73が長孔33の端部まで移動することができず、固定駒7を待避させることができなくなる結果、カッタ本体2をカッタ取付部3から取り外せなくなるおそれがある。その上、カッタ取付部3には、長孔33を有する底壁32が存在すると、それだけカッタ取付部3の剛性が低下し、ひいてはピンミラーカッタ全体の剛性低下も起こり得る。
【0040】
そこで、この実施形態において、固定駒7Aが、表板71Aと、裏板72Aと、これら71A、72Aを互いに分離可能に固定する楔ピン(締め付け部材)73Aとを備えている。表板71Aは、図13に示すように、差込用切欠6と突起5間に挿入される大きさであって略四角の板体をなしており、図15に示すように突起5の一端5bと当接する端面がそれと対応する角度で傾斜して形成されている。裏板72Aは、表板71Aと対称形状をなしており、突起5bと当接する端面がそれと対応する角度で傾斜している。
【0041】
楔ピン73Aは、例えばボルトとナットを組み合わせたものであって、回転操作により互いに表板71Aと裏板72Aを締め付けることでスラスト方向に相対移動させて差込用切欠6に突起5を位置決め固定し、また締め付けを解除して取り外されることにより表板71Aと裏板72Aとをカッタ取付部3の厚み方向に分離するようになっている。この場合詳細に図示していないが、楔ピン73Aとしては、例えば表板側のねじ部と裏板側のねじ部とが互いに径を違えたり、またそれら両者のピッチを変えたり、更にはリードを変えたりして構成され、いずれにしろ回転操作によって表板71Aと裏板71Bとをカッタ取付部3の厚み方向で互いに固定しかつ分離させるようになっている。
【0042】
また、表板71Aは、図13、図15に示すように、その一端部がカッタ取付部3にその表面と略平行な軸線をもって回動可能に取り付けられ、該軸線を中心としてカッタ取付部3の表面から起立する方向(図15の矢印P方向)へ回動できるようになっている。即ち、表板71Aには、一端部に腕部77が設けられ、該腕部77が図15に示すようにカッタ取付部3の表面に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン75によってカッタ取付部3の表面側にその面方向と直交する方向に回動可能に枢着されている。支持ピン75は、カッタ取付部3の内周側に横設されている。一方、裏板72Aは、図13及び図14に示すように、一端部に腕部78が設けられ、該腕部78がカッタ取付部3に設けられた凹部に挿入され、かつカッタ取付部3の背面側に厚み方向に立設された支持ピン76によって着脱可能に取り付けられている。
【0043】
この固定駒7Aは、楔ピン73Aが回転操作されることで、表板71Aと裏板72Aとをカッタ取付部3の両面方向から締め付け固定するので、カッタ本体2とカッタ取付部3とを相対的にスラスト方向に位置決め固定でき、従って、前述した各実施形態と同様、カッタ取付部3のスラスト方向の中心部にカッタ本体2の中心部を一致させて固定することができるので、その位置決め固定を簡単かつ良好に行うことができ、位置決め固定機構4としての信頼性を高め、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0044】
そして、表板71Aと裏板72Aとは、楔ピン73Aの操作により、差込用切欠6及び突起5間に挿入された状態でカッタ取付部3の厚み方向に相対移動するだけであるので、第1の実施形態のように固定駒7を待避させるための長孔33を設けることが不要になる。そのため、この実施形態によれば、加工時、カッタ取付部3に切屑が付着してこびりつくことやカッタ取付部3の剛性が低下する要因を解消できるので、カッタ本体2の交換を容易に行うことができると共に、カッタ取付部3及びピンミラーカッタ1全体の剛性低下を防止することができる。
【0045】
また、固定駒7Aは、表板71Aがカッタ取付部3に回動可能に枢着される一方、裏板72Aが支持ピン76によりカッタ取付部3に対し着脱可能に取り付けられているので、楔ピン73Aを取り外したとき、表板71Aを開くことで、突起5を差込用切欠6に対して出し入れすることができ、従って、表板71Aと裏板72Aとの双方をカッタ取付部3から取り外す必要もなく、カッタ本体2の交換を容易にかつ良好に行うことができる。
なお、この実施の形態においては、表板71Aを回動可能に取り付ける構成としたが、裏板72Aを回動可能に取り付ける構成としてもよい。また、取り付ける部材は、カッタ本体2側であってもよい。
【0046】
図16から図18は、この発明の第4の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図16は要部の正面図、図17は図16のG−G線に沿う拡大断面図、図18は図16のH−H線に沿う拡大断面図である。
この実施形態の固定駒7Bは、上記第3の実施形態と同様、表板71Bと裏板72Bとが楔ピン73Bによって互いにカッタ取付部3の厚み方向に分離可能に固定されている。
表板71Bは、カッタ本体2の表面側に取り付けられ、裏板72Bは、カッタ取付部3の背面側に取り付けられている。即ち、表板71Bには図17に示すように腕79が突設され、該腕79がカッタ本体2に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン75によって取り付けられている。裏板72Bには腕80が突設され、該腕80がカッタ取付部3に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン76で取り付けられている。楔ピン73Bは、上記第3の実施形態と同様に構成されている。
【0047】
この実施形態によれば、固定駒7Bの楔ピン73Bが表板71Bと裏板72Bとをカッタ取付部3の両面方向から締め付け、突起5を差込用切欠6に固定することで、前述した各実施形態と同様、カッタ取付部3のスラスト方向の中心部にカッタ本体2の中心部を一致させて固定することができるので、ピンミラーカッタ1の加工時、切屑が付着することが何等存在せず、従って、カッタ本体2の交換を容易に行うことができると共に、カッタ取付部3及びピンミラーカッタ1全体の剛性低下を防止することができる。
【0048】
また、表板71Bがカッタ本体2に取り付けられると共に、裏板72Bがカッタ取付部3に取り付けられるので、カッタ本体2の交換のために楔ピン73Bを取り外して表板71Bと裏板72Bとを分離することにより、差込用切欠6に対し突起5を出し入れできることから、表板71B、裏板72Bのいずれか一方を取り外すことにより、カッタ本体2の交換を容易に行うことができる。
【0049】
なお、上記の各実施の形態においては、縁環状のカッタ取付部3の内周部にカッタ本体2を取り付けるように構成したが、この構成に代えて、カッタ取付部3の外周部に円環状に形成したカッタ本体を取り付けるようにしてもよい。この場合、カッタ取付部は、円環状に形成しなくともよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、位置決め固定機構がカッタ本体の厚み方向の中心部をカッタ取付部の中心部に位置決め固定させるように構成したので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確に位置決め固定することができ、従って、正確な心出しが行え、良好な加工を行うことができる。
【0051】
請求項2に係る発明によれば、位置決め固定機構がカッタ本体をカッタ取付部に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるように構成したので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で膨張した状態等であっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確な位置で固定することができ、良好な加工を行うことができる結果、取り付けの信頼性を高めることができる効果が得られる。また、カッタ取付部とカッタ本体との回転方向の隙間をなくすことができ、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0052】
また、カッタ本体の突起の各々がカッタ取付部材の差込用切欠にそれぞれ差し込まれたとき、固定駒が差込用切欠及び突起間に周方向に介設されることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定させるので、カッタ取付部に対するカッタ本体の位置決め固定を良好に行うことができる。
【0053】
請求項3に係る発明によれば、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に確実に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる効果が得られる。
【0054】
請求項4に係る発明によれば、固定駒を外すことなく定位置にスライドさせるだけで、カッタ本体の交換が可能である。また、固定駒を落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる効果が得られる。
【0055】
請求項5に係る発明によれば、締め付け部材により表板及び裏板間を操作して、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる効果が得られる。
【0056】
請求項6に係る発明によれば、表板及び裏板の双方をカッタ取付部から取り外すことがなく、カッタ本体の交換を容易に行うことができる効果が得られる他、加工時に発生する切屑がカッタ取付部に付着してこびり付くことやカッタ取付部の剛性が低下する要因を解消できるという効果が得られる。
【0057】
請求項7に係る発明によれば、表板、裏板の一方を取り外すことにより、カッタ本体の交換を容易に行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す正面図である。
【図2】図1のカッタ本体を示す正面図(a)、及び底面図(b)である。
【図3】カッタ取付部を示す図であって、カッタ本体が取り付けられてないときの要部を示す拡大図である。
【図4】図3のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図5】固定駒を示す説明図である。
【図6】カッタ取付部にカッタ本体を取り付けた状態を示す図であって、図1のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、カッタ取付部にカッタ本体を取り付けた状態の要部の正面図である。
【図8】図7のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図9】同じく図7のD−D線に沿う拡大断面図である。
【図10】この発明の第1、第2実施の形態の変形例を示すピンミラーカッタの要部の正面図である。
【図11】図10に示す変形例のカッタ本体の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のP−P線視断面図である。
【図12】図10に示す変形例のカッタ取付部の要部の正面図である。
【図13】この発明の第3の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す要部の正面図である。
【図14】図13のE−E線に沿う拡大断面図である。
【図15】図13のF−F線に沿う拡大断面図である。
【図16】この発明の第4の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す要部の正面図である。
【図17】図16のG−G線に沿う拡大断面図である。
【図18】図16のH−H線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ピンミラーカッタ
2 カッタ本体
3 カッタ取付部
4 位置決め固定機構
5 突起
6 差込用切欠
7、7A、7B 固定駒
71、71A、71B 表板
72、72A、72B 裏板
73、73A、73B 締め付け部材(楔ピン)
【発明の属する技術分野】
この発明は、往復動式内燃機関のクランクシャフトを加工するピンミラーカッタに係り、特に、ピンミラーカッタのカッタ本体を、加工機に設けられるカッタ取付部に着脱するためのピンミラーカッタの技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、往復動式内燃機関のクランクシャフトを加工する工具として、円環状に形成されるカッタ取付部の内周部に、カッタ本体が挿入されて取り付けられるピンミラーカッタが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このピンミラーカッタは、カッタ本体の外周にスプラインが、周方向に定ピッチで多数設けられると共に、カッタ取付部(アダプタ)の内周部に、スプラインを嵌合するスプライン溝がスプラインと同数設けられている。スプラインは、カッタ取付部に対するカッタ本体の差込み方向前端部で、後端部より幅が狭くなるようカッタ厚み方向に所望の角度のテーパが取り付けられて台形状をなしており、該台形状の幅の狭い前端部からスプライン溝に嵌め込まれたスプラインが、テーパ面の働きでスプライン溝の厚み方向の中心に位置決めされた後、クランパ及びネジによってカッタ本体がカッタ取付部の中心に心出して取り付けられるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−118125号公報(第6頁、第1図及び第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のピンミラーカッタにおいては、カッタ取付部のスプライン溝にカッタ本体のスプラインを嵌合することで、カッタ取付部とカッタ本体との相対位置がずれないように取り付けられているものの、以下に述べる問題があった。
【0006】
即ち、ピンミラーカッタの加工中にカッタ本体を交換しようとすると、加工時の熱によりカッタ取付部の温度が上昇し、膨張していることから、カッタ取付部のスプライン溝の形状が常温のときより拡がってしまう。そのため、この状態のスプライン溝に、交換すべき常温のカッタ本体のスプラインを嵌め込んで取り付けると、スプラインがカッタ取付部のスプライン溝に微小な寸法ながら奥まで嵌め込まれてしまう結果、カッタ取付部とカッタ本体間の相対的位置がスラスト方向にずれてしまうばかりでなく、そのずれたままで加工を行うと、カッタ本体に設けられている切刃が異常にブレてしまうという問題があった。この問題は、常温においても、クランパを固定するネジの締め付け方によって上記スラスト方向のずれが生じ、また、クランパの締め付け時に、一箇所でも上記スラスト方向のずれが生じると他のクランパ締め付け状態を調整してもずれの修正が困難である。従って、上記従来のピンミラーカッタは、上記スラスト方向のずれが生じやすく、カッタ本体の取り付け状態に高い信頼性が得られないという問題があった。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、カッタ本体を交換により取り付けても、カッタ取付部に対し、その熱等に拘わることなくカッタ本体が相対的にずれるのを防止できる、信頼性の高いピンミラーカッタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、加工機に装着されるカッタ取付部の内周部又は外周部に、カッタ本体を取り付けるピンミラーカッタにおいて、前記カッタ取付部と前記カッタ本体とのいずれか一方又は双方に、前記カッタ本体の厚み方向の中心部を求心的に位置決め固定させる位置決め固定機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、位置決め固定機構がカッタ取付部とカッタ本体とのいずれか一方に、又は双方にカッタ本体の厚み方向の中心部を位置決め固定させるので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で温度上昇することで膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体の厚み方向の中心部をカッタ取付部に正確に位置決め固定することができ、従って、正確な心出しが行え、良好な加工を行うことができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のピンミラーカッタにおいて、前記位置決め固定機構は、カッタ本体の外周部にカッタ取付部方向に延在して複数設けられた突起と、カッタ取付部の内周部に、前記突起の各々を挿入する差込用切欠と、該差込用切欠及び前記突起間に周方向に介設され、かつ前記突起の各々を前記差込用切欠にそれぞれ差し込んだとき、カッタ取付部とカッタ本体とを相対的に位置決め固定させる固定駒とを備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、位置決め固定機構がカッタ本体をカッタ取付部に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で温度上昇することで膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確に位置決め固定することができ、良好な加工を行うことができる。
そして、カッタ本体の突起の各々がカッタ取付部材の差込用切欠にそれぞれ差し込まれたとき、固定駒が差込用切欠及び突起間に周方向に介設されることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定させるので、カッタ取付部に対するカッタ本体の位置決め固定を良好に行うことができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、表板と、表板と対称形状に形成された裏板と、前記表板及び裏板を、カッタ取付部の厚み方向に沿い相対移動可能に支持する締め付け部材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、締め付け部材を操作して表板及び裏板間を、カッタ本体、カッタ取付部の厚み方向に移動して狭めることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、カッタ取付部の差込用切欠に、該カッタ取付部の内周部側・外周部側方向に進退可能に取り付けられていることを特徴とする。
この発明に係るピンミラーカッタによれば、カッタ取付部の差込用切欠に進退可能に取り付けられているので、固定駒を取り外すことなく定位置にスライドさせるだけで、カッタ本体の交換が可能である。また、固定駒を落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、前記固定駒は、表板と、該表板と対称形状に形成された裏板と、これら表板及び裏板を、互いにカッタ取付部の厚み方向に対向させて固定する締め付け部材とを備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、締め付け部材により表板及び裏板間を操作し、カッタ本体及びカッタ取付部の厚み方向に移動して狭めることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、前記表板、裏板の少なくとも一方は、その一端部がカッタ取付部、カッタ本体のいずれか一方に、その表面と略平行な軸線をもって回動可能に取り付けられ、前記軸線を中心として前記表面から起立する方向に回動可能とされていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、表板がカッタ取付部に回動可能に取り付けられているので、カッタ本体の交換時に表板を回動させることで差込用切欠に対し突起を抜き差しできることから、表板及び裏板の双方を取り外す必要がなく、カッタ本体の交換を容易に行うことができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、前記表板、裏板のいずれか一方がカッタ取付部に取り付けられ、同他方がカッタ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
この発明に係るピンミラーカッタによれば、表板、裏板のいずれか一方を取り外すことにより差込用切欠に対し突起を抜き差しできることから、カッタ本体の交換を容易に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図6はこの発明の第1の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図1はピンミラーカッタの正面図、図2は図1のカッタ本体を示す図、図3はカッタ取付部を示す要部の拡大図、図4は図3のA−A線に沿う拡大断面図、図5は固定駒を示す説明図、図6は図1のB−B線に沿う拡大断面図である。
図1に示すピンミラーカッタ1は、カッタ本体2が、円環状をなすカッタ取付部3の内周部に挿入されたとき、位置決め固定機構4により、スラスト方向に相対的に位置決めして固定されている。
【0022】
位置決め固定機構4は、図1に示すように、カッタ本体2にカッタ取付部3の方向に延在して設けられた突起5と、カッタ取付部3の内周部に形成された差込用切欠6と、該差込用切欠6に突起5を差し込んだとき、差込用切欠6及び突起5間に周方向に介設された固定駒7とを備えて構成されている。
【0023】
突起5は、図2(a)に示すように、カッタ本体2の外周部にそのカッタ取付部3方向に向かい所望の幅Lをもって、かつ等間隔に放射状に延在して設けられている。突起5の幅L方向の両端5a及び5bは、図2(b)に示すように、カッタ取付部3に対する差込み方向の前端部から中心部に至るに従い次第に幅が大きくなると共に、その中心部から差込み方向後端部に至るに従い次第に幅が小さくなり、しかも差込み方向前端と後端とが同じ幅寸法をなし、従って、厚さ方向の中心部が最も幅の大きくなる山形形状に形成されている。
なお、カッタ本体2には、クランク等の被削体を切削するための切刃が形成されているが、図においては省略してある。
【0024】
差込用切欠6は、図1及び図3に示すように、カッタ取付部3の内周の一部を切り欠くことで突起5を差し込める大きさに形成されている。その際、差込用切欠6は、図3に示すように、幅L1が突起5の幅Lよりに大きめに形成され、例えば、図6に示すように、突起5と対応してV字状に形成された差込用切欠6の一端6aに、突起5の一端5aを挿入したとき、該突起5の他端5bから所定の距離隔てた位置に他端6bが位置する大きさになっている。なお、他端6bは、後述する凹部31の底壁32を構成している。
【0025】
固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6に対して、カッタ取付部3の内周部側・外周部側方向に進退可能に取り付けられている。具体的に述べると、固定駒7は、図5に示すように、表板71と、該表板71と対称形状をなすと共に表板71の背面側に配置される裏板72と、両者71及び72を固定駒7の厚み方向に沿い移動可能に支持する楔ピン(締め付け部材)73とを備えている。
【0026】
楔ピン73の上部外周には、例えば、表板71の挿通部に設けられた雌ねじ(図示せず)と対応する雄ねじ73aが設けられる一方、下部外周には、裏板72の挿通部に設けられた雌ねじ(図示せず)と対応する雄ねじ73bが設けられ、雄ねじ73aと雄ねじ73bとが互いに反対回りの形状で刻設されている。そして、楔ピン73が工具等で一方向に回されることで、表板71と裏板72間の間隔が図5の矢印と反対方向に狭まり、かつ反対方向に回されると、表板71と裏板72間の間隔が同図に示す矢印方向に拡がるようになっている。楔ピン73の中央部分には縮径部74が設けられている。
【0027】
この固定駒7は、図4に示すように楔ピン73の縮径部74がカッタ取付部3の凹部31の底壁32に設けられた長孔33を挿通することで、表板71と裏板72とが底壁32を挟み込んでおり、楔ピン73が緩められた状態にあるとき、縮径部74が長孔33内を移動することで、図3に示すように差込用切欠6から後退した位置に移動したり、図1に示すように差込用切欠6方向に移動したりするようになっている。
【0028】
このような固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6の一端6aにカッタ本体2の突起5の一端5aが係合したとき、差込用切欠6に移動し、図6に示すように、表板71と裏板72とが突起5の他端5bを係止させ、その状態で楔ピン73が締め付け方向に回されると、表板71と裏板72とが突起5の他端5bを係止させることで、カッタ本体2及びカッタ取付部3を相対的にスラスト方向に位置決めし、かつ同軸上で固定できるようになっている。
【0029】
そのため、固定駒7は、楔ピン73が締め付け方向に回転することで、表板71と裏板72とが互いに対向して凹部31の底壁32を挟み込みながら突起5の他端5b側を挟持するようになっている。凹部31は、カッタ取付部3の前後面において、差込用切欠6から退避する退避位置と、差込用切欠6に向かう前進位置とに跨るように連設され、固定駒7が作業者によってその退避位置と前進位置とに選択的に移動されるようになっている。
【0030】
なお、カッタ本体2には、内周部に被削体であるクランクを切削するための切刃(図示せず)が設けられ、またカッタ取付部3は、図示しない加工機に装着して駆動される。図1において、符号8は、加工機に装着するため、カッタ取付部3の後面に設けられた段差部を表している。
【0031】
この実施形態のピンミラーカッタ1は、上記のように構成されているので、カッタ取付部3にカッタ本体2を取り付ける場合には、予め、使用しないカッタを取り外して、固定駒7を図3に示すようにカッタ取付部3の差込用切欠6から外れた退避位置の凹部31にずらしておいた後、その状態でそのカッタ取付部3の内周側にカッタ本体2を入れて、カッタ本体2の突起5を差込用切欠6内に差し込み、次いでカッタ本体2を図1及び図3において反時計方向に回すことで、突起5の一端5aを差込用切欠6の一端6aに係合させる。
【0032】
この状態で、固定駒7の楔ピン73を緩める方向に回して固定駒7を図3から図1に示すような内周側に移動すると、固定駒7の表板71と裏板72との端面が突起5の他端5bと当接し、その後、楔ピン73を締め付け方向に回すと、表板71と裏板72とが両者の間隔を狭めることから、凹部31の底壁32を挟み込みながら突起5の他端5bをカッタ取付部3の厚み方向の中心部と一致するように挟着し、これによって、図6に示すように、カッタ本体2がカッタ取付部3とスラスト方向に相対的に位置決めされて、同軸上に固定されることとなる。
【0033】
この実施形態によれば、突起5と差込用切欠6と固定駒7とを備えた位置決め固定機構4によって、カッタ本体2をカッタ取付部3に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるので、カッタ本体2を交換したとき、カッタ取付部3が加工時の熱で膨張している場合等であっても、これに拘わることなくカッタ本体2をカッタ取付部3に対し正確に位置決め固定することができる。これにより、交換によって取り付けられた常温のカッタ本体の位置がずれるのを防止することができるばかりでなく、その後の加工時に切刃にブレが発生したりするのを防ぐことができ、良好な加工を行うことができる結果、位置決め固定機構4としての信頼性が高まる。また、カッタ取付部3とカッタ本体2との回転方向の隙間をなくすことができ、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0034】
また、位置決め固定機構4は、カッタ取付部3の内周に設けられた差込用切欠6に、カッタ本体2の外周に設けられた突起5を差し込んだとき、固定駒7を退避位置から前進して締め付けることで、カッタ本体2及びカッタ取付部3間のスラスト方向を位置決めすることができるので、カッター本体2の取り付けを簡単に行うことができ、交換を良好に行うことができる。
【0035】
この場合、固定駒7は、カッタ取付部3の差込用切欠6に進退可能に取り付けられているので、落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体2の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる。しかも、楔ピン73を回転操作することにより、固定駒7の移動、固定を行えるので、固定駒7の取扱いが簡便となる。
【0036】
図7から図9は、この発明の第2の実施の形態に係るピンミラーカッタを示している。
この場合も、第1の実施形態と同様に、位置決め固定機構4の固定駒7がカッタ取付部3の差込用切欠6に進退可能に取り付けられている。そして、この実施形態において、第1の実施形態と異なるのは、図6に示す固定駒7を支持している凹部31の底壁32に相当する部分が切り除かれることで、図8に示すように貫通孔34が形成され、その貫通孔34に設けられたガイド部35により、固定駒7が退避位置で支持されるようになっている。ガイド部35は、図8に示すように、固定駒7の表板71及び裏板72間に対応する形状、つまり、図2(b)のようなカッタ本体2の突起5の両端5a、5bと同様の形状をなしている。
【0037】
そして、カッタ本体2がカッタ取付部3から取り外された状態にあるとき、ガイド部35が固定駒7の両側を支持することで固定駒7を退避させ、カッタ本体2がカッタ取付部3の差込用切欠6に差し込まれたとき、カッタ取付部3上で求心方向に前進し、そこで楔ピン73が締め付け方向に回転されることで、図9に示すように突起5の他端5bとカッタ本体2間に固定駒7が固定され、これによって、カッタ本体2とカッタ取付部3とが相対的にスラスト方向に位置決め固定されるようになっている。
【0038】
従って、この実施形態によれば、基本的には前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。しかも、カッタ取付部3に貫通孔34、ガイド部35が設けられているので、カッタ取付部3に凹部31及び底壁32を設ける第1の実施形態に比較すると、それだけ製作が容易となる等の利点が得られる。
なお、上記の第1,第2の実施の形態において、図10に示すようにカッタ本体2とカッタ取付部3との間に、カッタ本体2の取り付け時における落下防止機構100を設けることも可能である。即ち、落下防止機構100は、図11(a)、(b)に示すように、カッタ本体2の突起5の先端部に凹部101を形成し、この凹部101内に環状の落下防止駒102を配置し、この落下防止駒102をネジ103により突起5に固定する。この場合、落下防止駒102は、その一部が突起5の先端縁から外方に突出している。また、図12に示すように、カッタ取付部3の差込用切欠6に望む部分に凹部104を形成する。
そして、カッタ本体2の取り付け時に、図10に示すようにカッタ本体2の突起5を差込用切欠6内に差し込みつつ落下防止駒102を凹部104内に係合させる。従って、この構成を採用した場合には、カッタ本体2の取り付け時において、当該カッタ本体2の落下を防止することができる。
【0039】
図13から図15は、この発明の第3の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図13は要部の正面図、図14は図13のE−E線に沿う拡大断面図、図15は図13のF−F線に沿う拡大断面図である。
ところで、前述した第1の実施形態では、固定駒7によってカッタ本体2がカッタ取付部3に取り付けられたとき、固定駒7が図3に示す状態から図1に示すように差込用切欠6に移動することから、カッタ取付部3において、楔ピン73の縮径部74を案内する長孔33の一部が外部に露出した状態となる。そのため、ピンミラーカッタ1による加工時、被削体から発生した切屑が、長孔33の部分に付着し、しかも加工時に用いられる切削油等によってこびりついた状態となる。このような状態で、カッタ本体2の交換のために固定駒7を待避させようとすると、付着した切屑のために楔ピン73が長孔33の端部まで移動することができず、固定駒7を待避させることができなくなる結果、カッタ本体2をカッタ取付部3から取り外せなくなるおそれがある。その上、カッタ取付部3には、長孔33を有する底壁32が存在すると、それだけカッタ取付部3の剛性が低下し、ひいてはピンミラーカッタ全体の剛性低下も起こり得る。
【0040】
そこで、この実施形態において、固定駒7Aが、表板71Aと、裏板72Aと、これら71A、72Aを互いに分離可能に固定する楔ピン(締め付け部材)73Aとを備えている。表板71Aは、図13に示すように、差込用切欠6と突起5間に挿入される大きさであって略四角の板体をなしており、図15に示すように突起5の一端5bと当接する端面がそれと対応する角度で傾斜して形成されている。裏板72Aは、表板71Aと対称形状をなしており、突起5bと当接する端面がそれと対応する角度で傾斜している。
【0041】
楔ピン73Aは、例えばボルトとナットを組み合わせたものであって、回転操作により互いに表板71Aと裏板72Aを締め付けることでスラスト方向に相対移動させて差込用切欠6に突起5を位置決め固定し、また締め付けを解除して取り外されることにより表板71Aと裏板72Aとをカッタ取付部3の厚み方向に分離するようになっている。この場合詳細に図示していないが、楔ピン73Aとしては、例えば表板側のねじ部と裏板側のねじ部とが互いに径を違えたり、またそれら両者のピッチを変えたり、更にはリードを変えたりして構成され、いずれにしろ回転操作によって表板71Aと裏板71Bとをカッタ取付部3の厚み方向で互いに固定しかつ分離させるようになっている。
【0042】
また、表板71Aは、図13、図15に示すように、その一端部がカッタ取付部3にその表面と略平行な軸線をもって回動可能に取り付けられ、該軸線を中心としてカッタ取付部3の表面から起立する方向(図15の矢印P方向)へ回動できるようになっている。即ち、表板71Aには、一端部に腕部77が設けられ、該腕部77が図15に示すようにカッタ取付部3の表面に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン75によってカッタ取付部3の表面側にその面方向と直交する方向に回動可能に枢着されている。支持ピン75は、カッタ取付部3の内周側に横設されている。一方、裏板72Aは、図13及び図14に示すように、一端部に腕部78が設けられ、該腕部78がカッタ取付部3に設けられた凹部に挿入され、かつカッタ取付部3の背面側に厚み方向に立設された支持ピン76によって着脱可能に取り付けられている。
【0043】
この固定駒7Aは、楔ピン73Aが回転操作されることで、表板71Aと裏板72Aとをカッタ取付部3の両面方向から締め付け固定するので、カッタ本体2とカッタ取付部3とを相対的にスラスト方向に位置決め固定でき、従って、前述した各実施形態と同様、カッタ取付部3のスラスト方向の中心部にカッタ本体2の中心部を一致させて固定することができるので、その位置決め固定を簡単かつ良好に行うことができ、位置決め固定機構4としての信頼性を高め、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0044】
そして、表板71Aと裏板72Aとは、楔ピン73Aの操作により、差込用切欠6及び突起5間に挿入された状態でカッタ取付部3の厚み方向に相対移動するだけであるので、第1の実施形態のように固定駒7を待避させるための長孔33を設けることが不要になる。そのため、この実施形態によれば、加工時、カッタ取付部3に切屑が付着してこびりつくことやカッタ取付部3の剛性が低下する要因を解消できるので、カッタ本体2の交換を容易に行うことができると共に、カッタ取付部3及びピンミラーカッタ1全体の剛性低下を防止することができる。
【0045】
また、固定駒7Aは、表板71Aがカッタ取付部3に回動可能に枢着される一方、裏板72Aが支持ピン76によりカッタ取付部3に対し着脱可能に取り付けられているので、楔ピン73Aを取り外したとき、表板71Aを開くことで、突起5を差込用切欠6に対して出し入れすることができ、従って、表板71Aと裏板72Aとの双方をカッタ取付部3から取り外す必要もなく、カッタ本体2の交換を容易にかつ良好に行うことができる。
なお、この実施の形態においては、表板71Aを回動可能に取り付ける構成としたが、裏板72Aを回動可能に取り付ける構成としてもよい。また、取り付ける部材は、カッタ本体2側であってもよい。
【0046】
図16から図18は、この発明の第4の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、図16は要部の正面図、図17は図16のG−G線に沿う拡大断面図、図18は図16のH−H線に沿う拡大断面図である。
この実施形態の固定駒7Bは、上記第3の実施形態と同様、表板71Bと裏板72Bとが楔ピン73Bによって互いにカッタ取付部3の厚み方向に分離可能に固定されている。
表板71Bは、カッタ本体2の表面側に取り付けられ、裏板72Bは、カッタ取付部3の背面側に取り付けられている。即ち、表板71Bには図17に示すように腕79が突設され、該腕79がカッタ本体2に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン75によって取り付けられている。裏板72Bには腕80が突設され、該腕80がカッタ取付部3に設けられた凹部に挿入され、かつ支持ピン76で取り付けられている。楔ピン73Bは、上記第3の実施形態と同様に構成されている。
【0047】
この実施形態によれば、固定駒7Bの楔ピン73Bが表板71Bと裏板72Bとをカッタ取付部3の両面方向から締め付け、突起5を差込用切欠6に固定することで、前述した各実施形態と同様、カッタ取付部3のスラスト方向の中心部にカッタ本体2の中心部を一致させて固定することができるので、ピンミラーカッタ1の加工時、切屑が付着することが何等存在せず、従って、カッタ本体2の交換を容易に行うことができると共に、カッタ取付部3及びピンミラーカッタ1全体の剛性低下を防止することができる。
【0048】
また、表板71Bがカッタ本体2に取り付けられると共に、裏板72Bがカッタ取付部3に取り付けられるので、カッタ本体2の交換のために楔ピン73Bを取り外して表板71Bと裏板72Bとを分離することにより、差込用切欠6に対し突起5を出し入れできることから、表板71B、裏板72Bのいずれか一方を取り外すことにより、カッタ本体2の交換を容易に行うことができる。
【0049】
なお、上記の各実施の形態においては、縁環状のカッタ取付部3の内周部にカッタ本体2を取り付けるように構成したが、この構成に代えて、カッタ取付部3の外周部に円環状に形成したカッタ本体を取り付けるようにしてもよい。この場合、カッタ取付部は、円環状に形成しなくともよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、位置決め固定機構がカッタ本体の厚み方向の中心部をカッタ取付部の中心部に位置決め固定させるように構成したので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で膨張した状態等にあっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確に位置決め固定することができ、従って、正確な心出しが行え、良好な加工を行うことができる。
【0051】
請求項2に係る発明によれば、位置決め固定機構がカッタ本体をカッタ取付部に対しスラスト方向に相対的に位置決め固定できるように構成したので、カッタ本体を交換したとき、カッタ取付部が加工時の熱で膨張した状態等であっても、これに拘わることなくカッタ本体をカッタ取付部に対し正確な位置で固定することができ、良好な加工を行うことができる結果、取り付けの信頼性を高めることができる効果が得られる。また、カッタ取付部とカッタ本体との回転方向の隙間をなくすことができ、良好なドライブが可能となってビビリの発生等を防止することができる。
【0052】
また、カッタ本体の突起の各々がカッタ取付部材の差込用切欠にそれぞれ差し込まれたとき、固定駒が差込用切欠及び突起間に周方向に介設されることで、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定させるので、カッタ取付部に対するカッタ本体の位置決め固定を良好に行うことができる。
【0053】
請求項3に係る発明によれば、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に確実に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる効果が得られる。
【0054】
請求項4に係る発明によれば、固定駒を外すことなく定位置にスライドさせるだけで、カッタ本体の交換が可能である。また、固定駒を落としてなくなるというおそれがなく、従って、カッタ本体の取り外し及び取り付けの際に常に用意しておくことができ、作業者がその都度用意することが不要となる効果が得られる。
【0055】
請求項5に係る発明によれば、締め付け部材により表板及び裏板間を操作して、カッタ本体とカッタ取付部とをスラスト方向に位置決め固定できるので、位置決め固定を簡単にかつ良好に行うことができる効果が得られる。
【0056】
請求項6に係る発明によれば、表板及び裏板の双方をカッタ取付部から取り外すことがなく、カッタ本体の交換を容易に行うことができる効果が得られる他、加工時に発生する切屑がカッタ取付部に付着してこびり付くことやカッタ取付部の剛性が低下する要因を解消できるという効果が得られる。
【0057】
請求項7に係る発明によれば、表板、裏板の一方を取り外すことにより、カッタ本体の交換を容易に行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す正面図である。
【図2】図1のカッタ本体を示す正面図(a)、及び底面図(b)である。
【図3】カッタ取付部を示す図であって、カッタ本体が取り付けられてないときの要部を示す拡大図である。
【図4】図3のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図5】固定駒を示す説明図である。
【図6】カッタ取付部にカッタ本体を取り付けた状態を示す図であって、図1のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す図であって、カッタ取付部にカッタ本体を取り付けた状態の要部の正面図である。
【図8】図7のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図9】同じく図7のD−D線に沿う拡大断面図である。
【図10】この発明の第1、第2実施の形態の変形例を示すピンミラーカッタの要部の正面図である。
【図11】図10に示す変形例のカッタ本体の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のP−P線視断面図である。
【図12】図10に示す変形例のカッタ取付部の要部の正面図である。
【図13】この発明の第3の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す要部の正面図である。
【図14】図13のE−E線に沿う拡大断面図である。
【図15】図13のF−F線に沿う拡大断面図である。
【図16】この発明の第4の実施の形態に係るピンミラーカッタを示す要部の正面図である。
【図17】図16のG−G線に沿う拡大断面図である。
【図18】図16のH−H線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ピンミラーカッタ
2 カッタ本体
3 カッタ取付部
4 位置決め固定機構
5 突起
6 差込用切欠
7、7A、7B 固定駒
71、71A、71B 表板
72、72A、72B 裏板
73、73A、73B 締め付け部材(楔ピン)
Claims (7)
- 加工機に装着されるカッタ取付部の内周部又は外周部に、カッタ本体を取り付けるピンミラーカッタにおいて、
前記カッタ取付部と前記カッタ本体とのいずれか一方又は双方に、前記カッタ本体の厚み方向の中心部を求心的に位置決め固定させる位置決め固定機構を備えていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項1記載のピンミラーカッタにおいて、
前記位置決め固定機構は、カッタ本体の外周部又は内周部にカッタ取付部方向に延在して複数設けられた突起と、カッタ取付部の内周部又は外周部に、前記突起の各々を挿入する差込用切欠と、該差込用切欠及び前記突起間に周方向に介設され、かつ前記突起の各々を前記差込用切欠にそれぞれ差し込んだとき、カッタ取付部とカッタ本体とを相対的にスラスト方向に位置決め固定させる固定駒とを備えていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、
前記固定駒は、表板と、表板と対称形状に形成された裏板と、前記表板及び裏板を、カッタ取付部の厚み方向に沿い相対移動可能に支持する締め付け部材とを備えていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項2又は3記載のピンミラーカッタにおいて、
前記固定駒は、カッタ取付部の差込用切欠に、該カッタ取付部の内周部側・外周部側方向に進退可能に取り付けられていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項2記載のピンミラーカッタにおいて、
前記固定駒は、表板と、該表板と対称形状に形成された裏板と、これら表板及び裏板を、互いにカッタ取付部の厚み方向に対向させて固定する締め付け部材とを備えていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、
前記表板、裏板の少なくとも一方は、その一端部がカッタ取付部、カッタ本体のいずれか一方にその表面と略平行な軸線をもって回動可能に取り付けられ、前記軸線を中心として前記表面から起立する方向に回動可能とされていることを特徴とするピンミラーカッタ。 - 請求項5記載のピンミラーカッタにおいて、
前記表板、裏板のいずれか一方がカッタ取付部に取り付けられ、同他方がカッタ本体に取り付けられていることを特徴とするピンミラーカッタ。
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-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003113357A patent/JP2004154926A/ja not_active Withdrawn
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